(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000776
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】間仕切り装置
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20231226BHJP
E05D 15/00 20060101ALI20231226BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
E04B2/74 561G
E05D15/00 A
A47G5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099673
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】中村 健治
(57)【要約】
【課題】居室を第1個別空間と第2個別空間との2つの空間に区画した状態において、区画された一方の個別空間全体を露呈させることなく、他方の個別空間を一時的に拡張できる間仕切り装置を提供する。
【解決手段】間仕切り装置1は、第1個別空間101、第2個別空間102及び共有空間103を有する居室100内に設置され、第1個別空間101及び第2個別空間102を仕切る。間仕切り装置1は、居室100内に設置されたベース部2と、ベース部2に対して回動可能に接続された第1パネル4と、第1パネル4における第2方向Yの一方Y1側の端部に回動可能に接続された第2パネル6と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1什器が設置される第1個別空間、床面に沿う方向のうち第1方向において前記第1個別空間に隣り合うとともに、第2什器が設置される第2個別空間、並びに前記床面に沿う方向のうち前記第1方向に交差する第2方向で前記第1個別空間及び前記第2個別空間の一方側に位置して、前記第1個別空間及び前記第2個別空間の双方に連通する共有空間を有する居室内に設置され、前記第1個別空間及び前記第2個別空間を仕切る間仕切り装置において、
前記居室内に設置されたベース部と、
第1ヒンジを介して前記第1方向に回動可能に、前記ベース部に接続された第1パネルと、
第2ヒンジを介して前記第1方向に回動可能に、前記第1パネルに接続された第2パネルと、を備えている間仕切り装置。
【請求項2】
前記ベース部に対して前記第1方向の一方側に設けられるとともに、前記ベース部を前記第1方向の一方側から支持する第1収納什器と、
前記ベース部に対して前記第1方向の他方側に設けられるとともに、前記ベース部を前記第1方向の他方側から支持する第2収納什器と、を備えている請求項1に記載の間仕切り装置。
【請求項3】
前記第1ヒンジは、前記第1収納什器及び前記第2収納什器に対して前記第2方向の一方側に配置されている請求項2に記載の間仕切り装置。
【請求項4】
前記ベース部、前記第1収納什器及び前記第2収納什器のうち、少なくとも何れかが前記居室の前記床面及び天井面の双方に固定されている請求項2又は請求項3に記載の間仕切り装置。
【請求項5】
前記ベース部、前記第1収納什器及び前記第2収納什器のうち、少なくとも何れかが前記居室の壁面に固定されている請求項2又は請求項3に記載の間仕切り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院や介護施設では、同じ居室を利用する複数の利用者のそれぞれに対して利用者同士のプライバシーを確保するために間仕切り装置を設けていた。例えば、間仕切り装置として、壁面から居室の内側に突出するように設けられた中空壁状体に、居室内を2つの空間に簡易的に区画できる引戸状パネルが収容可能に設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この間仕切り装置によれば、居室内を区画する必要が生じた場合に、引戸状パネルを中空壁状体から引き出して居室内を第1個別空間と第2個別空間との2つの空間に区画できる。また、居室内を第1個別空間と第2個別空間との2つの空間に区画する必要がなくなった場合には、引戸状パネルを中空壁状体に収容できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された間仕切り装置は、例えば、第1個別空間にベッド等の大きな什器を出入りさせる際に、第1個別空間を一時的に大きくしたいだけの場合でも、引戸状パネルを中空壁状体に一定の長さに亘って収容する必要がある。
