(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007753
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】蓄電モジュール、および蓄電モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/176 20210101AFI20240112BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20240112BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240112BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240112BHJP
H01M 50/543 20210101ALI20240112BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H01M50/176
H01M50/121
H01M50/103
H01M50/569
H01M50/543
H01M10/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109046
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
(72)【発明者】
【氏名】山岡 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】新村 和寛
(72)【発明者】
【氏名】弘瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】石黒 文彦
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA17
5H011BB03
5H011CC02
5H011EE04
5H011FF04
5H028AA07
5H028BB05
5H028CC19
5H028EE06
5H028HH05
5H043AA19
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA04
5H043DA27
5H043JA02D
5H043JA03D
5H043LA02D
5H043LA22D
(57)【要約】
【課題】隣り合う2つの電極板の間に形成される内部空間を封止する樹脂封止体による封止不良を抑制できる蓄電モジュールを提供する。
【解決手段】蓄電モジュール100は、積層方向に積層された複数の電極板を含む電極体10と、複数の電極板うちの隣り合う2つの電極板の間に形成される内部空間を封止するための樹脂封止体20と、樹脂封止体20から外部に突出するように、電極体に設けられた端子部30と、を備え、端子部30には、積層方向に沿って貫通する1つ以上の貫通孔31が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に積層された複数の電極板を含む電極体と、
前記複数の電極板うちの隣り合う2つの電極板の間に形成される内部空間を封止するための樹脂封止体と、
前記樹脂封止体から外部に突出するように、前記複数の電極板の各々に設けられた端子部と、を備え、
前記端子部のうち前記樹脂封止体から突出する部分には、前記積層方向に沿って貫通する1つ以上の貫通孔が設けられている、蓄電モジュール。
【請求項2】
前記1つ以上の貫通孔は、複数のスリットによって構成されている、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記複数のスリットは、前記積層方向から見た場合に、前記樹脂封止体から前記端子部が突出する突出方向、あるいは、前記突出方向に交差する方向に並んで配置されている、請求項2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記複数のスリットは、前記積層方向から見た場合に前記樹脂封止体から前記端子部が突出する突出方向に沿って延在し、かつ、前記突出方向と交差する方向に並ぶように設けられており、
前記突出方向において前記電極体側に位置する前記複数のスリットの端部の各々は、前記樹脂封止体の内側に入り込んでいる、請求項2に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
前記複数のスリットの各々が有するスリット幅は、赤外線波長の2倍以下である、請求項2に記載の蓄電モジュール。
【請求項6】
前記電極板は、バイポーラ電極であり、
前記端子部は、前記隣り合う2つの電極板の間の電圧を検知する電圧検出用端子である、請求項1から5のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
【請求項7】
前記積層方向から見た場合に、前記隣り合う2つの電極板のうち一方の電極板に設けられた前記電圧検出用端子と、前記隣り合う2つの電極板のうち他方の電極板に設けられた前記電圧検出用端子とが、互いに重ならない位置に配置されている、請求項6に記載の蓄電モジュール。
【請求項8】
積層方向に積層された複数の電極板を含む電極体において互いに隣り合う2つの電極板の間に形成される内部空間を封止するための樹脂部材を配置する工程と、
前記樹脂部材を溶着または硬化させることにより樹脂封止体を形成する工程と、を備え、
前記樹脂部材を配置する工程は、前記積層方向に沿って貫通する1つ以上の貫通孔が設けられた突出部が前記樹脂部材から外部に向けて突出するように、前記樹脂部材を配置する工程を含み、
