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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077460
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】運動用衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/18 20060101AFI20240531BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20240531BHJP
   A41D 27/06 20060101ALI20240531BHJP
   A41D 27/10 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
A41D27/18 Z
A41D13/00 115
A41D27/06 C
A41D27/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189575
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】522294659
【氏名又は名称】TASUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳央
(72)【発明者】
【氏名】久保 尚士
【テーマコード(参考)】
3B011
3B035
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AB11
3B011AC17
3B035AA08
3B035AA11
3B035AB05
3B035AB06
3B035AC15
3B211AB11
3B211AC17
(57)【要約】
【課題】日常生活で着用できる強度が高い運動用衣服を提供する。
【解決手段】前身頃及び後身頃を有する身頃と、身頃に設けられた左袖部及び右袖部を有する袖部と、を有する本体部と、襟ぐりに沿って本体部に設けられた第1襟部と、本体部の内側に設けられた第2襟部と、を備える運動用衣服である。第1襟部は、帯状に形成されており、第2襟部は、第1襟部から離れて配置された襟縫い目において本体部と縫合されている。第1襟部及び第3襟部(本体部の襟ぐりと襟縫い目の間の領域)は、第2襟部と重畳して設けられている。第2襟部は伸縮性生地で形成されており、第1襟部及び第3襟部は非伸縮性生地で形成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃及び後身頃を有する身頃と、前記身頃に設けられた左袖部及び右袖部を有する袖部と、を有する本体部と、
襟ぐりに沿って前記本体部に設けられた第1襟部と、
前記本体部の内側に設けられた第2襟部と、
を備え、
前記第1襟部は、帯状に形成されており、
前記第2襟部は、前記第1襟部から離れて配置された襟縫い目において前記本体部と縫合されており、
前記第1襟部及び前記本体部の前記襟ぐりと前記襟縫い目の間の領域である第3襟部は、前記第2襟部と重畳して設けられており、
前記第2襟部は伸縮性生地で形成されており、
前記第1襟部及び前記第3襟部は、非伸縮性生地で形成されている
ことを特徴とする運動用衣服。
【請求項2】
前記第1襟部の延設方向と直交する方向において、前記第3襟部の幅は前記第1襟部の幅より広い
ことを特徴とする請求項1に記載の運動用衣服。
【請求項3】
前記後身頃の中心である後中心に沿った線上において、前記第3襟部の幅は前記第1襟部の幅の1倍~2倍である
ことを特徴とする請求項2に記載の運動用衣服。
【請求項4】
前記袖部は、袖下に沿って設けられた袖下部を有し、
前記袖下部は伸縮性生地で形成されており、前記袖部の前記袖下部以外は非伸縮性生地で形成されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の運動用衣服。
【請求項5】
前記前身頃及び前記後身頃は、脇に沿って設けられた脇部を有し、
前記脇部は伸縮性生地で形成されており、前記前身頃及び前記後身頃の前記脇部以外は非伸縮性生地で形成されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の運動用衣服。
【請求項6】
前記身頃及び前記袖部は、裾口を含む袖口部及び裾を含む裾口部の少なくとも一方を除く全体が非伸縮性生地で形成されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の運動用衣服。
