(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077537
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】電子ドラム
(51)【国際特許分類】
G10H 1/00 20060101AFI20240531BHJP
G10H 1/18 20060101ALI20240531BHJP
G10D 13/10 20200101ALI20240531BHJP
【FI】
G10H1/00 A
G10H1/18 Z
G10D13/10 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189679
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】319004537
【氏名又は名称】株式会社エフノート
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】小森 達也
(72)【発明者】
【氏名】森 良彰
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478LL00
(57)【要約】
【課題】ヘッド又は第1リムの叩打直後であっても第2リムに対する叩打を確実に検出して第2リムの叩打に応じた楽音を確実に発生させて出力することができる電子ドラムを提供する。
【解決手段】ヘッド2及び第1リム3を有する本体部1と、第2リム4と、ヘッドセンサ10と、第1リムセンサ11と、第2リムセンサ12と、検出信号に基づいて所定の楽音を発生させて出力する音源部13とを具備した電子ドラムであって、音源部13は、第2リムセンサ12の出力が所定の閾値を上回った場合、当該第2リムセンサ12の出力に基づく所定の楽音を発生するとともに、第2リムセンサ12の出力に基づく所定の楽音は、第2リムセンサ12から出力される検出信号と、ヘッドセンサ10又は第1リムセンサ11から出力される検出信号とに基づいて決定されるものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏者による叩打が可能とされたヘッド及び第1リムを有する本体部と、
前記本体部に対して弾性的に支持されて取り付けられ、演奏者による叩打が可能とされた第2リムと、
前記本体部に取り付けられ、前記ヘッドの叩打を検出して所定の検出信号を出力するヘッドセンサと、
前記本体部に取り付けられ、前記第1リムの叩打を検出して所定の検出信号を出力する第1リムセンサと、
前記第2リムに取り付けられ、前記第2リムの叩打を検出して所定の検出信号を出力する第2リムセンサと、
前記ヘッドセンサ、第1リムセンサ又は第2リムセンサから出力された検出信号に基づいて所定の楽音を発生させて出力する音源部と、
を具備した電子ドラムであって、
前記音源部は、前記第2リムセンサの出力が所定の閾値を上回った場合、当該第2リムセンサの出力に基づく所定の楽音を発生するとともに、前記第2リムセンサの出力に基づく所定の楽音は、前記第2リムセンサから出力される検出信号と、前記ヘッドセンサ又は第1リムセンサから出力される検出信号とに基づいて決定されることを特徴とする電子ドラム。
【請求項2】
前記音源部は、前記第2リムセンサの出力が所定の閾値を上回った場合、前記第2リムセンサから出力される検出信号の所定期間内における最大値と、前記ヘッドセンサ又は第1リムセンサから出力される検出信号の所定期間内における最大値とを合算し、その合算値に対応して前記第2リムセンサから出力される検出信号に基づく所定の楽音を出力することを特徴とする請求項1記載の電子ドラム。
【請求項3】
前記ヘッドセンサ、第1リムセンサ及び第2リムセンサで検出されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換器を具備するとともに、前記音源部は、前記AD変換器で変換された出力の所定期間内における最大値を合算して叩打強度を判定することを特徴とする請求項2記載の電子ドラム。
【請求項4】
前記第2リムは、前記本体部に対して弾性体を介して離間して取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の電子ドラム。
【請求項5】
前記第2リムは、前記第1リムの周縁に沿ってスライド可能とされたことを特徴とする請求項4記載の電子ドラム。
【請求項6】
前記ヘッドセンサからの検出信号が第1の最小閾値を上回った場合、当該ヘッドセンサからの検出信号と前記第1リムセンサ又は第2リムセンサからの検出信号とを比較し、その比較結果に応じて前記ヘッドセンサ、第1リムセンサ又は第2リムセンサからの検出信号に基づいて所定の楽音を発生させるとともに、前記第2リムセンサからの検出信号が第2の最小閾値を上回った場合、当該第2リムセンサからの検出信号に基づいて所定の楽音を発生させることを特徴とする請求項1記載の電子ドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、叩打により生じた検出信号に基づき所定の楽音を発生させて出力させる電子ドラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子打楽器としての電子ドラムは、通常、演奏者による叩打が可能とされたヘッド及び第1リムを有する本体部と、本体部に取り付けられてヘッドの叩打を検出するヘッドセンサと、本体部に取り付けられて第1リムの叩打を検出する第1リムセンサと、ヘッドセンサ及び第1リムセンサで検出された検出信号に基づいて所定の楽音を発生させて出力する音源部とを具備している。そして、演奏者がスティックによって所望の叩打位置を叩打すると、ヘッドセンサ又は第1リムセンサが検出して音源部から外部に出力することができ、アコースティックのドラムと同様の演奏が可能とされていた。
