(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000775
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】車両用ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 85/16 20140101AFI20231226BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
E05B85/16 D
B60J5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099671
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000105925
【氏名又は名称】サカエ理研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100215038
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友子
(72)【発明者】
【氏名】岩間 貴弘
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250JJ45
2E250KK02
2E250LL01
2E250PP12
(57)【要約】
【課題】電動で収容位置から突出位置へポップアップするドアハンドル装置において、突出位置にあるハンドル部材へのドア開操作が解除され、元の突出位置に復帰する際に、ハンドル部材が回転駆動部の出力軸に外力を伝えない構造を、従来に無い形で実現する。
【解決手段】 ハンドル部材2を電動でポップアップさせるハンドル駆動機構9は、回転駆動部10と、その出力軸14と一体回転する第一クランク4と、第一クランク4が回動することにより押されて回動軸線R5周りを回動する第二クランク5と、を有する。第二クランク5は、回動軸線R5周りを回動することでハンドル部材2を押し出し、ポップアップ位置に保持する一方、そのポップアップ保持状態においてハンドル部材2から車両内向きの外力を受けたときには自身の回動軸線R5に向けて押し付けられることで、回動軸線R5周りを回転しない。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手状のハンドル部材と、
車両のドアアウターパネルに対し車両内側から組み付けられ、前記ハンドル部材が、ハンドル長手方向の第一側を支点とし、その逆の第二側を車両外向きに引き起こすドア開操作が可能に組み付けられたベース部材と、
前記ハンドル部材を、ハンドル長手方向の第二側が前記ドアアウターパネルの外面よりも車両外側に突出する突出位置と、前記突出位置よりも突出しない収容位置との間で往復回動させるハンドル駆動機構と、を備え、
前記ハンドル駆動機構は、
所定の回転角度範囲内において出力軸を第一回転方向とその逆の第二回転方向に回転させる回転駆動部と、
前記出力軸に対し一体回転可能に組付けられる第一クランクと、
所定の回動軸線周りを回動可能に設けられ、前記回動軸線に対する径方向外向きに突出する押出部を有し、前記押出部は、前記第一回転方向に回動する前記第一クランクによって押されて前記回動軸線周りを回動し、この回動により前記ハンドル部材を車両外側に押し出して前記突出位置へと回動させるとともに当該突出位置に押付保持する第二クランクと、
を有し、前記第二クランクは、その押付保持状態において前記ハンドル部材から車両内向きの外力を受けた場合に、前記押出部を介して前記回動軸線に向けて押し付けられるよう設けられることにより、当該外力により前記回動軸線周りに回転しないことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項2】
前記出力軸は、前記回動軸線よりも車両外側に位置する請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアハンドル装置は、車両のドアアウターパネルに対し車両内側から組み付けられるベース部材と、そのベース部材に対しドアアウターパネルを挟む形で車両外側から組み付けられ、ハンドル長手方向の第一側を支点とし、その逆の第二側を車両外向きに引き起こすドア開操作が可能とされるハンドル部材と、を備える構造が一般的に採用されている。