前記樹脂封止体を形成する工程は、前記積層方向から見た場合に前記突出部が突出する突出方向と平行な方向に沿って赤外線または紫外線を前記樹脂部材に向けて照射する工程を含む、蓄電モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記突出部は、前記複数の電極板の各々に設けられた端子部を含む、請求項8に記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記電極板は、バイポーラ電極であり、
前記端子部は、前記隣り合う2つの電極板の間の電圧を検知するための電圧検出用端子である、請求項9に記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記突出部は、前記隣り合う2つの電極板の間に配置され、かつ、前記内部空間に電解液を注入するための注入口を形成するための注入口形成冶具を含む、請求項8から10のいずれか1項に記載の蓄電モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電モジュールおよび蓄電モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池が種々開発されている。自動車産業界においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。
【0003】
従来の蓄電モジュールとして、特開2020-119633号公報(特許文献1)には、正極と負極とが積層された電極体の側面を樹脂封止体で封止し、樹脂封止体から集電体層が外部に突出させる技術が開示されている。樹脂封止体を構成する樹脂としては、ホットメルト剤、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように樹脂を硬化させて樹脂封止体を形成する場合には、たとえば、樹脂から集電体層が外部に突出するように電極体の側面に樹脂を配置し、樹脂に向けて紫外線あるいは赤外線を照射することが考えられる。
【0006】
電極体を平面視した場合に集電体層が突出する突出方向と平行な方向に沿って、電極体の側面に配置された樹脂に紫外線あるいは赤外線を照射する際に、集電体層が傾斜していた場合には、突出方向と平行な方向において集電体層と重なる領域に位置する部分の樹脂に、紫外線あるいは赤外線を照射することが困難となる。この場合には、突出する集電体層と重なる領域に位置する部分の樹脂を十分に硬化できないことが懸念される。
【0007】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、隣り合う2つの電極板の間に形成される内部空間を封止する樹脂封止体による封止不良を抑制できる蓄電モジュールおよび蓄電モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に基づく蓄電モジュールは、積層方向に積層された複数の電極板を含む電極体と、上記複数の電極板うちの隣り合う2つの電極板の間に形成される内部空間を封止するための樹脂封止体と、上記樹脂封止体から外部に突出するように、上記複数の電極板の各々に設けられた端子部と、を備える。上記端子部のうち上記樹脂封止体から突出する部分には、上記積層方向に沿って貫通する1つ以上の貫通孔が設けられている。
【0009】
上記構成によれば、電極板が有する主面に対して端子部が傾斜して設けられた場合であっても、1つ以上の貫通孔を介して、樹脂封止体の前駆体である樹脂部材に赤外線または紫外線を照射することができる。これにより、端子部に貫通孔が設けられていない場合と比較して、傾斜した端子部に重なる領域に対しても樹脂部材の溶着または硬化を促進することができ、樹脂封止体による封止不良を抑制できる。
【0010】
上記本開示に基づく蓄電モジュールにあっては、上記1つ以上の貫通孔は、複数のスリットによって構成されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、複数のスリットを介して、樹脂封止体の前駆体である樹脂部材に赤外線または紫外線を照射することができ、樹脂封止体による封止不良を抑制できる。
【0012】
上記本開示に基づく蓄電モジュールにあっては、上記複数のスリットは、上記積層方向から見た場合に、上記樹脂封止体から上記端子部が突出する突出方向、あるいは、上記突出方向に交差する方向に並んで配置されていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、突出方向、あるいは、突出方向に交差する方向に並ぶ複数のスリットを介して、樹脂封止体の前駆体である樹脂部材に赤外線または紫外線を照射することができ、樹脂封止体による封止不良を抑制できる。
【0014】
上記本開示に基づく蓄電モジュールにあっては、上記複数のスリットは、上記積層方向から見た場合に上記電極体から上記端子部が突出する突出方向に沿って延在し、かつ、上記突出方向と交差する方向に並ぶように設けられていてもよい。この場合には、上記突出方向において上記電極体側に位置する上記複数のスリットの端部の各々は、上記樹脂封止体の内側に入り込んでいてもよい。
【0015】
上記構成によれば、複数のスリットの端部の各々が上記樹脂封止体の内側に入り込むことにより、複数のスリットを介して、樹脂封止体の前駆体である樹脂部材と端子部とが積層方向に重なる部分まで赤外線または紫外線を照射することができ、樹脂封止体による封止不良を抑制できる。
【0016】
上記本開示に基づく蓄電モジュールにあっては、上記複数のスリットの各々が有するスリット幅は、赤外線波長の2倍以下であってもよい。なお、上記のスリット幅は、製造誤差による数%の誤差が含まれてもよい。
【0017】
上記構成によれば、回折効果により、樹脂封止体の前駆体である樹脂部材により広い範囲に赤外線を照射することができ、樹脂封止体による封止不良を抑制できる。
【0018】
上記本開示に基づく蓄電モジュールにあっては、上記電極板は、バイポーラ電極であってもよい。この場合には、上記端子部は、上記隣り合う2つの電極板の間の電圧を検知する電圧検出用端子であってもよい。
