(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077467
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】ビールテイスト飲料
(51)【国際特許分類】
C12C 5/02 20060101AFI20240531BHJP
A23L 2/60 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
C12C5/02
A23L2/00 C
A23L2/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189582
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】397077760
【氏名又は名称】ナガセヴィータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】戸田 茉莉子
(72)【発明者】
【氏名】乾 隆子
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 俊治
(72)【発明者】
【氏名】西田 毅弘
(72)【発明者】
【氏名】小川 亨
【テーマコード(参考)】
4B117
4B128
【Fターム(参考)】
4B117LC03
4B117LG16
4B117LK11
4B117LK27
4B117LK30
4B117LL02
4B128CP16
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、複雑な甘みを有するビールテイスト飲料を提供することに関する。
【解決手段】マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質の含有量が下記条件Aにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比で30%以上である、ビールテイスト飲料。
<条件A>
カラム:MCIgel CK04SS 10×200mm 2本連結
流速:0.4mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:80℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:140min
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質の含有量が下記条件Aにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比で30%以上である、ビールテイスト飲料。
<条件A>
カラム:MCIgel CK04SS 10×200mm 2本連結
流速:0.4mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:80℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:140min
【請求項2】
重合度8~24の糖質の含有量が下記条件Bにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比で8%以下である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
<条件B>
カラム:MCIgel CK02AS 20×250mm
流速:1mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:85℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:100min
【請求項3】
アルコール含量が1v/v%以上である請求項1に記載のビールテイスト飲料。
【請求項4】
アルコール含量が1v/v%未満である請求項1に記載のビールテイスト飲料。
【請求項5】
マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質を下記条件Aにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比で30%以上の量で含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
<条件A>
カラム:MCIgel CK04SS 10×200mm 2本連結
流速:0.4mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:80℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:140min
【請求項6】
重合度8~24の糖質を下記条件Bにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比で8%以下の量で含有させる工程を有する、請求項5に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
<条件B>
カラム:MCIgel CK02AS20×250mm
流速:1mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:85℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:100min
【請求項7】
マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質を下記条件Aにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比で30%以上の量で含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料に複雑な甘みを付与する方法。
<条件A>
カラム:MCIgel CK04SS 10×200mm 2本連結
流速:0.4mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:80℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:140min
【請求項8】
重合度8~24の糖質を下記条件Bにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比で8%以下の量で含有させる工程を有する、請求項7に記載の方法。
<条件B>
カラム:MCIgel CK02AS20×250mm
流速:1mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:85℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:100min
