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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077453
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】胆汁吸引カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240531BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
A61M25/00 620
A61M25/00 542
A61M1/00 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189560
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 慶太
(72)【発明者】
【氏名】藤井 文都子
【テーマコード(参考)】
4C077
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA15
4C077CC01
4C077CC02
4C077GG02
4C267AA04
4C267AA28
4C267BB06
4C267BB09
4C267BB13
4C267BB15
4C267BB43
4C267BB52
4C267BB63
4C267CC22
4C267GG03
4C267GG04
4C267GG05
4C267GG06
4C267GG07
4C267GG08
4C267GG09
4C267GG10
4C267GG22
4C267GG24
4C267GG34
(57)【要約】
【課題】胆管内に洗浄液を供給して胆汁を吸引する胆汁吸引カテーテルであって、胆管内の内圧が高まったときに胆管内に供給する洗浄液を十二指腸側に流すことで、胆管内の内圧が過度に高まること抑えることができる胆汁吸引カテーテルを提供する。
【解決手段】近位側から遠位側へ長手方向に延在するシャフト2を有し、胆管に挿入して胆汁を吸引するためのカテーテル1であって、シャフト2は、遠位端に液体吐出口5を有する第1チューブ3と、遠位端に液体吸引口8を有する第2チューブ6とを有し、第1チューブ3の側面に、第1チューブ3の内圧限界を超えると第1チューブ3内から外に液体が流出する安全弁14が設けられており、第1チューブ3が安全弁14が設けられた箇所で屈曲しているときの内圧限界が、第1チューブ3が安全弁14が設けられた箇所で屈曲していないときの内圧限界よりも低い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位側から遠位側へ長手方向に延在するシャフトを有し、胆管に挿入して胆汁を吸引するためのカテーテルであって、
前記シャフトは、遠位端に液体吐出口を有する第1チューブと、遠位端に液体吸引口を有する第2チューブとを有し、
前記第1チューブの側面に、前記第1チューブの内圧限界を超えると前記第1チューブ内から外に液体が流出する安全弁が設けられており、
前記第1チューブが前記安全弁が設けられた箇所で屈曲しているときの前記内圧限界が、前記第1チューブが前記安全弁が設けられた箇所で屈曲していないときの前記内圧限界よりも低い胆汁吸引カテーテル。
【請求項2】
前記安全弁は、前記第1チューブの遠位端より近位側に100mm以上300mm以下の範囲に設けられている請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項3】
前記安全弁は、前記第1チューブの長手方向の異なる位置に複数設けられている請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項4】
前記第1チューブは側面の一部に曲げ弾性率が小さい柔軟部分を有し、前記柔軟部分から前記安全弁が形成されている請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項5】
前記第1チューブは側面の一部に曲げ弾性率が小さい柔軟部分を有し、前記柔軟部分に、前記第1チューブの周方向に延びる切れ込みが形成されることにより、前記安全弁が形成されている請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項6】
前記柔軟部分は前記第1チューブの長手方向に圧縮されている請求項5に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項7】
前記切れ込みは、前記第1チューブの側面を貫通していない請求項5に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項8】
前記第1チューブは、前記安全弁から近位側または遠位側に10mm以内の範囲にX線不透過マーカーが設けられている請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項9】
前記第1チューブは、長手方向に第1区間とその近位側に位置する第2区間とを有し、前記第1区間と前記第2区間が互いに異なる色を有し、前記第1区間と前記第2区間の境界が前記安全弁から近位側または遠位側に10mm以内の範囲に位置する請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項10】
前記液体吐出口は前記液体吸引口よりも遠位側に位置する請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項11】
前記シャフトは、遠位端から少なくとも近位側に250mm以内の範囲における最大外径が4.0mm以下である請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項12】
前記第1チューブは長手方向に延在する内腔として第1ルーメンを有し、
前記第1ルーメンは遠位端部に絞り部を有し、前記絞り部における第1ルーメンの断面積がその遠位側および近位側よりも狭く形成されている請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項13】
前記シャフトは、前記第2チューブが配されている上側と、前記第1チューブが配されている下側を有し、
前記液体吸引口の外縁は上側から下側に向かって遠位側に傾斜している請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項14】
前記液体吸引口の外縁は上側から下側に向かって遠位側に直線状に傾斜した傾斜部を有し、当該傾斜部に切欠き部および/または突出部が形成されている請求項13に記載の胆汁吸引カテーテル。
【請求項15】
前記第2チューブの側面には、前記液体吸引口の近位側近傍に、複数の突起部が設けられている請求項1に記載の胆汁吸引カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胆汁吸引カテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
