(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077539
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】裁断機
(51)【国際特許分類】
B26D 7/02 20060101AFI20240531BHJP
B26D 5/00 20060101ALI20240531BHJP
B65H 35/04 20060101ALI20240531BHJP
D06H 7/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
B26D7/02 A
B26D5/00 F
B65H35/04
D06H7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189681
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】中井 健司
(72)【発明者】
【氏名】福田 豊毅
【テーマコード(参考)】
3B154
3C024
【Fターム(参考)】
3B154AB20
3B154AB21
3B154AB27
3B154BA47
3B154BB05
3B154BB47
3B154BB54
3B154BC12
3B154BC16
3B154BC31
3B154DA24
3C024AA07
(57)【要約】
【課題】ビーム移動体の基部への被覆シートの噛み込みを防ぐことができる裁断機を提供する。
【解決手段】裁断テーブル100のテーブル面に、ビーム移動体200の基部210が移動するラインTと裁断エリア110の間でラインTに沿って設けられると共に、当該テーブル面と交差する方向に突出し、被覆シート3を下方から支持可能な第一のガイド部400と、基部210において移動方向の少なくとも一方に設けられ、基部210から移動方向に離れた先端部510の高さが第一のガイド部400の高さ以下であると共に、テーブル面に沿って移動方向と直交する裁断テーブル100の幅方向において、反裁断エリア110側に位置する第一のガイド部400と第一のガイド部400に支持される被覆シート3との間に、先端部510が位置するように構成される第二のガイド部500と、を具備した。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆シートを被せた状態で裁断テーブルの裁断エリアに吸引されるシート材を、所定の移動方向に移動可能なビーム移動体に支持される裁断ヘッドにより裁断する裁断機において、
前記裁断テーブルのテーブル面に、前記ビーム移動体の基部が移動するラインと前記裁断エリアの間で前記ラインに沿って設けられると共に、当該テーブル面と交差する方向に突出し、前記被覆シートを下方から支持可能な第一のガイド部と、
前記基部において前記移動方向の少なくとも一方に設けられ、前記基部から前記移動方向に離れた先端部の高さが前記第一のガイド部の高さ以下であると共に、前記テーブル面に沿って前記移動方向と直交する前記裁断テーブルの幅方向において、反裁断エリア側に位置する前記第一のガイド部と当該第一のガイド部に支持される前記被覆シートとの間に、前記先端部が位置するように構成される第二のガイド部と、
を具備する裁断機。
【請求項2】
前記幅方向において前記第一のガイド部の裁断エリア側には、当該第一のガイド部に支持される前記被覆シートを吸引するための吸引部が設けられる、
請求項1に記載の裁断機。
【請求項3】
前記第一のガイド部の突出した先端部は、前記移動方向に沿ったライン状に形成される、
請求項1に記載の裁断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裁断機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被覆シートを被せたシート材を裁断する裁断機の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、被覆シートを被せた状態で裁断テーブルに吸引されるシート材の積層体を、裁断ヘッドにより裁断する裁断機の技術が開示されている。特許文献1に記載された裁断機では、裁断テーブルの吸引面の幅方向外側に、X軸方向に移動可能なX軸走行体がそれぞれ設けられている。一対のX軸走行体の間には、裁断ヘッドをY方向に移動可能に支持するYビームが設けられている。
【0004】
図8は、特許文献1に記載の裁断機を模式的に示したものである。なお、
