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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077416
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】オシレータ回路、タイマー回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 3/02 20060101AFI20240531BHJP
   H03K 3/354 20060101ALI20240531BHJP
   H03K 4/502 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
H03K3/02 P
H03K3/354 Z
H03K4/502
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189504
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】横山 伸之
【テーマコード(参考)】
5J300
【Fターム(参考)】
5J300AA01
5J300AA02
5J300AA06
5J300AA14
5J300AA17
5J300AA26
5J300BB01
5J300CC03
5J300DD02
5J300DD14
5J300DD15
(57)【要約】
【課題】精度を改善したオシレータを提供する。
【解決手段】第1キャパシタC1、第2キャパシタC2、第1抵抗R1それぞれの第1端は接地される。カレントミラー回路120は、定電流源110と接続された入力ノードINを有し、第1出力ノードOUT1から定電流Icの所定倍の電流量の第1電流I1を出力し、第2出力ノードOUT2から第1電流I1と同じ量の第2電流I2を出力する。第1スイッチSW1は、第1出力ノードOUT1と第1キャパシタC1の第2端の間に接続され、第2スイッチSW2は、第1出力ノードOUT1と第1抵抗R1の第2端の間に接続される。第3スイッチSW3は、第2出力ノードOUT2と第1抵抗R1の第2端の間に接続され、第4スイッチSW4は、第2出力ノードOUT2と第2キャパシタの第2端の間に接続される。比較回路130は、第1出力ノードOUT1の電圧V1と第2出力ノードOUT2の電圧V2とを比較する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定電流を生成する定電流源と、
第1端が接地された第1キャパシタと、
第1端が接地された第2キャパシタと、
第1端が接地された第1抵抗と、
前記定電流源と接続された入力ノードを有し、第1出力ノードから前記定電流の所定倍の電流量の第1電流を出力し、第2出力ノードから前記第1電流と同じ量の第2電流を出力するカレントミラー回路と、
前記カレントミラー回路の前記第1出力ノードと前記第1キャパシタの第2端の間に接続された第1スイッチと、
前記カレントミラー回路の前記第1出力ノードと前記第1抵抗の第2端の間に接続された第2スイッチと、
前記カレントミラー回路の前記第2出力ノードと前記第1抵抗の前記第2端の間に接続された第3スイッチと、
前記カレントミラー回路の前記第2出力ノードと前記第2キャパシタの第2端の間に接続された第4スイッチと、
前記カレントミラー回路の前記第1出力ノードの電圧と前記カレントミラー回路の前記第2出力ノードの電圧とを比較する比較回路と、
前記比較回路の出力にもとづいて、前記第1スイッチおよび前記第3スイッチがオンである第1状態と、前記第2スイッチおよび前記第4スイッチがオンである第2状態と、を切りかえるロジック回路と、
前記比較回路の出力と同期して、前記第1キャパシタの電荷と前記第2キャパシタの電荷を初期化するリセット回路と、
を備える、オシレータ回路。
【請求項2】
前記リセット回路は、
前記第1キャパシタと並列に接続された第5スイッチと、
前記第2キャパシタと並列に接続された第6スイッチと、
を含み、
前記ロジック回路は、前記第2状態において前記第5スイッチをオンし、前記第1状態において前記第6スイッチをオンする、請求項1に記載のオシレータ回路。
【請求項3】
前記第1抵抗と並列に接続された第3キャパシタをさらに備える、請求項1に記載のオシレータ回路。
【請求項4】
前記電流源は、
第1端が接地された第2抵抗と、
前記第2抵抗の第2端と前記カレントミラー回路の前記入力ノードの間に接続された第1トランジスタと、
非反転入力ノードに基準電圧を受け、反転入力ノードが前記第2抵抗の前記第2端と接続されたオペアンプと、
を含む、請求項1から3のいずれかに記載のオシレータ回路。
【請求項5】
前記第1抵抗および前記第2抵抗は、同じ素子構造を有する、請求項4に記載のオシレータ回路。
【請求項6】
前記第1抵抗および前記第2抵抗はそれぞれ、
直列に接続される第1極性の温度特性を有する第1抵抗要素および第2極性の温度特性を有する第2抵抗要素と、
前記第2抵抗要素と並列に接続される前記第1極性の温度特性を有する第3抵抗要素と、
を含む、請求項5に記載のオシレータ回路。
【請求項7】
前記第1抵抗および前記第2抵抗はそれぞれ、
直列に接続された、第1極性の温度特性を有する第1抵抗要素、第2抵抗要素、第3抵抗要素および第2極性の温度依存性を有する第4抵抗要素と、
前記第2極性の温度特性を有し、前記第2抵抗要素と並列に接続された第5抵抗要素と、
前記第2極性の温度特性を有し、前記第3抵抗要素と並列に接続された第6抵抗要素と、
を含む、請求項5に記載のオシレータ回路。
【請求項8】
前記カレントミラー回路は、
