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特開2024-77593仮想イベントのためのマッチメーキングシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077593
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】仮想イベントのためのマッチメーキングシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240531BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023176519
(22)【出願日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】18/059,279
(32)【優先日】2022-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】520509030
【氏名又は名称】ティーエムアールダブリュー ファウンデーション アイピー エスエーアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヤーリ, チェヴァット
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】仮想イベントのためのマッチメーキングシステム、方法及びコンピュータ可読媒体を提供する。
【解決手段】システム100において、サーバは、仮想環境にリンクされ仮想イベントの参加者の登録データを有する登録モジュールを備え、グルーピングユニットが、参加者を、参加者のマッチング基準に基づいて異なるグループにマッチングし、夫々のグループに対し、仮想イベントにおける位置とメタデータとを、マッチング基準に基づいて生成し、仮想イベントのインスタンスを、夫々のグループに割り当てる。参加者は、マッチングされたグループに加入するように招待される。招待は、マッチングされたグループのメタデータの少なくとも一部を含む。グループに加入するそれぞれの参加者には、マッチングされたグループへの構成員資格とアクセスとが付与され、加入した参加者は、マッチングされたグループの他の構成員と通信することが可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想イベントのためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、仮想環境にホストされている仮想イベントの参加者の登録データを記憶するメモリとを有する1つ又は複数のコンピューティングデバイスを備えるコンピュータシステムであり、前記登録データが1つ又は複数のマッチング基準を含む、コンピュータシステムを備えており、前記コンピュータシステムが、
前記マッチング基準に基づき、前記参加者を異なるマッチングされたグループにマッチングするステップと、
前記マッチング基準に基づき、前記マッチングされたグループのそれぞれに対し、前記仮想イベントにおける位置とメタデータとを生成するステップと、
前記仮想イベントのインスタンスを、第1のマッチングされたグループに割り当てるステップと、
前記第1のマッチングされたグループに加入するための招待であり、前記第1のマッチングされたグループの前記メタデータの一部を含む前記招待を送るステップと、
前記第1のマッチングされたグループに加入するための前記招待を参加者が受諾することに応じて、前記第1のマッチングされたグループに加入する前記参加者に前記第1のマッチングされたグループへの構成員資格とアクセスとを付与し、前記加入した参加者が前記第1のマッチングされたグループにおける他の構成員と通信することを可能にするステップと、
を実行するようにプログラムされている、システム。
【請求項2】
前記グループに加入する前記参加者に付与される前記アクセスが、音声及びビデオアクセスを可能にすることを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のマッチングされたグループが、他のマッチングされたグループに接触することが可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のマッチングされたグループの前記メタデータが、前記第1のマッチングされたグループのための前記マッチング基準を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のマッチングされたグループの前記マッチング基準が、トピック基準、賭け基準、ゲーム選択、メディアへの関心、社会的関係、ブランドへの関心、又は年齢グループのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のマッチングされたグループのための前記マッチング基準が、測位と前記第1のマッチングされたグループにおける参加者の間での実世界における距離とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
それぞれのマッチンググループの前記仮想イベントにおけるシーンの1つ又は複数の特性が、前記マッチング基準のうちの少なくとも1つとマッチングするようにカスタマイズされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記仮想環境における前記シーンの前記特性が、選択された位置の仮想設計、選択されたエリアの音声、前記仮想環境の前記位置において利用可能なアプリケーション、又はそれらの組合せを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記遠隔コンピュータシステムが、前記マッチング基準に基づき関連のグループをユーザがサーチすることを可能にするように、さらにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記仮想環境が3次元仮想環境であり、前記参加者が、前記3次元仮想環境の内部では、カメラによって生成された参加者自身のユーザグラフィカル表現として表される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記仮想イベントが2次元仮想イベントであり、前記参加者が、2次元仮想環境の内部では、選択されると、他の参加者との通信を可能にするビデオ会議を生じさせるアバタとして表される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記仮想イベントが発言者キューを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記コンピュータシステムが、より高いマッチング関連性スコアに基づき前記第1のマッチングされたグループのマッチングされた参加者を相互により近接するように配置し、より低いマッチング関連性スコアに基づき前記第1のマッチングされたグループのマッチングされた参加者を相互により遠くなるように配置するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
仮想イベントのためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、仮想環境にホストされている仮想イベントの参加者の登録データを記憶するメモリとを有する1つ又は複数のコンピューティングデバイスを備える遠隔コンピュータシステムであり、前記登録データがマッチング基準を含む、遠隔コンピュータシステムを備えており、前記コンピュータシステムが、