しかし、引戸状パネルを中空壁状体に一定の長さに亘って収容した場合、第2個別空間が第1個別空間側から露呈されてしまう。すなわち、特許文献1の間仕切り装置は、引戸状パネルで区画された第1個別空間及び第2個別空間の柔軟な運用の可否という観点で、課題が残る。
【0006】
そこで、本発明は、第1個別空間と第2個別空間との2つの空間に居室を区画した状態において、区画された一方の個別空間全体を露呈させることなく、他方の個別空間を一時的に拡張できる間仕切り装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
(1)本開示の一態様に係る間仕切り装置は、第1什器が設置される第1個別空間、床面に沿う方向のうち第1方向において前記第1個別空間に隣り合うとともに、第2什器が設置される第2個別空間、並びに前記床面に沿う方向のうち前記第1方向に交差する第2方向で前記第1個別空間及び前記第2個別空間の一方側に位置して、前記第1個別空間及び前記第2個別空間の双方に連通する共有空間を有する居室内に設置され、前記第1個別空間及び前記第2個別空間を仕切る間仕切り装置において、前記居室内に設置されたベース部と、第1ヒンジを介して前記第1方向に回動可能に、前記ベース部に接続された第1パネルと、第2ヒンジを介して前記第1方向に回動可能に、前記第1パネルに接続された第2パネルと、を備えている。
【0008】
本態様によれば、例えば第1個別空間内に第1什器を搬入する際等において、第1パネル及び第2パネルが第2方向に沿って直線状に配置された初期状態から、第1パネルをベース部に対して第2個別空間側に回動させつつ、第2パネルを第2方向に直線状に配置する。これにより、第1個別空間及び第2個別空間の間が第1パネル及び第2パネルによって仕切られつつ、第1パネル及び第2パネルが初期状態に対して第2個別空間側に移動する。その結果、第1個別空間(特に、第1個別空間と共有空間との出入り口用の開口)が一時的に拡張され、第2個別空間が第1個別空間から視認され難い状態で、第1個別空間に第1什器を搬入できる。よって、第2個別空間のプライバシーを確保しつつ、第1個別空間での作業性を向上させることができる。
【0009】
(2)上記(1)の態様に係る間仕切り装置において、前記ベース部に対して前記第1方向の一方側に設けられるとともに、前記ベース部を前記第1方向の一方側から支持する第1収納什器と、前記ベース部に対して前記第1方向の他方側に設けられるとともに、前記ベース部を前記第1方向の他方側から支持する第2収納什器と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、各個別空間それぞれに収納什器が設置されているため、各個別空間の利便性を向上させることができる。その上で、ベース部が第1収納什器及び第2収納什器によって第1方向の両側から支持されるため、間仕切り装置を居室内に安定して設置することができる。
【0010】
(3)上記(2)の態様に係る間仕切り装置において、前記第1ヒンジは、前記第1収納什器及び前記第2収納什器に対して前記第2方向の一方側に配置されていることが好ましい。
本態様によれば、ヒンジを介して第1パネルを回動させる際に、第1パネルが第1収納什器や第2収納什器に干渉して第1パネルの回動が妨げられることを抑制できる。
したがって、例えば、第1什器を第1個別空間に搬入する際や、第2什器を第2個別空間に搬入する際等に、第1什器、第2什器の大きさに合わせて第1パネルを回動させ易い。
【0011】
(4)上記(2)又は(3)の態様に係る間仕切り装置において、前記ベース部、前記第1収納什器及び前記第2収納什器のうち、少なくとも何れかが前記居室の前記床面及び天井面の双方に固定されていることが好ましい。
本態様によれば、ベース部、第1収納什器及び第2収納什器のうち、少なくとも何れかが居室の床面及び天井面の双方に固定されているため、間仕切り装置を安定して設置することができる。
【0012】
(5)上記(2)から(4)の何れかの態様に係る間仕切り装置において、前記ベース部、前記第1収納什器及び前記第2収納什器のうち、少なくとも何れかが前記居室の壁面に固定されていることが好ましい。
本態様によれば、ベース部、第1収納什器及び第2収納什器のうち、少なくとも何れかが居室の壁面に固定されているため、間仕切り装置を安定して設置することができる。
【発明の効果】
【0013】
本態様によれば、第1個別空間と第2個別空間との2つの空間に居室を区画した状態において、区画された一方の個別空間全体を露呈させることなく、他方の個別空間を一時的に拡張できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る間仕切り装置を示す側面図である。
