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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077611
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】フォトレジスト下層組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20240531BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240531BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20240531BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/004
G03F7/004 531
C08F220/10
C08L33/04
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023197472
(22)【出願日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】17/994,652
(32)【優先日】2022-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】デュポン スペシャルティ マテリアルズ コリア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DUPONT SPECIALTY MATERIALS KOREA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン ユ-ジン
(72)【発明者】
【氏名】アン ジェ-ユン
(72)【発明者】
【氏名】シン ユリム
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】シム ジェ-ファン
【テーマコード(参考)】
2H225
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
2H225AB03
2H225AE04N
2H225AE13N
2H225AF18N
2H225AF43N
2H225AM22N
2H225AM23N
2H225AM25N
2H225AM70N
2H225AM94N
2H225AM99N
2H225AN11N
2H225AN11P
2H225AN39N
2H225AN54N
2H225AN56N
2H225AN80P
2H225BA02N
2H225CA12
2H225CB18
2H225CC01
2H225CD05
4J002BG071
4J002EU116
4J002EV297
4J002FD146
4J002FD147
4J002GP03
4J100AL03P
4J100AL08R
4J100AL09Q
4J100BA02R
4J100BA03R
4J100BB05R
4J100BC43R
4J100CA05
4J100DA36
4J100FA19
4J100JA38
(57)【要約】
【課題】 フォトレジスト下層組成物を提供する。
【解決手段】 ポリマーを含む組成物であって、前記ポリマーが、式A1、式A2又は式A3のモノマーに由来する繰り返し単位、式B1、式B2、式B3又は式B4のモノマーに由来する繰り返し単位、及び式C1又は式C2のモノマーに由来する繰り返し単位を含み、それぞれの構造は本明細書に記載の通りである。基板と、上記組成物から形成されたフォトレジスト下層と、フォトレジスト下層上のフォトレジスト層とを含むコーティング基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーを含む組成物であって、前記ポリマーが、
式A1、式A2又は式A3のモノマーから得られる繰り返し単位
【化1】

式B1、式B2、式B3又は式B4のモノマーから得られる繰り返し単位
【化2】

式C1又は式C2のモノマーから得られる繰り返し単位
【化3】

(式中、
Ar、Ar及びArは、それぞれ独立して、芳香族基であり;
は、C1~20アルキルアルコール、C1~20シクロアルキルアルコール、3~12個の炭素を有するエポキシ、又はヒドロキシで置換された1~6個の環炭素を有するC5~20芳香族基、グリシジル基、C1~10アルキルアルコール、又は3~12個の炭素を有するエポキシであり;
は、R又は-OHであり;
2a、R2b及びR2cの各々は独立して、非置換若しくは置換C1~20アルキル、非置換若しくは置換C3~20シクロアルキル、非置換若しくは置換C3~20ヘテロシクロアルキルであるか、又は場合により、R2aはR2bと結合して環を形成することができるか、又はR2aは式B2若しくはB4のR2cと結合して環を形成することができるか、又はR2a、R2b及びR2cの1つは水素であり;
Lは、非置換若しくは置換C1~8アルキレン基又は非置換若しくは置換C2~8ヘテロアルキレン基であり;
は、非置換若しくは置換C1~8アルキレン基、非置換若しくは置換C2~8ヘテロアルキレン基、非置換若しくは置換C6~10アリーレン基、又は非置換若しくは置換C3~10ヘテロアリーレン基であり;
は、単結合、-O-、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、-NH(C=O)-、-(C=O)NH-、-SO-又は-SO-であり;
Dは、単結合、-O-、-OC(O)-、-NH(C=O)-又は-(C=O)NH-であり;
Aは、非置換又は置換C1~16アルキレン基、非置換又は置換C2~16ヘテロアルキレン基、非置換又は置換C6~20アリーレン基、非置換又は置換C3~20ヘテロアリーレン基であり;
各halは、独立して、ハロゲン原子又はC1~4ハロアルキルであり;
は、水素原子、ハロゲン原子、C1~4アルキル又はC1~4ハロアルキルであり;
mは0又は1であり、nは1~12である);
架橋剤;
酸触媒;及び溶媒を含む、組成物。
【請求項2】
Ar及びArが、それぞれ独立して、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ピレニル、ピリジニル、キノリニル、ビフェニレン、フルオレニル、又はカルバゾイルであり、これらの各々は、任意に環炭素で更に置換されており;Arが、フェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、ピレニレン、ピリジニレン、キノリニレン、ビフェニレン、フルオレニレン、又はカルバゾイルであり、これらの各々は、任意に環炭素で更に置換されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Ar及びArが、それぞれ独立して、フェニル、ナフチル、ビフェニル又はフルオレニルであり、これらの各々は、任意に環炭素で更に置換されており;
Arが、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン又はフルオレニレンであり、これらの各々は、任意に環炭素で更に置換されており;及び
halが、F、Br、Iであるか、又はnが2以上である場合、それらの組合せである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
が、C1~10アルキルアルコール、3~8個の炭素を有するエポキシ、又はヒドロキシ若しくはグリシジル基で置換された1~4個の環炭素を有するC5~10芳香族基であり;
2a、R2b及びR2cの各々が、独立して、非置換又は置換C1~8アルキルであり、場合により、R2aがR2bと結合して環を形成するか、又はR2aが式B1又はB4のR2cと結合して環を形成し;
が、非置換若しくは置換C1~8アルキレン基又は非置換若しくは置換C2~8ヘテロアルキレン基であり;
が、単結合、-O-、-O(C=O)-又は-NH(C=O)-であり;
Aが、非置換又は置換C2~8アルキレン基、非置換又は置換C3~8ヘテロアルキレン基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記式A1、A2、及びA3のモノマーが、以下の1つ以上
【化4】

