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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077562
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】自動車用安全装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20240531BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240531BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20240531BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240531BHJP
   G08B 29/12 20060101ALI20240531BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B21/00 U
G08B21/24
G08B25/04 K
G08B29/12
G08B25/00 510D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049035
(22)【出願日】2023-03-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2022189689
(32)【優先日】2022-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年3月6日、http://www.octo.co.jp/child.html、https://hillockbutton.com/、http://hillockbutton.com/product/、https://hillockbutton.com/wp-content/uploads/2023/02/%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%AD%E3%82%B0230216.pdf(https://hillockbutton.com/wp-content/uploads/2023/02/カタログ230216.pdf)、オクト産業株式会社が、上記アドレスのウェブサイトで公開されているオクト産業株式会社のウェブサイトにて、安達良平、小澤達郎、榊原奎互および秋葉俊哉が発明した自動車用安全装置について公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】594121408
【氏名又は名称】オクト産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】安達 良平
(72)【発明者】
【氏名】小澤 達郎
(72)【発明者】
【氏名】榊原 奎互
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 俊哉
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA01
5C086CB23
5C086DA08
5C086FA02
5C087AA02
5C087AA32
5C087CC04
5C087CC23
5C087DD03
5C087DD13
5C087EE07
5C087FF01
5C087GG39
5C087GG57
(57)【要約】
【課題】運転者が乗員を残したまま自動車から出ることを防ぐための自動車用安全装置を提供する。
【解決手段】 自動車用安全装置100は、自動車のドアまたは扉の鍵が施錠されている状態で、自動車の車内に人または動物が取り残されないように確認するための確認入力部10と、確認入力部10により所定の確認が行われなかった場合に報知する報知部30と、自動車のエンジンを入れたときに、確認入力部お10よび報知部30が正常状態か故障状態かを判断する状態判断部22とを含む。状態判断部22は、エンジンを起動してから所定時間内に、確認入力部10および報知部30が正常状態か異常状態を判断する。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアまたは扉の鍵が施錠されている状態で、自動車の車内に人または動物が取り残されないように確認するための確認入力部と、
前記確認入力部により所定の確認が行われなかった場合に報知する報知部と、
