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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077559
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】感圧粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240531BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20240531BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/04
C09J4/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033562
(22)【出願日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】111145367
(32)【優先日】2022-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】廖 徳超
(72)【発明者】
【氏名】曹 俊哲
(72)【発明者】
【氏名】陳 政宏
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AA17
4J004AB01
4J004DA03
4J004FA05
4J040DF021
4J040FA261
4J040KA16
4J040NA19
4J040PA42
(57)【要約】
【課題】本発明は、部品の切削工程に適用する感圧粘着テープを提供する。
【解決手段】
感圧粘着テープは、離型層と、接着剤層と、支持層とをこの順に積層されてなる。接着剤層の総重量を100重量%として、接着剤層は、アクリル樹脂40重量%~50重量%と、エポキシモノマー40重量%~65重量%と、硬化剤0.05重量%~0.5重量%と、開始剤0.5重量%~1.0重量%と、を含む。接着剤層は紫外線に暴露される前に第1の酸価を有し、接着剤層は紫外線に暴露された後に収縮して第2の酸価を有すると共に、第2の酸価は第1の酸価より小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の切削工程に適用する感圧粘着テープであって、
前記感圧粘着テープは、
離型層と、
前記離型層の一面に形成された接着剤層と、
前記接着剤層の前記離型層から離れた面に形成された支持層と、を備え、
前記接着剤層の総重量を100重量%として、前記接着剤層は、アクリル樹脂40重量%~50重量%と、エポキシモノマー40重量%~65重量%と、硬化剤0.05重量%~0.5重量%と、開始剤0.5重量%~1.0重量%と、を含み、
前記接着剤層は紫外線に暴露される前に第1の酸価を有し、
前記接着剤層は紫外線に暴露された後に収縮して第2の酸価を有すると共に、第2の酸価は第1の酸価より小さいことを特徴とする、感圧粘着テープ。
【請求項2】
前記接着剤層の前記紫外線に暴露される前の前記第1の酸価は5mgKOH/g~20mgKOH/gであり、前記接着剤層の前記紫外線に暴露された後の前記第2の酸価は1mgKOH/g~4mgKOH/gである、請求項1に記載の感圧粘着テープ。
【請求項3】
前記接着剤層の前記紫外線に暴露される前の前記第1の酸価は10mgKOH/g~15mgKOH/gであり、前記接着剤層の前記紫外線に暴露された後の前記第2の酸価は1mgKOH/g~3mgKOH/gである、請求項2に記載の感圧粘着テープ。
【請求項4】
前記離型層は、25μm~45μmの第1の厚みを有し、前記接着剤層は、3μm~30μmの第2の厚みを有し、且つ前記支持層は、50μm~180μmの第3の厚みを有し、前記離型層は主にポリエステル材料で構成され、前記支持層は主にポリオレフィン材料で構成される、請求項1に記載の感圧粘着テープ。
【請求項5】
前記接着剤層における前記エポキシモノマーは、反応性エポキシモノマーであると共に、以下の化学構造を有する、請求項1に記載の感圧粘着テープ。
【化1】
【請求項6】
前記接着剤層において、前記硬化剤はイソシアネート硬化剤であり、前記開始剤は光開始剤である、請求項1に記載の感圧粘着テープ。
【請求項7】
前記紫外線の波長は300nm~380nmであり、前記紫外線の前記接着剤層に対する露光エネルギーは100mJ/cm~300mJ/cmである、請求項1に記載の感圧粘着テープ。
【請求項8】
前記部品の切削工程において、前記離型層を先に剥離し、前記接着剤層を切削基材に貼り合わせ、
前記切削基材はプリント回路板、セラミックス基板、ガラス基板、又はウェーハであり、
前記接着剤層が前記紫外線に暴露される前に、前記接着剤層と前記切削基材との第1の剥離力は10N/inch以上である、請求項1に記載の感圧粘着テープ。
【請求項9】
前記接着剤層が前記紫外線に暴露された後に、前記接着剤層における前記エポキシモノマーが架橋反応を起こして、前記接着剤層は暴露された接着剤層として形成され、前記暴露された接着剤層と前記切削基材との第2の剥離力は0.2N/inch以下である、請求項8に記載の感圧粘着テープ。
【請求項10】