【
図2】第1実施形態に係る間仕切り装置を示す平面図である。
【
図3】第1実施形態に係る第1ヒンジを示す側面図である。
【
図4】第1実施形態に係る第1ヒンジを示す平面図である。
【
図5】第1実施形態に係る第1パネルに備えたキャスタを示す側面図である。
【
図6】第1実施形態に係る間仕切り装置の第1拡張手順を説明する平面図である。
【
図7】第1実施形態に係る間仕切り装置の第2拡張手順を説明する平面図である。
【
図8】第1実施形態に係る間仕切り装置において、他の動作方法を説明する平面図である。
【
図9】第2実施形態に係る間仕切り装置を示す側面図である。
【
図10】第2実施形態に係る間仕切り装置を示す平面図である。
【
図11】第2実施形態に係る間仕切り装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る間仕切り装置1を示す側面図である。
図2は、第1実施形態に係る間仕切り装置1を示す平面図である。
図1から
図3に示すように、本実施形態による間仕切り装置1は、例えば病院や介護施設等において、同じ居室100を利用する複数の利用者のそれぞれに対して利用者同士のプライバシーを確保するために使用される。
【0016】
<居室100>
居室100は、例えば病院の病室である。居室100は、第1個別空間101と、第2個別空間102と、共有空間(通路)103と、を有する。以下の説明では、居室100の床面FLに直交する方向を上下方向とし、床面FLに沿い、互いに直交する2方向をそれぞれ第1方向X、第2方向Yとして説明する。
【0017】
図2に示すように、第1個別空間101及び第2個別空間102は、居室100内に設置された間仕切り装置1により仕切られることにより、それぞれが床面FLに沿う方向のうち第1方向Xにおいて隣り合うように配置(区画)されている。共有空間103は、第1個別空間101及び第2個別空間102に対して第2方向Yの一方Y1側に位置して、第1方向Xに延びている。
【0018】
第1個別空間101は、第2個別空間102に対して第1方向Xの一方X1側に位置する。第1個別空間101は、第2方向Yに長い長方形状の空間である。第1個別空間101は、第2方向Yの一方Y1側に位置する開口101aを通じて共有空間103に繋がっている。第1個別空間101には、第1什器112(ベッドや机等含む)が設置されている。第1什器112は、開口101aを通じて第1個別空間101から搬入出が可能である。第1実施形態においては、第1什器112をベッドとして説明する。
【0019】
第1個別空間101には、第1ロッカ(第1収納什器)114が設置されている。第1ロッカ114は、第1個別空間101のうち第1方向Xの他方X2側、かつ第2方向Yの他方Y2側に位置する部分に、間仕切り装置1及び壁面106に接触した状態で設置されている。壁面106は、第1個別空間101及び第2個別空間102に対して第2方向Yの他方Y2側に設けられて居室100を区画する部分である。第1ロッカ114には、開閉用の扉114aが設けられている。扉114aは、第2方向Yにおいて壁面106とは反対側(すなわち、一方Y1側)から第1ロッカ114を開閉する。
【0020】
第2個別空間102は、間仕切り装置1を挟んで第1個別空間101に対して第1方向Xの他方X2側に位置する。第2個別空間102は、平面視において第1個別空間101と同等の形状をなす空間である。第2個別空間102は、第2方向Yの一方Y1側に位置する開口102aを通じて共有空間103に繋がっている。第2個別空間102には、第2什器116(ベッドや机等含む)が設置されている。第2什器116は、開口102aを通じて第1個別空間102から搬入出が可能である。第1実施形態においては、第2什器116をベッドとして説明する。
第2個別空間102には、第2ロッカ118が設置されている。第2ロッカ118は、第2個別空間102のうち第1方向Xの一方X1側、かつ第2方向Yの他方Y2側に位置する部分に間仕切り装置1及び壁面106に接触した状態で設置されている。第2ロッカ118は、開閉用の扉118aによって第2方向Yの一方Y1側から開閉可能である。なお、各ロッカ114,118は、床面FLや天井面CL、壁面106に固定されていてもよい。
【0021】
