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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007751
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/325 20060101AFI20240112BHJP
   B41J 3/54 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B41J2/325 A
B41J3/54 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109042
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】390034223
【氏名又は名称】イーデーエム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 聡
(72)【発明者】
【氏名】奈良 亘
【テーマコード(参考)】
2C055
2C065
【Fターム(参考)】
2C055KK00
2C055KK07
2C055KK10
2C065AA01
2C065AD07
2C065DA36
(57)【要約】
【課題】2台のプリンタ装置を備え、印刷動作を停止させない印刷システムにおいて、印刷が途切れることを抑制しつつ、被印刷物の搬送方向においての省スペース化を実現できる印刷システムを提供すること。
【解決手段】印刷システム1は、被印刷物Fの搬送方向に直交する方向に並んで配置される2台のプリンタ装置10A,10Bと、2台のプリンタ装置10A,10Bそれぞれを被印刷物Fの搬送方向に直交する方向に移動させることが可能な移動機構5A,5Bと、2台のプリンタ装置10A,10Bのうちの一方又は他方を印刷位置に位置させ、2台のプリンタ装置10A,10Bのうちの他方又は一方を待機位置に位置させるように、移動機構5A,5Bを制御する制御部9と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷物の搬送方向に直交する方向に並んで配置される2台のプリンタ装置と、
2台のプリンタ装置それぞれを被印刷物の搬送方向に直交する方向に移動させることが可能な移動機構と、
2台のプリンタ装置のうちの一方又は他方のプリンタ装置を印刷位置に位置させ、2台のプリンタ装置のうちの他方又は一方のプリンタ装置を待機位置に位置させるように、移動機構を制御する制御部と、を備える、印刷システム。
【請求項2】
2台のプリンタ装置は、それぞれ、プリントヘッドが設けられたプリンタ本体と、プリンタ本体に着脱可能に取り付けられインクリボンを有するリボンカセットと、を備え、
被印刷物の搬送方向に直交する方向に延びる1つの印刷受け部であって、印刷位置に位置する一方又は他方のプリンタ装置のインクリボン及び被印刷物を挟んでプリントヘッドと対向して配置される1つの印刷受け部を備える、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
2台のプリンタ装置のうちの一方のプリンタ装置のプリントヘッドは、被印刷物の搬送方向に直交する方向において、2台のプリンタ装置のうちの他方のプリンタ装置側の端部側に配置され、
2台のプリンタ装置のうちの他方のプリンタ装置のプリントヘッドは、被印刷物の搬送方向に直交する方向において、2台のプリンタ装置のうちの一方のプリンタ装置側の端部側に配置され、