【0019】
上記構成によれば、電極板としてバイポーラ電極を用い、バイポーラ電極に電圧検出用端子を設ける場合に、傾斜した電圧検出用端子に重なる領域に対しても樹脂部材の溶着または硬化を促進することができ、樹脂封止体による封止不良を抑制できる。
【0020】
上記本開示に基づく蓄電モジュールにあっては、上記積層方向から見た場合に、上記隣り合う2つの電極板のうち一方の電極板に設けられた上記電圧検出用端子と、上記隣り合う2つの電極板のうち他方の電極板に設けられた上記電圧検出用端子とが、互いに重ならない位置に配置されていてもよい。
【0021】
上記構成によれば、一方の電極板に設けられた電圧検出用端子および他方の電極板に設けられた電圧検出用端子の少なくとも何れかが傾斜した場合に、樹脂封止体の前駆体である樹脂部材に赤外線または紫外線を照射する際に、一方の電極板に設けられた電圧検出用端子の影部、または、他方の電極板に設けられた電圧検出用端子の影部同士が重なることを抑制することができる。これにより、赤外線または紫外線を照射されにくい領域が形成されることを抑制し、樹脂封止体による封止不良を抑制できる。
【0022】
本開示に基づく蓄電モジュールの製造方法は、積層方向に積層された複数の電極板を含む電極体において互いに隣り合う2つの電極板の間に形成される内部空間を封止するための樹脂部材を配置する工程と、上記樹脂部材を溶着または硬化させることにより樹脂封止体を形成する工程と、を備える。上記樹脂部材を配置する工程は、上記積層方向に沿って貫通する1つ以上の貫通孔が設けられた突出部が上記樹脂部材から外部に向けて突出するように、上記樹脂部材を配置する工程を含む。上記樹脂封止体を形成する工程は、上記積層方向から見た場合に上記突出部が突出する突出方向と平行な方向に沿って赤外線または紫外線を上記樹脂部材に向けて照射する工程を含む。
【0023】
上記構成によれば、電極板が有する主面に対して突出部が傾斜する場合であっても、1つ以上の貫通孔を介して、樹脂封止体の前駆体である樹脂部材に赤外線または紫外線を照射することができる。これにより、突出部に貫通孔が設けられていない場合と比較して、傾斜した突出部に重なる領域に対しても樹脂部材の溶着または硬化を促進することができ、樹脂封止体による封止不良を抑制できる。
【0024】
上記本開示に基づく蓄電モジュールの製造方法にあっては、上記突出部は、上記電極板に設けられた端子部を含んでいてもよい。
【0025】
上記構成によれば、上記複数の電極板の各々に設けられた端子部が傾斜した場合であっても、傾斜した端子部に重なる領域に対しても樹脂部材の溶着または硬化を促進することができる。
【0026】
上記本開示に基づく蓄電モジュールの製造方法にあっては、上記電極板は、バイポーラ電極であってもよい。この場合には、上記端子部は、上記隣り合う2つの電極板の間の電圧を検知する電圧検出用端子であってもよい。
【0027】
上記構成によれば、電極板としてバイポーラ電極板を用い、バイポーラ電極に電圧検出用端子を設ける場合において、傾斜した電圧検出用端子に重なる領域に対しても樹脂部材の溶着または硬化を促進することができる。
【0028】
上記本開示に基づく蓄電モジュールの製造方法にあっては、上記突出部は、上記隣り合う2つの電極板の間に配置され、かつ、上記内部空間に電解液を注入するための注入口を形成するための注入口形成冶具を含んでいてもよい。
【0029】
上記構成によれば、注入口を形成するための注入口形成冶具が傾斜した場合であっても、傾斜した冶具に重なる領域に対しても樹脂部材の溶着または硬化を促進することができる。
【発明の効果】
【0030】
本開示によれば、隣り合う2つの電極板の間に形成される内部空間を封止する樹脂封止体による封止不良を抑制できる蓄電モジュールおよび蓄電モジュールの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施の形態1に係る蓄電モジュールの平面図である。
【
図2】
図1に示すII線方向から見た蓄電モジュールの側面図である。
【
図3】
図1に示すIII線方向から見た蓄電モジュールの側面図である。
【
図4】
図2に示すIV-IV線に沿った蓄電モジュールの断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る蓄電モジュールの製造工程を示すフロー図である。
【
図6】
図5に示す製造工程において、端子部が樹脂部材から突出するように樹脂部材を配置する工程を示す概略断面図である。
【
図7】
図5に示す製造工程において、注入口形成冶具が樹脂部材から突出するように樹脂部材を配置する工程を示す概略断面図である。
【
図8】
図5に示す製造工程において、端子部が突出するように配置された樹脂部材に向けて赤外線または紫外線を照射する工程を示す概略断面図である。
【
図9】
図7に示す照射する工程において端子部が傾斜していた場合を示す概略図である。
【
図10】
図5に示す製造工程において、注入口形成冶具が突出するように配置された樹脂部材に向けて赤外線または紫外線を照射する工程を示す概略図である。
【
図11】第1変形例に係る蓄電モジュールの平面図である。
【
図12】第2変形例に係る蓄電モジュールの平面図である。
【
図13】第3変形例に係る蓄電モジュールの平面図である。
【
図14】第4変形例に係る蓄電モジュールの平面図である。
【
図15】実施の形態2に係る蓄電モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。また、以下に複数の実施の形態、変形例が存在する場合は、特に記載がある場合を除き、実施の形態および変形例の各々の特徴部分を適宜組み合わせることは、当初から予定されている。
【0033】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る蓄電モジュールの平面図である。
図2は、
