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特開2024-77430制御システム、送信装置、制御装置および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077430
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】制御システム、送信装置、制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/00 20060101AFI20240531BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240531BHJP
   B66C 13/40 20060101ALI20240531BHJP
   G05D 1/00 20240101ALI20240531BHJP
【FI】
B66C13/00 E
H04Q9/00 301Z
B66C13/40 D
G05D1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189524
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】新 佑太郎
(72)【発明者】
【氏名】小貫 由樹雄
(72)【発明者】
【氏名】川端 馨
(72)【発明者】
【氏名】平林 照司
【テーマコード(参考)】
5H301
5K048
【Fターム(参考)】
5H301BB06
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD15
5H301EE02
5K048AA05
5K048BA21
5K048BA48
5K048DC01
5K048EB02
(57)【要約】
【課題】遠隔操作であっても複雑なごみクレーン操作に対応することが可能な技術を提供する。
【解決手段】送信装置(1)は、ごみクレーン(3)の操作量を入力する操作入力部(11)と、操作量に対応する操作信号を、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換し、当該拡張トーン信号をごみクレーン制御装置(2)へ送信する送信部と、を備える。ごみクレーン制御装置(2)は、送信装置(1)から拡張トーン信号を受信し、当該拡張トーン信号を操作信号に変換する受信部(22)と、当該操作信号に応じてごみクレーン(3)を制御するごみクレーン制御部(23)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象を制御する制御装置と、当該制御対象を操作する送信装置と、を備えた制御システムであって、
前記送信装置は、
前記制御対象の操作量を入力する操作入力部と、
前記操作量に対応する操作信号を、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換し、当該拡張トーン信号を前記制御装置へ送信する送信部と、を備え、
前記制御装置は、
前記送信装置から前記拡張トーン信号を受信し、当該拡張トーン信号を前記操作信号に変換する受信部と、
前記操作信号に応じて前記制御対象を制御する制御部と、
を備える制御システム。
【請求項2】
前記送信部は、広域通信網を介して、音声通話によって前記制御対象を遠隔操作するための前記拡張トーン信号を前記制御装置へ送信する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御対象は、ごみクレーンである、
請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記操作信号は、
前記ごみクレーンのバケットを地面に対して水平方向に移動させるための第1の操作信号と、
前記バケットを地面に対して垂直方向に移動させるための、および前記バケットを開閉させるための第2の操作信号と、を含み、
前記送信部は、
前記第1の操作信号を第1の拡張トーン信号に変換し、第1の通信経路を介して当該第1の拡張トーン信号を前記制御装置へ送信する第1の送信部と、
前記第2の操作信号を第2の拡張トーン信号に変換し、前記第1の通信経路とは異なる第2の通信経路を介して当該第2の拡張トーン信号を前記制御装置へ送信する第2の送信部と、
を含む、請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記送信部は、前記操作入力部による操作入力がない場合、無操作に対応する操作信号を前記拡張トーン信号に変換し、当該拡張トーン信号を前記制御装置へ送信する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
制御対象を操作するための送信装置であって、
前記制御対象の操作量を入力する操作入力部と、