図8では、本発明の実施形態の符号に対応するように、特許文献1の裁断機の符号を適宜変更している。上記裁断機においては、裁断テーブルの吸引面(裁断エリア110)の幅方向端部から、X軸走行体の基部210が移動するラインTまでの端部距離Hが比較広く形成されている(
図8(a)を参照)。上記ラインTは、図に示すような幅を持った、基部210の移動軌跡により形成されるラインである。
【0005】
ここで、
図8(b)に示すように、薄いシート材2に被覆シートを敷設した場合には、被覆シート3の余剰分が幅方向に広がり易くなる。上記特許文献1に記載の裁断機では、端部距離Hが十分に広いため、薄いシート材2を裁断する場合でも被覆シートの余剰分は上記の範囲内に収まった。
【0006】
しかしながら、近年裁断機の小型化が求められるところ、例えば裁断テーブル100の吸引面の広さはそのままにして基部210同士の間隔を狭めた場合、端部距離Hが狭くなる。このような場合、厚いシート材2の積層体に対応する、幅方向の長さが比較的長い被覆シート3を薄いシート材2の積層体に使用すると、被覆シート3の幅方向端部がラインTと干渉するため、基部210により噛み込まれるおそれがある。また、シート材2の積層体の厚みに応じて幅寸法が異なる複数バリエーションの被覆シート3を準備するのはユーザーの負担が大きく、仮に既製品に無いサイズの被覆シート3を準備する場合にはコストも嵩む。以上から、ビーム移動体の基部への被覆シートの噛み込みを防ぐことができる裁断機が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ビーム移動体の基部への被覆シートの噛み込みを防ぐことができる裁断機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、本発明に係る裁断機は、被覆シートを被せた状態で裁断テーブルの裁断エリアに吸引されるシート材を、所定の移動方向に移動可能なビーム移動体に支持される裁断ヘッドにより裁断する裁断機において、前記裁断テーブルのテーブル面に、前記ビーム移動体の基部が移動するラインと前記裁断エリアの間で前記ラインに沿って設けられると共に、当該テーブル面と交差する方向に突出し、前記被覆シートを下方から支持可能な第一のガイド部と、前記基部において前記移動方向の少なくとも一方に設けられ、前記基部から前記移動方向に離れた先端部の高さが前記第一のガイド部の高さ以下であると共に、前記テーブル面に沿って前記移動方向と直交する前記裁断テーブルの幅方向において、反裁断エリア側に位置する前記第一のガイド部と当該第一のガイド部に支持される前記被覆シートとの間に、前記先端部が位置するように構成される第二のガイド部と、を具備するものである。
このように構成することにより、第一のガイド部に支持された被覆シートを第二のガイド部でめくり上げることができるため、ビーム移動体の基部への被覆シートの噛み込みを防ぐことができる。
【0011】
また、裁断機は、前記幅方向において前記第一のガイド部の裁断エリア側には、当該第一のガイド部に支持される前記被覆シートを吸引するための吸引部が設けられてもよい。
このように構成することにより、被覆シートを第一のガイド部に沿って立ち上がらせることで、第二のガイド部を案内するための空間を確保することができる。
【0012】
また、裁断機は、前記第一のガイド部の突出した先端部は、前記移動方向に沿ったライン状に形成してもよい。
このように構成することにより、ビーム移動体の基部への被覆シートの噛み込みを効果的に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、ビーム移動体の基部への被覆シートの噛み込みを防ぐことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る裁断機を模式的に示した側面図。
【
図3】(a)ビーム移動体の基部を模式的に示した側面図。(b)ビーム移動体の基部を模式的に示した平面図。
【
図4】裁断機の幅方向端部を模式的に示した背面断面図。
【
図5】(a)第一のガイド部を模式的に示した平面図。(b)第一のガイド部を模式的に示した側面断面図。
【
図6】(a)第二のガイド部を模式的に示した側面図。(b)第二のガイド部を模式的に示した背面図。
【
図7】(a)第一のガイド部と被覆シートの間に、第二のガイド部の先端部を挿入させる様子を模式的に示した背面断面図。(b)第一のガイド部に支持された被覆シートを、第二のガイド部によりめくり上げる様子を模式的に示した背面断面図。
