(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077443
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】歩行者音声ガイドシステム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20240531BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20240531BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240531BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G01C21/36
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189543
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】718007003
【氏名又は名称】西村 豊
(72)【発明者】
【氏名】西村 豊
【テーマコード(参考)】
2F129
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129BB03
2F129DD20
2F129EE02
2F129EE17
2F129EE43
2F129FF02
2F129FF11
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2F129FF32
2F129FF69
2F129HH02
2F129HH12
5L049CC12
5L049CC17
5L049CC26
5L050CC12
5L050CC17
5L050CC26
(57)【要約】
【課題】歩行者に出発地、複数の中継地および終着地を規定した観光コースを提供し、旅行にあたって各地点の観光情報を音声ガイドし、また各地点間の経路を音声ナビゲーションする歩行者音声ガイドシステムを提供する。
【解決手段】観光ガイド制御部113およびナビゲーション制御部114を備えた携帯通信端末11と、近距離無線通信で連携されたヘッドセット12と、現在位置を測位する、GPS衛星20、無線LAN基地局30および携帯電話基地局40で構成される測位システムと、複数の観光コースの情報を格納した観光コースデータサーバ60と、地
図DBおよび経路探索部で構成される経路探索サーバ70と、それぞれを通信可能とする通信ネットワーク50を有し、音声観光ガイドおよび音声経路ナビゲーションを可能とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに出発地、複数の中継地および終着地を規定した観光コースを提供し、旅行にあたって各地点の観光情報を音声ガイドし、また各地点間の音声による経路ナビゲーションを提供する歩行者音声ガイドシステムであって、
ユーザが携帯する、通信制御部、音声制御部、ディスプレイ、観光ガイド制御部およびナビゲーション制御部を備えた携帯通信端末と、
携帯通信端末に近距離無線通信で連携され、音声入力部(マイク)および音声出力部(イヤホン)を備えたヘッドセットと、
携帯通信端末の現在位置を測位するためのGPS衛星、無線LAN基地局および携帯電話基地局で構成される測位システムと、
複数の観光コースを地域毎にリストした観光コースリストデータベース、各観光コースの詳細内容を格納した観光コース詳細データベース、各観光コースの画像を格納した観光コース画像データベース、各観光コースの出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地毎の観光情報音声を格納した観光情報音声データベースおよび各観光コースの出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地毎の観光情報テキストを格納した観光情報テキストデータベースから構成されるインターネット上の観光コースデータサーバと、
地図データベースおよび経路探索部から構成されるインターネット上の経路探索サーバと、
携帯通信端末と観光コースデータサーバおよび経路探索サーバを通信可能とする通信ネットワークを備え、
ユーザが選択した観光コースの詳細内容(観光コース名称、観光コース画像、観光コースの詳細および観光ルート)を観光コース詳細データベースおよび観光コース画像データベースより通信ネットワーク経由でダウンロードし、この内容をディスプレイ上に表示し、
ユーザが選択した観光コースの観光情報音声データを観光情報音声データベースより通信ネットワーク経由でダウンロードし、これを音声観光ガイドとしてヘッドセット経由でユーザに提供し、
観光コース詳細データベースより取得した観光ルート(出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地)の各地点を目的地として経路探索サーバにネットワーク経由で送信することにより、各地点間の音声経路ナビゲーションをヘッドセット経由でユーザに提供し、
各地点での音声観光ガイドと各地点間の音声経路ナビゲーションを終着地まで交互に行ない、
各地点での音声観光ガイドと各地点間の音声経路ナビゲーションの切り換えおよび開始を、ヘッドセット経由で認識されたユーザの音声による指示で行なうことを特徴とする歩行者音声ガイドシステム。
【請求項2】
各地点での音声観光ガイドと各地点間の音声経路ナビゲーションの切り換えおよび開始を、携帯通信端末のディスプレイ上に設置された「ガイド開始」ボタンおよび「ナビ開始」ボタンへのタップによる指示で行なうことを特徴とする、請求項1に記載の歩行者音声ガイドシステム。
【請求項3】
各地点での音声観光ガイドの出力方法として、選択された観光コースの観光情報テキストを観光情報テキストデータベースよりネットワーク経由でダウンロードし、この観光情報テキストを音声合成機能により音声データに変換し、これを音声観光ガイドとしてヘッドセット経由でユーザに提供することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の歩行者音声ガイドシステム。
【請求項4】
ユーザに出発地、複数の中継地および終着地を規定した観光コースを提供し、旅行にあたっては各地点の観光情報を音声観光ガイドし、また各地点間の音声経路ナビゲーションを提供する歩行者音声ガイドシステムであって、
ユーザが携帯する、通信制御部、音声制御部、ディスプレイ、観光ガイド制御部、ナビゲーション制御部およびメモリを備えた携帯通信端末と、
携帯通信端末に近距離無線通信で連携され、音声入力部(マイク)および音声出力部(イヤホン)を備えたヘッドセットと、
携帯通信端末の現在位置を測位するGPS衛星、無線LAN基地局および携帯電話基地局で構成される測位システムと、
