特開 2024-77439 画像形成装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024077439

(43)【公開日】2024-06-07

(54)【発明の名称】画像形成装置

(51)【国際特許分類】

   G03G 15/00 20060101AFI20240531BHJP

   G03G 21/00 20060101ALI20240531BHJP

   G03G 15/20 20060101ALI20240531BHJP

【ＦＩ】

G03G15/00 413

G03G21/00 370

G03G15/20 510

G03G15/20 555

【審査請求】未請求

【請求項の数】13

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022189536

(22)【出願日】2022-11-28

(71)【出願人】

【識別番号】000005267

【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社

(72)【発明者】

【氏名】古山 達也

【テーマコード（参考）】

2H033

2H072

2H270

【Ｆターム（参考）】

2H033AA03

2H033AA23

2H033AA24

2H033BE00

2H033BE03

2H033CA02

2H033CA27

2H033CA37

2H072AA17

2H072AA22

2H072AA29

2H072AB20

2H072CA01

2H072DA06

2H072JA02

2H270KA57

2H270LA25

2H270MC44

2H270MC61

2H270MC67

2H270ME03

2H270MH11

2H270MH12

2H270ZC03

2H270ZC04

2H270ZC06

(57)【要約】

【課題】連続印字の場合の印字開始から印字終了までの時間を短くする。
【解決手段】画像形成装置（１）は、ＣＰＵ（１０１）を備え、ＣＰＵ（１０１）は、加熱ローラ（５１）を回転開始後、且つ排出ローラ（３６，３７，４０）を停止させる前に、加熱ローラ（５１）の温度の目標値を第１温度よりも低い第２温度となるようヒータ（５３）を制御し、複数のシートが連続して印字される連続印字を実行する場合、カッター（１０）によるシートの切断完了前に、メインモータ（１０８）を駆動して加熱ローラ（５１）を回転させ、加熱ローラ（５１）の温度が前記第１温度となるようヒータ（５３）を制御する。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

シートに画像を形成するプロセス部と、
加熱回転体と、前記加熱回転体を加熱するヒータと、前記加熱回転体との間でニップ部を形成する加圧回転体とを有し、シートに画像を定着させる定着部と、
シートの搬送方向において前記定着部の下流側に配置され、シートを排出するための排出ローラと、
少なくとも前記加熱回転体または前記加圧回転体に駆動力を伝達するメインモータと、
前記搬送方向において前記定着部の下流側に配置され、シートを切断するカッターと、
前記排出ローラに駆動力を伝達する排出モータと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記加熱回転体の温度がシートに画像を定着させる第１温度となるよう前記ヒータを制御し、
前記メインモータを制御して、前記加熱回転体または前記加圧回転体を回転させてシートを搬送し、
前記排出モータを制御して、前記排出ローラを回転させて前記ニップ部を通過したシートを搬送し、シートにおける切断位置がカッターの配置位置に到達した際に前記排出ローラを停止させ、
前記加熱回転体の回転開始後、且つ前記排出ローラを停止させる前に、前記加熱回転体の温度の目標値を第１温度よりも低い第２温度となるよう前記ヒータを制御し、
前記排出ローラを停止させた後、前記カッターによるシートの切断を開始し、
複数のシートが連続して印字される連続印字を実行する場合、前記カッターによるシートの切断完了前に、前記メインモータを駆動して前記加熱回転体または前記加圧回転体を回転させ、前記加熱回転体の温度が前記第１温度となるよう前記ヒータを制御する、ことを特徴とする画像形成装置。

【請求項2】

前記プロセス部は、感光ドラムを有し、
前記搬送方向において前記感光ドラムの上流側に配置され、シートを搬送する複数の搬送ローラのうち、前記感光ドラムに最も近い搬送ローラであるレジストレーションローラと、
前記搬送方向において前記感光ドラムと前記レジストレーションローラとの間に配置され、シートの通過を検知可能な第１シートセンサと、を備え、
前記制御部は、前記第１シートセンサがシートを検知した時点に基づいて前記排出モータを制御することを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。

【請求項3】

前記定着部は、前記搬送方向において前記ニップ部の下流側に配置され、シートの通過を検知可能な第２シートセンサを有し、
前記制御部は、前記第２シートセンサがシートを検知した時点に基づいて前記排出モータを制御することを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。

【請求項4】

前記制御部は、前記排出モータの駆動開始から所定時間経過すると、前記排出モータを停止してシートを停止させることを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。

【請求項5】

前記定着部は、前記搬送方向において前記ニップ部の下流側に配置され、シートの通過を検知可能な第２シートセンサを有し、
前記制御部は、前記第２シートセンサがシートの通過完了を検知した時点に基づいて、前記加熱回転体の温度の目標値を前記第２温度となるよう前記ヒータを制御する、ことを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。

【請求項6】

前記プロセス部は、感光ドラムを有し、
前記搬送方向において前記感光ドラムの上流側に配置され、シートを搬送する複数の搬送ローラのうち、前記感光ドラムに最も近い搬送ローラであるレジストレーションローラと、
前記搬送方向において前記感光ドラムと前記レジストレーションローラとの間に配置され、シートの通過を検知可能な第１シートセンサと、を備え、
前記制御部は、
前記第１シートセンサが、前記シートの通過完了を検知した時点に基づいて、前記加熱回転体の温度の目標値を前記第２温度となるよう前記ヒータを制御する、ことを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。

【請求項7】

前記制御部は、
前記連続印字を実行する場合、シートの印字枚数に応じて前記メインモータの駆動継続時間を設定し、
前記駆動継続時間が閾値時間以上である場合、前記メインモータを駆動継続した状態で、前記カッターによりシートを切断した後、前記排出モータを制御して前記排出ローラを回転させて、切断した後の前記シートを排出し、前記排出ローラによって排出されるシートの次のシートの供給を開始することを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。

【請求項8】

前記定着部は、前記搬送方向において前記ニップ部の下流側に配置され、シートの通過を検知可能な第２シートセンサを有し、
前記制御部は、前記第２シートセンサがシートを検知した時点に基づいて前記駆動継続時間を設定することを特徴とする請求項７に記載の画像形成装置。

【請求項9】

前記プロセス部は、感光ドラムを有し、
前記搬送方向において前記感光ドラムの上流側に配置され、シートを搬送する複数の搬送ローラのうち、前記感光ドラムに最も近い搬送ローラであるレジストレーションローラと、
前記搬送方向において前記感光ドラムと前記レジストレーションローラとの間に配置され、シートの通過を検知可能な第１シートセンサとを備え、
前記制御部は、前記第１シートセンサがシートを検知した時点に基づいて前記駆動継続時間を設定することを特徴とする請求項７に記載の画像形成装置。

【請求項10】

前記制御部は、前記連続印字を実行する場合、前記カッターによるシートの切断開始後、前記加熱回転体の温度が前記第１温度となるよう前記ヒータを制御する、ことを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。

【請求項11】

前記制御部は、
前記カッターによりシートを切断した後、前記排出モータを制御して前記排出ローラを回転させて、切断した後の前記シートを排出し、
切断した後の前記シートを排出した後、前記排出ローラを停止させることを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。

【請求項12】

前記プロセス部は、感光ドラムと、前記感光ドラムにトナーを供給する現像ローラと、前記感光ドラム上に供給されたトナーをシートに転写する転写部と、を有し、
前記感光ドラム及び前記現像ローラは、前記メインモータから駆動力が伝達されることによって回転することを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。

【請求項13】

シートが載置される供給トレイと、
前記メインモータから駆動力が伝達されることで前記供給トレイからシートを前記プロセス部に搬送するピックアップローラと、
前記メインモータから前記ピックアップローラへ駆動力が伝達される伝達状態と、前記メインモータから前記ピックアップローラへ駆動力が伝達されない非伝達状態とを切換可能であるクラッチとを備え、
前記制御部は、前記加熱回転体の温度が、シートへの印字を待機する待機温度よりも高い温度である所定温度に到達した場合、前記クラッチにより前記伝達状態とし、前記供給トレイからシートを搬送することを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、画像形成装置に関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１に開示の画像形成装置では、定着部の上方に設けられた排出部から、定着部を通過した用紙が排出される。定着部と排出部との間に設けられたカッターは、用紙を搬送方向と直交する方向に切断する。また、定着部から出た用紙の先端部が排出スイッチによって検知され、所定時間経過後に、用紙を排出する排出ローラが停止する。排出ローラが停止した場合、用紙上の先頭の画像と二番目の画像との間の境界線がカッターの切断位置に位置した状態となり、カッターが駆動されて用紙が当該境界線に沿って切断される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００２－３６２８２３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

特許文献１に開示の画像形成装置では、カッターにより用紙を切断する場合、用紙の切断前に排出ローラ及び定着部の一対のローラを停止させる。連続印字のため次の印字を行う場合、定着部の一対のローラの温度を均一にするため、用紙の切断完了後に排出ローラ及び定着部の一対のローラを駆動する。そのため、連続印字の場合の印字開始から印字終了までの時間が長くなる場合がある。

