(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077470
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】電子部品保護構造およびスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H05F 3/02 20060101AFI20240531BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20240531BHJP
H01H 9/04 20060101ALI20240531BHJP
H01H 9/02 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
H05F3/02 A
H05K7/14 B
H01H9/04 B
H01H9/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189592
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】篠沢 敏之
(72)【発明者】
【氏名】伊東 秀章
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美哉
(72)【発明者】
【氏名】谷川 健太
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 博之
【テーマコード(参考)】
5E348
5G052
5G067
【Fターム(参考)】
5E348AA03
5E348AA05
5E348AA07
5E348AA40
5G052AA05
5G052AA34
5G052HA01
5G052HA05
5G067AA42
5G067CA01
5G067DA02
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、ケース部材に帯電した静電気から電子部品を保護する。
【解決手段】導電性を有するグランド部材6は、電子部品21が実装された回路基板2と一体に構成されるかまたは回路基板2に電気的に接続される。筐体は、ベース部材3およびケース部材4を備え、回路基板2およびグランド部材6を収容する。ベース部材3とケース部材4との間に配置された導電性弾性部材である封止部材5の少なくとも一部が上記筐体の外側に露出している。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装された回路基板と、
前記回路基板と一体に構成されるかまたは前記回路基板に電気的に接続された、導電性を有するグランド部材と、
ベース部材およびケース部材を備え、前記回路基板および前記グランド部材を収容する筐体と、
前記ベース部材と前記ケース部材との間に配置された導電性弾性部材と、を備え、
前記導電性弾性部材の少なくとも一部が前記筐体の外側に露出している、電子部品保護構造。
【請求項2】
前記導電性弾性部材の電気抵抗値は、前記ベース部材および前記ケース部材のいずれの電気抵抗値よりも低い、請求項1に記載の電子部品保護構造。
【請求項3】
前記導電性弾性部材と前記グランド部材との最短距離は、前記導電性弾性部材と前記電子部品との最短距離よりも短い、請求項1に記載の電子部品保護構造。
【請求項4】
前記導電性弾性部材は、前記回路基板および前記グランド部材の全周を囲むように配置されている、請求項1に記載の電子部品保護構造。
【請求項5】
前記導電性弾性部材は、前記ベース部材と前記ケース部材との間に弾性的に挟持される、請求項4に記載の電子部品保護構造。
【請求項6】
前記導電性弾性部材は、前記ベース部材と前記ケース部材との対向する面の間で外部に露出している、請求項5に記載の電子部品保護構造。
【請求項7】
前記導電性弾性部材の一部と前記グランド部材の一部とが接触している、請求項1に記載の電子部品保護構造。
【請求項8】
前記導電性弾性部材の一部は、前記筐体の内側へ延出し、前記グランド部材の一部と接触している、請求項7に記載の電子部品保護構造。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子部品保護構造を備える、スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電子部品保護構造およびスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IC等の電子部品が実装された回路基板を備える電子機器が知られている。この電子機器には、電子部品を静電気から保護する保護構造を有するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の装置は、2つのケースで形成された側壁部に設けた導電性材料部により静電容量センサの全周を取り囲むと共に、2つのケースの係合部に絶縁部材を全周に亘って設けることで、静電気耐性を向上させている。