2台のプリンタ装置のリボンカセットは、それぞれ、2台のプリンタ装置それぞれにおける被印刷物の搬送方向に直交する方向においてプリントヘッドが配置される側の端部側に取り付けられる、請求項2に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2台のプリンタ装置を被印刷物の搬送方向に並べて配置することで、印刷動作を停止させない動作を可能とする印刷システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の印刷システムにおいては、2台のプリンタ装置を被印刷物の搬送方向に並べて配置することで、一方のプリンタ装置が運転不能である場合やメンテナンスが必要な場合に、一方のプリンタ装置から他方のプリンタ装置に切り替えることで、印刷動作を停止させないシステムを構築している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-86758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の印刷動作を停止させないシステムにおいては、被印刷物の搬送方向において、2台分のプリンタ装置の設置スペースが必要となる。例えば、包装機などに組み込まれる場合において、被印刷物の搬送方向において、通常であれば1台のプリンタ装置のスペースを確保すればよいのに対して、印刷動作を停止させないシステムを構築する場合には、2台分のプリンタ装置の設置スペースを確保する必要が生じる。よって、被印刷物の搬送方向においての省スペース化が望まれている。
【0005】
また、2台のプリンタ装置を被印刷物の搬送方向に並べて配置して印刷動作を停止させないシステムにおいては、下流側のプリンタ装置から上流側のプリンタ装置に印刷動作を引き継ぐ場合に、上流側のプリンタ装置において印刷する位置が、下流側のプリンタ装置から引き継いで印刷する位置を通り過ぎていることがあり、印刷が途切れる可能性がある。
【0006】
本発明は、2台のプリンタ装置を備え、印刷動作を停止させない印刷システムにおいて、印刷が途切れることを抑制しつつ、被印刷物の搬送方向においての省スペース化を実現できる印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被印刷物の搬送方向に直交する方向に並んで配置される2台のプリンタ装置と、2台のプリンタ装置それぞれを被印刷物の搬送方向に直交する方向に移動させることが可能な移動機構と、2台のプリンタ装置のうちの一方又は他方のプリンタ装置を印刷位置に位置させ、2台のプリンタ装置のうちの他方又は一方のプリンタ装置を待機位置に位置させるように、移動機構を制御する制御部と、を備える、印刷システムに関する。
【0008】
また、2台のプリンタ装置は、それぞれ、プリントヘッドが設けられたプリンタ本体と、プリンタ本体に着脱可能に取り付けられインクリボンを有するリボンカセットと、を備え、被印刷物の搬送方向に直交する方向に延びる1つの印刷受け部であって、印刷位置に位置する一方又は他方のプリンタ装置のインクリボン及び被印刷物を挟んでプリントヘッドと対向して配置される1つの印刷受け部を備えることが好ましい。
【0009】
また、2台のプリンタ装置のうちの一方のプリンタ装置のプリントヘッドは、被印刷物の搬送方向に直交する方向において、2台のプリンタ装置のうちの他方のプリンタ装置側の端部側に配置され、2台のプリンタ装置のうちの他方のプリンタ装置のプリントヘッドは、被印刷物の搬送方向に直交する方向において、2台のプリンタ装置のうちの一方のプリンタ装置側の端部側に配置され、2台のプリンタ装置のリボンカセットは、それぞれ、2台のプリンタ装置それぞれにおける被印刷物の搬送方向に直交する方向においてプリントヘッドが配置される側の端部側に取り付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2台のプリンタ装置を備え、印刷動作を停止させない印刷システムにおいて、印刷が途切れることを抑制しつつ、被印刷物の搬送方向においての省スペース化を実現できる印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るプリンタシステムを上方側から見た図である。
図2】本実施形態に係るプリンタシステムを包装フィルムの幅方向に沿う方向に見た図である。
図3】第1プリンタ装置が印刷位置に位置すると共に、第2プリンタ装置が待機位置に位置する場合を示す図である。
図4】第2プリンタ装置が印刷位置に位置すると共に、第1プリンタ装置が待機位置に位置する場合を示す図である。