【0005】

本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来よりも連続印字の場合の印字開始から印字終了までの時間を短くすることにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記の課題を解決するために、本開示の画像形成装置は、シートに画像を形成するプロセス部と、加熱回転体と、前記加熱回転体を加熱するヒータと、前記加熱回転体との間でニップ部を形成する加圧回転体とを有し、シートに画像を定着させる定着部と、シートの搬送方向において前記定着部の下流側に配置され、シートを排出するための排出ローラと、少なくとも前記加熱回転体または前記加圧回転体に駆動力を伝達するメインモータと、前記搬送方向において前記定着部の下流側に配置され、シートを切断するカッターと、前記排出ローラに駆動力を伝達する排出モータと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記加熱回転体の温度がシートに画像を定着させる第１温度となるよう前記ヒータを制御し、前記メインモータを制御して、前記加熱回転体または前記加圧回転体を回転させてシートを搬送し、前記排出モータを制御して、前記排出ローラを回転させて前記ニップ部を通過したシートを搬送し、シートにおける切断位置がカッターの配置位置に到達した際に前記排出ローラを停止させ、前記加熱回転体の回転開始後、且つ前記排出ローラを停止させる前に、前記加熱回転体の温度の目標値を第１温度よりも低い第２温度となるよう前記ヒータを制御し、前記排出ローラを停止させた後、前記カッターによるシートの切断を開始し、複数のシートが連続して印字される連続印字を実行する場合、前記カッターによるシートの切断完了前に、前記メインモータを駆動して前記加熱回転体または前記加圧回転体を回転させ、前記加熱回転体の温度が前記第１温度となるよう前記ヒータを制御する。

【0007】

上記構成によれば、制御部は、カッターによるシートの切断完了前に、メインモータを駆動させるとともに、加熱回転体の温度が第２温度となるよう制御されていたヒータを加熱回転体の温度が第１温度となるよう制御する。そのため、シート切断中に定着部のニップ部の温度を均一化することができ、次のシートの搬送開始を早めることができる。これにより、連続印字の場合の印字時速度が低下するのを軽減することができる。

【0008】

本開示の画像形成装置では、前記プロセス部は、感光ドラムを有し、前記搬送方向において前記感光ドラムの上流側に配置され、シートを搬送する複数の搬送ローラのうち、前記感光ドラムに最も近い搬送ローラであるレジストレーションローラと、前記搬送方向において前記感光ドラムと前記レジストレーションローラとの間に配置され、シートの通過を検知可能な第１シートセンサと、を備え、前記制御部は、前記第１シートセンサがシートを検知した時点に基づいて前記排出モータを制御してもよい。

【0009】

第１シートセンサは、感光ドラムとレジストレーションローラとの間に配置されている。また、レジストレーションローラは、感光ドラムの上流側に配置される複数の搬送ローラのうち、搬送方向において排出ローラに最も近い搬送ローラである。よって、第１シートセンサは、感光ドラムの上流側において排出ローラに極力近い位置に配置される。

【0010】

さらに、第１シートセンサがシートを検知した後に、シートは排出ローラに到達する。したがって、制御部は、第１シートセンサがシートを検知した時点に基づいて排出モータを制御するので、適切なタイミングで排出モータの駆動を開始して排出ローラの回転駆動を開始できる。

【0011】

本開示の画像形成装置では、前記定着部は、前記搬送方向において前記ニップ部の下流側に配置され、シートの通過を検知可能な第２シートセンサを有し、前記制御部は、前記第２シートセンサがシートを検知した時点に基づいて前記排出モータを制御してもよい。

【0012】

第２シートセンサは、搬送方向においてニップ部の下流側に配置されるので、定着部よりも排出ローラに近い位置に配置される。また、第２シートセンサがシートを検知した後に、シートは排出ローラに到達する。よって、制御部は、第２シートセンサがシートを検知した時点に基づいて排出モータを制御するので、適切なタイミングで排出モータの駆動を開始して排出ローラの回転駆動を開始できる。

【0013】

本開示の画像形成装置では、前記制御部は、前記排出モータの駆動開始から所定時間経過すると、前記排出モータを停止してシートを停止させもよい。制御部は、シートにおける切断位置がカッターの配置位置に到達するように排出ローラを適切に制御できる。

【0014】

本開示の画像形成装置では、前記定着部は、前記搬送方向において前記ニップ部の下流側に配置され、シートの通過を検知可能な第２シートセンサを有し、前記制御部は、前記第２シートセンサがシートの通過完了を検知した時点に基づいて、前記加熱回転体の温度の目標値を前記第２温度となるよう前記ヒータを制御してもよい。

【0015】

第２シートセンサを通過した後、加熱回転体の温度が第１温度より低い第２温度となるようヒータが制御される。そのため、カッターによるシートの切断開始前に、加熱回転体の温度を低くすることができる。これにより、加熱回転体と加圧回転体とが局所的に昇温するのを抑制できる。

【0016】

本開示の画像形成装置では、前記プロセス部は、感光ドラムを有し、前記搬送方向において前記感光ドラムの上流側に配置され、シートを搬送する複数の搬送ローラのうち、前記感光ドラムに最も近い搬送ローラであるレジストレーションローラと、前記搬送方向において前記感光ドラムと前記レジストレーションローラとの間に配置され、シートの通過を検知可能な第１シートセンサと、を備え、前記制御部は、前記第１シートセンサが、前記シートの通過完了を検知した時点に基づいて、前記加熱回転体の温度の目標値を前記第２温度となるよう前記ヒータを制御してもよい。

【0017】

第１シートセンサを通過した後、加熱回転体の温度が第１温度より低い第２温度となるようヒータが制御される。そのため、カッターによるシートの切断開始前に、加熱回転体の温度を低くすることができる。これにより、定着部のニップ部が局所的に昇温するのを抑制できる。

【0018】

本開示の画像形成装置では、前記制御部は、前記連続印字を実行する場合、シートの印字枚数に応じて前記メインモータの駆動継続時間を設定し、前記駆動継続時間が閾値時間以上である場合、前記メインモータを駆動継続した状態で、前記カッターによりシートを切断した後、前記排出モータを制御して前記排出ローラを回転させて、切断した後の前記シートを排出し、前記排出ローラによって排出されるシートの次のシートの供給を開始してもよい。制御部は、次のシートの印字へ向けてメインモータを駆動継続することで加熱回転体及び加圧回転体が局所的に昇温することを抑制することができる。

【0019】

本開示の画像形成装置では、前記定着部は、前記搬送方向において前記ニップ部の下流側に配置され、シートの通過を検知可能な第２シートセンサを有し、前記制御部は、前記第２シートセンサがシートを検知した時点に基づいて前記駆動継続時間を設定してもよい。

【0020】

第２シートセンサは、搬送方向においてニップ部の下流側に配置される。よって、シートがニップ部に到達した後に、第２シートセンサがシートを検知する。このため、制御部は、第２シートセンサがシートを検知した時点に基づいて駆動継続時間を設定するので、適切なタイミングでメインモータの駆動を停止して加熱回転体を停止させることができる。

【0021】

本開示の画像形成装置では、前記プロセス部は、感光ドラムを有し、前記搬送方向において前記感光ドラムの上流側に配置され、シートを搬送する複数の搬送ローラのうち、前記感光ドラムに最も近い搬送ローラであるレジストレーションローラと、前記搬送方向において前記感光ドラムと前記レジストレーションローラとの間に配置され、シートの通過を検知可能な第１シートセンサとを備え、前記制御部は、前記第１シートセンサがシートを検知した時点に基づいて前記駆動継続時間を設定してもよい。

【0022】

第１シートセンサは、感光ドラムとレジストレーションローラとの間に配置されている。また、レジストレーションローラは、感光ドラムの上流側に配置される複数の搬送ローラのうち、搬送方向においてニップ部に最も近い搬送ローラである。よって、第１シートセンサは、感光ドラムの上流側においてニップ部に極力近い位置に配置される。

【0023】

さらに、第１シートセンサがシートを検知した後に、シートはニップ部に到達する。したがって、制御部は、第１シートセンサがシートを検知した時点に基づいて駆動継続時間を設定するので、適切なタイミングでメインモータの駆動を停止して加熱回転体を停止させることができる。

【0024】

本開示の画像形成装置では、前記制御部は、前記連続印字を実行する場合、前記カッターによるシートの切断開始後、前記加熱回転体の温度が前記第１温度となるよう前記ヒータを制御してもよい。

【0025】

排出モータ駆動前に第２温度となるよう制御されていたヒータは、カッターによるシートの切断開始後に、第１温度となるよう制御される。これにより、次のシートの印字へ向けて加熱回転体の温度を適切に制御できる。また、シートの切断完了後からヒータが第１温度となるまでの時間を早めることができる。これにより、印字時速度の低下を軽減することができる。

【0026】

本開示の画像形成装置では、前記制御部は、前記カッターによりシートを切断した後、前記排出モータを制御して前記排出ローラを回転させて、切断した後の前記シートを排出し、切断した後の前記シートを排出した後、前記排出ローラを停止させてもよい。排出ローラの駆動が必要ない場合には排出ローラを停止させることで排出ローラによる騒音を抑制できる。

【0027】

本開示の画像形成装置では、前記プロセス部は、感光ドラムと、前記感光ドラムにトナーを供給する現像ローラと、前記感光ドラム上に供給されたトナーをシートに転写する転写部と、を有し、前記感光ドラム及び前記現像ローラは、前記メインモータから駆動力が伝達されることによって回転してもよい。メインモータが感光ドラム及び現像ローラに駆動力を伝達するので、メインモータにより感光ドラム及び現像ローラをまとめて駆動できる。

【0028】

本開示の画像形成装置は、シートが載置される供給トレイと、前記メインモータから駆動力が伝達されることで前記供給トレイからシートを前記プロセス部に搬送するピックアップローラと、前記メインモータから前記ピックアップローラへ駆動力が伝達される伝達状態と、前記メインモータから前記ピックアップローラへ駆動力が伝達されない非伝達状態とを切換可能であるクラッチとを備え、前記制御部は、前記加熱回転体の温度が、シートへの印字を待機する待機温度よりも高い温度である所定温度に到達した場合、前記クラッチにより前記伝達状態とし、前記供給トレイからシートを搬送してもよい。