自動車のエンジンを入れたときに、前記確認入力部および前記報知部が正常状態か故障状態かを判断する状態判断部とを含む自動車用安全装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記状態判断部は、エンジンを起動してから所定時間内に、前記確認入力部および前記報知部が正常状態か異常状態を判断する自動車用安全装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記エンジンを切ってから所定時間内に前記確認入力部の確認入力が完了しない場合に、前記報知部は、音声を発する自動車用安全装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記自動車安全装置は、前記確認入力部および前記報知部を制御する処理部を含み、
前記処理部が正常状態または異常状態かを自己診断する自己診断部を含む自動車用安全装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記報知部は、第1の音声報知部および第2の音声報知部を含み、
前記第2の音声報知部に異常があったときには第1の音声報知部が異常を報知し、前記第1の音声報知部に異常があったおきには第2の音声報知部が異常を報知する自動車用安全装置。
【請求項6】
請求項6において、
前記第1の音声報知部は、音声振動検出機能を有し、
前記第1の音声報知部は、前記第2の音声報知部から発せられる音の有無および音の状態を検知し、
前記状態判断部は、前記第1の音声報知部が検知した情報に基づき、前記第2の音声報知部が正常状態にあるか異常状態にあるかを判断する自動車用安全装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1の音声報知部の音声と、前記第2の音声報知部の音声とは異なる自動車用安全装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記報知部は、状態を表示するための状態表示部を含む自動車用安全装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記確認入力部は、
自動車の座席ごとまたは座席ユニットごとに設けられた存否確認入力部と、
前記存否確認入力部のすべてに確認入力がなされたときに、確認入力をすることができる最終確認入力部とを含み、
前記存否確認入力部のすべてに確認入力がなされたかどうかを判断する確認態様状態判断部を含む自動車用安全装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記存否確認入力部により存在確認入力がなされたかどうかを示す確認表示部を含む自動車用安全装置。
【請求項11】
請求項1において、
前記状態判断部が正常状態か異常状態かを自己診断する自己診断部を含む自動車用安全装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者以外に人または動物を乗せることを目的とする自動車用の安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗車者の所持する識別タグから無線送信された識別信号に基づいて乗車確認を行うシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-30707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、運転者が人または動物を残したまま自動車から出ることを防ぐための自動車用の安全装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の自動車用安全装置は、
自動車のドアまたは扉の鍵が施錠されている状態で、自動車の車内に人または動物が取り残されないように確認するための確認入力部と、
前記確認入力部により所定の確認が行われなかった場合に報知する報知部と、
自動車のエンジンを入れたときに、前記確認入力部および前記報知部が正常状態か故障状態かを判断する状態判断部とを含む。
【0006】
本発明において、
前記状態判断部は、エンジンを起動してから所定時間内に、前記確認入力部および前記報知部が正常状態か異常状態を判断することができる。
【0007】
本発明において、
前記エンジンを切ってから所定時間内に前記確認入力部の確認入力が完了しない場合に、前記報知部は、音声を発することができる。
【0008】
本発明において、
前記自動車安全装置は、前記確認入力部および前記報知部を制御する処理部を含み、
前記処理部が正常状態または異常状態かを自己診断する自己診断部を含むことができる。
【0009】
本発明において、
前記報知部は、第1の音声報知部および第2の音声報知部を含み、
前記第2の音声報知部に異常があったときには第1の音声報知部が異常を報知し、前記第1の音声報知部に異常があったおきには第2の音声報知部が異常を報知するものとすることができる。
【0010】
本発明において、
前記第1の音声報知部は、音声振動検出機能を有し、
前記第1の音声報知部は、前記第2の音声報知部から発せられる音の有無および音の状態を検知し、