ソースが電源ラインと接続され、ゲートおよびドレインが前記入力ノードと接続された第1PMOSトランジスタと、
ソースが前記電源ラインと接続され、ゲートが前記入力ノードと接続され、ドレインが前記第1出力ノードと接続された第2PMOSトランジスタと、
ソースが前記電源ラインと接続され、ゲートが前記入力ノードと接続され、ドレインが前記第2出力ノードと接続された第3PMOSトランジスタと、
を含む、請求項1から3のいずれかに記載のオシレータ回路。
【請求項9】
前記カレントミラー回路は、前記第1PMOSトランジスタ、前記第2PMOSトランジスタ、前記第3PMOSトランジスタそれぞれのドレインと、前記入力ノード、前記第1出力ノード、前記第2出力ノードそれぞれとの接続関係を時分割で切り替え可能に構成される、請求項8に記載のオシレータ回路。
【請求項10】
前記カレントミラー回路は、前記接続関係を巡回的に切り替える、請求項9に記載のオシレータ回路。
【請求項11】
前記カレントミラー回路は、前記接続関係をランダムに切り替える、請求項9に記載のオシレータ回路。
【請求項12】
前記定電流源は、PTAT(Proportional to Absolute Temperature)電流源である、請求項1から3のいずれかに記載のオシレータ回路。
【請求項13】
前記ロジック回路は、インバータを含む、請求項1から3のいずれかに記載のオシレータ回路。
【請求項14】
ひとつの半導体基板に一体集積化される、請求項1から3のいずれかに記載のオシレータ回路。
【請求項15】
請求項1から3のいずれかに記載のオシレータ回路と、
前記オシレータ回路が生成するクロック信号をカウントするカウンタと、
を備える、タイマー回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オシレータに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路には、タイマー回路を備えるものがある。タイマー回路は、基準クロックを生成するオシレータと、オシレータが生成するクロック信号をカウントするカウンタ回路で構成されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6504779号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Paidimarri, Arun; Griffith, Danielle; Wang, Alice; Chandrakasan, Anantha P.; Burra, Gangadhar、"A 120nW 18.5kHz RC oscillator with comparator offset cancellation for ±0.25% temperature stability", https://dspace.mit.edu/handle/1721.1/92830
【非特許文献2】B. Robert Gregoire and Un-Ku Moon, "Process-Independent Resistor Temperature-Coefficients using Series/Paralled and Parallel Series Compsite Resistors", 1-4244-0921-7/07 $25.00 2007 IEEE
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タイマー回路の精度は、オシレータの発振周波数のばらつきおよび変動の影響を受ける。
【0006】
本開示は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、精度を改善したオシレータの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある態様は、オシレータ回路に関する。オシレータ回路は、定電流を生成する定電流源と、第1端が接地された第1キャパシタと、第1端が接地された第2キャパシタと、第1端が接地された第1抵抗と、定電流源と接続された入力ノードを有し、第1出力ノードから定電流の所定倍の電流量の第1電流を出力し、第2出力ノードから第1電流と同じ量の第2電流を出力するカレントミラー回路と、カレントミラー回路の第1出力ノードと第1キャパシタの第2端の間に接続された第1スイッチと、カレントミラー回路の第1出力ノードと第1抵抗の第2端の間に接続された第2スイッチと、カレントミラー回路の第2出力ノードと第1抵抗の第2端の間に接続された第3スイッチと、カレントミラー回路の第2出力ノードと第2キャパシタの第2端の間に接続された第4スイッチと、カレントミラー回路の第1出力ノードの電圧とカレントミラー回路の第2出力ノードの電圧とを比較する比較回路と、比較回路の出力にもとづいて、第1スイッチおよび第3スイッチがオンである第1状態と、第2スイッチおよび第4スイッチがオンである第2状態と、を切りかえるロジック回路と、比較回路の出力と同期して、第1キャパシタの電荷と第2キャパシタの電荷を初期化するリセット回路と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示のある態様によれば、オシレータの精度を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るオシレータ回路のブロック図である。
図2図2は、図1のオシレータ回路の具体的な構成例を示す回路図である。
図3図3は、図2のオシレータ回路の動作波形図である。
図4図4は、比較回路の構成例を示す回路図である。
図5図5は、定電流源の構成例を示す回路図である。