【
図8】(a)比較的厚いシート材の積層体に被覆シートを敷設した状態を模式的に示した背面断面図。(b)比較的薄いシート材の積層体に被覆シートを敷設した状態を模式的に示した背面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。また本実施形態に係る裁断機1は、前方から後方へ向けてシート材2を搬送するため、前後方向を搬送方向と称し、前側を搬送方向における上流側、後側を搬送方向における下流側と定義して説明を行う。また、各図においては、説明の便宜上、一部の部材の図示を適宜省略したり、部材の形状や大きさを適宜変更している場合がある。
【0016】
まず、本発明の第一実施形態に係る裁断機1の全体的な構成について説明する。
【0017】
図1及び
図2に示す裁断機1は、シート材2を所望の形状に裁断する。シート材2としては、例えば布帛やニット等の生地や、樹脂製のシート等、柔軟で通気性を有する素材を採用可能である。シート材2は、複数枚積層された状態で裁断される。なお、以下の図で示すシート材2は、積層された状態を模式的に示している。また便宜的に、積層されたシート材2を、単に「シート材2」と称する場合がある。裁断機1は、主として裁断テーブル100、ビーム移動体200、制御部300、第一のガイド部400及び第二のガイド部500を具備する。
【0018】
裁断テーブル100は、載置されたシート材2を上流側から下流側へ搬送する機能を有する。
図2に示すように、裁断テーブル100は、シート材2が載置されると共に裁断が行われる裁断エリア110と、裁断エリア110の左右両側に位置する外側エリア120と、を有する。
【0019】
裁断エリア110は、搬送機能を有するベルトコンベヤ111により形成されている。ベルトコンベヤ111の表面には、通気性を有するブラシにより形成されたブロックが設けられている。このため、裁断エリア110の上面は、ブラシの毛の先端により形成されている。ベルトコンベヤ111の下方には、ベルトコンベヤ111上のシート材2を吸引する吸引装置112が設けられている。
【0020】
図2に示す左右の外側エリア120には、後述するビーム移動体200を移動させるための溝部121が形成されている。溝部121は、外側エリア120の上面に、開口するように形成されている。溝部121は、シート状のカバーベルト122により閉塞されている。カバーベルト122の搬送方向両端部は、溝部121の上流側端部及び下流側端部に固定されている。また、外側エリア120には、外側エリア120とベルトコンベヤ111の間の隙間を覆うシート(不図示)を設置可能である。
【0021】
図1に示すように、裁断テーブル100のうちベルトコンベヤ111の上流側には、シート材2の延反を行う延反機(不図示)が設けられている。
【0022】
また、ベルトコンベヤ111の上流側には、シート材2に対して被覆シート3を被せるための被覆シート敷設装置130が設けられている。被覆シート3は、例えば合成樹脂フィルム等で形成された空気不透過性のシートである。被覆シート敷設装置130は、軸線を左右方向に向けたシートローラ131と、シートローラ131の左右方向両端部を回転自在に支持する支持部132と、を具備する。被覆シート敷設装置130は、シートローラ131に巻回された被覆シート3を、裁断エリア110に搬入されたシート材2に敷設可能に形成される。
【0023】
ベルトコンベヤ111の下流側には、裁断後のシート材2の搬出先であるピックアップテーブルが設けられている。ピックアップテーブルでは、裁断後のシート材2から切り出されたパーツが作業者により回収される。
【0024】
図1から
図4までに示すビーム移動体200は、シート材2を裁断する裁断ヘッド230を、搬送方向及び左右方向に移動可能に支持するものである。裁断ヘッド230は、シート材2を裁断するための裁断刃を備えている。
図2に示すように、ビーム移動体200は、左右の外側エリア120に設けられる一対の基部210と、一対の基部210同士を連結するように左右方向に延出するビーム220と、を具備する。一対の基部210の下端部は、溝部121を介して裁断テーブル100の内部に配置される。
【0025】
ビーム移動体200は、基部210の下部に設けられる搬送方向移動機構211により、溝部121に沿って搬送方向に移動可能である(