胆石や腫瘍等によって胆管が閉塞したり、胆管内で胆汁の流れが阻害されることにより、胆汁が胆管内に停滞し、細菌感染を引き起こす場合がある。胆汁の細菌感染は胆管炎を招き、さらに細菌を含んだ胆汁が肝臓を通って全身の血液中に流入すると敗血症を引き起こすおそれがある。このような場合、胆管内から胆汁を排出する処置が必要となり、経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)や内視鏡的胆管ドレナージ(ERBD)などが行われる。
【0003】
胆管内に挿入して用いられるカテーテルとして、例えば特許文献1には、遠位端側が胆管内に挿入されるカテーテルチューブを備える胆管用ドレナージカテーテルであって、カテーテルチューブは、外径が長手方向に沿って実質的に同一である本体部と、本体部の遠位端側に連なり、遠位端側に向かって外径が細くなる第1テーパー部と、第1テーパー部の遠位端側に連なり、外径が長手方向に沿って実質的に同一である細径直胴部と、細径直胴部の遠位端側に連なり、遠位端側に向かって外径が細くなる第2テーパー部とを有し、細径直胴部の外径が本体部の外径の20%~80%であり、細径直胴部の長さが30~250mmである胆管用ドレナージカテーテルが開示されている。特許文献2には、所定の医療行為を行う作業用処置具が挿通自在な複数のルーメンが配設された長尺な挿入部と、挿入部の先端から延設され挿入部を案内するガイド部とを具備し、ガイド部の先端面に開口部が形成され、挿入部およびガイド部に流体供給ルーメンが形成された細長医療部材が開示されている。特許文献2には、挿入部の先端にある開口部から胆管内の胆汁を吸引してもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-329314号公報
【特許文献2】特開2011-251140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
胆管内の胆汁をカテーテルにより吸引する場合、胆管内に洗浄液を供給して胆汁を吸引することにより、胆管内に溜まった胆汁を効率的に除去することができる。胆管内に洗浄液を供給することにより、洗浄液によって胆汁が希釈されて胆汁の粘度が下がり、胆管内に溜まった胆汁の吸引が容易になる。また、吸引した胆汁がカテーテル内で詰まることも起こりにくくなる。一方、胆管内に洗浄液を供給する場合、胆管内の内圧が過度に高まると、肝臓側に感染胆汁が逆流し全身の血管内に流入することにより敗血症の発生が起こることが懸念される。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、胆管内に洗浄液を供給して胆汁を吸引する胆汁吸引カテーテルであって、胆管内の内圧が高まったときに胆管内に供給する洗浄液を十二指腸側に流すことで、胆管内の内圧が過度に高まること抑えることができる胆汁吸引カテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決することができた本発明の胆汁吸引カテーテルは、下記の通りである。
[1] 近位側から遠位側へ長手方向に延在するシャフトを有し、胆管に挿入して胆汁を吸引するためのカテーテルであって、
前記シャフトは、遠位端に液体吐出口を有する第1チューブと、遠位端に液体吸引口を有する第2チューブとを有し、
前記第1チューブの側面に、前記第1チューブの内圧限界を超えると前記第1チューブ内から外に液体が流出する安全弁が設けられており、
前記第1チューブが前記安全弁が設けられた箇所で屈曲しているときの前記内圧限界が、前記第1チューブが前記安全弁が設けられた箇所で屈曲していないときの前記内圧限界よりも低い胆汁吸引カテーテル。
[2] 前記安全弁は、前記第1チューブの遠位端より近位側に100mm以上300mm以下の範囲に設けられている[1]に記載の胆汁吸引カテーテル。
[3] 前記安全弁は、前記第1チューブの長手方向の異なる位置に複数設けられている[1]または[2]に記載の胆汁吸引カテーテル。
[4] 前記第1チューブは側面の一部に曲げ弾性率が小さい柔軟部分を有し、前記柔軟部分から前記安全弁が形成されている[1]~[3]のいずれかに記載の胆汁吸引カテーテル。
[5] 前記第1チューブは側面の一部に曲げ弾性率が小さい柔軟部分を有し、前記柔軟部分に、前記第1チューブの周方向に延びる切れ込みが形成されることにより、前記安全弁が形成されている[1]~[3]のいずれかに記載の胆汁吸引カテーテル。
[6] 前記柔軟部分は前記第1チューブの長手方向に圧縮されている[5]に記載の胆汁吸引カテーテル。
[7] 前記切れ込みは、前記第1チューブの側面を貫通していない[5]または[6]に記載の胆汁吸引カテーテル。
[8] 前記第1チューブは、前記安全弁から近位側または遠位側に10mm以内の範囲にX線不透過マーカーが設けられている[1]~[7]のいずれかに記載の胆汁吸引カテーテル。
[9] 前記第1チューブは、長手方向に第1区間とその近位側に位置する第2区間とを有し、前記第1区間と前記第2区間が互いに異なる色を有し、前記第1区間と前記第2区間の境界が前記安全弁から近位側または遠位側に10mm以内の範囲に位置する[1]~[8]のいずれかに記載の胆汁吸引カテーテル。
[10] 前記液体吐出口は前記液体吸引口よりも遠位側に位置する[1]~[9]のいずれかに記載の胆汁吸引カテーテル。
[11] 前記シャフトは、遠位端から少なくとも近位側に250mm以内の範囲における最大外径が4.0mm以下である[1]~[10]のいずれかに記載の胆汁吸引カテーテル。
[12] 前記第1チューブは長手方向に延在する内腔として第1ルーメンを有し、前記第1ルーメンは遠位端部に絞り部を有し、前記絞り部における第1ルーメンの断面積がその遠位側および近位側よりも狭く形成されている[1]~[11]のいずれかに記載の胆汁吸引カテーテル。
[13] 前記シャフトは、前記第2チューブが配されている上側と、前記第1チューブが配されている下側を有し、前記液体吸引口の外縁は上側から下側に向かって遠位側に傾斜している[1]~[12]のいずれかに記載の胆汁吸引カテーテル。
[14] 前記液体吸引口の外縁は上側から下側に向かって遠位側に直線状に傾斜した傾斜部を有し、当該傾斜部に切欠き部および/または突出部が形成されている[13]に記載の胆汁吸引カテーテル。
[15] 前記第2チューブの側面には、前記液体吸引口の近位側近傍に、複数の突起部が設けられている[1]~[14]のいずれかに記載の胆汁吸引カテーテル。
【発明の効果】
【0008】
本発明の胆汁吸引カテーテルは、胆管内に液体を供給する第1チューブが安全弁が設けられた箇所で屈曲することにより、胆管内の内圧が高まったときに安全弁が開いて、第1チューブを流通する液体を十二指腸側に流すことができる。そのため、胆管内の内圧が過度に高まることを防ぐことができる。一方、安全弁を機能させないようにする場合は、第1チューブが安全弁が設けられた箇所で屈曲しないように調整することにより、例えば液体を第1チューブの液体吐出口から高圧でフラッシュすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る胆汁吸引カテーテルの一例を表し、胆汁吸引カテーテルの全体側面図を表す。