によって表され、
前記式B1及びB3のモノマーが、以下の1つ以上
【化5】

によって表される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記式C1及びC2のモノマーが、以下の1つ以上
【化6】

【化7】

によって表される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
コーティング基板であって、
基板;
前記基板上に配置された請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物から形成されたフォトレジスト下層;及び
前記フォトレジスト下層上に配置されたフォトレジスト層を含む、基板。
【請求項8】
前記フォトレジスト層が金属含有フォトレジスト層である、請求項7に記載のコーティング基板。
【請求項9】
パターン形成方法であって、
基板の上にフォトレジスト下層を設けることであって、前記フォトレジスト下層が、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物から形成される、設けること;
前記フォトレジスト下層の上にフォトレジスト層を形成すること;
前記フォトレジスト層をパターン形成すること;及び
前記パターン形成されたフォトレジスト層から前記フォトレジスト下層にパターンを転写することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造に使用される組成物に関し、より具体的には、半導体のパターン形成プロセス及び電子デバイスの製造に使用される組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
極端紫外線リソグラフィ(「EUV」)は、20nm未満の形体サイズでの大量半導体製造のための光リソグラフィに取って代わる先端技術オプションの1つである。EUVの極めて短い波長(13.4nm)は、このような高い分解能を実現するための重要な要素である。走査露光、投影光学系、マスクフォーマット、及びレジスト技術などのプロセスシステム全体の概念は、現在の光リソグラフィ技術に使用されるものと同様であり得る。しかしながら、EUV画像化、すなわちパターン形成における重要な課題は、レジスト感度であり、例えば、感度が低いほど、EUV源電力が大きくなるか、又はレジストを完全に露光するのに必要な露光時間が長くなる。
【0003】
EUV光子は、同じ線量でArF光子よりもはるかに高いエネルギーを有し、したがって、EUVリソグラフィで現在使用されている多くのレジストの光子密度は、ArFリソグラフィの光子密度よりも14倍低く、比較的遅い光速度をもたらすことができる。さらに、低い光子密度はまた、空間的な光子均一性の低下をもたらし、その結果、パターン解像度が比較的低くなる可能性がある。
【0004】
スループットの改善のために、EUVリソグラフィの感度を改善する方法は、EUVリソグラフィの重要な問題のままである。EUV光吸収断面積及び二次電子発生収率がEUV感度にとって決定的に重要な要因であることが示されている。EUVフォトレジスト感度を上げるための一方法は、既知の原子吸収断面積を用いて理論的に計算することができる材料の原子特性である、13.5nmにおけるその吸収断面積を増やすことである。炭素、酸素、水素、及び窒素などの、レジスト材料を構成する典型的な原子は、13.5nmにおいて非常に弱い吸収を有する。フッ素原子は、わずかにより高い吸収を有し、高いEUV吸収フォトレジストの開発において使用されてきた。
【0005】
ヨウ素は、同様に際立って高いEUV光吸収断面積を有する。ヨウ素含有モノマー及び対応するポリマーは、リソグラフィック処理のために有用であることができる。これらの材料は、主にレジスト組成物に適用されているが、架橋性ポリエステルポリマーとヨウ素含有ポリマーを含む架橋剤とを含む下層組成物を記載する、Rohm and Haas Electronic Materials Korea LTDに譲渡された(特許文献1)に記載されている組成物を除いて、下層組成物には適用されていない。
【0006】
比較的高いパターン分解能でEUV光子吸収を改善するための新規材料の開発に強い関心が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第17/138,069号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
ポリマーを含む組成物が提供され、前記ポリマーは、
式A1、式A2又は式A3のモノマーから得られる繰り返し単位
【化1】