【0003】
ところで、近年の車両用ドアハンドル装置には、ハンドル部材を、ドアアウターパネルの外面に対しフラットに配置された収容位置と、ドア開操作が可能となるよう車両外向きに突出(ポップアップ)させた突出位置との間で電動往復動作させる構造のものがある(特許文献1参照)。この場合、ハンドル部材は、突出位置にあるときにのみ手を引っ掛ける操作部が露出し、車両外向きに引き出すドア開操作が可能になる。また、走行時にハンドル部材が収容位置をとることで、空気抵抗の低減効果も得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、こうした電動でポップアップするドアハンドル装置を実現しようとする場合、回転駆動部をなすモータの出力軸にクランクを取り付け、そのクランクを出力軸の回転により回転させることで、ハンドル部材を車両外向きに突出(ポップアップ)させるという構造が考えられる。ところが、突出位置にあるハンドル部材は、ドア開操作がなされて車両外向きに引き出された後にその操作が解除されると、ねじりコイルばね等の付勢手段の付勢力によって車両内向きに引き込まれ、元の突出位置へと加速する。そして、元の突出位置に到達した際にはクランクと接触して、モータの出力軸に直接力(外力)が伝わり、モータに余計な負荷をかけてしまう懸念がある。
【0006】
本発明の課題は、電動で収容位置から突出位置へポップアップするドアハンドル装置において、突出位置にあるハンドル部材へのドア開操作が解除され、元の突出位置に復帰する際に、ハンドル部材が回転駆動部の出力軸に外力を伝えない構造を、従来に無い形で実現することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の車両用ドアハンドル装置は、
長手状のハンドル部材と、
車両のドアアウターパネルに対し車両内側から組み付けられ、前記ハンドル部材が、ハンドル長手方向の第一側を支点とし、その逆の第二側を車両外向きに引き起こすドア開操作が可能に組み付けられたベース部材と、
前記ハンドル部材を、ハンドル長手方向の第二側が前記ドアアウターパネルの外面よりも車両外側に突出する突出位置と、前記突出位置よりも突出しない収容位置との間で往復回動させるハンドル駆動機構と、を備え、
前記ハンドル駆動機構は、
所定の回転角度範囲内において出力軸を第一回転方向とその逆の第二回転方向に回転させる回転駆動部と、
前記出力軸に対し一体回転可能に組付けられる第一クランクと、
所定の回動軸線周りを回動可能に設けられ、前記回動軸線に対する径方向外向きに突出する押出部を有し、前記押出部は、前記第一回転方向に回動する前記第一クランクによって押されて前記回動軸線周りを回動し、この回動により前記ハンドル部材を車両外側に押し出して前記突出位置へと回動させるとともに当該突出位置に押付保持する第二クランクと、
を有し、前記第二クランクは、その押付保持状態において前記ハンドル部材から車両内向きの外力を受けた場合に、前記押出部を介して前記回動軸線に向けて押し付けられるよう設けられることにより、当該外力により前記回動軸線周りに回転しないことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、突出位置にあるハンドル部材に車両内向きの力が作用した場合に、ハンドル部材は、第二クランクに力を伝えるものの、その力は第二クランクによって支持され、回転駆動部の出力軸には一切伝わらない。このため、モータに余計な負荷がかからない。
【0009】
前記出力軸は前記第二クランクの回転軸線よりも車両外側に位置させることができる。電動でポップアップするドアハンドル装置は、回転駆動部(モータ等)を内蔵するため基本的には車両内外方向の幅(厚み)が大きくなるものが多い。上記構成のように、出力軸の回転力を直接ハンドル部材に伝える構造ではなく、第二クランクを出力軸よりも車両外側に設け、この第二クランクを介してハンドル部材に力を伝える構造とすることで、回転駆動部(モータ等)の出力軸の配置位置の自由度を増すことができる。その結果、比較的大きいパーツである回転駆動部(モータ等)を、従来できなかったアウターパネル側に寄せた位置に配置できるようになり、車両内外方向の幅(厚み)を抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の車両用ドアハンドル装置を備える車両を示した側面図。
