(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077588
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタ基板
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20240531BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240531BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240531BHJP
H10K 59/124 20230101ALI20240531BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240531BHJP
H10K 59/121 20230101ALI20240531BHJP
【FI】
H01L29/78 613Z
H01L29/78 618B
H01L29/78 612C
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
H10K59/124
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
H10K59/121
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138878
(22)【出願日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2022189398
(32)【優先日】2022-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521515757
【氏名又は名称】厦門天馬顕示科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹知 和重
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5F048
5F110
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】薄膜トランジスタ基板にTFTを効果的に組み込む。
【解決手段】薄膜トランジスタ基板は、第1絶縁膜と、第1絶縁膜よりも上に形成された第2絶縁膜と、第1薄膜トランジスタと、第2薄膜トランジスタと、容量素子とを含む。
第1薄膜トランジスタは、トップゲート電極と、第1絶縁膜上に形成された第1半導体領域と、を含む。第2薄膜トランジスタは、第2絶縁膜上に形成された第2半導体領域を含む。容量素子は、トップゲート電極の少なくとも一部と、第2半導体領域と同一の半導体層における、トップゲート電極の少なくとも一部と絶縁膜を挟んで重なる、低抵抗半導体領域と、を含む。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタ基板であって、
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜よりも上に形成された第2絶縁膜と、
第1薄膜トランジスタと、
第2薄膜トランジスタと、
容量素子と、
を含み、
前記第1薄膜トランジスタは、トップゲート電極と、前記第1絶縁膜上に形成された第1半導体領域と、を含み、
前記第2薄膜トランジスタは、前記第2絶縁膜上に形成された第2半導体領域を含み、
前記容量素子は、前記トップゲート電極の少なくとも一部と、前記第2半導体領域と同一の半導体層において前記トップゲート電極の少なくとも一部と絶縁膜を挟んで重なる領域を含む第1低抵抗半導体領域と、を含む、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項2】
請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第2半導体領域及び前記第1低抵抗半導体領域は、酸化物半導体で構成されている、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項3】
請求項2に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第1半導体領域は、酸化物半導体で構成されている、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項4】
請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第1半導体領域はポリシリコンで構成され、
前記第2半導体領域及び前記第1低抵抗半導体領域は、酸化物半導体で構成されている、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項5】
請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第1半導体領域においてチャネル領域に隣接する第2低抵抗半導体領域と、前記第2半導体領域においてチャネル領域に隣接する第3低抵抗半導体領域とは、コンタクト部を介して接続されている、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項6】
請求項5に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記コンタクト部は、
前記第3低抵抗半導体領域に含まれ、
前記第2絶縁膜を貫通して前記第2低抵抗半導体領域に直接接続されている、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項7】
請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第1薄膜トランジスタの前記トップゲート電極と前記第2半導体領域においてチャネル領域に隣接する第4低抵抗半導体領域とが接続されている、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項8】
請求項7に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第1低抵抗半導体領域は、コンタクト部をさらに含み、
前記コンタクト部は、前記第2絶縁膜を貫通して前記第1半導体領域においてチャネル領域に隣接する第5低抵抗半導体領域と直接接続されている、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項9】