前記状態判断部は、前記第1の音声報知部が検知した情報に基づき、前記第2の音声報知部が正常状態にあるか異常状態にあるかを判断することができる。
【0011】
本発明において、前記第1の音声報知部の音声と、前記第2の音声報知部の音声とは異なるものとすることができる。
【0012】
本発明において、前記報知部は、状態を表示するための状態表示部を含むことができる。
【0013】
本発明において、
前記確認入力部は、
自動車の座席ごとまたは座席ユニットごとに設けられた存否確認入力部と、
前記存否確認入力部のすべてに確認入力がなされたときに、確認入力をすることができる最終確認入力部とを含み、
前記存否確認入力部のすべてに確認入力がなされたかどうかを判断する確認態様状態判断部を含むことができる。
【0014】
本発明において、前記存否確認入力部により存在確認入力がなされたかどうかを示す確認表示部を含むことができる。
【0015】
本発明において、前記状態判断部が正常状態か異常状態かを自己診断する自己診断部を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態に係る自動車用安全装置を模式的に示す図である。
図2】実施の形態に係る自動車用安全装置の機能図である。
図3】実施の形態に係る自動車用安全装置の処理フロー図である。
図4】実施の形態に係る自動車用安全装置の一例に係る機能図である。
図5】実施の形態に係る自動車用安全装置の機能において、自動的に健全性が確認される範囲を示す図である。
図6】実施の形態に係る自動車用安全装置の状態遷移ダイアグラムの一例を示す。
図7】実施の形態に係る自動車用安全装置の状態遷移機能フロチャートである。
図8】第1の音声報知部(ブザー)が正常と判断される場合のタイミングチャートの例を示す。
図9】実施の形態に係る自動車用安全装置の回路図の一例を示す。
図10】実施の形態に係る自動車用安全装置の回路図の一例を示す。
図11】入力装置の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
1.自動車用安全装置の意義
送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置に必要な機能として、「電源喪失時、故障時の安全要件」が考えられる。守るべき安全は幼児の命であり、その安全要件としては、具体的には安全装置の電源喪失時及び故障時に自ら故障を報知する機能が重要である。
【0019】
2.自動車用安全装置の動作例
2.1 安全装置の標準動作例
図3に示すように、エンジン停止後、所定時間経過後にブザーが鳴動する(S1)。所定の基準にしたがって、所定の時間内に確認がなされたかどうかを確認し(S2)、確認がなされていれば施錠に向けての処理がなされ、所定の時間内に確認がなされていなければサイレンが鳴動する。
【0020】
具体的には、次の動作を採用することができる。
(a)運転者がエンジンを停止してたとえばおよそ3秒後にバスの後部に設置したブザーが鳴動しLEDが点灯する。
(b)運転者がこの後たとえば5分以内にバス後部に設置したスイッチをたとえば3秒間長押ししなければサイレンが鳴動する。(運転手はたとえば5分以内に、バス後部まで、置き去りが発生していないかを確認しに行く。)
(c)サイレンが鳴動した場合上記スイッチをたとえば3秒長押しして停止させる。あるいはエンジンを始動したとえば3秒間以上待つ事によりサイレンを停止させることも出来る。
【0021】
2.2 自己プログラム診断例
自動車用安全装置は、自己プログラム診断を自動で行うことができる。搭載したマイクロコンピュータに異常や故障が発生した際には、ブザー、サイレン、LEDを動作させることができないため、それらの機能部が動作しない場合には、マイクロコンピュータの異常等があったと判断することができる。また、マイクロコンピュータが故障した際には、ブザーのみ鳴動させてもよく、たとえば、3Vボタン電池で駆動させるブザー鳴動回路がマイクロコンピュータからの信号がないことに基づいてマイクロコンピュータの異常を判断し、ブザー鳴動回路を動作させてもよい。
【0022】
2.3 故障診断機能付加後の動作例
自動車用安全装置は、故障診断機能を有することができる。たとえば、次の動作を有することができる。
(a)運転手がエンジンを起動してたとえば30秒後にブザー、サイレンの故障診断が行われる。
(b)ブザー、サイレンの診断は診断用の音色で鳴動するので、運転者も確認する事ができる。
(c)診断結果でサイレンに故障が有った場合はブザー及びLEDで故障報知を行う。
(d)ブザーに故障が有った場合はサイレン及びLEDで故障報知を行う。
(e)診断結果が正常であれば標準動作に入る。
2.4 電源喪失報知例
自動車用安全装置は、電源喪失報知機能を有することができる。たとえば、車の常時電源が落ちた場合は、これを検知して3Vボタン電池でブザーを鳴動させることができる。
【0023】