【0029】

制御部は、加熱回転体の温度が待機温度よりも高い温度である所定温度に到達した場合、メインモータからピックアップローラへ駆動力が伝達される状態とし、供給トレイからシートを搬送する。よって、加熱回転体に対して定着に必要な熱量を確保した状態で、シートに画像を十分に定着させることができる。

【発明の効果】

【0030】

本開示の一態様によれば、連続印字の場合の印字開始から印字終了までの時間を短くすることができる。

【図面の簡単な説明】

【0031】

【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成の一例を示す図である。

【図2】図１に示す画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。

【図3】図１に示す画像形成装置のＣＰＵによる印刷制御の流れの一例を示すメインフローチャートである。

【図4】図３の印字切断処理の流れの一例を示すサブフローチャートである。

【図5】各駆動部の駆動タイミングと定着部の温度との関係の一例を示すタイミングチャートである。

【図6】ニップ部を通過するシートの切断を説明する図である。

【図7】カッターによる用紙の切断を説明する図である。

【図8】実施形態１に係る画像形成装置の変形例１において、各駆動部の駆動タイミングと定着器の温度との関係の一例を示すタイミングチャートである。

【発明を実施するための形態】

【0032】

〔実施形態〕
［画像形成装置１の全体構成］
画像形成装置１の概略構成について図１に基づいて説明する。図１は、本実施形態に係る画像形成装置１の概略構成の一例を示す図である。図１に示すように、画像形成装置１は、モノクロレーザプリンタであり、装置本体２と、搬送部３と、画像形成部４と、定着器５と、カッター１０と、操作パネル１２０とを備えている。以下、説明の便宜上、図１の矢印で示されるように、画像形成装置１の上下方向、及び前後方向を定義する。

【0033】

装置本体２は、フロントカバー２０と、供給トレイ２１と、排出トレイ２２と、搬送経路２０１と、分岐経路２００とを有している。装置本体２は、その前面に開閉可能なフロントカバー２０を有している。

【0034】

装置本体２は、その下部に着脱可能な供給トレイ２１を有している。供給トレイ２１には、シートＰが載置される。シートＰは、Ａ４サイズ等の定型シートである。シートＰは、例えば、普通紙、厚紙等の紙媒体である。装置本体２は、その上部に排出トレイ２２を有している。排出トレイ２２には、画像が形成されたシートＰが載置される。

【0035】

搬送経路２０１は、供給トレイ２１に載置されたシートＰを、画像形成部４を経由してカッター１０へ搬送し、カッター１０により切断された第１シートＰ１及び第２シートＰ２（図６参照）を排出トレイ２２へ向けて搬送するための経路である。分岐経路２００は、搬送経路２０１とは別に、カッター１０により切断されていないシートＰを排出トレイ２２へ向けて搬送するための経路である。

【0036】

分岐経路２００のシートＰの搬送開始地点は、搬送経路２０１との合流位置Ｃである。合流位置Ｃは、第１排出ローラ３６及び第３排出ローラ４０よりもシートＰの搬送方向の上流側、かつ、定着器５の下流側に設けられている。シートＰの搬送方向は、搬送経路２０１に沿って供給トレイ２１から排出トレイ２２に向かう方向、または搬送経路２０１及び分岐経路２００に沿って供給トレイ２１から排出トレイ２２に向かう方向である。以下、シートＰの搬送方向を単に搬送方向と称する。

【0037】

また、分岐経路２００は、搬送経路２０１の下方に配置されている。また、合流位置Ｃの近傍には、シートＰを搬送経路２０１または分岐経路２００に振り分けるためのフラッパ８が設けられている。フラッパ８は、第１位置に位置する場合は、シートＰを分岐経路２００に振り分ける。また、フラッパ８は、第２位置に位置する場合は、シートＰを搬送経路２０１に振り分ける。フラッパ８は、不図示の駆動モータからの駆動力により、動作するように構成されている。

【0038】

搬送部３は、ピックアップローラ３１、分離ローラ３２、紙粉取りローラ３３、レジストレーションローラ３４、ローラ３５、第１排出ローラ３６、第２排出ローラ３７、及び第３排出ローラ４０を有している。また、搬送部３は、電磁クラッチ１０７、メインモータ１０８、及び排出モータ１４０（図２参照）を有している。

【0039】

ピックアップローラ３１は、メインモータ１０８から駆動力が伝達されることで、シート押圧板２１Ａにより上方に押し上げられた供給トレイ２１内のシートＰをピックアップする。そして、ピックアップローラ３１は、搬送経路２０１に向けてシートＰを搬送することにより、シートＰを画像形成部４に搬送する。分離ローラ３２は、ピックアップローラ３１がピックアップしたシートＰを１枚ずつ分離する。紙粉取りローラ３３は、シートＰの表面上の紙粉等を除去する。

【0040】

レジストレーションローラ３４は、搬送経路２０１において画像形成部４の上流側に配置され、シートＰを搬送する複数の搬送ローラのうち、後述する感光ドラム６１に最も近い搬送ローラである。当該複数の搬送ローラは、例えば、ピックアップローラ３１、分離ローラ３２及び紙粉取りローラ３３を意味する。レジストレーションローラ３４は、シートＰの先端の方向を揃えた後、画像形成部４へ向けてシートＰを搬送する。ローラ３５は、定着器５を通過後のシートＰを、第１排出ローラ３６側へ搬送する。

【0041】

搬送経路２０１において合流位置Ｃよりも下流側には、第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７が配置されている。カッター１０の配置位置Ｂを挟んだ上流位置及び下流位置に、第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７が配置されている。

【0042】

分岐経路２００において合流位置Ｃよりも下流側には、第３排出ローラ４０が配置されている。第１排出ローラ３６、第２排出ローラ３７及び第３排出ローラ４０は、装置本体２の内部から装置本体２の外部にシートＰを排出するものである。

【0043】

画像形成部４は、シートＰに画像を形成するプロセス部の一例であり、装置本体２内に収容されている。画像形成部４は、ドラムカートリッジ６及びレーザユニット７を有している。ドラムカートリッジ６は、感光ドラム６１と、トナー収容部６２と、供給ローラ６３と、現像ローラ６４と、帯電器６５と、転写ローラＴＲと、ピンチローラ６６とを有している。

【0044】

ドラムカートリッジ６は、フロントカバー２０を開けることにより、装置本体２から取り外すことが可能となっている。ドラムカートリッジ６のピンチローラ６６は、レジストレーションローラ３４と向かい合って位置する。ピンチローラ６６は、レジストレーションローラ３４の回転に従動回転して、レジストレーションローラ３４とともにシートＰを搬送する。

【0045】

感光ドラム６１は、メインモータ１０８（図２参照）から伝達される駆動力により、時計方向に回転することで、シートＰを搬送方向に搬送する。トナー収容部６２には、トナーが収容されている。供給ローラ６３は、トナー収容部６２内のトナーを現像ローラ６４に供給する。帯電器６５は、スコロトロン型の帯電器であり、感光ドラム６１の表面を一様に帯電させる。なお、帯電器６５は、帯電ローラであってもよい。

【0046】

感光ドラム６１に対向する位置には、転写ローラＴＲが配置されている。転写ローラＴＲは、転写部の一例であり、搬送経路２０１における感光ドラム６１との間に転写ニップＴＮを形成する。なお、転写ローラＴＲの代わりに、転写部の一例として転写ベルトを用いてもよい。

【0047】

装置本体２は、その内部における上部に、レーザユニット７を有している。レーザユニット７は、ポリゴンミラー１３１、レーザ発光部１３２（図２参照）、図示しないレンズ及び反射鏡等を有している。レーザユニット７は、レーザ発光部１３２から出射される画像データに基づくレーザ光（二点鎖線参照）が、感光ドラム６１の表面で高速走査されることで、感光ドラム６１の表面を露光する。

【0048】

感光ドラム６１の表面は、レーザユニット７により露光されることで、画像データに基づく静電潜像が形成される。現像ローラ６４は、感光ドラム６１の表面に形成された静電潜像にトナーを供給することで、感光ドラム６１の表面にトナー像を形成する。

【0049】

転写ローラＴＲには、図示しない電圧印加部により転写電圧が印加される。転写ローラＴＲは、感光ドラム６１との間でシートＰを搬送することで、感光ドラム６１の表面に形成されたトナー像を、転写ニップＴＮを通過するシートＰに転写する。換言すると、転写ローラＴＲは、感光ドラム６１上に供給されたトナーをシートＰに転写する。このようにして、シートＰへの画像形成が行われる。

【0050】

搬送経路２０１において画像形成部４よりも下流側には、定着器５が配置されている。定着器５は、定着部の一例である。定着器５は、加熱ローラ５１と、加圧ローラ５２と、ヒータ５３と、温度センサ５４と、排紙センサ１１２とを有している。

【0051】

加熱ローラ５１は、加熱回転体の一例であり、シートＰを加熱する。加圧ローラ５２は、加圧回転体の一例であり、加熱ローラ５１との間でニップ部Ｎを形成し、シートＰを加圧する。加圧ローラ５２は、メインモータ１０８の駆動力により、反時計方向に回転する。加熱ローラ５１は、加圧ローラ５２に従動して時計方向に回転する。

【0052】

なお、加熱ローラ５１が、メインモータ１０８の駆動力により、時計方向に回転し、加圧ローラ５２は、加熱ローラ５１に従動して反時計方向に回転するように構成してもよい。もしくは、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の両方にメインモータ１０８の駆動力が伝達されて、加熱ローラ５１が時計方向に回転し、加圧ローラ５２が反時計方向に回転するように構成してもよい。