図5A】従来のプリンタ装置において、包装フィルムの搬送方向に文字列を複数印刷する場合の動作を説明する図である。
図5B】従来のプリンタ装置において、リボンセーブ機能の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタシステム1を上方側から見た図である。図2は、本実施形態に係るプリンタシステム1を包装フィルムFの幅方向P2に沿う方向に見た図である。図3は、第1プリンタ装置10Aが印刷位置に位置すると共に、第2プリンタ装置10Bが待機位置に位置する場合を示す図である。図4は、第2プリンタ装置10Bが印刷位置に位置すると共に、第1プリンタ装置10Aが待機位置に位置する場合を示す図である。
【0013】
なお、本実施形態の説明においては、包装フィルムFの移動方向を「搬送方向P1」という。また、包装フィルムFの搬送方向P1に直交する方向である幅方向を「幅方向P2」という。また、プリンタシステム1における2台のプリンタ装置10A,10Bが並んで配置されて移動する方向を、プリンタシステム1の左右方向Xという。左右方向Xにおいて、第1プリンタ装置10Aが配置される側(図1における左側)をX1側といい、第2プリンタ装置10Bが配置される側(図1における右側)をX2側という。プリンタシステム1の左右方向Xは、包装フィルムFの幅方向P2と同じ方向であり、かつ、プラテンローラ6の軸方向Jとも同じ方向である。
【0014】
図1に示すように、印刷システムとしてのプリンタシステム1は、2台のプリンタ装置10A,10Bにおける印刷位置に位置するプリンタ装置により、搬送方向P1に移動される被印刷物としての包装フィルムF(被印刷物)に印刷パターン(図示せず)を印刷する。プリンタシステム1は、例えば、包装機(図示せず)に設けられる。包装フィルムFは、包装機などにおいて繰り出される長尺状のフィルムである。包装機は、例えば、食品などの製品を包装する製造ライン(包装ライン)に設けられる。
【0015】
図1図4に示すように、プリンタシステム1は、2台のプリンタ装置10A,10B(第1プリンタ装置10A及び第2プリンタ装置10B)と、2台のプリンタ装置10A,10Bそれぞれを移動させるプリンタ装置移動機構部5A,5B(移動機構)と、印刷位置に位置するプリンタ装置10A,10Bに対向して配置される1つのプラテンローラ6(印刷受け部)と、上流側搬送ガイドローラ71と、下流側搬送ガイドローラ72と、2台のプリンタ装置10A,10B及びプリンタ装置移動機構部5A,5Bを制御する制御装置9(制御部)と、を備える。1つのプラテンローラ6、上流側搬送ガイドローラ71、下流側搬送ガイドローラ72及び制御装置9は、2台のプリンタ装置10A,10Bが動作する場合において共通に使用される構成である。
【0016】
2台のプリンタ装置10A,10B(第1プリンタ装置10A及び第2プリンタ装置10B)は、包装フィルムFの搬送方向P1に直交する幅方向P2に並んで配置される。包装フィルムFの搬送方向P1に直交する幅方向P2は、プラテンローラ6の軸方向Jに一致する。本実施形態においては、プリンタ装置10Aが左右方向XのX1側(一方側)に配置され、プリンタ装置10Bが左右方向XのX2側(他方側)に配置されている。
【0017】
本実施形態のプリンタシステム1は、印刷時において、2台のプリンタ装置10A,10Bのいずれか一方を印刷位置に位置させて使用し、2台のプリンタ装置10A,10Bのいずれか他方を待機位置に位置させて待機させておき、印刷位置で使用しているプリンタ装置10A,10Bにおいて運転不能である場合やメンテナンスが必要になった場合に、使用するプリンタ装置10A,10Bを切り替えて、印刷動作を停止させないシステムである。
【0018】