図1に示すII線方向から見た蓄電モジュールの側面図である。
図3は、
図1に示すIII線方向から見た蓄電モジュールの側面図である。
図4は、
図2に示すIV-IV線に沿った蓄電モジュールの断面図である。
図1から
図4を参照して、実施の形態1に係る蓄電モジュールについて説明する。
【0034】
図1から
図4に示すように、実施の形態1に係る蓄電モジュール100は、電極体10、および樹脂封止体20を備える。蓄電モジュール100は、いわゆるバイポーラ電池である。蓄電モジュール100は、たとえば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等の二次電池である。
【0035】
電極体10は、複数の電極板14と、複数のセパレータ13と、負極終端電極18と、正極終端電極19と、を含む。複数の電極板14、負極終端電極18、および正極終端電極19は、セパレータ13を介して積層方向に積層されている。
【0036】
セパレータ13は、シート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。
【0037】
複数の電極板14は、負極終端電極18と、正極終端電極19との間に設けられている。複数の電極板14の各々は、たとえば、バイポーラ電極であり、金属板15と、正極層16と、負極層17とを含む。
【0038】
金属板15は、たとえば、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、白金(Pt)、ニオブ(Nb)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、および亜鉛(Zn)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。また、金属板15は、金属箔の表面にメッキ加工を施したものであってもよい。
【0039】
金属板15は、積層方向の一方側に位置する第1主面15aおよび積層方向の他方側に位置する第2主面15bを有する。第1主面15aには、正極層16が設けられている。第2主面15bには、負極層17が設けられている。
【0040】
負極終端電極18は、積層方向の一方側において、電極体10の端部を構成する。負極終端電極18は、金属板15と、負極層17とを含む。負極層17は、金属板15の第2主面15bに設けられている。負極終端電極18では、金属板15の第1主面15aには、正極層16および負極層17が設けられていない。負極終端電極18の第1主面15aのうち、積層方向から見た場合に樹脂封止体20から露出する部分は、蓄電モジュール100の端子電極面を構成している。
【0041】
正極終端電極19は、積層方向の他方側において、電極体10の端部を構成する。正極終端電極19は、金属板15と、正極層16とを含む。正極層16は、金属板15の第1主面15aに設けられている。なお、正極終端電極19では、金属板15の第2主面15bには、正極層16および負極層17が設けられていない。正極終端電極19の第2主面15bのうち、積層方向から見た場合に樹脂封止体20から露出する部分は、蓄電モジュール100の端子電極面を構成している。
【0042】
正極層16は、正極活物質が第1主面15aに塗工されることにより形成されている。負極層17は、負極活物質が第2主面15bに塗工されることにより形成されている。
【0043】
蓄電モジュール100が、ニッケル水素二次電池等である場合には、正極活物質としては、たとえば、水酸化ニッケルを採用することができ、負極活物質としては、たとえば、例えば水素吸蔵合金を採用することができる。
【0044】
蓄電モジュール100が、リチウムイオン二次電池である場合には、正極活物質としては、たとえば、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得るものを採用することができる。具体的には、正極活物質として、層状岩塩構造を有するリチウムイオン複合金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物、ポリアニオン系化合物など、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用可能なものを採用することができる。また、2種以上の正極活物質を併用してもよく、たとえば、正極活物質は、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を含んでいてもよい。
【0045】
蓄電モジュール100が、リチウムイオン二次電池である場合には、負極括物質として、リチウム、炭素、金属化合物、及びリチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物等を採用することができる。
【0046】
なお、複数の電極板14、負極終端電極18、正極終端電極19のいずれにおいても、金属板15の周縁部は、正極層16および負極層17が設けられていない未塗工領域となっている。
【0047】
複数の電極板14の各々には、樹脂封止体20から突出するように端子部30が設けられている。端子部30は、上述の未塗工領域に接続されている。具体的には、未塗工領域に重ねて配置された端子部30の一端部(電極板14側に位置する端部)が、超音波溶接、またはレーザー溶接等により、当該未塗工領域に一体化されて接合される。これにより、端子部30と金属板15とが電気的に接続される。
【0048】
端子部30には、1つ以上の貫通孔として、複数のスリット31が設けられている。より具体的には、端子部30のうち少なくとも樹脂封止体20から突出する部分に、複数のスリット31が設けられている。なお、本実施の形態においては、複数のスリット31が設けられている場合を例示するが、後述するように、端子部30には、単一の貫通孔が設けられていてもよい。
【0049】