図2図1に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部の側面図を表す。
図3図1に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部の斜視図を表す。
図4図1に示した胆汁吸引カテーテルの安全弁周りの側面図を表す。
図5図4に示した胆汁吸引カテーテルの安全弁周りの屈曲状態の側面図を表す。
図6図4に示した胆汁吸引カテーテルの安全弁周りの側面図の変形例を表す。
図7図4に示した胆汁吸引カテーテルの安全弁周りの側面図の変形例を表す。
図8図1に示した胆汁吸引カテーテルのVIII-VIII断面図を表す。
図9図2に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部の側面図の変形例を表す。
図10図2に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部の側面図の変形例を表す。
図11図2に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部の側面図の変形例を表す。
図12図4に示した胆汁吸引カテーテルの安全弁周りの側面図の変形例を表す。
図13図4に示した胆汁吸引カテーテルの安全弁周りの側面図の変形例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、下記実施の形態に基づき本発明の胆汁吸引カテーテルを具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
図1図13を参照して、本発明の実施の形態に係る胆汁吸引カテーテルについて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る胆汁吸引カテーテルの一例であって、胆汁吸引カテーテルの全体側面図を表し、図2図3はそれぞれ、図1に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部の側面図と斜視図を表し、図4図7図12図13は、図1に示した胆汁吸引カテーテルの安全弁周りの側面図およびその変形例を表し、図8は、図1に示した胆汁吸引カテーテルのVIII-VIII断面図を表し、図9図11は、図2に示した胆汁吸引カテーテルの遠位端部の側面図の変形例を表す。
【0012】
胆汁吸引カテーテル1は、胆管に挿入して胆汁を吸引するために用いられるカテーテルである。本発明の胆汁吸引カテーテル1は、胆管内に液体を供給して胆管内を洗浄しながら、胆管内に溜まった胆汁を吸引することができるものである。以下、胆汁吸引カテーテルを単に「カテーテル」と称する。
【0013】
カテーテル1は、長手方向に延在するシャフト2を有する。カテーテル1において、長手方向は、シャフト2の延在方向に基づき定められる。カテーテル1は、長手方向に対する一方側と他方側として、近位側と遠位側を有する。近位側とは、カテーテル1の使用者、つまり術者の手元側の方向を指し、遠位側とは近位側の反対方向、すなわち処置対象側の方向を指す。シャフト2は、長手方向に対する直交方向として、径方向を有する。図1では、図の右側が近位側に相当し、図の左側が遠位側に相当する。
【0014】
シャフト2は、遠位端に液体吐出口5を有する第1チューブ3と、遠位端に液体吸引口8を有する第2チューブ6とを有する。第1チューブ3と第2チューブ6はそれぞれ長手方向に延在しており、径方向に並んで配置されている。第1チューブ3は、長手方向に延在する内腔として第1ルーメン4を有し、第2チューブ6は、長手方向に延在する内腔として第2ルーメン7を有する。第1チューブ3と第2チューブ6は互いに溶着または接着されて一体化されるか、第1チューブ3と第2チューブ6が保護チューブ9の内腔に配置され、保護チューブ9によって第1チューブ3と第2チューブ6が一体化されていることが好ましい。
【0015】
カテーテル1を使用の際、第1チューブ3の第1ルーメン4には胆管内に供給する液体(洗浄液)が流通し、第1チューブ3の遠位端の液体吐出口5から液体が胆管内に吐出される。従って、第1チューブ3は近位側開口を有し、第1チューブ3の近位側開口に連通して液体供給部が設けられることが好ましい。液体供給部としては、シリンジやポンプ等が挙げられる。
【0016】
胆管内に溜まった胆汁等は、第2チューブ6の遠位端の液体吸引口8から吸引され、第2チューブ6の第2ルーメン7を通って胆管から排出される。従って、第2チューブ6は近位側開口を有し、第2チューブ6の近位側開口に連通して液体吸引部が設けられることが好ましい。液体吸引部としては、シリンジやポンプ等が挙げられる。液体吸引部のシリンジとして、バックロックシリンジを用いてもよい。
【0017】
第1ルーメン4はガイドワイヤルーメンを兼ねることができる。第1ルーメン4がガイドワイヤルーメンを兼ねることにより、シャフト2の外径を小さくすることができる。また、ガイドワイヤを抜去することなく胆汁を吸引したり、胆管内を洗浄することができ、手技の簡素化、手術時間の短縮につながる。
【0018】
シャフト2の近位側にはハブ10が設けられることが好ましい。ハブ10は、第1ルーメン4に連通した供給接続ポート11と第2ルーメン7に連通した吸引接続ポート12を有し、液体供給部がハブ10の供給接続ポート11に接続され、液体吸引部がハブ10の吸引接続ポート12に接続されることが好ましい。ハブ10を設けることにより、カテーテル1の操作性を高めることができる。
【0019】
ハブ10は、ガイドワイヤポート13をさらに有することが好ましい。ガイドワイヤポート13は第1ルーメン4に連通して設けられることが好ましい。この場合、ハブ10の内部で、第1ルーメン4に連通した内部通路が2つに分岐し、分岐した一方が供給接続ポート11につながり、他方がガイドワイヤポート13につながるように構成される。
【0020】
ハブ10は、他の医療用具を挿入することができる補助ポートをさらに有していてもよい。補助ポートは、例えば第2ルーメン7に連通して設けることができる。この場合、ハブ10の内部で、第2ルーメン7に連通した内部通路が2つに分岐し、分岐した一方が吸引接続ポート12につながり、他方が補助ポートにつながる。他の医療用具の例としては細胞診用のブラシ等が挙げられ、これにより、胆汁吸引後に引き続き、細胞診のための検体採取を行うことができる。
【0021】
ハブ10の内部通路には逆止弁が設けられてもよい。例えば、ハブ10の第1ルーメン4と供給接続ポート11とをつなぐ内部通路に逆止弁を設けることにより、供給接続ポート11から第1ルーメン4に向かう一方向に液体を流すことができる。ハブ10の第2ルーメン7と吸引接続ポート12とをつなぐ内部通路に逆止弁を設けることにより、第2ルーメン7から吸引接続ポート12に向かう一方向に液体を流すことができる。
【0022】
