(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007743
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】光センシング装置、光センシングシステム及び光センシング方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109031
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】中村 翼
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA01
5J084BA04
5J084BA48
5J084BB28
5J084CA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】往復スキャン方式の原理に基づく点群密度のばらつきを低減することが可能な光センシング装置を提供すること。
【解決手段】本発明の光センシング装置は、対象物の少なくとも一部である照射対象物に向けてレーザ光を照射する光照射手段を回動させることにより、前記照射対象物の一端部と他端部の間に位置する中央部を通って、前記レーザ光の前記照射対象物への入射位置を前記照射対象物の一端部及び他端部の間で往復して移動させる制御手段と、
前記照射対象物からの前記レーザ光の反射光に基づいて、前記入射位置に応じた前記反射光の情報を取得する取得手段と、
前記反射光の情報に基づいて、前記照射対象物の点群データを生成する生成手段と、を備え、
前記制御手段は、前記入射位置が前記照射対象物の一端部又は他端部から前記中央部に移動した場合に、前記光照射手段が回動する速度を低下させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の少なくとも一部である照射対象物に向けてレーザ光を照射する光照射手段を回動させることにより、前記照射対象物の一端部と他端部の間に位置する中央部を通って、前記レーザ光の前記照射対象物への入射位置を前記照射対象物の一端部及び他端部の間で往復して移動させる制御手段と、
前記照射対象物からの前記レーザ光の反射光に基づいて、前記入射位置に応じた前記反射光の情報を取得する取得手段と、
前記反射光の情報に基づいて、前記照射対象物の点群データを生成する生成手段と、を備え、
前記制御手段は、前記入射位置が前記照射対象物の一端部又は他端部から前記中央部に移動した場合に、前記光照射手段が回動する速度を低下させる、光センシング装置。
【請求項2】
前記照射対象物上の前記中央部は、前記中央部の中心点を中心として第1の中央領域及び第2の中央領域を備え、
前記制御手段は、前記レーザ光が入射する前記入射位置が前記第1の中央領域及び前記第2の中央領域の間を移動した場合、前記光照射手段が回動する速度を増加させる、
請求項1に記載の光センシング装置。
【請求項3】
前記光照射手段は、一定の時間毎に前記レーザ光を照射する、請求項1または2に記載の光センシング装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記レーザ光が入射する前記入射位置が前記対象物の長手方向に沿って移動するように、前記光照射手段を回動させる請求項1または2に記載の光センシング装置。
【請求項5】
前記対象物は線路である請求項4に記載の光センシング装置。
【請求項6】
対象物の少なくとも一部である照射対象物に向けてレーザ光を照射する光照射手段を回動させることにより、前記照射対象物の一端部と他端部の間に位置する中央部を通って、前記レーザ光の前記照射対象物への入射位置を前記照射対象物の一端部及び他端部の間で往復して移動させる制御手段と、
前記照射対象物からの前記レーザ光の反射光に基づいて、前記入射位置に応じた前記反射光の情報を取得する取得手段と、
前記反射光の情報に基づいて、前記照射対象物の点群データを生成する生成手段と、を備え、
前記制御手段は、前記入射位置が前記照射対象物の一端部又は他端部から前記中央部に移動した場合に、前記光照射手段が回動する速度を低下させる、光センシングシステム。
【請求項7】
対象物の少なくとも一部である照射対象物に向けてレーザ光を照射する光照射手段を回動させることにより、前記照射対象物の一端部と他端部の間に位置する中央部を通って、前記レーザ光の前記照射対象物への入射位置を前記照射対象物の一端部及び他端部の間で往復して移動させ、
前記入射位置が前記照射対象物の一端部又は他端部から前記中央部に移動した場合に、前記光照射手段が回動する速度を低下させ、
前記照射対象物からの前記レーザ光の反射光に基づいて、前記入射位置に応じた前記反射光の情報を取得し、