請求項6に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第2低抵抗半導体領域において前記コンタクト部と接触している部分の不純物濃度は、前記接触している部分の外側の部分の不純物濃度より高い、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項10】
請求項8に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第5低抵抗半導体領域において前記コンタクト部と接触している部分の不純物濃度は、前記接触している部分の外側の部分の不純物濃度より高い、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項11】
請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第1低抵抗半導体領域は、ヘリウム、アルゴン、水素、ボロン、リンの少なくとも一つの元素を含む、
薄膜トランジスタ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薄膜トランジスタ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルやOLED(Organic Light-Emitting Diode)表示装置等の表示装置及びその他の装置において、IGZO(Indium-Galium-Zinc-Oxide)などの酸化物半導体薄膜トランジスタ(TFT)が利用されている。酸化物半導体TFTは、リーク電流が少ないため、装置の消費電力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第2021/0013245号
【特許文献2】米国特許出願第2015/0102303号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薄膜トランジスタ基板に対して、製造の効率化が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様の薄膜トランジスタ基板は、第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜よりも上に形成された第2絶縁膜と、第1薄膜トランジスタと、第2薄膜トランジスタと、容量素子とを含む。前記第1薄膜トランジスタは、トップゲート電極と、前記第1絶縁膜上に形成された第1半導体領域とを含む。前記第2薄膜トランジスタは、前記第2絶縁膜上に形成された第2半導体領域を含む。前記容量素子は、前記トップゲート電極の少なくとも一部と、前記第2半導体領域と同一の半導体層における、前記トップゲート電極の少なくとも一部と絶縁膜を挟んで重なる、低抵抗半導体領域とを含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、薄膜トランジスタ基板にTFTを効果的に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本明細書の一実施形態に係る、OLED表示装置の構成例を示す。
【
図2】本明細書の一実施形態に係る画素回路及び制御信号の構成例を示す。
【
図3】
図2に示す画素回路から抽出された一部の構成要素を示す。
【
図4A】
図3に示す回路素子のデバイス構造を模式的に示す断面図である。
【
図4B】
図3に示す回路素子の他のデバイス構造を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図4Aに示されるいくつかの構成要素を示す平面図である。
【
図6】
図2に示す画素回路から抽出された一部の構成要素を示す。
【
図7A】
図6に示す回路素子のデバイス構造を模式的に示す断面図である。
【
図7B】
図6に示す回路素子の他のデバイス構造を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図7Aに示されるいくつかの構成要素を示す平面図である。
【
図10】
図9のトランジスタ及びブートストラップ容量の構成を模式的に示す平面図である。
【
図11】薄膜トランジスタ回路の他の構成例を示す。
【
図12】
図11に示す回路素子のデバイス構造を模式的に示す断面図である。
【
図13】
図12に示されるいくつかの構成要素を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。共通構成のバリエーションは、同一符号が付されている。説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。
【0009】
以下において、本開示の、薄膜トランジスタ基板(TFT基板)の構成について説明する。本明細書の一実施形態のTFT基板は様々な装置に適用することができ、例えば、センサ装置や表示装置に適用することができる。
【0010】
本明細書の一実施形態は、TFTの半導体領域と同一層の低抵抗半導体領域を、他の回路素子の電極として使用する。本明細書の一実施形態は、低抵抗半導体領域を容量素子の一つの電極として使用する。これにより、薄膜トランジスタ基板の効率的な構造及び製造が可能となる。TFTの半導体領域及び低抵抗半導体領域は、酸化物半導体領域及び低抵抗酸化物半導体領域であってもよい。
【0011】
TFTの半導体領域は、ソース/ドレイン領域及びそれらの間のチャネル領域を含む。ソース/ドレイン領域は、それぞれ、面内方向でチャネル領域と接触している。チャネル領域の抵抗は、ソース/ドレイン領域の抵抗より高い。ソース/ドレイン領域は、半導体領域においてチャネル領域に隣接する低抵抗領域である。ソース/ドレイン領域は、ソース領域とドレイン領域の総称である。ソース/ドレイン領域は、チャネル領域を流されるキャリアの方向によって、ソース領域又はドレイン領域となり得る。ソース/ドレイン領域が二つのTFTに共有されている構成において、そのソース/ドレイン領域は、一方のTFTのソース領域であり、他方のTFTのドレイン領域であり得る。
【0012】
図1は、本明細書の一実施形態に係る、OLED(Organic Light-Emitting Diode)表示装置1の構成例を示す。OLED表示装置1は、OLED素子及びTFTが形成されるTFT基板10と、OLED素子を封止する封止基板20と、TFT基板と封止基板とを接合する接合部(ガラスフリットシール部)30を含んで構成されている。TFT基板10と封止基板20との間には、例えば、乾燥窒素が封入されており、接合部により封止されている。封止基板20及び接合部30は封止構造部の一つであり、他の例として、封止構造部は、例えば薄膜封止構造(TFE:Thin Film Encapsulation)を有してもよい。