3.園児降車確認
3.1 園児降車確認の考え方
本システムは、園児の降車確認を業務とする運転者の、確実な業務遂行のサポートを目的としている。運転者が確認作業を確実に実行できる様、”園児確認済ボタン“を車内に設け、園児のいない事を確認した証としてこのスイッチを押下する。鉄道の指差し確認に近い効果を有する。
【0024】
この作業でミスをした場合、警報サイレンにて運転者及び近くの従業員へ知らせることができる。さらに運転者の上司への即時報告および作業エビデンス取得の意味で、携帯端末(スマートフォン)とICカードを用いたメール送信システムも併用することができる。警報サイレンとメールによる報告の2要素確認を用いる事で業務遂行サポートの信頼性が高まると考えられる。サイレンを鳴らす前に所定時間(たとえば40秒間)だけブザーを鳴動させ、運転手だけに警告する機能を有していてもよい。
【0025】
園児確認済ボタンは座席の下方に設置し確認者が腰をかがめないと押せない様にすることができる。園児は座席の下に入り込む可能性が否定できないためである。
【0026】
確認ボタンを園児がいたずらで押してしまった時のためのリカバリー方法として、たとえば、確認済ボタンを3秒長押しで動作させてもよい。また、いたずら防止や誤操作防止の観点から、エンジン停止イベント以降の所定時間内(たとえば2分以内)の確認ボタンの押下(確認入力)は無視することができる。つまり、エンジン停止イベント直後の”明らかに園児の降車確認を終えられない”と考えられる時間の最終確認入力部12や存否確認入力部14の確認入力(確認ボタンの押下)は無効とすることができる。
【0027】
第2の音声報知部34による警報サイレンを鳴動させるロジックにおいて、最終確認入力部12や存否確認入力部14の確認入力(確認ボタンの押下)がなされた時間を判断項目とすることで、的確な判断を実現することができる。
【0028】
3.2 園児降車確認手順
園児降車確認手順の一例を説明する。幼稚園に戻り車を停車させ、園児を下車させた後、エンジンを切った状態で、運転者は車内後方に向かって順次園児確認をする。その時、車内に配置した”園児確認済ボタン“を都度押す。システムは全てのボタンが押されたかを確認する。一つでもボタンが押されていない状況では、最終確認入力部により最終入力確認を行えないようにすることができる。所定時間内(たとえば5分)に、最終入力確認部により最終入力が行われない場合には、警報サイレンが鳴る。園児を確認せずに連続してボタンを押す操作を防ぐため、ボタン入力時間の間隔を制御することができる。自動車(バス)の大きさにもよるが、たとえば、ボタン入力時間の間隔が10秒以下では禁止または認めないものとする。
【0029】
自動車の電源は大きく2種類ありこれを使い警報サイレンを鳴動させることができる。
(1)常時電源においては、エンジンの始動、停止とは無関係に利用出来る。警報サイレンの電源として利用することができる。
(2)アクセサリー電源(ACC)においては、エンジン停止時は利用出来ない。エンジン停止信号として利用することができる。
【0030】
本システムを具現化するための回路図を図に示す。図11に3個のリレーを利用した参考回路図を示す。
【0031】
3.3 携帯端末(スマートフォン)とICカードを用いたメール送信システム
ICカードを利用した、確認作業終了エビデンス取得(たとえば2要素確認)を行ってもよい。
【0032】
たとえば、最後に最後部に設置した”確認作業終了エビデンス取得ICカード“を携帯端末(業務用スマートフォン)で読み取ることができる。携帯端末はICカードを読み取るとICカード内のIdm(固有のID番号)を照合し、予め登録したものと一致すれば、管理者(たとえば園長、副園長)等の複数の関係者に”園児降車確認終了“のエビデンスメールを送る。受信側のスマートフォンないしはパソコン(PC)に、定時着信メールの不着信をチェックして警告(ワーニング)を出すアプリケーションを搭載し、受信者のチェックミスを防止してもよい。
【0033】
本システムは運転手の園児降車確認作業をサポートするためのシステムのため、確認に関しても警報サイレンと共にメールによる運転手上司の確認も行うようにし、2要素確認を用いて信頼性を高めることができる。
<仕組み>
ICカードには固有のIdm(ID番号)が書き込まれていることができる。予めこのIdmをスマホアプリに登録しておき、送迎バスの後部に簡単に外れない様ICカードを取り付けることができる。ICカードに限定されず、所定の識別情報、たとえば、二次元バーコード(たとえばQRコード(登録商標))に固有番号を入れて使用してもよい。
<送信側携帯端末のアプリケーション機能>
NFCリーダを用いてIdmを読み取る。
【0034】
読み取ったIdmが登録済のIdmと同一かを照合する。
【0035】
一致した場合、予め登録した上司等複数の人間にエビデンスをメール配信する。
<アクション>
