(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077456
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】張地の取付構造
(51)【国際特許分類】
A47C 31/02 20060101AFI20240531BHJP
B68G 7/05 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
A47C31/02 C
B68G7/05 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189564
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】391029406
【氏名又は名称】カリモク家具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴大
(57)【要約】
【課題】フレームへの張地の取付を容易にするとともに、張地の張り上がりの個体差を少なくすることができる張地の取付構造を提案する。
【解決手段】フレーム2を有し、該フレーム2に取付ける張地15,17の端部に、長尺で板状の取付部材12を固設し、前記フレーム2に前記取付部材12の延在方向の少なくとも一端と、前記張地15,17の取付側が開口する取付溝10を形成し、前記取付溝10における前記張地15,17の取付側の開口幅は、前記取付部材12の短手方向の幅より、短く形成し、前記取付溝10内に、前記取付部材12を挿入して、前記フレーム2に前記張地15,17を取り付ける。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを有し、該フレームに取付ける張地の端部に、長尺で板状の取付部材を固設し、
前記フレームに前記取付部材の延在方向の少なくとも一端と、前記張地の取付側が開口する取付溝を形成し、
前記取付溝における前記張地の取付側の開口幅は、前記取付部材の短手方向の幅より、短く形成し、
前記取付溝内に、前記取付部材を挿入して、前記フレームに前記張地を取り付けることを特徴とする張地の取付構造。
【請求項2】
前記取付部材に、2枚の張地の端部が固設されていることを特徴とする請求項1記載の張地の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、張地の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木枠で構成される椅子やソファー等に表張地を取り付ける方法として、木枠にチップボールを固定し、該チップボールにクッション材を取り付けた後に、クッション材の表面を表張地で覆い、表張地の周縁部をタッカーにより木枠に取付ける方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、人手により、表張地を取り付けているため、熟練した技術が必要となるとともに、張地の張り上がりに個体差が生じるという問題点がある。
【0005】
そこで、フレームへの張地の取付を容易にするとともに、張地の張り上がりの個体差を少なくすることができる張地の取付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、フレームを有し、該フレームに取付ける張地の端部に、長尺で板状の取付部材を固設し、
前記フレームに前記取付部材の延在方向の少なくとも一端と、前記張地の取付側が開口する取付溝を形成し、
前記取付溝における前記張地の取付側の開口幅は、前記取付部材の短手方向の幅より、短く形成し、
前記取付溝内に、前記取付部材を挿入して、前記フレームに前記張地を取り付けることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、
前記取付部材に、2枚の張地の端部が固設されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、フレームに取付部材の延在方向の少なくとも一端と、張地の取付側が開口する取付溝を形成し、取付溝における張地の取付側の開口幅は、取付部材の短手方向の幅より、短く形成し、取付溝内に、取付部材を挿入して、フレームに張地を取り付けるようにしたことにより、熟練度を要するタッカー作業を用いず、若しくは、削減して、張地をフレームに取り付けることができ、ソファーにおける張地の取付個体差を少なくし、品質を向上できる。
【0009】
また、修理、メンテナンス時において、張地を容易に取り外すことができ、作業性を大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】本発明の実施例に用いる肘フレームの正面図。
【
図5】
図4の状態から、張地を取り付けた状態の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の張地の取付構造を備えたソファー1の斜視図を示す。
【0013】
ソファー1は、
図2に示すように、木製のフレーム2を有する。フレーム2の左右に設けた一対の肘フレーム3,3と、肘フレーム3,3間に設けた座フレーム4と、座フレーム4の後部に設けた背フレーム5を有する。