図6図6は、第1抵抗および第2抵抗の第1構成例を示す回路図である。
図7図7は、図6の抵抗のドリフト(温度特性)を示す図である。
図8図8は、第1抵抗および第2抵抗の第2構成例を示す回路図である。
図9図9は、カレントミラー回路の構成例を示す回路図である。
図10図10は、タイマー回路のブロック図である。
図11図11は、システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0012】
一実施形態に係るオシレータ回路は、定電流を生成する定電流源と、第1端が接地された第1キャパシタと、第1端が接地された第2キャパシタと、第1端が接地された第1抵抗と、定電流源と接続された入力ノードを有し、第1出力ノードから定電流の所定倍の電流量の第1電流を出力し、第2出力ノードから第1電流と同じ量の第2電流を出力するカレントミラー回路と、カレントミラー回路の第1出力ノードと第1キャパシタの第2端の間に接続された第1スイッチと、カレントミラー回路の第1出力ノードと第1抵抗の第2端の間に接続された第2スイッチと、カレントミラー回路の第2出力ノードと第1抵抗の第2端の間に接続された第3スイッチと、カレントミラー回路の第2出力ノードと第2キャパシタの第2端の間に接続された第4スイッチと、カレントミラー回路の第1出力ノードの電圧とカレントミラー回路の第2出力ノードの電圧とを比較する比較回路と、比較回路の出力にもとづいて、第1スイッチおよび第3スイッチがオンである第1状態と、第2スイッチおよび第4スイッチがオンである第2状態と、を切りかえるロジック回路と、比較回路の出力と同期して第1キャパシタの電荷と第2キャパシタの電荷を初期化するリセット回路と、を備える。
【0013】
この構成によると、電圧比較回路が、オフセット電圧を有する場合に、オフセット電圧の影響が、第1状態と第2状態とで、逆向きに発生する。そのため、第1状態の長さと、第2状態の長さの合計であるクロック信号の周期(周波数)は、オフセット電圧の影響を受けない。その結果、温度変動によってオフセット電圧が変化し、あるいはオフセット電圧がプロセスばらつきを持つ場合においても、クロック信号の周期(周波数)の変動、ばらつきを抑制することができる。
【0014】
一実施形態において、リセット回路は、第1キャパシタと並列に接続された第5スイッチと、第2キャパシタと並列に接続された第6スイッチと、を含んでもよい。ロジック回路は、第2状態において第5スイッチをオンし、第1状態において第6スイッチをオンしてもよい。
【0015】
一実施形態において、オシレータ回路は、第1抵抗と並列に接続された第3キャパシタをさらに備えてもよい。
【0016】
一実施形態において、電流源は、第1端が接地された第2抵抗と、第2抵抗の第2端とカレントミラー回路の入力ノードの間に接続された第1トランジスタと、非反転入力ノードに基準電圧を受け、反転入力ノードが第2抵抗の第2端と接続されたオペアンプと、を含んでもよい。
【0017】
一実施形態において、第1抵抗および第2抵抗は、同じ素子構造を有してもよい。
【0018】
一実施形態において、第1抵抗および第2抵抗はそれぞれ、直列に接続される第1極性の温度特性を有する第1抵抗要素および第2極性の温度特性を有する第2抵抗要素と、第2抵抗要素と並列に接続される第1極性の温度特性を有する第3抵抗要素と、を含んでもよい。
【0019】
一実施形態において、第1抵抗および第2抵抗はそれぞれ、直列に接続される第1極性の温度特性を有する第1抵抗要素、第2抵抗要素、第3抵抗要素および第2極性の温度依存性を有する第4抵抗と、第2極性の温度特性を有し、第2抵抗要素と並列に接続された第5抵抗要素と、第2極性の温度特性を有し、第3抵抗要素と並列に接続された第6抵抗要素と、を含んでもよい。
【0020】
一実施形態において、カレントミラー回路は、ソースが電源ラインと接続され、ゲートおよびドレインが入力ノードと接続された第1PMOSトランジスタと、ソースが電源ラインと接続され、ゲートが入力ノードと接続され、ドレインが第1出力ノードと接続された第2PMOSトランジスタと、ソースが電源ラインと接続され、ゲートが入力ノードと接続され、ドレインが第2出力ノードと接続された第3PMOSトランジスタと、を含んでもよい。
【0021】
一実施形態において、カレントミラー回路は、第1PMOSトランジスタ、第2PMOSトランジスタ、第3PMOSトランジスタそれぞれのドレインと、入力ノード、第1出力ノード、第2出力ノードそれぞれとの接続関係を時分割で切り替え可能に構成される。これにより、ランダムテレグラフノイズ(RTN)の影響を抑制できる。
【0022】
一実施形態において、カレントミラー回路は、接続関係を巡回的に切り替えてもよい。
【0023】
一実施形態においてカレントミラー回路は、接続関係をランダムに切り替えてもよい。
【0024】
一実施形態において、定電流源は、PTAT(Proportional to Absolute Temperature)電流源であってもよい。
【0025】
一実施形態において、ロジック回路は、インバータを含んでもよい。インバータの入力信号と出力信号を、第1状態と第2状態に対応付けることにより、第1スイッチ~第4スイッチの制御信号を生成できる。
【0026】
一実施形態において、オシレータ回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。
【0027】
一実施形態に係るタイマー回路は、オシレータ回路と、オシレータ回路が生成するクロック信号をカウントするカウンタと、を備えてもよい。
【0028】