メールを受信する人間は、メールの定時確認を行い、エビデンスが届かない場合は運転手に連絡し、送迎バス内を再度確認するよう指示をする。
<受信側携帯端末のアプリケーション機能>
メール受信者が定時確認を怠った場合、画面及び音によりワーニングを出す。PC利用時も同様とすることができる。さらに、運転者からのメールが定時間内に非着信の場合、受信側携帯端末において、画面及び音などによりワーニング(警告)をだしてもよい。
【0036】
本実施の形態に係る自動車用安全装置は、自動車に乗車する者として、園児の場合が特に好適であり、本項目では園児が乗車する例を挙げて説明したが、園児に限るものではない。また、動物、特に飼われている動物であってもよい。
【0037】
4.自動車用安全装置の具体的構成
図1および図2を参照しながら、自動車用安全装置100を説明する。
【0038】
自動車用安全装置100は、具体的には、自動車のドアまたは扉の鍵が施錠されている状態で、自動車の車内に人または動物が取り残されないように確認するための確認入力部10と、確認入力部10により所定の確認が行われなかった場合に報知する報知部30と、自動車のエンジンを入れたときに、確認入力部10および報知部30が正常状態か故障状態かを判断する状態判断部22を含む。
【0039】
確認入力部10は、運転者において乗員がいないことを確認した後に確認した旨を入力するためのものとすることができ、自動車の座席ごとまたは座席ユニットごとに設けられた存否確認入力部14と、存否確認入力部14のすべてに確認入力がなされたときに、確認入力をすることができる最終確認入力部12とを含み、存否確認入力部14のすべてに確認入力がなされたかどうかを判断する確認態様状態判断部22を含むことができる。確認入力部10は、ボタンなど公知の入力装置により構成することができる。
【0040】
状態判断部22は、エンジンを起動してから所定時間内に、確認入力部10および報知部30が正常状態か異常状態を判断するものとすることができる。エンジンを切ってから所定時間内に確認入力部10の確認入力が完了しない場合に、報知部30は、音声を発することができる。
【0041】
自動車用安全装置100は、確認入力部10および報知部30を制御する処理部20を含み、処理部20が正常状態または異常状態かを自己診断する自己診断部26を含むことができる。処理部20は、処理部20自身の機能(状態判断部22の機能など)が正常状態か異常状態かを自己診断する自己診断部26を含むことができ、自己診断は特にエンジンを入れた際に行うものとすることができる。処理部20は、たとえば、CPU、ROMおよびRAMにより構成したり、マイクロコンピュータにその機能を実現させてもよい。
【0042】
報知部30は、第1の音声報知部32および第2の音声報知部34を含むことができる。第2の音声報知部34に異常があったときには第1の音声報知部32が異常を報知し、第1の音声報知部32に異常があったおきには第2の音声報知部34が異常を報知するものとすることができる。第2の音声報知部34は、音声振動検出機能を有し、第2の音声報知部34は、第1の音声報知部32から発せられる音の有無および音の状態を検知し、状態判断部22は、第2の音声報知部34が検知した情報に基づき、第1の音声報知部32が正常状態にあるか異常状態にあるかを判断するものとすることができる。第1の音声報知部32が正常と判断される場合のタイミングチャートの例を図8に示す。Biass値を取得して、平均をとる。ブザー駆動波形の各立ち上がり、立下りで、各サンプルの「AD値-Bias値」の減算の絶対値の累積を得る。各立ち上がり、立下りでとった値の絶対値が複数個所が閾値を超えていれば、ブザーは正常と判断することができる。
【0043】
第1の音声報知部32の音声と、第2の音声報知部34の音声とは異ならせることができる。第1の音声報知部32による報知をブザー鳴動とし、第2の音声報知部34による報知をサイレン鳴動とすることができる。音声報知部30をたとえばピエゾ素子により実現することができる。第1の音声報知部32としてのピエゾ素子から出力した特定の音波信号を、第2の音声報知部34としてのピエゾ素子と周辺素子で構成した受信回路で取得することができる。取得した信号はマイクロコンピュータを用いて解析・処理され、系統の健全性を確認することができる。第2の音声報知部34としてのピエゾ素子から出力した特定の音波信号を、第1の音声報知部32としてのピエゾ素子と周辺素子で構成した受信回路で取得してもよい。
【0044】
報知部30は、状態を表示するための状態表示部36を含むことができる。状態表示部36のメインの動作は、エンジン停止後のブザー鳴動(第1の音声報知部32の報知)と共に、サイレン鳴動(第2の音声報知部34の報知)までの期間とすることができる。また、状態表示部36は、第1の音声報知部32や第2の音声報知部34の報知部30の故障時にも点灯させることができる。報知部30は、存否確認入力部14により存在確認入力がなされたかどうかを示す確認表示部38を含むことができる。状態表示部36および確認表示部38は、公知の表示部により構成することができ、たとえば、公知のディスプレイや公知の光源(たとえばLED光源)などにより構成することができる。