【請求項7】
前記非伸縮性生地は、刺し子織りの生地である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の運動用衣服。
【請求項8】
前身頃及び後身頃を有する身頃と、前記身頃に設けられた左袖部及び右袖部を有する袖部と、を有する本体部と、
襟ぐりに沿って前記本体部に設けられた第1襟部と、
を備え、
前記本体部は、非伸縮性生地である第1生地を用いた第1領域と、前記第1生地と異なる第2生地を用いた第2領域とを有し、
前記第1生地は、前記第2生地よりも高強度であり、
前記第1領域は、襟ぐりから袖口に向かって連続する帯状の帯状領域を含む
ことを特徴とする運動用衣服。
【請求項9】
前記袖部は、袖下に沿って設けられた袖下部を有し、
前記袖下部は前記第2領域に含まれ、前記袖部の前記袖下部以外は前記第1領域に含まれる
ことを特徴とする請求項8に記載の運動用衣服。
【請求項10】
前記第1領域は、袖口の近傍に設けられた筒状の筒状部を含む
ことを特徴とする請求項9に記載の運動用衣服。
【請求項11】
前記前身頃及び前記後身頃は、脇に沿って設けられた脇部を有し、
前記脇部は前記第2領域に含まれ、前記前身頃及び前記後身頃の前記脇部以外は前記第1領域に含まれる
ことを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の運動用衣服。
【請求項12】
前記第1生地は、刺し子織りの生地である
ことを特徴とする請求項8から11のいずれか一項に記載の運動用衣服。
【請求項13】
前記第2生地は、伸縮性生地である
ことを特徴とする請求項12に記載の運動用衣服。
【請求項14】
前記帯状領域は、前記後身頃の前記第1襟部に隣接し、かつ、前記後身頃を幅方向に横断する第1帯状領域と、前記左袖部の第2帯状領域と、前記右袖部の第3帯状領域と、を有する
ことを特徴とする請求項8から13のいずれか一項に記載の運動用衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動用衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、織地の適宜方向に刺し子糸を織り込み、かつ、裏地における平面視4cmあたり1cm以上の割合で刺し子糸を露出させた生地を構成し、この生地を縫製してなる刺し子織り布製品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3144913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、布製品として、日常生活に使用可能なシャツ、ジャケット、ズボン、帽子等が例示されている。しかしながら、特許文献1に記載の発明は、刺し子糸の露出割合を変えることで、布製品が肌やインナーウェアと密着しないようにすることを目的としており、刺し子織りの強度を生かすことはできない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、日常生活で着用できる強度が高い運動用衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る運動用衣服は、例えば、前身頃及び後身頃を有する身頃と、前記身頃に設けられた左袖部及び右袖部を有する袖部と、を有する本体部と、襟ぐりに沿って前記本体部に設けられた第1襟部と、前記本体部の内側に設けられた第2襟部と、を備え、前記第1襟部は、帯状に形成されており、前記第2襟部は、前記第1襟部から離れて配置された襟縫い目において前記本体部と縫合されており、前記第1襟部及び前記本体部の前記襟ぐりと前記襟縫い目の間の領域である第3襟部は、前記第2襟部と重畳して設けられており、前記第2襟部は伸縮性生地で形成されており、前記第1襟部及び前記第3襟部は、非伸縮性生地で形成されていることを特徴とする。これにより、日常生活で着用できる強度が高い運動用衣服を提供することができる。したがって、日常生活で着用しつつ、着替えることなく武道の練習を行うことができる。
【0007】
前記第1襟部の延設方向と直交する方向において、前記第3襟部の幅は前記第1襟部の幅より広くてもよい。これにより、柔道・合気道等の道着を掴んで技をかける武道の練習時に第3襟部を掴んで練習を行うことができる。
【0008】
前記後身頃の中心である後中心に沿った線上において、前記第3襟部の幅は前記第1襟部の幅の1倍~2倍であってもよい。これにより、柔道・合気道等の道着を掴んで技をかける武道の練習時に奥襟が掴みやすくなる。
【0009】