複数の観光コースを地域毎にリストした観光コースリストデータベース、各観光コースの詳細内容を格納した観光コース詳細データベース、各観光コースの画像を格納した観光コース画像データベース、各観光コースの出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地毎の観光情報音声を格納した観光情報音声データベースおよび各観光コースの出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地毎の観光情報テキストを格納した観光情報テキストデータベースから構成されるインターネット上の観光コースデータサーバと、
地図データベースおよび経路探索部から構成されるインターネット上の経路探索サーバと、
携帯通信端末と観光コースデータサーバおよび歩行者経路探索サーバを通信可能とする通信ネットワークを備え、
観光コースリストデータ、観光コース詳細データ、観光コース画像データ、観光情報音声データ、観光情報テキストデータおよび地図データは、あらかじめ観光コースデータサーバの各データベースおよび経路探索サーバの地図データベースより通信ネットワークを通じてダウンロードすることにより、携帯通信端末の本体メモリまたはSDカード等の外部メモリ(以下、本体メモリまたはSDカード等の外部メモリを「メモリ」という)に格納しておき、
ユーザが選択した観光コースの詳細内容(観光コース名称、観光コース画像、観光コースの詳細および観光ルート)を、メモリに格納されている観光コース詳細データおよび観光コース画像データから読みだして、この内容をディスプレイ上に表示し、
ユーザが選択した観光コースの観光情報音声データをメモリに格納されている観光情報音声データから読みだし、これを音声観光ガイドとしてヘッドセット経由でユーザに提供し、
ナビゲーション制御部の経路探索手段および地図データの作用により、メモリに格納されている観光コース詳細データより取得した観光ルート(出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地)の各地点を目的地とした音声経路ナビゲーションを、ヘッドセット経由でユーザに提供し、
各地点での音声観光ガイドと各地点間の音声経路ナビゲーションを終着地まで交互に行ない、
各地点での観光情報の音声観光ガイドと各地点間の音声経路ナビゲーションの切り換えおよび開始を、ヘッドセット経由で認識されたユーザの音声による指示で行なうことを特徴とする歩行者音声ガイドシステム。
【請求項5】
各地点での音声観光ガイドと各地点間の音声経路ナビゲーションの切り換えおよび開始を、携帯通信端末のディスプレイに設置された「ガイド開始」ボタンおよび「ナビ開始」ボタンへのタップによる指示で行なうことを特徴とする、請求項4に記載の歩行者音声ガイドシステム。
【請求項6】
各地点での音声観光ガイドの出力方法として、選択された観光コースの観光情報テキストをメモリに格納されている観光情報テキストデータより読みだし、この観光情報テキストを音声合成機能により音声データに変換し、これを音声観光ガイドとしてヘッドセット経由でユーザに提供することを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の歩行者音声ガイドシステム。
【請求項7】
ユーザに各地点での音声観光ガイドを提供し、かつ各地点間を音声経路ナビゲーションする歩行者音声ガイド方法であって、歩行者音声ガイドのプログラムの冒頭でユーザの緯度・経度による現在位置を測位し、この位置情報に基づいてユーザが所在する行政的な住所を特定し、ユーザの現在位置の行政的な住所がプログラムの意図する都市にある市区町村のひとつであれば「旅行モード」が選択可能となり、ユーザが「旅行モード選択」ボタンをタップすることにより歩行者音声ガイドの「旅行モード」が開始され、
(a)ユーザが携帯通信端末のディスプレイ上に表示された観光コースのメニューから、出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地が規定されたひとつの観光コースを選択し、
(b)測位システムを用いてユーザの現在地を測位して、現在地と選択した観光コースの出発地の距離が所定の値以下であり、その後「旅行開始」ボタンがタップされると歩行者音声ガイドが開始され、
(c)選択された観光コースの観光情報音声データおよび観光情報テキストデータが観光コースデータサーバからダウンロード、またはメモリから読みだされ、観光情報テキストデータはディスプレイ上に表示され、観光情報音声データはユーザの音声指示または携帯通信端末のディスプレイ上に表示された「ガイド開始」ボタンへのタップによる続行の指示によりヘッドセット経由でユーザに提供され、あるいは観光情報テキストデータを音声合成により音声データに変換し、この音声データを「ガイド開始」ボタンへのタップによる続行の指示によりヘッドセット経由でユーザに提供され、
(d)出発地の音声観光データの出力が終了すると、ユーザの音声指示または携帯通信端末のディスプレイに表示された「ナビ開始」ボタンへのタップによる続行の指示により、出発地から第1中継地までの音声経路ナビゲーションが提供されてユーザを第1中継地まで導き、
(e)ユーザが第1中継地に到着するかほぼ到着すると、ユーザの音声指示または携帯通信端末のディスプレイ上に表示された「ナビ終了」ボタンへのタップによる指示により音声経路ナビゲーションが終了し、
(f)第1中継地の観光情報音声データおよび観光情報テキストデータが観光コースデータサーバからダウンロード、またはメモリから読みだされ、観光情報テキストデータはディスプレイ上に表示され、また観光情報音声データはユーザの音声指示またはディスプレイ上に表示された「ガイド開始」ボタンへのタップによる続行の指示によりヘッドセット経由でユーザに提供され、あるいは観光情報テキストデータを音声合成により音声データに変換し、この音声データを「ガイド開始」ボタンへのタップによる続行の指示によりヘッドセット経由でユーザに提供され、
上記(c)、(d)、(e)、(f)のプロセスを第2中継地、第3中継地、・・・終着地まで繰り返すことを特徴とする歩行者音声ガイド方法。
【請求項8】
ユーザが実際の旅行前に観光コースを学習し、旅行を計画することを目的とした歩行者音声ガイドの計画方法であって、歩行者音声ガイドのプログラムの冒頭でユーザの緯度・経度による現在位置を測位し、この位置情報に基づいてユーザが所在する行政的な住所を特定し、ユーザの現在位置の行政的な住所が本システムの意図する都市にある市区町村のひとつであっても「計画モード選択」ボタンをタップした場合は「計画モード」が開始され、あるいはユーザの現在位置の行政的な住所が本システムの意図する都市にある市区町村のひとつでなければプログラムはユーザが意図する都市にいないと判断して「計画モード」を選択可能とし、ユーザが「計画モード選択」ボタンをタップすることにより「計画モード」が開始され、
(a)ユーザが携帯通信端末のディスプレイ上に表示された観光コースのメニューから、出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地が規定されたひとつの観光コースを選択し、