【0013】
TFT基板10の表示領域25の外側の周囲に、走査ドライバ31、32、保護回路33、ドライバIC34、デマルチプレクサ36が配置されている。走査ドライバ31、32、保護回路33は、TFT基板に形成された周辺回路である。周辺回路内の各種回路の数は、設計に依存して変化し得る。ドライバIC34は、フレキシブルプリントサーキット35を介して外部装置に接続され得る。
【0014】
例えば、走査ドライバ31はTFT基板10の走査線を駆動し、走査ドライバ32は、制御線を駆動して、各画素の発光期間を制御したり、各画素に基準電位を与えたりする。保護回路33は、画素回路内の素子の静電気による破損を防ぐ。ドライバIC34は、走査ドライバ31、32に電源及びタイミング信号(制御信号)を与える。さらに、ドライバIC34は、デマルチプレクサ36に、電源及びデータ信号を与える。デマルチプレクサ36は、ドライバIC34からのデータ信号の出力先データ線を、走査期間内にd回切り替えることで、ドライバIC34の出力ピン数のd倍のデータ線を駆動する。
【0015】
図2は、本明細書の一実施形態に係る画素回路及び制御信号の構成例を示す。画素回路は、ゲート、ソースおよびドレインを持った6つのトランジスタ(TFT)T1~T6を含む。全てのトランジスタT1~T6はN型の酸化物半導体TFTである。トランジスタT2、トランジスタT3、トランジスタT4、トランジスタT5、トランジスタT6は、それぞれ、スイッチトランジスタである。
【0016】
トランジスタT1は、OLED素子E1への電流量を制御する駆動トランジスタである。駆動トランジスタT1のドレインは、正電源電位VDDを伝送する電源線に、トランジスタT5を介して、接続されている。駆動トランジスタT1は、電源線からOLED素子E1に与える電流量を、保持容量素子Cstが保持する電圧に応じて制御する。保持容量素子Cstは、書き込まれた電圧を、1フレーム期間を通じて保持する。OLED素子E1のカソードは、カソード電源からの負電源電位VEEを伝送する電源線に接続されている。
【0017】
保持容量素子Cstは、駆動トランジスタT1のゲートと、駆動トランジスタT1のソース又はOLED素子E1のアノードとの間に接続されている。保持容量素子Cstは、駆動トランジスタT1のゲートとソースとの間の電圧を保持する。
【0018】
トランジスタT5はOLED素子E1への駆動電流の供給及びそれによる発光のON/OFFを制御する、発光制御スイッチトランジスタである。トランジスタT5のソースが駆動トランジスタT1のドレインに接続されている。トランジスタT5のゲートは発光制御信号Emを伝送する制御信号線に接続され、トランジスタT5は、走査ドライバからの発光制御信号Emにより制御される。
【0019】
トランジスタT6は、OLED素子E1のアノードへの基準電位Vref2の供給のために動作する。トランジスタT6のソース/ドレインの一端は基準電位Vref2を伝送する電源線に接続され、他端はOLED素子E1のアノードに接続されている。基準電位Vref2は、例えばカソード負電源電位VEEと同電位でもよい。
【0020】
トランジスタT6のゲートは選択信号S2を伝送する制御信号線に接続され、トランジスタT6は、選択信号S2により制御される。トランジスタT6は、走査ドライバ31からの選択信号S2によりONにされると、基準電位Vref2を、OLED素子E1のアノードへ与える。
【0021】
トランジスタT2は、駆動トランジスタT1の閾値補正(閾値補償)を行うための電圧を保持容量素子Cstに書き込むためのスイッチトランジスタである。トランジスタT2のソース及びドレインは、駆動トランジスタT1のゲート及びドレインを接続する。そのため、トランジスタT2がONであるとき、駆動トランジスタT1はダイオード接続の状態にある。
【0022】
トランジスタT4は、駆動トランジスタT1の閾値補償を行うための電圧を保持容量素子Cstに書き込むために使われる。トランジスタT4は、保持容量素子Cstへの基準電位Vref1の供給の有無を制御する。トランジスタT4のソース/ドレインの一端は基準電位Vref1を伝送する電源線に接続され、他端は容量素子Cst及びトランジスタT1のゲートに接続されている。トランジスタT4のゲートは選択信号S1を伝送する制御信号線に接続され、トランジスタT4は、走査ドライバ31からゲートに入力される選択信号S1により制御される。
【0023】
トランジスタT3は、データ信号Vdataを供給する画素回路を選択し、保持容量素子Cstにデータ信号Vdataを書き込むためのスイッチトランジスタである。トランジスタT3のソース/ドレインの一端は、保持容量素子Cst及びOLED素子E1のアノードに接続され、他端はデータ信号Vdataを伝送するデータ線に接続されている。
【0024】
トランジスタT3のゲートは、走査ドライバ31からの選択信号S2を伝送する制御信号線に接続されている。トランジスタT3、T6及びT2は、選択信号S2により制御される。画素回路において、選択信号S2は、保持容量素子Cstへのデータ信号Vdataの供給を制御する選択信号である。
【0025】
なお、
図2は、画素回路の一例を示すに過ぎず、本開示の特徴は、他の回路構成の画素回路に適用することができる。
【0026】
図3は、
図2に示す画素回路から抽出された一部の構成要素を示す。具体的には、
図3は、駆動トランジスタT1、駆動トランジスタT1のドレインとゲートそれぞれにソース/ドレインが接続されているスイッチトランジスタT2、保持容量素子Cst、そしてOLED素子E1を示す。
【0027】
図4Aは、
図3に示す回路素子のデバイス構造を模式的に示す断面図である。第1酸化物半導体TFT170は、駆動トランジスタT1であり、第2酸化物半導体TFT130はスイッチトランジスタT2である。容量素子C1は保持容量素子Cstである。アノード電極163は、OLED素子E1のアノード電極である。
図4Aにおいて、アノード電極163上の多重層有機発光膜及びカソード電極は省略されている。例えば、容量C1の容量を決める面積は、トップゲート電極171の面積の半分以上であってよい。また、トップゲート電極171の面積の半分以上が低抵抗酸化物半導体領域151と平面視において重なるように、容量素子Cを構成することができる。