一実施形態において、オシレータ回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0029】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0030】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0031】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された(設けられた)状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0032】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタ、インダクタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは回路定数(抵抗値、容量値、インダクタンス)を表すものとする。
【0033】
図1は、実施形態に係るオシレータ回路100のブロック図である。オシレータ回路100は、定電流源110、カレントミラー回路120、比較回路130、ロジック回路140、リセット回路150、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2、第3キャパシタC3、第1抵抗R1、第1スイッチSW1~第4スイッチSW4を備える。
【0034】
定電流源110は、定電流Icを生成する。第1キャパシタC1、第2キャパシタC2および第1抵抗R1それぞれの第1端は接地される。第3キャパシタC3は、第1抵抗R1と並列に接続される。第3キャパシタC3を設けることで、第1抵抗R1に発生する電圧降下(基準電圧Vr)の変動を抑制できる。なお、第3キャパシタC3は省略してもよい。定電流源110は、絶対温度に比例した電流Icを生成するPTAT(Proportional To Absolute Temperature)電流源を用いることができる。
【0035】
カレントミラー回路120は、定電流源110と接続された入力ノードINを有し、第1出力ノードOUT1から定電流Icの所定倍の電流量の第1電流I1を出力し、第2出力ノードOUT2から第1電流I1と同じ量の第2電流I2を出力する。
【0036】
第1スイッチSW1は、カレントミラー回路120の第1出力ノードOUT1と第1キャパシタC1の第2端の間に接続される。第2スイッチSW2は、カレントミラー回路120の第1出力ノードOUT1と第1抵抗R1の第2端の間に接続される。第3スイッチSW3は、カレントミラー回路120の第2出力ノードOUT2と第1抵抗R1の第2端の間に接続される。第4スイッチSW4は、カレントミラー回路120の第2出力ノードOUT2と第2キャパシタC2の第2端の間に接続される。
【0037】
比較回路130は、カレントミラー回路120の第1出力ノードOUT1に発生する第1電圧V1とカレントミラー回路120の第2出力ノードOUT2に発生する第2電圧V2とを比較する。
【0038】
ロジック回路140は、比較回路130の出力にもとづいて、第1スイッチSW1および第3スイッチSW3がオンである第1状態φ1と、第2スイッチSW2および第4スイッチSW4がオンである第2状態φ2と、を切りかえる。オシレータ回路100の出力であるクロック信号CLKは、比較回路130の出力にもとづいている。
【0039】
たとえば比較回路130は、電圧コンパレータ132およびシュミットバッファ134を含む。電圧コンパレータ132の非反転入力ノード(+)には、第1電圧V1が入力され、反転入力ノード(-)には第2電圧V2が入力される。シュミットバッファ134は、電圧コンパレータ132の出力を受け、クロック信号CKLを生成する。シュミットバッファ134は省略してもよい。
【0040】
ロジック回路140は、比較回路130が生成するクロック信号CLKを受け、クロック信号CLKと同期して、第1スイッチSW1~第4スイッチSW4およびリセット回路150を制御する。具体的にはロジック回路140は、クロック信号CLKが第1レベル(たとえばハイ)であるときを第1状態φ1、クロック信号CLKが第2レベル(たとえばロー)であるときを第2状態φ2として、第1スイッチSW1~第4スイッチSW4およびリセット回路150を制御する。
【0041】
ロジック回路140は、第1状態φ1において、第1スイッチSW1および第3スイッチSW3をオン状態、第2スイッチSW2および第4スイッチSW4をオフ状態とし、第2状態φ2において、第2スイッチSW2および第4スイッチSW4をオン状態とし、第1スイッチSW1および第3スイッチSW3をオフ状態とする。
【0042】
またロジック回路140は、クロック信号CLKと同期して、第1キャパシタC1の電荷と第2キャパシタC2の電荷を初期化する。具体的には、第1状態φ1において、第2キャパシタC2の電荷を初期化し、第2状態φ2において、第1キャパシタC1の電荷を初期化する。リセット回路150は、第1キャパシタC1と並列に接続された第5スイッチSW5と、第2キャパシタC2と並列に接続された第6スイッチSW6を含む。ロジック回路140は、第1状態φ1において、第6スイッチSW6をオン状態とし、第2状態φ2において第5スイッチSW5をオン状態とする。
【0043】
図2は、図1のオシレータ回路100の具体的な構成例を示す回路図である。図2は、第1状態φ1を示しており、第2状態φ2で使用される部分は破線で示している。
【0044】
第1スイッチSW1~第6スイッチSW6は、NチャンネルMOSFETで構成される。
【0045】