前記反射光の情報に基づいて、前記照射対象物の点群データを生成する、光センシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、LiDAR(light detection and ranging)に関する光センシング装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、LiDAR技術を用いた光センシング装置(以下、「LiDAR装置」とも称する。)を用いて、長尺物体(例えば、鉄道線路の軌道)の点群データを取得する場合、長尺物体の側方にLiDAR装置が設置される。また、長尺物体の長手方向に沿うようにして、LiDAR装置から出力されるレーザ光の視線方向が回動される。これにより、長尺物体をスキャンするようにレーザ光が長尺物体に照射される。
【0003】
LiDAR装置は、一定の時間毎にレーザ光を出射する。このため、上記のように、LiDAR装置から出力されるレーザ光の視線方向が回動される場合、点群データにおける互いに隣接する各2点間の距離(以下「点間隔」又は「点群密度」という。)は、レーザ光の視線方向の回動速度(すなわち角速度)に応じて異なる。
【0004】
以下、LiDAR装置によるスキャンの対象となる範囲を「スキャン範囲」という。また、レーザ光の視線方向が360°未満(典型的には、180°未満)の所定の角度範囲の内部を往復するように回動することにより、当該所定の角度範囲がスキャン範囲となる方式を「往復スキャン方式」という。
【0005】
ここで、往復スキャン方式のLiDAR装置においては、レーザ光の視線方向を往復するように回動させる観点から、スキャン範囲の両端部における角速度に比して、スキャン範囲の中央部における角速度が高くなる。
【0006】
特許文献1には、波長変換部材に対して光を走査させるための走査手段として高反射率ミラー等の高重量の走査手段が用いられる場合も、所定の走査範囲においてレーザ光の走査速度が相対的に緩やかとなるように、光偏向器を適正かつ高精度に制御することが可能な光源装置およびそれを用いた投光装置が開示されている。
【0007】
また、本発明に関連する技術が、特許文献2―4にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2018/163885号
【特許文献2】特開2020-067405号
【特許文献3】特表2002-500762号
【特許文献4】特開2013-190272号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、往復スキャン方式のLiDAR装置においては、スキャン範囲の両端部の角速度が中央部の角速度よりも早くなることから、点群データを生成した際に点群密度がばらつくという問題があった。
【0010】
また、特許文献1に記載の技術は、前照灯の光量を制御する技術が開示されているのであって、往復スキャン方式の原理に基づく角速度の変動が考慮されていない。また、特許文献1に記載の技術には、前述の往復スキャン方式における回動速度を制御することにより、点群データの点群密度を制御する技術は開示されていない。すなわち、特許文献1の技術では、往復スキャン方式の原理に基づく点群密度のばらつきを低減することができないという問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、往復スキャン方式の原理に基づく点群密度のばらつきを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の光センシング装置は、
対象物の少なくとも一部である照射対象物に向けてレーザ光を照射する光照射手段を回動させることにより、前記照射対象物の一端部と他端部の間に位置する中央部を通って、前記レーザ光の前記照射対象物への入射位置を前記照射対象物の一端部及び他端部の間で往復して移動させる制御手段と、
前記照射対象物からの前記レーザ光の反射光に基づいて、前記入射位置に応じた前記反射光の情報を取得する取得手段と、
前記反射光の情報に基づいて、前記照射対象物の点群データを生成する生成手段と、を備え、
前記制御手段は、前記入射位置が前記照射対象物の一端部又は他端部から前記中央部に移動した場合に、前記光照射手段が回動する速度を低下させる。
【0013】
本発明の光センシング方法は、
対象物の少なくとも一部である照射対象物に向けてレーザ光を照射する光照射手段を回動させることにより、前記照射対象物の一端部と他端部の間に位置する中央部を通って、前記レーザ光の前記照射対象物への入射位置を前記照射対象物の一端部及び他端部の間で往復して移動させ、