【0028】
樹脂又はガラスで形成された可撓性又は不撓性の絶縁基板113上に、第1酸化物半導体TFT170及び第2酸化物半導体TFT130が形成されている。以下において、接触して積層されている二つの層(界面を形成する二つの層)において、絶縁基板113により近い層が下側の層であり、絶縁基板113からより遠い層が上側の層である。
【0029】
第1酸化物半導体TFT170の酸化物半導体領域172と、第2酸化物半導体TFT130の酸化物半導体領域132とは、異なる特性又は共通の特性を有している。本例において、第1酸化物半導体領域の移動度は、第2酸化物半導体領域の移動度より小さい。また、第2酸化物半導領域のバンドギャップは、第1酸化物半導体領域のバンドギャップより小さい。
【0030】
第1酸化物半導体領域172に適用可能な酸化物半導体材料は、例えば、IGZO、GaZnO、IGOを含む。第2酸化物半導体領域132に適用可能な酸化物半導体材料は、例えば、ITZO、IGZTO、In-Zn-Ti-O、In-W-Z-Oを含む。第1酸化物半導体領域172と第2酸化物半導体領域132とは、同一の元素種類で構成される、例えばIGZOであり、元素組成比が異なっていてもよい。なお、第1酸化物半導体領域172と第2酸化物半導体領域132とは、同一の元素種類の同一元素組成比の材料で構成されていてもよい。
【0031】
第1酸化物半導体領域172は、絶縁膜115上に接触して形成されている。第2酸化物半導体領域132は、絶縁膜119上に接触して形成されている。絶縁膜119は、絶縁膜115より上層に位置する。第1酸化物半導体領域172は、第2酸化物半導体領域132より下層に位置する。第1酸化物半導体領域172及び第2酸化物半導体領域132は、それぞれ、一つの半導体膜の一部又は全部である。
【0032】
図2の構成例において、第1酸化物半導体領域172の全部は、絶縁膜115上に接触して形成されている。また、第2酸化物半導体領域132の全部は、絶縁膜119上に接触して形成されている。
【0033】
絶縁膜115と絶縁膜119との間の位置に、絶縁膜117が存在している。絶縁膜117は、酸化物半導体領域172及び絶縁膜115の上に接触して形成されている。絶縁膜117は、酸化物半導体領域172の少なくとも一部を覆い、絶縁膜115の少なくとも一部を覆う。絶縁膜119の一部は、絶縁膜117上に接触して形成されている。
【0034】
第1酸化物半導体TFT170は、第1酸化物半導体領域172と、第1酸化物半導体領域172より上層のトップゲート電極171と、積層方向においてトップゲート電極171と第1酸化物半導体領域172との間に存在するゲート絶縁膜を含む。ゲート絶縁膜は、絶縁膜117の一部である。ゲート絶縁膜は、トップゲート電極171の下面及び酸化物半導体領域172の上面それぞれに接触して挟まれている。トップゲート電極171は、絶縁膜119に覆われている。絶縁膜119の一部は、トップゲート電極171上に接触して形成されている。第1酸化物半導体TFT170は、トップゲート電極171に加えて、ボトムゲート電極を含んでもよい。
【0035】
第1酸化物半導体領域172は、二つのソース/ドレイン領域174、175と、ソース/ドレイン領域174、175の間のチャネル領域173とを含む。ソース/ドレイン領域174、175はそれぞれ異なる低抵抗領域含まれ、チャネル領域173は高抵抗領域に含まれる。チャネル領域173は、積層方向において、ゲート絶縁膜を挟んで、トップゲート電極171に覆われている。
【0036】
第2酸化物半導体TFT130は、第2酸化物半導体領域132と、第2酸化物半導体領域132より上層のトップゲート電極131と、積層方向においてトップゲート電極131と第2酸化物半導体領域132との間に存在するゲート絶縁膜を含む。ゲート絶縁膜は、絶縁膜121の一部である。ゲート絶縁膜は、トップゲート電極131の下面及び第2酸化物半導体領域132の上面それぞれに接触して挟まれている。第2酸化物半導体TFT130は、トップゲート電極131に代えて又は加えて、ボトムゲート電極を含んでもよい。
【0037】
絶縁膜121は、絶縁膜119より上層に位置し、絶縁膜122は、絶縁膜121より上層に位置する。絶縁膜119と絶縁膜122との間の位置に、絶縁膜121が存在している。絶縁膜121は、酸化物半導体領域132及び絶縁膜119の上に接触して形成されている。絶縁膜121は、第2酸化物半導体領域132の少なくとも一部を覆い、絶縁膜119の少なくとも一部を覆う。絶縁膜121の一部は、絶縁膜119上に接触して形成されている。
【0038】
トップゲート電極131は、絶縁膜122に覆われている。絶縁膜122の一部は、トップゲート電極131上に接触して形成されている。絶縁膜122の一部は、絶縁膜121上に接触して形成されている。導体からなるソース/ドレイン電極185は、絶縁膜122及び121を貫通してソース/ドレイン領域135の上面に接触するコンタクト部186を含む。
【0039】
第2酸化物半導体領域132は、二つのソース/ドレイン領域134、135と、ソース/ドレイン領域134、135の間のチャネル領域133とを含む。ソース/ドレイン領域134、135はそれぞれ異なる低抵抗領域含まれ、チャネル領域133は高抵抗領域に含まれる。チャネル領域133は、積層方向において、ゲート絶縁膜を挟んで、トップゲート電極131に覆われている。
【0040】
導体からなる相互接続部187は、第1酸化物半導体TFTのソース/ドレイン領域175と、第2酸化物半導体TFTのソース/ドレイン領域134とを相互接続する。相互接続部187は、絶縁膜122、121、119及び117を貫通して、ソース/ドレイン領域175の上面と接触するコンタクト部188を含む。相互接続部187は、さらに、絶縁膜122及び121を貫通して、ソース/ドレイン領域134の上面と接触するコンタクト部189を含む。コンタクト部188を含む相互接続部187の一部は、第1酸化物半導体TFT170のソース/ドレイン電極である。コンタクト部189を含む相互接続部187の一部は、第2酸化物半導体TFT130のソース/ドレイン電極である。
【0041】
容量素子C1は、低抵抗酸化物半導体領域151と、第1酸化物半導体TFT170のトップゲート電極171との間に構成されている。低抵抗酸化物半導体領域151は、トップゲート電極171より上層に位置し、それらの間に絶縁膜117の一部が存在する。絶縁膜117は、低抵抗酸化物半導体領域151及びトップゲート電極171の上面に接触している。
【0042】