共有空間103は、例えば、第1個別空間101及び第2個別空間102に利用者が出入りするためや、各個別空間101,102に例えば什器112,116を出入りさせるための通路である。また、共有空間103は、例えば居室100の出入り口に繋がっている。第1個別空間101の第2方向Yの一方Y1側(すなわち、第1個別空間101と共有空間103との境界)には、第1個別空間101と共有空間103との開口101aを仕切る第1カーテン108が設けられていてもよい。第2個別空間102の第2方向Yの一方Y1側(すなわち、第2個別空間102と共有空間103との境界)には、第2個別空間102と共有空間103との開口102aを仕切る第2カーテン109が設けられていてもよい。第1カーテン108及び第2カーテン109は、第1方向Xへ走行可能に天井面CLに取り付けられらている。第1カーテン108は、第1個別空間101と共有空間103との間を連通又は遮断する。第2カーテン109は、第2個別空間102と共有空間103との間を連通又は遮断する。
【0022】
第1個別空間101及び第2個別空間102は、間仕切り装置1、壁面106、第1カーテン108及び第2カーテン109により、各個別空間101,102を利用する利用者同士のプライバシーを確保可能にそれぞれ個別に区画される。
【0023】
<間仕切り装置1>
間仕切り装置1は、第1方向Xにおける第1個別空間101と第2個別空間102との境界において、壁面106から第2方向Yの一方Y1側に延びるように配置されている。
図1、
図2に示すように、間仕切り装置1は、例えばベース部(基礎什器)2と、第1ヒンジ(ヒンジ)3と、第1パネル4と、第2ヒンジ5と、第2パネル6と、を備えている。
【0024】
<ベース部2>
図2に示すように、ベース部2は、第1個別空間101と第2個別空間102との境界において、壁面106から第2方向Yの他方Y2側に向けて突出している。ベース部2は、固定壁7と、壁面取付材8と、を備えている。固定壁7は、例えば、床面FLから天井面CLに向けて上方に立ち上げられるとともに、側面視において矩形状に形成されている。固定壁7は、下端部が床面FLに固定され、上端部が天井面CLに固定され、第2方向Yの他方Y2側の端部が壁面106に固定されている。すなわち、固定壁7は、床面FL、天井面CL、及び壁面106に固定されることにより居室100内に安定的に支持されている。固定壁7は、第1ロッカ114及び第2ロッカ118によって第1方向Xの両側から挟まれている。この場合において、固定壁7は、第1ロッカ114と第2ロッカ118の一方、または両方に対して、固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。なお、固定壁7は、床面FL、天井面CL及び壁面106の少なくとも何れかに固定されていてもよく、床面FL、天井面CL及び壁面106に固定されていなくてもよい。
【0025】
壁面取付材8は、固定壁7のうち第2方向Yの一方Y1側の端部に固定されている。壁面取付材8は、固定壁7から第2方向Yの一方Y1に向けて突出している。図示の例において、壁面取付材8は、ロッカ114,118よりも第2方向Yの他方Y2側に突出している。
【0026】
壁面取付材8は、第1ヒンジ3、第1パネル4、第2ヒンジ5、及び第2パネル6と略同一の高さ寸法に形成されている。壁面取付材8は、第1個別空間101及び第2個別空間102間でのプライバシーを確保するために、利用者の身長と概ね同じ、あるいは、利用者の身長より高く形成されていることが好ましい。本実施形態において、壁面取付材8の下端は、床面FLから僅かに離間して配置されている。壁面取付材8の上端は、固定壁7の上端に対して下方に位置している。
【0027】
<第1ヒンジ3>
第1ヒンジ3は、壁面取付材8における第2方向Yの一方Y1側の端部8aと、第1パネル4における第2方向Yの他方Y2側の端部4aと、を連結している。第1ヒンジ3は、壁面取付材8に対して第1パネル4を床面FLに沿って回動可能に支持している。第1ヒンジ3は、ロッカ114,118に対して第2方向Yの他方Y2側に突出している。
【0028】
図3は、第1実施形態に係る第1ヒンジ3を示す側面図である。
図4は、第1実施形態に係る第1ヒンジ3を示す平面図である。
図3、
図4に示すように、第1ヒンジ3は、壁面取付材8と同一の高さ寸法で、壁面取付材8と同一の高さ範囲に亘って形成されている。第1ヒンジ3は、例えば、平面視略8字状に形成された支柱12と、支柱12のうち第2方向Yの他方Y2側の端部12aに回動軸13を介して回動可能に軸支される上下一対の第1連結体14と、支柱12のうち第2方向Yの一方Y1側の端部12bに回動軸15を介して回動可能に軸支される上下一対の第2連結体16と、を備えている。
【0029】