(b)選択された観光コースの観光コース詳細データ、観光コース画像データおよび観光情報テキストデータが観光コースデータサーバからダウンロードされる、またはメモリから読みだされ、
(c)観光コースの観光コース詳細データ、観光コース画像データおよび観光情報テキストデータの内容がディスプレイ上に表示される、
ことを特徴とする歩行者音声ガイドの計画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歩行者であるユーザに出発地、複数の中継地および終着地を規定した観光コースを提供し、旅行にあたって各地点の観光情報を音声ガイドし、また各地点間の音声による経路ナビゲーションを提供する歩行者音声ガイドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット等のIT技術の進展により、これらを利用して歩行者向けに旅行情報を提供し、観光旅行等の利便を図る技術が数多く提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、旅行情報提供方法および旅行情報提供システムが提案されている。ここでは、利用者は旅行前に自宅のパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と呼ぶ)等で日程と目的地等を選択し、旅行情報提供システムは利用者の希望する旅行プランの作成を支援する。利用者はPCで自分が作成したプランをダウンロードするための携帯端末の貸出しの予約をし、旅行中に現地の運営所においてその携帯端末を借り受け、この携帯端末の指示をツアーコンダクターの代わりとして用いることができる。目的地に行く場合、測位機能を用いて自分の現在位置を割り出し、旅行情報提供サーバの経路探索機能によって、目的地までの経路が地図上に利用者に示される。
【0004】
また、特許文献2には、電子旅行ガイドのユーザ端末が提案されている。ここでは、ユーザは旅行前に自宅のユーザ固定端末において電子旅行電子サーバにアクセスして電子旅行ガイドデータをダウンロードし、旅行先地域の地図上の時系列に従った経路表示がメモリカードに移される。旅行に際しては、ユーザはこのメモリカードをユーザ携帯端末に装着し、通信衛星で検出された現在位置と、地図上における時系列に従った経路表示を重畳させ、現在位置から目的地への経路をユーザ携帯端末の画面上に表示する。また利用者が目的地に近づいたときに、目的地の情報が画面上に表示される。
【0005】
また、特許文献3には、歩行者ナビゲーション装置、歩行者ナビゲーションシステム、歩行者ナビゲーション方法が提案されている。ここでは、歩行者ナビゲーション装置は携帯電話により構成されており、経路案内のガイドポイントに到達する前に、振動により歩行者にガイドがあることを伝達し、この後、所定の遅延時間後に目的地までの距離や進行方向等を示すガイド音声を発生させる。歩行者は振動の伝達を感知して携帯電話をポケットから取り出す余裕が得られ、その後ナビゲーション表示を閲覧し、またガイド音声を聞くことによってガイドの利便性の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3730110号公報
【特許文献2】特許第4731930号公報
【特許文献3】特許第4460536号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Microsoft Corporation Xamarinドキュメント 「Androidでの位置情報サービス」 2022年6月10日 https://docs.microsoft.com/ja-jp/xamarin/android/platform/maps-and-location/location
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載された旅行情報提供方法および旅行情報提供システムでは、自宅のPCで旅行プランを作成し現地でこの旅行プランを格納した携帯端末を借り受けるという手間が必要であり、また、経路探索機能によって目的地までの経路が地図上に示されるだけなので、利用者は常に携帯端末の画面を注視しなければならず、利用者に利便性のあるシステムとはいえない。
【0009】
また、上記特許文献2に記載された電子旅行ガイドのユーザ端末では、自宅のユーザ固定端末においてメモリカードに電子旅行ガイドデータをダウンロードし、旅行に際してこのメモリカードをユーザ携帯端末に装着して経路探索や観光地情報の案内を受けるものであるが、メモリカードの介在によるガイドの提供は利用者の利便性に欠ける。また、経路探索機能によって目的地までの経路が地図上に示されるだけなので、利用者は常に携帯端末の画面を注視しなければならず、利用者に利便性のあるシステムとはいえない。
【0010】
また、上記特許文献3に記載された歩行者ナビゲーション装置、歩行者ナビゲーションシステム、歩行者ナビゲーション方法では、経路案内のガイドポイントに到達する前に、振動により歩行者にガイドがあることを伝達することによりガイドの利便性の向上を図れるが、一連の観光コース全体の観光ガイドの利便性の向上を含むものではない。
【0011】
このように、旅行情報サービスシステムに関する従来技術は、ユーザに質の高い観光コースを提供し、これを選択したユーザが旅行中に各地点の観光情報を容易に取得し、更に各地点間の経路ナビゲーションを利便性良く受けることが困難であった。
【0012】
本発明の目的は、歩行者であるユーザに出発地、複数の中継地および終着地を規定した観光コースを提供し、旅行にあたって各地点での観光情報を音声ガイドし、また各地点間の経路を音声ナビゲーションする歩行者音声ガイドシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明での上記目的は、以下の構成により達成することができる。
【0014】
請求項1に記載の発明は、ユーザに出発地、複数の中継地および終着地を規定した観光コースを提供し、各地点での観光情報を音声ガイドし、また各地点間の音声経路ナビゲーションを提供する歩行者音声ガイドシステムであり、
(A)ユーザが携帯する、通信制御部、音声制御部、ディスプレイ、観光ガイド制御部およびナビゲーション制御部を備えた携帯通信端末と、
(B)携帯通信端末に近距離無線通信で連携され、音声入力部(マイク)および音声出力部(イヤホン)を備えたヘッドセットと、
(C)携帯通信端末の現在位置を測位する、GPS衛星、無線LAN基地局および携帯電話基地局で構成される測位システムと、
(D)複数の観光コースを地域毎にリストした観光コースリストデータベース(以下、データベースを「DB」という)、各観光コースの詳細内容を格納した観光コース詳細DB、各観光コースの画像を格納した観光コース画像DB、各観光コースの出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地毎の観光情報音声を格納した観光情報音声DBおよび各観光コースの出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地毎の観光情報テキストを格納した観光情報テキストDBから構成されるインターネット上の観光コースデータサーバと、