前記接着剤層は前記エポキシモノマーの前記架橋反応を起こした後に、収縮が生じて前記暴露された接着剤層と前記切削基材との接触面積が減少する、請求項9に記載の感圧粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープに関し、特に、部品の切削工程に適用する感圧粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術において、部品の切削工程に用いる感圧粘着テープは通常、紫外線接着剤層を備える。前記紫外線接着剤層はアクリル樹脂のみを用いることが多い。しかしながら、従来の感圧粘着テープと切削しようとする基材との接着強度が不足である。紫外線に暴露された後に、前記感圧粘着テープと切削しようとする基材との接着強度が高すぎるため、感圧粘着テープを切削しようとする基材から剥離しにくくなり、接着剤の残留を起こす。よって、従来の感圧粘着テープは、各種の部品の切削工程に適用することができず、広く用いられない。
【0003】
そこで、本発明者は、上述した問題が改善可能であることに鑑みて、鋭意研究を行い学理を併せて運用した結果、設計が合理的で且つ前記問題を効果的に改善することができる方法として本発明に至り、各種の部品の切削工程に適用することができる感圧粘着テープを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術課題は、従来技術の不足に対し、部品の切削工程に適用する感圧粘着テープを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用する一つの技術的手段は、部品の切削工程に適用する感圧粘着テープを提供する。感圧粘着テープは、離型層と、前記離型層の一面に形成された接着剤層と、前記接着剤層の前記離型層から離れた面に形成された支持層とを備え、前記接着剤層の総重量を100重量%として、前記接着剤層は、アクリル樹脂40重量%~50重量%と、エポキシモノマー40重量%~65重量%と、硬化剤0.05重量%~0.5重量%と、開始剤0.5重量%~1.0重量%と、を含み、前記接着剤層は紫外線に暴露される前に第1の酸価を有し、前記接着剤層は紫外線に暴露された後に収縮して第2の酸価を有すると共に、前記第2の酸価は前記第1の酸価より小さい。
【0006】
好ましくは、前記接着剤層の前記紫外線に暴露される前の前記第1の酸価は5mgKOH/g~20mgKOH/gであり、前記接着剤層の前記紫外線に暴露された後の前記第2の酸価は1mgKOH/g~4mgKOH/gである。
【0007】
好ましくは、前記接着剤層の前記紫外線に暴露される前の前記第1の酸価は10mgKOH/g~15mgKOH/gであり、前記接着剤層の前記紫外線に暴露された後の前記第2の酸価は1mgKOH/g~3mgKOH/gである。
【0008】
好ましくは、前記離型層は、25μm~45μmの第1の厚みを有し、前記接着剤層は、3μm~30μmの第2の厚みを有し、且つ前記支持層は、50μm~180μmの第3の厚みを有し、前記離型層は主にポリエステル材料で構成され、前記支持層は主にポリオレフィン材料で構成される。
【0009】
好ましくは、前記接着剤層における前記エポキシモノマーは、反応性エポキシモノマーであると共に、以下の化学構造を有する。
【化1】
【0010】
好ましくは、前記接着剤層において、前記硬化剤はイソシアネート硬化剤であり、前記開始剤は光開始剤である。
【0011】
好ましくは、前記紫外線の波長は300nm~380nmであり、前記紫外線の前記接着剤層に対する露光エネルギーは100mJ/cm~300mJ/cmである。
【0012】
好ましくは、在前記部品の切削工程において、前記離型層を先に剥離し、前記接着剤層を切削基材に貼り合わせ、前記切削基材はプリント回路板、セラミックス基板、ガラス基板、又はウェーハであり、前記接着剤層が前記紫外線に暴露される前に、前記接着剤層と前記切削基材との第1の剥離力は10N/inch以上である。
【0013】
好ましくは、前記接着剤層が前記紫外線に暴露された後に、前記接着剤層における前記エポキシモノマーが架橋反応を起こして、前記接着剤層は暴露された接着剤層として形成され、前記暴露された接着剤層と前記切削基材との第2の剥離力は0.2N/inch以下である。
【0014】
好ましくは、前記接着剤層は前記エポキシモノマーの前記架橋反応を起こした後に、収縮が生じて前記暴露された接着剤層と前記切削基材との接触面積が減少する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有利な効果として、本発明に係る感圧粘着テープは、「前記接着剤層の総重量を100重量%として、前記接着剤層は、アクリル樹脂40重量%~50重量%と、エポキシモノマー40重量%~65重量%と、硬化剤0.05重量%~0.5重量%と、開始剤0.5重量%~1.0重量%と、を含む」及び「前記接着剤層は紫外線に暴露される前に第1の酸価を有し、前記接着剤層は紫外線に暴露された後に収縮して第2の酸価を有すると共に、第2の酸価は第1の酸価より小さい」といった技術特徴によって、接着剤層と切削基材との接着強度を向上すると共に、除去された後の接着剤の残留を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る感圧粘着テープの模式図である。
図2A】本発明の実施形態に係る感圧粘着テープの使用方法の工程S110~工程S160の模式図である。
図2B】本発明の実施形態に係る感圧粘着テープの使用方法の工程S110~工程S160の模式図である。