【0004】
また、特許文献2に記載の装置は、2つの絶縁容器間にガスシール用の導電性のパッキングを設け、パッキングを大地電位と接続することで、コロナの発生を抑止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-15202号公報
【特許文献2】実開昭61-19938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、絶縁部材が必要である。また、特許文献2に記載の装置では、パッキングを、外部に設けたグランド端子に接続する必要がある。そのため、構成を複雑化することなく静電気から電子部品を保護する観点で改善の余地があった。
【0007】
本技術は、簡単な構成で、ケース部材に帯電した静電気から電子部品を保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本技術の電子部品保護構造は、電子部品が実装された回路基板と、前記回路基板と一体に構成されるかまたは前記回路基板に電気的に接続された、導電性を有するグランド部材と、ベース部材およびケース部材を備え、前記回路基板および前記グランド部材を収容する筐体と、前記ベース部材と前記ケース部材との間に配置された導電性弾性部材と、を備え、前記導電性弾性部材の少なくとも一部が前記筐体の外側に露出している。
【発明の効果】
【0009】
本技術によれば、簡単な構成で、ケース部材に帯電した静電気から電子部品を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】電子部品保護構造を備えるスイッチ装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すスイッチ装置の分解斜視図である。
【
図4】
図2中の回路基板およびグランド部材の斜視図である。
【
図6】
図1に示すスイッチ装置における回路基板とケース部材とグランド部材との位置関係を示す斜視図である。
【
図10】第1、第2の変形例のスイッチ装置における
図8のA-A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術の各実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の各実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本技術の範囲は各実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。なお、以下では、各図中、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を想定する(設定する)。X軸方向は、スイッチ装置の幅方向と平行な方向である。Y軸方向は、スイッチ装置の奥行き方向と平行な方向である。Z軸方向は、スイッチ装置の高さ方向と平行な方向である。また、各軸の矢印が向く方向を「正側」、その反対方向を「負側」とする。また、Z軸方向正側(+Z側)を「上(または上方)」、Z軸方向負側(-Z側)を「下(または下方)」と言うことがある。
【0012】
図1は、本技術の一実施形態に係る電子部品保護構造を備えるスイッチ装置を示す斜視図である。
図2は、スイッチ装置の分解斜視図である。
【0013】
図1に示すスイッチ装置10は、電子部品保護構造1を備え、例えば自動車のブレーキやクラッチ等のペダル(図示せず)の根元付近に設置して用いられる。スイッチ装置10は、ペダルが踏み込まれた際、その踏み込みを検知し、電気的に出力する装置である。なお、スイッチ装置10は、踏み込み量を電気的に出力してもよい。また、スイッチ装置10は、自動車に搭載されるものに限定されない。
【0014】
図2に示すように、電子部品保護構造1は、回路基板2、ベース部材3、ケース部材4、封止部材5、グランド部材6を備える。電子部品保護構造1は、回路基板2の電子部品21を保護するものである。ベース部材3およびケース部材4は、回路基板2およびグランド部材6を収容する筐体となる。
【0015】
また、スイッチ装置10は、電子部品保護構造1の他に、ロッド7、マグネットホルダ8、コイルバネ9、マグネット11を備える。電子部品保護構造1について説明する前に、ロッド7、マグネットホルダ8、コイルバネ9、マグネット11について説明する。
【0016】
ロッド7は、Z軸方向に沿った円柱状の部材であり、Z軸方向に往復動可能に支持されている。ロッド7の上端部(先端部)は、ケース部材4の先端開口部421から突出している(