(E)地
図DBおよび経路探索部から構成されるインターネット上の経路探索サーバと、
(F)携帯通信端末と観光コースデータサーバおよび経路探索サーバを通信可能とする通信ネットワークで構成され、
その処理の手順は、
(a)携帯通信端末は選択された観光コースの詳細内容(観光コース名称、観光コース画像、観光コースの概要および観光ルート)を観光コース詳細DBおよび観光コース画像DBよりネットワーク経由でダウンロードし、この内容をディスプレイ上に表示し、
(b)選択された観光コースの観光情報音声データを観光情報音声DBよりネットワーク経由でダウンロードし、これを音声観光データとしてヘッドセット経由でユーザに提供し、
(c)観光コース詳細DBより取得した観光ルート(出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地)の各地点を目的地として経路探索サーバにネットワーク経由で送信することにより、各地点間の音声経路ナビゲーションをヘッドセット経由でユーザに提供し、
(d)各地点での音声観光ガイドと各地点間の音声経路ナビゲーションを終着地まで交互に行ない、
(e)各地点での音声観光ガイドと各地点間の音声経路ナビゲーションの切り換えおよび開始を、ヘッドセットと携帯通信端末で認識されたユーザの音声による指示で行なうことを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に係る歩行者音声ガイドシステムにおいて、各地点での音声観光ガイドと各地点間の音声経路ナビゲーションの切り換えおよび開始を、携帯通信端末のディスプレイ上に設置された「ガイド開始」ボタンおよび「ナビ開始」ボタンへのタップによる指示で行なうことを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に係る歩行者音声ガイドシステムにおいて、各地点での音声観光ガイドの出力方法として、選択された観光コースの観光情報テキストデータを観光情報テキストDBよりネットワーク経由でダウンロードし、この観光情報テキストを音声合成機能により音声データに変換し、この音声データをヘッドセット経由でユーザに提供することを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明が請求項1の発明と異なるのは、観光コースリストデータ、観光コース詳細データ、観光コース画像データ、観光情報音声データ、観光情報テキストデータおよび地図データは、あらかじめ観光コースデータサーバの各DBおよび経路探索サーバの地
図DBより通信ネットワークを通じてダウンロード後にメモリに格納しておき、観光情報の音声ガイドおよび経路の音声ナビゲーションをオフラインで可能とする点である。すなわち、
(A)ユーザが携帯する、通信制御部、音声制御部、ディスプレイ、観光ガイド制御部、ナビゲーション制御部およびメモリを備えた携帯通信端末と、
(B)携帯通信端末に近距離無線通信で連携され、音声入力部(マイク)および音声出力部(イヤホン)を備えたヘッドセットと、
(C)携帯通信端末の現在位置を測位する、GPS衛星、無線LAN基地局および携帯電話基地局で構成される測位システムと、
(D)複数の観光コースを地域毎にリストした観光コースリストDB、各観光コースの詳細内容を格納した観光コース詳細DB、各観光コースの画像を格納した観光コース画像DB、各観光コースの出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地毎の観光情報音声を格納した観光情報音声DBおよび各観光コースの出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地毎の観光情報テキストを格納した観光情報テキストDBから構成されるインターネット上の観光コースデータサーバと、
(E)地
図DBおよび経路探索部から構成されるインターネット上の経路探索サーバと、
(F)携帯通信端末と観光コースデータサーバおよび経路探索サーバを通信可能とする通信ネットワークで構成され、
その処理の手順は、
(a)自宅等のWi-Fiが可能な場所で、あらかじめ観光コースデータサーバの各DBおよび経路探索サーバの地
図DBより通信ネットワークを通じて各データをダウンロードすることにより、携帯通信端末のメモリに格納しておき、
(b)旅行にあたっては、ユーザが選択した観光コースの詳細内容(観光コース名称、観光コース画像、観光コースの概要および観光ルート)を、メモリに格納されている観光コース詳細データおよび観光コース画像データから読みだし、この内容をディスプレイ上に表示し、
(c)ユーザが選択した観光コースの観光情報音声データをメモリに格納されている観光情報音声データから読みだし、これを音声観光データとしてヘッドセット経由でユーザに提供し、
(d)ナビゲーション制御部の経路探索手段と地図データの作用により、観光コース詳細データより取得した観光ルート(出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地)の各地点を目的地とした音声経路ナビゲーションを、ヘッドセット経由でユーザに提供し、
(e)各地点での音声観光ガイドと各地点間の音声経路ナビゲーションを終着地まで交互に行ない、
(f)各地点での音声観光ガイドと各地点間の音声経路ナビゲーションの切り換えおよび開始を、ヘッドセット経由で認識されたユーザの音声による指示で行なうことを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、上記請求項4に係る歩行者音声ガイドシステムにおいて、各地点での音声観光ガイドと各地点間の音声経路ナビゲーションの切り換えおよび開始を、携帯通信端末のディスプレイ上に設置された「ガイド開始」ボタンおよび「ナビ開始」ボタンへのタップによる指示で行なうことを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、上記請求項4または請求項5に係る歩行者音声ガイドシステムにおいて、各地点での音声観光ガイドの出力方法として、選択された観光コースの観光情報テキストをメモリ内の観光情報テキストデータより読みだして、この観光情報テキストを音声合成機能により音声データに変換し、この音声データをヘッドセット経由でユーザに提供することを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は歩行者音声ガイドシステムの歩行者音声ガイド方法に関し、歩行者音声ガイドのプログラムの冒頭でユーザの緯度・経度による現在位置を測位し、この位置情報に基づいてユーザが所在する行政的な住所を特定し、ユーザの現在位置の行政的な住所が本システムの意図する都市にある市区町村のひとつであれば「旅行モード」が選択可能となり、ユーザが「旅行モード選択」ボタンをタップすることにより歩行者音声ガイドの旅行モードが開始され、