図面には示されていないが、シャフト2の近位側には、第1ルーメン4に接続した第1ハブと第2ルーメン7に接続した第2ハブが設けられてもよい。第1ハブおよび/または第2ハブは、ハブの内部で内部通路が2つ以上に分岐し、それぞれの内部通路に連通する2つ以上のポートを備えていてもよい。例えば、第1ルーメン4に接続した第1ハブは、供給接続ポート11を有し、さらにガイドワイヤポート13を備えていてもよい。第2ルーメン7に接続した第2ハブは、吸引接続ポート12を有し、さらに上記に説明した補助ポートを備えていてもよい。第1ハブおよび/または第2ハブの内部通路には逆止弁が設けられてもよい。
【0023】
シャフト2の長手方向の長さは、例えば1500mm以上が好ましく、1800mm以上がより好ましく、また3000mm以下が好ましく、2800mm以下がより好ましい。シャフト2の外径は、例えば1.2mm以上が好ましく、1.3mm以上がより好ましく、1.4mm以上がさらに好ましく、また8.0mm以下が好ましく、7.0mm以下がより好ましく、6.0mm以下がさらに好ましい。シャフト2の外径はさらに小さくてもよく、例えば4.0mm以下、3.6mm以下または3.2mm以下であってもよい。第1ルーメン4と第2ルーメン7の内径は、例えば1.0mm以上が好ましく、1.1mm以上がより好ましく、1.3mm以上がさらに好ましく、また3.5mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。第1ルーメン4と第2ルーメン7の内径はさらに小さくてもよく、例えば2.2mm以下、2.0mm以下または1.9mm以下であってもよい。
【0024】
シャフト2の長手方向に対する垂直断面において、シャフト2の外縁の形状、第1チューブ3の外縁の形状、第2チューブ6の外縁の形状、第1ルーメン4の形状、第2ルーメン7の形状は特に限定されず、円形、楕円形、長円形、卵形、多角形、不定形等が挙げられる。シャフト2の外縁の形状や第1ルーメン4と第2ルーメン7の形状が円形以外の場合、上記に説明したシャフト2の外径と第1ルーメン4と第2ルーメン7の内径は、長径と短径の平均値を意味する。長径と短径について、シャフト2の外縁を例に取ると、シャフト2の外縁の長径とは、シャフト2の外縁の長軸方向の長さ(外縁の最大径)を意味し、シャフト2の外縁の短径とは、シャフト2の長軸方向に対して垂直方向となる短軸方向の長さのうちの最も長くなる長さを意味する。なお、シャフト2の外縁の形状、第1チューブ3の外縁の形状、第2チューブ6の外縁の形状、第1ルーメン4の形状、第2ルーメン7の形状は、円形、長円形、楕円形または卵形であることが好ましい。
【0025】
シャフト2は、長手方向の全体にわたって外径が略同一に形成されてもよく、長手方向の一部と他部で外径が異なるように形成されてもよい。例えば、シャフト2の外径は、シャフト2の遠位部と近位部で異なっていてもよい。第1チューブ3および/または第2チューブ6の内外径も、シャフト2の遠位部と近位部で異なっていてもよい。
【0026】
実施形態の一つとして、シャフト2の近位部におけるシャフト2の外径は、シャフト2の遠位部におけるシャフト2の外径よりも大きいことが好ましい。この場合、シャフト2は、シャフト2の近位部における第1チューブ3の外径がシャフト2の遠位部における第1チューブ3の外径よりも大きく形成されていてもよく、シャフト2の近位部における第2チューブ6の外径がシャフト2の遠位部における第2チューブ6の外径よりも大きく形成されていてもよく、その両方であってもよい。また、シャフト2は、シャフト2の近位部における保護チューブ9の外径がシャフト2の遠位部における保護チューブ9の外径よりも大きく形成されていてもよく、あるいは、シャフト2の遠位部には保護チューブ9が設けられずにシャフト2の近位部にのみ保護チューブ9が設けられてもよい。このようにシャフト2が構成されることにより、シャフト2の近位部の剛性を確保しながら、シャフト2の遠位部を胆管のより奥まで挿入することが容易になる。
【0027】
シャフト2は、シャフト2の近位部における第1チューブ3の内径がシャフト2の遠位部における第1チューブ3の内径よりも大きく形成されてもよく、シャフト2の近位部における第2チューブ6の内径がシャフト2の遠位部における第2チューブ6の内径よりも大きく形成されていてもよく、その両方であってもよい。このようにシャフト2が構成されることにより、より効果的に洗浄液を吐出したり、胆汁を吸引することができる。
【0028】
第1チューブ3、第2チューブ6、保護チューブ9は、樹脂から構成することができる。樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
【0029】
第1チューブ3、第2チューブ6、保護チューブ9は、単層から構成されていてもよく、複数層から構成されていてもよい。第1チューブ3、第2チューブ6、保護チューブ9は、長手方向の一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。
【0030】
第1チューブ3、第2チューブ6、保護チューブ9は、補強層を有していてもよい。補強層により、シャフト2の剛性を高めることができる。補強層は、樹脂から構成された内層と外層の間に配置されることが好ましい。
【0031】
補強層は、金属線や繊維等から構成することができる。金属線を構成する素材としては、例えば、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン合金等が挙げられる。なかでも、ステンレス鋼が好ましい。金属線は、単線であってもよいし、撚線であってもよい。繊維としては、例えば、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維、炭素繊維等が挙げられる。繊維は、モノフィラメントであってもよいし、マルチフィラメントであってもよい。
【0032】
補強層の形状は、特に限定されないが、らせん状、網目状、編組状が好ましい。なかでも、補強層によってシャフト2の剛性を効果的に高めることができる点から、補強層の形状は編組状であることがより好ましい。
【0033】
シャフト2は、液体吸引口8が液体吐出口5よりも近位側に位置することが好ましい。これにより、液体吐出口5をシャフト2の先端に設けることができ、胆管内のより奥まで挿入し、洗浄・吸引することが容易になる。液体吐出口5は第1チューブ3の遠位端に形成されることにより、第1ルーメン4を通って第1チューブ3の遠位端まで運ばれた洗浄液は液体吐出口5から遠位側に吐出され、液体吐出口5よりも遠位側の胆管の内部を洗浄することが可能となる。また、胆汁は比較的粘度が高く、細菌感染した胆汁であればさらに粘度が高くなるところ、液体吐出口5から洗浄液を胆管内に吐出することにより、胆管内に溜まった胆汁が希釈され、粘度を下げることができる。一方、液体吸引口8が液体吐出口5よりも近位側に位置することにより、胆管内に溜まった胆汁の吸引が容易になる。すなわち、液体吸引口8が液体吐出口5よりも近位側に位置することにより、液体吸引口8からは、洗浄液により希釈され粘度が低下した胆汁を吸引しやすくなる。そのため、液体吸引口8から胆汁を吸引することが容易になり、また吸引した胆汁が第2ルーメン7内で詰まりにくくなる。
【0034】