図1参照)。ロッド7の上端面71は、半球状に丸みを帯びており、ペダルを構成する所定の部材に当接している。そして、このペダルを自動車の運転者が踏み込んで操作することにより、ロッド7は、コイルバネ9の付勢力によって、上側に向かって移動する。また、ロッド7は、運転者からの踏み込み力が解除された際には、コイルバネ9の付勢力に抗して、下側に向かって押圧される。ロッド7の下側には、マグネットホルダ8が配置されている。これにより、マグネットホルダ8は、ロッド7とともにZ軸方向に往復動することができる。マグネットホルダ8は、ブロック状をなし、そのY軸方向正側にマグネット11を保持している。
【0017】
マグネットホルダ8の下側には、コイルバネ9が配置されている。コイルバネ9は、マグネットホルダ8とベース部材3との間で圧縮状態となっている。これにより、ロッド7を上側に向かって付勢することができる。また、コイルバネ9の上端部91は、マグネットホルダ8の凹部81に挿入され、コイルバネ9の下端部92には、ベース部材3の凸部31が挿入されている。これにより、コイルバネ9の位置および姿勢が規制されて、コイルバネ9が安定してZ軸方向に伸縮することができる。なお、ペダルの踏み込みとロッド7の移動との関係は、本実施形態での関係に対して、逆転した関係となっていてもよい。
【0018】
図3は、
図2中の矢印A方向から見た図である。
図4は、
図2中の回路基板2およびグランド部材6の斜視図である。
図5は、
図4中のグランド部材6の斜視図である。
【0019】
図3に示すように、回路基板2は、その厚さ方向がY軸方向と平行となるようにベース部材3に支持されている。回路基板2の少なくとも一方の面には、1つ以上の電子部品21が実装されている。電子部品21としては、例えばIC(集積回路)やホール素子等がある。ホール素子は、ホール効果を利用した磁気センサである。ホール素子は、ペダルの踏み込みに伴ってロッド7が往復動することにより、マグネットホルダ8に保持されたマグネット11との位置関係が変化する。この変化により、ホール素子で発生する電圧がペダルの踏み込み量として検出されて、出力される。
【0020】
図4に示すように、回路基板2には、複数のターミナル22が接続されている。各ターミナル22は、それぞれ、回路パターン(図示せず)を介して所定の電子部品21と電気的に接続されている。また、各ターミナル22は、それぞれ、全体として下方に向かって延びている。
【0021】
図2、
図3に示すように、ベース部材3は、中空の胴部32と、胴部32から突出した一対の爪部34と、胴部32から突出し、回路基板2を支持する支持部35とを有し、これらが一体的に形成された部材である。ベース部材3は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)等の各種樹脂材料で構成されている。これにより、ベース部材3を製造する際に金型を用いることより、ベース部材3を容易に成形することができる。胴部32の内側に回路基板2から延びる各ターミナル22が露出しており、胴部32は、当該各ターミナル22を支持、固定するコネクタハウジングとしての機能を有する。この胴部32には、外部からのコネクタ(図示せず)を挿入することができる。これにより、当該コネクタのターミナルと各ターミナル22とが電気的に接続される。
【0022】
胴部32の外周部には、フランジ部33が突出して形成されている。このフランジ部33からは、一対の爪部34が上方に向かって突出して形成されている。これらの爪部34は、X軸方向に離間して配置されており、ケース部材4に外側から係合する。これにより、ケース部材4をベース部材3に固定することができる。なお、爪部34同士の間には、コイルバネ9の下端部92に挿入される凸部31が配置されている。また、フランジ部33からは、支持部35も上方に突出して形成されている。支持部35は、回路基板2をX軸方向に挟持する。これにより、回路基板2がベース部材3に支持される。
【0023】
図1、
図2に示すように、ケース部材4は、ベース部材3の上側に配置され、回路基板2を覆う部材である。ケース部材4は、箱状をなす箱状部41と、箱状部41から筒状に突出した筒状部42とを有し、これらが一体的に形成された部材である。ケース部材4は、ベース部材3と同様に、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の各種樹脂材料で構成される。これにより、ケース部材4を製造する際に金型を用いることより、ケース部材4を容易に成形することができる。
【0024】
箱状部41は、天板部411と、天板部411の縁部から下方に向かって突出した側壁部412とを有する。側壁部412には、ベース部材3の各爪部34が係合する係合部43が設けられている。爪部34が係合部43に係合することにより、ケース部材4は、ベース部材3に対して固定される。また、側壁部412の外周部には、フランジ部44が突出して形成されている。
【0025】
図6は、スイッチ装置10における回路基板2とケース部材4とグランド部材6との位置関係を示す斜視図である。
図7は、
図6中の矢印B方向から見た図である。
【0026】
図6、