プリンタ装置10A,10Bの印刷位置は、プリンタ装置10A,10Bのサーマルヘッド22(後述)が、プリンタシステム1の左右方向Xにおいて、包装フィルムFの上方に位置して、印刷動作を可能とする位置である。プリンタ装置10A,10Bの待機位置は、プリンタ装置10A,10Bのサーマルヘッド22(後述)が、プリンタシステム1の左右方向Xにおいて、包装フィルムFから左右方向XのX1側(一方側)又はX2側(他方側)に退避して、印刷動作を待機する位置である。図1及び図3においては、第1プリンタ装置10Aを印刷位置に位置させると共に、第2プリンタ装置10Bを待機位置に位置させている。また、図4においては、第2プリンタ装置10Bを印刷位置に位置させると共に、第1プリンタ装置10Aを待機位置に位置させている。
【0019】
プリンタ装置10A,10Bは、それぞれ、プリンタ装置移動機構部5A,5Bが移動部材52を移動させることで、包装フィルムFの幅方向P2に移動可能である。プリンタ装置10A,10Bは、それぞれ、後述する制御装置9に制御されて、包装フィルムFの幅方向P2における印刷位置と待機位置とに移動可能である。
【0020】
プリンタ装置移動機構部5A,5Bは、2台のプリンタ装置10A,10Bそれぞれに対応して設けられる。プリンタ装置移動機構部5A,5Bは、2台のプリンタ装置10A,10Bそれぞれを、包装フィルムFの搬送方向P1に直交する幅方向P2に移動させることが可能である。なお、第1プリンタ装置10A及び第2プリンタ装置10B、プリンタ装置移動機構部5A,5Bを特に区別する必要が無い場合には、単に、「プリンタ装置10(印刷ユニット)」、「プリンタ装置移動機構部5」という。
【0021】
プリンタ装置移動機構部5は、ガイドレール51と、移動部材52と、駆動機構53(図2参照)と、を有する。
【0022】
ガイドレール51は、図1図3に示すように、2台のプリンタ装置それぞれの上方側に配置され、プリンタシステム1の左右方向X(包装フィルムFの幅方向P2)に延びる直線状に形成される。ガイドレール51は、移動部材52を包装フィルムFの幅方向P2(左右方向X)に移動可能に保持する。
【0023】
移動部材52は、図1及び図2に示すように、ガイドレール51に沿って包装フィルムFの幅方向P2に移動可能に、ガイドレール51に取り付けられる。移動部材52の下部には、プリンタ装置10の上部が取り付けられている。これにより、移動部材52が包装フィルムFの幅方向P2に移動することで、プリンタ装置10も、包装フィルムFの幅方向P2に移動する。
【0024】
駆動機構53は、ガイドレール51に設けられている。駆動機構53は、移動部材52をガイドレール51に沿って包装フィルムFの幅方向P2に移動させるように駆動する。駆動機構53は、例えば、ボールねじ機構やベルト機構を有して構成される。駆動機構53は、制御装置9に電気的に接続されている。制御装置9は、移動部材52を移動させて、移動部材52に取り付けられるプリンタ装置10を包装フィルムFの幅方向P2に移動させるように、駆動機構53の駆動を制御する。制御装置9の詳細については後述する。
【0025】
2台のプリンタ装置10A,10Bは、それぞれ、図3に示すように、プリンタ本体20と、プリンタ本体20に着脱可能に取り付けられるリボンカセット30と、を主体に構成されている。リボンカセット30は、プリンタ本体20に対して着脱可能である。本実施形態に係るプリンタ装置10は、リボンカセット30がプリンタ本体20に対して着脱可能な、いわゆるカセット式の構造である。
【0026】
図3に示すように、プリンタ本体20は、本体側ケース体21と、サーマルヘッド22(プリントヘッド)と、を備えて構成されている。本体側ケース体21は、リボンカセット30側が開口する箱状に形成される。
【0027】
サーマルヘッド22は、本体側ケース体21の下方側に配置されている。2台のプリンタ装置10A,10Bそれぞれに設けられるサーマルヘッド22は、図2に示すように、いずれも、包装フィルムFの幅方向P2から見た場合に、同じ傾斜角度で配置されている。
【0028】
図1及び図3に示すように、サーマルヘッド22は、2台のプリンタ装置10A,10Bにおいて、互いに近い側の端部側に配置される。具体的には、第1プリンタ装置10Aのサーマルヘッド22は、包装フィルムFの搬送方向P1に直交する幅方向P2(左右方向X)において、第2プリンタ装置10B側の端部側に配置され、第2プリンタ装置10Bのサーマルヘッド22は、包装フィルムFの搬送方向P1に直交する幅方向P2(左右方向X)において、第1プリンタ装置10A側の端部側に配置される。