【0053】

ヒータ５３は、例えばハロゲンヒータであり、加熱ローラ５１を加熱する。温度センサ５４は、定着器５内に設けられ、加熱ローラ５１の温度を検出する。温度センサ５４は、検出した温度に応じた信号を、ＣＰＵ１０１（図２参照）へ出力する。

【0054】

定着器５は、加熱ローラ５１によりシートＰを加熱して、加圧ローラ５２を回転させることにより、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２によりシートＰを加圧しながら搬送することで、画像形成部４によりシートＰに形成された画像をシートＰに定着させる。

【0055】

なお、定着器５は、加熱ローラ５１と、加圧ローラ５２と、ヒータ５３とを有する構成としたが、これに限定されない。例えば、定着器５は、ヒータと、ヒータからの輻射熱を受けるニップ板と、ニップ板の周りを回転する加熱ベルトと、加圧ローラとを有する構成であってもよい。この場合、加熱ベルトが加熱回転体の一例である。

【0056】

また、定着器５は、発熱パターンが形成された基板と、基板の周りを回転するベルトと、加圧ローラとを有し、基板及びベルトが接触する構成であってもよい。この場合、ベルトが加熱回転体の一例である。また、定着器５は、加熱ローラと、ヒータと、加圧ベルトとを有する構成であってもよい。この場合、加圧ベルトが加圧回転体の一例である。

【0057】

搬送経路２０１において定着器５及び合流位置Ｃよりも下流側にあるカッター１０の配置位置Ｂには、カッター１０が配置されている。カッター１０は、シートＰを切断可能な周知のカッター機構である。カッター１０は、例えば、固定刃と、刃７５（図２参照）と、切断モータ１０６（図２参照）と、カッターキャリッジ１１（図７参照）とを有して構成される。なお、カッター１０は、上下一対の刃７５を有していてもよい。

【0058】

刃７５は、例えば、回転可能な丸い刃であり、カッターキャリッジ１１に保持されている。固定刃は、装置本体２内において左右方向に延びるように設けられたフレームに固定されている。カッターキャリッジ１１は、切断モータ１０６の駆動力によって、装置本体２に左右方向に延びるように設けられたレール１２（図７参照）に沿って、シートＰの幅方向に往復移動可能に構成されている。

【0059】

シートＰがカッター１０の配置位置Ｂにあるときに、カッターキャリッジ１１がシートＰの幅方向に沿って移動することにより、シートＰが刃７５と固定刃とに挟まれることで切断される。

【0060】

［画像形成装置１の電気的構成］
次に、画像形成装置１の電気的構成について、図２を参照して説明する。図２は、画像形成装置１の電気的構成を示すブロック図である。図２に示すように、画像形成装置１は、ＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）１０５、ＲＯＭ（Read Only Memory）１０２と、ＲＡＭ（Random Access Memory）１０３と、ＮＶＲＡＭ（Non-Volatile Random Access Memory）１０４と、レジ前センサ１１０と、レジ後センサ１１１と、排紙センサ１１２と、温湿度センサ１１３と、通信インターフェース（Ｉ／Ｆ）１３０とをさらに備えている。

【0061】

ＡＳＩＣ１０５には、ＣＰＵ（Central Processing Unit）１０１が搭載されている。ＣＰＵ１０１は、制御部の一例であり、画像形成装置１の各部に対する全般的な制御を行う。ＡＳＩＣ１０５は、ＲＯＭ１０２、ＲＡＭ１０３、ＮＶＲＡＭ１０４、切断モータ１０６、電磁クラッチ１０７、メインモータ１０８、及び排出モータ１４０と電気的に接続されている。また、ＡＳＩＣ１０５は、レジ前センサ１１０、レジ後センサ１１１、排紙センサ１１２、温湿度センサ１１３、操作パネル１２０、通信Ｉ／Ｆ１３０、定着器５、及びレーザユニット７と電気的に接続されている。

【0062】

ＲＯＭ１０２は、記憶部の一例である。ＲＯＭ１０２には、画像形成装置１を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。具体的には、ＲＯＭ１０２には、シートＰに画像を定着させる際の加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の印字温度の情報が記憶されている。印字温度は第１温度の一例である。

【0063】

また、ＲＯＭ１０２には、シートＰが搬送されるのを待つ際の加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の待機温度の情報が記憶されている。待機温度は第２温度の一例である。さらに、ＲＯＭ１０２には、供給トレイ２１からシートＰを搬送する際の加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の給紙可能温度の情報が記憶されている。その上、ＲＯＭ１０２には、高温温度などの情報が記憶されている。高温温度は第３温度の一例である。

【0064】

ＲＡＭ１０３は、各種制御プログラムが読み出される作業領域、及び印刷ジョブに含まれる画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。ＣＰＵ１０１は、ＲＯＭ１０２から読み出した制御プログラムや、各種センサから出力される信号に従って、その処理結果をＲＡＭ１０３またはＮＶＲＡＭ１０４に記憶させながら、画像形成装置１の各部を制御する。

【0065】

切断モータ１０６は、カッター用駆動源の一例である。ＣＰＵ１０１は、切断モータ１０６を駆動させて、カッターキャリッジ１１を移動させることにより、刃７５をシートＰの幅方向に移動させて、シートＰを切断する。

【0066】

メインモータ１０８は、搬送部３、加圧ローラ５２、及びドラムカートリッジ６に駆動力を伝達する。ＣＰＵ１０１がメインモータ１０８を正転駆動させると、メインモータ１０８から加圧ローラ５２、感光ドラム６１、現像ローラ６４、ピックアップローラ３１、及びレジストレーションローラ３４に駆動力が伝達される。

【0067】

そして、加圧ローラ５２、感光ドラム６１、現像ローラ６４、ピックアップローラ３１、及びレジストレーションローラ３４は、シートＰを搬送方向に搬送する向きに回転する。メインモータ１０８が感光ドラム６１及び現像ローラ６４等に駆動力を伝達するので、メインモータ１０８により感光ドラム６１及び現像ローラ６４等をまとめて駆動できる。

【0068】

一方、ＣＰＵ１０１が、メインモータ１０８を逆転駆動させても、加圧ローラ５２、ドラムカートリッジ６、ピックアップローラ３１及びレジストレーションローラ３４には、駆動力が伝達されない構成となっている。なお、ＣＰＵ１０１は、メインモータ１０８を制御して、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の少なくとも一方を回転させてシートＰを搬送させてもよい。

【0069】

電磁クラッチ１０７は、クラッチの一例であり、ＣＰＵ１０１により制御される。電磁クラッチ１０７は、メインモータ１０８からピックアップローラ３１へ駆動力が伝達される伝達状態と、メインモータ１０８からピックアップローラ３１へ駆動力が伝達されない非伝達状態とを切換可能である。

【0070】

具体的には、ＣＰＵ１０１は、電磁クラッチ１０７をオンすることにより、メインモータ１０８の駆動力がピックアップローラ３１に伝達される伝達状態にする。一方、ＣＰＵ１０１は、電磁クラッチ１０７をオフすることにより、メインモータ１０８の駆動力がピックアップローラ３１に伝達されない非伝達状態にする。画像形成装置１の起動時には、ＣＰＵ１０１は、電磁クラッチ１０７をオフに設定する。

【0071】

排出モータ１４０は、第１排出ローラ３６、第２排出ローラ３７、及び第３排出ローラ４０に駆動力を伝達する。ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０を正転駆動させることで、第１排出ローラ３６、第２排出ローラ３７、及び第３排出ローラ４０に駆動力を伝達する。そして、第１排出ローラ３６、第２排出ローラ３７、及び第３排出ローラ４０は、シートＰを搬送方向に搬送する向きに回転する。

【0072】

レジ前センサ１１０は、搬送経路２０１においてレジストレーションローラ３４よりも上流側に配置され、シートＰが通過することを検知するセンサである。レジ前センサ１１０としては、シートＰが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。レジ前センサ１１０は、シートＰが通過している状態でオン信号を出力し、シートＰが通過していない状態でオフ信号を出力する。レジ前センサ１１０による検知信号は、ＣＰＵ１０１へ出力される。

【0073】

レジ後センサ１１１は、第１シートセンサの一例であり、搬送経路２０１において定着器５よりも上流側、具体的には、搬送方向において感光ドラム６１とレジストレーションローラ３４との間に配置され、シートＰの通過を検知可能なセンサである。レジ後センサ１１１は、レジ前センサ１１０と同様の構成である。レジ後センサ１１１による検知信号は、ＣＰＵ１０１へ出力される。

【0074】

排紙センサ１１２は、第２シートセンサの一例であり、搬送経路２０１において定着器５の加熱ローラ５１とローラ３５との間、つまり、ニップ部Ｎの下流側に配置され、シートＰの通過を検知可能なセンサである。排紙センサ１１２は、レジ前センサ１１０と同様の構成である。

【0075】

排紙センサ１１２による検知信号は、ＣＰＵ１０１へ出力される。排紙センサ１１２は、シートＰが排紙センサ１１２を通過する前はオフ信号を出力し、ニップ部Ｎを通過したシートＰが排紙センサ１１２を通過中にオン信号を出力する。つまり、搬送方向におけるシートＰの先端が排紙センサ１１２に進入すると排紙センサ１１２はオンとなり、その後、シートＰの後端ＰＬ（図８参照）が排紙センサ１１２を抜けると排紙センサ１１２はオフとなる。

【0076】

温湿度センサ１１３は、装置本体２の外部の温度及び湿度を検出するセンサである。温湿度センサ１１３は、例えば装置本体２の側面に配置されている。温湿度センサ１１３は、検出した温度及び湿度に応じた信号をＣＰＵ１０１へ出力する。なお、温湿度センサ１１３の代わりに、装置本体２の外部の温度を検出する温度センサ、及び装置本体２の外部の湿度を検出する湿度センサを、装置本体２に配置してもよい。