図2C】本発明の実施形態に係る感圧粘着テープの使用方法の工程S110~工程S160の模式図である。
図2D】本発明の実施形態に係る感圧粘着テープの使用方法の工程S110~工程S160の模式図である。
図2E】本発明の実施形態に係る感圧粘着テープの使用方法の工程S110~工程S160の模式図である。
図2F】本発明の実施形態に係る感圧粘着テープの使用方法の工程S110~工程S160の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下の本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照されたい。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。
【0018】
以下、所定の具体的な実施態様によって本発明の実施形態を説明し、当業者は、本明細書に開示された内容に基づいて本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施態様によって実行または適用でき、本明細書における各細部についても、異なる観点と用途に基づいて、本発明の構想から逸脱しない限り、各種の修正と変更を行うことができる。また、事前に説明するように、本発明の添付図面は、簡単な模式的説明であり、実際のサイズに基づいて描かれたものではない。以下の実施形態に基づいて本発明に係る技術内容を更に詳細に説明するが、開示される内容によって本発明の保護範囲を制限することはない。
【0019】
理解すべきことは、本明細書では、「第1」、「第2」、「第3」といった用語を用いて各種の要素又は符号を記載することがあるが、これらの要素又は符号は、これらの用語によって制限されるものではない。これらの用語は主に、1つの要素ともう1つの要素、又は1つの符号ともう1つの符号を区別するためのものである。また、本明細書において使用される「または」という用語は、実際の状況に応じて、関連して挙げられる項目におけるいずれか1つ又は複数の組み合わせを含むことがある。
【0020】
[部品の切削工程に用いる感圧粘着テープ]
図1に示すように、本発明の実施形態は、感圧粘着テープ100(pressure ensitive adhesive tape)を提供し、特に、部品の切削工程に適用する感圧粘着テープを提供する。例えば、本発明の実施形態に係る感圧粘着テープは、半導体ウェーハの切削工程又はパッケージ素子の切削工程に適用するが、本発明はこれに制限されるものではない。また、前記切削工程において、感圧粘着テープが貼り合わせられた切削しようとする基材は例えば、プリント回路板、セラミックス基板、ガラス基板、又はウェーハ(例えば、集積回路のプロセスにおいてキャリアとする基板)であってもよい。
【0021】
続いて図1に示すように、本発明の実施形態に係る感圧粘着テープ100は、上から下まで積層された離型層1と、接着剤層2と、支持層3とを備える。換言すると、前記接着剤層2は、離型層1の一面(例えば、図1における離型層1の下面)に形成される。前記支持層3は、接着剤層2の離型層1から離れた面(例えば、図1における接着剤層2の下面)に形成されるが、本発明はこれに制限されるものではない。実際に応用する際に、前記感圧粘着テープ100の設置方向は、必要に応じて変更してもよい。例えば、前記支持層3は最上層であってもよく、前記離型層1は最下層であってもよく、また、前記接着剤層2は支持層3と離型層1との間にあってもよい。
【0022】
本発明を容易に理解するために、以下にて本発明の実施形態に係る感圧粘着テープ100における各層の他の材料特性を説明し、また、各層の連接関係を適切に説明する。
【0023】
前記離型層1は、部品の切削工程を行う際に、前記接着剤層が露出されるように前記接着剤層2から剥離される。厚みについて、前記離型層1の第1の厚みD1は、25μm~45μmであり、28μm~40μmであることが好ましく、30μm~38μmであることが特に好ましいが、本発明はこれに制限されるものではない。前記離型層1は例えば、ポリエステル離型層(例えば、PET離型フィルム)であってもよい。本発明の一つの実施形態において、前記ポリエステル離型層は、ポリエステルフィルムの表面にシリコーンオイルを塗布するか、若しくは、ポリエステルフィルムに無機材料を添加することによって、ポリエステルフィルム表面の付着力を低減して、離型の効果を果たせる。
【0024】
前記接着剤層2は、部品の切削工程を行う際に、切削しようとする基材の裏面に貼り合わせることができる。前記接着剤層2の固形分は、アクリル樹脂(acrylic resin)、エポキシモノマー(epoxy monomer)、硬化剤(hardener)及び光開始剤(photoinitiator)を含む。
【0025】
前記接着剤層2の総重量を100重量%(wt%)として、前記アクリル樹脂は40重量%~50重量%であり、前記エポキシモノマーは40重量%~65重量%であり、前記硬化剤は0.05重量%~0.5重量%であり、前記開始剤は0.5重量%~1.0重量%である。
【0026】
そのうち、前記アクリル樹脂は例えば、下式(I)で示す化学構造を有するポリメタクリル酸メチル(poly(methyl methacrylate),PMMA)であってもよく、そのうち、n=3,000~5,000である。
【0027】
【化2】
式(I)
【0028】