【0003】
しかるに、例えば特許文献1には、本体部の外周縁において別個に第2リムを設け、叩打位置としてヘッド及び第1リムに加え第2リムを有した電子ドラムが提案されている。かかる電子ドラムによれば、第1リムの叩打によって生じた振動数と第2リムの叩打によって生じた振動数との単位時間当たりの振動数の差を用いて第1リムの叩打と第2リムの叩打とを判別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、以下のような課題があった。
例えば演奏者が本体部のヘッドに手を置いて第2リムを叩打するサイドスティック奏法(「クロススティック奏法」とも称される)にて演奏する際、第2リムの叩打より先に触れた手の振動によりヘッドセンサの出力が発生する場合があり、その直後に第2リムを十分な強度で叩打したとしても、ヘッドの叩打に基づく楽音のみ出力される不具合があった。さらに、第2リムの叩打に基づく楽音が出力される場合であっても、先に触れた手の振動によって、叩打による本来の振動を所定期間内に検出できず、不正確な強度の楽音が出力されてしまうという不具合があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ヘッド又は第1リムの叩打直後であっても第2リムに対する叩打を確実に検出して第2リムの叩打に応じた楽音を確実に発生させて出力することができる電子ドラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、演奏者による叩打が可能とされたヘッド及び第1リムを有する本体部と、前記本体部に対して弾性的に支持されて取り付けられ、演奏者による叩打が可能とされた第2リムと、前記本体部に取り付けられ、前記ヘッドの叩打を検出して所定の検出信号を出力するヘッドセンサと、前記本体部に取り付けられ、前記第1リムの叩打を検出して所定の検出信号を出力する第1リムセンサと、前記第2リムに取り付けられ、前記第2リムの叩打を検出して所定の検出信号を出力する第2リムセンサと、前記ヘッドセンサ、第1リムセンサ又は第2リムセンサから出力された検出信号に基づいて所定の楽音を発生させて出力する音源部とを具備した電子ドラムであって、前記音源部は、前記第2リムセンサの出力が所定の閾値を上回った場合、当該第2リムセンサの出力に基づく所定の楽音を発生するとともに、前記第2リムセンサの出力に基づく所定の楽音は、前記第2リムセンサから出力される検出信号と、前記ヘッドセンサ又は第1リムセンサから出力される検出信号とに基づいて決定されることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子ドラムにおいて、前記音源部は、前記第2リムセンサの出力が所定の閾値を上回った場合、前記第2リムセンサから出力される検出信号の所定期間内における最大値と、前記ヘッドセンサ又は第1リムセンサから出力される検出信号の所定期間内における最大値とを合算し、その合算値に対応して前記第2リムセンサから出力される検出信号に基づく所定の楽音を出力することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の電子ドラムにおいて、前記ヘッドセンサ、第1リムセンサ及び第2リムセンサで検出されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換器を具備するとともに、前記音源部は、前記AD変換器で変換された出力の所定期間内における最大値を合算して叩打強度を判定することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の電子ドラムにおいて、前記第2リムは、前記本体部に対して弾性体を介して離間して取り付けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の電子ドラムにおいて、前記第2リムは、前記第1リムの周縁に沿ってスライド可能とされたことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の電子ドラムにおいて、前記ヘッドセンサからの検出信号が第1の最小閾値を上回った場合、当該ヘッドセンサからの検出信号と前記第1リムセンサ又は第2リムセンサからの検出信号とを比較し、その比較結果に応じて前記ヘッドセンサ、第1リムセンサ又は第2リムセンサからの検出信号に基づいて所定の楽音を発生させるとともに、前記第2リムセンサからの検出信号が第2の最小閾値を上回った場合、当該第2リムセンサからの検出信号に基づいて所定の楽音を発生させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、音源部は、第2リムセンサの出力が所定の閾値を上回った場合、当該第2リムセンサの出力に基づく所定の楽音を発生するとともに、第2リムセンサの出力に基づく所定の楽音は、第2リムセンサから出力される検出信号と、ヘッドセンサ又は第1リムセンサから出力される検出信号とに基づいて決定されるので、ヘッド又は第1リムの叩打直後であっても第2リムに対する叩打を確実に検出して第2リムの叩打に応じた楽音を確実に発生させて出力することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