図4を参照)。本実施形態に係る搬送方向移動機構211は、基部210から下方に突出すると共に、軸線方向を上下方向に向けたモータ等の駆動源211aを採用している。上記駆動源211aに設けられたピニオンギヤ211bを、外側エリア120の内部に設けられたラック113に係合させることで、外側エリア120に対して基部210を自走させることができる。搬送方向移動機構211を上述のように形成した場合には、例えば移動機構としてエンドレスベルトを採用した場合と比べて、裁断エリア110の幅方向端部から、ビーム移動体200の基部210が移動するラインTまでの端部距離Hを、比較的短くすることができ、装置の小型化を図ることができる。上記ラインTは、
図2及び
図4に示すような幅を持った、基部210の下部の移動軌跡により形成されるラインである。ラインTは、カバーベルト122と概ね同様に、搬送方向に延びるように形成される。
【0026】
また、裁断ヘッド230は、左右移動機構(不図示)により、ビーム220に沿って左右方向に移動可能である。ビーム移動体200は、上記各移動機構により、裁断ヘッド230を搬送方向及び左右方向に移動させることができる。左右移動機構としては、ラックアンドピニオンやエンドレスベルト等を用いた機構を採用可能である。
【0027】
図1に示す制御部300は、裁断機1の動作を制御するためのものである。制御部300は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部等を具備する。制御部300の記憶部には、裁断機1の制御に用いられる種々の情報やプログラム等が記憶される。
【0028】
制御部300は、裁断テーブル100及びビーム移動体200の各部と接続されている。制御部300は、予め作成された裁断のためのプログラム等に基づいて、裁断機1の各部の動作を制御することができる。具体的には、制御部300は、ベルトコンベヤ111やビーム移動体200の動作を制御することで、シート材2の搬入出や裁断等を行うことができる。
【0029】
図2、
図4及び
図5に示す第一のガイド部400は、被覆シート3を下方から支持する。第一のガイド部400は、左右の外側エリア120にそれぞれ設けられる。なお、
図2では、部材同士を区別し易くするために、第一のガイド部400を示す部分を塗りつぶしている。第一のガイド部400は、搬送方向に長尺な形状に形成される。第一のガイド部400は、板形状の部材を、断面視(搬送方向に見て)略L字形状となるように折り曲げた形状に形成される。
【0030】
一対の第一のガイド部400は、互いの左右対称な形状に形成される。なお、以下では
図4及び
図5等を用いて、主として左側の第一のガイド部400に注目して第一のガイド部400の説明を行う。第一のガイド部400は、支持部410及び固定部420を具備する。
【0031】
図5に示す支持部410は、上方に突出する部分である。支持部410は、厚さ方向を左右方向に向けて配置される。
【0032】
固定部420は、裁断エリア110側に向かって水平方向に突出する部分である。固定部420は、厚さ方向を上下方向に向けて配置される。固定部420は、外側エリア120の上面に固定される。固定部420には、ボルト等の止具を用いた固定のための孔や切り欠き(不図示)が形成される。
図5に示すように、固定部420の上面には、左右方向に延びる溝部421が形成されている。溝部421は、搬送方向に間隔を開けて、複数形成される。
【0033】
第一のガイド部400は、外側エリア120の上面に設けられる。第一のガイド部400は、ビーム移動体200の基部210が移動するラインTと裁断エリア110との間で、ラインTに沿って設けられる。具体的には、
図4に示すように、第一のガイド部400は、ラインTよりも裁断エリア110側に位置するように、ラインTと平行に配置される。上述のように配置された第一のガイド部400は、支持部410の突出方向先端部が、搬送方向に沿ったライン状に形成される。
【0034】
第二のガイド部500は、第一のガイド部400によって支持された被覆シート3をまくり上げる。ビーム移動体200の一対の基部210にそれぞれ設けられる。具体的には、第二のガイド部500は、基部210のうち、裁断エリア110側を向く面に設けられる。
【0035】
第二のガイド部500は、厚さ方向を左右方向に向けた略板形状に形成される。第二のガイド部500は、上端部が、第一のガイド部400の支持部410の上端部(先端部)よりも高くなるように形成される(