前記マッチング基準のうちの少なくとも1つを、前記仮想イベントにおける複数の位置のそれぞれに割り当てるステップと、
前記マッチング基準に基づき、前記参加者を前記仮想イベントにおける前記複数の位置のうちのマッチングされた位置にマッチングするステップと、
前記仮想イベントのインスタンスを、前記マッチング基準に基づき、前記マッチングされた位置に割り当てるステップと、
前記マッチングされた位置に加入するための招待であって、前記マッチングされた位置のメタデータの一部を含む前記招待を、前記マッチングされた参加者に送るステップと、
前記マッチングされた位置に加入するための前記招待を前記参加者が受諾することに応じて、前記マッチングされた位置に加入する前記参加者に、前記仮想イベントの前記マッチングされた位置へのアクセスを付与し、前記マッチングされた位置において直接的に前記参加者を生じさせ、前記加入した参加者が前記マッチングされた位置における他の参加者と通信することを可能にするステップと、
を実行するようにプログラムされている、システム。
【請求項15】
少なくとも1つのプロセッサとメモリとを有する1つ又は複数のコンピューティングデバイスを備えるコンピュータシステムによって、
仮想環境にリンクされている登録モジュールに、1つ又は複数のマッチング基準を含む仮想イベントの参加者の登録データを登録するステップと、
前記マッチング基準に基づき、前記参加者を異なるマッチングされたグループにマッチングするステップと、
前記マッチング基準に基づき、それぞれのマッチングされたグループに対し、前記仮想イベントにおける位置とメタデータとを生成するステップと、
前記仮想イベントのインスタンスを、第1のマッチングされたグループに割り当てるステップと、
前記第1のマッチングされたグループに加入するための招待を送るステップと、
前記第1のマッチングされたグループに加入するための前記招待を参加者が受諾することに応じて、前記第1のマッチングされたグループに加入する前記参加者に、前記第1のマッチングされたグループへの構成員資格とアクセスとを付与し、前記加入した参加者が前記第1のマッチングされたグループの他の構成員と通信することを可能にするステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記第1のマッチングされたグループの前記メタデータが、前記第1のマッチングされたグループのための少なくとも前記マッチング基準を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のマッチングされたグループの前記マッチング基準が、トピック基準、賭け基準、ゲーム選択、メディアへの関心、社会的関係、ブランドへの関心、及び年齢グループのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のマッチングされたグループのための前記マッチング基準が、前記第1のマッチングされたグループにおける参加者の間での実世界における距離を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、コンピュータシステムが、
仮想環境にリンクされている登録モジュールに、1つ又は複数のマッチング基準を含む仮想イベントの参加者の登録データを登録するステップと、
前記マッチング基準に基づき、前記参加者を異なるマッチングされたグループにマッチングするステップと、
前記マッチング基準に基づき、前記マッチングされたグループのそれぞれに対し、前記仮想イベントにおける位置とメタデータとを生成するステップと、
前記仮想イベントのインスタンスを、第1のマッチングされたグループに割り当てるステップと、
前記第1のマッチングされたグループに加入するための招待を送るステップと、
前記第1のマッチングされたグループに加入するための前記招待を参加者が受諾することに応じて、前記第1のマッチングされたグループに参加する前記参加者に、前記第1のマッチングされたグループへの構成員資格とアクセスとを付与し、前記加入した参加者が前記第1のマッチングされたグループの他の構成員と通信することを可能にするステップと、
を実行することをトリガする命令を有する、非一時的でコンピュータ可読な媒体。
【請求項20】
前記第1のマッチングされたグループのための前記マッチング基準が、測位と、前記第1のマッチングされたグループにおける参加者の間での実世界における距離とを含む、請求項19に記載の非一時的でコンピュータ可読な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンピュータシステム及び方法に関する。特に、本開示は、仮想イベントの参加者を異なるグループの中にマッチングすることを可能にするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な展示又は仮想イベントへの出席が、ますます、人気を得るようになってきている。仮想イベントへの出席には、いくつかの利点が存在する。参加者は、実際には、仮想イベントに物理的に存在する必要がなく、したがって、イベントが開催される場所まで移動する必要がない。参加者は、参加者自身の自宅又は職場の快適さの中で、たとえば国際会議である仮想イベントに出席できる。これには、もちろん、多くの費用及び時間を節約できるという含みがある。これらの仮想イベントは、世界中からの参加者による出席が可能である。これらの仮想イベントの短所のうちの1つは、これらの仮想イベントが、参加者たちに、相互に個別的に会って交流する機会を実際には提供しないということである。類似の関心を有する人々に会う可能性は、ほとんど又はまったく存在せず、そのことが、良好なネットワークの形成を達成することを困難にしている。これらの仮想イベントは、一般的には相互に他人である参加者によって出席される。一般的に、これらの仮想イベントは、ネットワークを形成し新たな事業又は他の関係を相互に構築する機会を参加者に与えることがない。
【発明の概要】
【0003】
この概要は、詳細な説明において後でさらに説明される概念の選択されたものを、簡略化された形式で紹介するために提供される。この概要は、特許請求されている主題の鍵となる特徴を識別するために意図されているものではなく、特許請求されている主題の範囲を決定する際の助けとして用いられることも、意図されていない。
【0004】
本開示の少なくとも1つの態様において、仮想イベントのためのマッチメーキングシステムが提供される。コンピュータシステムが、少なくとも1つのプロセッサと仮想環境にホストされている仮想イベントの参加者の登録データを記憶するメモリとを有する1つ又は複数のコンピューティングデバイスを備えており、この登録データは、1つ又は複数のマッチング基準を含む。このコンピュータシステムは、マッチング基準に基づき、参加者を異なるマッチングされたグループにマッチングするステップと、マッチング基準に基づき、マッチングされたグループのそれぞれに対し、仮想イベントにおける位置とメタデータとを生成するステップと、仮想イベントのインスタンスを、第1のマッチングされたグループに割り当てるステップと、第1のマッチングされたグループに加入するための招待であって、第1のマッチングされたグループのメタデータの一部を含む招待を送るステップと、第1のマッチングされたグループに加入するための招待を参加者が受諾することに応じて、第1のマッチングされたグループに加入する参加者に第1のマッチングされたグループへの構成員資格とアクセスとを付与し、加入した参加者が第1のマッチングされたグループにおける他の構成員と通信することを可能にするステップと、を実行するようにプログラムされている。
【0005】