式B1、式B2、式B3又は式B4のモノマーから得られる繰り返し単位
【化2】

式C1又は式C2のモノマーから得られる繰り返し単位、
【化3】

(式中、
Ar、Ar及びArは、それぞれ独立して、芳香族基であり;
は、C1~20アルキルアルコール、C1~20シクロアルキルアルコール、3~12個の炭素を有するエポキシ、又はヒドロキシで置換された1~6個の環炭素を有するC5~20芳香族基、グリシジル基、C1~10アルキルアルコール、又は3~12個の炭素を有するエポキシであり;
は、R又は-OHであり;
2a、R2b及びR2cの各々は独立して、非置換若しくは置換C1~20アルキル、非置換若しくは置換C3~20シクロアルキル、非置換若しくは置換C3~20ヘテロシクロアルキルであるか、又は場合により、R2aはR2bと結合して環を形成することができるか、又はR2aは式B2若しくはB4のR2cと結合して環を形成することができるか、又はR2a、R2b及びR2cの1つは水素であり;
Lは、非置換若しくは置換C1~8アルキレン基又は非置換若しくは置換C2~8ヘテロアルキレン基であり;
は、非置換又は置換C1~8アルキレン基、非置換又は置換C2~8ヘテロアルキレン基、非置換又は置換C6~10アリーレン基、非置換又は置換C3~10ヘテロアリーレン基であり;
は、単結合、-O-、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO)-、
-(SO)NH-、-NH(C=O)-、-(C=O)NH-、-SO-、又は-SO-であり;
Dは、単結合、-O-、-OC(O)-、-NH(C=O)-又は-(C=O)NH-であり;
Aは、非置換又は置換C1~16アルキレン基、非置換又は置換C2~16ヘテロアルキレン基、非置換又は置換C6~20アリーレン基、非置換又は置換C3~20ヘテロアリーレン基であり;
各halは、独立して、ハロゲン原子又はC1-4ハロアルキルであり;
は、水素原子、ハロゲン原子、C1-4アルキル又はC1-4ハロアルキルであり;
mは0又は1であり、nは1~12である);
架橋剤;
酸触媒;及び溶媒を含む。
【0009】
基板と、上記又は本明細書に記載の組成物のいずれか1つから形成されたフォトレジスト下層と、フォトレジスト下層上のフォトレジスト層とを含むコーティング基板も提供される。
【0010】
また、以下を含む方法であって:
基板の上にフォトレジスト下層を設けることであって、前記フォトレジスト下層が、上記又は本明細書に記載の組成物のいずれか1つから形成される、設けること、
フォトレジスト下層の上にフォトレジスト層を形成すること;
フォトレジスト層をパターン形成すること、及び
パターン形成されたフォトレジスト層からフォトレジスト下層にパターンを転写することを含む、方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、例示的な実施形態が詳細に言及され、それらの例が本説明で例示される。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態は、本説明の態様を記載するために、図に言及することによって以下に記載されるにすぎない。本明細書で用いる場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の全ての組合せを包含する。「少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先行する場合、要素の全リストを修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0012】
本明細書で用いる場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を含み、それによってその用語の少なくとも1つを含むことを意図する。「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、その後に記載される事象又は状況が起こり得るか又は起こり得ないこと及びその記載は、事象が起こる場合及び事象が起こらない場合を含むことを意味する。用語「第1」、「第2」等は、本明細書では、順番、量又は重要性を意味せず、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために用いられる。要素が別の要素の「上に」あると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がこれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言われる場合、介在要素は、存在しない。態様の記載される成分、要素、制限及び/又は特徴は、様々な態様では任意の好適な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0013】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されるものなどの用語は、関連技術分野及び本開示との関連でそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0014】