前記入射位置が前記照射対象物の一端部又は他端部から前記中央部に移動した場合に、前記光照射手段が回動する速度を低下させ、
前記照射対象物からの前記レーザ光の反射光に基づいて、前記入射位置に応じた前記反射光の情報を取得し、
前記反射光の情報に基づいて、前記照射対象物の点群データを生成する。
【0014】
本発明の光センシングシステムは、
対象物の少なくとも一部である照射対象物に向けてレーザ光を照射する光照射手段を回動させることにより、前記照射対象物の一端部と他端部の間に位置する中央部を通って、前記レーザ光の前記照射対象物への入射位置を前記照射対象物の一端部及び他端部の間で往復して移動させる制御手段と、
前記照射対象物からの前記レーザ光の反射光に基づいて、前記入射位置に応じた前記反射光の情報を取得する取得手段と、
前記反射光の情報に基づいて、前記照射対象物の点群データを生成する生成手段と、を備え、
前記制御手段は、前記入射位置が前記照射対象物の一端部又は他端部から前記中央部に移動した場合に、前記光照射手段が回動する速度を低下させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、往復スキャン方式の原理に基づく点群密度のばらつきを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態における光センシングシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における光センシングシステムの詳細を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態における光センシングシステムの詳細を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態における光センシングシステムの詳細を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態における光センシングシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第2の実施形態における光センシングシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態における光センシングシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第1、第2の実施形態における光センシングシステム等を実現する情報処理装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
第1の実施形態における光センシングシステム1について、
図1、
図2、
図3、
図4及び
図5に基づき説明する。
図1は、光センシングシステム1の構成例を示すブロック図である。
図2、
図3及び
図4は、光センシングシステム1の詳細を説明するための図である。
図5は、光センシングシステム1の動作例を説明するためのフローチャート図である。
【0018】
光センシングシステム1の構成について説明する。
図1に示されるように、光センシングシステム1は、光源部10及び光センシング装置20を備える。なお、
図1において、光源部10及び光センシング装置20は別体に設けられているが、一体であっても良い。光源部10及び光センシング装置20は、互いに通信可能である。
【0019】
光源部10は、光照射手段11及び光受光手段13を備える。
【0020】
光照射手段11は、対象物500の少なくとも一部である照射対象物300にレーザ光を照射する。すなわち、照射対象物300は、対象物500の一部又は全部であって、光照射手段11によりレーザ光が照射される範囲をいう。また、レーザ光は、パルス状のレーザ光である。また、照射対象物300は、光照射手段11のスキャン範囲に対応する場所に設けられている。すなわち、光照射手段11は、対象物500の一部又は全部にレーザ光を照射できる場所に配置されている。例えば、光照射手段11は、
図2に示されるように、光源部10に設けられた光入出力端OIからレーザ光を照射する。これにより、照射されたレーザ光は、光路OPに沿って伝搬し、照射対象物300上の位置に入射する。以下、レーザ光が入射した位置を反射点RP又は入射位置とも称する。光路OPは、光入出力端OIと反射点RPとを結ぶ線分である。ここで、対象物とは、例えば線路や道路などの長尺の物体である。
【0021】
また、光受光手段13は、照射対象物300上の入射位置で反射されたレーザ光を受光する。以下、「照射対象物300で反射されたレーザ光」を「レーザ反射光」とする。例えば、光受光手段13は、