【
図2】収容位置のドアハンドルを示した拡大斜視図。
【
図3】突出位置のドアハンドルを示した拡大斜視図。
【
図9】
図2の車両用ドアハンドル装置を水平方向に切断した断面図。
【
図11】
図10のドアハンドルを突出位置に移動させた拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0012】
本実施例の車両用ドアハンドル装置1は、
図1に示すように、車両100(ここでは自動車)の左右側面や背面のドア101に取り付けられる。車両用ドアハンドル装置1は、ハンドル部材2と、ベース部材3と、ハンドル駆動機構9と、を備える(
図4及び
図5参照)。ハンドル部材2は、
図2及び
図3に示すように、ハンドル長手方向Yの第二側(
図2及び
図3の右側)を、その車両内側にドア開操作をするための手を入れられるようドアアウターパネル101Aの外面よりも外側に突出させた突出位置(
図3参照)と、手を入れられないよう突出位置よりも突出しない収容位置(
図2参照)との間で往復動作可能である。
【0013】
ベース部材3(フレーム部材)は、車両100のドアアウターパネル101Aに対し車両内側から、例えばボルト締結等によって組付けられる。
図4及び
図5に示すように、ベース部材3は、ハンドル部材2のハンドル長手方向Yの第一側(
図4及び
図5の左側)を回転可能に支持する回転支持部3Aを有する。ここでの回転支持部3Aは、回転軸32(
図10及び
図11参照)を挿通保持する。挿通保持された回転軸32は、車両上下方向(
図4及び
図5の奥行き方向)に回転軸線R2を有する。
【0014】
ハンドル部材2は、ハンドル長手方向Yの第一側(
図4及び
図5の左側)に回転支点部2A、その逆の第二側(
図4及び
図5の右側)にアーム部2Bを有する。
【0015】
回転支点部2Aは、ハンドル部材2が突出位置(
図5参照)にあるときに、ハンドル長手方向Yの第一側(
図4及び
図5の左側)で支点となって、その逆の第二側を車両外向きに引き起こすドア開操作が可能となるよう、ベース部材3の回転支持部3Aに対し回転軸線R2周りを往復回転可能に組み付けられる。
図5には、実線で突出位置のハンドル部材2が示され、破線でドア開操作時のハンドル部材2が示されている。ここでの回転支点部2Aは、回転支持部3Aの回転軸32(
図10及び
図11参照)を挿通する形で組み付けられる。
【0016】
なお、本実施例における収容位置は、ハンドル部材2の外面がドアアウターパネル101Aの外面と面一となるように設定されている(
図2参照)。したがって、ハンドル部材2は、収容位置にあるときはドア開操作が不可であり、突出位置にあるときにのみドア開操作をするための操作部2C(ここでは下側から手を入れて引っ掛ける操作部:
図3参照)が露出し、車両外向きに引き出すドア開操作が可能になる。
【0017】
また、ハンドル部材2は、収容位置においてベース部材3と接触する形で位置決めされる。そして、ハンドル部材2は、突出位置から収容位置に向かうように、付勢手段8(
図9参照)によって常時付勢される。ここでの付勢手段8は、一端部と他端部の間にコイル部を有したねじりコイルばねであって、コイル部が回転軸32(
図10及び
図11参照)を取り巻くように配置されるとともに、一端部がベース部材3に、他端部がハンドル部材2又はその動作(ドア開操作とその解除時の動作)に連動する連動体(例えばベルクランク等)に支持される形で配置される。
【0018】
ハンドル駆動機構9は、
図4及び
図5に示すように、ドアアウターパネル101Aの車両内側においてベース部材3に対し組付けられ、ハンドル部材2を、収容位置(
図2参照)と突出位置(
図3参照)との間で往復回動させる。ここでのハンドル駆動機構9は、
図6~
図8に示すように、回転駆動部10と、第一クランク4と、第二クランク5と、を有する。
【0019】
回転駆動部10は、所定の回転角度範囲内において出力軸14を第一回転方向RA(
図6参照)とその逆の第二回転方向RB(