図7(b)を参照)。第二のガイド部500は、搬送方向の先端側の部分である先端部510の高さが、基部210から先端側へいくに従って徐々に低くなるように傾斜した形状に形成される。本実施形態では、先端部510を側面視略三角形状に形成している。先端部510の高さは、第一のガイド部400の支持部410の上端部(先端部)の高さ以下となるように形成される(
図7(a)を参照)。
【0036】
図3に示すように、本実施形態では、基部210の搬送方向両側に、第二のガイド部500を設けている。搬送方向両側の第二のガイド部500は、先端部510が基部210に対して搬送方向に突出するように配置される。
図4及び
図6(b)に示すように、第二のガイド部500は、左右方向の位置が、第一のガイド部400の支持部410の反裁断エリア110側の面に近接するように配置される。
【0037】
以下では、上述の如き裁断機1の動作について説明する。
【0038】
図1に示すように、裁断エリア110には、延反機(不図示)で積層されたシート材2が搬入される。また、積層されたシート材2には、被覆シート敷設装置130からの被覆シート3が敷設される。制御部300は、ベルトコンベヤ111を作動させることで、積層されたシート材2及び被覆シート3の搬送を行う。また、制御部300は、シート材2及び被覆シート3の全体が裁断エリア110の所定の位置に搬送された場合、ベルトコンベヤ111を停止させる。
【0039】
制御部300は、この状態で吸引装置112を作動させることで、積層されたシート材2を被覆シート3と共に吸引することができる。これにより、積層されたシート材2を裁断エリア110上に吸引固定することができる。吸引された状態のシート材2は、下方へ圧縮され、吸引されていない状態と比べて高さが低くなる。なお吸引固定されたシート材2は、ベルトコンベヤ111により、吸引固定された状態のまま搬送可能である。
【0040】
次に、制御部300は、ビーム移動体200の裁断ヘッド230を作動させることで、吸引固定されたシート材2を、被覆シート3と共に予め設定された形状に裁断する。裁断ヘッド230による裁断は、概ね下流側から上流側に向かって順番に各パーツを切り出すように行われる。
【0041】
本実施形態に係る裁断機1は、端部距離Hが比較的広く形成された特許文献1の裁断機(
図8を参照)とは異なり、端部距離Hを比較的狭くして装置の小型化を図ると共に、被覆シート3のビーム移動体200の基部210の被覆シート3の噛み込みを防止することができる。
【0042】
以下では、
図7を参照して、裁断機1が、被覆シート3の噛み込みを防止する様子について説明する。
図7(a)は、積層されたシート材2を裁断エリア110上に吸引固定している状態を示している。この場合、外側エリア120に位置する被覆シート3は、第一のガイド部400により下方から支持される。
【0043】
ここで、吸引装置112により吸引される空気は、第一のガイド部400の溝部421を流れる。これにより、被覆シート3は、第一のガイド部400のうち、裁断エリア110側の面(支持部410の内面及び固定部420の上面)に沿うように吸引される。この状態では、被覆シート3は、支持部410の上端部から立ち上がるように支持される。このように被覆シート3を支持することにより、反裁断エリア110側において、第一のガイド部400から被覆シート3を緩やかに(山状に)垂らすことができる。これにより、反裁断エリア110側における支持部410と、被覆シート3と、の間の隙間A(空間)を確保することができる。
【0044】
図7(a)に示すように、本実施形態では、ビーム移動体200の搬送方向の移動に伴い、隙間Aに第二のガイド部500の先端部510が挿入される。また、
図7(b)に示すように、ビーム移動体200の更なる移動に伴い、第二のガイド部500の斜面に沿って、第一のガイド部400に支持された被覆シート3をめくり上げることができる。これにより、ビーム移動体200の基部210への被覆シートの噛み込みを防止することができる。
【0045】
本実施形態では、第一のガイド部400に溝部421を形成したことで、被覆シート3を第一のガイド部400に対して密着させて、効果的に隙間Aを形成することができる。これにより、第二のガイド部500により被覆シート3をめくり易くすることができる。
【0046】
また、本実施形態では、ライン状に形成された支持部410の先端部により、被覆シート3を下方から山状に支持できるため、反裁断エリア110側において、支持部410の先端部から被覆シート3を緩やかに垂らし易くできる。これにより、第一のガイド部400に支持された被覆シート3を第二のガイド部500でめくり上げ易くでき、ビーム移動体200の基部210への被覆シート3の噛み込みを効果的に防ぐことができる。