低抵抗酸化物半導体領域151は、第2酸化物半導体領域132と同一の酸化物半導体層に含まれ、第2酸化物半導体領域132から分離されている。これにより、効率的な製造が可能となる。低抵抗酸化物半導体領域151は、第2酸化物半導体領域132と同一酸化物半導体材料で構成されている。低抵抗酸化物半導体領域151の少なくとも一部は、絶縁膜119上に接触して存在し、例えば、全部が絶縁膜119上に接触して存在する。本例において、低抵抗酸化物半導体領域151は、第2酸化物半導体領域132から物理的に分離して、絶縁膜119上に形成されている。
【0043】
低抵抗酸化物半導体領域151は、低抵抗領域134、135と同時に形成することができる。例えば、高抵抗の酸化物半導体層のパターンを形成し、プラズマにさらす又は不純物イオンの注入によって低抵抗化することで、低抵抗領域134、135、151が形成され得る。プラズマの例としてはヘリウムプラズマ、アルゴンプラズマ、水素プラズマなどが挙げられる。また不純物イオンとしては、ボロンやリンなどが挙げられる。これらの場合、低抵抗領域151は、酸化物半導体を構成する元素に加えて(例えば、IGZOの場合In、Ga、Zn、Oに加えて)、ヘリウム、アルゴン、水素、ボロン、リンの不純物元素の少なくとも一つを含むことができる。
【0044】
図4の回路図を参照して説明したように、保持容量素子Cstの一端は、トランジスタT1のゲート及びトランジスタT2のソース/ドレインと接続され、それらは同電位である。
図4Aでは示していないが、第1酸化物半導体TFTのトップゲート電極171は、第2酸化物半導体TFT130のソース/ドレイン領域135と物理的に接続される。この点は、
図5を参照して後述する。
【0045】
図2又は3の回路図を参照して説明したように、保持容量素子Cstの一端は、駆動トランジスタT1のソースに接続されている。導体からなる相互接続部181は、低抵抗酸化物半導体領域151と、第1酸化物半導体TFT170のソース/ドレイン領域174とを相互接続する。相互接続部181は、絶縁膜122、121、119及び117を貫通して、ソース/ドレイン領域174の上面と接触するコンタクト部182を含む。相互接続部181は、さらに、絶縁膜122及び121を貫通して、低抵抗酸化物半導体領域151の上面と接触するコンタクト部183を含む。コンタクト部182を含む相互接続部181の一部は、第1酸化物半導体領域170のソース/ドレイン電極である。
【0046】
相互接続部181、187、ソース/ドレイン電極185、絶縁膜122上に、平坦化膜161が存在する。平坦化膜161は、アクリルやポリイミドなど、平坦性に優れた塗布型の有機膜で構成され得る。平坦化膜161上に接触して、アノード電極163が存在する。
【0047】
アノード電極163は、平坦化膜161を貫通するコンタクト部165を介して相互接続部181と接続されている。アノード電極163は、ITOと、反射率の高いアルミニウムや銀のような金属材料との積層膜が用いることができる。
【0048】
アノード電極163上には、画素定義層167が形成されている。画素定義層167には、アクリルやポリイミドなどの有機膜を用いることができる。画素定義層167の開口内でアノード電極163の一部が露出し、この上に、不図示の多重層有機膜及びカソード電極が積層される。有機膜は、供給された電流により発光する。画素それぞれのカソード電極は、一つの導電膜の一部であり、共通のカソード電源電位が供給される。カソード電極は、例えば、ITOで形成できる。
【0049】
絶縁基板113は、例えば、ガラス又は可撓性若しくは不撓性の樹脂で構成され得る。樹脂の例はポリイミドである。絶縁膜115は、例えば、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、又はこれらの多重層で形成することができる。
【0050】
酸化物半導体領域172は、例えば、IGZO、GaZnO、又はIGOで構成され得る。低抵抗領域は、例えば、酸化物半導体膜の当該領域に、トップゲート電極171をマスクとして(自己整合)、絶縁膜117を介して不純物イオン(例えばボロンイオン)を注入することで形成することができる。これにより、ΔLを小さくすることができ、TFTの小型化に有利である。なお、酸化物半導体膜の低抵抗領域は、ポリシリコン膜と比較して平坦かつ粒界が少ないので、酸化物半導体TFTのより良好な特性を得ることができる。低抵抗領域は、当該領域をHeプラズマにさらして形成することもできる。
【0051】
一部が第1酸化物半導体TFT170のゲート絶縁膜を構成する絶縁膜117は、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、又はこれらの多重層で形成することができる。トップゲート電極171の材料は任意であり、例えば、Mo、W、Nb、Al、Ta、Cr、Ti等の単層又は積層或いはこれらの合金が使用される。トップゲート電極171を覆う絶縁膜119は、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、又はこれらの多重層で形成することができる。
【0052】
絶縁膜119上に接触して存在する酸化物半導体領域132及び低抵抗酸化物半導体領域151は、例えば、ITZO、IGZTO、In-Zn-Ti-O、又はIn-W-Z-Oで構成され得る。酸化物半導体領域132の低抵抗領域134、135は、例えば、酸化物半導体膜の当該領域に、トップゲート電極131をマスクとして(自己整合)、絶縁膜121を介して不純物イオン(例えばボロンイオン)を注入することで形成することができる。低抵抗酸化物半導体領域151は、低抵抗領域134、135と同時に形成され得る。これにより、ΔLを小さくすることができ、TFTの小型化に有利である。なお、低抵抗領域は、当該領域をHeプラズマにさらして形成することもできる。酸化物半導体膜の低抵抗領域は、ポリシリコン膜と比較して平坦かつ粒界が少ないので、酸化物半導体TFTのより良好な特性を得ることができる。
【0053】
一部が第2酸化物半導体TFT130のゲート絶縁膜を構成する絶縁膜121は、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、又はこれらの多重層で形成することができる。トップゲート電極131の材料は任意であり、例えば、Mo、W、Nb、Al、Ta、Cr、Ti等の単層又は積層或いはこれらの合金が使用される。トップゲート電極131を覆う絶縁膜122は、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、又はこれらの多重層で形成することができる。