【0077】

操作パネル１２０は、装置本体２の上面に配置されている。操作パネル１２０は、例えば、タッチパッド及びディスプレイが一体として形成されたタッチパネルと、キーボタン部とを有している。操作パネル１２０は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた情報をＣＰＵ１０１へ出力する。ユーザは、例えば、操作パネル１２０を操作することにより、シートＰを切断するか否かを設定することが可能である。

【0078】

通信Ｉ／Ｆ１３０は、ＬＡＮ等のネットワークに接続され、画像形成装置１用のドライバが組み込まれたＰＣ等の外部装置との接続を可能にしている。ＣＰＵ１０１は、通信Ｉ／Ｆ１３０を介して、印刷ジョブを受信可能である。印刷ジョブには、画像形成するための画像データ、画像形成に用いるシートＰのサイズ及び種類等、シートＰに画像を形成するために必要な各種情報が含まれている。

【0079】

［ＣＰＵ１０１による印刷制御の流れ］
次に、画像形成装置１のＣＰＵ１０１による印刷制御の流れの一例について図３～図７に基づいて説明する。図３は、画像形成装置１のＣＰＵ１０１による印刷制御の流れの一例を示すメインフローチャートである。なお、以下の説明では、Ａ４サイズのシートＰに対して、片面印刷を行った後、シートＰに切断処理を施して、Ａ５サイズの２つの第１シートＰ１及び第２シートＰ２（図６参照）に分ける場合を例示して説明する。

【0080】

図３に示すように、Ｓ１１において、ＣＰＵ１０１は、通信Ｉ／Ｆ１３０を介して印刷ジョブを受信しているかを判定する。そして、ＣＰＵ１０１は、通信Ｉ／Ｆ１３０を介して印刷ジョブを受信したと判定した場合は（Ｓ１１：ＹＥＳ）、後述のＳ１３の処理に進む。

【0081】

一方、ＣＰＵ１０１は、通信Ｉ／Ｆ１３０を介して印刷ジョブを受信していないと判定した場合は（Ｓ１１：ＮＯ）、Ｓ１２の処理に進む。Ｓ１２において、ＣＰＵ１０１は、操作パネル１２０を介して印刷命令の入力を受け付けたかを判定する。そして、操作パネル１２０を介して印刷命令の入力を受け付けていないと判定した場合は（Ｓ１２：ＮＯ）、ＣＰＵ１０１は、再度Ｓ１１の処理を実行する。

【0082】

一方、ＣＰＵ１０１は、操作パネル１２０を介して印刷命令の入力を受け付けたと判定した場合は（Ｓ１２：ＹＥＳ）、Ｓ１３の処理に進む。Ｓ１３において、ＣＰＵ１０１は、ヒータ５３の駆動を開始する。例えば、図５に示すように、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ１にて、ヒータ５３の駆動を開始する。つまり、ヒータ５３への通電を開始する。

【0083】

ヒータ５３への通電を開始した後、Ｓ１４において、ＣＰＵ１０１は、シートＰを切断するか否かを判定する。すなわち、入力された印刷ジョブにおいてシートＰの切断が必要と指示されているときに、シートＰを切断するものと判定し（Ｓ１４：ＹＥＳ）、Ｓ１７へ進む。一方、ＣＰＵ１０１は、シートＰの切断を要しない場合は（Ｓ１４：ＮＯ）、Ｓ１５へ進む。

【0084】

Ｓ１５において、ＣＰＵ１０１は、フラッパ８を第１位置へ移動させ、Ｓ１６へ進む。フラッパ８が第１位置へ移動することにより、シートＰが分岐経路２００に振り分けられる。なお、ＣＰＵ１０１は、Ｓ１５の開始時点で既にフラッパ８が第１位置にある場合は、フラッパ８が第１位置にある状態のまま維持し、Ｓ１６へ進む。Ｓ１６において、ＣＰＵ１０１は、シートＰの切断を伴わない印字処理を実行する。シートＰの切断を伴わない印字処理については、詳細な説明を省略するが、トナー画像が形成・定着されたシートは、その先端がフラッパ８によって、第３排出ローラ４０を有する分岐経路２００に案内される。分岐経路２００に案内されたシートは、第３排出ローラ４０の回転によって、排出トレイ２２上に排出される。

【0085】

Ｓ１７において、ＣＰＵ１０１は、シートＰを２等分に切断する切断位置Ａを決定してＲＡＭ１０３に記憶する。具体的には、図６に示すように、ＣＰＵ１０１は、Ａ４サイズのシートＰを搬送方向の長さが等しい第１シートＰ１と第２シートＰ２とに２等分する切断位置Ａを、先端から搬送方向の長さＬの位置に決定して、ＲＡＭ１０３に記憶する。

【0086】

長さＬは、例えば、レジ後センサ１１１がシートＰの先端を検知してからレジ後センサ１１１がシートＰの後端ＰＬを検知するまでの、不図示のエンコーダが検知したシートＰの搬送量に基づいて計算する。

【0087】

Ｓ１８において、ＣＰＵ１０１は、シートＰに画像を定着させる際の加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の印字温度をＲＯＭ１０２から読み出す。そして、ＣＰＵ１０１は、加熱ローラ５１の温度を印字温度、例えば、約１９０℃に達するように設定して、ヒータ５３に印加する電圧の制御を開始した後、Ｓ１９の処理に進む。

【0088】

Ｓ１９において、ＣＰＵ１０１は、メインモータ１０８を正転駆動させた後、Ｓ２０の処理に進む。これにより、加圧ローラ５２、感光ドラム６１、現像ローラ６４、及びレジストレーションローラ３４は、シートＰを搬送方向に搬送する向きに回転する。その結果、例えば、図５に示すように、時間Ｔ２にて定着器５の加圧ローラ５２または加熱ローラ５１が回転駆動された場合は、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の間、つまり、ニップ部Ｎにおける定着温度の温度上昇速度が少し遅くなる。

【0089】

Ｓ２０において、ＣＰＵ１０１は、温度センサ５４を介して、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の温度が、給紙可能温度に達したか否かを判定する。給紙可能温度は、ピックアップローラ３１にメインモータ１０８の駆動力を伝達可能となる温度であり、例えば、１７０℃である。そして、ＣＰＵ１０１は、温度センサ５４を介して、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の温度が、給紙可能温度に達していないと判定した場合は（Ｓ２０：ＮＯ）、再度Ｓ２０の処理を実行する。

【0090】

一方、ＣＰＵ１０１は、温度センサ５４を介して、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の温度が、給紙可能温度に達したと判定した場合は（Ｓ２０：ＹＥＳ）、Ｓ２１の処理に進む。Ｓ２１において、ＣＰＵ１０１は、印字切断処理のサブ処理を実行した後、当該処理を終了する。

【0091】

［印字切断処理のサブ処理］
次に、上記Ｓ２１において、ＣＰＵ１０１が実行する印字切断処理の流れの一例について図４に基づいて説明する。図４は、印字切断処理の流れの一例を示すサブフローチャートである。図５は、各駆動部の駆動タイミングと定着器５の温度との関係の一例を示すタイミングチャートである。図６は、ニップ部Ｎを通過するシートＰの切断を説明する図である。図７は、カッター１０による用紙Ｐの切断を説明する図である。なお、図５には、メインモータ１０８の駆動継続時間が、後述する閾値時間よりも長い時間である場合が例示されている。

【0092】

図４に示すように、Ｓ１１１において、ＣＰＵ１０１は、不図示の駆動モータを駆動して、フラッパ８を第２位置へ移動させ、Ｓ１１２の処理へ進む。フラッパ８が第２位置へ移動することにより、シートＰが搬送経路２０１に振り分けられる。なお、ＣＰＵ１０１は、Ｓ１１１の開始時点で既にフラッパ８が第２位置にある場合は、フラッパ８が第２位置にある状態のまま維持し、Ｓ１１２の処理へ進む。

【0093】

Ｓ１１２において、ＣＰＵ１０１は、供給トレイ２１内のシートＰをピックアップローラ３１によりピックアップするピックアップ命令を実行する。具体的には、ＣＰＵ１０１は、電磁クラッチ１０７をオンにして、メインモータ１０８の駆動力がピックアップローラ３１に伝達される伝達状態に設定する。その後、Ｓ１１３の処理に進む。

【0094】

Ｓ１１３において、ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０が駆動中であれば、所定時間経過した後、排出モータ１４０を停止して、Ｓ１１４の処理に進む。これにより、シートＰを確実に排出することができる。なお、ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０が駆動中でなければ、Ｓ１１２の後にＳ１１３を実行せずにＳ１１４の処理に進む。

【0095】

Ｓ１１４において、ＣＰＵ１０１は、レジ後センサ１１１から入力された検知信号が「オフ」から「オン」になったかを判定する。具体的には、ＣＰＵ１０１は、レジ後センサ１１１が搬送されてくるシートＰの先端を検知してレジ後センサ１１１から送られてくる検知信号を取得することで検知信号が「オン」になったと判定する。

【0096】

そして、ＣＰＵ１０１は、レジ後センサ１１１から入力された検知信号が「オフ」から「オン」になっていない場合は（Ｓ１１４：ＮＯ）、再度、Ｓ１１４の処理を実行する。一方、ＣＰＵ１０１は、レジ後センサ１１１から入力された検知信号が「オフ」から「オン」になった場合は（Ｓ１１４：ＹＥＳ）、シートＰが通過したしたと判定して、Ｓ１１５の処理に進む。