そのうち、前記エポキシモノマーは、接着剤層2の接着性を向上するための反応性エポキシモノマーであると共に、前記エポキシモノマーは、紫外線が照射した後に架橋反応を起こすることによって、前記接着剤層2が収縮して前記接着剤層2の接着性を低減することができる。そのうち、前記エポキシモノマーは、下式(II)で示す化学構造を有するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0029】
【化3】
式(II)
【0030】
前記硬化剤は、接着剤層2におけるアクリル樹脂の重合度を向上することによって、アクリル樹脂の分子量を向上させる。前記硬化剤はイソシアネート(isocyanate)硬化剤である。前記イソシアネート硬化剤は例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、及び芳香族ジイソシアネートの少なくとも1種であってもよい。
【0031】
本発明の複数の実施形態において、前記脂肪族ジイソシアネートは例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。前記脂環式ジイソシアネートは例えば、イソホロンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びテトラメチルキシレンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0032】
また、前記芳香族ジイソシアネートは例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシレン-1,4-ジイソシアネート、キシレン-1,3-ジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4′-ジイソシアネート、2,2′-ジフェニルプロパン-4,4′-ジイソシアネート、3,3′-ジメチルジフェニルメタン-4,4′-ジイソシアネート、4,4′-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、3,3′-ジメトキシジフェニル-4,4′-ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、及びポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。
【0033】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記イソシアネート硬化剤はヘキサメチレンジイソシアネートで(hexamethylene diisocyanate,HDI)であるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0034】
前記開始剤は、接着剤層2においてアクリルモノマーを重合反応させて前記アクリル樹脂を形成するための、光開始剤である。本発明の具体的な実施形態において、前記開始剤はジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(diphenyl(2,4,6-trimethylbenzoyl) phosphine oxide)であるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0035】
厚みについて、前記接着剤層2の第2の厚みD2は3μm~30μmであり、5μm~25μmであることが好ましく、10μm~20μmであることが特に好ましいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0036】
本発明の一つの実施形態において、前記感圧粘着テープ100は以下の特性を有する。(i)前記接着剤層2の紫外線(ultraviolet rays)に暴露される前の第1の酸価は5mgKOH/g~20mgKOH/gであり、10mgKOH/g~15mgKOH/gであることが好ましい。(ii)前記接着剤層2aの前記紫外線に暴露された後の第2の酸価は1mgKOH/g~4mgKOH/gであり、1mgKOH/g~3mgKOH/gであることが好ましい。即ち、好ましくは、前記接着剤層2の紫外線による暴露の前後は酸価の制御を考量することが必要である。
【0037】
前記紫外線の波長は例えば、300nm~380nmであり、340nm~380nmであることが好ましく、360nm~375nmであることが特に好ましいが、本発明はこれに制限されるものではない。前記紫外線の接着剤層に対する露光エネルギーは例えば、100mJ/cm~300mJ/cmであり、150mJ/cm~250mJ/cmであることが好ましく、175mJ/cm~225mJ/cmであることが特に好ましい。又、前記紫外線の接着剤層に対する露光時間は例えば、0.05分~5.0分であり、0.10分~1.0分であることが好ましく、0.15分~0.5分であることが特に好ましいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0038】
又、本明細の「酸価」は、1グラムの化学物質を中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)のミリグラム数である。「酸価」は、化合物(例えば、脂肪酸)又は混合物中に存在する遊離脂肪酸の数の測定計量標準である。酸価の測定方法は例えば、既知量のサンプルを有機溶媒に溶解し、既知濃度の水酸化カリウム溶液で滴定し、フェノールフタレイン溶液を色指示薬として使用する。本発明の実施形態において、酸価の測定方法は、ASTM D974を採用するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0039】