【0045】
エンジンを作動または切るための入力は、エンジンスイッチ部50により行うことができる。
【0046】
出力部は、エンジンスイッチ部50において停止入力がなされたときに、所定の基準、たとえば確認態様判断部24において所定時間をかけて行われたことが確認されていない場合や、確認自体が行われていない場合に、警報などで運転者に報知する報知部30を含むことができる。出力部は、たとえば、存否確認入力部(園児確認済ボタン)14で入力された場合に、当該領域が確認されたことを示すことを表示する確認表示部38を含むことができる。
【0047】
乗員が園児の場合は、園児が座席の下に入り込む可能性が否定できないため、存否確認入力部14は座席の下方に設置し確認者が腰をかがめないと入力できないようにするとよい。
【0048】
図4に示す自動車用安全装置100であった場合に、正常状態か異常状態を判断することができる範囲の一例を図5に示す。
【0049】
5.自動車用安全装置の処理フロー
図6に自動車用安全装置の状態遷移ダイアグラムの一例を示す。図7を参照しながら、 アクセサリー電源の例にとった場合の処理フローを説明する。
【0050】
スリープ状態(S10)から、アクセサリー電源ACCが割り込みでONし(S11)、そのON状態がたとえば30秒以上かどうか判断し(S12)、30秒以上の場合には(S14)、リセットされ自己プログラム診断がなされる(S15)。30秒未満の場合には、スリープ状態になる(S10)。事故プログラム診断がなされた場合に、サイレン系ループ診断が行われる(S16)。S15およびS16でエラーの有無が判断され(S17)、エラーが無ければスタンバイになる(S18)。エラーが有った場合には、エラー報知となる(S19)。なお、電源が喪失した場合(S19)にもエラー報知となる(S17)。スタンバイのモードになると正常動作を知らせるメロディが流れ、ボタンをたとえば緑色に点灯し、その後、消灯することができる。
【0051】
スタンバイ(S18)から、アクセサリー電源ACCがたとえば3秒以上OFFの場合(S20)にはブザーが鳴動する(S21)。スイッチとして確認入力手段が3秒以上長押しされれば(S22)、スリープとなる(S1)。
【0052】
アクセサリー電源ACCがたとえば3秒以上ONかどうかを判断し(S23)、3秒以上ONである場合には、スタンバイとなる(S18)。アクセサリー電源ACCが3秒以上ONでない場合には、タイマーが5分経過しているかどうかを判断し(S24)、5分を経過していなければブザーとしての第1の報知部ブザーがなる(S21)。タイマーが5分を経過していれば、サイレンが鳴動する(S25)。
【0053】
スイッチとして確認入力手段が3秒以上長押しされれば(S26)、スリープとなる(S1)。アクセサリー電源ACCが3秒以上ONかどうかを判断し(S27)、3秒以上ONである場合には、スタンバイとなる(S18)。アクセサリー電源ACCが3秒以上ONでない場合には、サイレンとしての第2の報知部ブザーがなる(S25)。
【0054】
6.変形例
車が発生するノイズ、サージ等によりマイコンが暴走した際には搭載されているウォッチドッグタイマーでリセットが掛かり自動でマイクロコンピュータは正常動作に戻すことができる。また、電源喪失で動作不能と成った場合には搭載した電池によりブザーが点滅し運転者に報知することができる。さらにマイコン自身が物理的に故障した場合には、エンジンキーを始動した際に行う故障診断において、本来鳴動するブザー、LED、サイレンが鳴動しないので運転者が故障に気が付くことができる。
【0055】
7.ボタンスイッチの構成例
自動車内乗員存否確認用の入力装置は、ボタンスイッチ付き自動車内の乗員存否確認入力装置であり、自動車内の乗員の置き去りを防ぐための入力装置である。自動車内乗員存否確認用の入力装置は、ボタンスイッチ部12とスピーカー(報知部)30とを含むことができる。ボタンスイッチ部12は、運転手などの乗員の存否を確認する者が乗員の降車の最終確認時に、乗員がいないことを確認したとき押されるものとすることができる。スピーカー30は、装置の動作状況(たとえば装置の正常動作時)等によって、メロディーを流すことができる。
【0056】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。上記の実施の形態において示した時間について、一例であり、任意の時間を設定することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 確認入力部
12 最終確認入力部
14 存否確認入力部
20 処理部
22 状態判断部
24 確認態様判断部
26 自己診断部