前記袖部は、袖下に沿って設けられた袖下部を有し、前記袖下部は伸縮性生地で形成されており、前記袖部の前記袖下部以外は非伸縮性生地で形成されていてもよい。これにより、日常生活において着心地を良くすることができる。
【0010】
前記前身頃及び前記後身頃は、脇に沿って設けられた脇部を有し、前記脇部は伸縮性生地で形成されており、前記前身頃及び前記後身頃の前記脇部以外は非伸縮性生地で形成されていてもよい。これにより、日常生活において着心地を良くすることができる。
【0011】
前記身頃及び前記袖部は、裾口を含む袖口部及び裾を含む裾口部の少なくとも一方を除く全体が非伸縮性生地で形成されていてもよい。これにより、運動用衣服の強度をより高くすることができる。
【0012】
前記非伸縮性生地は、刺し子織りの生地であってもよい。これにより、丈夫かつ柔らかい生地とし、柔道・合気道等の道着を掴んで技をかける武道の練習に適した運動用衣服とすることができる。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る運動用衣服は、例えば、前身頃及び後身頃を有する身頃と、前記身頃に設けられた左袖部及び右袖部を有する袖部と、を有する本体部と、襟ぐりに沿って前記本体部に設けられた第1襟部と、を備え、前記本体部は、非伸縮性生地である第1生地を用いた第1領域と、前記第1生地と異なる第2生地を用いた第2領域とを有し、前記第1生地は、前記第2生地よりも高強度であり、前記第1領域は、襟ぐりから袖口に向かって連続する帯状の帯状領域を含むことを特徴とする。これにより、日常生活で着用できる強度が高い運動用衣服を提供することができる。したがって、日常生活で着用しつつ、着替えることなく武道の練習を行うことができる。
【0014】
前記袖部は、袖下に沿って設けられた袖下部を有し、前記袖下部は前記第2領域に含まれ、前記袖部の前記袖下部以外は前記第1領域に含まれてもよい。これにより、日常生活において着心地を良くすることができる。
【0015】
前記第1領域は、袖口の近傍に設けられた筒状の筒状部を含んでもよい。これにより、柔道・合気道等の道着を掴んで技をかける武道の練習時に相手が袖の下を掴んで引っ張っても袖部が伸びず、練習がしやすい。
【0016】
前記前身頃及び前記後身頃は、脇に沿って設けられた脇部を有し、前記脇部は前記第2領域に含まれ、前記前身頃及び前記後身頃の前記脇部以外は前記第1領域に含まれてもよい。これにより、日常生活において着心地を良くすることができる。
【0017】
前記第1生地は、刺し子織りの生地であってもよい。これにより、丈夫かつ柔らかい生地とし、柔道・合気道等の道着を掴んで技をかける武道の練習に適した運動用衣服とすることができる。
【0018】
前記第2生地は、伸縮性生地であってもよい。これにより、日常生活において着心地を良くすることができる。
【0019】
前記帯状領域は、前記後身頃の前記第1襟部に隣接し、かつ、前記後身頃を幅方向に横断する第1帯状領域と、前記左袖部の第2帯状領域と、前記右袖部の第3帯状領域と、を有してもよい。これにより、袖部や襟部を引っ張ったときに、引っ張った方向に運動用衣服が移動し、これに追従して運動用衣服の着用者が移動するため、柔道・合気道等の道着を掴んで技をかける武道の練習がしやすい。
【発明の効果】
【0020】
日常生活で着用できる強度が高い運動用衣服を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態にかかる運動用衣服1の概略を示す正面図である。
図2】運動用衣服1の概略を示す背面図である。
図3】運動用衣服1を正面から見たときの概略を示す部分拡大図である。
図4】運動用衣服1を背面から見たときの概略を示す部分拡大図である。
図5】運動用衣服1を側面から見たときの概略を示す部分拡大図である。
図6】運動用衣服1の左襟81aを開いた様子を模式的に示す図である。
図7】運動用衣服1の奥襟81cを開いた様子を模式的に示す図である。
図8】変形例にかかる運動用衣服1Aの概略を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は背面図である。
図9】変形例にかかる運動用衣服1Bの概略を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は背面図である。
図10】本発明の第2の実施の形態にかかる運動用衣服2の概略を示す正面図である。
図11】運動用衣服2の概略を示す背面図である。
図12】運動用衣服2の概略を示す側面図である。