又、図2Cに示すように、前記接着剤層2は、部品の切削工程において切削しようとする基材Sに合わせるように配置される。前記接着剤層2は、紫外線に暴露される前に、前記接着剤層2と切削しようとする基材Sとの第1の剥離力は10N/inch以上である。即ち、紫外線に暴露される前に、前記接着剤層2と切削しようとする基材Sとの接着強度が高い。
【0040】
図2Eに示すように、前記接着剤層2が紫外線に暴露された後に、前記接着剤層2におけるエポキシモノマーは自己架橋を起こし、暴露された接着剤層2aを形成する。前記暴露された接着剤層2aと切削した基材S’との第2の剥離力は0.2N/inch以下である。即ち、前記暴露された接着剤層2aと切削した基材S’との接着強度は、暴露された後に大幅に低減する。このように、前記暴露された接着剤層2aは、残留の接着剤層が切削した基材に残留しないように、切削した基材S’から容易に剥離することができる。
【0041】
より具体的に説明すると、前記接着剤層2は、エポキシモノマーの架橋反応の後に収縮して、前記暴露された接着剤層2aと切削した基材S’との接触面積を低減させる。それによって、前記暴露された接着剤層2aと切削した基材S’との接着強度は大幅に低減されることができる。
【0042】
本発明の複数の実施形態において、前記切削しようとする基材Sは例えば、プリント回路板、セラミックス基板、ガラス基板、又はウェーハであってもよい。例えば、前記切削しようとする基材Sはガラス基板であるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0043】
また、前記第1の剥離力及び第2の剥離力の測定方法は例えば、ASTM D3330を採用してもよい。
【0044】
例えば、以下の測定方法が挙げられる。接着剤層は、ローラーは1回前後に転がることによって、切削しようとする基材に貼り合わせて、暫く置いて測定を行う。基材が下グリップに固定され、サンプルを180度折り曲げて上グリップに固定された後に、所定の速度(例えば、300mm/min)で基材から接着剤層を剥離すると共に、剥離する際の平均値を測定する。その単位は、N/inchである。
【0045】
全体的に説明すると、前記接着剤層2において、アクリル樹脂を添加した上で、エポキシモノマー(反応性モノマー)を更に添加する。前記エポキシモノマーは、接着剤層の接着力を向上することができると共に、紫外線に暴露された後に、前記エポキシモノマーが架橋硬化反応を起こすことによって、前記暴露された接着剤層2aは収縮して、基材との接触面積が低減し、接着剤層と基材との接着強度を低減させる。
【0046】
更に説明すると、前記支持層3は例えば、ポリオレフィンフィルム(polyolefin film,PO film)であってもよい。厚みについて、前記支持層3の第3の厚みD3は50μm~180μmであり、80μm~150μmであることが好ましく、100μm~150μmであることが特に好ましいが、本発明はこれに制限されるものではない。前記ポリオレフィンの材料は例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリブテン-1(PB-1)からなる群から選択される少なくとも1つである。好ましくは、前記ポリオレフィンフィルムの材料は例えば、ポリプロピレンであってもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0047】
[感圧粘着テープの製造方法]
上記の実施形態は感圧粘着テープの材料及び特性に関する説明である。また、以下にて本発明の一つの実施形態に係る感圧粘着テープの製造方法を続いて説明する。感圧粘着テープの製造方法は、工程S110、工程S120及び工程S130を含む。説明すべきことは、本発明の実施形態に記載された各工程の順番及び実際の操作方法は、必要に応じて調整してもよく、本実施形態の記載に限られない。本発明の実施形態に係る感圧粘着テープの製造方法は、各工程の前、各工程の間、又は各工程の後に他の操作を提供してもよく、説明された一部の操作も、置換、削除又は並べ変えることによって、当該製造方法を実施することが可能である。
【0048】
前記工程S110において、離型層1を提供する。前記離型層1は例えば、ポリエステル離型層(例えば、PET離型フィルム)であってもよい。前記離型層1の第1の厚みD1は、25μm~45μmであり、28μm~40μmであることが好ましく、30μm~38μmであることが特に好ましいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0049】
前記工程S120において、接着剤塗布液組成物をオフラインコーター(offline coater)で離型層1の一面に塗布すると共に、接着剤塗布液組成物における溶媒成分を除去させることによって、前記離型層1の一面に接着剤層2を形成する。前記接着剤層2の第2の厚みは、3μm~30μmであり、5μm~25μmであることが好ましく、10μm~20μmであることが特に好ましい。
【0050】