いくつかの実施形態では、グループに加入する参加者に付与されるアクセスが、音声及びビデオアクセスを可能にすることを含む。1つ又は複数のコンピューティングデバイスは、サーバコンピュータシステムに含まれ得る。いくつかの実施形態では、第1のマッチングされたグループが、他のマッチングされたグループに接触することが可能である。マッチングされたグループへの参加者のマッチングは、機械学習アルゴリズムによって実装され得る。第1のマッチングされたグループのメタデータは、第1のマッチングされたグループのためのマッチング基準を含み得る。第1のマッチングされたグループのマッチング基準は、トピック基準、賭け基準、ゲーム選択、メディアへの関心、社会的関係、ブランドへの関心、又は年齢グループのうちの少なくとも1つを含み得る。第1のマッチングされたグループのためのマッチング基準は、位置と第1のマッチングされたグループにおける(たとえば実世界における)参加者の間での距離とを含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、それぞれのマッチンググループの仮想イベントにおけるシーンの1つ又は複数の特性は、マッチング基準のうちの少なくとも1つとマッチングするようにカスタマイズされ得る。仮想環境におけるシーンの特性は、選択された位置の仮想設計、選択されたエリアの音声、仮想環境の位置において利用可能なアプリケーション、又はそれらの組合せを含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、コンピュータシステムは、たとえば、マッチング基準に基づき関連のグループをユーザがサーチすることを可能にするサーチエンジンに接続することによって、関連のグループをユーザがサーチすることを可能にするように、さらにプログラムされている。
【0008】
いくつかの実施形態では、仮想環境は3D(3次元)仮想環境であり、参加者は、3D(3次元)仮想環境の内部では、カメラによって生成された参加者自身のユーザグラフィカル表現として表される。他の実施形態では、仮想イベントは2D(2次元)仮想イベントであり得るのであって、参加者は、2D(2次元)仮想環境の内部では、(たとえば、クリックするなどで)選択されると、他の参加者との通信を可能にするビデオ会議を生じさせるアバタとして表される。
【0009】
いくつかの実施形態では、このコンピュータシステムは、仮想環境における第1のマッチングされたグループのマッチングされた参加者を、マッチング関連性スコアに基づく相互からのある距離に配置するように、さらにプログラムされているのであるが、それは、より高いマッチング関連性スコアに基づき参加者を相互により近接して、より低いマッチング関連性スコアに基づき参加者を相互により離れて、(たとえば、仮想的な会議テーブル、仮想的な講義室、又は仮想的なネットワーキングレセプションにおいて)配置することによる。
【0010】
いくつかの実施形態では、仮想イベントは、発言者キューを含む。そのような実施形態では、参加者は、発言者キューを用いることにより、相互との通信を規制することができる。
【0011】
現在の発言者は、仮想イベントのインスタンスに表示され得る。それぞれの参加者は、ネットワークを介し、ブラウザ又は会議用アプリケーションを通じて、仮想イベントに接続するクライアントデバイスを有し得る。仮想イベントのインスタンスは、クライアントデバイスに表示され得る。仮想イベントのインスタンスは、シーンを有することがあり、そのシーンの中をナビゲートすることが可能であり得る。
【0012】
本開示の別の態様では、仮想イベントのためのマッチメーキングシステムが提供される。このマッチメーキングシステムは、少なくとも1つのプロセッサと仮想環境にホストされている仮想イベントの参加者の登録データを記憶するメモリとを有する1つ又は複数のコンピューティングデバイスを備える遠隔コンピュータシステムであって、登録データがマッチング基準を含む、遠隔コンピュータシステムを備えており、このコンピュータシステムは、マッチング基準のうちの少なくとも1つを、仮想イベントにおける複数の位置のそれぞれに割り当てるステップと、マッチング基準に基づき、参加者を仮想イベントにおける複数の位置のうちのマッチングされた位置にマッチングするステップと、仮想イベントのインスタンスを、マッチング基準に基づき、マッチングされた位置に割り当てるステップと、マッチングされた位置に加入するための招待であって、マッチングされた位置のメタデータのうちの少なくとも一部を含む招待を、マッチングされた参加者に送るステップと、マッチングされた位置に加入するための招待を参加者が受諾することに応じて、マッチングされた位置に加入する参加者に、仮想イベントのマッチングされた位置へのアクセスを付与し、マッチングされた位置において直接的に加入した参加者を生じさせ、加入した参加者がマッチングされた位置における他の参加者と通信することを可能にするステップと、を実行するようにプログラムされている。
【0013】
本開示の別の態様では、コンピュータシステムによって実行される方法が、仮想環境にリンクされている登録モジュールに、1つ又は複数のマッチング基準を含む仮想イベントの参加者の登録データを登録するステップと、マッチング基準に基づき、参加者を異なるマッチングされたグループにマッチングするステップと、マッチング基準に基づき、それぞれのマッチングされたグループに対し、仮想イベントにおける位置とメタデータとを生成するステップと、仮想イベントのインスタンスを、第1のマッチングされたグループに割り当てるステップと、第1のマッチングされたグループに加入するための招待を送るステップと、第1のマッチングされたグループに加入するための招待を参加者が受諾することに応じて、第1のマッチングされたグループに加入する参加者に、第1のマッチングされたグループへの構成員資格とアクセスとを付与し、加入した参加者が第1のマッチングされたグループの他の構成員と通信することを可能にするステップと、を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1のマッチングされたグループのメタデータは、第1のマッチングされたグループのマッチング基準を含むが、このマッチング基準は、トピック基準、賭け基準、ゲーム選択、メディアへの関心、社会的関係、ブランドへの関心、年齢グループ、又は他のマッチング基準を含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1のマッチングされたグループのためのマッチング基準は、第1のマッチングされたグループにおける参加者の間での実世界における距離を含む。
【0016】
そのような本明細書で説明されている方法又は他の方法を実行するためのコンピュータ実行可能な命令を含む非一時的でコンピュータ可読な媒体(たとえば、メモリ又は物理記憶媒体)も、説明される。
【0017】
本開示の特定の特徴、態様、及び長所は、以下の説明と次の添付の図面との関係で、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ある実施形態による仮想イベントのためのマッチメーキングシステムのブロック図である。
図2】サッカーの試合の文脈における仮想イベントのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)のインスタンスのスクリーンショット図である。
図3】会議室コンプレックスの文脈における仮想イベントGUIの別のインスタンスのスクリーンショット図である。
図4】講義室の文脈における仮想イベントGUIの別のインスタンスのスクリーンショット図である。
図5】会議室の文脈における仮想イベントGUIの別のインスタンスのスクリーンショット図である。
図6】1人の構成員との会議室の文脈における仮想イベントGUIの別のインスタンスのスクリーンショット図である。