、音源部は、第2リムセンサの出力が所定の閾値を上回った場合、第2リムセンサから出力される検出信号の所定期間内における最大値と、ヘッドセンサ又は第1リムセンサから出力される検出信号の所定期間内における最大値とを合算し、その合算値に対応して第2リムセンサから出力される検出信号に基づく所定の楽音を出力するので、第2リムの叩打に伴う楽音を第2リムに対する叩打強度に応じて出力とすることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、ヘッドセンサ、第1リムセンサ及び第2リムセンサで検出されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換器を具備するとともに、音源部は、AD変換器で変換された出力の所定期間内における最大値を合算して叩打強度を判定するので、ヘッドセンサ、第1リムセンサ及び第2リムセンサの出力を合算した後にデジタル信号に変換するものに比べ、AD変換器で変換可能な信号の最大出力を高くすることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、第2リムは、本体部に対して弾性体を介して離間して取り付けられたので、ヘッド及び第1リムと第2リムとの間の振動の伝播をより確実に遮断することができ、第2リムの叩打に応じた楽音を確実に発生させて出力することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、第2リムは、第1リムの周縁に沿ってスライド可能とされたので、演奏者が演奏し易い位置に第2リムを配置させることができ、良好な演奏を行わせることができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、ヘッドセンサからの検出信号が第1の最小閾値を上回った場合、当該ヘッドセンサからの検出信号と第1リムセンサ又は第2リムセンサからの検出信号とを比較し、その比較結果に応じてヘッドセンサ、第1リムセンサ又は第2リムセンサからの検出信号に基づいて所定の楽音を発生させるとともに、第2リムセンサからの検出信号が第2の最小閾値を上回った場合、当該第2リムセンサからの検出信号に基づいて所定の楽音を発生させるので、第1の最小閾値と第2の最小閾値とを適宜調整することにより、第2リムの叩打を優先して検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る電子ドラムの外観全体を示す3面図
【
図4】(a)
図1におけるIV-IV線断面図(b)同電子ドラムの第2リムを示す分解斜視図
【
図5】同電子ドラムにおける構成の概略を示すブロック図
【
図6a】同電子ドラムの音源部における制御を示すフローチャート
【
図6b】同電子ドラムの音源部における制御を示すフローチャート
【
図6c】同電子ドラムの音源部における制御を示すフローチャート
【
図6d】同電子ドラムの音源部における制御を示すフローチャート
【
図6e】同電子ドラムの音源部における制御を示すフローチャート
【
図6f】同電子ドラムの音源部における制御を示すフローチャート
【
図6g】同電子ドラムの音源部における制御を示すフローチャート
【
図6h】同電子ドラムの音源部における制御を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る電子ドラムは、叩打により生じた検出信号に基づき所定の楽音を発生させて出力させることにより、アコースティックのドラムと同様の演奏が可能とされたものであり、
図1~5に示すように、本体部1と、振動センサから成るヘッドセンサ10、第1リムセンサ11及び第2リムセンサ12(叩打検出部)と、音源部13とを具備して構成されている。
【0021】
本体部1は、
図1~3に示すように、演奏者による叩打が可能とされたヘッド2、第1リム3(リム)及び第2リム4(サイドリム)から成る複数(本実施形態においては3つ)の叩打位置と、ヘッドセンサ10が取り付けられた円環状のカバー5と、第1リムセンサ11が取り付けられた円筒状の筐体6と、第2リム4を筐体6に取り付けるための支持部材8とを有して構成されている。
【0022】
第1リム3は、金属にEPDMゴムやPVC等の弾性体を覆いかぶせた円環状部材から成り、内部にPETやナイロン等から成るヘッド2が取り付けられるとともに、テンションボルトDにより筐体6の外周面に突出形成されたラグEに締め上げて固定されている。筐体部6は、内周に沿って円環状のプレート7が取り付けられており、そのプレート7の周方向に亘って等間隔に第1リムセンサ11が4つ取り付けられている。
【0023】
また、筐体部6の内部には、円環状のカバー5が固定されており、そのカバー5の周方向に亘って等間隔に円錐状のヘッドセンサクッション9が4つ取り付けられている。ヘッドセンサクッション9は、
図3に示すように、その突端がヘッド2と当接して組付けられており、底面にヘッドセンサ10が取り付けられている。そして、ヘッド2を叩打すると、その振動をヘッドセンサクッション9を介してヘッドセンサ10が検出して所定の検出信号を出力するとともに、第1リム3を叩打すると、その振動を筐体6を介して第1リムセンサ11が検出して所定の検出信号を出力するようになっている。
【0024】
第2リム4は、本体部1の筐体6に対して弾性的に支持されて取り付けられ、演奏者による叩打が可能とされたもので、本実施形態においては、筐体6に対して弾性体8a、8bを介して離間して取り付けられるとともに、第2リムセンサ12が取り付けられている。そして、第2リム4を叩打すると、その振動を第2リムセンサ12が検出して所定の検出信号を出力するようになっている。