前記接着剤塗布液組成物は例えば、固形分及び溶媒成分を含んでもよい。前記固形分は、アクリル樹脂、エポキシモノマー、硬化剤及び光開始剤を含む。前記固形分の材料特徴及び配合は前記実施形態と類似するため、ここで重複に説明しない。
【0051】
前記溶媒成分は、前記接着剤塗布液組成物に所定の粘度を与えるように、固形分を希釈する。それによって、接着剤塗布液組成物をより容易に離型層1に塗布すると共に、成形しやすくなる。前記溶媒成分は例えば、酢酸エチル(ethyl acetate,EAC)及びメチルエチルケトン(methyl ethyl ketone,MEK)の少なくとも1つである。
【0052】
前記接着剤塗布液組成物の所定粘度は例えば、25cps~225cpsであり、50cps~200cpsであることが好ましいが、本発明はこれに制限されるものではない。説明すべきことは、本実施形態の接着剤塗布液組成物の所定粘度は、常温(25℃)及び常圧(1atm)で測定を行った。前記粘度の測定は例えば、ロータリー粘度計で測定してもよく、また、測定方法は例えば、ASTM D2196を採用することができる。
【0053】
前記接着剤塗布液組成物の製造方法は例えば、アクリルモノマーと、硬化剤と、溶媒とをこの順に容器に添加して撹拌することによって、混合溶液を形成する。次に、順番に光開始剤及びエポキシモノマーを添加する。
【0054】
前記接着剤塗布液組成物における溶媒が除去された後に、接着剤層2として形成される。前記接着剤層2は、溶媒成分が除去されて硬化されたため、粘度を測定することができない。前記接着剤層2において、前記アクリルモノマーは、先に硬化剤及び光開始剤の作用によって硬化架橋反応(アクリルの分子量が向上される)を起こして、前記アクリル樹脂を形成する。又、前記エポキシモノマーは、紫外線に暴露される前に架橋反応を行わないため、前記接着剤層2が高い接着力を有し、切削しようとする基材とより適切に接着することができる。又、前記エポキシモノマーは、接着剤層2は、紫外線に暴露された後に収縮して基材との接触面積が低減されて、接着力が低減し且つ基材と分離しやすくなる。
【0055】
前記工程S130において、支持層3を接着剤層2の前記離型層1から離れた面に貼り合わせる。前記支持層3の第3の厚みD3は、50μm~180μmであり、80μm~150μmであることが好ましく、100μm~150μmであることが特に好ましいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0056】
説明すべきことは、本実施形態において、接着剤層2を離型層1に先に形成させた後に、支持層3を接着剤層2に接着することを例として説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、前記接着剤層2を支持層3に先に形成させた後に、離型層1を接着剤層2に貼り合わせてもよい。
【0057】
[感圧粘着テープの使用方法]
上記の実施形態は感圧粘着テープの材料及び特性に関する説明である。また、以下にて本発明の一つの実施形態に係る感圧粘着テープの製造方法を続いて説明する。感圧粘着テープの製造方法は、工程S210、工程S220、工程S230、工程S240、工程250、工程260及び工程170を含む。説明すべきことは、本発明の実施形態に記載された各工程の順番及び実際の操作方法は、必要に応じて調整してもよく、本実施形態の記載に限られない。本発明の実施形態に係る感圧粘着テープの製造方法は、各工程の前、各工程の間、又は各工程の後に他の操作を提供してもよく、説明された一部の操作も、置換、削除又は並び替えることによって、当該製造方法を実施することが可能である。
【0058】
図2Aに示すように、前記工程S210において、前記実施形態に係る感圧粘着テープ100を提供すると共に、前記感圧粘着テープ100の離型層1を接着剤層2から剥離することによって、接着剤層2を外部環境に露出させる。
【0059】
図2Bに示すように、前記工程S220において、切削しようとする基材Sを提供すると共に、前記感圧粘着テープ100の接着剤層2を、切削しようとする基材Sに向けるように設置させる。そのうち、前記切削しようとする基材Sは例えば、プリント回路板、セラミックス基板、ガラス基板、又はウェーハであってもよい。
【0060】
図2Cに示すように、前記工程230において、前記感圧粘着テープ100をその接着剤層2を介して、切削しようとする基材Sに貼り合わせる。そのうち、前記接着剤層2と切削しようとする基材Sとの第1の剥離力は10N/inch以上であり、12N/inch~15N/inchであることが好ましい。
【0061】
図2Dに示すように、前記工程S240において、前記切削しようとする基材Sに対する切削工程を行うことによって、前記切削しようとする基材Sは、接着剤層2から離れる面から切削されて、切削した基材S’として形成される。本実施形態において、3等分に切ることを例として説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0062】
図2Eに示すように、前記工程S250は、前記感圧粘着テープ100の接着剤層2が紫外線に暴露されることによって、前記接着剤層2におけるエポキシモノマーの架橋反応を起こすと共に、暴露された接着剤層2aを形成する。そのうち、前記暴露された接着剤層2aと切削した基材S’との第2の剥離力は0.2N/inch以下であり、0.05N/inch~0.15N/inchであることが好ましい。前記接着剤層2は、エポキシモノマーの架橋反応の後に収縮して、前記暴露された接着剤層2aと切削した基材S’との接触面積を低減させる。それによって、前記暴露された接着剤層2aと切削した基材S’との接着強度は大幅に低減でき、お互いに分離されることが容易となる。