【0054】
導体部181、187、185は、例えば、同一材料で同時形成することができる。導体部181、187、185は、例えば、Ti/Al/TiやMo/Al/Mo等の積層構造を有することができる。導体部181、187、185は、単層構造を有してもよく、上記金属材料と異なる金属材料で構成されてもよい。
【0055】
図5は、
図4Aに示されるいくつかの構成要素を示す平面図である。第1酸化物半導体TFT170のトップゲート電極171は破線で示されており、同様の破線で示す導体膜301の一部であり、チャネル領域173(
図5で不図示)と重なる部分である。導体膜301と低抵抗酸化物半導体領域151とは、
図4Aに示す絶縁膜119を挟み、これらによって容量素子C1が構成されている。
【0056】
図5の例において、導体膜301の全域は、平面視において、低抵抗酸化物半導体領域151に覆われている。導体膜301の一部は、平面視において、低抵抗酸化物半導体領域151の外側に延出していてもよい。また、
図5において、トップゲート電極171の全域は、平面視において、低抵抗酸化物半導体領域151の一部と重なっている。他の例において、トップゲート電極171の一部のみが、低抵抗酸化物半導体領域151と対向していてもよい。これらの点は、後述する
図8の構成において同様である。
【0057】
導体膜301は、相互接続部304によって、第2酸化物半導体TFT130のソース/ドレイン領域135と接続されている。相互接続部304は、ソース/ドレイン電極185,コンタクト部186に加えて、コンタクト部191を含む。コンタクト部191は、絶縁膜122、121、絶縁膜119を貫通する。低抵抗酸化物半導体領域151の凹部の端面とコンタクト部191との間には絶縁膜121が存在する。
【0058】
導体膜302の一部であって、第2酸化物半導体TFT130のチャネル領域133と重なる部分がトップゲート電極131を構成する。酸化物半導体の低抵抗領域303の一部が、第1酸化物半導体TFT170のソース/ドレイン領域175を構成している。また、酸化物半導体の低抵抗領域305の一部が、第2酸化物半導体TFT130のソース/ドレイン領域135を構成している。
図4Aを参照して説明したように、コンタクト部188、189を含む相互接続部187を介して、ソース/ドレイン領域134、175が接続されている。
【0059】
図4Aでは、導体からなる相互接続部187を用いた構成を示す。これと異なり、
図4Bに示すように、導体からなる相互接続部187を用いずに、コンタクト部136を使用して、第1酸化物半導体TFT170のソース/ドレイン領域175と、第2酸化物半導体TFTのソース/ドレイン領域134とを接続することも可能である。
【0060】
コンタクト部136は、第2酸化物半導体TFT130の第2酸化物半導体領域132における、低抵抗領域に含まれている。ソース/ドレイン領域134及びコンタクト部136は、チャネル領域133に隣接する低抵抗領域に含まれている。コンタクト部136は、ソース/ドレイン領域134の一部と見なしてもよい。
【0061】
コンタクト部136は、絶縁膜119及び117を貫通して、第1酸化物半導体TFT170のソース/ドレイン領域175の上面に接触し、直接接続されている。ソース/ドレイン領域175は、第1酸化物半導体TFT170のチャネル領域173に隣接する低抵抗領域に含まれている。ソース/ドレイン領域175においてコンタクト部136と接触する部分は、不純物イオンが2回注入される。1回目は、ゲート電極171をマスクとして不純物イオンが注入される時で、2回目は、ゲート電極131をマスクとして不純物イオンが注入される時である。
【0062】
従って、ソース/ドレイン領域175においてコンタクト部136と接触する部分(領域)の不純物濃度は、その外側のコンタクト部136と接しない部分の不純物濃度よりも高くなる。このように、コンタクト部136と接する部分には高濃度の不純物イオンが注入され低抵抗されるため、コンタクト抵抗が低くなるという効果がある。
【0063】
導体からなる相互接続部181に関しても同様の変更が可能である。つまり、導体からなる相互接続部181を用いずに、コンタクト部152を使用して、第1酸化物半導体TFT170のソース/ドレイン領域172と、低抵抗酸化物半導体領域151とを接続することも可能である。
【0064】
コンタクト部152は、低抵抗酸化物半導体領域151に含まれている。コンタクト部152は、絶縁膜119及び117を貫通して、第1酸化物半導体TFT170のソース/ドレイン領域172の上面に接触し、直接接続されている。ソース/ドレイン領域172は、第1酸化物半導体TFT170のチャネル領域173に隣接する低抵抗領域に含まれている。ソース/ドレイン領域172においてコンタクト部152と接触する部分は、不純物イオンが2回注入される。1回目は、ゲート電極171をマスクとして不純物イオンが注入される時で、2回目は、ゲート電極131をマスクとして不純物イオンが注入される時である。
【0065】
従って、ソース/ドレイン領域172においてコンタクト部152と接触する部分(領域)の不純物濃度は、その外側のコンタクト部152と接しない部分の不純物濃度よりも高くなる。このように、コンタクト部152と接する部分には高濃度の不純物イオンが注入され低抵抗されるため、コンタクト抵抗が低くなるという効果がある。
【0066】
アノード電極163は、平坦化膜161及び絶縁膜122、121を貫通するコンタクト部166を含み、コンタクト部166は、低抵抗酸化物半導体領域151の上面と接触し、直接接続されている。このように、アノード電極163は、コンタクト部166によって低抵抗酸化物半導体領域151に接続されている。
【0067】
アノード電極163と領域151とが直接接続される。アノード電極163は、ITOと、反射率の高いアルミニウムや銀のような金属材料との積層膜が用いられるため、この直接接続部はITOと低抵抗酸化物半導体領域151とが接する構造となる。ITOと低抵抗酸化物半導体とはお互いに類似した物性を有するので、良好なコンタクト特性が得られる。
【0068】
図4Bでは、ソース/ドレイン電極185とアノード電極163が異なる2層での金属で形成されている。他の例において、アノード電極をソース/ドレイン電極と同一の層の金属で形成することも可能である。この場合、プロセス行程を削減でき、低コスト化に有効である。また、
図4Aに比べて、
図4Bではコンタクトホールの数が少なく省面積化できるので、OLEDパネルの高精細化にも有利である。
【0069】
図6は、