第1連結体14は、壁面取付材8の端部8aにおいて上端部及び下端部にそれぞれ接続(固定)されている。支柱12は、第1連結体14に対し、回動軸13回りに回動可能に構成されている。第2連結体16は、第1パネル4の端部4aにおいて上端部及び下端部にそれぞれ接続(固定)されている。支柱12は、第2連結体16に対し、回動軸15回りに回動可能に構成されている。すなわち、第1ヒンジ3は、第1連結体14及び第2連結体16に対して支柱12が上下方向に沿う軸線(回動軸13,15)回りにそれぞれ回動可能に構成されることで、壁面取付材8に対して第1パネル4を床面FLに沿う方向へ回動可能としている。
【0030】
第1連結体14及び第2連結体16のうち、上側の第1連結体14及び第2連結体16は、上カバー17によって覆われている。第1連結体14及び第2連結体16のうち下側の第1連結体14及び第2連結体16は、下カバー18によって覆われている。なお、第1ヒンジ3は、上記構成に限らないで、例えば、一般に知られているトルクヒンジのように、所定以上の力が作用しない限り回動しない態様であってもよい。
【0031】
<第1パネル4>
図1、
図2に示すように、第1パネル4は、例えば側面視において矩形状に形成され、第1個別空間101と第2個別空間102とを仕切る移動壁である。第1パネル4は、第1ヒンジ3と同一の高さ寸法で、第1ヒンジ3と同一の高さ範囲に亘って形成されている。第1パネル4は、壁面取付材8の端部8aに第1ヒンジ3を介して連結されている。第1パネル4は、第1ヒンジ3を介して第1方向Xの一方X1側に矢印Aの如く回動可能で、かつ、第1方向Xの他方X2側に矢印Bの如く回動可能に構成されている。第1パネル4が矢印Aの如くあるいは矢印Bの如く第1ヒンジ3を介して回動することにより、第1個別空間101と第2個別空間102との第1方向Xでの広さが調整可能である。なお、第1パネル4の回動範囲は、適宜変更が可能である。この場合、第1パネル4は、ベース部2と直交する位置(約180°)まで回動してもよい。また、第1パネル6の回動範囲を規制するストッパ等が第1ヒンジ3と第1パネル4との間に設けられていてもよい。
【0032】
図5は、第1実施形態に係る第1パネル4に取り付けられた第1キャスタ22を示す側面図である。
図5に示すように、第1パネル4の下端部のうち第2方向Yの一方Y1側の端部には、第1キャスタ22が取り付けられている。第1キャスタ22は、床面FL上を走行する転動ローラ23と、転動ローラ23の走行のロック及び解除が可能なロック機構24と、高さを調整可能なアジャスタ機構25と、を有する。
【0033】
アジャスタ機構25は、例えば第1パネル4に取り付けられた脚部26に螺合され、螺合される長さを調整する機構である。また、ロック機構24は、例えば上下に進退するリフト部材24aと、リフト部材24aを上下に操作する操作部材24bと、を有する。リフト部材24aは、下面が転動ローラ23の下面よりも上方に位置する退避位置Mと、下面が転動ローラ23の下面よりも下方に位置するロック位置Nと、の間で上下に進退可能である。操作部材24bは、リフト部材24aの退避位置M及びロック位置Nと対応して上下に操作可能である。
【0034】
第1キャスタ22によれば、操作部材24bを操作してリフト部材24aを退避位置Mからロック位置Nに移動させることで、リフト部材24aが床面FLに支持される。よって、転動ローラ23が床面FLから離間して転動ローラ23による走行をロックできる。これにより、第1パネル4を床面FL上の所定位置に固定できる。
一方、操作部材24bを操作してリフト部材24aをロック位置Nから退避位置Mに移動させることで、リフト部材24aが床面FLから離間する。よって、転動ローラ23が床面FLに支持されて転動ローラ23による走行が可能となる。すなわち、リフト部材24aをロック位置Nから退避位置Mに移動させることで、第1パネル4を矢印A(
図2参照)の如くあるいは矢印B(
図2参照)の如く移動させることができる。
【0035】
<第2ヒンジ5>
図1、
図2に示すように、第2ヒンジ5は、第1パネル4における第2方向Yの一方Y1側の端部と、第2パネル6における第2方向Yの他方Y2側の端部と、の間を連結している。第2ヒンジ5は、第1パネル4と第2パネル6とを床面FLに沿う方向へ回動可能に接続している。
【0036】
第2ヒンジ5は、第1ヒンジ3と同様に形成されている。よって、第2ヒンジ5の各構成部材に第1ヒンジ3と同じ符号を付して説明を適宜省略する。上下一対の第1連結体14は、第1パネル4における第2方向Yの一方Y1側の端部4bにおいて上端部及び下端部にそれぞれ接続(固定)されている。上下一対の第2連結体16は、第2パネル6における第2方向Yの他方Y2側の端部6aにおいて上端部及び下端部それぞれに接続(固定)されている。
【0037】
<第2パネル6>