図13】刺し子織りの生地の概略を示す図であり、(A)が表であり、(B)が裏である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明の運動用衣服は、日常生活やランニング等のトレーニング時に着用可能であるとともに、武道の練習も可能な衣服である。本発明において、武道とは、柔道、空手道、少林寺拳法、合気道、躰道、テコンドー、柔術等を含むが、特に相手を掴んで技をかける柔道、合気道、柔術に最適である。以下、本発明の運動用衣服について、柔道に用いる場合を例に説明する。
【0023】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる運動用衣服1の概略を示す正面図である。図2は、運動用衣服1の概略を示す背面図である。以下、前後左右は着用者を基準にする。
【0024】
運動用衣服1は、主として、前身頃10及び後身頃20を有する身頃70と、左袖部40及び右袖部50を有する袖部75とを有する本体部80と、襟部30(本発明の第1襟部に相当)と、襟部60(本発明の第2襟部に相当)と、を備える。襟部60は、本体部80の内側に設けられている。
【0025】
前身頃10は、主として、刺し子織りの生地で形成された本体部11と、伸縮性のある生地(以下、伸縮性生地という)で形成された脇部12と、伸縮性を有する裾口部13とを有する。後身頃20は、主として、刺し子織りの生地で形成された本体部21と、伸縮性生地で形成された脇部22と、伸縮性を有する裾口部23とを有する。
【0026】
本体部11、21は、刺し子織りの生地(非伸縮性生地)を用いた第1領域に含まれ、脇部12、22は、第1領域に用いられる生地と異なる生地を用いた第2領域に含まれる。
【0027】
刺し子織りとは、太さの異なる経糸と緯糸とを浮き出して織った織物であり、柔道着等に用いられている。図13は、刺し子織りの生地の概略を示す図であり、(A)が表であり、(B)が裏である。刺し子織りは、太い糸(刺し子糸)が千鳥状に表れており、表裏ともに刺し子糸による凹凸を有する。刺し子織りの生地は、刺し子糸を用いるため、生地が厚く、また丈夫で、伸縮性を有しない。刺し子織りの生地は、伸縮性を有しない生地(以下、非伸縮性生地という)の一態様である。ただし、刺し子織りの生地は、高強度でありながら柔らかい生地であるため、非伸縮性生地の最も好ましい態様である。
【0028】
脇部12、22は、伸縮性生地(例えば、ジャージ生地)で形成されており、脇に沿って設けられている。刺し子織りの生地は、伸縮性生地よりも高強度である。
【0029】
脇部12、22は、それぞれ、本体部11、21に縫い合わされている。前身頃10及び後身頃20は、脇部12、22で縫い合わされており、脇部12、22が一連の領域を形成する。本実施の形態では、脇部12、22が帯状であるが、脇部12、22の位置及び形状はこれに限られない。脇部12、22を伸縮性生地で形成することで、運動用衣服1を日常生活で着用したり、筋力トレーニング、ランニング等のトレーニングで着用したりしても着心地がよい。
【0030】
裾口部13、23は、裾の近傍に設けられた領域であり、伸縮性を有する。裾口部13、23は、例えばリブ編みにより形成されており、それぞれ本体部11、21に縫い合わされている。ただし、裾口部13、23は必須ではない。また、裾口部13、23の幅もこれに限られない。
【0031】
左袖部40は、主として、刺し子織りの生地で形成された袖本体部41と、伸縮性生地で形成された袖下部42と、伸縮性を有する袖口部43とを有する。右袖部50は、主として、刺し子織りの生地で形成された袖本体部51と、伸縮性生地で形成された袖下部52と、伸縮性を有する袖口部53とを有する。
【0032】
袖本体部41、51は、刺し子織りの生地(非伸縮性生地)を用いた第1領域に含まれ、袖下部42、52は、第1領域に用いられる生地と異なる生地を用いた第2領域に含まれる。
【0033】
袖下部42、52は、伸縮性生地で形成されており、それぞれ袖本体部41、51の両側に縫合されている。袖本体部41、51を長手方向に沿った中心線で折り曲げ、袖本体部41、51の両側に設けられた袖下部42、52を縫合することで、左袖部40及び右袖部50が筒状になる。袖下部42、52を伸縮性生地で形成することで、肘の曲げ伸ばしが容易になり、運動用衣服1を日常生活で着用したときの着心地がよい。また、運動用衣服1を着たままトレーニングがしやすい。
【0034】
本実施の形態の運動用衣服1では、脇部12、22と袖下部42、52とが一連の領域となっている。したがって、腕を上にあげる動作が楽になり、運動用衣服1を筋力トレーニングで着用したときの着心地がよい。
【0035】