【0025】
支持部材8は、第2リム4を筐体6の側方において弾性支持するためのもので、
図4(a)(b)に示すように、ゴム材等から成る弾性体8a、8bと、円弧状の支持プレート8cと、支持ステー8dと、支持部材8eとを有して構成されている。支持部材8eは、コ字状に形成された金属製のステーから成り、第2リム4に固定されている。
【0026】
支持プレート8cは、筐体6の外周面の形状に沿って円弧状に延設されるとともに、その円弧形状に沿って長孔8caが形成されている。この長孔8caには、2つのボルトBが挿通されており、ボルトBにより支持ステー8dが締結されている。支持ステー8dは、L字状に形成された金属製部品から成り、ブロック状の弾性体8aが取り付けられている。弾性体8bは、支持ステー8dの両端部に固定されており、内部にテンションボルトDが挿通されるよう構成されている。
【0027】
しかるに、第2リム4の支持部材8eを支持ステー8dにネジ止めなどにて固定させて一体化させるとともに、弾性体8bにテンションボルトDを挿通して螺合することにより、第2リム4が筐体6の側方に取り付けられる。このとき、支持プレート8cは、弾性体8bを介してテンションボルトDにて組付けられるとともに、
図4(a)に示すように、弾性体8aが筐体6の側面に当接した状態とされており、第2リム4は、筐体6に対して弾性的に支持されている。
【0028】
また、ボルトBを緩めて長孔8caに沿って移動させることにより、支持ステー8dと共に第2リム4を筐体6の外周面に沿って移動可能とされている。そして、任意位置にてボルトBを締め上げることにより、第2リム4が所望の位置に固定されるようになっている。このように、本実施形態に係る第2リム4は、第1リム3の周縁に沿ってスライド可能とされているので、演奏者が演奏し易い位置に第2リム4を配置させることができ、良好な演奏を行わせることができる。
【0029】
音源部13は、叩打検出部であるヘッドセンサ10、第1リムセンサ11及び第2リムセンサ12から出力された検出信号に基づいて所定の楽音を発生させて出力するもので、AD変換器14と、叩打位置特定部15と、閾値設定部16と、楽音発生部17とを具備している。AD変換器14は、配線L1、L2、L3を介して本体部1のヘッドセンサ10、第1リムセンサ11及び第2リムセンサ12と電気的に接続されており、これらセンサにて検出されたアナログ信号をデジタル信号に変換し得るよう構成されている。
【0030】
特に、本実施形態に係る音源部13においては、AD変換器14で変換された出力の所定期間内における最大値を合算して叩打強度を判定するよう構成されている。すなわち、本実施形態に係る音源部13は、AD変換器14で変換した後のデジタル信号の最大値を合算するので、ヘッドセンサ10、第1リムセンサ11及び第2リムセンサ12の出力を合算した後にデジタル信号に変換するものに比べ、AD変換器で変換可能な信号の最大出力を高くすることができる。
【0031】
しかるに、本実施形態に係る音源部13は、ヘッドセンサ10、第1リムセンサ11及び第2リムセンサ12(叩打検出部)から出力された検出信号が最小の閾値T(min)を超えた後、所定期間tが経過するまでの間において出力された最大の検出信号(出力最大値V(max))に対応した楽音を発生させるようになっている。なお、最小閾値T(min)及び所定期間tは、予め設定されており、音源部13が具備するストレージ(記憶媒体等)に記憶されている。例えば、本実施形態に係る所定期間tは、閾値を上回ってから約2ms(2/1000秒)間に設定されている。
【0032】
叩打位置特定部15は、AD変換器14を介して本体部1と配線L1~L3を介して電気的に接続されたマイコン等から成り、叩打検出部(本実施形態におけるヘッドセンサ10、第1リムセンサ11及び第2リムセンサ12)から出力された検出信号に基づいて叩打された叩打位置を特定するものである。具体的には、ヘッドセンサ10、第1リムセンサ11及び第2リムセンサ12からの出力最大値V(Hmax)、V(R1max)、V(R2max)を比較し、出力最大値の割合が最も大きい叩打位置に対して叩打されたと特定するようになっている。
【0033】
閾値設定部16は、叩打位置特定部15と同一のマイコン等又は接続された別個のマイコン等から成り、叩打位置特定部15で特定された叩打位置に応じて閾値を設定するものである。ここで、本実施形態に係る閾値設定部16で設定される閾値は、一定の閾値(T(Hα)、T(R1α)、T(R2α)と、時間経過に伴って漸減する漸減線(T(Hβ)、T(R1β)、T(R2β))とを有して成り、漸減線は、叩打位置特定部15で特定された叩打位置毎に設定されるよう構成されている。
【0034】
例えば、叩打位置特定部15により叩打位置がヘッド2であると特定されると、閾値設定部16は、その特定されたヘッド2に応じた係数α(H)を取得するとともに、最大の検出信号(出力最大値V(Hmax))の値に係数α(H)を乗じて得られた一定の閾値T(Hα)を所定時間t(H)設定し、かかる所定時間t(H)は、叩打位置特定部15で特定された叩打位置毎に設定される。
【0035】
その後、叩打位置特定部15で特定された叩打位置(ヘッド2)に応じた漸減率γ(H)を取得するとともに、最大の検出信号(出力最大値V(Hmax))に予め取得した係数β(H)を乗じた値に対し、漸減率γ(H)を逐次乗じて(所定時間毎に乗じて)漸減線T(Hβ)が設定される。このように、叩打位置がヘッド2であると特定された場合、閾値設定部16で設定される閾値は、一定の閾値T(Hα)とそれに続く漸減線T(Hβ)とにより構成されることとなる。