カレントミラー回路120は、第1PMOSトランジスタMP1、第2PMOSトランジスタMP2、第3PMOSトランジスタMP3を含む。第1PMOSトランジスタMP1は、ソースが電源ラインと接続され、ゲートおよびドレインが入力ノードINと接続される。第2PMOSトランジスタMP2は、ソースが電源ラインと接続され、ゲートが入力ノードINと接続され、ドレインが第1出力ノードOUT1と接続される。第3PMOSトランジスタMP3は、ソースが電源ラインと接続され、ゲートが入力ノードINと接続され、ドレインが第2出力ノードOUT2と接続される。
【0046】
ロジック回路140は、インバータ142,144を含む。インバータ142の出力信号は、第1状態φ1においてハイとなり、インバータ142の入力信号は、第2状態φ2においてハイとなる。インバータ142の出力信号は、第1スイッチSW1、第3スイッチSW3、第6スイッチSW6であるNMOSトランジスタのゲートに供給される。インバータ142の入力信号は、第2スイッチSW2、第4スイッチSW4、第5スイッチ+SW5であるNMOSトランジスタのゲートに供給される。
【0047】
以上がオシレータ回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
【0048】
図3は、図2のオシレータ回路100の動作波形図である。電圧コンパレータ132が入力オフセット電圧Vosを有しているとする。
【0049】
第1状態φ1では、第1抵抗R1に電流I2が供給され、V2=I2×R1となる。電圧V1は、I1×t/C1にしたがって時間とともに上昇する。電圧コンパレータ132のオフセット電圧Vosの影響により、電圧V1が、Vth=V2-Vosまで上昇すると、電圧コンパレータ132の出力が変化し、第2状態φ2に遷移する。
【0050】
第2状態φ2では、第1抵抗R1に電流I1が供給され、V1=I1×R1となる。電圧V2は、I2×t/C2にしたがって上昇する。電圧コンパレータ132のオフセット電圧Vosの影響により、電圧V2が、Vth=V1+Vosまで上昇すると、電圧コンパレータ132の出力が変化し、第1状態φ1に遷移する。
【0051】
以上がオシレータ回路100の動作である。このオシレータ回路100では、第1状態φ1において、電圧コンパレータ132の非反転入力ノード(+)の電圧V1は、傾斜電圧となり、反転入力ノード(-)の電圧V2は、基準電圧となる。反対に、第2状態φ2において、電圧コンパレータ132の非反転入力ノード(+)の電圧V1は、基準電圧となり、反転入力ノード(-)の電圧V2は、傾斜電圧となる。
【0052】
そのため、第1状態φ1と第2状態φ2とで、オフセット電圧Vosの極性が反転することとなる。I1=I2=I、C1=C2=Cとするとき、第1状態の長さtφ1は、
φ1=RC-C×Vos/I
φ2=RC+C×Vos/I
となる。ここでは比較回路130の応答遅延を無視している。クロック信号CLKの1周期tpは、
tp=tφ1+tφ2=2×RC
となるから、電圧コンパレータ132の入力オフセット電圧Vosの影響を低減できる。これにより、入力オフセット電圧Vosがばらついたり、温度によって変動したりした場合にも、クロック信号CLKの周期(すなわち周波数)のばらつき、変動を抑制することができる。
【0053】
続いてオシレータ回路100の具体的な構成例を説明する。
【0054】
図4は、比較回路130の構成例を示す回路図である。電圧コンパレータ132は、差動増幅器132Aと、出力段132Bの2段構成を有する。前段の差動増幅器132Aは、差動対を形成するPMOトランジスタMP11,MP12と、テイル電流源を形成するPMOSトランジスタMP13と、カレントミラー回路負荷を形成するNMOSトランジスタMN11,MN12を含む。出力段132Bは、PMOSトランジスタMP14と、NMOSトランジスタMN13を含む。
【0055】
シュミットバッファ134は、PMOSトランジスタMP21,MP22、NMOSトランジスタMN21、MN22およびインバータINV21を含む。PMOSトランジスタMP21とNMOSトランジスタMN21は、インバータを構成している。PMOSトランジスタMP22は、PMOSトランジスタMP21と並列に接続され、NMOSトランジスタMN22は、NMOSトランジスタMN21と並列に接続される。トランジスタMP22およびMN22のゲートには、インバータINV21の出力信号が入力される。以上が比較回路130の構成である。
【0056】
図5は、定電流源110の構成例を示す回路図である。第2抵抗R2の第1端は接地される。NMOSトランジスタである第1トランジスタM1のソースは、第2抵抗R2の第2端と接続される。オペアンプOA1の非反転入力ノード(+)には基準電圧Vが入力され、反転入力ノード(-)は第1トランジスタM1のソースと接続される。
トランジスタM1に流れる電流Icは、
Ic=V/R2
で表される。
【0057】
電圧源112は、基準電圧Vを生成する。オペアンプOA2はバッファを構成しており、基準電圧Vを抵抗分圧回路114に印加する。抵抗分圧回路114は、抵抗R31,R32を含み、基準電圧Vを分圧し、基準電圧Vを生成する。
【0058】
抵抗分圧回路114の抵抗R31,R32は、ポリシリコン抵抗で構成することができる。
【0059】
図5の第2抵抗R2と、図1の第1抵抗R1は、同じ素子構造を有することが好ましい。
【0060】
図6は、第1抵抗R1および第2抵抗R2の第1構成例を示す回路図である。第1抵抗R1は、第1抵抗要素Re1、第2抵抗要素Re2、第3抵抗要素Re3を有する。第1抵抗要素Re1と第2抵抗要素Re2は直列に接続され、第3抵抗要素Re3は、第2抵抗要素Re2と並列に接続されている。図6の抵抗の構成を直並列型と称する。第2抵抗R2も、第1抵抗R1と同様に構成できる。