袖口部43、53は、袖口の近傍に設けられた領域であり、伸縮性を有する。裾口部13、23は、例えばリブ編みにより形成されており、それぞれ袖本体部41、51及び袖下部42、52に縫い合わされている。ただし、袖口部43、53は必須ではない。また、袖口部43、53の幅もこれに限られない。
【0036】
左袖部40及び右袖部50は、身頃70に縫合されている。左袖部40及び右袖部50が身頃70に設けられると、袖下部42、52が袖下に沿って設けられる。
【0037】
左袖部40と身頃70との縫い目92及び右袖部50と身頃70との縫い目93は、肩側において襟部30に接している。すなわち、襟部30は、前身頃10及び後身頃20に加え、左袖部40及び右袖部50にも設けられている。なお、本発明において、縫い目とは、縫い合わせた部分のことをいう。また、縫い目は点線で図示する。
【0038】
したがって、袖本体部41、51は、それぞれ、襟部30との境界(襟ぐり94)から袖口に向かって、非伸縮性生地で形成されている帯状の帯状領域71b、71cを含む。
また、後身頃20は、襟部30に隣接し、かつ、後身頃20を幅方向に横断する帯状の帯状領域71aを有する。帯状領域71a、71b、71cは連続しており、一連の帯状領域71を構成する。なお、図における2点鎖線は、帯状領域71a、71b、71cを示す仮想線である。
【0039】
次に、襟部30、60について説明する。図3は、運動用衣服1を正面から見たときの概略を示す部分拡大図である。図4は、運動用衣服1を背面から見たときの概略を示す部分拡大図である。図5は、運動用衣服1を側面から見たときの概略を示す部分拡大図である。
【0040】
襟部30は、非伸縮性生地で帯状に形成されており、本体部80の襟ぐり94に沿って設けられている。なお、本発明において、襟ぐりとは、首周りの刳りのことをいう。
【0041】
襟部60は、伸縮性生地で形成されている。襟部60は、主として、本体部61と、筒状部62と、帽子部63と、を有する。本体部61と筒状部62とは、縫い目95で縫合されている。筒状部62は、首に沿ったいわゆるハイネックである。また、本体部61と帽子部63とは、縫い目95で縫合されている。
【0042】
なお、筒状部62及び帽子部63は必須ではない。例えば、襟部60は、縫い目95を襟ぐりとする本体部61のみであってもよい。
【0043】
襟部60は、襟部30から離れて配置された縫い目91(本発明の襟縫い目に相当)において本体部80と縫合されている。以下、本体部80において、縫い目91と襟ぐり94との間の領域を襟部81(本発明の第3襟部に相当)とする。襟部30及び襟部81は、襟部60と重畳して設けられている。襟部81は、本体部11、21及び袖本体部41、51の一部であり、非伸縮性生地で形成されている。
【0044】
襟部30の延設方向と直交する方向において、襟部81の幅w2は襟部30の幅w1より広い(図3参照)。また、後身頃20の中心である後中心20axに沿った線上において、襟部81の幅w3は襟部30の幅w1の1倍~2倍である(図6参照)。
【0045】
図6は、襟部81のうちの左側の部分(左襟81a)を開いた様子を模式的に示す図である。左襟81aと襟部60とは重なっているため、縫い目91を中心に左襟81aを開くことができる。したがって、柔道(合気道等の道着を掴んで技をかける武道も同様である、以下同様)の練習時に、相手方が左襟81aを掴むことができる。また、襟部60から離間する左襟81a及び襟部30(以下、単に、左襟81aという)の縫い目91からの幅は幅w1と幅w2との和となり、幅が広いため、相手方が左襟81aを掴みやすい。
【0046】
図示は省略するが、襟部81のうちの右側の部分(右襟81b)についても、左襟81aと同様に、縫い目91を中心に右襟81bを開くことができ、柔道の練習時に、相手方が右襟81bを掴むことができる。また、襟部60から離間する右襟81b及び襟部30(以下、単に、右襟81bという)の縫い目91からの幅は幅w1と幅w2との和となり、幅が広いため、相手方が右襟81bを掴みやすい。
【0047】
特に、襟部81の幅w2は襟部30の幅w1より広くすることで、相手方が左襟81aや右襟81bを掴むのに十分な広さとすることができる。
【0048】
図7は、襟部81のうちの背面側の部分(奥襟81c)を開いた様子を模式的に示す図である。奥襟81cと襟部60とは重なっているため、縫い目91を中心に奥襟81cを開くことができる。したがって、柔道の練習時に、相手方が奥襟81cを掴むことができる。また、襟部60から離間する奥襟81c及び襟部30(以下、単に、奥襟81cという)の縫い目91からの幅は幅w1と幅w3との和となり、幅が広いため、相手方が奥襟81cを掴みやすい。また、幅w3を襟部30の幅w1の1倍~2倍と幅w2より広くすることで、視認が困難な奥襟81cを掴みやすくすることができる。