図8参照)に回転させる駆動源となる電動モータである。ベース部材3は、ハンドル部材2が組み付けられるベース主部30Aと、回転駆動部10を収容(内包)する駆動部収容体30B(ユニットケース、収容部)と、を有する。駆動部収容体30Bは、回転駆動部10を収容(内包)して駆動ユニット(モータユニット)を形成し、駆動ユニット化された駆動部収容体30Bが、ベース主部30Aに対しボルト締結等により固定される。
【0020】
第一クランク4は、回転駆動部10をなすモータの出力軸14に対し一体回転可能に組付けられる。第一クランク4は、出力軸14の軸線R4(出力軸線)に対する径方向外向きに突出し、第一クランク4の回転により第二クランク5を押す押付部41(第一レバー部)を有する。ここでの押付部41は、出力軸14の軸線R4周りを第一クランク初期位置(
図6参照)と第一クランク押付位置(
図7参照)との間で回動可能である。
【0021】
第二クランク5は、所定の回動軸線R5周りを回動可能に設けられる。ここでの第二クランク5は、ベース部材3から突設された軸部35に対し回転可能に組み付けられる。また、第二クランク5は、回動軸線R5に対する径方向外向きに突出する押出部51(第一レバー部)を有する。
【0022】
押出部51は、ここでは屈曲形状(くの字状)をなし、回転駆動部10によって第一クランク4が第一回転方向RA(
図6参照)に回動することにより押されて回動軸線R5周りを回動し(
図6→
図7)、この回動によりハンドル部材2を車両外側に押し付けて突出位置へと回動させるとともに当該突出位置に押付保持する(
図7参照)。また、押出部51は、この押付保持状態(
図7参照)において第一クランク4が第二回転方向RBに回転することにより押されて回動軸線R5周りを回動し(
図7→
図8→
図6)、当該押付保持状態を解除する。
【0023】
ここでの第二クランク5は、回動軸線R5周りを第二クランク初期位置(
図6参照:初期位置)と第二クランク押出位置(
図7参照:押出位置)との間で回動可能である。第二クランク5は、第一クランク4が第一クランク初期位置(
図6参照)から第一クランク押付位置(
図7参照)にむけて第一回転方向RAに回動することにより押出部51が押付部41(押付部41の先端部)に押され、第二クランク押出位置(
図7参照)へと回動(回転方向RC:
図6参照)する。この回動により押出部51は、ハンドル部材2のアーム部2B(具体的にはアーム部2Bの先端側から回転軸32側(支点側)に膨出した膨出部2B1)を車両外向きに押し出す。これにより、ハンドル部材2が上記付勢手段8(
図9参照)の付勢力に抗して突出位置(
図3及び
図5参照)へと回動し、かつ押出部51によってこの突出位置に押付保持される。
【0024】
一方で、第二クランク5は、回転駆動部10によって第一クランク4が第一クランク押付位置(
図7参照)から第一クランク初期位置(
図6参照)に向けて第二回転方向RBに回転(
図8参照)することにより押出部51が押付部41に押されて回動軸線R5周りを回動し(回転方向RD:
図8参照)、押出部51の押し付け保持を解除する。この押付保持状態の解除により、ハンドル部材2は収容位置(
図2及び
図4参照)に復帰可能になる。本実施例において、押付保持状態が解除されたハンドル部材2は、上記付勢手段8(
図9参照)の付勢力によって収容位置に復帰し、収容位置に付勢保持される。
【0025】
なお、第一クランク4は、
図9~
図11に示すように、第一クランク4において出力軸14の軸線R4(出力軸線)に対する径方向外向きに、押付部41とは異なる位置から突出した位置決め部42(第二レバー部)を有する。第一クランク初期位置は、位置決め部42がベース部材3の回転規制部33(第一クランク第二側回転規制部)に対し当接する位置(
図10参照)と定められている。また、第一クランク押付位置は、押付部41(押付部41の基端部)がベース部材3の別の回転規制部34(第一クランク第一側回転規制部)に対し当接する位置(
図11参照)と定められている。
【0026】
また、第二クランク5は、
図9~
図11に示すように、回動軸線R5に対する径方向外向きに、押出部51とは異なる位置から突出する押付保持解除部52(第二レバー部)を有する。第二クランク初期位置は、押出部51が第一クランク初期位置にある第一クランク4の押付部41(第二クランク第二側回転規制部)に対し当接する位置(