【0047】
なお、本実施形態に係る溝部421は、本発明に係る吸引部の一形態である。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0049】
例えば、本実施形態で示した第一のガイド部400及び第二のガイド部500の形状等は一例であり、本発明はこれに限るものではない。第一のガイド部400及び第二のガイド部500の形状等は、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜変更が可能である。
【0050】
具体的には、本実施形態では、第一のガイド部400の支持部410をライン状に形成した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば支持部410を、搬送方向に沿って設けられた、上方に向けて突出する複数本の棒状体によって形成してもよい。
【0051】
また、本実施形態では、第一のガイド部400を、固定部420を伴う略L字形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、第一のガイド部400の支持部410を、外側エリア120の上面と一体的に形成したり、外側エリア120の上面に形成された溝等に支持部410を係合させるようにしてもよい。以上のように、第一のガイド部400の支持部410を、裁断テーブル100のテーブル面から突出させる構造としては、任意の構造を採用可能である。
【0052】
また、本実施形態においては、第二のガイド部500を平坦な板形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、基部210と第一のガイド部400との間の距離が比較的大きく形成されている場合には、先端部510を第一のガイド部400に近接させるために、第二のガイド部500を適宜屈曲させるようにしてもよい。
【0053】
また、本実施形態においては、第二のガイド部500の先端部510を、側面視略三角形の板形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば第二のガイド部500を、斜め下方に延出する棒状体や、側面視略三角形状に形成された棒状体により形成してもよい。また例えば、第二のガイド部500を、略円錐形状に形成してもよい。このように、第二のガイド部500としては、先端部510の高さが、先端側へいくに従って低くなるように傾斜する種々の形状を採用可能である。また、第二のガイド部500としては、上述のように傾斜する形状に限定されない。例えば、傾斜部を有さない棒状体や板状体を、第一のガイド部400の支持部410よりも低い位置となるように基部210に設けることでも、第二のガイド部500を構成することができる。
【0054】
また、本実施形態においては、基部210の搬送方向両側に、それぞれ第二のガイド部500を設けた例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、基部210の搬送方向一方側のみに第二のガイド部500を設けるようにしてもよい。
【0055】
また、本実施形態においては、吸引部として、第一のガイド部400に溝部421を設けた例を示したが、吸引部としては、上述したものに限定されない。例えば吸引部として、第一のガイド部400の固定部420を上下に貫通する孔や切欠き等を形成してもよい。この場合は、上記孔等を、裁断テーブル100の外側エリア120を上下に貫通する孔を介して、吸引装置112が設けられた空間と連通させ、上記孔同士を介した吸引を行うようにしてもよい。
【0056】
また、例えば固定部420に形成された、当該固定部420の固定のための孔等を吸引部としてもよい。また、他の部材(例えば外側エリア120とベルトコンベヤ111の間の隙間を覆うシートを、外側エリア120に固定するための部材等)を固定部420の上方に設置する場合には、上記部材と、固定部420の上面と、の間の隙間を吸引部としてもよい。また、第一のガイド部400に、吸引部を設けないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 裁断機
100 裁断テーブル
200 ビーム移動体
300 制御部
400 第一のガイド部
500 第二のガイド部