複数の電極板14は、積層方向の一方側に正極層16が位置し、積層方向の他方側に負極層17が位置するように、同じ向きで積層されている。これにより、積層方向に隣り合う電極板14の間(より特定的には、積層方向に隣り合う金属板15の間)に単位セルが形成されている。
【0050】
端子部30は、隣り合う2つの電極板14の間の電圧(上記単位セルの電圧)を検知する電圧検出用端子である。積層方向から見た場合に、隣り合う2つの電極板14のうち一方の電極板14に設けられた端子部30と、当該隣り合う2つの電極板14のうち他方の電極板14に設けられた端子部30とは、互いに重ならない位置に配置されている。
【0051】
複数のスリット31は、積層方向から見た場合に電極体10から端子部30が突出する突出方向に沿って延在する。複数のスリット31は、当該突出方向と交差する方向(より特定的には突出方向に直交する方向)に所定の間隔をあけて並んで配置されている。複数のスリット31は、当該突出方向と交差する方向に所定の幅を有する。
【0052】
複数のスリット31の各々は、上記突出方向と平行な方向において第1端部31aおよび第2端部31bを有する。第1端部31aは、突出方向の先端側に位置する。第2端部31bは、突出方向において電極体10側に位置する。複数のスリット31の各々の第2端部31bは、樹脂封止体20の内側に入り込んでいる。
【0053】
なお、樹脂封止体20の外側には、外側封止体(不図示)が設けられてもよい。外側封止体は、たとえば、射出成形等によって形成される。外側封止体は、樹脂部材によって構成される。この場合には、樹脂封止体20の外側に位置する複数のスリット31は、外側封止体によって埋設されていてもよい。
【0054】
樹脂封止体20は、電極体10の周囲を封止するように設けられている。具体的には、樹脂封止体20は、隣り合う2つの電極板14の間に形成される内部空間を封止している。当該内部空間には、電解液が注入されている。樹脂封止体20は、ホットメルト部材、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいは光硬化性樹脂等の樹脂部材が硬化することにより形成されている。
【0055】
樹脂封止体20は、矩形筒状形状を有し、積層方向と直交する方向の両側に第1側壁部21および第2側壁部22を有する。複数の端子部30は、第1側壁部21から外部に突出している。
【0056】
また、第2側壁部22には、複数の注入口封止部41およびガイド部42が設けられている。注入口封止部41は、複数の注入口を封止している。複数の注入口の各々は、隣り合う2つの電極板14の間に形成される内部空間に連通しており、当該注入口を介して電解液が注入された後に、注入口封止部41によって封止される。
【0057】
複数の注入口(複数の注入口封止部41)は、たとえば、互いに積層方向の位置が異なるように横並びで配置された1組の注入口群が、積層方向に複数組並ぶように設けられている。
【0058】
ガイド部42は、複数の注入口を取り囲むように設けられている。ガイド部42は、たとえば、注入口を取り囲む枠状部が、行列状に配置されることにより形成されている。ガイド部42は、たとえば、予めガイド部42として形成された、樹脂封止体20とは別体の部材が第2側壁部22の外表面22aに固定されることで形成されてもよい。また、ガイド部42は、樹脂部材を射出成形することによって外表面22aに形成されてもよい。
【0059】
ガイド部42は、電解液を内部空間に注入する際に、各枠状部から外部に電解液が漏れ出ることを抑制する。また、ガイド部42は、電解液を注入口に案内する。
【0060】
なお、上述では、複数の注入口封止部41およびガイド部42が、第2側壁部22に設けられる場合を例示して説明したが、これに限定されず、第1側壁部21に設けられていてもよいし、第1側壁部21および第2側壁部22とは異なる側壁部に設けられていてもよい。
【0061】
(製造方法)
図5は、実施の形態1に係る蓄電モジュールの製造工程を示すフロー図である。
図5を参照して、蓄電モジュール100の製造方法について説明する。
【0062】
図5に示すように、蓄電モジュール100を製造するに際して、まず、工程(S1)において、複数の電極板14を準備する。具体的には、第1主面15aに正極層16が設けられ、第2主面15bに負極層17が設けられ、かつ、上記未塗工領域に端子部30の一端部(電極板14側に位置する端部)が接続された複数の金属板15を準備する。なお、端子部30の一端部は、超音波溶接、またはレーザー溶接等により、当該未塗工領域に接合される。
【0063】
続いて、工程(S10)において、樹脂封止体20の前駆体となる樹脂部材25(
図6参照)を配置する。具体的には、積層方向に積層された複数の電極板14を含む電極体10において互いに隣り合う2つの電極板14の間に形成される内部空間を封止するための樹脂部材25を配置する。具体的には、たとえば、上述の未塗工領域に樹脂部材25の一端部(電極板14側に位置する端部)を熱溶着等で接合してもよい。工程(S10)は、工程(S11)および工程(S12)を含んでいてもよい。
【0064】
図6は、
図5に示す製造工程において、端子部が樹脂部材から突出するように樹脂部材を配置する工程を示す概略断面図である。
【0065】
図5および
図6に示すように、工程(S11)では、突出部としての端子部30が樹脂部材25から突出するように樹脂部材25を配置する。具体的には、たとえば、樹脂部材25として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいはホットメルト部材を用いる場合には、端子部30が突出するように、金属板15の周縁部(未塗工領域)にシート状の樹脂部材25を配置した電極板14を積層する。なお、樹脂部材25の配置は、上述のように、樹脂部材25の一端部を未塗工領域に接合することで行われてもよく、この場合には、端子部30および樹脂部材25が接合された電極板14が積層方向に積層される。