本明細書で使用される「炭化水素」という用語は、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの水素原子とを有し、任意選択的に芳香族基及び/又は1つ以上のヘテロ原子を含む有機化合物又は有機基を指し、示されている場合には1つ以上の置換基で任意選択的に置換されていてもよく;「アルキル基」は、特定の数の炭素原子を有し、且つ一価である直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素を指し;「アルキレン基」は二価のアルキル基を指し;「ヒドロキシアルキル基」は、少なくとも1つのヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を指し;「アルコキシ基」は「アルキル-O-」を指し;「カルボン酸基」は、式「-C(=O)-OH」を有する基を指し;「シクロアルキル基」は、全ての環員が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価の基を指し;「シクロアルキレン基」は二価のシクロアルキル基を指し;「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を指し;「アルケノキシ基」は「アルケニル-O-」を指し;「アルケニレン基」は、少なくとも二価のアルケニル基を指し;「シクロアルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有するシクロアルキル基を指し;「アルキニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する一価の炭化水素基を指す。
【0015】
本明細書で使用される場合、「アルコール」という用語は、1つ以上のヒドロキシ基、例えば、ポリマーの繰り返し単位を含む記載された構造部分上の2つ以上のヒドロキシ基を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「架橋がほとんど又は全くない」という用語は、ポリマー中に存在する架橋性官能基、例えばヒドロキシ基又はエポキシ基の10モル%未満、5モル%未満、2モル%未満、又は0モル%が、ポリマーを含む組成物を基板又は構造化層状材料の層に塗布する前のポリマー中の架橋の部位又は点である、ポリマーの繰り返し単位上に位置する架橋性官能基を介して架橋することができるポリマーを示す。
【0017】
本明細書で使用される「芳香族基」という用語は、文献、特にIUPAC19で定義される芳香族性の従来の概念を意味し、環内に炭素原子を含む単環式又は多環式の芳香族環又は環系を指し、任意選択的には、環内に炭素原子の代わりにN、O、及びSから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでもいてもよい。例示的な芳香族基としては、独立して置換又は非置換の1~6個の芳香環を有する芳香環系を挙げることができる。芳香族基が2~6個の芳香環を含む場合、2つ以上の芳香環は、単結合又は二価連結基によって結合することができ、又は2つ以上の芳香環は縮合芳香環とすることができる。多環式芳香族環系は、芳香族ヒドロカルビル基である少なくとも1つの環を含み、例えば、他の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、複素環、及び/又はヘテロアリールであってよい。好ましい芳香族基は、6~30個の炭素原子、6~20個の炭素原子、又は6~12個の炭素原子を含む芳香族基である。例示的な芳香族基としては、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、及びアズレンが挙げられる。1つ以上のヘテロ原子を含む芳香族基の例としては、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、インドール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、又はキサンテンが挙げられる。
【0018】
本明細書で使用される「アリール基」という用語は、芳香環に炭素原子のみを含む一価の単環式又は多環式芳香族基を指し、これは、少なくとも1つのシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環を有する基を含んでいてもよく;「アリーレン基」は少なくとも二価のアリール基を指し;「アルキルアリール基」は、アルキル基で置換されたアリール基を指し;「アリールアルキル基」は、アリール基で置換されたアルキル基を指し;「アリールオキシ基」は「アリール-O-」を指し;「アリールチオ基」は「アリール-S-」を指す。
【0019】
接頭辞「ヘテロ」は、化合物又は基が、炭素原子の代わりに、ヘテロ原子である少なくとも1つの環構成原子(例えば、1、2、3又は4つ以上のヘテロ原子)を含むことを意味し、この場合、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、S、Si又はPから選択され、「ヘテロ原子含有基」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を指し、「ヘテロアルキル基」は、炭素原子の代わりに1~4のヘテロ原子を有するアルキル基を指し、「ヘテロシクロアルキル基」は、炭素原子の代わりに1つ以上のN、O、又はS原子を有するシクロアルキル基を指し、「ヘテロシクロアルキレン基」は、少なくとも2の価数を有するヘテロシクロアルキル基を指し、「ヘテロアリール基」は、炭素原子の代わりに、環構成原子として1つ以上のN、O、又はS原子を有する1~3の別個の又は縮合した環を有するアリール基を指し、「ヘテロアリーレン基」は、少なくとも2の価数を有するヘテロアリール基を指す。
【0020】
記号「*」は、結合部位(即ち連結点)を表す。
【0021】