液体吸引口8は液体吐出口5よりも3mm以上近位側に位置することが好ましく、4mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましく、また30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、15mm以下がさらに好ましい。このように液体吸引口8と液体吐出口5が位置することにより、未希釈の胆汁を吸引することが抑えられ、洗浄液で希釈された胆汁を吸引しやすくなる。また、胆管内の奥に溜まった胆汁を吸引しやすくなり、胆汁の取り残しを少なくすることができる。なお、液体吸引口8と液体吐出口5の離隔距離は、液体吸引口8の遠位端と液体吐出口5の近位端の間の長手方向の離隔距離を計測することにより求める。
【0035】
カテーテル1のデリバリー性を高める点からは、液体吐出口は液体吸引口よりも10mm以下遠位側に位置することが好ましい。これにより、シャフト2の遠位端部において、液体吸引口8よりも遠位側の部分の長さ(すなわち第1チューブ3が存在し第2チューブ6が存在しない部分の長さ)が長くなりすぎず、シャフト2の遠位端部の剛性を確保しやすくなり、カテーテル1のデリバリー性を高めることができる。
【0036】
カテーテル1を胆管内の奥、例えば総胆管を通って肝内胆管まで挿入することが容易になる点から、シャフト2は、遠位端から少なくとも近位側に250mm以内の範囲における最大外径が4.0mm以下であることが好ましい。肝内胆管は総胆管よりも内部空間が狭いため、例えば最大外径が5.0mmのシャフト2では胆管の奥にある肝内胆管まで挿入することが難しい。しかし、シャフト2の遠位端から少なくとも近位側に250mm以内の範囲において、シャフト2の最大外径を4.0mm以下に形成することにより、総胆管を通って肝内胆管の奥までシャフト2を挿入することができる。シャフト2において最大外径が4.0mm以下となるのは、シャフト2の遠位端から近位側に300mm以内の範囲であってもよく、500mm以内の範囲であってもよく、1000mm以内の範囲であってもよく、実質的にシャフト2の長手方向の全範囲であってもよい。
【0037】
シャフト2の遠位端から近位側に250mm以内の範囲における最大外径は3.5mm以下であることが好ましく、3.0mm以下がより好ましい。これにより、シャフト2を肝内胆管に挿入することがさらに容易になる。一方、液体吸引口8の近位端よりも近位側におけるシャフト2の最大外径の下限は、1.0mm以上が好ましく、1.3mm以上がより好ましく、1.5mm以上がさらに好ましい。これにより、カテーテル1のデリバリー性を高めることができる。
【0038】
第1チューブ3の側面には安全弁14が設けられている。安全弁14は、第1チューブ3の内圧限界を超えると第1チューブ3内から外に液体が流出するように構成されている。第1チューブ3の側面に安全弁14が設けられることにより、胆管内の内圧が高くなったときに、第1チューブ3の内圧が上がって安全弁14が開いて、第1チューブ3の第1ルーメン4を流通する液体を安全弁14を通して第1チューブ3の外部に排出することができる。例えば、第2チューブ6の第2ルーメン7に胆石が詰まり、第2チューブ6の液体吸引口8から胆管内に溜まった胆汁等を十分に吸引できなくなったにも関わらず、第1チューブ3の液体吐出口5から液体が吐出され続けた場合など、胆管内の内圧が過度に高くなることが起こりうる。胆管内の内圧が高くなると、肝臓側に感染胆汁が逆流し全身の血管内に流入することにより敗血症の発生が起こることが懸念される。しかしながら、第1チューブ3の側面に安全弁14が設けられることにより、胆管内の内圧が過度に高くなる前に、第1ルーメン4の液体吐出口5からさらに液体が供給されるのを防ぐことができる。
【0039】
図4および図5には、図1に示した胆汁吸引カテーテルの安全弁周りの側面図を表したが、安全弁14は、図5に示すように第1チューブ3が安全弁14が設けられた箇所で屈曲しているときの内圧限界(屈曲時の内圧限界)が、図4に示すように第1チューブ3が安全弁14が設けられた箇所で屈曲していないときの内圧限界(非屈曲時の内圧限界)よりも低くなるように形成されている。すなわち、安全弁14は、第1チューブ3が安全弁14が設けられた箇所で屈曲した状態において、第1チューブ3が安全弁14が設けられた箇所で屈曲していない状態と比べて、より低い内圧で開くように形成されている。
【0040】
十二指腸を通って胆管内にカテーテル1を導入する際、カテーテル1は胆管の入口で大きく屈曲する。例えば、内視鏡の鉗子チャネルを通してカテーテル1を胆管内に導入する際、内視鏡の先端を胆管の入口近傍まで搬送し、鉗子チャネルの遠位側開口からカテーテル1を大きく屈曲させて延出させる。これにより、十二指腸の内壁の側面に開いた胆管の入口から胆管内にカテーテル1を挿入することができる。このように、カテーテル1は胆管内に挿入して使用する際に胆管の入口で大きく屈曲することから、第1チューブ3が安全弁14が設けられた箇所で屈曲することにより、胆管内の内圧が高まったときに安全弁14が開いて、第1チューブ3内を流通する液体を十二指腸側に流すことができる。そのため、胆管内の内圧が過度に高まることを防ぐことができる。
【0041】
一方、安全弁14を機能させないようにする場合は、第1チューブ3が安全弁14が設けられた箇所で屈曲しないように、カテーテル1の位置を調整すればよい。例えば、カテーテル1が鉗子チャネルの遠位側開口から延出する長さを調整することにより、第1チューブ3が安全弁14が設けられた箇所で屈曲しないようにすることができる。これにより、例えば液体を第1チューブ3の液体吐出口5から高圧でフラッシュすることができる。なお、高圧フラッシュは、胆管内に液体(胆汁を含む)が満たされていない状態で行うことが好ましい。
【0042】
第1チューブ3における安全弁14の設置位置は、カテーテル1の胆管内への挿入長さに応じて、適宜設定すればよい。カテーテル1は、胆管の入口から100mm~300mm程度挿入して使用することにより、胆管内の洗浄と胆汁の吸引を好適に行うことができることから、安全弁14は、第1チューブ3の遠位端より近位側に100mm以上300mm以下の範囲に設けられることが好ましい。詳細には、安全弁14の少なくとも一部がこのような範囲に位置することが好ましく、安全弁14の全体がこのような範囲に位置することがより好ましい。これにより、カテーテル1を胆管内に挿入して使用する際に、安全弁14を胆管の入口付近に位置させることができる。安全弁14の設置位置は、第1チューブ3の遠位端より近位側に120mm以上または150mm以上であってもよく、第1チューブ3の遠位端より近位側に280mm以下または250mm以下であってもよい。
【0043】
図6に示すように、安全弁14は、第1チューブ3の長手方向の異なる位置に複数設けられていてもよい。安全弁14が複数設けられることにより、カテーテル1の胆管内への挿入長さを変えても、いずれかの安全弁14が胆管の入口付近に位置し、胆管内の内圧が高くなったときに第1チューブ3を流通する液体を十二指腸側に流すことができる。これにより、胆管内の内圧が高まったときに胆管の入口付近に位置する安全弁14が開き、胆管の入口付近に位置しない安全弁14が開かないようにすることができ、第1チューブ3内を流通する液体を好適に十二指腸側に流すことができる。この場合、複数設けられたいずれの安全弁14においても、1つの安全弁14の屈曲時の内圧限界が、当該安全弁14を含む全ての安全弁14の非屈曲時の内圧限界よりも低くなることが好ましい。