【0097】

Ｓ１１５において、ＣＰＵ１０１は、画像形成部４によるシートＰへの画像形成を開始する。具体的には、ＣＰＵ１０１は、感光ドラム６１及び転写ローラＴＲを制御して、シートＰに画像データに基づく画像を形成する。即ち、ＣＰＵ１０１は、転写ローラＴＲにより、感光ドラム６１上に形成されたトナー像をシートＰに転写する。そして、定着器５により、シートＰに形成された画像をシートＰに定着させる。

【0098】

続いて、Ｓ１１６において、ＣＰＵ１０１は、排紙センサ１１２から入力された検知信号が「オフ」から「オン」になっているかを判定する。具体的には、ＣＰＵ１０１は、排紙センサ１１２が搬送されてくるシートＰの先端を検知して排紙センサ１１２から送られてくる検知信号を取得することで検知信号が「オン」になったと判定する。例えば、図５に示すように、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ３にて、排紙センサ１１２から入力された検知信号が「オフ」から「オン」になったと判定する。

【0099】

そして、ＣＰＵ１０１は、排紙センサ１１２から入力された検知信号が「オフ」から「オン」になっていない場合は（Ｓ１１６：ＮＯ）、再度Ｓ１１６の処理を実行する。一方、ＣＰＵ１０１は、排紙センサ１１２から入力された検知信号が「オフ」から「オン」になった場合は（Ｓ１１６：ＹＥＳ）、Ｓ１１７の処理に進む。

【0100】

Ｓ１１７において、ＣＰＵ１０１は、印刷ジョブの連続印字枚数に基づく、メインモータ１０８の駆動継続時間が閾値時間以上であるかを判定する。連続印字枚数は、例えば、レジ前センサ１１０等のセンサ位置を通過したシートＰの枚数等に基づいてカウントする。また、連続印字枚数は、１つの印刷ジョブに指定された印字枚数でもよいし、複数の印刷ジョブに亘ってシートＰが絶え間なく印字される場合の合計の印字枚数でもよい。さらに、連続印字枚数は、印刷ジョブの間で印字が途切れた場合でも、印刷ジョブの間隔が所定時間以内である場合の印字枚数でもよい。連続印字枚数に基づく、メインモータ１０８の駆動継続時間は、下記の表１のように対応付けられる。

【0101】

【表1】

連続印字枚数が６０枚以上の場合、メインモータ１０８の駆動継続時間は３０秒である。連続印字枚数が３０枚～５９枚の場合、メインモータ１０８の駆動継続時間は２０秒である。連続印字枚数が１０枚～２９枚の場合、メインモータ１０８の駆動継続時間は１５秒である。連続印字枚数が１０枚未満の場合、メインモータ１０８の駆動継続時間は３秒である。

【0102】

これにより、ＣＰＵ１０１は、複数のシートＰが連続して印字される連続印字を実行する場合、シートＰの印字枚数に応じてメインモータ１０８の駆動継続時間を設定する。また、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２が、ゴムから構成される層を備える場合の駆動継続時間は、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２が、当該層を備えず、かつ、表面がコーティングされているものである場合の駆動継続時間よりも長いことが好ましい。

【0103】

閾値時間は、例えば２０秒である。そして、ＣＰＵ１０１は、印刷ジョブの連続印字枚数に基づく、メインモータ１０８の駆動継続時間が閾値時間以上であると判定した場合は（Ｓ１１７：ＹＥＳ）、後述するＳ１１９の処理に進む。

【0104】

一方、ＣＰＵ１０１は、印刷ジョブの連続印字枚数に基づく、メインモータ１０８の駆動継続時間が閾値時間未満であると判定した場合は（Ｓ１１７：ＮＯ）、Ｓ１１８の処理に進む。Ｓ１１８において、ＣＰＵ１０１は、メインモータ１０８の駆動継続時間経過後にメインモータ１０８を停止する処理を実行することに決定し、Ｓ１１９の処理に進む。つまり、Ｓ１１８において、ＣＰＵ１０１は、実際のメインモータ１０８の駆動継続時間をＳ１６またはＳ１７で設定した時間に設定する。

【0105】

Ｓ１１７の処理により、ＣＰＵ１０１は、Ｓ１１８の処理を実行するか否かを判断するため、Ｓ１１６において排紙センサ１１２がシートＰを検知した時点に基づいてメインモータ１０８の駆動継続時間を設定することになる。

【0106】

排紙センサ１１２は、搬送方向においてニップ部Ｎの下流側に配置される。よって、シートＰがニップ部Ｎに到達した後に、排紙センサ１１２がシートＰを検知する。このため、ＣＰＵ１０１は、排紙センサ１１２がシートＰを検知した時点に基づいてメインモータ１０８の駆動継続時間を設定するので、適切なタイミングでメインモータ１０８の駆動を停止して加熱ローラ５１を停止させることができる。

【0107】

Ｓ１１９において、ＣＰＵ１０１は、排紙センサ１１２から入力された検知信号が「オン」から「オフ」になったかを判定する。具体的には、ＣＰＵ１０１は、排紙センサ１１２が搬送されてくるシートＰの先端を検知した後、シートＰの後端を抜けることにより排紙センサ１１２から送られてくる検知信号が取得できなくなったことで検知信号が「オフ」になったと判定する。

【0108】

そして、ＣＰＵ１０１は、排紙センサ１１２から入力された検知信号が「オン」から「オフ」になっていない場合は（Ｓ１１９：ＮＯ）、再度Ｓ１１９の処理を実行する。一方、ＣＰＵ１０１は、排紙センサ１１２から入力された検知信号が「オン」から「オフ」になった場合は（Ｓ１１９：ＹＥＳ）、排紙センサ１１２がシートＰの通過完了を検知したと判定して、Ｓ１２０の処理に進む。

【0109】

例えば、図５に示すように、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ４にて、排紙センサ１１２から入力された検知信号が「オン」から「オフ」になった場合は、排紙センサ１１２がシートＰの通過完了を検知したと判定する。つまり、ＣＰＵ１０１は、シートＰのシート後端ＰＬがニップ部Ｎを通過したと判定する。

【0110】

Ｓ１２０において、ＣＰＵ１０１は、シートＰが搬送されるのを待つ際の加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の待機温度をＲＯＭ１０２から読み出す。そして、ＣＰＵ１０１は、加熱ローラ５１の温度を待機温度、例えば、約１３０℃に低下するように設定して、ヒータ５３に印加する電圧の制御を開始した後、Ｓ１２１の処理に進む。待機温度は印字温度よりも低い温度である。例えば、図５に示すように、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ５にて、ヒータ５３の駆動を停止する。時間Ｔ５のタイミングにおいて、シートＰは、加熱ローラ５１と加圧ローラ５２との間、つまり、ニップ部Ｎの通過を完了している。

【0111】

Ｓ１２０の処理により、ＣＰＵ１０１は、排紙センサ１１２がシートＰの通過完了を検知した時点に基づいて、加熱ローラ５１の温度が印字温度よりも低い待機温度となるようヒータ５３を制御する。シートＰが排紙センサ１１２を通過した後、加熱ローラ５１の温度が印字温度より低い待機温度となるようヒータ５３が制御される。そのため、カッター１０によるシートＰの切断開始前に、加熱ローラ５１の温度を低くすることができる。これにより、加熱ローラ５１と加圧ローラ５２とが局所的に昇温するのを抑制できる。

【0112】

Ｓ１２１において、ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０の正転駆動を開始して、第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７を回転させ、Ｓ１２２の処理に進む。これにより、第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７は、シートＰを搬送方向に搬送する向きに回転する。Ｓ１２１において、ＣＰＵ１０１は、レジ後センサ１１１がシートＰを検知した時点に基づいて、排出モータ１４０の駆動を開始する。例えば、図５に示すように、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ６において、排出モータ１４０を回転させて、排紙駆動を開始する。

【0113】

よって、Ｓ１１４及びＳ１２１の処理のように、ＣＰＵ１０１は、レジ後センサ１１１がシートＰを検知した時点に基づいて排出モータ１４０を制御する。レジ後センサ１１１は、感光ドラム６１とレジストレーションローラ３４との間に配置されている。また、レジストレーションローラ３４は、画像形成部４の上流側に配置される複数の搬送ローラのうち、搬送方向において第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７に最も近い搬送ローラである。よって、レジ後センサ１１１は、画像形成部４の上流側において第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７に極力近い位置に配置される。

【0114】

さらに、レジ後センサ１１１がシートＰを検知した後に、シートＰは第１排出ローラ３６に到達する。したがって、ＣＰＵ１０１は、レジ後センサ１１１がシートＰを検知した時点に基づいて排出モータ１４０を制御するので、適切なタイミングで排出モータ１４０の駆動を開始して第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７の回転駆動を開始できる。

【0115】

Ｓ１２２において、ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０の正転駆動が開始された時点からの経過時間の計測を開始する。続いて、ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０の正転駆動が開始された時点からの経過時間が所定の停止時間に達したか、つまり、所定の停止時間が経過したかを判定する。なお、所定の停止時間は、排出モータ１４０の正転駆動が開始された時点から、シートＰの切断位置Ａ（図６参照）がカッター１０の配置位置Ｂ（図１参照）に到達するまでの経過時間である。所定の停止時間は、予めＲＯＭ１０２に記憶されている。例えば、所定の停止時間は、図５に示す、時間Ｔ６から時間Ｔ７に達するまでの経過時間である。

【0116】

そして、ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０の正転駆動が開始された時点からの経過時間が所定の停止時間に達していないと判定した場合は（Ｓ１２２：ＮＯ）、再度Ｓ１２２の処理を実行する。一方、ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０の正転駆動が開始された時点からの経過時間が所定の停止時間に達したと判定した場合は（Ｓ１２２：ＹＥＳ）、Ｓ１２３の処理に進む。