図7に示すように、フランジ部44には、規制部45が下方に向かって突出している。規制部45は、側壁部412の周方向に沿ってリング状に形成され、ベース部材3のフランジ部33とケース部材4のフランジ部44との間で封止部材5を圧縮された際、その圧縮限界を規制する部分である。
図1に示すように、箱状部41の天板部411には、先端開口部421を有する筒状部42が上方に向かって突出している。筒状部42の内側には、ロッド7が摺動可能に支持されている。これにより、ロッド7は、筒状部42に案内されて、Z軸方向に安定して往復動することができる。なお、筒状部42の外周部には、スイッチ装置10用のアタッチメント(図示せず)と螺合する雄ねじ46が形成されているが、この雄ねじ46は、省略されていてもよい。
【0027】
図2に示すように、ベース部材3とケース部材4との間には、封止部材5が設けられている。封止部材5は、ケース部材4の規制部45と同様のリング状をなし、前述したようにベース部材3のフランジ部33とケース部材4のフランジ部44との間で圧縮される。これにより、封止部材5は、その全周にわたってフランジ部33とフランジ部44とに密着して、ベース部材3とケース部材4との間を封止することができる。すなわち、封止部材5は、ベース部材3とケース部材4との間に弾性的に挟持される。これにより、ベース部材3とケース部材4との間の防水性が保たれて、ケース部材4内への水分等の侵入を防止することができる。そして、この水分侵入の防止により、回路基板2を保護することができる。また、リング状をなす封止部材5の内側には、ケース部材4の規制部45(
図6参照)が位置する。封止部材5は、このケース部材4の規制部45によって、圧縮限界が規制される。これにより、封止部材5が過不足なく圧縮されることとなる。
【0028】
封止部材5は、導電性弾性部材である。封止部材5は、導電性および弾性を有する材料で構成される。一例として、封止部材5の材質には、ニトリルゴム(NBR)やシリコンゴム等の弾性材に、炭素または金属材等の導電性物質を添加したものが採用される。なお、封止部材5に適用される導電性弾性部材の材質はこの例に限定されない。また、封止部材5の電気抵抗値は、ベース部材3およびケース部材4のいずれの電気抵抗値よりも低い。ただし、このことは必須でない。
【0029】
図4に示すように、回路基板2には、グランド部材6が接続されている。グランド部材6は、回路基板2に対するグランド(GND)線であり、例えば銅合金等の導線性材料で構成されている。
図5に示すように、グランド部材6は、線状をなし、グランド部材6の本体部を構成する線状部61と、線状部61から突出した突出部62Aおよび突出部62Bとを有する。線状部61は、その長手方向の途中の複数箇所で屈曲している。突出部62Aは、線状部61の長手方向の途中の1箇所から分岐して、X軸方向正側に向かって直線状に延びる。突出部62Bは、線状部61の長手方向の途中の1箇所(本実施形態では突出部62Aと同じ位置)から分岐して、X軸方向負側に向かって直線状に延びる。なお、本実施形態では、突出部62Bの全長は、突出部62Aの全長よりも長い。また、突出部62Bの長手方向の途中からは、Y軸方向負側に突出した突出部63が分岐しているが、この突出部63は、省略されていてもよい。
【0030】
図3に示すように、突出部62Aおよび突出部62Bは、それぞれ、その少なくとも先端部(一部)がケース部材4の内側に露出した露出部621となっている。そして、
図6、
図7に示すように、各露出部621は、ケース部材4の側壁部412に向かって突出している。なお、
図6、
図7では、ターミナル22の図示が省略されている。本実施形態では、突出部62Aの露出部621は、ケース部材4の側壁部412に向かってX軸方向正側に突出しており、突出部62Bの露出部621は、ケース部材4の側壁部412に向かってX軸方向負側に突出している。
【0031】
次に、封止部材5による電子部品21の保護について説明する。
【0032】
図8は、ベース部材3を+Z側から見た図である。
図9は、
図8のA-A線に沿う断面図である。
図8ではターミナル22の図示が省略されている。
【0033】
ベース部材3とケース部材4との間に配置された封止部材5は、その少なくとも一部が、ベース部材3とケース部材4とで構成される筐体の外側に露出している。本実施形態では、封止部材5は、Z軸方向から見たときに、回路基板2およびグランド部材6の全周を囲むように配置されている。そして、封止部材5は、ベース部材3とケース部材4との隙間を介して、つまり、ベース部材3とケース部材4との互いに対向する面の間で、全周において外部に露出している。
【0034】
図8に示すように、封止部材5とグランド部材6との最短距離L3は、封止部材5と電子部品21との最短距離L4よりも短い。ここで、封止部材5とグランド部材6との距離を考える上で、グランド部材6は、回路基板2と一体に構成されるかまたは回路基板2に電気的に接続された導電性を有する部材(回路基板2に構成されたグランドパターンまたは避雷針を含む)であればよい。