(a)ユーザが携帯通信端末のディスプレイ上に表示された観光コースのメニューから、出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地が規定されたひとつの観光コースを選択し、
(b)測位システムを用いてユーザの現在地を測位して、現在地と選択した観光コースの出発地の距離が所定の値以下であり、その後「旅行開始」ボタンがタップされると歩行者音声ガイドが開始され、
(c)選択された観光コースの観光情報音声データおよび観光情報テキストデータが観光コースデータサーバからダウンロード、またはメモリから読みだされ、観光情報テキストデータはディスプレイ上に表示され、観光情報音声データはユーザの音声指示または携帯通信端末のディスプレイ上に表示された「ガイド開始」ボタンへのタップによる続行の指示によりヘッドセット経由でユーザに提供され、あるいは観光情報テキストデータを音声合成により音声データに変換し、この音声データを「ガイド開始」ボタンへのタップによる続行の指示によりヘッドセット経由でユーザに提供され、
(d)出発地の音声観光データの出力が終了すると、ユーザの音声指示または携帯通信端末のディスプレイに表示された「ナビ開始」ボタンへのタップによる続行の指示により、出発地から第1中継地までの音声経路ナビゲーションが提供されてユーザを第1中継地まで導き、
(e)ユーザが第1中継地に到着するかほぼ到着すると、ユーザの音声指示または携帯通信端末のディスプレイ上に表示された「ナビ終了」ボタンへのタップによる指示により音声経路ナビゲーションが終了し、
(f)第1中継地の観光情報音声データおよび観光情報テキストデータが観光コースデータサーバからダウンロード、またはメモリから読みだされ、観光情報テキストデータはディスプレイ上に表示され、また観光情報音声データはユーザの音声指示またはディスプレイ上に表示された「ガイド開始」ボタンへのタップによる続行の指示によりヘッドセット経由でユーザに提供され、あるいは観光情報テキストデータを音声合成により音声データに変換し、この音声データを「ガイド開始」ボタンへのタップによる続行の指示によりヘッドセット経由でユーザに提供され、
上記(c)、(d)、(e)、(f)のプロセスを第2中継地、第3中継地、・・・終着地まで繰り返すことを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明は、ユーザが実際の旅行前に観光コースを学習し、旅行を計画することを目的とした歩行者音声ガイドの計画方法であって、歩行者音声ガイドのプログラムの冒頭でユーザの緯度・経度による現在位置を測位し、この位置情報に基づいてユーザが所在する行政的な住所を特定し、ユーザの現在位置の行政的な住所が本システムの意図する都市にある市区町村のひとつであっても「計画モード選択」ボタンをタップした場合は「計画モード」が開始され、あるいはユーザの現在位置の行政的な住所が本システムの意図する都市にある市区町村のひとつでなければプログラムはユーザが意図する都市にいないと判断して「計画モード」を選択可能とし、ユーザが「計画モード選択」ボタンをタップすることにより「計画モード」が開始され、
(a)ユーザが携帯通信端末のディスプレイ上に表示された観光コースのメニューから、出発地・第1中継地・第2中継地・・・終着地が規定されたひとつの観光コースを選択し、
(b)選択された観光コースの観光コース詳細データ、観光コース画像データおよび観光情報テキストデータが、観光コースデータサーバからダウンロードされる、またはメモリから読みだされ、
(c)観光コースの観光コース詳細データ、観光コース画像データおよび観光情報テキストデータがディスプレイ上に表示される、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、歩行者音声ガイドシステムは、旅行前に自宅等において旅行の専門家が用意した観光情報の閲覧、選択、計画をユーザに提供できる。
【0023】
旅行の開始に際しては、ユーザの現在位置と選択したコースの登録した出発地との距離を測定し、所定の距離以下(例えば1km以下)であれば歩行者音声ガイドが開始される。したがって、歩行者音声ガイドを開始するのに適当であると判断された場合のみ、歩行者音声ガイドを開始することができる。
【0024】
旅行が開始されると、各地点での音声観光ガイドと地点間の音声経路ナビゲーションを終着点まで交互に行なうので、ユーザはあたかも熟練のツアーガイドが同行している感覚で旅行を堪能することができる。
【0025】
各中継地に到達すると、その地点の観光情報、歴史的背景、注目の話題、工事情報、危険情報等が音声観光ガイドとして提供され、ユーザの旅行を充実し、かつ安全なものにできる。
【0026】
各地点間の音声経路ナビゲーションでは、目的地までの経路を音声によりユーザに指示する。ナビゲーションは現在位置から目的地への設定になっているので、経路が当初のものからはずれても確実な道案内が可能である。
【0027】
各地点での音声観光ガイドと地点間の音声経路ナビゲーションの開始は、ユーザの音声による指示、あるいはディスプレイ上のボタンへのタップにより行なわれる。これは目的地に到達してもユーザはすぐには音声観光ガイドを所望しないこともあり、また音声観光ガイドが終了しても食事等ですぐには次の目的地に向かって出発しない場合があることを考慮したものになっている。
【0028】
観光コースデータの更新および地図データの更新は、観光コースデータサーバおよび経路探索サーバの内容を更新することにより、あるいは携帯通信端末のメモリ内の各データがサーバによって自動更新されることにより、ユーザは常に最新の旅行情報の取得が可能となる。
【0029】
観光案内のガイドと経路のナビゲーションは携帯通信端末の画面でも可能なので、聴覚障害者や音声が聞き取りにくい人はこれを利用することができる。しかし、本発明の主旨は、音声観光ガイドと音声経路ナビゲーションをヘッドセットで提供されることにあり、周囲の人に迷惑をかけることなく歩行者音声ガイドのサービスを受けることができる。ヘッドセットは片耳型が推奨され、歩行者音声ガイドを受けているときも周囲の音を聞くことが可能である。このため旅行中に他人との会話が可能であり、また町のアナウンスや自動車の接近音等が聞き取れるので、安全性にも配慮されたものとなっている。
【0030】
上記のように、本発明の歩行者音声ガイドシステムによれば、ユーザの興味に副った質の高い詳細な音声観光ガイドおよび音声経路ナビゲーションを行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1および第2の実施形態における歩行者音声ガイドシステムを示す概要構成図である。
【
図2】第1の実施形態における歩行者音声ガイドシステムを示す詳細構成図である。
【
図3】第1および第2の実施形態における「旅行モード」と「計画モード」の決定手順を示すフローチャートである。
【