図7】3人の構成員との会議室の文脈における仮想イベントGUIの別のインスタンスのスクリーンショット図である。
図8】ある実施形態による仮想イベントのためのマッチメーキングの方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明では、例証により様々な実施形態を示す図面への参照がなされる。また、様々な実施形態が、いくつかの例を参照することにより、後述される。これらの実施形態は、特許請求されている主題の範囲から逸脱することなく、設計及び構造における変更を含み得る、ということが理解されるべきである。
【0020】
仮想イベントのためにマッチメーキングを行うためのシステム及び方法が説明される。説明されている実施形態では、コンピュータシステムが、マッチング基準に基づき、参加者を異なるマッチングされたグループにマッチングするステップと、マッチング基準に基づき、マッチングされたグループのそれぞれに対し、仮想イベントにおける位置とメタデータとを生成するステップと、仮想イベントのインスタンスを、マッチングされたグループに割り当てるステップと、マッチングされたグループに加入するための招待を送るステップと、そのような招待を参加者が受諾することに応じて、マッチングされたグループに加入する参加者に、マッチングされたグループへの構成員資格とアクセスとを付与し、加入した参加者がマッチングされたグループにおける他の構成員と通信することを可能にするステップと、を実行するようにプログラムされている。そのような実施形態と他の実施形態とのさらなる詳細は、後述される。
【0021】
図1は、仮想イベントをホストするためのシステム100の図を示している。遠隔コンピューティングデバイスは、この場合には少なくとも1つのプロセッサとメモリ(図示せず)とを有するサーバ105であるが、仮想イベント110を記憶するマッチメーキングシステム125と、管理モジュール130と、登録モジュール135と、グルーピングユニット140とを備えている。仮想イベント110は仮想環境にホストされているが、この仮想環境は、対応するグラフィカル要素を含み仮想イベントが生起する2D又は3Dの仮想環境のうちのいずれかであり得る。登録モジュール135は、参加者が仮想イベント110に登録するときに、仮想イベント110への参加を希望する参加者の登録データを捕捉する。登録データは、参加者のプロファイル情報を含む。これは、参加者の氏名、写真、サムネイル、住所、国籍、言語、年齢、性別、資格、職業、研究分野、趣味、スポーツへの関心、参加者がサポートするチーム、又は参加者のいずれかの他の関心を含み得る。登録モジュール135は、仮想イベント110にリンクされている。
【0022】
参加者は、次に、一定のマッチング基準(図示せず)に従ってマッチアップされるのであるが、このマッチング基準は、参加者の登録データに含まれる又は参加者の登録データから推測され得る。いくつかの実施形態では、マッチング基準は、仮想イベントの性質又はタイプに依存する。たとえば、仮想イベント110がスポーツイベントである場合には、マッチング基準は、参加者がサポートしているチームを含み得る。仮想イベント110がエレクトロニクスの講義である場合には、マッチング基準は、参加者の研究分野及び/又は参加者が勤務している企業を含み得る。仮想イベント110が美術展覧会である場合には、マッチング基準は、抽象、印象派、モダニズム、キュビズム、シュールレアリズム又はコンテンポラリアートなど、参加者が関心ある特定の作風を含み得る。マッチング基準は、また、参加者の年齢グループを含むこともあり得る。
【0023】
マッチング基準のさらなる例は、カジノでの賭けゲーム、自動車レース若しくは競馬、又はスポーツイベントなどにおける賭け基準である。さらに、参加者が賭ける金銭の最大額も、マッチング基準に含まれ得る。
【0024】
別の例は、参加者が好むゲームの種類であろう。例としては、ブリッジなどのカードゲーム、チェス、又はビンゴが含まれ得る。メディアへの関心も、マッチング基準として機能し得る。これには、新聞、雑誌、ラジオ、又はテレビが含まれ得る。マッチング基準のさらなる例は、家族の絆、学校若しくは大学の構成員、又はスポーツクラブの構成員などの社会的関係である。ブランドへの関心も、マッチング基準になり得る。例としては、ブランドがメルセデス(MERCEDES)、ビーエムダブリュ(BMW)、又はフォルクスワーゲン(VOLKSWAGEN)などであり得る自動車が含まれる。他のブランドは、グッチ(GUCCI)又はカルティエ(CARTIER)など、服飾の分野におけるものであり得る。
【0025】
マッチメーキングシステム125は、また、グルーピングユニット140を有する。グルーピングユニット140は、マッチング基準に基づき、参加者を異なるマッチングされたグループにマッチングする。いくつかの実施形態では、これらの異なるグループは、最初には参加者なしでマッチング基準に基づいて作成されるのであって、それにより、それらのグループに対するマッチング基準に合致する参加者が最初は存在しない場合であっても、グループが作成されることが可能になり得る。グルーピングユニット140は、次に、マッチング基準に基づき、仮想イベント110をホストする仮想環境における位置と同様にそれぞれのグループのためのメタデータも生成する。いくつかの実施形態では、グルーピングユニット140は、最初には、仮想イベントのトピックとの関係など、マッチング基準との何らかの関係を有する仮想環境における位置を探し求める。関係が見つからない場合には、グルーピングユニット140は、仮想環境において何らかの他の方法で(たとえば、ランダムに又は予め定められたパターンで)位置を選択し、同じ位置が他のグループには提供されないようにその位置をその特定のグループのために確保する。
【0026】
たとえば、映画製作に関する会議において、マッチング基準がサイエンスフィクション映画での指示されている関心であり、サイエンスフィクションのために確保されている部屋/テーブル/エリアなどの位置が存在する場合には、グルーピングユニット140は、最初に、サイエンスフィクションの位置を識別し、次に、サイエンスフィクションに関心を有する参加者をその位置に配置する。サイエンスフィクションのために確保されている特定の部屋/テーブル/エリアなどの位置が存在しない場合には、グルーピングユニット140は、仮想環境の何らかの他の利用可能な位置(たとえば、ランダムな位置)を選択する。グルーピングユニット140は、次に、その(仮想的な部屋/テーブル/エリアなどの)選択された位置をサイエンスフィクション映画への関心を有する参加者のために確保されているものとして識別し、マッチングする関心を有する参加者をその位置に配置することを開始する。
【0027】
グルーピングユニット140は、次に、仮想イベント110のインスタンスを、それぞれのグループに割り当てる。「インスタンス」という用語は、ビデオ会議空間(たとえば、そのようなビデオ会議空間を表す2D又は3D仮想環境の)に加えて、ビデオ会議空間の内部での通信を可能にする1つ又は複数の対応する通信チャネルを備えたビデオ会議セッションの特定の独立した実装形態を指す。仮想イベント110のインスタンスは、たとえば、2D又は3D仮想環境におけるビデオ会議セッションとして実装された仮想イベント110であり、その場合、参加者が英語を話すサッカーなどのスポーツイベントであれば、英語での音声による解説が提供される。インスタンスの別の例は、ドイツ語を話す参加者のためにドイツ語での音声による解説を伴う仮想イベントである。1つの実施形態では、インスタンスは、参加者の物理的な測位に基づいて、提供される。たとえば、英語を話す参加者がイングランドに位置している場合には、作成されるインスタンスは、イングランドにおける商品及びサービスの広告を、英語で受け取り提供することになる。同様に、ドイツ語を話す参加者がドイツに位置している場合には、彼又は彼女は、ドイツにおける商品及びサービスの広告を、ドイツ語で受け取るであろう。同様の方法で、仮想イベント110が美術展覧会であり、参加者の美術への関心が印象派である場合には、参加者に示される仮想イベント110のインスタンスは、印象派の美術を含むことになる。参加者の物理的な測位を考慮に入れることにより、グルーピングユニット140は、したがって、マッチメーキングを行うために、位置と他の参加者との相互距離とを考察する。