「置換された」又は「置換基」は、指定された原子の通常の価数を超えないという条件で、基上の少なくとも1つの水素原子が別の基で置き換えられていることを意味する。置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、炭素原子上の2個の水素が置き換えられている。2つ以上の置換基又は変数の組合せが許容される。例えば、用語「置換された」は、2、3、又は4個の同じ又は異なる置換基を有する言及された炭化水素部位を指す場合がある。「置換」位置に存在し得る例示的な基としては、ニトロ(-NO)、シアノ(-CN)、ヒドロキシル(-OH)、オキソ(=O)、アミノ(-NH)、モノ-若しくはジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(=O)H)、カルボン酸若しくはそのアルカリ金属若しくはアンモニウム塩、C2~6アルキルエステル(-C(=O)O-アルキル若しくは-OC(=O)-アルキル)、C7~13アリールエステル(-C(=O)O-アリール若しくは-OC(=O)-アリール)、アミド(-C(=O)NR(式中、Rは水素若しくはC1~6アルキルである)、カルボキサミド(-CHC(=O)NR(式中、Rは水素若しくはC1~6アルキルである)、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル若しくは同様のもの、それぞれの環は置換か非置換かのどちらかの芳香族)を有するC6~12アリール、1~3の分離(separate)環若しくは縮合環と6~18個の環炭素原子を有するC7~19アリールアルキル、1~3の分離環若しくは縮合環と6~18個の環炭素原子を有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C4~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(=O)-アルキル)、C6~12アリールスルホニル(-S(=O)-アリール)、又はトシル(CHSO-)が挙げられるが、それらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、基中の炭素原子の総数である。例えば、基-CHCHCNは、シアノ基で置換されたCアルキル基である。
【0022】
本明細書において使用される「ポリマー」及び「ポリマー状の」という用語は、1種以上の繰り返し単位を含むポリマー系材料を指し、繰り返し単位は互いに同じであっても又は異なっていてもよい。したがって、本発明の開示されるポリマー及びポリマー系材料は、本明細書では「ポリマー」又は「コポリマー」と言うことができる。「ポリマー」及び「ポリマー状」という用語は、オリゴマーを更に含むことが更に理解されるべきである。本明細書において、それぞれの1種以上の異なる繰り返し単位は、ポリマー系材料中に少なくとも2回存在する。言い換えると、1種の繰り返し単位を含むポリマー系材料は、2つ以上の量で存在する第1の繰り返し単位を含み、例えば、ポリマー系材料は、例えばそれぞれ2つ以上の量で存在する第1の繰り返し単位と第2の繰り返し単位の少なくとも2種の異なる繰り返し単位を含む。
【0023】
本明細書において、別段の定義が与えられない場合の「二価連結基」は、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-N(R)-、-C(O)NR-、-S(O)-、-S(O)-、-C(S)-、-C(Te)-、-C(Se)-、置換若しくは非置換C1~16アルキレン、置換若しくは非置換C3~16シクロアルキレン、置換若しくは非置換C1~16ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換C6~20アリーレン、置換若しくは非置換C7~30アリールアルキレン、置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリーレン、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールアルキレン、又はその組合せのうちの1つ以上を含む二価の基を指し、Rは、水素、置換若しくは非置換C1~8アルキル、置換若しくは非置換C1~8ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C6~14アリール、又は置換若しくは非置換C3~14ヘテロアリールである。より典型的には、二価連結基は、-O-、-S-、-C(O)-、-N(R)-、-S(O)-、-S(O)-、置換若しくは非置換C1~10アルキレン、置換若しくは非置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは非置換C1~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換C6~12アリーレン、置換若しくは非置換C7~20アリールアルキレン、置換若しくは非置換C3~12ヘテロアリーレン、置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールアルキレン、又はその組合せのうちの1つ以上を含む。
【0024】
より最近では、仕様がより小さい解像度パターンを要求するので、パターン崩壊は、EUVリソグラフィにおけるより困難な問題の1つとして残っている。パターン崩壊を低減又は最小化する1つの方法は、レジストと下層又は基板との間の接着性を高めることである。
【0025】
本発明者らは、半導体のパターン形成又は作製においてフォトレジスト下層を提供するためのポリマーフォトレジスト下層組成物を記載する。フォトレジスト下層ポリマーは、下層のEUV光子吸収断面積を向上させ、上層の下層又は基板への接着を改善するために、3つ以上の異なる繰り返し単位を含む。記載されたポリマーフォトレジスト下層は、改善された(より速い)光速、高解像度、及び/又は倒壊マージンの改善を提供することを目的とする。
【0026】
一実施形態では、基板上のフィルム層、すなわちフォトレジスト下層を形成するために下層又は基板に塗布することができる組成物が提供される。組成物はポリマーを含み、ポリマーは、
式A1、式A2又は式A3のモノマーから得られる繰り返し単位
【化4】