図8に例示する構成では、封止部材5と最も近いグランド部材6の部分は、突出部62A(または突出部62B)である。
【0035】
一方、封止部材5と電子部品21との距離を考える上で、電子部品21は、複数存在する場合は、それらのうち封止部材5に最も近いものである。
【0036】
本実施形態によれば、ベース部材3およびケース部材4から成る筐体に、電子部品21が実装された回路基板2およびグランド部材6が収容される。ベース部材3とケース部材4との間に配置された導電性弾性部材である封止部材5の少なくとも一部が上記筐体の外側に露出している。これにより、外部からの静電気が封止部材5に導かれやすくなり、電子部品21に静電気が伝達されにくくなる。また、静電気からの電子部品21の保護に関し、絶縁部材が不要である。しかも、外部に設けたグランド端子に封止部材5を接続する必要がない。従って、従来と比べて構成が簡単である。
【0037】
よって、簡単な構成で、ケース部材4に帯電した静電気から電子部品21を保護することができる。特に、封止部材5は、回路基板2およびグランド部材6の全周を囲むように配置されているので、電子部品21の保護効果が高い。
【0038】
また、封止部材5の電気抵抗値は、ベース部材3およびケース部材4のいずれの電気抵抗値よりも低いので、外部からの静電気を封止部材5に一層導きやすくして電子部品21の保護を強化することができる。
【0039】
また、封止部材5とグランド部材6との最短距離L3は、封止部材5と電子部品21との最短距離L4よりも短い。これにより、外部からの静電気が封止部材5を通じてグランド部材6へ導かれやすいので、電子部品21への静電気の伝達抑制効果を高め、電子部品21の保護を強化することができる。
【0040】
また、封止部材5は、ベース部材3とケース部材4との間に弾性的に挟持されるので、構成な簡単で防水機能も兼ねることができる。しかも、封止部材5は、ベース部材3とケース部材4との対向する面の間で外部に露出しているので、防水機能を確保したまま外部からの静電気を導きやすくすることが可能となる。
【0041】
なお、静電気からの電子部品21の保護の観点に限れば、封止部材5は、Z軸方向から見たときに、回路基板2およびグランド部材6の全周を囲むように配置されることは必須でなく、一部が途切れた環状形状であってもよい。
【0042】
なお、静電気からの電子部品21の保護にだけ着目し、十分な防水機能を求めない場合は、封止部材5が、ベース部材3とケース部材4とに全周で密着することは必須でない。この場合、封止部材5は「封止部材」と呼称されなくてもよく、「導電性弾性部材」と呼称されてもよい。
【0043】
なお、回路基板2がベース部材3に支持されることは必須でなく、ケース部材4または別の部材に支持されていてもよい。
【0044】
(変形例)
なお、本実施形態において、封止部材5とグランド部材6とは、少なくとも最短距離L3だけ離間していた。しかし、
図10(a)、(b)に例示するように、封止部材5またはグランド部材6の形状を変更し、両者を接触させてもよい。
【0045】
図10(a)、(b)はそれぞれ、第1、第2の変形例のスイッチ装置における
図8のA-A線に相当する線に沿う断面図である。
図10(a)、(b)は、
図8に対応している。
【0046】
第1の変形例(
図10(a))に示すように、封止部材5の一部5xが、ベース部材3とケース部材4との隙間を介して筐体の内側へ延出し、グランド部材6の露出部621の一部と接触していてもよい。
【0047】
あるいは、第2の変形例(
図10(b))に示すように、グランド部材6の露出部621の一部621xが、ベース部材3とケース部材4との隙間を介して筐体の外側へ延出し、封止部材5と接触していてもよい。
【0048】
これらの変形例によれば、ケース部材4から露出部621へのより優先的な放電に寄与する。従って、外部からの静電気を、封止部材5からグランド部材6へ一層導きやすくして、電子部品21の保護を強化することができる。なお、封止部材5の一部と露出部621の一部とが、互いに対向する方向に延出し、ベース部材3とケース部材4との隙間において両者が接触する構成であってもよい。
【0049】
以上、本技術の好ましい実施形態について説明したが、本技術は上述した各実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。なお、電子部品保護構造1は、本実施形態ではスイッチ装置10に適用した場合を一例としているが、適用態様については、スイッチ装置10に限定されず、各種の電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 電子部品保護構造、 2 回路基板、 3 ベース部材、 4 ケース部材、 5 封止部材、 6 グランド部材、 21 電子部品、 L3、L4 最短距離