図2に示す画素回路から抽出された一部の構成要素を示す。具体的には、
図6は、駆動トランジスタT1、駆動トランジスタT1のゲートにソース/ドレインが接続されているスイッチトランジスタT4、保持容量素子Cst、そしてOLED素子E1を示す。
図3の構成との相違は、スイッチトランジスタT4のソース/ドレインと駆動トランジスタT1のソース/ドレインとは接続されていない点である。
【0070】
図7Aは、
図6に示す回路素子のデバイス構造を模式的に示す断面図である。第1酸化物半導体TFT170は、駆動トランジスタT1であり、第2酸化物半導体TFT140はスイッチトランジスタT4である。アノード電極163は、OLED素子E1のアノード電極である。以下においては、
図4Aに示す構成例との相違を主に説明する。
【0071】
第2酸化物半導体TFT140は、
図4Aに示す第2酸化物半導体TFT130のトップゲート電極131に代えて、トップゲート電極141を含む。また、チャネル領域133、ソース/ドレイン領域134、135に代えて、チャネル領域143、ソース/ドレイン領域144、145を含む。これらは、それぞれ、酸化物半導体領域142の一部である。また、ソース/ドレイン電極215がソース/ドレイン電極185に代えて存在し、ソース/ドレイン電極211が相互接続部187に代えて存在する。第2酸化物半導体TFT140は、トップゲート電極141に代えて又は加えて、ボトムゲート電極を含んでもよい。
【0072】
ソース/ドレイン電極215は、絶縁膜122、121を貫通するコンタクト部216を含む。コンタクト部216は、ソース/ドレイン領域145の上面に接触する。ソース/ドレイン電極211は、絶縁膜122、121を貫通するコンタクト部212を含む。コンタクト部212は、ソース/ドレイン領域144の上面に接触する。第2酸化物半導体TFT140の構成要素に対して、それぞれ、第2酸化物半導体TFT130の対応要素と同様の材料及び製造方法を適用し得る。
【0073】
例えば、低抵抗酸化物半導体領域151は、酸化物半導体領域142と同一の酸化物半導体層に含まれる。低抵抗酸化物半導体領域151は、低抵抗領域144、145と同一材料で構成され得る。これらは、同一の成膜、パターニング、低抵抗化処理によって同時に形成され得る。
【0074】
図8は、
図7Aに示されるいくつかの構成要素を示す平面図である。第1酸化物半導体TFT170のトップゲート電極171は破線で示されており、同様の破線で示す導体膜301の一部であり、その一部はチャネル領域173(
図8で不図示)と重なる。導体膜301と低抵抗酸化物半導体領域151とは、
図7Aに示す絶縁膜119を挟み、これらによって容量素子C1が構成されている。
【0075】
導体膜301は、相互接続部354によって、第2酸化物半導体TFT140のソース/ドレイン領域145と接続されている。相互接続部354は、ソース/ドレイン電極215、コンタクト部216に加えて、コンタクト部221を含む。コンタクト部221は、絶縁膜122、121、絶縁膜119を貫通する。低抵抗酸化物半導体領域151の端面とコンタクト部221との間には絶縁膜121が存在する。
【0076】
導体膜352の一部であって、第2酸化物半導体TFT140のチャネル領域143と重なる部分がトップゲート電極141を構成する。酸化物半導体の低抵抗領域325の一部が、第2酸化物半導体TFT140のソース/ドレイン領域145を構成している。
【0077】
図7Aでは、導体からなる相互接続部181を用いた構造を示す。他の例として、
図7Bに示すように、導体からなる相互接続部181を用いずにコンタクト部152を使用して、第1酸化物半導体TFT170のソース/ドレイン領域172と、低抵抗酸化物半導体領域151とを接続することも可能である。
図7Bのコンタクト部152の構成及び効果は、
図4Bを参照した説明の構造は、
図4Bを参照して説明した通りである。
【0078】
また、アノード電極163は、平坦化膜161及び絶縁膜122、121を貫通するコンタクト部166を含み、コンタクト部166は、低抵抗酸化物半導体領域151の上面と接触し、直接接続されている。このように、アノード電極163は、コンタクト部166によって低抵抗酸化物半導体領域151に接続されている。コンタクト部166の構成及び効果は、
図4Bを参照して説明した通りである。
【0079】
図9は、薄膜トランジスタ回路の他の構成例を示す。
図9は、シフトレジスタの1段に含まれる回路の一部を示す。シフトレジスタは、例えば、走査ドライバ31や32に組み込まれ得る。シフトレジスタは、N型トランジスタST1からST4、及び、容量素子Cb1を含む。電位VGHは、高電源電位であり、電位VGLは低電源電位である。信号STは、スタートパルス又は前段からの出力である。信号OUT1は、出力である。信号OUT2は次段からの出力を帰還させる信号である。信号CKはクロック信号であり、信号XCKは反転クロック信号である。
【0080】
図9に示す回路において、トランジスタST1は、主に負ゲートバイアスが印加されるトランジスタである。トランジスタST2からST4は主に正ゲートバイアスが印加されるトランジスタである。容量素子Cb1は、ブートストラップ容量素子である。
【0081】
図7Aを参照したトランジスタ及び容量素子の説明が、トランジスタST1、ST2及び容量素子Cb1に対して適用され得る。具体的には、第1酸化物半導体TFT170はトランジスタST1に、第2酸化物半導体TFT140はトランジスタST2に、容量素子C1は、ブートストラップ容量素子Cb1に対応する。ただし、OLED素子E1のためのアノード電極163や画素定義層167は除かれる。
【0082】
図10は、
図9のトランジスタST1、ST2及びブートストラップ容量素子Cb1にそれぞれ対応する、
図7Aに示す酸化物半導体TFT170、140及び容量素子C1の構成を模式的に示す平面図である。
図8に示す構成例と同一の符号の構成要素は、共通の構成要素を示す。
図10と
図8の間において、共通の構成要素は異なる形状を有し得る。
【0083】
ブートストラップ容量素子Cb1に対応する容量素子C1は、低抵抗酸化物半導体領域151と、第1酸化物半導体TFT170のトップゲート電極171(
図10で不図示)を含む導体膜501の一部との間に構成されている。相互接続部354は、コンタクト部521を介して導体膜501と接続されている。コンタクト部521は、低抵抗酸化物半導体領域151の外側に存在し、絶縁膜122、121、119を貫通して導体膜501の上面と接触している。導体膜501の全域が、積層方向において低抵抗酸化物半導体領域151と対向してもよい。