【0036】
さらに、例えば、叩打位置特定部15により叩打位置が第2リム4であると特定されると、閾値設定部16は、その特定された第2リム4に応じた係数α(R2)を取得するとともに、最大の検出信号(出力最大値V(R2max))の値に係数α(R2)を乗じて得られた一定の閾値T(R2α)を所定時間t(R2)設定し、かかる所定時間t(R2)は、叩打位置特定部15で特定された叩打位置毎に設定される。
【0037】
その後、叩打位置特定部15で特定された叩打位置(第2リム4)に応じた漸減率γ(R2)を取得するとともに、最大の検出信号(出力最大値V(R2max))に予め取得した係数β(R2)を乗じた値に対し、漸減率γ(R2)を逐次乗じて(所定時間毎に乗じて)漸減線T(R2β)が設定される。このように、叩打位置が第2リム4であると特定された場合、閾値設定部16で設定される閾値は、一定の閾値T(R2α)とそれに続く漸減線T(R2β)とにより構成されることとなる。なお、叩打位置が第1リム3であると特定された場合、閾値設定部16で設定される閾値は、一定の閾値T(R1α)とそれに続く漸減線T(R1β)とにより構成されることとなる。
【0038】
楽音発生部17は、閾値設定部16及び叩打位置特定部15と同一のマイコン等又は接続された別個のマイコン等から成り、閾値設定部16で設定された閾値を超えた検出信号に基づいて所定の楽音を発生させて出力するものである。また、楽音発生部17は、音源部13と接続された出力手段18に接続されており、発生した楽音を出力手段18に出力可能とされている。かかる出力手段18は、スピーカやヘッドホンなど出力された楽音を演奏者や聴衆が実際に聴くためのもので、楽音発生部17で発生した楽音を例えば電気配線や光配線或いは無線を介して受信し、出力可能とされている。
【0039】
ここで、本実施形態に係る音源部13は、第2リムセンサ12の出力が所定の閾値を上回った場合、当該第2リムセンサ12の出力に基づく所定の楽音を発生するとともに、第2リムセンサ12の出力に基づく所定の楽音は、第2リムセンサ12から出力される検出信号と、ヘッドセンサ10又は第1リムセンサ11(本実施形態においては、ヘッドセンサ10及び第1リムセンサ11)から出力される検出信号とに基づいて決定されるよう構成されている。
【0040】
また、本実施形態に係る音源部13は、第2リムセンサ12の出力が所定の閾値を上回った場合、第2リムセンサ12から出力される検出信号の所定期間内における最大値と、ヘッドセンサ10又は第1リムセンサ11(本実施形態においては、ヘッドセンサ10及び第1リムセンサ11)から出力される検出信号の所定期間内における最大値とを合算し、その合算値に対応して第2リムセンサ12から出力される検出信号に基づく所定の楽音を出力するものとされている。
【0041】
さらに、本実施形態に係る音源部13は、ヘッドセンサ10からの検出信号が第1の最小閾値(最小閾値T(Hmin))を上回った場合、ヘッドセンサ10からの検出信号と第1リムセンサ11又は第2リムセンサ12からの検出信号とを比較し、その比較結果に応じてヘッドセンサ10、第1リムセンサ11又は第2リムセンサ12からの検出信号に基づいて所定の楽音を発生させるとともに、第2リムセンサ12からの検出信号が第2の最小閾値(最小閾値T(R2min))を上回った場合、第2リムセンサ12からの検出信号に基づいて所定の楽音を発生させるよう構成されている。なお、第1の最小閾値(最小閾値T(Hmin))及び第2の最小閾値(最小閾値T(R2min))は、予め適宜設定される。
【0042】
次に、本実施形態に係る音源部13の制御について、
図6a~
図6hに基づいて説明する。
先ず、S1にてヘッドセンサ10の出力V(H)(検出信号)は最小閾値T(Hmin)(第1の最小閾値)を超えたか否か判定し、超えたと判定されると、S2にて所定期間中のヘッドセンサ10の出力最大値V(Hmax)を取得する。その後、S3にて所定期間中の第1リムセンサ11の出力最大値V(R1max)を取得するとともに、S4にて所定期間中の第2リムセンサ12の出力最大値V(R2max)を取得する。
【0043】
その後、S5にて所定期間中の第1リムセンサ11の出力最大値V(R1max)はヘッドセンサ10の出力最大値V(Hmax)に比べて所定の割合以上か否か判定し、所定の割合以上であると判定されると、S6に進み、それぞれの出力最大値V(Hmax)、V(R1max)及びV(R2max)を所定比で合算して第1リム強度決定用出力値V(R1δ)を決定するとともに、所定の割合以上でないと判定されると、S22に進み、以降の制御を行う。
【0044】
そして、S7にて第1リム強度決定用出力値V(R1δ)に対応したドラム第1リムの楽音(第1リム3を叩打したときの楽音)を出力手段18にて発音させる。続いて、S8にてヘッド出力最大値V(Hmax)に係数α(R1)を乗じて閾値T(R1α)(一定の閾値)を設定した後、S9にてヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(R1α)(一定の閾値)を超えたか否か判定する。
【0045】