【0066】
樹脂部材25が配置された状態においては、突出方向に平行な方向における端子部30の先端側は、樹脂部材25の外側に位置しており、突出方向に平行な方向における端子部30の根元側(電極板14側に位置する上記一端部)は、樹脂部材25に覆われた状態で金属板15に接続されている。端子部30には、上述したように複数のスリット31が設けられており、複数のスリット31の各々の第2端部31bは、積層方向において樹脂部材25と重なっている。
【0067】
樹脂部材25として、光硬化性樹脂(より特定的には紫外線硬化性樹脂)等を用いる場合には、電極体10から端子部30が突出するように、電極板14が積層された電極体10の側面に、樹脂部材25を塗布してもよい。
【0068】
図7は、
図5に示す製造工程において、注入口形成冶具が樹脂部材から突出するように樹脂部材を配置する工程を示す概略断面図である。
【0069】
図5および
図7に示すように、工程(S12)では、突出部としての注入口形成冶具45が樹脂部材25から突出するように樹脂部材25が配置される。具体的には、たとえば、樹脂部材25として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいはホットメルト部材を用いる場合には、注入口形成冶具45が突出するように、金属板15の周縁部にシート状の樹脂部材25を配置した電極板14を積層する。樹脂部材25の配置は、上述のように、樹脂部材25の一端部を未塗工領域に接合することで行われてもよく、この場合には、所定の位置に注入口形成冶具45し、樹脂部材25と金属板15とで注入口形成冶具45を挟み込みながら、電極板14が積層方向に積層される。
【0070】
注入口形成冶具45は、たとえば平板形状を有する。樹脂部材25が配置された状態においては、突出方向に平行な方向における注入口形成冶具45の先端側が樹脂部材25の外側に位置し、突出方向に平行な方向における注入口形成冶具45の根元側(電極板14側に位置する一端部)が、積層方向において金属板15と重なっている。より特定的には、注入口形成冶具45の根元側は、隣り合う2つの電極板14の間に形成される内部空間に露出している。
【0071】
注入口形成冶具45は、互いに隣り合う2つの電極板14の間のそれぞれに配置される。複数の注入口を形成する位置に対応して複数の注入口形成冶具45が配置される。具体的には、互いに積層方向の位置が異なるように横並びで配置された1組の注入口形成冶具群が、積層方向に複数組並ぶように配置される。
【0072】
注入口形成冶具45においても、端子部30同様に1つ以上の貫通孔として複数のスリットが設けられている。
【0073】
樹脂部材25として、光硬化性樹脂(より特定的には紫外線硬化性樹脂)等を用いる場合には、電極体10から注入口形成冶具45が突出するように、金属板15が積層された電極体10の側面に、樹脂部材25を塗布してもよい。
【0074】
次に、
図5に示すように、工程(S20)を実施する。工程(S20)では、樹脂部材25を溶着または硬化させることにより樹脂封止体20を形成する。具体的には、積層方向から見た場合に、突出部が突出する突出方向において樹脂部材25に対向するように配置された照射装置80から樹脂部材25に向けて赤外線または紫外線を照射する。
【0075】
上述のように、樹脂部材25が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいはホットメルト部材である場合には、樹脂部材25に赤外線が照射され、樹脂部材25が紫外線硬化性樹脂である場合には、樹脂部材25に紫外線が照射される。赤外線または紫外線が照射された複数の樹脂部材25を溶着させたり、互いに硬化させたりして一体化することにより、樹脂封止体20が形成される。工程(S20)は、工程(S21)および工程(S22)を含んでいてもよい。
【0076】
図8は、
図5に示す製造工程において、端子部が突出するように配置された樹脂部材に向けて赤外線または紫外線を照射する工程を示す概略断面図である。
【0077】
図5および
図8に示すように、工程(S21)では、端子部30が突出する樹脂部材25に向けて赤外線または紫外線を照射する。具体的には、上述のように、積層方向から見た場合に端子部30が突出する突出方向と平行な方向に沿って赤外線または紫外線を樹脂部材25に向けて照射する。たとえば、樹脂部材25に対向するように配置された照射装置80から樹脂部材25に向けて赤外線または紫外線を照射する。
【0078】
図9は、
図7に示す照射する工程において端子部が傾斜していた場合を示す概略図である。
【0079】
一般的に、端子部30が傾斜していた場合に、複数のスリット31が設けられていない場合には、突出方向と平行な方向において端子部30と重なる領域に位置する部分の樹脂部材25に、紫外線あるいは赤外線を照射することが困難となる。
【0080】
本実施の形態においては、端子部30に複数のスリット31が設けられている。このため、複数のスリット31を介して、樹脂部材25に赤外線または紫外線を照射することができる。
【0081】
これにより、端子部30にスリット等の貫通孔が設けられていない場合と比較して、傾斜した端子部30に重なる領域に対しても樹脂部材25の溶着または硬化を促進することができる。これにより、樹脂部材25が溶着あるいは硬化されていない部分を抑制しつつ、樹脂封止体20を形成することができ、この結果、樹脂封止体20による封止不良を抑制できる。
【0082】
この際、複数のスリット31の各々の第2端部31bが樹脂部材25と積層方向に重なる場合(樹脂部材25の内側に入り込む場合)には、複数のスリット31を介して、樹脂部材25の内側へ向かうように赤外線または紫外線を照射することができる。これにより、樹脂部材25が溶着あるいは硬化されていない部分をさらに抑制することができ、樹脂封止体20による封止不良をさらに抑制できる。