【0061】
第1抵抗要素Re1および第2抵抗要素Re2は、第1極性の温度依存性(たとえば負の温度特性)を有し、第3抵抗要素Re3は、第2極性の温度依存性(たとえば正の温度特性)を有する。
【0062】
第1抵抗要素Re1,第2抵抗要素Re2、第3抵抗要素Re3それぞれの抵抗値を、αR、R、Rとする。αは係数である。
【0063】
の一次温度係数をTC、Rの一次温度係数をTCとする。また第1抵抗R1全体の1次の温度係数をTCとする。TCはゼロが設計値となる。
TC=1/R×∂R/∂T
TC=1/R×∂R/∂T
【0064】
第1抵抗要素Re1,第2抵抗要素Re2、第3抵抗要素Re3それぞれ抵抗値αR、R、Rは、以下の式で表される。
αR=(TC-TC)/(TC+TC-2×TC
={(TC+TC-2×TC-(TC-TC}/{(TC+TC-2×TC)(TC-TC
={(TC+TC-2×TC-(TC-TC}/{(TC+TC-2×TC
【0065】
図7は、図6の抵抗のドリフト(温度特性)を示す図である。比較のために、直並列型に加えて、直列型(Re2を省略したもの)、並列型(Re1を省略したもの)の温度特性を示している。
【0066】
直列型の場合、第1抵抗要素Re1、第2抵抗要素Re2それぞれの抵抗値であるRAS、RBSは、以下の式で表される。
AS=(TC-TC)/(TC-TC
BS=(TC-TC)/(TC-TC
【0067】
並列型の場合、第3抵抗要素Re3、第2抵抗要素Re2それぞれの抵抗値であるRAP、RBPは、以下の式で表される。
AP=(TCA-TC)/(TC-TC
BP=(TCA-TC)/(TCA-TC
【0068】
直並列型の抵抗では、R,Rのばらつきにかかわらず、並列型や直列型に比べて、抵抗値の変化を抑制できる。そして第1抵抗R1と第2抵抗R2は同じ温度依存性をもつこととなる。第1抵抗R1に発生する基準電圧Vrは、I1×R1=I2×R1であり、I1,I2はそれぞれ、第2抵抗R2に反比例する。したがって、基準電圧Vrは温度依存性をもたなくなり、発振周波数の温度依存性を小さくできる。
【0069】
図8は、第1抵抗R1および第2抵抗R2の第2構成例を示す回路図である。第1抵抗R1、第2抵抗R2はそれぞれ、第1抵抗要素Re1~第6抵抗要素Re6を有する。第1抵抗要素Re1~第3抵抗要素Re3および第4抵抗要素Re4は、直列に接続される。第5抵抗要素Re5は第2抵抗要素Re2と並列に接続されており、第6抵抗要素Re6は、第3抵抗要素Re3と並列に接続される。第1抵抗要素Re1、第2抵抗要素Re2、第3抵抗要素Re3は、第1極性の温度依存性を有し、第4抵抗要素Re4、第5抵抗要素Re5、第6抵抗要素Re6は、第2極性の温度依存性を有する。
【0070】
上述のようにカレントミラー回路120は、MOSトランジスタを利用して構成される。このようなカレントミラー回路では、ゲート酸化膜の欠陥にキャリアがトラップされることにより電流がゆらぐ現象(ランダムテレグラフノイズRTN)が発生する。RTNは、発振周波数の揺らぎの原因となる。RTNの影響を低減したカレントミラー回路120について説明する。
【0071】
図9は、カレントミラー回路120の構成例を示す回路図である。カレントミラー回路120は、第1PMOSトランジスタMP1~第3PMOSトランジスタMP3およびスイッチマトリクス122を含む。この例では、各PMOSトランジスタは、2個のPMOSトランジスタを縦積みした構成となっている。
【0072】
スイッチマトリクス122は、第1PMOSトランジスタMP1、第2PMOSトランジスタMP2、第3PMOSトランジスタMP3それぞれのドレインと、入力ノードIN、第1出力ノードOUT1、第2出力ノードOUT2それぞれとの接続関係を、時分割で切り替え可能に構成される。
【0073】
具体的にはスイッチマトリクス122は、複数のスイッチS10~S12、S20~S22、S30~S32を備える。スイッチSxyのx(=1,2,3)は、トランジスタMPxと接続されることを表す。スイッチSxyのy(=0,1,2)は、接続される入力端子あるいは出力端子を表しており、y=0は入力端子INを表し、y=1は第1出力端子OUT1を表し、y=2は第2出力端子OUT2を表す。
【0074】
たとえばカレントミラー回路120は、3つの状態φa~φcが切り替え可能である。
φa: S10,S21,S32:ON
S11,S22,S30:OFF
S12,S20,S31:OFF
φb: S10,S21,S32:OFF
S11,S22,S30:ON
S12,S20,S31:OFF
φc: S10,S21,S32:OFF
S11,S22,S30:OFF
S12,S20,S31:ON
【0075】
第1状態φaでは、第1PMOSトランジスタMP1は入力端子INと接続され、第2PMOSトランジスタMP2は第1出力端子OUT1と接続され、第3PMOSトランジスタMP3は第2出力端子OUT2と接続される。
【0076】
第2状態φbでは、第1PMOSトランジスタMP1は第1出力端子OUT1と接続され、第2PMOSトランジスタMP2は第2出力端子OUT2と接続され、第3PMOSトランジスタMP3は入力端子INと接続される。
【0077】
第3状態φcでは、第1PMOSトランジスタMP1は第1出力端子OUT1と接続され、第2PMOSトランジスタMP2は第2出力端子OUT2と接続され、第3PMOSトランジスタMP3は入力端子INと接続される。
【0078】
たとえば、複数の第1状態φa~第3状態φcを巡回的に切り替えてもよい。あるいは、擬似ランダム信号(PRBS:Pseudo-Random Binary Sequence))を利用して、複数の第1状態φa~第3状態φcをランダムに切り替えてもよい。