S9にてヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(R1α)(一定の閾値)を超えたと判定された場合、S2に戻って以降の制御を繰り返すとともに、ヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(R1α)(一定の閾値)を超えないと判定された場合、S10にて所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(R1α)を超えたか否か判定する。
【0046】
S10にて所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(R1α)を超えたと判定されると、S19へ進み、以降の制御が行われるとともに、所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(R1α)を超えないと判定されると、S11にて所定時間t(R1)を経過したか否か判定される。S11にて所定時間t(R1)を経過しないと判定されると、S9に戻って以降の制御を繰り返すとともに、所定時間t(R1)を経過したと判定されると、S12にて回数iを0に設定し、S13にて出力最大値V(Hmax)に係数β(R1)と漸減率γ(R1)のi乗を乗じて閾値T(R1β)(漸減線)を設定する。
【0047】
その後、S14にて閾値T(R1β)(漸減線)が最小閾値T(min)を下回ったか否か判定され、最小閾値T(min)を下回ったと判定された場合、S1に戻ってそれ以降の制御を繰り返すとともに、最小閾値T(min)を下回っていないと判定された場合、S15にてヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(R1β)(漸減線)を超えたか否か判定される。
【0048】
そして、S15にてヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(R1β)(漸減線)を超えたと判定された場合、S2へ戻ってそれ以降の制御を繰り返すとともに、ヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(R1β)(漸減線)を超えないと判定された場合、S16にて所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(R1β)(漸減線)を超えたか否か判定される。
【0049】
S16にて所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(R1β)(漸減線)を超えたと判定されると、S19へ進み、以降の制御が行われるとともに、所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(R1β)(漸減線)を超えないと判定されると、S17にて所定期間経過後に回数iに1を加算した後、S13にて閾値T(R1β)(漸減線)が再び設定され、以後、S14~S17が繰り返される。
【0050】
一方、S1にてヘッドセンサ10の出力V(H)(検出信号)は最小閾値T(min)を超えないと判定されると、S18にて第2リムセンサ12の出力V(R2)(検出信号)は最小閾値T(R2min)(第2の最小閾値)を超えたか否か判定し、超えたと判定されると、S19にて所定期間中のヘッドセンサ10の出力最大値V(Hmax)を取得する。なお、S18にて第2リムセンサ12の出力V(R2)(検出信号)が最小閾値T(min)を超えないと判定されると、S1に戻って以降の制御を繰り返す。
【0051】
また、S19が終了すると、S20にて所定期間中の第1リムセンサ11の出力最大値V(R1max)を取得するとともに、S21にて所定期間中の第2リムセンサ12の出力最大値V(R2max)を取得する。その後、S23に進み、それぞれの出力最大値V(Hmax)、V(R1max)及びV(R2max)を所定比で合算して第2リム強度決定用出力値V(R2δ)を決定する。
【0052】
その後、S24にて第2リム強度決定用出力値V(R2δ)に対応したドラム第2リムの楽音(第2リム4を叩打したときの楽音)を出力手段18にて発音させる。続いて、S25にてヘッド出力最大値V(Hmax)に係数α(R2)を乗じて閾値T(R2α)(一定の閾値)を設定した後、S26にてヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(R2α)(一定の閾値)を超えたか否か判定する。
【0053】
S26にてヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(R2α)(一定の閾値)を超えたと判定された場合、S2に戻って以降の制御を繰り返すとともに、ヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(R2α)(一定の閾値)を超えないと判定された場合、S27にて所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(R2α)を超えたか否か判定する。
【0054】
S27にて所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(R2α)を超えたと判定されると、S19に戻って以降の制御が行われるとともに、所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(R2α)を超えないと判定されると、S28にて所定時間t(R2)を経過したか否か判定される。S28にて所定時間t(R2)を経過しないと判定されると、S26に戻って以降の制御を繰り返すとともに、所定時間t(R2)を経過したと判定されると、S29にて回数iを0に設定し、S30にてヘッド出力最大値V(Hmax)に係数β(R2)と漸減率γ(R2)のi乗を乗じて閾値T(R2β)(漸減線)を設定する。