【0117】

Ｓ１２３において、ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０を停止させた後、Ｓ１２４の処理に進む。例えば、図５に示すように、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ７において、排出モータ１４０を停止させて、排紙駆動を停止する。これにより、第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７がシートＰを挟持した状態で停止するため、シートＰは、切断位置Ａがカッター１０の配置位置Ｂに位置した状態で停止する。つまり、ＣＰＵ１０１は、シートＰにおける切断位置Ａがカッター１０の配置位置Ｂに到達した際に第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７を停止させる。

【0118】

Ｓ１２２及びＳ１２３の処理により、ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０の駆動開始から所定時間経過すると、排出モータ１４０を停止してシートＰを停止させる。これにより、ＣＰＵ１０１は、シートＰにおける切断位置Ａがカッター１０の配置位置Ｂに到達するように第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７を適切に制御できる。

【0119】

Ｓ１２４において、ＣＰＵ１０１は、切断モータ１０６を駆動させて、カッターキャリッジ１１に保持された刃７５をシートＰの幅方向に往復移動させる。ＣＰＵ１０１は、切断モータ１０６を駆動開始後、Ｓ１２５の処理に進む。例えば、図５に示すように、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ７において、切断モータ１０６の駆動を開始することによりカッター駆動を開始して、時間Ｔ９において、切断モータ１０６を停止させる。これにより、シートＰは、第１シートＰ１と第２シートＰ２とに２等分に切断される。

【0120】

Ｓ１２５において、ＣＰＵ１０１は、実行中の印刷ジョブに次のシートＰの印刷する画像データがあるかを判定する。次のシートＰとは、第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７によって排出されるシートＰの次に、ピックアップローラ３１によって供給トレイ２１内からピックアップされるシートＰである。ＣＰＵ１０１は、実行中の印刷ジョブに次のシートＰの印刷する画像データが有ると判定した場合は（Ｓ１２５：ＹＥＳ）、Ｓ１２６の処理に進む。

【0121】

Ｓ１２６において、ＣＰＵ１０１は、シートＰに画像を定着させる際の加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の印字温度をＲＯＭ１０２から読み出す。そして、ＣＰＵ１０１は、加熱ローラ５１の温度を印字温度に上昇させるように設定して、ヒータ５３に印加する電圧の制御を開始した後、Ｓ１２７の処理に進む。例えば、図５に示すように、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ８において、加熱ローラ５１の温度を印字温度に上昇させるように設定して、ヒータ５３に印加する電圧の制御を開始する。

【0122】

ＣＰＵ１０１は、Ｓ１２６の処理を、カッターによるシートの切断完了前に行う。ここで、図７を参照して、カッターによるシートの切断について説明する。図７には、用紙を切断していない待機状態のときの待機位置ＳＰに位置するカッター１０が示されている。ＣＰＵ１０１が切断モータ１０６を正転駆動すると、往路方向Ｄ１にカッターキャリッジ１１が移動することにより、シートＰが切断される。その後、ＣＰＵ１０１は、切断モータ１０６を正転とは反対の逆転駆動し、カッターキャリッジ１１を復路方向Ｄ２に移動させてカッターキャリッジ１１を待機位置ＳＰに位置させる。その後、ＣＰＵ１０１は、切断モータ１０６を停止して、シートＰの切断を完了する。

【0123】

なお、ＣＰＵ１０１は、往路方向Ｄ１にカッターキャリッジ１１を移動させてシートＰを切断後、切断モータ１０６を停止させ、その後に搬送されるシートＰを復路方向Ｄ２にカッターキャリッジ１１を移動させて切断後、切断モータ１０６を停止し、切断を完了する構成としてもよい。

【0124】

ここで、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２のニップ部Ｎの定着温度の一例について図５に基づいて説明する。なお、グラフ７１は、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２のニップ部Ｎの定着温度の変化を示す。ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ５にてヒータ５３の温度を待機温度に設定して、ヒータ５３の駆動を停止した場合は、グラフ７１に示すように、時間Ｔ５からニップ部Ｎの定着温度が下がり始める。

【0125】

そして、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ６から時間Ｔ８において、メインモータ１０８を駆動して加熱ローラ５１または加圧ローラ５２を回転させている状態である。このため、時間Ｔ６から時間Ｔ８におけるニップ部Ｎの定着温度は、時間Ｔ５でのニップ部Ｎの定着温度よりも低くなっている。

【0126】

ＣＰＵ１０１は、カッター１０によるシートＰの切断完了前に、メインモータ１０８を駆動させるとともに、加熱ローラ５１の温度が待機温度となるよう制御されていたヒータ５３を加熱ローラ５１の温度が印字温度となるよう制御する。そのため、シートＰの切断中にニップ部Ｎの温度を均一化することができ、次のシートの搬送開始を早めることができる。これにより、連続印字の場合の印字時速度が低下するのを軽減することができる。

【0127】

また、ＣＰＵ１０１がＳ１２４の後にＳ１２６を実行する構成によれば、排出モータ１４０の駆動前に待機温度となるよう制御されていたヒータ５３は、カッター１０によるシートＰの切断開始後に、印字温度となるよう制御される。これにより、次のシートＰの印字へ向けて加熱ローラ５１の温度を適切に制御できる。また、シートＰの切断完了後からヒータ５３が印字温度となるまでの時間を早めることができる。これにより、印字時速度の低下を軽減することができる。

【0128】

Ｓ１２７において、ＣＰＵ１０１は、メインモータ１０８が停止中であれば、メインモータ１０８の駆動を再開して、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２等を回転させた後、Ｓ１２８の処理に進む。なお、ＣＰＵ１０１は、メインモータ１０８が停止中でなければ、Ｓ１２６の後にＳ１２７を実行せずにＳ１２８の処理に進む。

【0129】

Ｓ１２８において、ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０の駆動を再開して、第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７を回転させて、切断された第１シートＰ１及び第２シートＰ２を排出した後、Ｓ１２９の処理に進む。例えば、図５に示すように、時間Ｔ９において、第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７を回転させる排紙駆動が再開される。

【0130】

Ｓ１２９において、ＣＰＵ１０１は、温度センサ５４を介して、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の温度が、給紙可能温度に達したかを判定する。給紙可能温度は、待機温度よりも高い温度である。そして、ＣＰＵ１０１は、加熱ローラ５１の温度が給紙可能温度に達していないと判定した場合は（Ｓ１２９：ＮＯ）、再度Ｓ１２９の処理を実行する。

【0131】

一方、ＣＰＵ１０１は、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の温度が給紙可能温度に達したと判定した場合は（Ｓ１２９：ＹＥＳ）、再度Ｓ１１２の処理を実行する。なお、再度実行されるＳ１１３の処理において、ＣＰＵ１０１は、Ｓ１２８の処理で駆動された排出モータ１４０を、所定時間経過後に停止させる。例えば、図５に示すように、所定時間経過後である時間Ｔ１０において、排出モータ１４０を停止させて、排紙駆動を停止する。以降、例えば、時間Ｔ１１～Ｔ１５において、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ３～Ｔ７で実行した処理と同様の処理を実行する。

【0132】

ここで、ＣＰＵ１０１は、Ｓ１１７においてメインモータ１０８の駆動継続時間が閾値時間以上であると判定した場合は、メインモータ１０８を駆動継続した状態で、Ｓ１２４においてカッター１０によりシートＰを切断する。また、ＣＰＵ１０１は、メインモータ１０８を駆動継続した状態で、シートＰを切断した後、Ｓ１２８において排出モータ１４０を制御して第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７を回転させて、切断した後のシートＰを排出する。

【0133】

そして、ＣＰＵ１０１は、Ｓ１２５において実行中の印刷ジョブに次のシートＰの印刷する画像データがあると判定した場合、かつ、Ｓ１２９において加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の温度が給紙可能温度と判定した場合を考える。この場合、ＣＰＵ１０１は、メインモータ１０８を駆動継続した状態で、第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７によって排出されるシートＰの次のシートＰの供給を開始する。これにより、ＣＰＵ１０１は、次のシートＰの印字へ向けてメインモータ１０８を駆動継続することで加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２が局所的に昇温することを抑制することができる。

【0134】

そして、ＣＰＵ１０１は、実行中の印刷ジョブに次のシートＰの印刷する画像データがないと判定した場合は（Ｓ１２５：ＮＯ）、Ｓ１３０の処理に進む。Ｓ１３０において、ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０の駆動を再開して、第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７を回転させて、切断された第１シートＰ１及び第２シートＰ２を排出した後、Ｓ１３１の処理に進む。例えば、図５に示すように、時間Ｔ１６において、第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７を回転させる排紙駆動が再開される。

【0135】

Ｓ１３１において、ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０の駆動を停止させた後、Ｓ１３２の処理に進む。例えば、図５に示すように、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ１７において、排出モータ１４０を停止させて、排紙駆動を停止する。

【0136】

Ｓ１２４、Ｓ１２８、Ｓ１３０、Ｓ１３１の処理により、ＣＰＵ１０１は、カッター１０によりシートＰを切断した後、排出モータ１４０を制御して第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７を回転させて、切断した後のシートＰを排出する。そして、ＣＰＵ１０１は、切断した後のシートＰを排出した後、第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７を停止させる。これにより、第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７の駆動が必要ない場合には第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７を停止させることで第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７による騒音を抑制できる。

【0137】

Ｓ１３２において、ＣＰＵ１０１は、メインモータ１０８が駆動中であれば、所定時間経過した後、例えば、約２秒～３秒程度経過した後、メインモータ１０８を停止する。例えば、図５に示すように、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ１８において、メインモータ１０８の駆動を停止することにより、定着器５の加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２を停止して、定着駆動を停止する。ＣＰＵ１０１は、Ｓ１２８の後、図４に示すフローを終了して、メインフローチャートも終了する。なお、「所定時間経過後」のタイミングは、「駆動継続時間経過後」のタイミングでもある。