図4】第1および第2の実施形態における「旅行モード」の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】第1および第2の実施形態における携帯通信端末の初期画面(ユーザが所定の都市内にいる場合)の例を示す図である。
【
図6】第1および第2の実施形態における携帯通信端末の表示画面(ユーザが所在する行政区内の観光コース一覧)の例を示す図である。
【
図7】第1および第2の実施形態における携帯通信端末の表示画面(選択された観光コースの詳細データ)の例を示す図である。
【
図8】第1および第2の実施形態における携帯通信端末の表示画面(ガイド画面:観光コース詳細データかつ音声ガイド待機画面)の例を示す図である。
【
図9】第1および第2の実施形態における携帯通信端末の表示画面(ナビ画面:音声ナビゲーション待機画面)の例を示す図である。
【
図10】第1および第2の実施形態における携帯通信端末の表示画面(ナビゲーション画面)の例を示す図である。
【
図11】第1および第2の実施形態における「計画モード」の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】第1および第2の実施形態における携帯通信端末の初期画面(ユーザが所定の都市外にいる場合)を示す図である。
【
図13】第1および第2の実施形態における携帯通信端末の表示画面(都市内の行政区毎の観光コース一覧)の例を示す図である。
【
図14】第1および第2の実施形態における携帯通信端末の表示画面(ユーザが選択した行政区内の観光コース一覧)の例を示す図である。
【
図15】第1および第2の実施形態における携帯通信端末の表示画面(ガイド画面:観光コース詳細データ)の例を示す図である。
【
図16】第2の実施形態における歩行者音声ガイドシステムを示す詳細構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の具体例を実施例および図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明はかかる実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内で種々の変更が可能である。
【0033】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る歩行者音声ガイドシステムについて、
図1、
図2、・・・
図15に基づいて説明する。
【0034】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る歩行者音声ガイドシステムの一例を示す概要構成図である。この歩行者音声ガイドシステム1は、歩行者10、GPS(Global Positioning System)衛星20、無線LAN基地局30、携帯電話基地局40、通信ネットワーク50、観光コースデータサーバ60および経路探索サーバ70で構成されている。
【0035】
歩行者であるユーザ10は、携帯通信端末11とヘッドセット12を携帯し、この2つはBluetooth(登録商標)等で代表される近距離無線通信13で接続されている。この構成により、ユーザの発する音声をヘッドセット12のマイク機能により携帯通信端末11に入力し、また携帯通信端末11から出力した音声データをユーザがヘッドセット12のイヤホン機能で聞くことができる。
【0036】
GPS衛星20は、携帯通信端末11に位置情報を提供する。
図1ではひとつのGPS衛星しか図示していないが、実際には複数のGPS衛星からの位置情報を受信して携帯通信端末11の正確な位置情報を得ることが一般的である。
【0037】
無線LAN基地局30は、無線LAN可能な条件下において、携帯通信端末11に無線LAN接続によるデータ通信を可能とする。また無線LAN基地局30は位置情報の取得に利用される。
図1ではひとつの無線LAN基地局しか図示していないが、実際には携帯通信端末11は周辺の複数の無線LAN基地局を認識し、これらの認識番号であるMAC(Media Access Control)アドレスから位置情報データベースにアクセスして位置情報を得ることが可能である。
【0038】
携帯電話基地局40は通信事業者が設置している通信施設で、この基地局を介して携帯通信端末11の音声通話およびデータ通信を可能とする。また携帯電話基地局40は位置情報の取得に利用されている。
図1ではひとつの携帯電話基地局しか図示していないが、実際には携帯通信端末11は周辺の複数の携帯電話基地局を認識し、これらの位置情報と電波強度から位置情報を得ることが可能である。
【0039】
GPS衛星20による位置情報、無線LAN基地局30の情報を利用した位置情報および携帯電話基地局40の情報を利用した位置情報の3つを融合して、ユーザが置かれた種々の環境条件で最も確からしい位置情報を携帯通信端末に与えるサービスが実用化されている(非特許文献1)。すなわち、ユーザがGPS衛星の電波の届かない屋内や樹木の下にいたとしても、無線LAN基地局と携帯電話基地局からの電波を利用することにより、その位置情報を得ることが可能となる。また逆に無線LAN基地局と携帯電話基地局からの電波が微弱な郊外の地域にあっても、GPS衛星の電波の利用でユーザの位置情報を得ることが可能となる。
【0040】
観光コースデータサーバ60は、複数の観光コースに関するデータを格納するインターネット上のサーバである。
【0041】
経路探索サーバ70は、出発地と目的地の情報から経路探索を実行する一般的に「地図アプリケーション」と呼ばれているAPI(Application Programming Interface)のインターネット上のサーバである。
【0042】
観光コースデータサーバ60と経路探索サーバ70は、通信ネットワーク50を介して携帯通信端末11に接続され、携帯通信端末11の要求に基づいて必要とされる観光コースに関するデータや経路探索結果を携帯通信端末11へ送信する。
【0043】
図2は、本発明の第1の実施形態において、携帯通信端末11、ヘッドセット12、観光コースデータサーバ60および経路探索サーバ70の内部構成を示した詳細構成図である。
【0044】
携帯通信端末11は、通信制御部110、音声制御部111、ディスプレイ112、観光ガイド制御部113およびナビゲーション制御部114で構成され、一般的にスマートフォンあるいはタブレットと称されるような携帯型の通信端末である。
【0045】
携帯通信端末11は通信制御部110を介して、近距離無線通信13でヘッドセット12と通信し、GPS衛星20よりGPS信号21を受信し、無線LAN通信31を用いて無線LAN基地局30経由で通信ネットワーク50に接続し、さらにモバイルデータ通信41を用いて携帯電話基地局40経由で通信ネットワーク50に接続されている。
【0046】
ヘッドセット12は、音声入力部(マイク)および音声出力部(イヤホン)で構成され、無線で携帯通信端末11と音声を送受信できるマイク付きの小型ヘッドホンである。
【0047】