【0063】
そのうち、本発明の一つの実施形態において、前記感圧粘着テープ100は以下の特性を有する。(i)前記接着剤層2の紫外線(ultraviolet rays)に暴露される前の第1の酸価は5mgKOH/g~20mgKOH/gであり、10mgKOH/g~15mgKOH/gであることが好ましい。(ii)前記接着剤層2aの前記紫外線に暴露された後の第2の酸価は1mgKOH/g~4mgKOH/gであり、1mgKOH/g~3mgKOH/gであることが好ましい。即ち、好ましくは、前記接着剤層の紫外線による暴露の前後は酸価の制御を考量することが必要である。
【0064】
図2Fに示すように、前記工程S260において、前記切削した基材S’と、暴露された接着剤層2aとを分離させることによって、前記切削した基材S’は複数個の小さいシート状材料に分けられる。
【0065】
上述した構成により、本発明の実施形態に係る感圧粘着テープ100は、前記接着剤層2と切削しようとする基材Sとの接着力が高い(剥離力≧10N/inch)ことによって、前記接着剤層2は切削しようとする基材Sに脱落しないようにしっかり接着することができる。切削工程を行う際に、前記接着剤層2は脱ガム又は接着糸が生じすことがない。
【0066】
紫外線に暴露された後に、前記暴露された接着剤層2aと切削した基材S’との接着力が大幅に低減される(剥離力≦2N/inch)。前記暴露された接着剤層2aは、接着剤が残留しないように、切削した基材S’から容易に剥離することができる。本発明の実施形態に係る感圧粘着テープ100は、各種の部品の切削工程に適用することができる。
【0067】
[実験データ及び測定結果]
本発明の実施形態に係る感圧粘着テープの技術効果を証明するために、以下にて、実験データ及び結果で説明する。ただし、後述の実施例及び比較例は本発明を理解するためのものであって、本発明の保護の範囲は、これらの実施例に限られない。
【0068】
<実施例1>
前記感圧粘着テープの製造方法に基づいて、感圧粘着テープを製造した。感圧粘着テープは、離型層、接着剤層、及び支持層を含み、又、以下の表1の配合に基づいて接着剤層を製造した。そのうち、前記接着剤層の総重量を100wt%として、前記接着剤層は、40wt%のアクリルと、0.2wt%のイソシアネート硬化剤と、0.8wt%の光開始剤と、59wt%のエポキシモノマーとを含んだ。前記接着剤層の離型層に形成された塗料の粘度は約150cpsであると共に、前記接着剤層の厚みは20μmであった。実施例1の離型層はPET離型フィルムであると共に、支持層はポリオレフィンフィルムであった。
【0069】
<実施例2>
前記実施例1とほぼ同様であるが、それらの相違点は、接着剤層の組成又は厚みであった。前記接着剤層の総重量を100wt%として、前記接着剤層は、40wt%のアクリルと、0.1wt%のイソシアネート硬化剤と、0.8wt%の光開始剤と、59.1wt%のエポキシモノマーとを含んだ。前記接着剤層の離型層に形成された塗料の粘度は約153cpsであると共に、前記接着剤層の厚みは20μmであった。
【0070】
<実施例3>
前記実施例1とほぼ同様であるが、それらの相違点は、接着剤層の組成又は厚みであった。前記接着剤層の総重量を100wt%として、前記接着剤層は、40wt%のアクリルと、0.1wt%のイソシアネート硬化剤と、0.8wt%の光開始剤と、59.1wt%のエポキシモノマーとを含んだ。前記接着剤層の塗料粘度は約153cpsであり、且つ前記接着剤層の厚みは10μmであった。
【0071】
<実施例4>
前記実施例1とほぼ同様であるが、それらの相違点は、接着剤層の組成又は厚みであった。前記接着剤層の総重量を100wt%として、前記接着剤層は、45wt%のアクリルと、0.2wt%のイソシアネート硬化剤と、0.8wt%の光開始剤と、54wt%のエポキシモノマーとを含んだ。前記接着剤層の塗料粘度は約121cpsであり、且つ前記接着剤層の厚みは20μmであった。
【0072】
<実施例5>
前記実施例1とほぼ同様であるが、それらの相違点は、接着剤層の組成又は厚みであった。前記接着剤層の総重量を100wt%として、前記接着剤層は、50wt%のアクリルと、0.2wt%のイソシアネート硬化剤と、0.8wt%の光開始剤と、49wt%のエポキシモノマーとを含んだ。前記接着剤層の塗料粘度は約106cpsであり、且つ前記接着剤層の厚みは20μmであった。
【0073】
<比較例1>
前記実施例1とほぼ同様であるが、それらの相違点は、接着剤層の組成であった。前記接着剤層の総重量を100wt%として、前記接着剤層は、20wt%のアクリルと、0.1wt%のイソシアネート硬化剤と、0.8wt%の光開始剤と、79.1wt%のエポキシモノマーとを含んだ。前記接着剤層の塗料粘度は約485cpsであると共に、前記接着剤層の厚みは20μmであった。そのうち、比較例1のアクリルの含有量が低い(20wt%)と共に、エポキシモノマーの含有量が高かった(79.1wt%)。
【0074】
<比較例2>