前記操作量に対応する操作信号を、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換し、当該拡張トーン信号を前記制御対象を制御するための制御装置へ送信する送信部と、
を備える送信装置。
【請求項7】
制御対象を制御する制御装置であって、
前記制御対象の操作量に対応する操作信号が、送信装置によって、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換されて、前記送信装置から当該拡張トーン信号を受信し、当該拡張トーン信号を前記操作信号に変換する受信部と、
前記操作信号に応じて前記制御対象を制御する制御部と、
を備える制御装置。
【請求項8】
制御対象を制御するための制御方法であって、
前記制御対象の操作量を入力する工程と、
前記操作量に対応する操作信号を、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換する工程と、
前記拡張トーン信号を前記操作信号に変換し、当該操作信号に応じて前記制御対象を制御する工程と、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、送信装置、制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、焼却炉において、搬入量やごみピット残量などのごみの搬入管理条件の変化、災害ごみの受入れなど、運転員による手動介入に頼らざるを得ない状況がある。
【0003】
また、昨今のコロナ禍のような状況によっては通常の運転体制が確保できないことも予想される。
【0004】
そこで、限られた人員であっても通常の運転を行えるよう、遠隔地からごみピットとごみクレーンの管理・運転を行うことで現場自動運転をバックアップし、非常時には現場に代わってこれらの管理・運転を行うことが求められている。
【0005】
これに関連する技術として、下記の特許文献1および特許文献2に開示された発明がある。
【0006】
特許文献1には、作業現場に設置されたクレーンを遠隔制御するクレーンの遠隔制御装置が開示されている。このクレーンの遠隔制御装置は、操作盤からの操作信号に示されたクレーンの動作の実行の可否を判別し、実行可と判別したときにクレーンを駆動させる駆動部を制御して、操作信号に示された動作をクレーンに行わせる。
【0007】
特許文献2には、被駆動物の動作を制御する制御装置が開示されている。この制御装置は、被駆動物の動作を制御するための情報を検出し、検出信号として出力する検出手段、及び検出信号をトーン信号に変換して送信する送信手段を含む検出部と、トーン信号を受信し、所定の信号に変換して送出する受信手段、及び受信手段から送出された信号に従って被駆動物の動作を決定し、その動作を行わせるための制御信号を出力する制御信号出力部を含む制御部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4-298488号(1992年10月22日公開)
【特許文献2】特開平6-83401号(1994年3月25日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、遠隔からごみクレーンの操作信号を送信する場合、ごみクレーン操作信号の遅れがそのままごみクレーン制御の遅れとなり、場合によっては事故を誘発しかねない。また、ごみクレーンを操作するためのごみクレーン操作卓には、ごみクレーンの横行・走行用の操作卓と、ごみクレーンのバケットの巻上・開閉用の操作卓とがあり、複雑なごみクレーン操作に対応した遠隔操作の仕組みを構築する必要がある。上述の特許文献1および特許文献2に開示された発明を用いたとしても、このような問題点を解決することはできない。
【0010】
本発明の一態様は、遠隔操作であっても複雑なごみクレーン操作に対応することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御システムは、制御対象を制御する制御装置と、当該制御対象を操作する送信装置と、を備えた制御システムであって、前記送信装置は、前記制御対象の操作量を入力する操作入力部と、前記操作量に対応する操作信号を、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換し、当該拡張トーン信号を前記制御装置へ送信する送信部と、を備え、前記制御装置は、前記送信装置から前記拡張トーン信号を受信し、当該拡張トーン信号を前記操作信号に変換する受信部と、当該操作信号に応じて前記制御対象を制御する制御部と、を備える。