【0084】
ブートストラップ容量素子Cb1の一方電極を、第2酸化物半導体領域132と同一酸化物半導体層の低抵抗酸化物半導体領域151で構成することで、シフトレジスタの回路面積を小さくすることができる。
【0085】
なお、
図2から
図10を参照して説明した構成それぞれにおいて、第1酸化物半導体TFT及び第2酸化物半導体TFTの半導体領域を、酸化物半導体と異なる半導体材料、例えば、ポリシリコンで構成することができる。
【0086】
図11は、薄膜トランジスタ回路の他の構成例を示す。
図11は、駆動トランジスタとしてP型トランジスタを使用する画素回路の一部の構成要素を示す。具体的には、
図11は、P型駆動トランジスタT11、駆動トランジスタT11のゲートとドレインとの間に接続されているN型スイッチトランジスタT12、駆動トランジスタT11のゲートとソースとの間に保持容量素子Cst2を示す。画素回路の全体は、例えば、
図2に示す画素回路構成において、トランジスタT1、T2及び保持容量素子Cstをそれぞれ、トランジスタT11、T12及び保持容量素子Cst2に入れ替えた構成を有する。
【0087】
図12は、
図11に示す回路素子のデバイス構造を模式的に示す断面図である。ポリシリコンTFT570は、駆動トランジスタT11であり、第2酸化物半導体TFT130はスイッチトランジスタT12である。容量素子C5は保持容量素子Cst2である。以下において、
図4Aに示す構成例との相違を主に説明する。
【0088】
図12に示す構成例において、
図4Aに示す構成例と比較して、第1酸化物半導体TFT170が、低温ポリシリコンTFT570に置き換えられている。また、アノード電極163がアノード電極563に置き換えられている。アノード電極563は、コンタクト部565を含み、コンタクト部565は、絶縁膜161を貫通して、相互接続部187の上面に接触している。
【0089】
低温ポリシリコンTFT570は、ポリシリコン領域572と、ポリシリコン領域572より上層のトップゲート電極571と、積層方向においてトップゲート電極571とポリシリコン領域572との間に存在するゲート絶縁膜を含む。ゲート絶縁膜は、絶縁膜117の一部である。ゲート絶縁膜は、トップゲート電極571の下面及びポリシリコン領域572の上面それぞれに接触して挟まれている。トップゲート電極571は、絶縁膜119に覆われている。絶縁膜119の一部は、トップゲート電極571上に接触して形成されている。なお、低温ポリシリコンTFT570は、トップゲート電極571に加えてボトムゲート電極を含んでもよい。
【0090】
ポリシリコン領域572は、ソース/ドレイン領域574、575と、ソース/ドレイン領域574、575の間のチャネル領域573とを含む。ソース/ドレイン領域574、575はチャネル領域573より低抵抗である。ソース/ドレイン領域574、575はそれぞれ異なる低抵抗領域に含まれ、チャネル領域573は高抵抗領域に含まれる。チャネル領域573は、積層方向において、ゲート絶縁膜を挟んで、トップゲート電極571に覆われている。
【0091】
容量素子C5は、低抵抗酸化物半導体領域151と、低温ポリシリコンTFT570のトップゲート電極571との間に構成されている。低抵抗酸化物半導体領域151は、トップゲート電極571より上層に位置し、それらに間に絶縁膜119の一部が存在する。絶縁膜119は、低抵抗酸化物半導体領域151及びトップゲート電極571の上面に接触している。
【0092】
トップゲート電極571の材料は、トップゲート電極171の説明が適用され得る。ポリシリコン領域572は、ポリシリコンで構成されている。アモルファスシリコン膜をレーザアニールして、低温ポリシリコン膜を形成することができる。ソース/ドレイン領域574、575は、例えば、トップゲート電極571をマスクとして、絶縁膜117を介して不純物イオンを注入することで形成することができる。
【0093】
図13は、
図12に示されるいくつかの構成要素を示す平面図である。低温ポリシリコンTFT570のトップゲート電極571は破線で示されており、同様の破線で示す導体膜591の一部である。その一部は、導体膜591のチャネル領域573(
図13で不図示)と重なる領域である。
図13の例において、チャネル領域はカーブしている部分を含む。酸化物半導体TFT及び低温ポリシリコンTFTのチャネル領域は、直線状、曲線状又はこれらを組み合わせたような様々な形状を有することができる。
【0094】
導体膜591と低抵抗酸化物半導体領域151とは、
図12に示す絶縁膜119を挟み、これらによって容量素子C5が構成されている。導体膜591は、相互接続部594によって、第2酸化物半導体TFT130のソース/ドレイン領域135と接続されている。
図13の例において、導体膜591の全域が、積層方向において、低抵抗酸化物半導体領域151と対向している。他の例において、導体膜591又はトップゲート電極571の一部が、低抵抗酸化物半導体領域151の外側に存在してもよい。
【0095】
相互接続部594は、ソース/ドレイン電極185、コンタクト部186に加えて、コンタクト部592を含む。コンタクト部592は、絶縁膜122、121、絶縁膜119を貫通して、導体膜591の上面と接触する。低抵抗酸化物半導体領域151の開口の端面とコンタクト部592との間には絶縁膜121が存在する。導体膜591の一部は、低抵抗酸化物半導体領域151と、平面視において重ならず、その外側に存在してもよい。例えば、コンタクト部592は、低抵抗酸化物半導体領域151の外側で導体膜591と接触してもよい。
【0096】
ポリシリコン膜の低抵抗領域593の一部が、低温ポリシリコンTFT570のソース/ドレイン領域575を構成している。
図12を参照して説明したように、コンタクト部188、189を含む相互接続部187を介して、ソース/ドレイン領域134、575が接続されている。
【0097】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0098】
130、140、170 酸化物半導体TFT、570 低温ポリシリコンTFT、113 絶縁基板、115、117、119、121、122 絶縁膜、131、171、141、571 ゲート電極、132、172、142 酸化物半導体領域、133、173 チャネル領域、134、135、174、175 ソース/ドレイン領域、Cst 保持容量素子、C1、C5 容量素子、E1 OLED素子、T1~T6、ST1~ST4、T12、T11 トランジスタ