【0014】
肘フレーム3の前面には、
図3,
図4に示すように、張地の取付側である前側が開口する有底状の開口部7が上端から下端までの縦方向全体に亘って形成されている。本実施例では、開口部7の延在方向(長手方向)が、若干湾曲するように形成したが、その形状は任意に形成できるとともに、直線状となるように形成してもよい。
【0015】
開口部7の前面における短手方向の両側部には、夫々、板状の係止部材8,8が設けられている。各係止部材8の内側が、開口部7の短手方向の両側面より内側方向に突出するように、係止部材8が、開口部7の長手方向の略全体に亘って設けられている。係止部材8,8は、離間して設けられ、その離間距離は、開口部7の延在方向全体に亘って、略同じとなるように形成されている。
【0016】
開口部7と係止部材8,8により、取付溝10が構成されている。取付溝10における、開口部7の延在方向の一端である上端は開口され、他端である下端には抜け止め部11が形成されている。また、取付溝10の前側は開口している。前側の開口幅は、開口部7の短手方向の幅より短く形成され、取付溝10の内周面はC状に形成されている。なお、取付溝10の延在方向の他端に、抜け止め部11を形成せず開口し、延在方向の両端が開口するように形成してもよい。
【0017】
取付溝10内には、長尺の取付部材12を取り外し可能に挿入できるようになっている。取付部材12は、長尺の板状で構成され形状が保持できるとともに、後述する表張地15を、縫製や金属等の固定具で固定できれば、任意の部材で構成することができ、例えば、樹脂、ボール紙等の紙製品で構成することができる。本実施例では、取付部材12として、発泡樹脂である発泡ポリプロピレンで構成したハッポートを用いた。
【0018】
取付部材12は、取付溝10の形状に適応する形状で構成され、本実施例では、
図7に示すように、取付溝10の延在方向と同様に、若干湾曲するように形成した。取付部材12の長手方向の長さは、取付溝10の延在方向の長さより短く設定されている。
【0019】
取付部材12の表側には、ウレタン13が設けられている。ウレタン13の表側には、張地である第1表張地15が、取付部材12の表側全体に固設されている。
【0020】
第1表張地15の短手方向の両端部には、
図7に示すように、夫々、第2表張地17,17が、その裏側方向に折り返した部分が、ミシンにより取付部材12に対して縫製固定されている。すなわち、取付部材12には、2枚の第2表張地17,17の端部が、短手方向の両端部に固設されている。なお、第2表張地17,17の取付部材12に対する固定方法は、縫製固定以外にも任意の方法で行うことができる。
【0021】
本実施例では、
図6に示すように、第2表張地17,17の端部が、離間するように、取付部材12に対して固定したが、第2表張地17,17の端部同士が当接するように設けてもよい。
【0022】
第2表張地17,17が表側に位置するように、取付部材12を、取付溝10内に挿入することにより、第2表張地17,17を、肘フレーム3に対して固定することができる。第2表張地17,17と肘フレーム3との間には、ウレタン等のクッション材20が設けられている。
【0023】
第2表張地17,17の他の端部は、取付部材12を用いて同様に肘フレーム3等のフレーム2に固定するようにしてもよいし、任意の固定手段を用いて、肘フレーム3等のフレーム2に固定するようにしてもよい。
【0024】
このように、表張地15,17,17を、肘フレーム3に固定することができるために、熟練度を要するタッカー止め作業を不要、若しくは、削減することができ、表張地15,17,17の張り上がりの個体差を少なくし、ソファー1の品質を向上することができるとともに、作業効率を大幅に向上できる。
【0025】
また、取付部材12を、取付溝10から取り外すことで、肘フレーム3から表張地15,17,17を取り外すことができ、ソファー1の分別廃棄の可能性を高めることができる。また、ソファー1の購入者の注文に応じて、表張地15,17,17の色、柄等を容易に交換することができる。
【0026】
また、ソファー1の修理、メンテナンス時において、上記従来技術におけるステープルを一つずつ外す作業が不要となり、表張地15,17,17を取り外しや取付作業が容易に行え、作業性を大幅に向上することができる。
【0027】
本発明の張地の取付構造を、肘フレーム3の前面に対する表張地15,17,17の取付に用いたが、表張地を、フレーム2の任意の場所、例えば、肘の側面や、座の前面、背の後面等に固定する際に用いるようにしてもよい。
【0028】
また、取付部材12に、2枚の第2表張地17,17の端部を固定したが、1枚の表張地の任意の場所を、取付部材12に固定して、取付部材12をフレーム2に対して固定するようにしてもよい。
【0029】
また、本実施例では、取付溝10を上下方向に設けたが、左右方向や斜め方向など、任意の方向に形成して、表張地をフレーム2に対して固定するようにしてもよい。また、取付溝10内に、取付部材12が挿入できれば、取付溝10の形状は任意に形成することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 ソファー
2 フレーム
10 取付溝
12 取付部材
15,17 張地