【0012】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る送信装置は、制御対象を操作するための送信装置であって、前記制御対象の操作量を入力する操作入力部と、前記操作量に対応する操作信号を、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換し、当該拡張トーン信号を前記制御対象を制御するための制御装置へ送信する送信部と、を備える。
【0013】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御装置は、制御対象を制御する制御装置であって、前記制御対象の操作量に対応する操作信号が、送信装置によって、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換されて、前記送信装置から当該拡張トーン信号を受信し、当該拡張トーン信号を前記操作信号に変換する受信部と、当該操作信号に応じて前記制御対象を制御する制御部と、を備える。
【0014】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、制御対象を制御するための制御方法であって、前記制御対象の操作量を入力する工程と、前記操作量に対応する操作信号を、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換する工程と、前記拡張トーン信号を前記操作信号に変換し、当該操作信号に応じて前記制御対象を制御する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、遠隔操作であっても複雑なごみクレーン操作に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る制御システムの構成例を示すブロック図である。
図2】ごみクレーン制御装置側の横行・走行操作卓および巻上・開閉操作卓の一例を示す図である。
図3】トーン信号の拡張例を示す図である。
図4】横行・走行操作信号および巻上・開閉操作信号を拡張トーン信号に変換する場合を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態に係る送信装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係るごみクレーン制御装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<制御システムの構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係る制御システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、制御システム100は、送信装置1と、ごみクレーン制御装置2と、ごみクレーン3と、を含む。なお、本実施形態においては、送信装置1がごみクレーン3を制御する場合について説明するが、制御対象はごみクレーンに限定されるものではなく、遠隔操作が可能な装置やシステムであれば、どのようなものであっても構わない。
【0018】
上述のように、ごみクレーン操作信号の遅れはそのままごみクレーン制御の遅れとなる。そのため、インターネット等の広域通信網を経由するベストエフォート型のネットワークでは帯域保証がないことや、リアルタイム性を確保するには対策が大掛かりになる等の理由から、送信装置1と、ごみクレーン制御装置2との間の通信は、VoLTE(Voice over LTE(Long Term Evolution))で行うこととした。VoLTEは、以下のような利点を有している。
【0019】
(1)低遅延で帯域保証がある
(2)強固なセキュリティ(1対1で回線を確立)を有する
(3)通信回線切断が瞬時に把握できる
(4)可搬性がある(遠隔操作の場所を選ばない)。
【0020】
遠隔運転においても目視で操作を行うため、操作対象となるごみクレーンとごみピットの映像は必須である。現場運転員が操作する際の視点と同等の映像が得られるよう、ごみクレーン操作卓付近にIPカメラを設置する。また、ごみピット上部からバケットの位置を確認できるようにランウェイガーダ下にもIPカメラを設置する。なお、IPカメラはマイク付きであり、遠隔でごみクレーンの動作音、ごみの落下音などを聞きながら操作することができる。
【0021】
IPカメラの映像は、インターネット等の広域通信網を経由して遠隔から監視可能である。しかしながら、カメラ映像は二次元であるため、奥行きの情報が欠落してしまう場合がある。このため、IPカメラの設置場所、監視モニタの配置については、遠隔運転員が複数のカメラ映像を同時に見ることでバケットの位置を正確に把握することができる。
【0022】
送信装置1は、操作入力部11と、送信部12と、LTE通信モジュール13-1および13-2と、を含む。操作入力部11は、ごみクレーン制御装置2の横行・走行操作卓26および巻上・開閉操作卓27に対応した入力が可能な入力装置であり、例えば、次の項目を要件とし、ゲーム用コントローラ等を用いることが可能である。なお、操作入力部11として、横行・走行操作卓26および巻上・開閉操作卓27と同様の操作感がある据置型の操作盤を用いるようにしてもよい。