【0055】
その後、S31にて閾値T(R2β)(漸減線)が最小閾値T(min)を下回ったか否か判定され、最小閾値T(min)を下回ったと判定された場合、S1に戻ってそれ以降の制御を繰り返すとともに、最小閾値T(min)を下回っていないと判定された場合、S32にてヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(R2β)(漸減線)を超えたか否か判定される。
【0056】
そして、S32にてヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(R2β)(漸減線)を超えたと判定された場合、S2へ戻ってそれ以降の制御を繰り返すとともに、ヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(R2β)(漸減線)を超えないと判定された場合、S33にて所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(R2β)(漸減線)を超えたか否か判定される。
【0057】
S33にて所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(R2β)(漸減線)を超えたと判定されると、S19へ進み、以降の制御が行われるとともに、所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(R2β)(漸減線)を超えないと判定されると、S34にて所定期間経過後に回数iに1を加算した後、S30にて閾値T(R2β)(漸減線)が再び設定され、以後、S31~S34が繰り返される。
【0058】
一方、S22にて第2リムセンサ12の出力最大値V(R2max)がヘッドセンサ10の出力最大値V(Hmax)に比べて所定の割合以上でないと判定されると、S35に進み、それぞれの出力最大値V(Hmax)、V(R1max)及びV(R2max)を所定比で合算してヘッド強度決定用出力値V(Hδ)を決定する。
【0059】
その後、S36にてヘッド強度決定用出力値V(Hδ)に対応したドラムヘッドの楽音(ヘッド2を叩打したときの楽音)を出力手段18にて発音させる。続いて、S37にてヘッド出力最大値V(Hmax)に係数α(H)を乗じて閾値T(Hα)(一定の閾値)を設定した後、S38にてヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(Hα)(一定の閾値)を超えたか否か判定する。
【0060】
S38にてヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(Hα)(一定の閾値)を超えたと判定された場合、S2に戻って以降の制御を繰り返すとともに、ヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(Hα)(一定の閾値)を超えないと判定された場合、S39にて所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(Hα)を超えたか否か判定する。
【0061】
S39にて所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(Hα)を超えたと判定されると、S19に戻って以降の制御が行われるとともに、所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(Hα)を超えないと判定されると、S40にて所定時間t(H)を経過したか否か判定される。S40にて所定時間t(H)を経過しないと判定されると、S38に戻って以降の制御を繰り返すとともに、所定時間t(H)を経過したと判定されると、S41にて回数iを0に設定し、S42にて出力最大値V(Hmax)に係数β(H)と漸減率γ(H)のi乗を乗じて閾値T(Hβ)(漸減線)を設定する。
【0062】
その後、S43にて閾値T(Hβ)(漸減線)が最小閾値T(min)を下回ったか否か判定され、最小閾値T(min)を下回ったと判定された場合、S1に戻ってそれ以降の制御を繰り返すとともに、最小閾値T(min)を下回っていないと判定された場合、S44にてヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(Hβ)(漸減線)を超えたか否か判定される。
【0063】
そして、S44にてヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(Hβ)(漸減線)を超えたと判定された場合、S2へ戻ってそれ以降の制御を繰り返すとともに、ヘッドセンサ10の出力V(H)が閾値T(Hβ)(漸減線)を超えないと判定された場合、S45にて所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(Hβ)(漸減線)を超えたか否か判定される。
【0064】
S45にて所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(Hβ)(漸減線)を超えたと判定されると、S19へ進み、以降の制御が行われるとともに、所定係数を乗じた第2リムセンサ12の出力V(R2)が閾値T(Hβ)(漸減線)を超えないと判定されると、S46にて所定期間経過後に回数iに1を加算した後、S42にて閾値T(Hβ)(漸減線)が再び設定され、以後、S43~S46が繰り返される。