第2パネル6は、例えば側面視において矩形状に形成され、第1個別空間101と第2個別空間102とを仕切る移動壁である。第2パネル6は、第2ヒンジ5と同一の寸法で、同一の高さ範囲に亘って形成されている。このように、第1ヒンジ3、第1パネル4、第2ヒンジ5及び第2パネル6が同一の高さ寸法に形成されているため、第1ヒンジ3、第1パネル4、第2ヒンジ5及び第2パネル6の一体感を演出し易い。但し、第1パネル4及び第2パネル6間で寸法を異ならせてもよい。
【0038】
第2パネル6は、第2ヒンジ5を介して第1方向Xの一方X1側に矢印Cの如く回動可能で、かつ、第1方向Xの他方X2側に矢印Dの如く回動可能に接続(連結)されている。これにより、第1個別空間101と第2個別空間102との広さを第1方向Xで調整可能である。なお、第2パネル6の回動範囲は、適宜変更が可能である。この場合、第2パネル6は、第1パネル4と重ね合わされる位置(約360°)まで回動してもよく、第1パネル4と直交する位置(約180°)まで回動してもよい。また、第2パネル6の回動範囲を規制するストッパ等が第2ヒンジ5と第2パネル6との間に設けられていてもよい。
【0039】
第2パネル6の下端部のうち第2方向Yの一方Y1側の端部には、第2キャスタ32が取り付けられている。第2キャスタ32は、第1キャスタ22と同様に形成されている。第2キャスタ32によれば、第1キャスタ22と同様に、操作部材24bを操作することにより、転動ローラ23による走行をロックするロック位置Nに切り替え、第2パネル6を床面FL上の所定位置に固定できる。一方、第2キャスタ32によれば、第1キャスタ22と同様に、操作部材24bを操作することにより、転動ローラ23による走行を可能にする退避位置Mに切り替え、第2パネル6を矢印Cの如くあるいは矢印Dの如く第2ヒンジ5を介して回動できる。
【0040】
このように、本実施形態の間仕切り装置1によれば、居室100内に設置されたベース部2に第1パネル4が第1ヒンジ3を介して回動可能に接続され、第1パネル4に第2パネル6が第2ヒンジ5を介して回動可能に接続されている。そして、第1パネル4及び第2パネル6が、第2方向Yに沿って配置されることで、間仕切り装置1(すなわち、ベース部2、第1ヒンジ3、第1パネル4、第2ヒンジ5、及び第2パネル6)により、居室100内を第1個別空間101と第2個別空間102とに仕切ることができる。
【0041】
<間仕切り装置1の使用方法>
つぎに、居室100の第1個別空間101に共有空間103から第1什器112を搬入させる際に、第1個別空間101を一時的に拡張する方法について説明する。以下の説明では、第1パネル4及び第2パネル6が第2方向Yに沿って直線状に配置された状態(
図6における二点鎖線参照)を間仕切り装置1の初期状態Q1とする。また、以下の説明では、第1個別空間101を一時的に拡張する方法として、第1拡張手順及び第2拡張手順について説明する。
【0042】
図6は、第1実施形態に係る間仕切り装置1の第1拡張手順を説明する平面図である。
図6に示すように、第1拡張手順では、各キャスタ22,32を走行可能な状態(退避位置M)とした上で、初期状態Q1にある第1パネル4を第1方向Xの他方X2側に押し込むことで、第1ヒンジ3を介して第1パネル4を矢印Bの如く回動させる。これにより、第1パネル4は、壁面取付材8に対して第1方向Xの他方X2側に回動する。すなわち、第1パネル4が初期状態Q1に対して第1方向Xの他方X2側に移動する。この際、第2パネル6は、第1パネル4の回動に連れ動きつつ、第2ヒンジ5を介して第1パネル4に対して矢印Cの如く回動する。その結果、第1パネル4、及び第2パネル6(想像線で示す)がV字状に屈曲する(
図6中における中間位置Q2参照)。
【0043】
つぎに、V字状に屈曲した第2パネル6を第1方向Xの他方X2側に押し込む。すると、第2パネル6が第1パネル4に対して矢印Dの如く回動することで、第2パネル6が第1方向Xの他方X2側に移動する。この際、第2パネル6が第2方向Yに直線状に配置される位置まで、第2パネル6を移動させる。これにより、第2パネル6における第2方向Yの一方Y1側の端部が、中間位置Q2に対して共有空間103寄りに移動する。その結果、第1個別空間101及び第2個別空間102間が第1パネル4及び第2パネル6によって仕切られつつ、第1パネル4及び第2パネル6が初期状態Q1に対して第1方向Xの他方X2側に移動する。そして、第1パネル4及び第2パネル6を第1方向Xの他方X2側に移動させることにより、間仕切り装置1は第1個別空間101が一時的に拡張された拡張位置Q3に移行する。拡張位置Q3では、特に、第1個別空間101のうち共有空間103への出入り用の開口101aを、一時的に大きく広げる(開口102aを一時的に狭める)ことができる。なお、パネル4,6を拡張位置Q3に移動させた後は、キャスタ22,32を走行不能な状態(ロック位置N)とすることが好ましい。