【0028】
グルーピングユニット140は、特定のグループに対する関心若しくは人口統計の厳密なマッチング又は仮想環境における適切な位置の選択を超えて参加者のグルーピングを向上させるために、たとえば機械学習アルゴリズムを用いることによって、実装されることが可能である。ある例証のためのシナリオでは、参加者たちは、彼らのグループにおける仮想的な位置又は参加者たちとの彼らの対話を楽しんだかどうかを示すサーベイを完成させることを求められることがあり得る。別の例証のためのシナリオでは、システムが、グループにおける参加者の間での対話の継続時間又は頻度など、グルーピングが成功したことを示す情報を自動的に収集する場合もあり得る。対話又は参加者の満足度のレベルは、点数化のための計量と関連付けられることがあり得る。機械学習アルゴリズムは、マッチング基準に基づき、そのような計量を考慮に入れて、対話のレベル又は参加者の満足度の期待レベルを増加させるパターンを識別することができる。可能な機械学習アプローチは、教師あり学習と、教師なし学習と、強化学習とのアプローチを含んでいた。
【0029】
グルーピングユニット140は、次に、たとえば、(たとえば、ユニフォームリソースロケータ(URL)としての招待を参加者のクライアントデバイスに送ることによって参加者がマッチングされているグループに加入するように、参加者を招待する。いくつかの実施形態では、この招待は、マッチングされたグループのメタデータの少なくとも一部を含む。このメタデータは、スポーツイベントの場合には、たとえば、グループがサポートしているチームと、参加者の位置と、グループが取得しようと試みている他の参加者からの距離とを含む。仮想イベント110が美術展覧会である場合には、メタデータは、グループに関係する作風と同様にグループが取得しようと試みている参加者の年齢も含み得る。他の実施形態では、メタデータが、招待と共に送られることはない。
【0030】
他方で、仮想イベント110がエレクトロニクスの講義である場合には、メタデータは、グループの特定の関心又は活動に関する情報を含み得るのであって、これは、レーダ、信号処理、又はパワーエレクトロニクスへの彼らの関心を示すデータなどである。
【0031】
(たとえば、招待の中のハイパーリンクを参加者がクリックする、タップする、又はそれ以外の方法でアクティブにすることによって)グループに加入するための招待を参加者が受諾することに応じて、グルーピングユニット140は、グループに加入するための招待を受諾するそれぞれの参加者に、マッチングされたグループへの構成員資格とアクセスとを付与する。グループに加入した参加者は、マッチングされたグループにおける他の構成員と通信することができる。この通信は、ビデオ、音声、テキストチャット、又は類似のものによることが可能である。
【0032】
それぞれのグループのための仮想環境は、仮想イベント110に基づいて、それぞれのグループのために(たとえば、トピック又は関心に基づいて)カスタマイズされることが可能である。たとえば、多くのスポーツを含むスポーツ会議では、主にサッカーに関心があるグループは、サッカーに関係する装飾を用いて飾られた彼らのインスタンスに依存する仮想環境を有することができる。印象派絵画に関心があるグループの場合には、仮想環境は、印象派画家たちの肖像画を用いて装飾されることが可能である。同様に、パワーエレクトロニクスに関心のあるグループの場合には、仮想環境は、パワー半導体の画像を用いて装飾されることが可能である。
【0033】
いくつかの実施形態では、マッチメーキングシステム125は、グルーピングユニット140を通じて、より高いマッチング関連性スコアに基づいてマッチングされたグループのマッチングされた参加者を相互により近接して配置して、より低いマッチング関連性スコアに基づいて第1のマッチングされたグループのマッチングされた参加者を相互により離れて配置するように、さらにプログラムされている。マッチング関連性スコアとは、本明細書では、マッチング基準に基づいてマッチメーキングシステム125によって計算されるスコアを指し、より多くの類似する関心を有する若しくはマッチング基準の少数の選択されたカテゴリにより高い関心を有する、及び/又は同様の参加者にはより高いマッチング関連性を提供し、より少数の類似する関心を有する若しくはマッチング基準の少数の選択されたカテゴリにより低い関心を有する、及び/又は同様の参加者にはより低いスコアを提供する。そのような関連性スコアを計算するために用いられる特定の技術は、実装形態、距離計量を計算するための既知の技術、又は類似性尺度に応じて変動し得る。
【0034】
図1は、仮想イベント110の参加者160、185、及び1120を示している。参加者160はクライアントデバイス145を有し、参加者185はクライアントデバイス170を有し、参加者1120はクライアントデバイス1105を有する。クライアントデバイスは、デスクトップ/ラップトップコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、タブレットコンピュータ、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイス、VR/AR経験を提供するヘッドマウントディスプレイ、スマートコンタクトレンズ、及び類似のものを含む任意の形態のエンドユーザデバイスを備え得る。
【0035】
図1に示されているように、クライアントデバイス145、170、及び1105のそれぞれは、ブラウザ又は会議用アプリケーション(app)150、175、1110を通じて、仮想イベント110に接続する。ブラウザ又は会議用アプリケーション150、175、1110では、仮想イベント(VE)110のインスタンスが表示される。仮想イベント110のこのインスタンスは、また、参加者160、185、及び1120がそれを通じて仮想イベント110と対話するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)も提供する。仮想イベントのこれらのインスタンスも、グラフィカルユーザインターフェース155、180、及び1115を提供する。
【0036】
それぞれのクライアントデバイス145、170、及び1105は、ネットワーク120、165、及び190を用いて、サーバ105に接続される。これらのネットワークは、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)、又はさらにはローカルエリアネットワーク(LAN)、又はクライアントデバイスをサーバと接続することができる任意の他のものであり得る。
【0037】