【0049】
本実施の形態によれば、一般的な洋服として日常生活で着用することができる。また、襟部30、81が刺し子織りの生地で形成されているため、運動用衣服1の強度を高くすることができる。さらに、縫い目91で襟部60が本体部80の内側に縫い合わされており、襟部30、81が襟部60と重畳して設けられているため、柔道の練習をするときに、相手方が左襟81a、右襟81bや奥襟81cを掴んで技をかける等の練習をすることができる。すなわち、運動用衣服1は、日常生活で着用しつつ、着替えることなく武道の練習を行うことができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、袖本体部41、51が刺し子織りの生地で形成されているため、運動用衣服1の強度を高くすることができる。また、袖本体部41、51が襟ぐり94から袖口に向かう帯状領域71b、71cを含むため、柔道の練習時に相手方が襟部30、81を引っ張ったときに、引っ張った方向に運動用衣服1が移動し、これに追従して運動用衣服1の着用者が移動する。すなわち、運動用衣服1は、日常生活で着用しつつ、着替えることなく武道の練習を行うことができる。
【0051】
特に、帯状領域71a、71b、71cが連続して一連の帯状領域71を構成することで、柔道の練習時に相手方が袖本体部41、51の一方を引っ張ったときに、他方の袖本体部41、51が移動、すなわち運動用衣服1全体が移動し、これに追従して運動用衣服1の着用者が移動しやすくなる。これにより、より、技をかける練習がしやすくなり、武道の練習に適した運動用衣服1とすることができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、非伸縮性生地に刺し子織りの生地を用いたが、非伸縮性生地は刺し子織りの生地に限られない。例えば、空手着に用いられる帆布等を非伸縮性生地としてもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、本体部11、21及び袖本体部41、51が刺し子織りの生地(非伸縮性生地)で形成されており、脇部12、22及び袖下部42、52が伸縮性生地で生成されているが、本体部80の形態はこれに限られない。例えば、身頃70及び袖部75は、袖口部43、53を除く全体が非伸縮性生地で形成されていてもよいし、裾口部13、23を除く全体が非伸縮性生地で形成されていてもよいし、裾口部13、23及び袖口部43、53を除く全体が非伸縮性生地で形成されていてもよい。非伸縮性生地の面積を広くすることで、武道の練習に適した運動用衣服となる。
【0054】
また、脇部12、22及び袖下部42、52の形状や大きさもこれに限られない。図8、9は、変形例にかかる運動用衣服1A、1Bの概略を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は背面図である。
【0055】
図8に示すように、運動用衣服1Aは、主として、前身頃10A及び後身頃20Aを有する身頃70Aと、左袖部40A及び右袖部50Aを有する袖部75Aとを有する本体部80Aと、襟部30と、襟部60と、を備える。前身頃10A、後身頃20Aは、主として、刺し子織りの生地で形成された本体部11A、21A(第1領域)と、伸縮性生地で形成された脇部12A、22A(第2領域)と、伸縮性を有する裾口部13、23とを有する。左袖部40A、右袖部50Aは、主として、刺し子織りの生地で形成された袖本体部41A、51A(第1領域)と、伸縮性生地で形成された袖下部42A、52A(第2領域)と、伸縮性を有する袖口部43、53とを有する。脇部12A、22A及び袖下部42A、52Aは、それぞれ、脇部12、22及び袖下部42、52に比べて幅が広い。また、袖本体部41A、51Aは、袖口の近傍に設けられた筒状の筒状部41a、51aを含む。筒状部41a、51aを有することで、柔道の練習時に相手が袖の下を掴んで引っ張っても袖部75Aが伸びず、練習がしやすい。
【0056】
図9に示すように、運動用衣服1Bは、主として、前身頃10B及び後身頃20Bを有する身頃70Bと、左袖部40B及び右袖部50Bを有する袖部75Bとを有する本体部80Bと、襟部30と、襟部60と、を備える。前身頃10B、後身頃20Bは、主として、伸縮性生地で形成された本体部11B、21B(第2領域)と、刺し子織りの生地で形成された上部14、24(第1領域)と、伸縮性を有する裾口部13、23とを有する。上部14は、縫い目91と襟ぐり94との間の領域であり、襟部81と重なる。上部24、本体部21Aの上側に帯状に設けられており、襟部81を含む。