図2の例においては、照射対象物300の反射点RPからのレーザ反射光を、光路OP及び光入出力端OIを介して受光する。また、後述のようにレーザ光を照射対象物300に向けて照射する光照射手段11を回動させることで、光受光手段13は、異なる反射点RPからのレーザ反射光を取得することができる。
【0022】
次に、光センシング装置20について説明する。光センシング装置20は、制御手段21、取得手段22及び生成手段23を備える。なお、制御手段21、取得手段22及び生成手段23は、一つの装置に設けられていてもよいし、異なる装置に設けられていてもよい。
【0023】
制御手段21は、レーザ光を照射対象物300に向けて照射する光照射手段11を回動させる。すなわち、光照射手段11は、制御手段21により回動されながら、所定周期(例えば、1秒)のパルス状のレーザ光を照射対象物300に向けて照射する。これにより、レーザ光は、照射対象物300上の複数の位置で反射される。また、取得手段22は、レーザ光の反射光に基づいて、照射対象物300上の複数の位置に応じた反射光の情報を取得する。
【0024】
ここで、
図2をもちいて反射光の情報を説明する。
図2は、x軸及びy軸を含む平面上での光源部10と照射対象物300の位置関係を示すものである。なお、x軸及びy軸は、例えば、鉛直方向(z軸)に対して垂直な面(水平面)上に設定される。
【0025】
光照射手段11は、制御手段21により回動されることにより、任意の角度θでレーザ光を照射できる。例えば、角度θは、
図2に示されるように、xy平面上に設定された基準線Lと、光路OPによって形成される角の角度である。
図2に示される例においては、基準線Lは、光源部10から照射対象物300に向かって伸びる直線である。制御手段21は、不図示のジャイロセンサなどにより、角度θを検出できる。光照射手段11が回動する角度θは、光照射手段11から出射されるレーザ光が照射対象物300上に入射するように、予め設定されている。
【0026】
取得手段22は、光照射手段11によりレーザ光が照射されてから、光受光手段13によりレーザ反射光が受光されるまでの時間から光路OPの長さを求める。以下、「光受光手段13によりレーザ反射光が受光されるまでの時間」を「時間t」とする。具体的には、光路OPの長さは、時間tに光速を乗じた値を2で除することにより求められる。取得手段22は、光路OPの長さにsinγを乗じることで、xy平面上に投影された光路OPの線分D1の長さを算出する。ここで、γは、z軸と光路OPとがなす角度である。
【0027】
取得手段22は、線分D1の長さにsinθを乗じることで、光入出力端OIのx座標と反射点RPのx座標の差(
図4におけるD2)を求める。これにより、取得手段22は、反射点RPの相対位置を、角度θと対応付けて記憶する。また、取得手段22は、基準線L上の基準点SPの絶対位置を予め記憶していてもよい。この場合、これにより、取得手段22は、反射点RPの相対位置と基準点SPの絶対位置から反射点RPの絶対位置を取得し、角度θと対応付けて記憶してもよい。
【0028】
前述の反射光の情報とは、相対位置及び絶対位置に関する位置情報であってもよい。また、反射光の情報とは、反射光の強度の情報であってもよい。前述のように、制御手段21は、角度θを変化させるように光照射手段11を回動することにより、レーザ光は異なる位置の反射点RPに入射する。光照射手段11は、一定の時間毎にレーザ光を照射することにより、照射対象物300上の複数の反射点RPからの反射レーザ光を受光する。これにより、取得手段22は、照射対象物300内の複数の反射点RPごとに、相対位置または絶対位置を取得できる。このように、取得手段22は、レーザ光の反射光に基づいて、複数の照射対象物300上の位置に応じた反射光の情報を取得する。
【0029】
なお、取得手段22は、更に、複数の照射対象物300上の位置に応じた反射光の強度を光受光手段13から取得してもよい。照射対象物300が線路の場合、破損箇所では光が散乱しやすいため、破損箇所からの反射レーザ光の強度は低くなる。そのため、取得手段22は、強度が閾値よりも低い位置がある場合、当該位置を破損箇所として特定してもよい。
【0030】
次に、
図3及び
図4を用いて、制御手段21の詳細について説明する。
図3は、照射対象物300の詳細を示す図である。
図3に示されるように、照射対象物300は、一端部310、他端部320及び中央部330を備える。照射対象物300上の中央部330は、第1の中央領域340及び第2の中央領域350を備える。中央部330は、一端部310と他端部320の間に位置する。
【0031】