式B1、式B2、式B3又は式B4のモノマーから得られる繰り返し単位
【化5】

式C1又は式C2のモノマーから得られる繰り返し単位
【化6】

(式中、
Ar、Ar及びArは、それぞれ独立して、芳香族基であり;
は、C1~20アルキルアルコール、C1~20シクロアルキルアルコール、3~12個の炭素を有するエポキシ、又はヒドロキシで置換された1~6個の環炭素を有するC5~20芳香族基、グリシジル基、C1~10アルキルアルコール、又は3~12個の炭素を有するエポキシであり;
は、R又は-OHであり;
2a、R2b及びR2cの各々は独立して、非置換若しくは置換C1~20アルキル、非置換若しくは置換C3~20シクロアルキル、非置換若しくは置換C3~20ヘテロシクロアルキルであるか、又は場合により、R2aはR2bと結合して環を形成することができるか、又はR2aは式B2若しくはB4のR2cと結合して環を形成することができるか、又はR2a、R2b及びR2cの1つは水素であり;
Lは、非置換若しくは置換C1~8アルキレン基又は非置換若しくは置換C2~8ヘテロアルキレン基であり;
は、非置換若しくは置換C1~8アルキレン基、非置換若しくは置換C2~8ヘテロアルキレン基、非置換若しくは置換C6~10アリーレン基、又は非置換若しくは置換C3~10ヘテロアリーレン基であり;
は、単結合、-O-、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO)-、
-(SO)NH-、-NH(C=O)-、-(C=O)NH-、-SO-、又は-SO-であり;
Dは、単結合、-O-、-OC(O)-、-NH(C=O)-又は-(C=O)NH-であり;
Aは、非置換又は置換C1~16アルキレン基、非置換又は置換C2~16ヘテロアルキレン基、非置換又は置換C6~20アリーレン基、非置換又は置換C3~20ヘテロアリーレン基であり;
各halは、独立して、ハロゲン原子又はC1~4ハロアルキルであり;
は、水素原子、ハロゲン原子、C1~4アルキル又はC1~4ハロアルキルであり;
mは0又は1であり、nは1~12である);
架橋剤;
酸触媒;及び溶媒を含む。
【0027】
一態様では、Ar、Ar及びArは、独立して、単環式又は多環式芳香族基である。基が多環式である場合、環は、縮合していても(ナフチル、アントラセニル、ピレニルなど)、直接結合していても(ビフェニルなど)、ヘテロ原子によって架橋されていても(トリフェニルアミノ又はジフェニレンエーテルなど)よい。一実施形態では、多環式芳香族基は、縮合環と直接結合している環との組合せ(2つのナフチレンの結合など)を含み得る。
【0028】
一態様では、Ar、Ar及びArは、独立して、3~20個の環炭素、又は5~16個の環炭素を有する芳香族基であり、任意選択的には、N、O、又はSから選択される1~4個の環ヘテロ原子を含む。
【0029】
Ar、Ar及びArの任意の1つ以上の環炭素が、本明細書で定義される通りに独立して置換され得ることは更に理解される。例えば、Ar、Ar及びArの1~6個の環炭素が置換されていてもよい。
【0030】
一態様では、芳香族基Ar、Ar及びArの例示的な置換基のリストは、独立して、置換又は非置換C1~10アルキル、置換又は非置換C1~10アルコキシ、置換又は非置換C1~10ハロアルキル、置換又は非置換C4~6シクロアルキル、置換又は非置換C3~5ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換C2~10アルケニル、置換又は非置換C2~10アルキニル、置換又は非置換C6~14アリール、置換又は非置換C6~18アリールオキシ、置換又は非置換C7~14アリールアルキル、置換又は非置換C7~14アルキルアリール、置換又は非置換C3~14ヘテロアリール、ハロゲン、-CN、-NO、-COを非限定的に含み、式中、RはH、-OH又はC1~6アルキルである。
【0031】
一態様では、式A2又は式A3のAr、式B1又は式B2のAr、及び式C1又は式C2のArは、それぞれ独立して、以下の式G又は式Hによって表される芳香族基であり、ここで、式Gの基は、式Gの同じ又は異なる基に直接結合しており、式Hの基は、式Hの同じ又は異なる基に直接結合しており、又は式Gの基は、式Hの基に直接結合している
【化7】

(式G及び式Hにおいて:
Aは、CR又はNであり、Rは、水素、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C1~10アルコキシ、又は置換若しくは非置換C6~12アリール、又は置換若しくは非置換C6~12ヘテロアリールであり;
環Bは、1~4個の芳香環を有する縮合芳香族基を表し;
各V及び各Wは、本明細書で定義される任意選択的に置換されていてもよい環炭素を表し、jは0~6の整数であり、kは0~2の整数である)。V及びWの例示的な置換基としては、限定するものではないが、-OH、-SH、-C(O)OH、-NH、-R、-OR、-C(O)OR、-SR又は-NHRが挙げられ、Rは上に定義される通りである。
【0032】
一態様では、Ar及びArは、独立して、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ピレニル、ピリジニル、キノリニル、ビフェニレン、トリフェニレン、フルオレニル、又はカルバゾイルであり;Arは、フェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、ピレニレン、ピリジニレン、キノリニレン、ビフェニレン、フルオレニレン、又はカルバゾイル(carbazoylene)であり、これらはそれぞれ、環炭素で更に置換されていてもよい。
【0033】
一態様では、Ar及びArは、それぞれ独立して、フェニル、ナフチル、ビフェニル、又はフルオレニルであり、これらはそれぞれ、環炭素で更に置換されていてもよく;Arは、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン又はフルオレニレンであり、これらの各々は、環炭素で更に置換されていてもよく;halは、F、Br、Iであるか、又はnが2以上である場合、その組合せである。
【0034】
一態様では、式A1、A2又はA3のRは、C1~10アルキルアルコール、3~8個の炭素を有するエポキシ、又はヒドロキシで置換された1~4個の環炭素を有するC5~10芳香族基、3~8個の炭素を有するエポキシ、例えばグリシジル基であり;
式B1、B2、B3及びB4のR2a、R2b及びR2cの各々は、独立して、非置換又は置換C1~8アルキルであり、場合により、R2aはR2bと結合して環を形成するか、又はR2aは式B1又はB4のR2cと結合して環を形成し;
式B3及びB4のLは、独立して、非置換若しくは置換C1~8アルキレン基又は非置換若しくは置換C2~8ヘテロアルキレン基であり;
式C1のLは、単結合、-O-、-O(C=O)-又は-NH(C=O)-であり;
Aは、非置換若しくは置換C2~8アルキレン基、非置換若しくは置換C3~8ヘテロアルキレン基である。
【0035】
一態様では、組成物は、ポリマーを含み、ここで:ポリマーの繰り返し単位の総モルに基づいて、式A1、式A2、及び式A3のモノマーから得られる繰り返し単位は、10モルパーセント(mol%)~80mol%、又は20mol%~60mol%を占め;式B1、式B2、式B3及び/又は式B4のモノマーから得られる繰り返し単位は、15mol%~80mol%、又は25mol%~60mol%を占め;式C1及び/又は式C2のモノマーから得られる繰り返し単位は5モルパーセント(mol%)~80mol%、又は10mol%~70mol%を占める。
【0036】
一態様では、式A1、A2、及びA3のモノマーから得られる繰り返し単位は、以下の1つ以上によって表され、
【化8】