図10参照)と定められている。また、第二クランク5には、押付保持状態の押出部51において、車両外向きと、第二クランク初期位置から第二クランク押出位置に向かう周方向と、において連続して開放された凹部51Bが設けられる。凹部51Bには、当該周方向とは逆方向側に壁部51A(第二クランク第一側回転規制部)が設けられ、当該逆方向側を非開放としている。第二クランク押出位置は、その壁部51Aが、ベース部材3の回動軸部R5に対し車両外側に位置する部位から車両内向きに突出する突出位置決め部31に対し当接する位置(
図11参照)と定められている。
【0027】
なお、第二クランク5は、第一クランク4が第一クランク初期位置にあるときに必ずしも第二クランク初期位置(
図6参照)にある必要はなく、第二クランク初期位置と第二クランク押出位置との間で、ハンドル部材2(アーム部2B)を押さない位置にあればよい。
【0028】
ところで、本実施例のように、ハンドル部材2が収容位置(
図2参照)から突出位置(
図3参照)へと電動でポップアップするドアハンドル装置1において、突出位置にあるハンドル部材2は、ドア開操作がなされて車両外向きに引き出され(
図5破線参照)、その後にその操作が解除されると、ねじりコイルばね等の上記付勢手段8(
図9参照)の付勢力によって車両内向きに引き込まれ、元の突出位置(
図3参照)に向けて加速する。そして、元の突出位置へと達したときにハンドル駆動機構9と接触して、その接触部位に対し車両内向きの力F(
図5参照)を与えることになる。
【0029】
本実施例では、
図7に示すように、この車両内向きの力F(外力)を押付保持状態の第二クランク5が受ける。第二クランク5は、この力Fを押付保持状態において受けた場合、押出部51を介して回動軸線R5に向けて押し付けられる。回動軸線R5に向けて押し付けられため、この力Fを受けた第二クランク5は回動軸線R5周りを回転しない。したがって、ハンドル部材2から車両内向きに加えられる力Fは、駆動源である回転駆動部10(モータ)には伝わらない。よって、回転駆動部10(モータ)の出力軸14には力が伝わらず、回転駆動部10に余計な負荷をかける心配がない。
【0030】
ここでの第二クランク5は、押付保持状態においてハンドル部材2から車両内向きの力が作用した場合に押出部51が回動軸線R5に向けて押し付けられる。その押し付け方向(矢印Fの方向)は、回動軸線R5の軸線方向から見たときに、押出部51によるハンドル部材2による押付位置Pと回動軸線R5とを通過する直線PRの延出方向と一致している。
【0031】
さらに、ここでの第二クランク5は、押付保持状態において押出部51が回動軸線R5から車両外向きに延びる形状をなしており、ハンドル部材2から車両内向きに作用する力をより安定して支持できる。
【0032】
また、ここでの出力軸14は、回動軸線R5よりも車両外側に位置する。さらに、軸部35がモータ10の出力軸14よりも大径をなして形成されており、車両内向きに作用する力を安定して支持できる。なお、軸部35は、ここでは回転軸32よりも小径をなすが、回転軸32と同径又はそれ以上としてもよい。
【0033】
なお、本実施例においては、押付位置Pが回転軸線R2(支点)よりも車両内側(
図5、
図7において回転軸線R2から右に延びる二点鎖線よりも上側)に位置する。このため、第二クランク5に伝わる外力Fは、車両内向きの力ではなく、押付位置Pから、それよりも車両内側で、かつやや回転軸線R2(支点)側に寄った位置にある回動軸線R5に向けた斜め方向(
図7参照)の力となる。
【0034】
以上、本発明の一実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。例えば上記実施例において一部の構成要件を省略する、さらには他の構成要件を追加する等、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 車両用ドアハンドル装置
100 車両
101 ドア
101A ドアアウターパネル
2 ハンドル部材
2A 回転支点部
2B アーム部
2C 操作部
3 ベース部材
3A 回転支持部
4 第一クランク
41 押付部
5 第二クランク
51 押出部
8 付勢手段
9 ハンドル駆動機構
10 回転駆動部
14 出力軸
Y ハンドル長手方向
RA 第一回転方向
RB 第二回転方向
R2 回転軸線(支点)
R4 出力軸線
R5 回動軸線
F 外力