【0044】
安全弁14が複数設けられる場合、安全弁14は、第1チューブ3の長手方向の2以上の異なる位置に設けられることが好ましく、3以上の異なる位置に設けられることがより好ましく、また10以下の異なる位置に設けられることが好ましく、8以下の異なる位置に設けられることがより好ましい。また、全ての安全弁14が、第1チューブ3の遠位端より近位側に100mm以上300mm以下の範囲に設けられることが好ましい。
【0045】
安全弁14は第1チューブ3の周方向の複数箇所に形成されてもよく、これにより、第1チューブ3が安全弁14が設けられた箇所でいずれかの方向に屈曲したときに、周方向の複数箇所に設けられたいずれかの安全弁14が伸長して、当該伸長した安全弁14が安全弁として機能することができる。安全弁14が周方向の複数箇所に設けられる場合、周方向に設けられる安全弁14の数は2~6程度が好ましい。
【0046】
安全弁14は、例えば、第1チューブ3の側面の一部を柔軟部分15から構成することにより形成することができる。第1チューブ3において、柔軟部分15はそれ以外の部分よりも曲げ弾性率が小さく形成されていればよい。このように第1チューブ3の側面の一部に柔軟部分15を設けることにより、柔軟部分15を安全弁14として機能させることができる。曲げ弾性率は、例えばJIS K 7171:2016に基づき求めることができる。以下、第1チューブ3において、柔軟部分15以外の部分を「非柔軟部分」と称する。
【0047】
柔軟部分15は非柔軟部分よりも曲げ弾性率が小さく形成されているため、第1チューブ3の内圧が高くなると、柔軟部分15は非柔軟部分よりも先に破断しやすくなる。柔軟部分15はまた、第1チューブ3が柔軟部分15で屈曲していない状態では、第1チューブ3の内圧が高くなっても破断しにくく、第1チューブ3が柔軟部分15で屈曲した状態では、柔軟部分15が伸長することにより、第1チューブ3の内圧が高くなると破断しやすくなる。そのため、第1チューブ3の側面の一部に柔軟部分15を設けることにより、当該柔軟部分15を安全弁14として機能させることができる。すなわち、カテーテル1が柔軟部分15で屈曲した状態では、第1チューブ3の内圧が高まったときに柔軟部分15が破断しやすくなり、その結果、安全弁14が開いた状態となる。これにより、第1チューブ3の内圧が高まったときに、第1チューブ3内を流通する液体が、破断した柔軟部分15(すなわち安全弁14)を通って第1チューブ3の外部に流出することができる。
【0048】
柔軟部分15はエラストマー樹脂から構成されることが好ましい。エラストマー樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0049】
柔軟部分15は、第1チューブ3の長手方向の一部のみに形成される。柔軟部分15は、第1チューブ3の周方向の全体にわたって連続的に形成されないことが好ましく、第1チューブ3の周方向の一部のみに形成されることが好ましい。これにより、カテーテル1を内視鏡の鉗子チャネルに挿入して移動させる際に、柔軟部分15が形成された箇所で第1チューブ3が不用意に破断しにくくなり、またカテーテル1を内視鏡の鉗子チャネル内で前進させる際のプッシャビリティが向上する。
【0050】
上記のように安全弁14が柔軟部分15から形成される場合、例えば、第1チューブ3の側面に穴17を開け、当該穴17を塞ぐように第1チューブ3の外面に樹脂シート18を設けることにより、安全弁14を形成することができる。この場合、穴17と樹脂シート18が重なる部分が柔軟部分15となり、安全弁14となる。樹脂シート18は、第1チューブ3よりも曲げ弾性率が小さいものであり、樹脂チューブであってもよい。樹脂シート18は、第1チューブ3の穴17の周囲を封止するように、第1チューブ3の外面に接合される。樹脂シート18は、上記に説明したエラストマー樹脂から構成されることが好ましい。樹脂シート18は保護チューブ19から形成されてもよく、この場合、保護チューブ19は第1チューブ3の側面に形成された穴17と重なるように配置される。
【0051】
図7に示すように、柔軟部分15に切れ込み16を形成し、安全弁14が切れ込み16を有する柔軟部分15によって形成されてもよい。柔軟部分15に切れ込み16が形成されていれば、第1チューブ3の内圧が高くなったときに、柔軟部分15が破断するのではなく、柔軟部分15に形成された切れ込み16が開くことにより、安全弁14が開くことができる。これにより、安全弁14の形成位置をより正確に設定することが可能となる。また、一旦切れ込み16が開いた後第1チューブ3の内圧が低くなったときに、切れ込み16が閉じることにより、安全弁14が閉じた状態を安定して実現することができる。その後再び第1チューブ3内に液体を流通させたときは、安全弁14(切れ込み16)から液体の流出が起こることを抑えることができ、安全弁14の封止性を高めることができる。
【0052】
切れ込み16は、第1チューブ3の側面を貫通するように形成されてもよく、第1チューブ3の側面を貫通しないように形成されてもよい。切れ込み16が第1チューブ3の側面を貫通するように形成される場合は、安全弁14の開閉をスムーズに行うことができ、一旦切れ込み16が開いた後に切れ込み16がきれいに閉じることができる。そのため、その後再び第1チューブ3内に液体を流通させたときに、安全弁14の封止性を高めることができる。一方、切れ込み16が第1チューブ3の側面を貫通しないように形成される場合は、安全弁14の内圧限界を高く設定することが容易になり、カテーテル1の使用の際に、第1チューブ3内を流通する液体が不用意に安全弁14から流出するのを防ぐことができる。また、第1チューブ3の液体吐出口5から液体を高圧でフラッシュすることも容易になる。安全弁14は基本的に常に使用されるものはないため、第1チューブ3の内圧が過度に高まったときのみ、柔軟部分15の切れ込み16が開裂して、第1チューブ3内を流通する液体が流出するように構成されていてもよい。切れ込み16が第1チューブ3の側面を貫通しないように形成される場合、切れ込み16は第1チューブ3の外面に形成されてもよく、内面に形成されてもよい。
【0053】
切れ込み16は、直線状に形成されてもよく、湾曲状に形成されてもよく、ジグザグ状や波状に延びるように形成されてもよい。なお、切れ込み16の開閉がスムーズに行われ、第1チューブ3が切れ込み16の部分で屈曲したときに内圧限界がある程度高く確保されるようにする点から、切れ込み16は直線状に形成されることが好ましい。
【0054】
切れ込み16は、第1チューブ3の長手方向に延びるように形成されていてもよく、第1チューブ3の周方向に延びるように形成されていてもよく、第1チューブ3の長手方向(または周方向)に対して斜め方向に延びるように形成されていてもよい。なかでも、切れ込み16は、図7に示すように、第1チューブ3の周方向に延びるように形成されていることが好ましい。これにより、第1チューブ3が切れ込み16の部分で屈曲したときに、第1チューブ3の内圧限界をある程度高く確保することが容易になる。