【0023】
(1)すべてのごみクレーン操作が可能
(2)誰もが使いやすい(直感的操作が可能)
(3)耐久性、メンテナンス性が良い
(4)可搬性がある(遠隔操作の場所を選ばない)。
【0024】
図2は、ごみクレーン制御装置2側の横行・走行操作卓26および巻上・開閉操作卓27の一例を示す図である。図2の左図は、横行・走行操作卓26の一例を示しており、操作レバーを倒した方向へ、倒した操作量(1~3ノッチ)に応じた速度でごみクレーンが動作する。例えば、現場運転員が横行・走行操作卓26の操作レバーを「前」の「3」まで倒すと、ごみクレーンが3ノッチの速度で前方向に移動する。同様に、現場運転員が横行・走行操作卓26の操作レバーを「左」の「2」まで倒すと、ごみクレーンが2ノッチの速度で左方向に移動する。
【0025】
図2の右図は、巻上・開閉操作卓27の一例を示しており、操作レバーを前後に倒した場合、倒した操作量(1~3ノッチ)に応じた速度でごみクレーンのバケットが巻上動作または巻下動作を行う。例えば、現場運転員が巻上・開閉操作卓27の操作レバーを「巻下」の「3」まで倒すと、ごみクレーンのバケットが3ノッチの速度で巻下方向に移動する。また、現場運転員が巻上・開閉操作卓27の操作レバーを「開」に倒すと、ごみクレーンのバケットがその位置で開動作を行う。
【0026】
再び図1の説明に戻る。遠隔運転員が操作入力部11を操作することにより、横行・走行操作卓26および巻上・開閉操作卓27を操作したときと同様の操作信号を生成し、生成した操作信号を送信部12へ出力する。ここで、横行・走行操作卓26を操作したときと同様の操作信号を第1の操作信号(横行・走行操作信号)と呼び、巻上・開閉操作卓27を操作したときと同様の操作信号を第2の操作信号(巻上・開閉操作信号)と呼ぶことにする。
【0027】
送信部12は、操作入力部11から第1の操作信号および第2の操作信号を受けると、第1の操作信号および第2の操作信号を、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した信号(以下、拡張トーン信号と呼ぶことにする。)に変換する。そして、送信部12は、第1の操作信号を変換した第1の拡張トーン信号をLTE通信モジュール13-1へ出力し、第2の操作信号を変換した第2の拡張トーン信号をLTE通信モジュール13-2へ出力する。
【0028】
トーン信号は、DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)によって高音域および低音域の2つの音声周波数帯域の合成信号音として生成された信号であり、0~9までの数字と、#、*、A、B、C、Dの記号との合計16種類の符号を表すことが可能な信号群である。日本では、総務省令、端末設備等規則第12条第2号に規定されている。
【0029】
図3は、トーン信号の拡張例を示す図である。図3においては、従来の16種類のトーン信号を、64種類の拡張トーン信号に拡張している。従来のトーン信号では、低音域として697、770、852、941Hzの4種類を使用しているが、本実施形態では、低音域として467、547、619、1041Hzを追加し、8種類の低音域を使用することができるようにしている。
【0030】
また、従来のトーン信号では、高音域として1209、1336、1477、1633Hzの4種類を使用しているが、本実施形態では、高音域として1807、1997、2207、2439Hzを追加し、8種類の高音域を使用することができるようにしている。
【0031】
図4は、横行・走行操作信号および巻上・開閉操作信号を拡張トーン信号に変換する場合を説明するための図である。図4の上図は、横行・走行操作信号を第1の拡張トーン信号に変換した場合を示している。例えば、遠隔運転員が操作入力部11を操作して、図2の左図に示す横行・走行操作卓26の操作レバーを「前」の「3」に倒すのと同様の操作を行った場合、この横行・走行操作信号が、「d」に対応する第1の拡張トーン信号に変換される。
【0032】
同様に、遠隔運転員が操作入力部11を操作して、図2の左図に示す横行・走行操作卓26の操作レバーを「右」の「2」に倒すのと同様の操作を行った場合、この横行・走行操作信号が、「F」に対応する第1の拡張トーン信号に変換される。なお、図4の上図において、使用していない拡張トーン信号には別の操作を割り当てるようにしてもよい。
【0033】
また、図4の下図は、巻上・開閉操作信号を第2の拡張トーン信号に変換した場合を示している。例えば、遠隔運転員が操作入力部11を操作して、図2の右図に示す巻上・開閉操作卓27の操作レバーを「巻下」の「3」に倒すのと同様の操作を行った場合、この巻上・開閉操作信号が、「b」に対応する第2の拡張トーン信号に変換される。