【0138】

［変形例１］
図８は、実施形態１に係る画像形成装置１の変形例１において、各駆動部の駆動タイミングと定着器５の温度との関係の一例を示すタイミングチャートである。図８には、メインモータ１０８の駆動継続時間が、後述する閾値時間よりも短い時間である場合が例示されている。

【0139】

図８に示すように、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ４において排紙センサ１１２がシートＰの通過完了を検知した後、時間Ｔ８において加熱ローラ５１の温度を印字温度に上昇させる前に、メインモータ１０８を停止してもよい。つまり、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ４から時間Ｔ８の間でメインモータ１０８を停止してもよい。

【0140】

具体的には、図４のＳ１１７において、ＣＰＵ１０１は、印刷ジョブの連続印字枚数に基づく、メインモータ１０８の駆動継続時間が閾値時間未満であると判定した場合（Ｓ１１７：ＮＯ）、Ｓ１１８の処理に進む。ＣＰＵ１０１は、Ｓ１１８において、メインモータ１０８の駆動継続時間経過後にメインモータ１０８を停止する処理を実行することに決定する。ＣＰＵ１０１は、Ｓ１１８での決定に従い、Ｓ１２６で加熱ローラ５１の温度を印字温度に上昇させる前に、メインモータ１０８を停止させる。例えば、図８に示すように、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ４と時間Ｔ８の間の時間Ｔ２１にてメインモータ１０８を停止する。

【0141】

図４に示すＳ１２７において、ＣＰＵ１０１は、停止中のメインモータ１０８の駆動を再開して、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２等を回転させた後、Ｓ１２８の処理に進む。例えば、図８に示すように、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ２２にて、メインモータ１０８を駆動する。

【0142】

上述した通り、ＣＰＵ１０１は、時間Ｔ４と時間Ｔ８との間でメインモータ１０８の駆動を停止する。これにより、時間Ｔ４から時間Ｔ８までの間、つまり、ヒータ５３を停止させ後ヒータ５３の駆動を再開するまでの期間において、メインモータ１０８を停止する。例えば、印字枚数が少ない場合、駆動継続時間を短くしてもニップ部Ｎの温度を時間Ｔ５での定着温度よりも低くすることができる。

【0143】

［変形例２］
ＣＰＵ１０１は、図４に示すＳ１２１の処理を、Ｓ１１６の処理とＳ１１７の処理との間に実行してもよい。つまり、ＣＰＵ１０１は、排紙センサ１１２から入力された検知信号が「オフ」から「オン」になった場合は（Ｓ１１６：ＹＥＳ）、排出モータ１４０の正転駆動を開始し、Ｓ１１７の処理に進んでもよい。このように、ＣＰＵ１０１は、排紙センサ１１２がシートＰを検知した時点に基づいて排出モータ１４０を制御する。

【0144】

Ｓ１２１及びＳ１２２の処理では、ＣＰＵ１０１は、排出モータ１４０の駆動開始から所定時間経過すると、排出モータ１４０を停止してシートＰを停止させるが、レジ後センサ１１１または排紙センサ１１２から入力された検知信号に基づいて排出モータ１４０を停止してもよい。

【0145】

排紙センサ１１２は、搬送方向においてニップ部Ｎの下流側に配置されるので、定着器５よりも第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７に近い位置に配置される。また、排紙センサ１１２がシートを検知した後に、シートＰは第１排出ローラ３６に到達する。よって、ＣＰＵ１０１は、排紙センサ１１２がシートＰを検知した時点に基づいて排出モータ１４０を制御するので、適切なタイミングで排出モータ１４０の駆動を開始して第１排出ローラ３６及び第２排出ローラ３７の回転駆動を開始できる。

【0146】

［変形例３］
ＣＰＵ１０１は、図４に示すＳ１１７の処理を、Ｓ１１４の処理とＳ１１５の処理との間に実行してもよい。つまり、ＣＰＵ１０１は、Ｓ１１４において、画像形成部４によるシートＰへの画像形成を開始した後、印刷ジョブの連続印字枚数に基づく、メインモータ１０８の駆動継続時間が閾値時間以上であるかを判定してもよい。また、この場合、ＣＰＵ１０１は、Ｓ１１７でＹＥＳの場合、Ｓ１１５の処理に進み、Ｓ１１７でＮＯの場合、Ｓ１１８の処理を実行した後にＳ１１５の処理に進む。

【0147】

よって、ＣＰＵ１０１は、Ｓ１１４の処理の後に、Ｓ１１８の処理を実行するか否かを判断するため、Ｓ１１３においてレジ後センサ１１１がシートＰを検知した時点に基づいてメインモータ１０８の駆動継続時間を設定することになる。

【0148】

レジ後センサ１１１は、感光ドラム６１とレジストレーションローラ３４との間に配置されている。また、レジストレーションローラ３４は、画像形成部４の上流側に配置される複数の搬送ローラのうち、搬送方向においてニップ部Ｎに最も近い搬送ローラである。よって、レジ後センサ１１１は、画像形成部４の上流側においてニップ部Ｎに極力近い位置に配置される。

【0149】

さらに、レジ後センサ１１１がシートＰを検知した後に、シートＰはニップ部Ｎに到達する。したがって、ＣＰＵ１０１は、レジ後センサ１１１がシートＰを検知した時点に基づいてメインモータ１０８の駆動継続時間を設定するので、適切なタイミングでメインモータ１０８の駆動を停止して加熱ローラ５１を停止させることができる。

【0150】

［変形例４］
ＣＰＵ１０１は、図４に示すＳ１１９の処理に代えて、レジ後センサ１１１から入力された検知信号が「オン」から「オフ」になったかを判定する処理を実行してもよい。ＣＰＵ１０１は、レジ後センサ１１１から入力された検知信号が「オン」から「オフ」になっていない場合は、当該処理を再度実行してもよい。一方、ＣＰＵ１０１は、レジ後センサ１１１から入力された検知信号が「オン」から「オフ」になった場合は、レジ後センサ１１１がシートＰの通過完了を検知したと判定して、Ｓ１２０の処理に進んでもよい。

【0151】

このように、ＣＰＵ１０１は、レジ後センサ１１１がシートＰの通過完了を検知した時点に基づいて、Ｓ１２０において加熱ローラ５１の温度が待機温度となるようヒータ５３を制御してもよい。

【0152】

レジ後センサ１１１の検知結果に基づいてヒータ５３を制御することにより、レジ後センサ１１１を通過した後、加熱ローラ５１の温度が印字温度より低い待機温度となるようヒータ５３が制御される。そのため、カッター１０によるシートＰの切断開始前に、加熱ローラ５１の温度を低くすることができる。これにより、ニップ部Ｎが局所的に昇温するのを抑制できる。

【0153】

［変形例５］
ＣＰＵ１０１は、図４に示すＳ２０において、温度センサ５４を介して、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の温度が印字温度に達したかを判定する処理を実行してもよい。ＣＰＵ１０１は、温度センサ５４を介して、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の温度が印字温度に達していないと判定した場合は、上記の処理を再度実行してもよい。一方、ＣＰＵ１０１は、温度センサ５４を介して、加熱ローラ５１及び加圧ローラ５２の温度が印字温度に達したと判定した場合は、Ｓ２１の処理に進んでもよい。

【0154】

よって、ＣＰＵ１０１は、加熱ローラ５１の温度が、シートＰへの印字を待機する待機温度よりも高い温度である所定温度に到達した場合、Ｓ１１２において電磁クラッチ１０７により上記伝達状態とし、供給トレイ２１からシートＰを搬送してもよい。当該所定温度は、印字温度または給紙許可温度である。

【0155】

ＣＰＵ１０１は、加熱ローラ５１の温度が待機温度よりも高い温度である所定温度に到達した場合、メインモータ１０８からピックアップローラ３１へ駆動力が伝達される状態とし、供給トレイ２１からシートＰを搬送する。よって、加熱ローラ５１に対して定着に必要な熱量を確保した状態で、シートＰに画像を十分に定着させることができる。

【0156】

［変形例６］
上記した実施形態の画像形成装置１は、モノクロレーザプリンタであるとしたが、これに限らず、カラーレーザプリンタであってもよい。

【0157】

［変形例７］
上記した実施形態の画像形成装置１は、シートＰを２等分に切断する場合について説明したが、これに限らず、例えばシートＰを３等分に切断してもよく、シートＰの切断位置Ａは適宜変更可能である。

【0158】

［変形例８］
上記した実施形態の画像形成装置１は、通信Ｉ／Ｆ１３０により印刷ジョブを受信するものとしたが、これに限らず、例えば、ＵＳＢインターフェースを介して印刷ジョブを受信してもよい。

【0159】

本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。

【符号の説明】

【0160】

１ 画像形成装置 ４ 画像形成部
５ 定着器 １０ カッター
２１ 供給トレイ ３１ ピックアップローラ
３４ レジストレーションローラ ３６ 第１排出ローラ
３７ 第２排出ローラ ５１ 加熱ローラ
５２ 加圧ローラ ５３ ヒータ
６１ 感光ドラム ６４ 現像ローラ
６５ 帯電器 １０１ ＣＰＵ
１０７ 電磁クラッチ １０８ メインモータ
１１１ レジ後センサ １１２ 排紙センサ
１４０ 排出モータ Ａ 切断位置
Ｂ カッターの配置位置 Ｎ ニップ部
Ｐ シート ＴＲ 転写ローラ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】