及び
式B1及びB3のモノマーから得られる繰り返し単位は、以下の1つ以上によって表される。
【化9】
【0037】
一態様では、当業者は、上記モノマー構造に示される式A1、A2、及びA3のヒドロキシ基のいずれか1つ以上が、3~10個の炭素原子を有するエポキシ基、例えばグリシジル基で置換され得ることを認識及び理解するであろう。
【0038】
一態様では、式C1、C2のモノマーから得られる繰り返し単位は、以下の1つ以上によって表される。
【化10】

【化11】
【0039】
以下から得られる繰り返し単位:式A1、式A2又は式A3のモノマー;式B1、式B2、式B3又は式B4のモノマー;及び式C1又は式C2のモノマーから得られるポリマーは、1,000~300,000グラム/モル(g/mol)、好ましくは2,000~150,000g/mol、より好ましくは4,000~100,000g/mol、更により好ましくは4,000~60,000g/molの重量平均分子量(M)を有し得る。分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定され得る。選択された分子量ポリマーは、使用時にコーティング組成物が接触する溶媒、例えばギャップ充填、下層コーティング、底部反射防止コーティング(BARC)、フォトレジスト、及び現像材料に使用される溶媒に対するより低い膨潤/より高い剥離耐性を可能にし得る。
【0040】
上記の組成物のポリマーは、架橋をほとんど又は全く有さず、これにより、式A1、式A2又は式A3のモノマーから得られる1つ以上の繰り返し単位の部位での架橋の前に、組成物を基板により容易に塗布することができる。
【0041】
組成物のポリマーは、当技術分野における任意の方法を使用して調製され得る。例えば、ポリマーは:以下:式A1、A2、及び/又はA3のモノマー;式B1、B2、B3、及び/又はB4のモノマー;及び式C1及び/又はC2のモノマーから得られ、以下、「ポリマー」と呼ぶことがあり、フォトレジスト技術分野の当業者に周知のモノマーから得られる1つ以上の追加の繰り返し単位を含んでもよい。例示的なモノマーとしては、限定されないが、上記の例示的なリストによって、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリノルボルネン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェノール、ノボラック、スチレン系ポリマー、ポリビニルアルコール、そのコポリマー、又はその組合せが挙げられる。
【0042】
一態様では、式A1、A2、及び/又はA3、式B1、B2、B3、及び/又はB4、並びに式C1及び/又はC2で表されるモノマーから得られる繰り返し単位を含むポリマー、時には、以下、「ポリマー」は、当技術分野で公知のモノマー化合物に由来する1つ以上の更なる繰り返し単位を含むことができ、したがって、上に列挙した繰り返し単位を含む3つ以上、例えば3~6つ以上の異なる繰り返し単位のコポリマーを提供することができる。
【0043】
上述のように、組成物、すなわちフォトレジスト下層組成物は、ポリマーを含む。ポリマーは、フォトレジスト下層組成物中の唯一のポリマーであってもよく、次いで架橋剤及び溶媒と組み合わされる。別の態様では、ポリマー(すなわち、更なる反復単位の有無にかかわらず)は、組成物の全固形分に基づいて、15~95重量%の量でフォトレジスト下層組成物中に存在する。例えば、ポリマーは、組成物の全固形含量に基づいて、20~80重量%、30~80重量%、40~80重量%、又は50~75重量%の量でフォトレジスト下層組成物中に存在する。
【0044】
フォトレジスト下層組成物は、例えば、界面活性剤、酸化防止剤など、又はそれらの組合せを含む1種以上の任意選択的な添加剤を含み得る。存在する場合、各任意選択的な添加剤は、フォトレジスト下層組成物の総固形分(固形含量)を基準として0.01~10重量%などの少量でフォトレジスト下層組成物で使用され得る。
【0045】
フォトレジスト下層組成物の望まれる総固形含量は、所望の最終層厚などの因子に依存するであろう。典型的には、フォトレジスト下層組成物の総固形分は、コーティング組成物の総重量を基準として、0.1~20重量%、例えば0.1~10重量%、より典型的には、0.11~5重量%であってよい。
【0046】
フォトレジスト下層組成物は、公知の手順に従って作製することができる。フォトレジスト下層組成物は、そのままで使用することができ、或いは基板上にコートする前に精製又は希釈を行うこともできる。精製は、例えば、遠心分離、濾過、蒸留、デカンテーション、蒸発、イオン交換ビーズでの処理等の1つ以上を含み得る。
【0047】
組成物は、溶媒、架橋剤、重合開始剤、酸触媒などの、添加物を更に含み得る。架橋剤は、酸性条件下などの適切な条件下で組成物のポリマーと反応することができる少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの部位を有するであろう。例示的な架橋剤には、ノボラック樹脂、エポキシ含有化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、イソシアネート含有化合物、ベンゾシクロブテンなど、及びメチロール、C1~10アルコキシメチル、及びC2~10アシルオキシメチルから選択される好ましくは2つ以上、好ましくは3つ以上の置換基を有する前述のいずれかが含まれるが、これらに限定されない。本組成物において有用なこのような架橋剤の量は、当技術分野の当業者に周知であり、典型的には、全固形分に対して0.5~30重量%、例えば、0.5~15重量%、又は0.5~8重量%である。
【0048】
一態様では、架橋剤は、式D又は式E:
【化12】