【0034】
同様に、遠隔運転員が操作入力部11を操作して、図2の右図に示す巻上・開閉操作卓27の操作レバーを「開」に倒すのと同様の操作を行った場合、この巻上・開閉操作信号が、「3」に対応する第2の拡張トーン信号に変換される。なお、図4の下図において、使用していない拡張トーン信号には別の操作を割り当てるようにしてもよい。
【0035】
再び図1の説明に戻る。LTE通信モジュール13-1は、送信部12から第1の拡張トーン信号を受けると、VoLTEを用いてごみクレーン制御装置2へ第1の拡張トーン信号を送信する。また、LTE通信モジュール13-2は、送信部12から第2の拡張トーン信号を受けると、VoLTEを用いてごみクレーン制御装置2へ第2の拡張トーン信号を送信する。ここで、横行・走行操作信号に対応する第1の拡張トーン信号と、巻上・開閉操作信号に対応する第2の拡張トーン信号とを同時に送信する必要があるため、2系統の通信経路を用いて2つの拡張トーン信号を別々に送信するようにしている。
【0036】
ごみクレーン制御装置2は、LTE通信モジュール21-1および21-2と、受信部22と、ごみクレーン制御部23と、自動運転部25と、横行・走行操作卓26と、巻上・開閉操作卓27とを含む。また、ごみクレーン制御部23は、PLC(Programmable Logic Controller)231と、走行用VVVF(Variable Voltage Variable Frequency control)232と、横行用VVVF233と、巻上用VVVF234とを含む。
【0037】
LTE通信モジュール21-1は、VoLTEを用いて送信装置1から第1の拡張トーン信号を受信し、第1の拡張トーン信号を受信部22へ出力する。LTE通信モジュール21-2は、VoLTEを用いて送信装置1から第2の拡張トーン信号を受信し、第2の拡張トーン信号を受信部22へ出力する。
【0038】
受信部22は、LTE通信モジュール21-1および21-2から第1の拡張トーン信号および第2の拡張トーン信号を受け、横行・走行操作信号(第1の操作信号)および巻上・開閉操作信号(第2の操作信号)に変換し、横行・走行操作信号および巻上・開閉操作信号をPLC231へ出力する。
【0039】
自動運転部25は、ごみクレーン3の自動運転時に、PLC231に対して自動運転に対応する各種操作信号を出力するが、本発明との関連性は少ないため、ここでの詳細な説明は行わない。
【0040】
横行・走行操作卓26は、図2を用いて説明したように、現場運転員による操作に応じて横行・走行操作信号を生成し、PLC231へ出力する。また、巻上・開閉操作卓27は、図2を用いて説明したように、現場運転員による操作に応じて巻上・開閉操作信号を生成し、PLC231へ出力する。
【0041】
PLC231は、LTE通信モジュール21-1、自動運転部25または横行・走行操作卓26から受けた横行・走行操作信号を解析し、解析結果に応じて走行用VVVF232および横行用VVVF233を制御する。
【0042】
また、PLC231は、LTE通信モジュール21-2、自動運転部25または巻上・開閉操作卓27から受けた巻上・開閉操作信号を解析し、解析結果に応じて巻上用VVVF234を制御する。
【0043】
ごみクレーン3は、走行モータ31と、横行モータ32と、巻上モータ33と、を備えている。走行用VVVF232は、インバータ装置等によって構成されており、直流電力を交流電力に変換し、その出力交流電力の実効電圧と周波数とを任意に制御することによって走行モータ31を駆動する。
【0044】
また、横行用VVVF233は、インバータ装置等によって構成されており、直流電力を交流電力に変換し、その出力交流電力の実効電圧と周波数とを任意に制御することによって横行モータ32を駆動する。
【0045】
同様に、巻上用VVVF234は、インバータ装置等によって構成されており、直流電力を交流電力に変換し、その出力交流電力の実効電圧と周波数とを任意に制御することによって巻上モータ33を駆動する。なお、巻上モータ33は、ごみクレーンのバケットの開閉動作も行う。
【0046】
<送信装置1の処理手順>
図5は、本発明の一実施形態に係る送信装置1の処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、操作入力部11は、遠隔運転員によるごみクレーン3の遠隔操作があるか否かを判定する(S11)。遠隔運転員によるごみクレーン3の遠隔操作がなければ(S11,No)、送信部12は、無操作(0ノッチ)に対応するごみクレーン操作信号を生成し(S15)、ステップS12に処理が進む。
【0047】