管理モジュール130は、仮想イベント110とクライアントデバイス145、170、及び1105の仮想イベントのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)(155、180、及び1115)のインスタンスとをそれぞれ同期させるように構成されている。このような同期は重要であって、その理由は、グルーピングユニット140が仮想イベント110のインスタンスをそれぞれのグループに割り当てる際に、イベントがすべてのインスタンスに対して同じままに留まるのに対し、それぞれのマッチングされたグループは、それ自体の特徴と通信チャネルとを有することが可能であり、これが、インスタンスを元のイベントから潜在的に同期解除させ得るからである。いくつかの実施形態では、管理モジュール130が、イベント時間、仮想環境における参加者の動き、音声、ビデオ、及び/又はイベントとその様々なインスタンスとの他の特徴のうちの1つ又は複数を同期させる。管理モジュール130は、このようにして、イベントがクライアントデバイス145に可能な限り忠実に送信されるという同期を保証している。
【0038】
図2は、全体として200で示されている、上述したサッカーの試合の仮想イベントGUI(155、180、及び1115)のインスタンスを示している。図2において見られるように、このシーンは、2つのサッカーチームの間のサッカーの試合が、そのサッカーの試合を見ているマッチングされたグループの構成員の間での通信を可能にするビデオ会議環境のインスタンスにブロードキャストされているシーンである。このシーンは、特定の側のサポータである参加者に対するマッチング基準を有するグループのために作成された仮想イベントのインスタンスであり得る。マッチング基準は、また、参加者の測位及び年齢グループを含むことがあり得る。この仮想イベントのインスタンスは、いくつかのシナリオでは、グループに関係する言語での解説と、その広告に適用される位置及び年齢グループに関係するサービス及び製品の広告とを含む場合があり得る。
【0039】
グループに加入した参加者は、今では、グループの構成員である。シーンの上部及び真ん中に示されているのは、グループ205に加入した構成員の参加者識別子(たとえば、アイコン、アバタ、又はサムネイル画像)である。これらの構成員は、相互に通信することが可能である。通信の利用可能なモードは、グループのサイズ又は他のファクタに基づいて、変動し得る。ある例証のためのシナリオでは、グループが小さい(たとえば、2~5人の参加者)ときには、参加者は、自由にそして同時に通信することができる。いくつかの実施形態では、ある構成員が、他の構成員には聞かせることなくグループの特定の構成員と通信することを望むときには、彼又は彼女は、私的な通信チャネルを開設するために、その構成員の識別子をクリックする又はそれ以外の方法で選択することができる。
【0040】
いくつかのシナリオでは、構成員が、発言者キュー210を用いて、グループ内部での通信を規制することを希望できる。たとえば、同時に話すことを希望する構成員が多すぎる場合には、グループの構成員が有効に通信することがもはや不可能である可能性がある。これを克服するために、グループの構成員は、発言者キュー210を使用することで、彼らの間での通信を規制することを決めることができる。いくつかの実施形態では、発言者キュー210は、ある特定の時点においてグループの中のただ1人の構成員だけが話すことを許容する。ある構成員が話す機会を望む場合には、彼又は彼女は、たとえば、シーンに用意されているアイコンをクリックするか、又は自分のキーボードにそのように配置されているボタンを押下することになろう。誰か別の人が話している場合には、その参加者は、発言者キュー210の後に配置される。発言していた人がいったん終了すると、発言者キュー210の列における次の人が、発言する機会を与えられる。彼又は彼女は、次に、発言キュー210から除去され、発言者キューにおけるすべての他の構成員が、キューの前方向に向かって1つの空間だけ前進する。
【0041】
図2に図示されているさらなる特徴として、現在の発言者215のビデオ画像が、右上の角に表示されている。右下の側には、他のグループのアイコン220が存在する。これらのアイコンは、他のグループに接触するために、現在のグループの構成員によって用いられることが可能である。他のグループのそれぞれもまた、仮想イベントの一部を形成する残りのグループのアイコンを有する。このように、仮想イベントにおけるすべてのグループが、相互に接触するために、これらの象徴的なグラフィカル表現又はアイコンを用いることができる。
【0042】
また図2には、下部の中央の方にサーチボックス225が示されている。サーチボックス225によると、グループの構成員が、グルーピングユニットを経由して、グループの構成員が関連するグループをサーチすることを可能にするサーチエンジンに接続できることになる。サーチ結果は、たとえば、現在のグループ又はサーチを実行している参加者のマッチング基準に基づき得る。グループのうちの1人又は複数の構成員が、たとえば、別の言語を話す、別の地理的ゾーンにいる、又は別のチームをサポートしている人々をサーチするためなど、彼らと関連する他のマッチング基準のキーワードを用いて、人々と話すためにグループを変更することを希望するときに、これは、有用であり得る。グループをマッチングする結果は、別のウィンドウ又は同じウィンドウに、その一部と重なって示されることが可能である。次に、参加者は、新たな関心グループを選択して、そのグループに加入するためにグループのホスト又は管理者からの許可を求めることができる。
【0043】
図3は、会議コンプレックス310のシーンを有する仮想イベントGUI300の別のインスタンスを示している。図3では、仮想イベントは2D仮想イベントであり、そこでは、グループの参加者又は構成員は、2D仮想環境の内部で、クリックされるとグループの他の参加者又は構成員との通信を可能にするビデオ会議を生じさせるサムネイル又はアバタとして表されている。
【0044】
会議コンプレックス310は、会議室1 315と、会議室2 320と、会議室3 325とを有する。会議室1 315は、グループA355を有する。グループA355は、構成員A1 335、構成員A2 340、構成員A3 345、及び構成員A4 350の4人の構成員によって囲まれたテーブルAを有する。会議室2 320は、グループB365を有する。グループB365は、6人の構成員によって囲まれたテーブルBを有する。グループC360は、3人の構成員によって囲まれたテーブルCを有する。それぞれのグループの構成員は、音声及び画像によって相互に通信することができる。イベント及び仮想環境のインスタンスと対応する通信インスタンスとは独立であるから、ある1つのグループの構成員は、他のグループの構成員が相互に何を話しているかを聞くことができない。一般的に、グループの構成員は、同時に話すことが可能である。
【0045】
グループA 355で、構成員A1 335が構成員A3 345に何かを秘密に話したい場合には、構成員A1 335は、構成員A3 345のアイコンをクリックすることができる。グループA355がグループB365にグループとして接触することを望む場合、彼らは、テーブルBをクリックすることになるだろう。同様に、グループC360がグループA355にグループとして接触することを望む場合には、彼らは、テーブルAをクリックすることができる。グループC365がグループA355の構成員A2 340を招待して、彼又は彼女がその招待を受諾する場合には、構成員A2 340は、自分のアイコンをテーブルCの次のグループC360に移動させることによって、グループC360に加入することが可能である。すると、構成員A2 340は、グループC360のすべての構成員と通信することが可能になり、グループA355の構成員とは、もはや通信することが不可能になる。あるグループの構成員は、特に大きなグループB365などの場合のように、自分たちの間での通信を規制することを決めることが可能である。彼らは、図2を参照して論じられたように、発言者キュー380を使用することによって、そうすることができる。すると、現在の発言者が、右上の角に示されているように、現在の発言者375として表示される。また、図3には、左下の方向に、サーチボックス370が示されている。これにより、グループの構成員が、図2を参照して論じられたように、グルーピングユニットを経由して、そのグループの構成員がマッチング基準に基づいて関連するグループをサーチすることを可能にするサーチエンジンに接続することができるようになる。