【0079】
このカレントミラー回路120によれば、3個のトランジスタMP1~MP3を時分割で入れ替えるチョッピング制御により、RTNの影響を低減できる。これにより、電流I1,I2の変動を抑制でき、発振周波数をさらに安定なものにできる。
【0080】
なお、3状態φa~φcを切り替え可能なスイッチマトリクス122の構成は、図9のそれに限定されない。
【0081】
また図9の例では、3状態を切り換えることとしたが、3個のトランジスタMP1~MP3と、3個の端子IN,OUT1,OUT2の接続の組み合わせは全部で6通り存在する。したがって、6個の状態を切り替えできるように、スイッチマトリクス122を構成してもよい。
【0082】
続いてオシレータ回路100の用途を説明する。オシレータ回路100は、タイマー回路200に用いることができ、特に、数時間より長い時間を正確に測定することが求められる長時間タイマー回路に好適である。
【0083】
図10は、タイマー回路200のブロック図である。タイマー回路200は、オシレータ回路100およびカウンタ回路210を備える。オシレータ回路100は、クロック信号CLKを生成する。カウンタ回路210は、クロック信号CLKをカウントし、カウント値が設定値SETに達すると、タイムアップ信号TIME_UPをアサートする。周波数の安定性が高いオシレータ回路100を利用することにより、タイマー回路200は、設定値SETに応じた時間を正確に測定することができる。
【0084】
図11は、システム1のブロック図である。システム1は、ホストコントローラ2、各種機能ブロック4、RTC機能を備える半導体集積回路10を備える。
【0085】
ホストコントローラ2は、たとえばソフトウェアを実行するマイクロコントローラで実装され、システム1全体を統括的に制御する。機能ブロック4は、ホストコントローラ2の制御下で、それぞれに固有の処理を実行する。半導体集積回路10も同様に、ホストコントローラ2の制御下で、それ固有の処理を実行する。
【0086】
ホストコントローラ2は、スタンバイモードへのトリガとなるイベントを検出すると、各種機能ブロック4および半導体集積回路10に、スタンバイモードへの移行を指示する。この指示に応答して、各種機能ブロック4は、動作を停止し、待機状態となる。
【0087】
半導体集積回路10は、インタフェース回路12、機能回路14、タイマー回路200を備える。インタフェース回路12は、ホストコントローラ2と通信可能であり、たとえばIC(Inter IC)インタフェースや、SPI(Serial Peripheral Interface)が例示される。インタフェース回路12がホストコントローラ2からスタンバイモードへの移行指示を受けると、機能回路14の動作が停止し、タイマー回路200が動作を開始する。タイマー回路200の設定値は、ホストコントローラ2が、半導体集積回路10に供給してもよい。
【0088】
半導体集積回路10の種類や用途は特に限定されないが、たとえば電源管理(PM:Power Management)ICであってもよい。半導体集積回路10がPMICである場合、機能回路14は、DC/DCコンバータやリニアレギュレータなどの複数チャンネルの電源回路、それらを制御するシーケンサなどを含む。
【0089】
ホストコントローラ2は、半導体集積回路10をスタンバイモードに移行させた後、自分自身も、消費電力が小さいスタンバイモード(スリープ状態ともいう)に移行する。
【0090】
タイマー回路200が、設定値SETに応じた時間の経過を測定すると、タイムアップ信号TIME_UPがアサートされる。このタイムアップ信号TIME_UPのアサートに応答して、半導体集積回路10は、ホストコントローラ2に対して、再起動を指示するウェイクアップ信号WUを供給する。ウェイクアップ信号WUは割り込み信号であってもよい。ホストコントローラ2は、ウェイクアップ信号WUに応答して、スタンバイモードから通常モードに復帰する。
【0091】
続いてオシレータ回路100の構成や動作の変形例を説明する。
【0092】
(変形例1)
第5スイッチSW5、第6スイッチSW6の制御は、実施形態で説明したものに限定されない。第5スイッチSW5は、少なくとも第1状態φ1に遷移する直前にオンすればよく、第6スイッチSW6は、少なくとも第2状態φ2に遷移する直前にオンすればよい。
【0093】
(変形例2)
ロジック回路140の構成は、図2に示したそれに限定されない。たとえばクロック信号CLKを、第1スイッチSW1,第3スイッチSW3、第6スイッチSW6のゲートに供給してもよい。その場合、インバータ142は省略してもよい。
【0094】
(付記)
本開示には、以下の技術が開示される。
【0095】
(項目1)
定電流を生成する定電流源と、
第1端が接地された第1キャパシタと、
第1端が接地された第2キャパシタと、
第1端が接地された第1抵抗と、
前記定電流源と接続された入力ノードを有し、第1出力ノードから前記定電流の所定倍の電流量の第1電流を出力し、第2出力ノードから前記第1電流と同じ量の第2電流を出力するカレントミラー回路と、
前記カレントミラー回路の前記第1出力ノードと前記第1キャパシタの第2端の間に接続された第1スイッチと、
前記カレントミラー回路の前記第1出力ノードと前記第1抵抗の第2端の間に接続された第2スイッチと、
前記カレントミラー回路の前記第2出力ノードと前記第1抵抗の前記第2端の間に接続された第3スイッチと、
前記カレントミラー回路の前記第2出力ノードと前記第2キャパシタの第2端の間に接続された第4スイッチと、
