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  • 特開-180°の屈曲が可能な紙製ストロー 図1
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  • 特開-180°の屈曲が可能な紙製ストロー 図3
  • 特開-180°の屈曲が可能な紙製ストロー 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077528
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】180°の屈曲が可能な紙製ストロー
(51)【国際特許分類】
   A47G 21/18 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
A47G21/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189654
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】510280970
【氏名又は名称】ワークアップ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 周一
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA17
3B115BA18
3B115DA17
(57)【要約】
【課題】ストローは、従来は主にプラスチック製であったが、循環型社会の実現に向けて、紙製製品への切り替えが進められている。しかしながら、従来の製品では自在に屈曲させることはできず、屈曲可能な範囲の上限は45°~60°程度であった。本発明は、180°の屈曲が可能な紙製ストローを提供することを目的とする。
【解決手段】延伸性と耐水性とを備える紙製基材を含み、ストローの軸を中心とする円状の凹凸によって形成された蛇腹領域を有する紙製ストローであって、ストローの外直径をdとし、円周率をπとしたとき、蛇腹領域の長手方向における長さが、蛇腹領域の伸長状態においては3/2πd以上であり、蛇腹領域の伸長状態と圧縮状態との長さの比が3以上である、紙製ストローを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸性と耐水性とを備える紙製基材を含み、
ストローの軸を中心とする円状の凹凸によって形成された蛇腹領域を有する紙製ストローであって、
ストローの外直径をdとし、円周率をπとしたとき、
蛇腹領域の長手方向における長さが、蛇腹領域の伸長状態においては3/2πd以上であり、
蛇腹領域の伸長状態と圧縮状態との長さの比が3以上である、紙製ストロー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、180°の屈曲が可能な紙製ストローに関する。
【背景技術】
【0002】
循環型社会の実現に向けて、プラスチックの使用を削減するための取り組みが、各方面でなされている。その一環として、2022年4月にいわゆるプラスチック新法が施行され、レジ袋の有料化、プラスチック製カトラリーの木製製品や紙製製品への切り替えなどが進められている。ストローは従来、多くの製品がプラスチック製であったが、大手飲食店や商業施設で提供中止や紙製ストローへの切り替えが行われている。
【0003】
これにより、紙製ストローの流通が増加しつつあるが、多くの紙製ストローは直線状の形状であり、屈曲させて使用するための機構を持たない。そのため、ストローを通じて飲料を口に含む際には、顔または飲料の容器を大きく動かさなければならないという不都合があった。
【0004】
一部の紙製ストローは、その一部に蛇腹状の凹凸を有し、緩やかな屈曲が可能となるように加工されている。しかしながら、過度に屈曲させるとストローが折れ曲がり、飲料の流路となる内部体積が損なわれるため、大きく曲げることはできない。そのため、直線状のストローにおける不都合は、部分的にのみ軽減されたに過ぎない。
【0005】
特許文献1には、管体の一部を蛇腹状に形成し、該部に可撓性を付与したことを特徴とするストローが開示されている。このストローは、材料が油脂浸漬紙であってよいことが記載されている。しかしながら、この考案におけるストローが、どの程度の可撓性を有するかは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭48-037182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ストローは、従来は主にプラスチック製であったが、循環型社会の実現に向けて、紙製製品への切り替えが進められている。しかしながら、従来の製品では自在に屈曲させることはできず、屈曲可能な範囲の上限は45°~60°程度であった。本発明は、180°の屈曲が可能な紙製ストローを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、
延伸性と耐水性とを備える紙製基材を含み、