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールテイスト飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の消費者の嗜好の多様化にともなって、様々な香味特徴をもつビールテイスト飲料の開発が望まれている。例えば、特許文献1には、LOXレス麦芽を使用することなどにより甘みを付与する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようなLOXレス麦芽を使用しなくとも一般的な麦芽により甘みを付与することや、単調ではなくより複雑な甘みを付与するためには、更なる改良が求められる。
【0005】
本発明の課題は、複雑な甘みを有するビールテイスト飲料を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記[1]~[3]に関する。
[1] マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質の含有量が下記条件Aにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比で30%以上である、ビールテイスト飲料。
<条件A>
カラム:MCIgel CK04SS 10×200mm 2本連結
流速:0.4mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:80℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:140min
[2] マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質を下記条件Aにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比で30%以上の量で含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
<条件A>
カラム:MCIgel CK04SS 10×200mm 2本連結
流速:0.4mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:80℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:140min
[3] マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質を下記条件Aにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比で30%以上の量で含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料に複雑な甘みを付与する方法。
<条件A>
カラム:MCIgel CK04SS 10×200mm 2本連結
流速:0.4mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:80℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:140min
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複雑な甘みを有するビールテイスト飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者らは、マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質を特定量以上とすることで複雑な甘みを有するビールテイスト飲料が得られることを新たに見出した。このメカニズムは定かではないが、マルトオリゴ糖以外の糖つまり分岐マルトオリゴ糖は、甘味度はマルトオリゴ糖と比べて低いがまろやかでうまみ、コクのある甘み質であることが知られており、様々な分岐をもつマルトオリゴ糖が特定量以上存在することで構造の多様性が生じ各糖の味質・発現時間の差により複雑さが付与されると推定される。
【0009】
本発明のビールテイスト飲料は、マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質を含有する。
【0010】
本明細書における「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつアルコール含有またはノンアルコールの炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、ビール風味の炭酸飲料を全て包含する。本明細書において「ビールテイストアルコール飲料」とは、アルコール度数が1v/v%以上のビールテイスト飲料であり、「ノンアルコールビールテイスト飲料」とは、アルコール度数が1v/v%未満のビールテイスト飲料である。本発明のビールテイスト飲料は、酵母を用いて発酵工程を経た発酵ビールテイスト飲料であってもよく、発酵工程を経ない非発酵ビールテイスト飲料であってもよい。発酵ビールテイスト飲料は上面発酵酵母を用いた発酵工程を経て醸造された上面発酵ビールテイスト飲料であってもよく、下面発酵酵母を用いた発酵工程を経て醸造された下面発酵ビールテイスト飲料であってもよい。発酵にはアルコールを生成する酵母(サッカロマイセス)や野生酵母(ブレタノマイセスなど)を用いてもよいし、アルコールを生成しない酵母(サッカロマイセスなど)、野生酵母(ブレタノマイセスなど)、乳酸発酵やグルコン酸発酵を行う菌などを用いてもよい。発酵ノンアルコールビールテイスト飲料の場合は、酵母を添加し1v/v%未満になるように発酵を停止させる方法や、1v/v%以上に発酵した後に脱アルコール工程を経て1v/v%未満になるような方法で製造してもよい。非発酵ビールテイスト飲料や上述のように発酵を停止させて得た1v/v%未満の発酵ノンアルコールビールテイスト飲料、脱アルコール工程を経て得たノンアルコールビールテイスト飲料などを混合することによって製造してもよい。
【0011】
本発明のビールテイスト飲料は、複雑な甘みを付与する観点から、マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質の含有量が下記条件Aにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比で30%以上、好ましくは33%以上、より好ましくは35%以上、更に好ましくは37%以上、更に好ましくは46%以上、更に好ましくは48%以上、更に好ましくは50%以上である。上限値としては、例えば、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下などとすることができる。マルトオリゴ糖とは、グルコースがα-1,4結合した直鎖の糖類を指し、具体的にはマルトース、マルトトリオース、マルトテトラオースである。マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質としては、重合度2~4のイソマルトオリゴ糖、イソマルトース、イソマルトトリオース、パノース、イソマルトテトラオースなどが挙げられる。なお、分析方法の詳細は後述の実施例に記載する。