制御手段21は、前述のように、レーザ光を対象物に向けて照射する光照射手段11を回動させる。これにより、制御手段21は、照射対象物300上の一端部310と他端部320の間に位置する中央部330を通って、レーザ光が入射する位置を一端部310から他端部320まで移動させる。この移動を繰り返すことにより、制御手段21は、レーザ光の照射対象物300への入射位置を照射対象物300の一端部310及び他端部320の間で往復して移動させる。例えば、
図3に示される例において、光照射手段11は、一端部310からレーザ光を照射した場合、反射点RP1から反射点RP13にレーザ光を入射する。その後、光照射手段11は、中央部330を通って、レーザ光が入射する位置を他端部320から一端部310まで移動させる。続いて、
図3に示される例において、光照射手段11は、反射点RP13から反射点RP1にレーザ光を入射する。このように、制御手段21は、レーザ光が入射する位置が対象物500又は照射対象物300の長手方向に沿って移動するように、光照射手段11を回動させる。
【0032】
次に、
図4を用いて、制御手段21が光照射手段11を回動させる速度について説明する。
図4に記載のグラフは、回動させる速度(「角速度」ともいう。)と角度θとの関係を示す。
図4の例において、角度θが-θ2から+θ2の間の角度である場合、光照射手段11は、中央部330に対してレーザ光を出射する。また、角度θが-θ1から-θ2の間の角度である場合、光照射手段11は、一端部310に対してレーザ光を出射する。また、角度θが+θ2から+θ1の間の角度である場合、光照射手段11は、他端部320に対してレーザ光を出射する。
【0033】
なお、中央部330、一端部310及び他端部320の各々と角度θとは予め対応づけられているものとする。例えば、スキャン範囲である照射対象物300の中心点のX座標を0、スキャン範囲の各端点のX座標を-L/2及び+L/2としたとき、所定の係数αについて、|X|<α*L/2 の条件を満たす範囲を「中央部」に設定する。ここで、係数αは、例えば、α={0.1,0.75}の範囲内の値に設定される。なお、中央部330、一端部310及び他端部320の各々と角度θの対応関係は、その他の方法によって設定されてもよい。本説明において中心点とは、基準点SPである。
【0034】
また、例えば、制御手段21は、角度が0の状態から-θ2又は+θ2に向けて光照射手段11を回動する場合、角度θが-θ2又は+θ2に達するまで角速度を増加させ続ける。また、制御手段21は、角度が+θ2の状態から+θ1に向けて光照射手段11を回動する場合、角度θが+θ1に達するまで角速度を減少させ続ける。このように、制御手段21は、レーザ光が入射する入射位置が、一端部310又は他端部320から中央部330に移動した場合に、光照射手段11が回動する速度を低下させる。
【0035】
また、
図4の例においては、制御手段21は、レーザ光を入射させる位置が第1の中央領域及び第2の中央領域の間を移動した場合、光照射手段11が回動する速度を増加させる。具体的には、制御手段21は、角度θが0と-θ2の間の角度である状態から光照射手段11を0と+θ2の間の角度に回動する場合、角速度を増加させる。また、制御手段21は、角度θが0と+θ2の間の角度である状態から光照射手段11を0と-θ2の間の角度に回動する場合、角速度を増加させる。
【0036】
なお、レーザ光が入射する入射位置が、一端部310又は他端部320から中央部330に移動した場合に、制御手段21は光照射手段11が回動する速度を低下させると説明した。
図4の例において、制御手段21は、角速度を低下させた後に角度θが0を超えると角速度を増加しているが、増加させるタイミングはこれに限らない。また、制御手段21は、角度θが-θ2から+θ2の間に速度の増加と低下を一回ずつ行っているが、複数回行ってもよい。
【0037】
生成手段23は、レーザ光が反射した複数の位置のうち、照射対象物300上の入射位置に対応する点の集合である点群データを生成する。例えば、点群データは3次元モデルである。生成手段23は、取得手段22が取得した反射点RPの位置情報に基づいて、複数の反射点RPを3次元モデル上にプロットすることにより、照射対象物300の形状を示すモデルを生成する。
【0038】
次に、
図5を用いて光センシングシステム1による光センシング方法を説明する。
図5は、光センシングシステム方法を示すフローチャートである。
【0039】
制御手段21は、光照射手段11の角度θを調整する(S101)。例えば、制御手段21は、角度θが-θ1になるように、光照射手段11を回動させる。
【0040】
光源部10の光照射手段11は、レーザ光を照射する(S102)。これにより、レーザ光は、照射対象物300の反射点RPで反射される。
【0041】