【0029】
サーマルヘッド22が、2台のプリンタ装置10A,10Bにおいて、互いに近い側の端部側に配置される理由について説明する。本実施形態においては、詳細については後述するが、2台のプリンタ装置10A,10Bを左右方向Xに移動させることで、印刷に使用するプリンタ装置を切り替えることができる。2台のプリンタ装置10A,10Bを左右方向Xに移動させて切り替える際に、サーマルヘッド22を2台のプリンタ装置10A,10Bにおける互いに近い側の端部側に配置することにより、サーマルヘッド22を2台のプリンタ装置10A,10Bにおける遠い側に配置するよりも、印刷位置までの距離を短くすることができ、切り替え動作を短時間に行うことができる。これにより、包装フィルムFへの印刷動作の開始までの時間が最小限に抑制されるため、印刷動作をより効率よく停止させない構成であり、印刷動作の能力を向上させることができる。
【0030】
サーマルヘッド22は、図2及び図3に示すように、インクリボンR及び包装フィルムFを挟んで、プラテンローラ6に対向して配置される。サーマルヘッド22は、先端部22a側がプラテンローラ6側に突出するように配置される。サーマルヘッド22は、リボンカセット30がプリンタ本体20に装着された場合に、先端部22aがインクリボンRに当接して配置される。サーマルヘッド22は、リボンカセット30がプリンタ本体20に装着された場合に、サーマルヘッド押圧機構(図示せず)により、上下方向に移動可能に構成される。
【0031】
サーマルヘッド22は、その先端部22aに複数の発熱素子を備える。サーマルヘッド22においては、サーマルヘッド22が通電されることにより、発熱素子が発熱する。サーマルヘッド22は、リボンカセット30がプリンタ本体20に装着された場合に、搬送方向P1に移動される包装フィルムFに印刷パターンを印刷する。
【0032】
リボンカセット30は、2台のプリンタ装置10A,10Bにおいて、互いに近い側の端部側に着脱可能に取り付けられる。リボンカセット30は、プリンタ本体20から着脱する際にプリンタ装置10にぶつからないように、2台のプリンタ装置10A,10Bを左右方向Xに移動させた状態で、プリンタ本体20に対して着脱可能である。
【0033】
第1プリンタ装置10Aにおいては、リボンカセット30は、第1プリンタ装置10Aにおける第2プリンタ装置10B側(第1プリンタ装置10AのX2側)の端部側に着脱可能に取り付けられ、第2プリンタ装置10Bにおいては、リボンカセット30は、第2プリンタ装置10Bにおける第1プリンタ装置10A側(第2プリンタ装置10BのX1側)の端部側に着脱可能に取り付けられる。2台のプリンタ装置10A,10Bのリボンカセット30は、それぞれ、2台のプリンタ装置10A,10Bそれぞれにおける包装フィルムFの搬送方向P1に直交する幅方向P2において、サーマルヘッド22が配置される側の端部側に取り付けられる。
【0034】
リボンカセット30は、図2に示すように、包装機(図示せず)から連続的に繰り出される被印刷物である包装フィルムFの移動と同期させながらインクリボンRを繰り出す。
リボンカセット30は、図3に示すように、カセット正面板31と、ハンドル部32と、インクリボンRと、リボン搬送機構(図示せず)と、を備えて構成される。
【0035】
カセット正面板31は、リボンカセット30がプリンタ本体20に装着された場合に、プリンタ本体20の開口を塞ぐ板状に形成される。カセット正面板31において、左右方向Xにおける2台のプリンタ装置10A,10Bにおける互いに近い側の面には、プリンタ本体20に対してリボンカセット30を着脱する際に人の手に把持されるハンドル部32が設けられている。ハンドル部32を把持してリボンカセット30をプリンタ本体20から引っ張ることで、リボンカセット30をプリンタ本体20から取り外すことができる。2台のプリンタ装置10A,10Bにおいて、ハンドル部32同士は向かい合って配置されている。
【0036】