<条件A>
カラム:MCIgel CK04SS 10×200mm 2本連結
流速:0.4mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:80℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:140min
【0012】
マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質の含有量は、マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質が多い副原料の使用やトランスグルコシダーゼ酵素の使用などにより増やすことができ、上記糖質の基質を増やすための酵素を複合的に使用することが好ましい。
【0013】
本発明のビールテイスト飲料の好ましい態様として、複雑な甘みに加えてすっきりさを付与する観点から、重合度8~24の糖質の含有量が下記条件Bにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比を低くすることが好ましい。ピーク面積比として好ましくは8%以下、より好ましくは7%以下、更に好ましくは6%以下、更に好ましくは4%以下である。下限値としては、例えば、0.1%以上、0.5%以上、1%以上、1.5%以上などとすることができる。なお、分析方法の詳細は後述の実施例に記載する。
<条件B>
カラム:MCIgel CK02AS 20×250mm
流速:1mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:85℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:100min
【0014】
重合度8~24の糖質の含有量は、重合度8~24の糖質比率の少ない副原料の使用や糖質分解酵素の使用などにより低減することができ、異なる結合部位を異なった様式で切る複数の酵素を使用することが好ましい。
【0015】
例えば、仕込工程においてプルラナーゼやイソアミラーゼでα-1,6結合を切断し、その後α-アミラーゼでα-1,4結合を切断し、更にβ-アミラーゼやグルコアミラーゼでα-1,4結合を切断した後、トランスグルコシダーゼを用いてα-1,4結合からα-1,6結合へ転移させ、その後に発酵させる方法により調整することが好ましい。このような方法で各種糖質の割合を調整することで、重合度8~24の糖質を低減しつつ、マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質を増やすことができる。
【0016】
本発明のビールテイスト飲料における全糖量は、香味総量の観点から、好ましくは0.5g/100mL以上、より好ましくは0.7g/100mL以上、更に好ましくは1.0g/100mL以上である。上限値としては、例えば、4.0g/100mL以下、3.5g/100mL以下、3.0g/100mL以下とすることができる。本明細書において全糖量は食物繊維を含む全糖質(炭水化物)を指し、アンスロン硫酸法により測定する。
【0017】
本発明のビールテイスト飲料は、マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質を特定の含有量とする以外は、いずれも一般的なビールテイスト飲料と同様にして製造できる。即ち、マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質を上記条件Aにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比で30%以上の量で含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法や、重合度8~24の糖質を上記条件Bにおける液体クロマトグラフィー(LC)のピーク面積比で8%以下の量で含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法などが挙げられる。以下に、一般的なビールテイスト飲料の製造方法として、麦芽を原料として使用する場合と使用しない場合の製造方法を示す。
【0018】
麦芽を原料として使用して製造されるアルコールを含有するビールテイスト飲料は、まず、麦芽等の麦の他、必要に応じて他の穀物、でんぷん、糖類、苦味料、又は着色料などの原料及び水を含む混合物に、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行なわせ、ろ過し、糖化液とする。必要に応じてホップや苦味料などを糖化液に加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除く。この糖化液の代替として、麦芽エキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。糖化工程、煮沸工程、固形分除去工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。発酵・貯酒工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。得られた発酵液を濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のビールテイスト飲料を得る。なお、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツを添加してもよい。スピリッツとは、麦、米、そば、とうもろこし等の穀物を原料として、酵母を用いて発酵させた後、更に蒸留して得られる酒類を意味する。スピリッツの原材料である穀物としては麦が好ましい。
【0019】