【0057】
左袖部40B、右袖部50Bは、主として、刺し子織りの生地で形成された袖本体部41B、51B(第1領域)と、伸縮性生地で形成された袖下部42B、52B(第2領域)と、伸縮性を有する袖口部43、53とを有する。袖下部42A、52Aは、袖下部42、52に比べて面積が広い。また、袖本体部41B、51Bは、袖口の近傍に設けられた筒状の筒状部41b、51bを含む。筒状部41b、51bは、筒状部41a、51aよりも幅が広い。
【0058】
このように、運動用衣服1A、1Bは、運動用衣服1と同様に、一般的な洋服として日常生活で着用することができる。また、襟部30、81及び帯状領域71が刺し子織りの生地で形成されているため、運動用衣服1A、1Bの強度を高くすることができる。また、運動用衣服1A、1Bは、柔道の練習時に相手方が襟部30、81を引っ張ったときに、引っ張った方向に運動用衣服1A、1Bが移動し、これに追従して運動用衣服1の着用者が移動する。
【0059】
さらに、運動用衣服1A、1Bは、刺し子織りの生地で形成された筒状部41a、51aを有するため、柔道の練習時に相手方が袖口近傍の袖下部分を把持して引っ張っても袖口が伸びず、技をかけやすい。すなわち、運動用衣服1A、1Bは、日常生活で着用しつつ、着替えることなく武道の練習を行うことができる。
【0060】
また、運動用衣服1Bのように、伸縮性生地で形成される部分の面積を広くすることで、運動用衣服1Bを日常生活で着用したときの着心地がよい。
【0061】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施の形態に係る運動用衣服2について説明する。運動用衣服2は、本体部80の内側に設けられた襟部60を有しない形態である。なお、運動用衣服1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0062】
図10は、本発明の第2の実施の形態にかかる運動用衣服2の概略を示す正面図である。図11は、運動用衣服2の概略を示す背面図である。図13は、運動用衣服2の概略を示す側面図である。
【0063】
運動用衣服2は、主として、前身頃10C及び後身頃20Cを有する身頃70Cと、左袖部40C及び右袖部50Cを有する袖部75Cとを有する本体部80Cと、襟部30A(本発明の第1襟部に相当)とを備える。
【0064】
前身頃10Cは、主として、第2生地で形成された本体部11Cと、第1生地で形成された上部14Aと、を有する。後身頃20Cは、主として、第2生地で形成された本体部21Cと、第1生地で形成された上部24Aと、を有する。上部14A、上部24Aは、本発明における第1領域に含まれ、本体部11C、21Cは、本発明における第2領域に含まれる。
【0065】
左袖部40Cは、主として、第1生地で形成された袖本体部41Cと、第2生地で形成された袖下部42Cとを有する。右袖部50Cは、主として、第1生地で形成された袖本体部51Cと、第2生地で形成された袖下部52Cとを有する。袖本体部41C、51Cは、本発明における第1領域に含まれ、袖下部42C、52Cは、本発明における第2領域に含まれる。
【0066】
本実施の形態では、第1生地は刺し子織りの生地であり、第2生地は薄手の平織りの生地であるが、第1生地、第2生地はこれに限られない。ただし、第1生地が非伸縮性生地であり、第1生地が第2生地よりも高強度であることは必須である。第2生地は伸縮性生地でも非伸縮性生地でもよい。具体的には、第1生地は刺し子織りの生地で第2生地が伸縮性生地であってもよいし、第1生地は帆布で第2生地が薄手の平織りの生地であってもよいし、第1生地は帆布で第2生地が伸縮性生地であってもよい。また、強度とは、引張強さの値で表すことができ、第1生地が第2生地よりも高強度であるとは、第1生地の引張強さの値が第2生地の引張強さの値より高いことを意味する。なお、生地の引張試験は、JIS L 1096(織物及び編物の生地試験方法)に規定された方法等を用いて行うことができる。
【0067】
運動用衣服2は、前身頃10Cと左袖部40C及び右袖部50Cが一体であり、後身頃20Cと左袖部40C及び右袖部50Cとが一体である。具体的には、上部14A、24Aと袖本体部41Cは一体となっており、上部14A、24Aと袖本体部51Cは一体となっており、袖ぐりの縫い目が無い。また、上部14Aと上部24Aとは一体となっており、肩の縫い目が無い。したがって、柔道の練習時に相手が袖部75Cや襟部30Aを引っ張ったとしても、縫い目で敗れることなく、丈夫である。
【0068】