インクリボンRは、カセット正面板31のプリンタ本体20側に配置されるリボン搬送機構(図示せず)に設けられている。インクリボンRは、図2に示すように、リボンカセット30がプリンタ本体20に装着された場合に、サーマルヘッド22と包装フィルムFの印刷面との間に配置される。インクリボンRからは、サーマルヘッド22により包装フィルムFに印刷動作を実行する際にインクが包装フィルムFに転写される。インクリボンRは、リボン搬送機構(図示せず)により搬送(移動)される。
【0037】
図2に示すように、プラテンローラ6、上流側搬送ガイドローラ71及び下流側搬送ガイドローラ72は、印刷位置に位置したプリンタ装置10A,10Bの下方に配置される。プラテンローラ6、上流側搬送ガイドローラ71及び下流側搬送ガイドローラ72は、包装フィルムFの搬送方向P1への移動をガイドする。
【0038】
プラテンローラ6は、包装フィルムFの搬送方向P1に直交する幅方向P2に延びる。プラテンローラ6は、包装フィルムFへの印刷時において、印刷位置に位置するプリンタ装置10A,10BのインクリボンR及び包装フィルムFを挟んでサーマルヘッド22と対向して配置される。プラテンローラ6は、プラテンローラ6とサーマルヘッド22との間に包装フィルムFを配置した状態で、包装フィルムFの少なくとも一部を周面に巻き掛けながら回転可能である。プラテンローラ6は、それぞれ、所定径の金属製芯金の周面にシリコーンゴム等の所定の弾性を有する素材による弾性層が形成され、所定外径の円柱状に形成されたローラである。
【0039】
上流側搬送ガイドローラ71は、包装フィルムFの搬送方向P1において、プラテンローラ6の上流側に配置されている。下流側搬送ガイドローラ72は、包装フィルムFの搬送方向P1において、プラテンローラ6の下流側に配置されている。
【0040】
制御装置9について説明する。制御装置9は、プリンタ装置10A,10B、駆動機構53に電気的に接続されている。制御装置9は、2台のプリンタ装置10A,10Bを統括して制御する。制御装置9は、プリンタ装置10A,10Bの印刷動作を実行するように、プリンタ装置10A,10Bそれぞれに設けられたサーマルヘッド22を制御し、インクリボンRの移動を制御する。
【0041】
制御装置9は、2台のプリンタ装置10A,10Bのそれぞれを包装フィルムFの幅方向P2に移動させるように、プリンタ装置移動機構部5A,5Bの駆動機構53の駆動を制御する。制御装置9は、図3に示すように、第1プリンタ装置10Aを印刷位置に位置させると共に、第2プリンタ装置10Bを待機位置に位置させるように、プリンタ装置移動機構部5A,5Bを制御し、又は、図4に示すように、第2プリンタ装置10Bを印刷位置に位置させると共に、第1プリンタ装置10Aを待機位置に位置させるように、プリンタ装置移動機構部5A,5Bを制御する。
【0042】
制御装置9は、プリンタ装置10A,10Bを包装フィルムFの幅方向P2に並べて配置した状態で(図3図4参照)、プリンタ装置10A,10Bのうちの印刷位置に位置したプリンタ装置(プリンタ装置10A又はプリンタ装置10B)により印刷動作を実行するように制御する。制御装置9は、待機位置に位置したプリンタ装置10(プリンタ装置10A又はプリンタ装置10B)を予備のプリンタ装置として待機させるように制御する。
【0043】
例えば、図3に示すように、第1プリンタ装置10Aにより印刷動作を実行している場合に、第1プリンタ装置10Aにおいて、例えば、第1プリンタ装置10Aが運転不能になることや、インクリボンRが終了したり又は切断したり、サーマルヘッド22が汚れたり又は故障するなどして、メンテナンスが必要になることがある。この場合に、制御装置9は、図4に示すように、第1プリンタ装置10A及び第2プリンタ装置10Bを包装フィルムFの幅方向P2に移動させることで、印刷動作を実行していた第1プリンタ装置10Aを、第2プリンタ装置10Bに切り替えて、第2プリンタ装置10Bにより印刷動作を実行するように制御する。
【0044】