【0055】
切れ込み16の長さ(1つの切れ込み16の延在長さ)は、切れ込み16が形成される箇所における第1チューブ3の周長の1/2以下であることが好ましく、1/3以下がより好ましく、また1/10以上が好ましく、1/8以上がより好ましく、1/6以上がさらに好ましい。これにより、第1チューブ3の内圧が高くなったときに、切れ込み16が開くことにより安全弁14として機能しやすくなる。同様の観点から、切れ込み16の長さ(1つの切れ込み16の長さ)は、柔軟部分15の厚み(切れ込み16が形成された箇所での柔軟部分15の厚み)の3倍以上が好ましく、5倍以上がより好ましく、また20倍以下が好ましく、15倍以下がより好ましい。
【0056】
柔軟部分15に、第1チューブ3の周方向に延びる切れ込み16が形成されることにより、安全弁14が形成される場合、柔軟部分15は第1チューブ3の長手方向に圧縮されていてもよい。このように柔軟部分15が形成されていれば、切れ込み16によって形成された安全弁14の屈曲時の内圧限界を高めることができる。すなわち、第1チューブ3を切れ込み16の部分で屈曲させた際に、柔軟部分15が伸長して切れ込み16が開きやすくなることを抑えることができる。柔軟部分15が第1チューブ3の長手方向に圧縮された状態は、例えば、柔軟部分15を形成する樹脂シート18(あるいは樹脂チューブ)を、第1チューブ3の長手方向に圧縮した状態で、第1チューブ3の外面に固定することにより実現することができる。樹脂シート18は、第1チューブ3の長手方向に圧縮されることにより、しわが形成されていてもよい。
【0057】
図8に示すように、シャフト2の長手方向に垂直な断面において、第2チューブ6の第2ルーメン7の断面積は第1チューブ3の第1ルーメン4の断面積よりも大きいことが好ましい。これにより、胆汁を吸引する際に、第2ルーメン7に胆石等が詰まることが起こりにくくなる。また、第1ルーメン4の液体吐出口5から洗浄液を勢いよく吐出しやすくなり、胆管内のより奥まで洗浄することが容易になる。第2ルーメン7の断面積は、例えば、第1ルーメン4の断面積の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、また4.0倍以下が好ましく、3.0倍以下がより好ましく、2.5倍以下がさらに好ましい。なお図8では、保護チューブ9と第1チューブ3および第2チューブ6の間に隙間が存在しているが、保護チューブ9と第1チューブ3および第2チューブ6の間には隙間が存在しなくてもよい。例えば第1チューブ3と第2チューブ6を保護チューブ9の内腔に配置した後、さらにその外側に熱収縮チューブを被せて熱加工することにより、保護チューブ9と第1チューブ3および第2チューブ6の間に隙間がないように形成することができる。
【0058】
図2に示すように、液体吸引口8は傾斜状に形成されていることが好ましい。具体的には、シャフト2において、第2チューブ6が配されている側を上側とし、第1チューブ3が配されている側を下側としたとき、液体吸引口8の外縁は、上側から下側に向かって遠位側に傾斜していることが好ましい。このように液体吸引口8が形成されていれば、液体吸引口8の大きさを広くとることができ、胆汁を吸引しやすくなる。また、液体吸引口8の外縁が上側から下側に向かって遠位側に傾斜していることにより、液体吸引口8より近位側にある胆汁を吸引しやすくなる。液体吸引口8の外縁は、直線状に形成されていてもよく、非直線状に形成されていてもよい。
【0059】
液体吸引口8の外縁は、上側から下側に向かって遠位側に直線状に傾斜した傾斜部を有し、当該傾斜部に切欠き部や突出部が形成されていてもよい。傾斜部には、切欠き部と突出部のどちらか一方のみ形成されていてもよく、両方が形成されていてもよい。このように液体吸引口8の外縁が形成されていれば、液体吸引口8から胆汁を吸引する際に、液体吸引口8に胆石が嵌まり込んだり、胆石によって液体吸引口8が塞がることが起こりにくくなる。
【0060】
図9には、液体吸引口8の外縁に切欠き部22を設けた例を示した。図9では、液体吸引口8の外縁は、上側から下側に向かって遠位側に直線状に形成された傾斜部21を有し、傾斜部21に切欠き部22が形成されている。傾斜部21では、液体吸引口8の外縁は、液体吸引口8の上端と下端を結ぶ仮想直線と重なるように形成され、切欠き部22では、当該仮想直線よりも液体吸引口8の外縁が近位側に位置する。なお、傾斜部21に突出部が形成される場合は、突出部では、液体吸引口8の上端と下端を結ぶ仮想直線よりも液体吸引口8の外縁が遠位側に位置する。
【0061】
図10に示すように、第2チューブ6の側面には、液体吸引口8の近位側近傍に、複数の突起部23が設けられていてもよい。このように液体吸引口8の近位側近傍の第2チューブ6の外面に突起部23が設けられることにより、液体吸引口8の近位側近傍に胆石が溜まりにくくなり、胆石が液体吸引口8に入り込みにくくなる。また、液体吸引口8の近位側近傍に胆石が集まっても、液体吸引口8より近位側にある胆汁が、突起部23の間の隙間を通って液体吸引口8から吸引されやすくなる。
【0062】
突起部23は、液体吸引口8の近位側近傍として、シャフト2の長手方向に対して、液体吸引口8の遠位端よりも近位側かつ液体吸引口8の近位端から近位側に50mmの地点よりも遠位側の範囲に設けられることが好ましい。突起部23は、当該範囲の少なくとも一部に設けられればよい。また、突起部23は、当該範囲より遠位側および近位側には設けられないことが好ましい。突起部23は、液体吸引口8の遠位端よりも近位側かつ液体吸引口8の近位端から近位側に30mmの地点よりも遠位側の範囲に設けられることがより好ましく、液体吸引口8の遠位端よりも近位側かつ液体吸引口8の近位端から近位側に20mmの地点よりも遠位側の範囲に設けられることがさらに好ましい。
【0063】
シャフト2の外面から見て、シャフト2の長手方向に垂直な方向の突起部23の長さは、液体吸引口8の近位側近傍における第2チューブ6の外径の0.02倍以上が好ましく、0.04倍以上がより好ましく、また0.15倍以下が好ましく、0.10倍以下がより好ましい。このような大きさで突起部23が形成されることにより、シャフト2の外面において、液体吸引口8の近位側近傍に胆石が溜まりにくくなり、また液体吸引口8より近位側にある胆汁が、突起部23の間の隙間を通って液体吸引口8から吸引されやすくなる。
【0064】
突起部23の高さは、液体吸引口8の近位側近傍における第2チューブ6の外径の0.02倍以上が好ましく、0.04倍以上がより好ましい。このような高さで突起部23が形成されることにより、シャフト2の外面において、液体吸引口8の近位側近傍に胆石が溜まりにくくなり、また液体吸引口8より近位側にある胆汁が、突起部23の間の隙間を通って液体吸引口8から吸引されやすくなる。突起部23の高さは、液体吸引口8の近位側近傍における第2チューブ6の外径の0.15倍以下が好ましく、0.10倍以下がより好ましいく、0.08倍以下がさらに好ましい。これにより突起部23が過剰に大きく形成されず、シャフト2を胆管の奥まで挿入しやすくなる。
【0065】