【0083】
また、樹脂部材25として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいはホットメルト部材等が用いられ、樹脂部材25が赤外線によって溶着して樹脂封止体20が形成される場合には、複数のスリット31が有するスリット幅は、赤外線波長の2倍以下であってもよい。
【0084】
なお、赤外線照射においては、樹脂部材25の材料の溶着に最適な吸収波長から選択される波長の赤外線を照射する。スリット幅を赤外線波長の2倍以下とすることにより、回折効果により、樹脂部材25に対してより広い範囲で赤外線を照射することができ、樹脂封止体20による封止不良をさらに抑制できる。
【0085】
図10は、
図5に示す製造工程において、注入口形成冶具が突出するように配置された樹脂部材に向けて赤外線または紫外線を照射する工程を示す概略断面図である。
【0086】
図5および
図10に示すように、工程(S22)では、注入口形成冶具45が突出する樹脂部材25に向けて赤外線または紫外線を照射する。具体的には、上述のように、積層方向から見た場合に注入口形成冶具45が突出する突出方向と平行な方向に沿って赤外線または紫外線を樹脂部材25に向けて照射する。たとえば、樹脂部材25に対向するように配置された照射装置80から樹脂部材25に向けて赤外線または紫外線を照射する。
【0087】
図10に示すように、注入口形成冶具45が傾斜する場合であっても、注入口形成冶具45に複数のスリット31が設けられることにより、上述同様に、傾斜した注入口形成冶具45に重なる領域に対しても樹脂部材25に赤外線または紫外線を照射することができる。これにより当該領域における樹脂部材25の溶着または硬化を促進することができ、樹脂封止体20による封止不良を抑制できる。
【0088】
この場合においても、注入口形成冶具45に設けられた複数のスリット31の各々の第2端部31bは、樹脂部材25と積層方向に重なっていてもよいし、複数のスリット31が有するスリット幅は、赤外線波長の2倍以下であってもよい。
【0089】
続いて、
図5に示すように、工程(S30)を実施する。工程(S30)では、電解液を注入する。具体的には、まず、注入口形成冶具45を樹脂封止体20から引き抜き、注入口を形成する。続いて、上記ガイド部42を形成する。ガイド部42は、上述のように、予めガイド部42として形成された、樹脂封止体20とは別体の部材を第2側壁部22の外表面22aに固定することで形成してもよいし、樹脂部材を射出成形することによって外表面22aに形成してもよい。
【0090】
続いて、注入口から電解液を上述の内部空間に注入し、注入口を注入口封止部41で封止する。
【0091】
以上のような工程を経て、実施の形態1に係る蓄電モジュール100を製造することができる。
【0092】
(第1変形例)
図11は、第1変形例に係る蓄電モジュールの平面図である。
図11を参照して、第1変形例に係る蓄電モジュール100Aについて説明する。
【0093】
図11に示すように、第1変形例に係る蓄電モジュール100Aは、実施の形態1に係る蓄電モジュール100と比較した場合に、端子部30に設けられたスリット31Aの第2端部31bの位置が相違する。
【0094】
第2端部31bは、樹脂封止体20の内部に入り込んでおらず、積層方向から見た場合に、樹脂封止体20の外表面と同じ位置か、樹脂封止体20の外側に位置する。このように、第2端部31bの位置を変更してもよい。第1変形例に係る蓄電モジュール100Aは、実施の形態1に係る製造方法に準拠して製造することができる。なお、第1変形例においては、上述の工程(S11)で、第2端部31bが積層方向に樹脂部材25と重ならないように樹脂部材25が配置される。
【0095】
(第2変形例)
図12は、第2変形例に係る蓄電モジュールの平面図である。
図12を参照して、第2変形例に係る蓄電モジュール100Bについて説明する。
【0096】
図12に示すように、第2変形例に係る蓄電モジュール100Bは、実施の形態1に係る蓄電モジュール100と比較した場合に、端子部30に設けられた複数のスリット31Bの延在方向が相違する。
【0097】
複数のスリット31Bは、上記積層方向および上記突出方向に直交する横方向に沿って延在している。複数のスリット31Bは、積層方向から見た場合に上記突出方向に沿って並んで配置されている。このように、複数のスリット31Bを設けられている場合であっても、第2変形例に係る蓄電モジュール100Bは、実施の形態1に係る製造方法に準拠して製造することができる。
【0098】
(第3変形例)
図13は、第3変形例に係る蓄電モジュールの平面図である。
図13を参照して、第3変形例に係る蓄電モジュール100Cについて説明する。
【0099】
図13に示すように、第3変形例に係る蓄電モジュール100Cは、実施の形態1に係る蓄電モジュール100と比較して、端子部30に1つの貫通孔31Cが設けられている点において相違する。貫通孔31Cは、たとえば、円形形状を有するが、貫通孔31Cの形状は円形形状に限定されず、矩形形状、多角形形状、オーバル形状等適宜設定することができる。このように、貫通孔31Cが設けられている場合であっても、第3変形例に係る蓄電モジュール100Cは、実施の形態1に係る製造方法に準拠して製造することができる。
【0100】
(第4変形例)
図14は、第4変形例に係る蓄電モジュールの平面図である。
図14を参照して、第4変形例に係る蓄電モジュール100Dについて説明する。
【0101】
図14に示すように、第4変形例に係る蓄電モジュール100Dは、実施の形態1に係る蓄電モジュール100と比較して、端子部30に複数の貫通孔31Dが設けられている点において相違する。複数の貫通孔31Dは、行列状に設けられていてもよいし、ランダムに設けられていてもよい。貫通孔31Dの形状は、第3変形例同様に適宜設定することができる。このように、複数の貫通孔31Dが設けられている場合であっても、第4変形例に係る蓄電モジュール100Dは、実施の形態1に係る製造方法に準拠して製造することができる。