遠隔運転員によるごみクレーン3の遠隔操作があれば(S11,Yes)、送信部12は、操作入力部11から受けたごみクレーン操作信号(横行・走行操作信号、巻上・開閉操作信号)を、拡張トーン信号(第1の拡張トーン信号、第2の拡張トーン信号)に変換する(S12)。また、送信部12は、無操作に対応するごみクレーン操作信号であれば、無操作に対応する拡張トーン信号(第1の拡張トーン信号、第2の拡張トーン信号)に変換する。
【0048】
そして、送信部12は、第1の拡張トーン信号をLTE通信モジュール13-1に出力し、第2の拡張トーン信号をLTE通信モジュール13-2に出力する。そして、LTE通信モジュール13-1および13-2は、第1の拡張トーン信号および第2の拡張トーン信号を2系統に分けてごみクレーン制御装置2へ送信する(S13)。
【0049】
最後に、送信装置1による処理を終了するか否かを判定する(S14)。送信装置1が処理を終了しない場合(S14,No)、ステップS11に戻って以降の処理を繰り返す。また、送信装置1が処理を終了する場合(S14,Yes)、そのまま処理を終了する。
【0050】
<送信装置1の効果>
以上説明したように、本実施形態に係る送信装置1によれば、送信部12が、操作入力部11から第1の操作信号および第2の操作信号を受けると、第1の操作信号および第2の操作信号を、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換する。したがって、複雑なごみクレーン操作に対応したトーン信号を生成して、ごみクレーン制御装置2へ送信することができる。
【0051】
また、送信部12は、広域通信網を介して、音声通話(VoLTE)によってごみクレーン3を遠隔操作するための拡張トーン信号をごみクレーン制御装置2へ送信する。したがって、ごみクレーン操作信号の遅延を減らすことができ、ごみクレーン制御の遅れを削減することができる。
【0052】
また、ごみクレーン操作信号は、ごみクレーン3のバケットを地面に対して水平方向に移動させるための横行・走行操作信号(第1の操作信号)と、バケットを地面に対して垂直方向に移動させるための、およびバケットを開閉させるための巻上・開閉操作信号(第2の操作信号)と、を含む。そして、送信部12が、第1の操作信号を第1の拡張トーン信号に変換し、第1の通信経路を介して当該第1の拡張トーン信号をごみクレーン制御装置2へ送信し、第2の操作信号を第2の拡張トーン信号に変換し、第1の通信経路とは異なる第2の通信経路を介して当該第2の拡張トーン信号をごみクレーン制御装置2へ送信する。したがって、送信部12は、横行・走行操作信号に対応する第1の拡張トーン信号と、巻上・開閉操作信号に対応する第2の拡張トーン信号とを同時に送信することができる。
【0053】
また、送信部12は、無操作に対応するごみクレーン操作信号であれば、無操作に対応する拡張トーン信号に変換して、ごみクレーン制御装置2へ送信する。したがって、ごみクレーン制御装置2は、送信装置1からの拡張トーン信号が途切れた場合、直ちに通信異常であることを検知することができる。
【0054】
<ごみクレーン制御装置2の処理手順>
図6は、本発明の一実施形態に係るごみクレーン制御装置2の処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、受信部22は、LTE通信モジュール21-1および21-2を介して、拡張トーン信号を受信する(S21)。
【0055】
次に、受信部22は、拡張トーン信号をごみクレーン操作信号に変換し、PLC231へ出力する(S22)。
【0056】
次に、PLC231は、ごみクレーン操作信号を解析し、解析結果に応じて走行モータ31、横行モータ32および巻上モータ33を駆動して、ごみクレーン3の動作を制御する(S23)。ここで、ごみクレーン操作信号が無操作に対応していれば、PLC231は、ごみクレーン3の動作制御は行わない。
【0057】
最後に、ごみクレーン制御装置2が処理を終了するか否かを判定する(S24)。ごみクレーン制御装置2が処理を終了しない場合(S24,No)、ステップS21に戻って以降の処理を繰り返す。また、ごみクレーン制御装置2が処理を終了する場合(S24,Yes)、そのまま処理を終了する。
【0058】
なお、遠隔運転員は、状況に応じて、遠隔からの手動運転によって次の内容のごみクレーン操作を行うことができる。
【0059】
(1)焼却炉へ投入するごみの重量調整
(2)焼却炉へ投入するごみのつかみ直し
(3)纏まって搬入された布ごみのばら撒き
(4)ごみピットの整地。
【0060】
<ごみクレーン制御装置2の効果>
以上説明したように、本実施形態に係るごみクレーン制御装置2によれば、受信部22が、送信装置1から拡張トーン信号を受信し、当該拡張トーン信号を操作信号に変換し、PLC231が、操作信号に応じてごみクレーン3を制御する。したがって、現場のごみクレーン操作卓(横行・走行操作卓26、巻上・開閉操作卓27)と同じ感覚で、遠隔操作によって複雑なごみクレーン操作を行うことができる。
【0061】
<ソフトウェアによる実現例>