これにより、プリンタシステム1において、印刷動作を停止させずに、印刷動作を継続させることができる。待機位置に移動されたプリンタ装置10Aにおいては、インクリボンRが終了したり又は切断した場合には、リボンカセット30を交換することで、プリンタ装置10Aを速やかに復帰させて使用することができ、また、サーマルヘッド22が汚れたり又は故障した場合には、サーマルヘッド22を清掃したり故障部品を交換することで、プリンタ装置10Aを速やかに復帰させて使用することができる。これにより、メンテナンス性を向上させることができる。
【0045】
このように、第1プリンタ装置10Aで印刷動作を実行している場合に、第1プリンタ装置10Aが運転不能である場合やメンテナンスが必要な場合において、包装フィルムFの搬送を停止させずに、印刷動作を実行している第1プリンタ装置10Aに代えて、印刷動作を実行せずに待機していた第2プリンタ装置10Bを動作させることで、印刷動作を停止させずに、例えば、包装フィルムFにより食品などの製品を包装する製造ライン(包装ライン)が停止することを抑制できる。
【0046】
また、第2プリンタ装置10Bで印刷動作を実行している場合においても同様に、第2プリンタ装置10Bが運転不能である場合やメンテナンスが必要な場合において、包装フィルムFの搬送を停止させずに、印刷動作を実行している第2プリンタ装置10Bに代えて、印刷動作を実行せずに待機していた第1プリンタ装置10Aを動作させることで、印刷動作を停止させずに、製造ライン(包装ライン)が停止することを抑制できる。
【0047】
ここで、従来、インクリボンを節約することを目的として、例えば、次のようなリボンセーブ機能を有するプリンタ装置が知られている。
【0048】
リボンセーブ機能を有するプリンタ装置において、リボンセーブ機能による印刷は、所定幅を有するインクリボンRを使用して、インクリボンRの幅方向の領域を有効活用することにより行われる。図5Aに示すように、リボンセーブ機能による印刷は、プリンタ装置10において、例えば、「AAAA」、「BBBB」、「CCCC」、「DDDD」、「EEEE」、「FFFF」の文字列が、包装フィルムFの搬送方向に沿って、所定間隔で一列に並んで印刷される構成において、インクリボンRを節約する制御である。
【0049】
インクリボンRを節約するリボンセーブ機能は、包装フィルムFの幅方向における印刷パターンの印刷位置を変えずに、インクリボンRを幅方向に移動させると共に、インクリボンRを所定長さ巻き戻すことで、インクリボンRの幅方向の使用領域を有効に利用して、インクリボンRの使用量を節約する機能である。インクリボンRの幅方向の移動は、インクリボンRが装着されたプリンタ装置10の全体を移動させることで行うことができる。
【0050】
リボンセーブ機能において、包装フィルムFの進行方向と同方向にインクリボンRを送り出しと巻き戻しの制御を行うと共にインクリボンRの幅方向にインクリボンR及びサーマルヘッド22が移動される制御が行われる場合において、リボン制御部は、インクリボンRを送り出して印刷した後にインクリボンRを移動した分だけ巻き戻すと共に、インクリボンRの前回の使用領域と次回の使用領域とが、インクリボンRの幅方向においては幅方向に並んだ位置に形成され、包装フィルムFの移動方向においては重ならない位置に形成される。
【0051】
リボンセーブ機能においては、インクリボンRの幅方向において、複数列の使用領域が形成される。例えば、本実施形態においては、インクリボンRにおいて、幅方向に4列の使用領域が並んで形成されている。複数列の使用領域は、例えば、図5Bの(i)~(iv)に示すように、「AAAA」、「BBBB」、「CCCC」及び「DDDD」の文字列の使用領域が、インクリボンRの幅方向の一方側から他方側に順に並んで使用された後に、図5Bの(v)に示すように、インクリボンRの幅方向の他方側の端部と同じ列の後部に、「EEEE」の文字列が、包装フィルムFの長さ方向に並ぶように使用され、その後、インクリボンRの幅方向の他方側から一方側に並んで使用される。この制御が繰り返して行われている。
【0052】