【0044】
図7は、第1実施形態に係る間仕切り装置1の第2拡張手順を説明する平面図である。
図7に示すように、第2拡張手順では、各キャスタ22,32を走行可能な状態(退避位置M)とした上で、初期状態Q1にある第2パネル6を第1方向Xの他方X2側、かつ第2方向Yの他方X2側を押し込む。すると、第2パネル6が第2方向Yに直線状に配置された状態を維持しつつ、第1パネル4が第1ヒンジ3を介して矢印Bの如く移動することで、第2パネル6が第1方向Xの他方X2側、かつ第2方向Yの他方X2側に平行移動する。これにより、間仕切り装置1が、拡張位置Q3に移行する。
【0045】
図6、
図7に示すように、間仕切り装置1を拡張位置Q3に移行させることで、第1個別空間101(特に、出入り用の開口101a)を一時的に拡張できる。この状態で、開口101aを通じて共有空間103から第1個別空間101内に第1什器112を搬入する。拡張位置Q3において、第2パネル6は、第2方向Yに直線状に配置された状態が維持されるので、第1個別空間101と第2個別空間102が第1パネル4及び第2パネル6によって仕切られた状態を維持できる。これにより、第2個別空間102が第1個別空間101から露呈する隙間(共有空間103と第2パネル6との間の第2方向Yにおける隙間)を小さく抑えることができる。したがって、第1什器112の搬入時等において、第2個別空間102が第1個別空間101から視認され難くなり、第2個別空間102のプライバシーを確保できる。なお、搬入作業の終了後は、第1パネル4又は第2パネル6を操作して、間仕切り装置1を初期状態Q1に戻す。これにより、第1パネル4及び第2パネル6が第2方向Yに直線状に配置され、第1個別空間101及び第2個別空間102が再び均等に区画される。
【0046】
なお、例えば
図8に示すように、第1パネル4が壁面106と平行で、かつ第2パネル6が第1パネル4と垂直になる位置まで間仕切り装置1を移動させてもよい。この構成によれば、第1什器112の搬入時等において、第1個別空間101のうち、第1パネル4と第2パネル6とで囲まれた空間Sに作業者が進入できる。これにより、第1個別空間101での作業状況を確認し易くなり、作業性を向上させることができる。
【0047】
本実施形態の間仕切り装置1によれば、第1個別空間101と第2個別空間102との2つの空間に居室100を区画した状態において、区画された第2個別空間102全体を露呈させることなく、第1個別空間101を一時的に拡張できる。特に、第1個別空間101の出入り用の開口101aを一時的に拡張できる。
なお、第2什器116(
図2参照)を第2個別空間102に搬入する場合には、上述した第1拡張手順、第2拡張手順と同様の手順を第1方向Xで対称に行うことで、第2個別空間102を一時的に拡張させることができる。
【0048】
本実施形態の間仕切り装置1は、ベース部2に対して第1方向Xの一方X1側に設けられるとともに、ベース部2を第1方向Xの一方X1側から支持する第1ロッカ114と、ベース部2に対して第1方向Xの他方X2側に設けられるとともに、ベース部2を第1方向Xの他方X2側から支持する第2ロッカ118と、を備えている構成とした。
この構成によれば、各個別空間101,102それぞれにロッカ114,118が設置されているため、各個別空間101,102の利便性を向上させることができる。その上で、ベース部2が第1ロッカ114及び第2ロッカ118によって第1方向Xの両側から支持されるため、間仕切り装置1を居室100内に安定して設置することができる。
【0049】
本実施形態の間仕切り装置1において、第1ヒンジ3は、第1ロッカ114及び第2ロッカ118に対して第2方向Yの一方Y1側に突出して配置されている構成とした。これにより、第1ヒンジ3を介して第1パネル4を回動させる際に、第1パネル4が第1ロッカ114や第2ロッカ118に干渉して第1パネル4の回動が妨げられることを抑制できる。
したがって、例えば、第1什器112を第1個別空間101に搬入する際や、第2什器116(
図2参照)を第2個別空間102に搬入する際等に、第1什器112、第2什器116の大きさに合わせて第1パネル4を回動させ易い。
【0050】
本実施形態の間仕切り装置1において、ベース部2(固定壁7)が床面FL、天井面CL、及び壁面106に固定されることにより居室100内に安定的に支持されている。これにより、間仕切り装置1を居室100に安定させた状態で固定できる。