ストローの軸を中心とする円状の凹凸によって形成された蛇腹領域を有する紙製ストローであって、
ストローの外直径をdとし、円周率をπとしたとき、
蛇腹領域の長手方向における長さが、蛇腹領域の伸長状態においては3/2πd以上であり、
蛇腹領域の伸長状態と圧縮状態との長さの比が3以上である、紙製ストローを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、紙製ストローを屈曲させる際の自由度が増大し、ストローの機能を損なうことなく屈曲させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の紙製ストローの斜視図である。
図2】本発明におけるパラメータを説明するための、ストローの長手方向に垂直な平面の断面図である。
図3】本発明の紙製ストローの側面図である。
図4】本発明におけるパラメータを説明するための、180°に屈曲させた状態における屈曲部周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は特許請求の範囲によって規定され、本明細書に記載する実施形態は、本発明を不当に限定することを意図するものではない。
【0012】
本発明の紙製ストローは、基材として、延伸性と耐水性とを備える紙製基材を使用する。延伸性とは、拡張する方向に力を受けた際に、比較的小さな力で変形する性質を指す。紙の延伸性は、含水率、繊維方向、添加剤の添加、表面加工などによって制御することができる。耐水性とは、水と接触しても水を吸収しにくく、特性の変化が少ない性質を指す。紙の耐水性は、添加剤の添加や含浸処理、耐水性材料との複合化などによって制御することができる。ただし、飲用に用いるストローの基材としては、飲料中に成分が溶出せず、人体に無害であることが必要となる。
【0013】
本発明のストローは、全体として中空の円筒形状を有し、その両端は開放端である。長さや直径は一般的なストローと同様であってよく、ストローの軸と長手方向とが一致する。ストローの軸とは、ストローを円柱として見たときに、円柱の底面の中心を通る、円柱の回転対称軸を指す。一般に流通しているストローには、長さ210mmのもの、ミニストローと呼ばれる160mmのものなどがあるが、使用される状況に応じて適宜変更することができる。太さについては3mm~15mm程度のものが流通しているが、同様に、使用される状況に応じて適宜変更することができる。
【0014】
本発明のストローは、ストローの軸を中心とする円状の凹凸によって形成された蛇腹領域を有する。すなわち、蛇腹領域の各凹凸は、長手方向に垂直な平面において、円筒形状に構成された基材を内側または外側に伸長するように変形させることによって、作製することができる。あるいは、平面状の基材を変形させた後、円筒形状に巻いて作製してもよい。
【0015】
一般に、ストローを屈曲させると、基材の一部には伸長する方向、別の一部には圧縮する方向の力が加えられる。基材の延伸を考慮しなければ、これらの力によって円筒形状が崩れ、飲料の流路となる内部体積が損なわれることが多い。本発明のストローは、円筒形状が崩れることなく、蛇腹領域の一部を伸長させ、別の一部を圧縮することができる。そのため、流路が損なわれることを回避することができる。
【0016】
本発明のストローについて、ストローの外直径をdとし、円周率をπとして記載する。ここで、外直径とは、ストローの蛇腹領域以外の箇所における、長手方向に垂直な平面上で中心を通る直線が、ストローの外周と交わる2点を結んだ長さである。ストローの長手方向に垂直な平面の断面図である、図2を参照されたい。
【0017】
蛇腹領域は、ストローの機能に必要な円筒形状を損なうことなく、伸長させる、または圧縮することが可能な領域である。このような円筒形状を損なわない範囲で、一般的な人間の手指で力を加えた際に、長手方向に最大の長さを有する状態が「伸長状態」であり、長手方向に最小の長さを有する状態が「圧縮状態」である。蛇腹領域の範囲については、図3を参照されたい。
【0018】
本発明において、「180°の屈曲が可能」とは、特に、円筒形状を損なわずにストローをU字状に曲げたとき、間にストロー1本分の幅の隙間が生じた状態で、両端部付近が平行となる状態を指す。このような状態において、屈曲部の内側がなす半円弧の直径は、dである。このとき、屈曲部の外側がなす半円弧の直径は、3dである。180°に屈曲させた状態における屈曲部周辺の断面図である、図4を参照されたい。
【0019】
蛇腹領域の長手方向における長さは、蛇腹領域の伸長状態においては3/2πd以上である。蛇腹領域の伸長状態における長さが3/2πdである場合、ストローをU字状に曲げると、屈曲部の外側がなす半円弧では蛇腹領域の全体が伸長状態となる。
【0020】
本発明のストローの蛇腹領域は、伸長状態においては、圧縮状態の3倍以上の長さを有する。蛇腹領域の伸長状態と圧縮状態との長さの比が3である場合、ストローをU字状に曲げると、屈曲部の外側がなす半円弧では蛇腹領域の全体が伸長状態となる。
【0021】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0022】
1 蛇腹領域
d ストローの外直径
図1
図2
図3
図4