このように、リボンセーブ機能は、例えば、インクリボンRの幅方向に対して小さい文字を包装フィルムFの搬送方向に印刷する場合に、包装フィルムFの幅方向における印刷パターンの印刷位置を変えずに、プリンタ装置10を包装フィルムFの幅方向に移動させると共に、インクリボンRを所定長さ巻き戻すことで、インクリボンRの幅方向の未使用部分を有効に利用する動作である。つまり、リボンセーブ機能を有するプリンタ装置10においては、プリンタ装置10を包装フィルムFの幅方向に移動させる移動機構を備えている。
【0053】
本実施形態においては、リボンセーブ機能を有するプリンタ装置10が備える移動機構を利用して、2台のプリンタ装置10A,10Bを包装フィルムFの幅方向P2に移動させることで、印刷動作を停止させない印刷システムを実現している。これにより、リボンセーブ機能を有するプリンタ装置10が備える移動機構を活用できるため、2台のプリンタ装置10A,10Bを包装フィルムFの幅方向P2に移動させる機構を新たに設けなくてよく、構成機器の簡素化を図ることができる。
【0054】
本実施形態のプリンタシステム1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
本実施形態のプリンタシステム1は、包装フィルムFの搬送方向P1に直交する幅方向P2に並んで配置される2台のプリンタ装置10A,10Bと、2台のプリンタ装置10A,10Bそれぞれを包装フィルムFの搬送方向P1に直交する幅方向P2に移動させることが可能なプリンタ装置移動機構部5A,5Bと、2台のプリンタ装置10A,10Bのうちの一方又は他方を印刷位置に位置させ、2台のプリンタ装置10A,10Bのうちの他方又は一方を待機位置に位置させるように、プリンタ装置移動機構部5A,5Bを制御する制御装置9と、を備える。これにより、2台のプリンタ装置10A,10Bを包装フィルムFの搬送方向P1に直交する幅方向P2に並べて配置することで、印刷動作を停止させない印刷システムにおいて、印刷が途切れることを抑制しつつ、包装フィルムFの幅方向P2においての省スペース化を実現できる。
【0055】
また、本実施形態のプリンタシステム1においては、包装フィルムFの搬送方向P1に直交する幅方向P2に延びる1つのプラテンローラ6を備える。これにより、印刷動作を停止させない印刷システムにおいて、プラテンローラ6を1つ備えればよいため、装置の簡素化及び省スペース化を実現できる。
【0056】
また、本実施形態のプリンタシステム1においては、第1プリンタ装置10Aのサーマルヘッド22は、包装フィルムFの搬送方向P1に直交する幅方向P2において、第2プリンタ装置10B側の端部側に配置され、第2プリンタ装置10Bのサーマルヘッド22は、包装フィルムFの搬送方向P1に直交する幅方向P2において、第1プリンタ装置10A側の端部側に配置され、リボンカセット30は、それぞれ、2台のプリンタ装置10A,10Bそれぞれにおける包装フィルムFの幅方向P2においてサーマルヘッド22が配置される側の端部側に取り付けられる。そのため、サーマルヘッド22及びリボンカセット30が2台のプリンタ装置10A,10Bにおける互いに近い側の端部側に配置されることで、2台のプリンタ装置10A,10Bを切り替える際に、サーマルヘッド22を2台のプリンタ装置10A,10Bにおいて遠い側に配置するよりも、印刷位置までの距離が短く、切り替え動作を短時間に行うことができる。これにより、包装フィルムFへの印刷動作の開始までの時間が最小限に抑制されるため、包装フィルムFを止めずに印刷でき、印刷動作の能力を向上させることができる。
【0057】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 プリンタシステム(印刷システム)
5A,5B プリンタ装置移動機構部(移動機構)
6 プラテンローラ(印刷受け部)
9 制御装置(制御部)
10 プリンタ装置
10A 第1プリンタ装置(プリンタ装置)
10B 第2プリンタ装置(プリンタ装置)
20 プリンタ本体
22 サーマルヘッド(プリントヘッド)
30 リボンカセット
R インクリボン
F 包装フィルム(被印刷物)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B