光源部10の光受光手段13は、レーザ反射光を受光する(S103)。取得手段22は、前述のように、反射点RPの相対位置と基準点SPの絶対位置から反射点RPの絶対位置を取得し、角度θと対応付けて記憶してもよい。また、取得手段22は、更に、照射対象物300上の複数の位置に応じた反射光の強度を光受光手段13から取得してもよい。このように、取得手段22は、レーザ光の反射光に基づいて、照射対象物300上の複数の位置に応じた反射光の情報を取得する。
【0042】
制御手段21は、光照射手段11を回動させる(S104)。この際、制御手段21は、光照射手段11が傾く角度(
図2中のθ)及び光照射手段11が回動する方向を参照して、
図4に示されるように回動する速度を決定する。なお、制御手段21は、レーザ光が入射する位置が、一端部310又は他端部320から中央部330に移動した場合に、光照射手段11が回動する速度を低下させる。
【0043】
制御手段21は、所定の時間が経過したかどうかを判断する(S105)。具体的には、制御手段21は、S101の処理を行ってからS105の処理を行うまでの時間が所定時間を経過したかどうかを判断する。所定時間とは、例えば30分や1時間である。所定の時間が経過していない場合、制御手段21は、S102の処理を行う。また、所定の時間が経過している場合、制御手段21は、S106の処理を行う。
【0044】
取得手段22は、反射光の情報を取得する(S106)。具体的には、取得手段22は、レーザ光の反射光に基づいて、照射対象物300上の複数の位置のうち、レーザ光が反射した位置の位置情報を取得する。
【0045】
生成手段23は、点群データを生成する(S107)。具体的には、生成手段23は、レーザ光が反射した複数の位置のうち、照射対象物300上の位置に対応する点の集合である点群データを生成する。
【0046】
以上のように、光センシングシステム1は、制御手段21、取得手段22及び生成手段23を備える。制御手段21は、対象物の少なくとも一部である照射対象物300に向けてレーザ光を照射する光照射手段11を回動させることにより、照射対象物300の一端部310と他端部320の間に位置する中央部330を通って、レーザ光の照射対象物300への入射位置を照射対象物300の一端部310及び他端部320の間で往復して移動させる。また、取得手段22は、照射対象物300からのレーザ光の反射光に基づいて、入射位置に応じた反射光の情報を取得する。また、生成手段23は、反射光の情報に基づいて、前記照射対象物の点群データを生成する。また、制御手段21は、入射位置が照射対象物300の一端部310又は他端部320から中央部330に移動した場合に、光照射手段11が回動する速度を低下させる。
【0047】
光センシングシステム1においては、光照射手段11が回動する速度は、レーザ光が入射する位置が、一端部310又は他端部320から中央部330に移動した場合に低下する。そのため、一般的な往復スキャン方式のLiDAR装置における、スキャン範囲の両端部の角速度が中央部の角速度よりも早くなることから、点群データを生成した際に点群密度がばらつくという問題を抑制できる。
【0048】
<第2の実施形態>
第2の実施形態における光センシングシステム2について、
図6に基づき説明する。
図6は、光センシングシステム2の構成例を示すブロック図である。
【0049】
光センシングシステム2の構成について説明する。
図6に示されるように、光センシングシステム2は、制御手段21、取得手段22及び生成手段23を備える。
【0050】
制御手段21は、対象物の少なくとも一部である照射対象物に向けてレーザ光を照射する光照射手段を回動させることにより、照射対象物の一端部と他端部の間に位置する中央部を通って、レーザ光の照射対象物への入射位置を照射対象物の一端部及び他端部の間で往復して移動させる。また、取得手段22は、照射対象物からのレーザ光の反射光に基づいて、入射位置に応じた前記反射光の情報を取得する。また、生成手段23は、反射光の情報に基づいて、対象物の点群データを生成する。また、制御手段21は、入射位置が照射対象物の一端部又は他端部から中央部に移動した場合に、光照射手段が回動する速度を低下させる。
【0051】
次に、
図7に基づいて、光センシングシステム2の動作について説明する。
図7は、光センシングシステム2の光センシング方法を示すフローチャートである。制御手段21は、対象物の少なくとも一部である照射対象物に向けてレーザ光を照射する光照射手段を回動させることにより、照射対象物の一端部と他端部の間に位置する中央部を通って、レーザ光の照射対象物への入射位置を照射対象物の一端部及び他端部の間で往復して移動させる(S201)。制御手段21は、入射位置が照射対象物の一端部又は他端部から中央部に移動した場合に、光照射手段が回動する速度を低下させる(S202)。取得手段22は、照射対象物からのレーザ光の反射光に基づいて、入射位置に応じた前記反射光の情報を取得する(S203)。生成手段23は、反射光の情報に基づいて、照射対象物の点群データを生成する(S204)。