【0102】
(実施の形態2)
図15は、実施の形態2に係る蓄電モジュールの断面図である。なお、
図15を参照して、実施の形態2に係る蓄電モジュール100Eについて説明する。
【0103】
図15に示すように、実施の形態2に係る蓄電モジュール100Eは、実施の形態1に係る蓄電モジュール100と比較して、電極体10Eの構成が主として相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。蓄電モジュール100Eは、全固体電池によって構成されている。
【0104】
電極体10Eは、複数の電極板としての複数の正極板11および複数の負極板12と、複数の固体電解質層13Eを含む。複数の正極板11および複数の負極板12は、それらの間に固体電解質層13Eを挟み込むようにして交互に積層されている。
【0105】
正極板11は、金属板111と、正極層112とを含む。正極層112は、たとえば、金属板111の両面に形成されている。
【0106】
金属板111には、突出端子部30E1が設けられている。突出端子部30E1は、金属板111と一体に形成されている。突出端子部30E1は、樹脂封止体20から外部に突出するように設けられている。突出端子部30E1は、樹脂封止体20が有する第1側壁部21から外部に突出している。
【0107】
金属板111としては、たとえば、SUS箔、Ni箔、Cr箔、Al箔、Pt箔、N箔、Fe箔、Ti箔、Zn箔等の金属箔を用いることができる。
【0108】
正極層112は、正極活物質を含んでいる。正極活物質としては、たとえば、コバルト酸リチウム等に代表される公知の正極活物質を適宜用いることができる。また、正極層112は、固体電解質を含んでいてもよい。この場合、固体電解質としては、硫化物固体電解質や酸化物電解質などを任意の固体電解質を用いることができる。
【0109】
負極板12は、金属板121と、負極層122とを含む。負極層122は、たとえば、金属板121の両面に形成されている。
【0110】
金属板121には、突出端子部30E2が設けられている。突出端子部30E2は、金属板121と一体に形成されている。突出端子部30E2は、樹脂封止体20から外部に突出するように設けられている。突出端子部30E2は、樹脂封止体20が有する第2側壁部22から外部に突出している。
【0111】
なお、突出端子部30E2は、樹脂封止体20が有する第1側壁部21から外部に突出していてもよい。この場合には、突出端子部30E2は、積層方向において、突出端子部30E1に重ならない位置に配置されることが好ましい。
【0112】
金属板121としては、SUS箔、Cu箔、Ni箔、Fe箔、Ti箔、Co箔、Zn箔等の金属箔を用いることができる。
【0113】
負極層122は、負極括物質を含む。負極括物質としては、たとえば、グラファイト等を含む公知のカーボン系負極合材を用いることができる。負極活物質は、グラファイトに限定されず、その他の公知の負極活物質を適宜用いることができる。また、負極層122は、固体電解質を含んでいてもよい。この場合、固体電解質としては、硫化物固体電解質や酸化物電解質などを任意の固体電解質を用いることができる。
【0114】
固体電解質層13Eは、正極層112と負極層122との間に配置されている。固体電解質層13Eに含有される固体電解質としては、電池に使用可能な公知の固体電解質であれば特に限定されず、負極層122に含有される上述の固体電解質と同様のものを用いることができる。
【0115】
実施の形態2においても、突出端子部30E1,30E2のいずれにも、実施の形態1同様に、1つ以上の貫通孔として複数のスリット(不図示)が設けられている。
【0116】
実施の形態2に係る蓄電モジュール100Eも実施の形態1に係る製造方法に準拠して製造することができる。なお、実施の形態2に係る蓄電モジュール100Eにあっては、電解液が不要であるため、注入口を形成し、当該注入口を介して内部空間に電解液を注入する工程を省略することができる。
【0117】
実施の形態2においても、樹脂封止体20の前駆体となる樹脂部材に赤外線または紫外線を照射する際に、突出端子部30E1,30E2が傾斜していた場合であっても、突出端子部30E1,30E2のいずれにも複数のスリットが設けられていることにより、傾斜した突出端子部30E1,30E2に重なる領域に対しても樹脂部材に赤外線または紫外線を照射することができる。これにより、当該領域における樹脂部材25の溶着または硬化を促進することができ、樹脂封止体20による封止不良を抑制できる。
【0118】
なお、実施の形態2においては、互いに隣り合う金属板111と金属板121との間に内部空間が形成される場合を例示したが、これに限定されず、当該内部空間が樹脂封止体20によって充填されていてもよい。
【0119】
以上、今回開示された実施の形態および変形例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0120】
10,10E 電極体、11 正極板、12 負極板、13 セパレータ、13E 固体電解質層、14 電極板、15 金属板、15a 第1主面、15b 第2主面、16 正極層、17 負極層、18 負極終端電極、19 正極終端電極、20 樹脂封止体、21 第1側壁部、22 第2側壁部、22a 外表面、25 樹脂部材、30 端子部、30E1,30E2 突出端子部、31,31A,31B スリット、31C,31D 貫通孔、31a 第1端部、31b 第2端部、41 注入口封止部、42 ガイド部、45 注入口形成冶具、80 照射装置、100,100A,100B,100C,100D,100E 蓄電モジュール、111 金属板、112 正極層、121 金属板、122 負極層。