前記実施例1とほぼ同様であるが、それらの相違点は、接着剤層の組成である。前記接着剤層の総重量を100wt%として、前記接着剤層は、80wt%のアクリルと、0.4wt%のイソシアネート硬化剤と、0.8wt%の光開始剤と、18.8wt%のエポキシモノマーとを含んだ。前記接着剤層の塗料粘度は約86cpsであると共に、前記接着剤層の厚みは20μmであった。比較例2のアクリルの含有量が高い(80wt%)と共に、エポキシモノマーの含有量が低かった(18.8wt%)。
【0075】
<比較例3>
前記実施例1とほぼ同様であるが、それらの相違点は、接着剤層の組成であった。前記接着剤層の総重量を100wt%として、前記接着剤層は、98.7wt%のアクリルと、0.5wt%のイソシアネート硬化剤と、0.8wt%の光開始剤とを含んだ。前記接着剤層の塗料粘度は約56cpsであると共に、前記接着剤層の厚みは20μmであった。そのうち、比較例3ではほぼアクリル(98.7wt%)を用いており,又、エポキシモノマーを用いなかった。
【0076】
本発明の実施例の技術効果を証明するために、本実験において、前記実施例1~5及び比較例1~3のいずれかの感圧粘着テープを用いて、離型層を剥離した後に、接着剤層を切削しようとする基材(例えば、ガラス基板)に貼り合わせると共に、紫外線に暴露される前の物理化学特性及び紫外線に暴露された後の物理化学特性(例えば、酸価及び剥離力)を測定した。
【0077】
<酸価>
既知量のサンプルを有機溶媒に溶解し、既知濃度の水酸化カリウム溶液で滴定し、フェノールフタレイン溶液を色指示薬として使用した。本発明の実施形態において、酸価の測定方法は、ASTM D974を採用した。そのうち、第1の酸価は、接着剤層が紫外線に暴露される前の酸価であり、第2の酸価は、接着剤層が紫外線に暴露された後の酸価であった。
【0078】
<剥離力>
接着剤層は、ローラーが1回前後に転がることによって、切削しようとする基材に貼り合わせて、暫く置いて測定を行った。基材が下グリップに固定され、サンプルを180°折り曲げて上グリップに固定された後に、所定の速度(例えば、300mm/min)で基材から接着剤層を剥離すると共に、剥離する際の平均値を測定した。その単位は、N/inchであった。第1の剥離力は、紫外線に暴露される前の接着剤層と基材との剥離力であり、第2の剥離力は、紫外線に暴露された後の接着剤層と基材との剥離力であった。
【0079】
【表1】
【0080】
[結果及び検討]
前記実験結果によれば、実施例1~5に係る感圧粘着テープは、接着剤と基材との高い接着力(第1の剥離力≧10N/inch)によって、接着剤層は脱落せずにしっかり貼り合わせることができる。切削を行う際に、接着剤層は、脱ガム又は接着糸が生じることがない。紫外線に暴露された後に、暴露された接着剤層と基材との接着力は大幅に低減した(第2の剥離力≦0.5N/inch)。暴露された接着剤層は、接着剤が残留しないように、基材から剥離することができる。
【0081】
比較例2~3に係る接着剤層は、エポキシモノマーを少量用い、若しくはエポキシモノマーを用いなかった。比較例2~3の接着剤層は、基材を剥離した後に接着剤の残留が顕著であった。比較例1の接着剤層は、大量のエポキシモノマーを用いた。比較例1の剥離力及び接着剤の残留状況は、実施例1~5と類似したが、比較例1の接着剤層の塗布成形する際の粘度が高すぎて、成形性が不良であった。
【0082】
より具体的に説明すると、比較例1の接着剤層の粘度が高すぎるため、塗布する際も接着剤層の厚みを制御しにくいので、厚みの均一性及び成形性が不良であった。以上の原因によって、顧客は前記接着剤層を用いてパッケージ素子又はウェーハに貼り合わせる際に、しっかりと張り合わせることができず、切削時に水の浸入、汚染などの問題が発生する。
【0083】
[実施形態による有利な効果]
本発明に係る感圧粘着テープは、「前記接着剤層の総重量を100重量%として、前記接着剤層は、アクリル樹脂40重量%~50重量%と、エポキシモノマー40重量%~65重量%と、硬化剤0.05重量%~0.5重量%と、開始剤0.5重量%~1.0重量%と、を含む」及び「前記接着剤層は紫外線に暴露される前に第1の酸価を有し、前記接着剤層は紫外線に暴露された後に収縮して第2の酸価を有すると共に、第2の酸価は第1の酸価より小さい」といった技術特徴によって、接着剤層と切削基材との接着強度を向上すると共に、前記接着剤層が除去された後の接着剤の残留を回避することができる。
【0084】
従来の紫外線接着剤層は、単一の樹脂のみ用いるため、紫外線接着剤層の接着強度を制御しにくいと共に、テープが剥離される際に接着剤の残留を起こしやすいので、顧客の各種の部品の切削工程の要求を満たすことができない。本発明は特に、紫外線接着剤層に対して改良を行い、紫外線接着剤層に反応性モノマーを導入して、より優れた配合を提供することによって、基材との接着強度を向上すると共に、接着剤の残留を回避することができる。
【0085】
以上に開示された内容は、ただ本発明の好ましい実行可能な実施態様であり、本発明の請求の範囲はこれに制限されない。そのため、本発明の明細書及び図面内容を利用して成される全ての等価な技術変更は、いずれも本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
100…感圧粘着テープ
1…離型層
2…接着剤層
2a…暴露された接着剤層
3…支持層
D1…第1の厚み
D2…第2の厚み
D3…第3の厚み
S…切削しようとする基材
S’…切削した基材
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F