送信装置1、ごみクレーン制御装置2(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に、送信部12、受信部22、ごみクレーン制御部23)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0062】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0063】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0064】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0065】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る制御システムは、
制御対象を制御する制御装置と、当該制御対象を操作する送信装置と、を備えた制御システムであって、
前記送信装置は、
前記制御対象の操作量を入力する操作入力部と、
前記操作量に対応する操作信号を、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換し、当該拡張トーン信号を前記制御装置へ送信する送信部と、を備え、
前記制御装置は、
前記送信装置から前記拡張トーン信号を受信し、当該拡張トーン信号を前記操作信号に変換する受信部と、
前記操作信号に応じて前記制御対象を制御する制御部と、
を備える。
【0066】
本発明の態様2に係る制御システムは、態様1に記載の制御システムであって、
前記送信部は、広域通信網を介して、音声通話によって前記制御対象を遠隔操作するための前記拡張トーン信号を前記制御装置へ送信する。
【0067】
本発明の態様3に係る制御システムは、態様1または2に記載の制御システムであって、
前記制御対象は、ごみクレーンである。
【0068】
本発明の態様4に係る制御システムは、態様3に記載の制御システムであって、
前記操作信号は、
前記ごみクレーンのバケットを地面に対して水平方向に移動させるための第1の操作信号と、
前記バケットを地面に対して垂直方向に移動させるための、および前記バケットを開閉させるための第2の操作信号と、を含み、
前記送信部は、
前記第1の操作信号を第1の拡張トーン信号に変換し、第1の通信経路を介して当該第1の拡張トーン信号を前記制御装置へ送信する第1の送信部と、
前記第2の操作信号を第2の拡張トーン信号に変換し、前記第1の通信経路とは異なる第2の通信経路を介して当該第2の拡張トーン信号を前記制御装置へ送信する第2の送信部と、
を含む。
【0069】
本発明の態様5に係る制御システムは、態様1に記載の制御システムであって、
前記送信部は、前記操作入力部による操作入力がない場合、無操作に対応する操作信号を前記拡張トーン信号に変換し、当該拡張トーン信号を前記制御装置へ送信する。
【0070】
本発明の態様6に係る送信装置は、
制御対象を操作するための送信装置であって、
前記制御対象の操作量を入力する操作入力部と、
前記操作量に対応する操作信号を、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換し、当該拡張トーン信号を前記制御対象を制御するための制御装置へ送信する送信部と、
を備える。
【0071】
本発明の態様7に係る制御装置は、
制御対象を制御する制御装置であって、
前記制御対象の操作量に対応する操作信号が、送信装置によって、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換されて、前記送信装置から当該拡張トーン信号を受信し、当該拡張トーン信号を前記操作信号に変換する受信部と、
前記操作信号に応じて前記制御対象を制御する制御部と、
を備える。
【0072】
本発明の態様8に係る制御方法は、
制御対象を制御するための制御方法であって、
前記制御対象の操作量を入力する工程と、
前記操作量に対応する操作信号を、トーン信号を高音域および低音域の少なくとも一方に拡張した拡張トーン信号に変換する工程と、
前記拡張トーン信号を前記操作信号に変換し、当該操作信号に応じて前記制御対象を制御する工程と、
を含む。
【0073】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1 送信装置
2 ごみクレーン制御装置
3 ごみクレーン
11 操作入力部
12 送信部
13-1,13-2,21-1,21-2 LTE通信モジュール
22 受信部
23 ごみクレーン制御部
25 自動運転部
26 横行・走行操作卓
27 巻上・開閉操作卓
31 走行モータ
32 横行モータ
33 巻上モータ
100 制御システム
231 PLC
232 走行用VVVF
233 横行用VVVF
234 巻上用VVVF
図1
図2
図3
図4
図5
図6