【0046】
図4は、講義室415のシーンを有する仮想イベントGUI400の別のインスタンスを示しており、この仮想イベントは、3D仮想環境にホストされている。
【0047】
講義室415のシーンは、ブラウザ405に表示されている。さらに図4には、講師又は発言者自身が自由に第1のボード460と第2のボード465とを有する講師又は発言者410が示されている。これらのボードは、講義の発表を助けることができる情報を表示するため、発言者410によって用いられることが可能である。講義室415は、それぞれが4つの椅子を有する4つのテーブルを有している。これらの椅子は、仮想イベントの参加者によって占有されることが可能である。4つの椅子を有するそれぞれのテーブルは、上述したように、1つのグループを形成することができる。これは、そのグループの構成員は相互に通信することが可能であるが、他のテーブルで他のグループが話していることを聞くことはできない、ということを意味している。講義シーンの背景をクリックしてマウスを移動させることにより視野をパンして(左右を見る)傾斜させる(上下を見る)ことで、ナビゲートすることも可能である。
【0048】
いくつかの実施形態では、VE(仮想)イベントGUI400は、また、キーボードの1つ又は複数のキーを押下しキーボードの矢印キーを用いることによるなど、いずれかの適切な手段を用いてシーンの中で動き回ることによって、ユーザが仮想環境をナビゲートすることも可能にする。ユーザが仮想環境の中を歩いている間、ユーザグラフィカル表現は、シーンを通過して移動し、移動しているユーザがユーザ自身を変位させている間に他のユーザによって見られることが可能な一人称での視野を経験する。また、椅子をクリックすることによって椅子に座ることも可能であって、それにより、座っているユーザは、彼又は彼女は椅子に座っているかのようなシーンの視野を有することが可能になる。イベントの参加者又はグループの構成員は、したがって、講義室の仮想環境における3D没入効果を経験する。
【0049】
シーンの下方向には、講義の構成員又は参加者による使用が可能ないくつかのアイコンが存在する。第1に、構成員が彼又は彼女のマイクロフォンをミュートに又はミュート解除することが可能なミュート/ミュート解除マイクロフォン420アイコンがある。ミュート/ミュート解除マイクロフォン420アイコンの下側には、スクリーン共有開始425アイコンがあり、これは、スクリーンを共有するためにグループ又は参加者のうちの2人以上の参加者又は構成員によって用いられることが可能である。アイコン420の右側にあるアクティブ/非アクティブカメラ430アイコンは、彼又は彼女のカメラをアクティブ又は非アクティブにするためにグループの参加者又は構成員によって用いられることが可能である。これによって、構成員又は参加者が、残りの参加者又は構成員にとって可視的であるか又は可視的でないかのいずれかであることが可能になる。
【0050】
また、グループの参加者又は構成員が、必要性が生じた場合に、さらなる助けを得ることを可能にするヘルプ435アイコンも用意されている。また図4には、グループの構成員又は他の参加者の間で交換されることが可能なメッセージをタイプするのに用いられることが可能なチャット440アイコンも示されている。現在の出席者(グループの構成員又は仮想イベントにおける他の参加者)を閲覧するため、及び他の出席者をグループに招待するためにも用いられる、閲覧/招待出席者445アイコンが用意されている。フルスクリーン表示の選択、デバイス設定、又は問題を報告するために、オプション450アイコンが用意されている。右下にある最後のアイコンである退出455は、グループの構成員又は参加者が仮想環境のシーンを退出するためにオプションとして用意されている。
【0051】
図5は、会議室を表示している仮想イベントGUI500という別のインスタンスを示している。これもまたグループであり、見ることができるように、最初、この部屋には構成員がまったく存在しない。図6は、1人の構成員がいる会議室を表示している仮想イベントGUI600という別のインスタンスを示している。図7は、3人の構成員がいる会議室を表示している仮想イベントGUI700という別のインスタンスを示している。グループの4人目の構成員の半透明なユーザグラフィカル表現が存在しており、これは、仮想環境にちょうど入りつつあるユーザを表す。見ることができるように、構成員が招待を受諾するにつれて、グループの構成員数は増加する。この仮想イベントは会議であり、会議室で行われている。これは、3D仮想環境であって、この3D仮想環境の内部では、参加者又はグループの構成員が、カメラによって生成された彼ら自身のユーザグラフィカル表現として表現されている。
【0052】
参加者を類似の関心又は背景のグループにグルーピングして、相互との通信を容易にすることにより、本開示のシステム及び方法は、このように、個別的により容易に相互に出会い交際するための機会を参加者に提供する。これにより、参加者が類似の関心を有する人々と出会いネットワークを形成することが、より容易になる。これらの仮想イベントは一般的には互いに他人である多数の参加者によって出席されることが可能であるけれども、提案されているシステム及び方法は、ネットワークを形成し新たな事業又は他の関係を相互に構築するためのよりよい機会を参加者に提供する。
【0053】
図1において見ることが可能であるように、ストレージユニット115は、後で参加者がその仮想イベントを再生して検討することを可能にするために、仮想イベントからの音声/ビデオコンテンツと他の関係するデータとを記録する。たとえば、仮想イベントが教室環境におけるようなエレクトロニクスの分野における講義である場合には、参加者は、他の参加者たちの間での議論又はイベントの間に講師に対して発せられた質問への回答を検討するために、イベントの複数の部分を再生することができる。
【0054】
上述された実施形態は、クライアントデバイスの間で接続を確立しクライアントデバイスの間でビデオ及び音声をストリーミングするために、仮想イベント110を提供する中央サーバ100に依拠しているが、本開示の基礎となる原理は、この特定の実装形態に限定されることはない。たとえば、1つの実施形態では、クライアントデバイスは、仮想イベントに参加している他のクライアントのネットワークアドレスを参照するために、中央サーバを用いないか(たとえば、ピアツーピアネットワーキングプロトコルを用いる)、又は中央サーバを単にディレクトリサーバとして用いるかのいずれかにより、相互にピアツーピアの接続を確立するように構成されている。追加的に、この実施形態では、クライアントデバイスは、参加者のビデオ及び音声を交換するために、直接的な接続を相互に確立する。
【0055】
いくつかの実施形態では、応答的なユーザインターフェースを保証するため、ローカルな参加者からの入力に応じて、ローカルな更新が直ちに適用される。たとえば、クライアントデバイスにおける参加者がキュー鍵を選択し保持することに応じて、その参加者は、直ちに発言者キューに配置される及び/又は(その参加者がキューの中で最初である場合には)中央発言者領域に配置される。このように、状態の更新は、参加者のグラフィカルユーザインターフェースに直ちに反映されることになり、結果的に、肯定的なユーザ体験を生じさせる。
【0056】