第2チューブ6の外面には、複数の突起部23が第2チューブ6の周方向の異なる位置に配置されることが好ましい。例えば、シャフト2を遠位側から見て、突起部23は第2チューブ6の周方向の異なる3ヶ所以上に配置されることが好ましく、4ヶ所以上がより好ましく、5ヶ所以上がさらに好ましい。第2チューブ6の外面には、複数の突起部23が第2チューブ6の長手方向の異なる位置に配置されることも好ましい。突起部23は、第2チューブ6の長手方向の異なる2ヶ所以上に配置されてもよく、3ヶ所以上に配置されてもよい。
【0066】
液体吸引口8よりも遠位側において、シャフト2は遠位端に向かって外径が小さくなるテーパー部24を有することが好ましい。具体的には、第1チューブ3は、液体吸引口8よりも遠位側において、液体吐出口5に向かって外径が小さくなるテーパー部24を有することが好ましい。このようにシャフト2の先端部を形成することにより、胆管内にシャフト2を挿入しやすくなる。テーパー部24は、シャフト2が先細りになるように加工してもよく、テーパー形状を有する別部材をシャフト2の先端に取り付けてもよい。
【0067】
液体吐出口5の外縁、すなわち第1チューブ3の遠位側端縁は、長手方向に対して垂直に延びるように形成されていることが好ましい。また、液体吐出口5の外縁は、面取りされたり、側面視で丸まって形成されていることが好ましい。このように液体吐出口5の外縁が形成されていれば、胆管内にシャフト2を挿入する際に、胆管を傷つけにくくなる。
【0068】
図11に示すように、第1ルーメン4は遠位端部に絞り部25を有し、絞り部25における第1ルーメン4の断面積がその遠位側および近位側よりも狭く形成されていることが好ましい。このように第1ルーメン4の遠位端部を形成することにより、洗浄液を液体吐出口5から遠位側に向けて径方向に広がりながら吐出することができる。これにより、胆管内のより奥まで洗浄することができるとともに、胆管内壁に付着した胆汁を洗い流すことが容易になる。
【0069】
絞り部25は、第1ルーメン4の遠位端部として、液体吐出口5よりも近位側かつ液体吸引口8よりも遠位側に形成されることが好ましい。なお、絞り部25とは、第1ルーメン4の遠位端部において、断面積が最も狭まった部分を意味する。このように絞り部25が形成されることにより、洗浄液が液体吐出口5から径方向に広がりながら遠位側に吐出されやすくなる。絞り部25はまた、液体吐出口5(具体的には液体吐出口5の近位端)より1mm以上近位側に位置することが好ましく、2mm以上がより好ましく、また15mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
【0070】
液体吐出口5から吐出する液体、すなわち洗浄液は生理食塩水であることが好ましい。これにより、生理食塩水で胆管内の胆汁を希釈しながら、胆管内の胆汁を液体吸引口8から吸引することができ、胆管内の洗浄を効果的に行うことができる。例えば胆管内に感染胆汁がある場合は、胆管内を洗浄することにより、結石の発生や胆汁のうっ滞を抑えることができる。
【0071】
液体吐出口5からの洗浄液の吐出と液体吸引口8からの胆汁の吸引は、同じタイミングで行ってもよく、異なるタイミングで行ってもよく、また交互に行ってもよい。このように胆管内を洗浄することにより、胆管内の胆汁を効率よく吸引することができ、また胆管内の内圧が過度に高まることを防止できる。そのため、感染胆汁が肝臓を通って全身の血管内に流入することによる敗血症の発生を抑えることができる。
【0072】
洗浄液として生理食塩水を用いることにより、胆汁との比重差により胆汁を効率的に吸引できるという効果も得られる。内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)の際などには患者は主に腹臥位または左側臥位の状態で処置が施されるが、この状態では、胆管の入口は胆管の内部よりも上側に位置することとなる。この状態でカテーテル1を使用し、液体吐出口5から生理食塩水を吐出すると、生理食塩水は胆汁よりも比重が軽いため、生理食塩水を胆管の奥まで流入したとき、生理食塩水が上澄みとして上がってきて、胆汁を生理食塩水と効率的に混合し希釈することができる。そのため、希釈した胆汁を液体吸引口8から吸引することにより、胆管内の胆汁を効率的に除去することができる。
【0073】
液体吐出口5からは造影剤を吐出してもよい。例えば、生理食塩水により胆管内を洗浄した後、引き続き液体吐出口5から造影剤を胆管内に注入することにより、胆管内の画像診断をより行いやすくなる。
【0074】
シャフト2は、X線透視下での位置を確認しやすくするために、X線不透過物質を含んでいてもよい。X線不透過物質としては、例えば、鉛、バリウム、ヨウ素、タングステン、金、白金、イリジウム、白金イリジウム合金、ステンレス、チタン、コバルトクロム合金、パラジウム、タンタル等が挙げられる。例えば、シャフト2の近位端部や遠位端部にX線不透過マーカーが設けられることが好ましく、これにより、X線透視下で体腔内におけるシャフト2の位置を確認することができる。
【0075】
図12に示すように、第1チューブ3の安全弁14の近傍にX線不透過マーカー19が設けられてもよい。この場合、例えば、安全弁14から近位側または遠位側に10mm以内の範囲にX線不透過マーカー19が設けられることが好ましい。このように第1チューブ3にX線不透過マーカー19が設けられることにより、X線透視下で体腔内における安全弁14の位置を確認することができ、安全弁14が胆管入口付近に位置するように、カテーテル1を胆管内に挿入することが容易になる。
【0076】
安全弁14の位置を確認することが容易になる観点から、第1チューブ3は安全弁14の近傍において色が切り替わるように構成されていてもよい。例えば図13に示すように、第1チューブ3は、長手方向に第1区間3Aとその近位側に位置する第2区間3Bとを有し、第1区間3Aと第2区間3Bが互いに異なる色を有し、第1区間3Aと第2区間3Bの境界が安全弁14から近位側または遠位側に10mm以内の範囲に位置するように構成されていてもよい。これにより、カテーテル1を使用する際に、安全弁14の位置を視認により確認することが容易になる。
【0077】
シャフト2は、外面が親水性ポリマーによりコーティングされていてもよい。これにより、シャフト2を内視鏡の鉗子口から鉗子チャンネルに挿入する際に、鉗子チャンネルへの挿入を容易にすることができる。親水性ポリマーとして、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体等の無水マレイン酸共重合体等の親水性ポリマーが挙げられる。
【符号の説明】
【0078】
1:胆汁吸引カテーテル
2:シャフト
3:第1チューブ
4:第1ルーメン
5:液体吐出口
6:第2チューブ
7:第2ルーメン
8:液体吸引口
9:保護チューブ
10:ハブ
11:供給接続ポート
12:吸引接続ポート
13:ガイドワイヤポート
14:安全弁
15:柔軟部分
16:切れ込み
17:穴
18:樹脂シート
19:X線不透過マーカー
21:傾斜部
22:切欠き部
23:突起部
24:テーパー部
25:絞り部
図1
図2
図3
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図13