前記カレントミラー回路の前記第1出力ノードの電圧と前記カレントミラー回路の前記第2出力ノードの電圧とを比較する比較回路と、
前記比較回路の出力にもとづいて、前記第1スイッチおよび前記第3スイッチがオンである第1状態と、前記第2スイッチおよび前記第4スイッチがオンである第2状態と、を切りかえるロジック回路と、
前記比較回路の出力と同期して、前記第1キャパシタの電荷と前記第2キャパシタの電荷を初期化するリセット回路と、
を備える、オシレータ回路。
【0096】
(項目2)
前記リセット回路は、
前記第1キャパシタと並列に接続された第5スイッチと、
前記第2キャパシタと並列に接続された第6スイッチと、
を含み、
前記ロジック回路は、前記第2状態において前記第5スイッチをオンし、前記第1状態において前記第6スイッチをオンする、項目1に記載のオシレータ回路。
【0097】
(項目3)
前記第1抵抗と並列に接続された第3キャパシタをさらに備える、項目1に記載のオシレータ回路。
【0098】
(項目4)
前記電流源は、
第1端が接地された第2抵抗と、
前記第2抵抗の第2端と前記カレントミラー回路の前記入力ノードの間に接続された第1トランジスタと、
非反転入力ノードに基準電圧を受け、反転入力ノードが前記第2抵抗の前記第2端と接続されたオペアンプと、
を含む、項目1から3のいずれかに記載のオシレータ回路。
【0099】
(項目5)
前記第1抵抗および前記第2抵抗は、同じ素子構造を有する、項目4に記載のオシレータ回路。
【0100】
(項目6)
前記第1抵抗および前記第2抵抗はそれぞれ、
直列に接続される第1極性の温度特性を有する第1抵抗要素および第2極性の温度特性を有する第2抵抗要素と、
前記第2抵抗要素と並列に接続される前記第1極性の温度特性を有する第3抵抗要素と、
を含む、項目5に記載のオシレータ回路。
【0101】
(項目7)
前記第1抵抗および前記第2抵抗はそれぞれ、
直列に接続された、第1極性の温度特性を有する第1抵抗要素、第2抵抗要素、第3抵抗要素および第2極性の温度依存性を有する第4抵抗要素と、
前記第2極性の温度特性を有し、前記第2抵抗要素と並列に接続された第5抵抗要素と、
前記第2極性の温度特性を有し、前記第3抵抗要素と並列に接続された第6抵抗要素と、
を含む、項目5に記載のオシレータ回路。
【0102】
(項目8)
前記カレントミラー回路は、
ソースが電源ラインと接続され、ゲートおよびドレインが前記入力ノードと接続された第1PMOSトランジスタと、
ソースが前記電源ラインと接続され、ゲートが前記入力ノードと接続され、ドレインが前記第1出力ノードと接続された第2PMOSトランジスタと、
ソースが前記電源ラインと接続され、ゲートが前記入力ノードと接続され、ドレインが前記第2出力ノードと接続された第3PMOSトランジスタと、
を含む、項目1から7のいずれかに記載のオシレータ回路。
【0103】
(項目9)
前記カレントミラー回路は、前記第1PMOSトランジスタ、前記第2PMOSトランジスタ、前記第3PMOSトランジスタそれぞれのドレインと、前記入力ノード、前記第1出力ノード、前記第2出力ノードそれぞれとの接続関係を時分割で切り替え可能に構成される、項目8に記載のオシレータ回路。
【0104】
(項目10)
前記カレントミラー回路は、前記接続関係を巡回的に切り替える、項目9に記載のオシレータ回路。
【0105】
(項目11)
前記カレントミラー回路は、前記接続関係をランダムに切り替える、項目9に記載のオシレータ回路。
【0106】
(項目12)
前記定電流源は、PTAT(Proportional to Absolute Temperature)電流源である、項目1から11のいずれかに記載のオシレータ回路。
【0107】
(項目13)
前記ロジック回路は、インバータを含む、項目1から12のいずれかに記載のオシレータ回路。
【0108】
(項目14)
ひとつの半導体基板に一体集積化される、項目1から13のいずれかに記載のオシレータ回路。
【0109】
(項目15)
項目1から14のいずれかに記載のオシレータ回路と、
前記オシレータ回路が生成するクロック信号をカウントするカウンタと、
を備える、タイマー回路。
【0110】
本開示に係る実施形態について、具体的な用語を用いて説明したが、この説明は、理解を助けるための例示に過ぎず、本開示あるいは請求の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって規定されるものであり、したがって、ここでは説明しない実施形態、実施例、変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
1 システム
2 ホストコントローラ
4 機能ブロック
10 半導体集積回路
12 インタフェース回路
14 機能回路
100 オシレータ回路
110 定電流源
120 カレントミラー回路
IN 入力ノード
OUT1 第1出力ノード
OUT2 第2出力ノード
MP1 第1PMOSトランジスタ
MP2 第2PMOSトランジスタ
MP3 第3PMOSトランジスタ
C1 第1キャパシタ
C2 第2キャパシタ
C3 第3キャパシタ
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
SW3 第3スイッチ
SW4 第4スイッチ
SW5 第5スイッチ
SW6 第6スイッチ
R1 第1抵抗
R2 第2抵抗
Vr 基準電圧
130 比較回路
132 電圧コンパレータ
134 シュミットバッファ
140 ロジック回路
142,144 インバータ
150 リセット回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11