【0065】
本実施形態に係る電子ドラムによれば、音源部13は、第2リムセンサ12の出力が所定の閾値を上回った場合、当該第2リムセンサ12の出力に基づく所定の楽音を発生するとともに、第2リムセンサ12の出力に基づく所定の楽音は、第2リムセンサ12から出力される検出信号と、ヘッドセンサ10又は第1リムセンサ11から出力される検出信号とに基づいて決定されるので、ヘッド2又は第1リム3の叩打直後であっても第2リム4に対する叩打を確実に検出して第2リム4の叩打に応じた楽音を確実に発生させて出力することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る音源部13は、第2リムセンサ12の出力が所定の閾値を上回った場合、第2リムセンサ12から出力される検出信号の所定期間内における最大値と、ヘッドセンサ10又は第1リムセンサ11から出力される検出信号の所定期間内における最大値とを合算し、その合算値に対応して第2リムセンサ12から出力される検出信号に基づく所定の楽音を出力するので、第2リム4の叩打に伴う楽音を第2リム4に対する叩打強度に応じて出力とすることができる。
【0067】
さらに、本実施形態によれば、ヘッドセンサ10、第1リムセンサ11及び第2リムセンサ12で検出されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換器14を具備するとともに、音源部13は、AD変換器14で変換された出力の所定期間内における最大値を合算して叩打強度を判定するので、ヘッドセンサ10、第1リムセンサ11及び第2リムセンサ12の出力を合算した後にデジタル信号に変換するものに比べ、AD変換器14で変換可能な信号の最大出力を高くすることができる。
【0068】
またさらに、本実施形態に係る第2リム4は、本体部1に対して弾性体(8a、8b)を介して離間して取り付けられたので、ヘッド2及び第1リム3と第2リム4との間の振動の伝播をより確実に遮断することができ、第2リム4の叩打に応じた楽音を確実に発生させて出力することができる。加えて、本実施形態に係る第2リム4は、第1リム3の周縁に沿ってスライド可能とされたので、演奏者が演奏し易い位置に第2リム4を配置させることができ、良好な演奏を行わせることができる。
【0069】
さらに、本実施形態によれば、ヘッドセンサ10からの検出信号が第1の最小閾値(最小閾値T(Hmin))を上回った場合、当該ヘッドセンサ10からの検出信号と第1リムセンサ11又は第2リムセンサ12からの検出信号とを比較し、その比較結果に応じてヘッドセンサ10、第1リムセンサ11又は第2リムセンサ12からの検出信号に基づいて所定の楽音を発生させるとともに、第2リムセンサ12からの検出信号が第2の最小閾値(最小閾値T(R2min))を上回った場合、当該第2リムセンサ12からの検出信号に基づいて所定の楽音を発生させるので、第1の最小閾値と第2の最小閾値とを適宜調整することにより、第2リム4の叩打を優先して検出することができる。
【0070】
しかるに、本実施形態に係る音源部13は、叩打検出部から出力された検出信号に基づいて叩打された叩打位置を特定する叩打位置特定部15と、叩打位置特定部15で特定された叩打位置に応じて閾値を設定する閾値設定部16と、閾値設定部16で設定された閾値を超えた検出信号に基づいて所定の楽音を発生させて出力する楽音発生部17とを有するとともに、閾値設定部16で設定される閾値は、時間経過に伴って漸減する漸減線を有して成り、漸減線は、叩打位置特定部15で特定された叩打位置毎に設定されるので、叩打位置毎の振動特性を考慮した閾値を設定することができ、叩打位置を連打しても各叩打に応じた楽音を確実に発生させて出力することができる。
【0071】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば閾値設定部16で設定される閾値は、時間経過に伴って漸減する漸減線でなくてもよく、叩打位置としてヘッド2及び第2リム4のみ具備するもの(第1リム3を具備しないもの)であってもよい。また、閾値設定部16で設定される閾値を漸減線とする場合、曲線状、直線状又は不連続のものであってもよい。なお、本実施形態に係る閾値は、一定の閾値に続いて漸減線が設定されるが、一定の閾値のみ或いは漸減線のみ設定されるものであってもよい。さらに、第1の最小閾値と第2の最小閾値は共通の値とされてもよく、或いは長孔8caではなくネジ穴を複数設けて第2リムの位置を調節可能としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
音源部は、第2リムセンサの出力が所定の閾値を上回った場合、当該第2リムセンサの出力に基づく所定の楽音を発生するとともに、第2リムセンサの出力に基づく所定の楽音は、第2リムセンサから出力される検出信号と、ヘッドセンサ又は第1リムセンサから出力される検出信号とに基づいて決定される電子ドラムであれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 本体部
2 ヘッド
3 第1リム
4 第2リム
5 カバー
6 筐体
7 プレート
8 支持部材
8a 弾性体
8b 弾性体
8c 支持プレート
8ca 長孔
8d 支持ステー
8e 支持部材
9 ヘッドセンサクッション
10 ヘッドセンサ(叩打検出部)
11 第1リムセンサ(叩打検出部)
12 第2リムセンサ(叩打検出部)
13 音源部
14 AD変換器
15 叩打位置特定部
16 閾値設定部
17 楽音発生部
D テンションボルト