【0052】
以上のように、光センシングシステム2は、制御手段21、取得手段22及び生成手段23を備える。制御手段21は、対象物の少なくとも一部である照射対象物に向けてレーザ光を照射する光照射手段11を回動させることにより、照射対象物の一端部と他端部の間に位置する中央部を通って、レーザ光の照射対象物への入射位置を照射対象物の一端部及び他端部の間で往復して移動させる。また、取得手段22は、照射対象物からのレーザ光の反射光に基づいて、入射位置に応じた反射光の情報を取得する。また、生成手段23は、反射光の情報に基づいて、照射対象物の点群データを生成する。また、制御手段21は、入射位置が照射対象物の一端部又は他端部から中央部に移動した場合に、光照射手段11が回動する速度を低下させる。
【0053】
光センシングシステム2においては、光照射手段が回動する速度は、レーザ光が入射する位置が、一端部又は他端部から中央部に移動した場合に低下する。そのため、一般的な往復スキャン方式のLiDAR装置における、スキャン範囲の両端部の角速度が中央部の角速度よりも早くなることから、点群データを生成した際に点群密度がばらつくという問題を抑制できる。
【0054】
また、各装置又はシステムの各構成要素の一部又は全部は、例えば
図8に示すような情報処理装置2000とプログラムとの任意の組み合わせにより実現される。
図8は、光センシングシステム1、2等を実現する情報処理装置の一例を示す図である。情報処理装置2000は、一例として、以下のような構成を含む。
【0055】
・CPU(Central Processing Unit)2001
・ROM(Read Only Memory)2002
・RAM(Random Access Memory)2003
・RAM2003にロードされるプログラム2004
・プログラム2004を格納する記憶装置2005
・記録媒体2006の読み書きを行うドライブ装置2007
・通信ネットワーク2009と接続する通信インターフェース2008
・データの入出力を行う入出力インターフェース2010
・各構成要素を接続するバス2011
各実施形態における各装置の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム2004をCPU2001が取得して実行することで実現される。各装置の各構成要素の機能を実現するプログラム2004は、例えば、予め記憶装置2005やRAM2003に格納されており、必要に応じてCPU2001が読み出す。なお、プログラム2004は、通信ネットワーク2009を介してCPU2001に供給されてもよいし、予め記録媒体2006に格納されており、ドライブ装置2007が当該プログラムを読み出してCPU2001に供給してもよい。
【0056】
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、各装置は、構成要素毎にそれぞれ別個の情報処理装置2000とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つの情報処理装置2000とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0057】
また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、プロセッサ等を含む汎用または専用の回路 (circuitry)や、これらの組み合わせによって実現される。これらは、単一のチップ によって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップ によって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0058】
各装置の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0059】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0060】
1、2 光センシングシステム
10 光源部
11 光照射手段
12 光受光手段
20 光センシング装置
21 制御手段
22 取得手段
23 生成手段
300 照射対象物
310 一端部
320 他端部
330 中央部
340 第1の中央領域
350 第2の中央領域