30 報知部
32 第1の音声報知部
34 第2の音声報知部
36 状態表示部
38 確認表示部
50 エンジンスイッチ部
100 自動車用安全装置
110 スイッチボタン付き乗員存否確認入力装置


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアまたは扉の鍵が施錠されている状態で、自動車の車内に人または動物が取り残されないように確認するための確認入力部と、
前記確認入力部により所定の確認が行われなかった場合に報知する報知部と、
自動車のエンジンを入れたときに、前記確認入力部および前記報知部が正常状態か故障状態かを判断する状態判断部と、
前記エンジンが停止していても利用し得る常時電源と、
前記エンジン停止時には利用できず、かつ、前記エンジンの停止信号として利用し得るアクセサリー電源と、を含み、
前記報知部は、前記常時電源により稼働し、
前記状態判断部は、前記アクセサリー電源がONした時から所定時間を経過しても前記アクセサリー電源がONしていた場合に、前記確認入力部および前記報知部が正常状態か故障状態かを判断し、
前記アクセサリー電源がONした時から所定時間内に前記アクセサリー電源がOFFした場合に、前記確認入力部および前記報知部が正常状態か故障状態かの判断をしない自動車用安全装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記エンジンが停止された以降の所定時間内の前記確認入力部の確認入力は無効とする自動車用安全装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記エンジンを切ってから所定時間内に前記確認入力部の確認入力が完了しない場合に、前記報知部は、音声を発する自動車用安全装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記自動車安全装置は、前記確認入力部および前記報知部を制御する処理部を含み、
前記処理部が正常状態または異常状態かを自己診断する自己診断部を含む自動車用安全装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記報知部は、第1の音声報知部および第2の音声報知部を含み、
前記第2の音声報知部に異常があったきには第1の音声報知部が異常を報知し、前記第1の音声報知部に異常があったときには第2の音声報知部が異常を報知し、
前記第1の音声報知部は、音声振動検出機能を有し、
前記第1の音声報知部は、前記第2の音声報知部から発せられる音の有無および音の状態を検知し、
前記状態判断部は、前記第1の音声報知部が検知した情報に基づき、前記第2の音声報知部が正常状態にあるか異常状態にあるかを判断し、
前記第1の音声報知部の音声と、前記第2の音声報知部の音声とは異なり、
前記第1の音声報知部による報知をブザー鳴動とし、前記第2の音声報知部による報知をサイレン鳴動とし、
前記第1の音声報知部としてのピエゾ素子から出力した特定の音波信号を、前記第2の音声報知部としてのピエゾ素子を含む受信回路で取得し、または、前記第2の音声報知部としてのピエゾ素子から出力した特定の音波信号を、前記第1の音声報知部としてのピエゾ素子を含む受信回路で取得する自動車用安全装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記報知部は、ブザーであり、
前記報知部は、ブザー鳴動回路により制御され、
前記ブザー鳴動回路は、電池により駆動され、
前記ブザー鳴動回路がマイクロコンピュータからの信号がないことに基づいてマイクロコンピュータの異常を判断し、前記ブザー鳴動回路を動作させ、ブザーを鳴動させる自動車用安全装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記報知部は、状態を表示するための状態表示部を含む自動車用安全装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記確認入力部は、
自動車の座席ごとまたは座席ユニットごとに設けられた存否確認入力部と、
前記存否確認入力部のすべてに確認入力がなされたときに、確認入力をすることができる最終確認入力部とを含み、
前記存否確認入力部のすべてに確認入力がなされたかどうかを判断する確認態様状態判断部を含み、
前記確認態様判断部において所定時間をかけて行われたことが確認されていない場合に、報知部が報知する自動車用安全装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記存否確認入力部により存在確認入力がなされたかどうかを示す確認表示部を含む自動車用安全装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記状態判断部が正常状態か異常状態かを自己診断する自己診断部を含む自動車用安全装置。