いくつかの実施形態において、図5図7の3D仮想環境500~700のような3D仮想環境を用いるときには、仮想環境は、クライアント・サーバ側とピアツーピア(P2P)側とを含むハイブリッドなシステムアーキテクチャを用いる。ある実施形態では、クライアント・サーバ側は、ウェブ又はアプリケーションサーバを備えている。クライアント・サーバ側は、セキュアな通信プロトコル、マイクロサービス、データベース管理システム、データベース、並びに/又は分散型のメッセージ及びリソース分散プラットフォームを含むように、さらに構成されることがあり得る。サーバ側のコンポーネントは、ネットワークを通じてサーバと通信するクライアントデバイスと共に提供されることがあり得る。クライアント・サーバ側は、クライアント側、サーバ側、又は受信するクライアント側によって実行される任意の処理を含め、1つ又は複数のクライアントとサーバとの間でのネットワークを通じた対話を定義する。ある実施形態では、対応するクライアントとサーバとのうちの1つ又は複数が、様々な規則ベースのタスク配分の組合せに従って、必要な画像及び媒体処理を実行する。ある実施形態では、ウェブ又はアプリケーションサーバは、セキュアな通信プロトコルを用いてクライアントリクエストを受け取り、データベース管理システムを用いてそのリクエストに対応するマイクロサービス又はデータをデータベースにリクエストすることによって、クライアントリクエストを処理するように構成されている。マイクロサービスは、出版購読型モデルを使う分散型メッセージ及びリソース分散プラットフォームを用いて、分散される。
【0057】
P2P側は、仮想環境におけるクライアントデバイスの間でのリアルタイムの通信を可能にするP2P通信プロトコルと、仮想環境に含まれている(たとえば、ユーザグラフィカル表現のような)ライブセッション要素のリアルタイムの3Dレンダリングをクライアントデバイスが実行することを可能にするように構成されているレンダリングエンジンとを備えている。適切なP2P通信プロトコルの例は、ウェブリアルタイム通信(WebRTC)という通信プロトコルであり得るが、これは、規格、プロトコル、及びJavaScript APIの集合体であり、これらは、組合せとして、ピアクライアントデバイスの間でのP2Pの音声、ビデオ、及びデータの共有を可能にする。適切なレンダリングエンジンの例は、WebGLに基づく3Dエンジンであり得るが、これは、プラグインを使用することなく、互換性を有するどのウェブブラウザの内部でも2D及び3DグラフィクスをレンダリングするためのJavaScriptのAPIであり、(たとえば、1つ又は複数のグラフィック処理ユニット(GPU)などの)クライアントデバイスの1つ又は複数のプロセッサによる物理及び画像処理並びに効果の加速された使用を可能にする。ある実施形態では、P2P側は、仮想環境においてクライアントデバイスがリアルタイムのコンピュータビジョンタスクを実行することを可能にするように構成されているコンピュータビジョンライブラリをさらに含む。適切なコンピュータビジョンライブラリの例はOpenCVであり得るが、これは、主にリアルタイムのコンピュータビジョンタスクのために構成されたプログラミング機能のライブラリである。通信のそのようなハイブリッドモデルを用いることによって、ウェブサービスとリソースとをそれぞれのセッションに提供しながらレイテンシの問題を低減させるユーザ間での迅速なP2P通信を可能にすることができ、仮想環境におけるユーザ間での及びコンテンツとの複数の対話が可能になる。P2P側に対するクライアント・サーバ側の使用のレベル及び比率は、処理されるデータ量、円滑なユーザ経験を維持するのに許容されるレイテンシ、望まれるサービスの質(QOS)、要求されるサービス、又は類似のもののうちの1つ又は複数に左右され得る。
【0058】
図8は、仮想イベントのためのマッチメーキングの方法800を示している。方法800は、マッチング基準に基づいて、仮想イベントの参加者を異なるマッチングされたグループにマッチングすることによって、ステップ810で開始する。いくつかの実施形態では、仮想イベントは、少なくとも1つのコンピューティングデバイスのメモリ内部の仮想環境にホストされている。マッチング基準は、仮想環境にリンクされている登録モジュールにおける仮想イベントの参加者の登録データに含まれ得る。この方法は、ステップ820において、マッチング基準に基づき、それぞれのグループに対して、仮想イベントにおける位置とメタデータとを生成することによって、そしてステップ830においては、仮想イベントのインスタンスをそれぞれのグループに割り当てることによって、進行する。ステップ840では、この方法は、マッチングされたグループに加入するための招待を参加者に送ることによって、進行する。いくつかの実施形態では、この招待は、たとえばURLの内部のメタデータをエンコードすることによって、第1のマッチングされたグループのメタデータの一部を含む。ステップ850では、この方法は、(たとえば、招待におけるURLをクリックする又はそれ以外の方法でアクティブにすることによって)グループに加入するための招待を参加者が受諾することに応じて、マッチングされたグループへの構成員資格とアクセスとをグループに加入するそれぞれの参加者に付与することによって、継続する。これにより、加入した参加者が、マッチングされたグループにおける他の構成員と通信することが可能になる。
【0059】
一定の実施形態が以上で説明され、添付の図面に示されているが、様々な他の修正が当業者にとっては可能であり得るから、そのような実施形態は、広い意味での本発明の単に例証のためのものであって、広い意味での本発明に対する制限ではなく、本発明は、示されており説明されている特定の構成及び配置に限定されることはない、ということが理解されるべきである。本明細書は、よって、限定ではなく例証のためのものと考えられるべきである。
【符号の説明】
【0060】
100 システム、中央サーバ
105 サーバ
110 仮想イベント
115 ストレージユニット
120 ネットワーク
125 マッチメーキングシステム
130 管理モジュール
135 登録モジュール
140 グルーピングユニット
145 クライアントデバイス
150 ブラウザ又は会議用アプリケーション
155 仮想イベントのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)のインスタンス
160 参加者
165 ネットワーク
170 クライアントデバイス
175 ブラウザ又は会議用アプリケーション
180 仮想イベントのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)のインスタンス
185 参加者
190 ネットワーク
1105 クライアントデバイス
1110 ブラウザ又は会議用アプリケーション
1115 仮想イベントのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)のインスタンス
1120 参加者
210 発言者キュー
215 現在の発言者
220 他のグループのアイコン
225 サーチボックス
310 会議コンプレックス
315 会議室1
320 会議室2
325 会議室3
335 構成員A1
340 構成員A2
345 構成員A3
350 構成員A4
355 グループA
360 グループC
365 グループB
370 サーチボックス
375 現在の発言者
380 発言者キュー
405 ブラウザ
410 発言者
415 講義室
420 ミュート/ミュート解除マイクロフォン
425 スクリーン共有開始
430 アクティブ/非アクティブカメラ
435 ヘルプ
440 チャット
445 閲覧/招待出席者
450 オプション
455 退出
460 第1のボード
465 第2のボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】