本体部80C(上部14A、24A及び袖本体部41C、51Cを含む)は、襟ぐりから袖口に向かって、非伸縮性生地で形成されている帯状の帯状領域71を含む。したがって、袖部75Cや襟部30Aを引っ張ったときに、引っ張った方向に運動用衣服2が移動し、これに追従して運動用衣服2の着用者が移動する。
【0069】
なお、上部24Aは、後身頃20Cの中心である後中心20ax又はその近傍で分割されて縫合されていてもよい。
【0070】
袖下部42C、52Cは、伸縮性生地で形成されており、それぞれ袖本体部41C、51Cの両側に縫合されている。袖本体部41C、51Cを長手方向に沿った中心線で折り曲げ、袖本体部41C、51Cの両側に設けられた袖下部42C、52Cを縫合することで、左袖部40C及び右袖部50Cが筒状になる。袖下部42C、52Cは、それぞれ、本体部11C、21Cに縫い目97、98で縫合されている。
【0071】
前身頃10C及び後身頃20Cには帽子65が設けられている。襟部30Aは、非伸縮性生地で帯状に形成されており、前身頃10Cの襟ぐり及び帽子65の周縁に沿って設けられている。
【0072】
身頃70Cには、紐66が設けられている。紐66は、後身頃20Cに形成された袋状部20aに挿入されている。したがって、帯のように紐66を前身頃10Cの正面側で縛ることができる。紐66の両端は、前身頃10Cに形成された袋状部10a、10bに入れることができる。これにより、紐66が外部から視認できないようにすることができる。
【0073】
本実施の形態によれば、一般的な洋服として日常生活で着用することができる。また、襟ぐりから袖口に向かう帯状領域71を含むため、袖部75Cや襟部30Aを引っ張ったときに、引っ張った方向に運動用衣服2が移動し、これに追従して運動用衣服2の着用者が移動する。すなわち、運動用衣服2は、日常生活で着用しつつ、着替えることなく武道の練習を行うことができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、袖部75Cの袖下近傍が第2領域、その他が第1領域であり、袖口近傍に筒状部を有しないが、袖部75Cが袖口近傍に設けられた筒状部41a、51aを有してもよい。
【0075】
また、本実施の形態では、袖下部42C、52Cがそれぞれ本体部11C、21Cに縫い目97、98で縫合されており、上部14A、24Aと袖本体部41C、51Cとは一体となっていたが、上部14A、24Aと袖本体部41C、51Cとが別の布で形成され、縫い目97、98を含む線上で縫合されていてもよい。ただし、上部14A、24Aと袖本体部41C、51Cとを一体とすることで、より強度を高くすることができる。
【0076】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。
【0077】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「略円筒形状」とは、厳密に円筒形状の場合には限られない。また、例えば、単に略中央等と表現する場合において、厳密に中央等の場合のみでなく、略中央等の場合を含むものとする。
【0078】
また、「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、端近傍という場合に、端の近くのある範囲の領域であって、端を含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0079】
1、1A、1B、2:運動用衣服
10、10A、10B、10C:前身頃
20、20A、20B、20C:後身頃
11、11A、11B、11C、21、21A、21B、21C:本体部
12、12A、22、22A:脇部
13、23:裾口部
14、14A、24、24A:上部
10a、10b、20a:袋状部
20ax :後中心
30、30A:襟部
40、40A、40B、40C:左袖部
50、50A、50B、50C:右袖部
41、41A、41B、41C、51、51A、51B、51C:袖本体部
41a、41b、51a、51b:筒状部
42、42A、42B、42C、52、52A、52B、52C:袖下部
43、53:袖口部
60 :襟部
61 :本体部
62 :筒状部
63 :帽子部
65 :帽子
66 :紐
70、70A、70B、70C:身頃
71、71a、71b、71c:帯状領域
75、75A、75B、75C:袖部
80、80A、80B、80C:本体部
81 :襟部
81a :左襟
81b :右襟
81c :奥襟
91、92、93、95、97、98:縫い目
94 :襟ぐり
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13