【0051】
<第2実施形態>
つぎに、第2実施形態の間仕切り装置50を説明する。なお、第2実施形態において第1実施形態の間仕切り装置1の各構成と同一、類似部材については詳しい説明を省略する。本実施形態は、第1ロッカ53及び第2ロッカ54が間仕切り装置1に備えられている点で、上述した第1実施形態と相違している。
【0052】
図9は、第2実施形態に係る間仕切り装置50を示す側面図である。
図10は、第2実施形態に係る間仕切り装置50を示す平面図である。
図11は、第2実施形態に係る間仕切り装置50を示す正面図である。
図9から
図11に示すように、間仕切り装置50は、ベース部(基礎什器)2と、第1ロッカ(第1収納什器)53と、第2ロッカ(第2収納什器)54と、第1ヒンジ(ヒンジ)3と、第1パネル4と、第2ヒンジ5と、第2パネル6と、を備えている。
【0053】
<第1ロッカ53>
第1ロッカ53は、第1個別空間101において、第1方向Xの他方X2側かつ、第2方向Yの他方Y2側に設けられている。第1ロッカ53は、例えば、床面FLから天井面CLに向けて上方に立ち上げられている。第1ロッカ53は、下端部が床面FLに固定され、上端部が天井面CLに固定されている。一方、第1ロッカ53は、壁面106にも固定されている。すなわち、第1ロッカ53は、床面FL、天井面CL及び壁面106に固定されることにより居室100内に安定的に支持されている。第1ロッカ53には、開閉用の扉65が上下2段に設けられている。扉65は、第2方向Yの一方Y1側から第1ロッカ53を開閉する。なお、第1ロッカ53は、ベース部2に固定されていてもよい。
【0054】
<第2ロッカ54>
第2ロッカ54は、第2個別空間102において、第1方向Xの一方X1側かつ、第2方向Yの他方Y2側に設けられている。本実施形態において、ベース部2は、第1ロッカ53及び第2ロッカ54によって第1方向Xの両側から挟まれている。第2ロッカ54は、第1ロッカ53と同様に、例えば床面FLから天井面CLに向けて上方に立ち上げられている。第2ロッカ54は、下端部が床面FLに固定され、上端部が天井面CLに固定されている。一方、第2ロッカ54は、壁面106にも固定されている。すなわち、第2ロッカ54は、床面FL、天井面CL及び壁面106に固定されることにより居室100内に安定的に支持されている。第2ロッカ54は、開閉用の扉66が上下2段に設けられている。扉66は、第2方向Yの一方Y1側から第2ロッカ54を開閉する。
【0055】
本実施形態においても、例えば第1個別空間101に第1什器112を搬入する際、第1パネル4及び第2パネル6をそれぞれ第1ヒンジ3及び第2ヒンジ5を介して回動させることで、初期状態Q1から拡張位置Q3に移行させる。これにより、第1個別空間101及び第2個別空間102間が第1パネル4及び第2パネル6によって仕切られつつ、第1パネル4及び第2パネル6が初期状態Q1に対して第1方向Xの他方X2側に移動する。その結果、第1個別空間101が一時的に拡張され、開口101aを通じて第1什器112を搬入することができる。
【0056】
本実施形態の間仕切り装置1では、第1ロッカ53及び第2ロッカ54が、床面FL、天井面CL及び壁面106に固定されることにより居室100内に安定的に支持されている。そして、ベース部2が第1ロッカ53及び第2ロッカ54によって第1方向Xの両側から支持されることにより、間仕切り装置1を居室100内に安定して設置することができる。
【0057】
以上、本発明による間仕切り装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述した実施形態では、各個別空間101,102に収納什器(ロッカ)が設置された構成について説明したが、各個別空間101,102に収納什器が設置されていない構成であってもよい。
上述した実施形態では、第1パネル4及び第2パネル6が連結された構成について説明したが、第2パネル6のうち第1パネル4とは反対側の端部に、別途パネルを回動可能に連結してもよい。
【0058】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1,50 間仕切り装置
2 ベース部
3 第1ヒンジ(ヒンジ)
4 第1パネル
6 第2パネル
53 第1ロッカ(第1収納什器)
54 第2ロッカ(第2収納什器)
100 居室
101 第1個別空間
102 第2個別空間
103 共有空間
106 壁面
112 第1什器
116 第2什器
CL 天井面(天井)
FL 床面
X 第1方向
Y 第2方向