観光コースデータサーバ60は、観光コースリストDB、観光コース概要DB、観光コース画像DB、観光情報音声DBおよび観光情報テキストDBで構成されている。携帯通信端末11の要求が受信されると、各DBのデータは通信ネットワーク50を介して携帯通信端末11に送信される。
【0048】
経路探索サーバ70は、地
図DBおよび経路探索部で構成されている。携帯通信端末11からの要求が受信されると経路を探索し、その結果が通信ネットワーク50を介して携帯通信端末11に送信される。
【0049】
図3は、本発明の第1の実施形態における歩行者音声ガイドシステム1の動作を示すフローチャートである。
【0050】
ステップS1において、GPS衛星20と無線LAN基地局30および携帯電話基地局40の情報からナビゲーション制御部114の位置検出手段を用いてユーザの現在位置の緯度・経度を測位する。
【0051】
ステップS2において、リバース・ジオコーディングと呼ばれるAPIを使って、緯度・経度の情報から行政的な市区町村を特定する。
図5に歩行者音声ガイドシステム1の初期画面でのディスプレイ112の表示の例を示す。この例では、都市名は「東京23区」で、ユーザの現在位置は「港区」と特定されている。また
図5の下部には「旅行モード選択」ボタンと「計画モード選択」ボタンが設置されている。
【0052】
ステップS3において、ユーザが本システムの規定した都市内に所在しているか判断し(本例では「東京23区」内に所在しているか)、所在していれば(ステップS3、YES)、ユーザが「旅行モード選択」ボタンをタップ(選択)して旅行の開始の意思を示すことにより(ステップS4、YES)、「旅行モード」に遷移する(ステップS6)。また、ユーザが「計画モード選択」ボタンをタップ(選択)して旅行を計画する意思を示すことにより(ステップS5、YES)、「計画モード」に遷移する(ステップS7)。
【0053】
ステップS3において、ユーザが本システムの規定した都市内に所在していなければ(ステップS3、NO)、ユーザが「計画モード選択」ボタンをタップ(選択)して旅行を計画する意思を示すことにより(ステップS5、YES)、「計画モード」に遷移する(ステップS7)。また、ユーザが「計画モード選択」ボタンをタップ(選択)しなければ、歩行者音声ガイドシステム1のプログラムは終了する(ステップS5、NO)。
【0054】
図4は本発明の第1の実施形態において、
図3のステップS6で「旅行モード」が選択された場合の動作を示すフローチャートである。
【0055】
ステップS11において、観光コースデータサーバ60の観光コースリストDBからダウンロードされた観光コースリストがディスプレイ112に表示され、ユーザがこれを閲覧する。
図6に、この表示の例を示す。この例の場合、
図3のステップS2でユーザが「港区」にいると判明しているので、観光コースデータサーバ60の観光コース概要DBおよび観光コース画像DBからダウンロードされた「港区」の観光コースの名称と写真が、ディスプレイ112に
図6の例のように表示される。ユーザがこの中の好みの観光コースの画像にタップ(選択)すると(この例では「増上寺・愛宕神社」コース)、選択された観光コースの観光コース詳細データが、ディスプレイ112に
図7の例のように表示される(ステップS12)。
【0056】
ここで
図7の観光コースの詳細データの内容について説明する。上部にある複数の画像は、観光コースデータサーバ60の観光コース画像DBからダウンロードされた「増上寺・愛宕神社」コースのもので、ユーザがコースの概要を視覚的に理解するのに役立つ。その下に観光コース全体を説明するテキストが記載されている。最後に行程情報として、出発地から中継地1、2、3 ・・・ 、 終着地の名称が記述されている。この名称は後述する観光コースを巡回するときの目的地の情報として使用される。ディスプレイの下部に、ステップS13で歩行者音声ガイドを開始する場合にタップされる「旅行開始」ボタンが配置される。
図7に表示されないが、観光コース詳細データには出発地の緯度と経度の数値が記載されている。この情報はシステムに記憶され、ステップS14でユーザの現在位置と出発地の間の距離を計算するときに使用される。
【0057】
ステップS13で、ユーザが
図7に示す「旅行開始」ボタンをタップして歩行者音声観光ガイドを開始した場合は、ステップS14に進む。ステップS14で、GPS衛星20、無線LAN基地局30および携帯電話基地局40の情報からナビゲーション制御部114の位置検出手段でユーザの現在位置の緯度・経度を測位し、ユーザの現在位置が選択された観光コースの出発地から規定値以上離れているかを計算する。もし規定値以上離れている場合には、音声制御部111の音声出力手段から「出発地まで移動してください」という意味のメッセージが発話され、またはディスプレイ112に表示され(ステップS26)、歩行者音声ガイドシステム1のプログラムは終了する。これはユーザが選択されたコースの出発地から遠く離れている場合には、歩行者音声ガイドを開始するには適当でないと判断されるためである。しかし、例えば1km程度離れていても目的地までの経路のナビゲーションは可能であるので(経路ナビゲーションは現在地から目的地までの経路のナビゲーションとして設定することが可能である)、システムの運用でこの規定値を任意に規定することができる。現在位置が規定値以内であればステップS15に進み、選択された観光コースの観光情報音声データおよび観光情報テキストが観光コースデータサーバ60からダウンロードされ、出発地の観光情報テキストがディスプレイ112に
図8の例のように表示される(ステップS16)。
図8は「ガイド画面」とよぶもので、ユーザはこの情報によって、これからの観光プラン、観光ルート、出発地の観光情報や歴史的背景等についての情報を得ることができる。
図8の画面下部には「ガイド開始」ボタンが配置されており、このボタンをタップする、またはユーザの音声指示による続行の指示により(ステップS17)、出発地の音声観光ガイドがヘッドセット経由でユーザに提供される(ステップS18)。ユーザは状況により直ちにガイド音声を必要としない場合もあり、このようなボタンタップによる開始動作が必要となる。
【0058】
上記音声ガイドの出力が終了すると、
図9の例で示す画面がディスプレイ112に表示される。
図9は「ナビ画面」とよぶもので、画面上部には
図7で明示された行程情報のなかから、次の目的地が自動的に表示される。
図9の画面下部には「ナビ開始」ボタンが配置されており、このボタンをタップする、またはユーザの音声指示による続行の指示により(ステップS19)、現在位置から第1の目的地までの音声経路ナビゲーションが開始され、同時にこの経路情報が地図表記の形でディスプレイ112に表示される(ステップS20)。ディスプレイ112に表示される経路情報地図の例を
図10に示す。ユーザは状況により直ちに次の目的地に出発しない場合もあり、このようなボタンタップによる開始動作が必要となる。
【0059】