麦芽を原料として使用せずに製造されるアルコールを含有するビールテイスト飲料は、炭素源を含有する液糖、麦又は麦芽以外のアミノ酸含有材料としての窒素源、ホップ、色素等を、温水と共に混合し、液糖溶液とする。該液糖溶液は、煮沸する。原料としてホップを用いる場合、ホップは煮沸開始前ではなく、煮沸中に、該液糖溶液に混合してもよい。この糖化液の代替として、麦芽以外の原料を用いたエキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。発酵・貯酒工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。得られた発酵液を濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のビールテイスト飲料を得る。なお、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツを添加してもよい。
【0020】
非発酵かつアルコールを含有するビールテイスト飲料は、麦芽を使用する、しないに限らず、原料用アルコールなどを加えることにより最終製品のアルコール分を調整したものでもよい。原料用アルコールの添加は、糖化工程から充填工程までのどの工程で行ってもよい。なお、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツを添加してもよい。
【0021】
麦芽を原料として使用して製造されるノンアルコールビールテイスト飲料は、まず、麦芽等の麦の他、必要に応じて他の穀物、でんぷん、糖類、苦味料、又は着色料などの原料及び水を含む混合物に、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行なわせ、ろ過し、糖化液とする。必要に応じてホップや苦味料などを糖化液に加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除く。この糖化液の代替として、麦芽エキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。糖化工程、煮沸工程、固形分除去工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。煮沸後、冷却し、得られた麦汁に香料、酸味料、カラメル色素などの色素、酸化防止剤、苦味料、甘味料、アミノ酸原料などを添加し、濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のノンアルコールビールテイスト飲料を得る。
【0022】
麦芽を原料として使用しないノンアルコールビールテイスト飲料を製造する場合には、まず、炭素源を含有する液糖、麦又は麦芽以外のアミノ酸含有材料としての窒素源、ホップ、色素等を、温水と共に混合し、液糖溶液とする。該液糖溶液は、煮沸する。原料としてホップを用いる場合、ホップは煮沸開始前ではなく、煮沸中に、該液糖溶液に混合してもよい。煮沸後、冷却し、得られた麦汁に香料、酸味料、カラメル色素などの色素、酸化防止剤、苦味料、甘味料、アミノ酸原料などを添加し、濾過し、得られた液糖溶液に対して、炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のノンアルコールビールテイスト飲料を得る。
【0023】
また、本発明の製造方法で得られたビールテイスト飲料は、複雑な甘みが付与されたものである。従って、本発明はビールテイスト飲料に複雑な甘みを付与する方法についても提供するものである。
【実施例0024】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0025】
ビールテイスト飲料の調製
比較例1~5
麦芽比率0%から49%の市販のビールテイスト飲料5種を用意した。
【0026】
比較例6
比較例3を全糖量が0.7g/100mlとなるように、炭酸水と混合して調製した。
【0027】
実施例1~6
比較例3と液糖サンプル(パノラップ、株式会社林原製)を、それぞれ表1・表2の組成になるような比率で混合して調製した。
【0028】
実施例7~9
比較例6と液糖サンプル(パノラップ、株式会社林原製)を、それぞれ表1・表2の組成になるような比率で混合して調製した。
【0029】
糖質の分析
実施例・比較例で得られたビールテイスト飲料100mLを30分間の超音波処理に供した後、全量を凍結乾燥させた。次いで、超純水にて20mLにfill up(5倍濃縮相当)した。そのうち4mLを分取して、Sep-pak C18(Plus long×2連)(Waters社製)に添加した。素通り画分を回収し、その全量をAmicon Ultra 10k(Millipore社製)に添加した。透過画分を回収し、マイクロアシライザー(旭化成株式会社製)を用いてその画分を脱塩した。次いで、脱塩後の試料を、下記A、Bの二通りの条件でHPLCにより分析した。移動度の標準品として各種糖質を用いたが、マルトオリゴ糖については、G2,G3,G4およびアミロースEX-1(株式会社林原製)を用いて、MCIgel CK04SSでは重合度19以下の糖質、MCIgel CK02ASでは重合度24以下の糖質を分離・分析した。マルトオリゴ糖の移動度と異なった重合度2~4の糖質について、「マルトオリゴ糖以外の重合度2~4の糖質」とした。結果を表1、2に示す。
<条件A>
カラム:MCIgel CK04SS 10×200mm 2本連結
流速:0.4mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:80℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:140min
<条件B>
カラム:MCIgel CK02AS 20×250mm
流速:1mL/min
溶離液:超純水
カラム温度:85℃
インジェクション量:20μL
検出:示差屈折計(RI)、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
分析時間:100min
【0030】
<官能評価>
各実施例・比較例のビールテイスト飲料の評価は、5人の専門パネラーが、各飲料の試飲をし、下記基準により評価した。
4℃程度まで冷却したビールテイスト飲料を試飲し、「複雑な甘味」及び「すっきりさ」の評価項目について、下記のスコア基準に基づき評価し、スコアの平均値を算出し四捨五入した値で1点~2点は×、3点は△、4点~5点は〇とした。結果を表1、2に示す。
<複雑な甘味及びすっきりさの評価基準>
5:明確に感じる
4:やや感じる
3:どちらでもない
2:あまり感じない
1:全く感じない
【0031】
【0032】
表1における見出しの詳細を以下に示す。
1:<GOL(グリセロール)
2:GOL
3:G1
4:G1<X<G2
5:G2
6:G2<X<G3
7:G3
8:G3<X<G4
9:G4
10:G4<X<G5
11:G5
12:G5<X<G6
13:G6
14:G6<X<G7
15:G7
16:G7<X<G8
17:G8
18:G8<X≦G15
19:G15<X≦G19
20:G19<
【0033】
【0034】
表2における見出しの詳細を以下に示す。
1:G24<
2:G4≦X<G8
3:G1≦X<G4
4:GOL
5:<GOL