ステップS20の処理においては、ユーザは主に音声ナビゲーションによって、どの方向へ向かうか、何メートル先の交差点を直進するか左折するか右折するか等を、音声によりナビゲーションされることにより、第1の目的地まで到達することができる。目的地の位置は地図上の緯度と経度で認識されるが、ほとんどの場合に目的地の近傍に到達すれば、ユーザは目的地に到達したことがわかる。したがって目的地に到達した、あるいは目的地の近傍に到達してナビゲーションが不要になった場合、ユーザは音声による指示または
図10の経路情報地図画面上にオーバーレイで配置された「ナビ終了」ボタンをタップすることによって、音声経路ナビゲーションを終了する。
【0060】
音声経路ナビゲーションが終了すると、ステップS21で現在の観光ガイドのステップが終着地であるか判定される。終着地であれば、終着地の観光情報音声データおよび観光情報テキストデータが観光コースデータサーバからダウンロードされ、観光情報テキストデータはディスプレイ112に
図8の例のように表示される(ステップS27)。ユーザの「ガイド開始」ボタンへのタップ、または音声指示による続行の指示により(ステップS28)、終着地の音声観光ガイドがヘッドセット経由でユーザに提供され(ステップS29)、終着地の音声観光ガイドが終了すると、歩行者音声ガイドシステム1のプログラムは終了する。
【0061】
ステップS21で現在の観光ガイドのステップが終着地でなければ、中継地の観光情報音声データおよび観光情報テキストが観光コースデータサーバからダウンロードされ、中継地の観光情報テキストがディスプレイ112に
図8の例のように表示される(ステップS22)。「ガイド開始」ボタンへのタップ、またはユーザの音声指示による続行の指示により(ステップS23)、中継地の音声観光ガイドがヘッドセット経由でユーザに提供される(ステップS24)。
【0062】
上記音声ガイドの出力が終了すると、ディスプレイ112に次の目的地を明示された「ナビ画面」が表示される。「ナビ画面」下部の「ナビ開始」ボタンへのタップ、またはユーザの音声指示による続行の指示により(ステップS25)、現在位置から次の目的地までの音声経路ナビゲーションが開始され、同時にこの経路情報が地図表記の形でディスプレイ112に表示される。
【0063】
ステップS20からステップS25のプロセスを終着地までくりかえし、観光ガイドのステップが終着地に到達したら、ステップS27~S29に進み歩行者音声ガイドシステム1のプログラムは終了する。
【0064】
図11は、
図3のステップS7で「計画モード」が選択された場合の歩行者音声ガイドシステム1の動作を示すフローチャートである。
【0065】
ステップS3で、ユーザが本システムの規定した都市内に所在していないので(本例では「東京23区」内に所在していない)、歩行者音声ガイドシステム1のプログラムの初期画面は
図12の例で示すようなものとなる。ユーザの現在位置は特定せず、この例の場合は「東京23区外」と明示される。画面下部のモード選択ボタンは「計画モード選択」のみが表示される。ユーザの現在の所在地は「東京23区外」なので、実際の旅行にいくことはないからである。ユーザが画面の下部の「計画モード選択」ボタンをタップすると、ステップS31に遷移する。
【0066】
ステップS31において、観光コースデータサーバ60の観光コースリストDBからダウンロードされた観光コースリストがディスプレイ112に表示され、ユーザがこれを閲覧する。
図13にこの表示の例を示す。この例では東京都のエリア(本例の場合:区)毎のコースが表示され、ステップS32でユーザがこの中の好みの市区村町をタップ(選択)すると(この例では「台東区」)、観光コースデータサーバ60の観光コース概要DBおよび観光コース画像DBからダウンロードされた「台東区」の観光コースの名称と写真が、ディスプレイ112に
図14の例のように表示される。ユーザがこの中の好みの観光コースの画像をタップ(選択)すると(この例では「浅草寺・待乳山聖天宮」コース)、選択された観光コースの観光コース詳細データが、ディスプレイ112に
図15の例のように表示される(ステップS33)。ユーザはこの情報からコースの詳細を学習し、将来の旅行の計画をたてることができる。
【0067】
図15の画面には次に展開するためのボタンは存在せず、ステップS34において別のコースを閲覧したい場合には、「戻る」ボタンをタップしてステップ32に戻り、
図13の画面で調査したいコースを選択することができる。
【0068】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る歩行者音声ガイドシステムについて、
図16に基づいて説明する。
【0069】
図16は、本発明の第2の実施形態に係る歩行者音声ガイドシステムの一例を示す詳細構成図である。この歩行者音声ガイドシステム1が第1の実施形態の詳細説明図である
図2のものと異なるのは、観光コースリストデータ、観光コース詳細データ、観光コース画像データ、観光情報音声データ、観光情報テキストデータおよび地図データは、あらかじめ観光コースデータサーバ60の各DBおよび経路探索サーバ70の地
図DBより通信ネットワーク50を通じてダウンロードすることにより携帯通信端末11のメモリ115に格納しておき、各地点での音声観光ガイドおよび各地点間の音声経路ナビゲーションをオフラインで可能とする点である。
【0070】
上記以外の構成とその作用は第1の実施形態で説明したものと同等であり、第1の実施形態の説明のなかの「各DBからのダウンロード」の部分を「メモリに格納された各データからの読みだし」と読み替えることで、第2の実施形態を説明することができる。したがって
図2を除く
図1~
図15の内容は、第2の実施形態の態様にも適用されるものである。
【0071】
図4と
図11のフローチャートにおいては、図中の「各データの取得」の部分を、第1の実施形態にあたっては「各DBからのダウンロード」、第2の実施形態にあたっては「メモリに格納された各データの読みだし」と解釈することで、共通に用いることができる。
【0072】
近年の地
図APIや経路探索APIは、ネットワークが通じていない地域をカバーするため、また地図検索時の通信量の節約のために、オフラインで使用できる機能が追加されている。ユーザは自宅等のWi-Fiが使用できる環境で所望の地域の地図データを携帯通信端末11のメモリ115にダウンロードしておき、実際の旅行モードでその地域に旅行する場合には、これらのデータを読みだして用いることが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 歩行者音声ガイドシステム
10 ユーザ
11 携帯通信端末
110 通信制御部
111 音声制御部
112 ディスプレイ
113 観光ガイド制御部
114 ナビゲーション制御部
115 外部メモリ
12 ヘッドセット
13 近距離無線通信
20 GPS衛星
21 GPS信号
30 無線LAN基地局
31 無線LAN通信
40 携帯電話基地局
41 モバイルデータ通信
50 通信ネットワーク
60 観光コースデータサーバ
70 経路探索サーバ