によって表すことができる。
【0049】
式D及びEにおいて、J、K、L及びMは、それぞれ独立して、直鎖若しくは分岐の置換若しくは非置換C1~10炭化水素基又は置換若しくは非置換
2~10ヘテロアルキル基、例えば、-(CHO(アルキル)、-(CHOC(O)(アルキル)又は-(CHC(O)O-アルキル(式中、rは1~6である)である。
【0050】
式D及びEにおいて、J、K、L及びMについては、C1~10炭化水素基の各々又はC2~10ヘテロアルキル基は、ハロゲン、アミノ基、チオール基、エポキシ基、アミド基、C1~5アルキル基、C3~8シクロアルキル基、C3~20ヘテロシクロアルキル基、C2~5アルケニル基、C1~5アルコキシ基、C2~5アルケノキシ基、C6~10アリール基、C6~10アリールオキシ基、C7~10アルキルアリール基、又はC7~10アルキルアリールオキシ基のうちの少なくとも1つで置換されていてもよい。
【0051】
一態様では、架橋剤は、以下の化合物の1つによって表され得る
【化13】

Jは、
【化14】

であり、Gは、
【化15】

である
(式中、kは、1、2、3、又は4であり、各hは、0、1、又は2であり;
Tは、存在しないか、O、S、-C(O)-、置換若しくは非置換C1~4アルキレン、又は-NR-である(式中、Rは、H、置換若しくは非置換C1~4アルキル、又は置換若しくは非置換C6~10アリールである))。
【0052】
ポリマーとの酸触媒架橋を受ける他の架橋剤としては、例えば以下が挙げられる: トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン;ジビニルピリジン、ジビニルナフタレン及びジビニルキシレン;例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリビニルシクロヘキサン、アリルメタクリレート(「ALMA」)、エチレングリコールジメタクリレート(「EGDMA」)、ジエチレングリコールジメタクリレート(「DEGDMA」)、プロピレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート(「TMPTMA」)、ジビニルベンゼン(「DVB」)、グリシジルメタクリレート、2,2-ジメチルプロパン1,3-ジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、
1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート、グリセリルプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、テトラメトキシグリコールウリル及びテトラブトキシグリコールウリルなどのテトラ(C~C)アルコキシグリコールウリル、並びにその組合せ。
【0053】
酸触媒は、遊離酸及び酸発生剤を含む。記載の組成物と相溶性があり、且つ、架橋性ポリマー及び架橋剤の架橋を触媒する任意の遊離酸が、本発明での使用のために好適である。遊離酸の例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロピルスルホン酸、フェニルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びトリフルオロメチルスルホン酸などのスルホン酸が挙げられるが、それらに限定されない。コーティング組成物は、単一の酸触媒を含んでも、又は2種以上の異なる酸触媒を含んでいてもよい。
【0054】
酸触媒は、加熱されたときに酸性部分を発生させることができる化合物である、熱酸発生剤(TAG)であってもよい。熱酸発生剤は、非イオン性又はイオン性であることができる。適切な非イオン性熱酸発生剤としては、例えば、p-トルエンスルホン酸シクロヘキシル、p-トルエンスルホン酸メチル、シクロヘキシル2、4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホネート、ニトロベンジルエステル、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、有機スルホン酸のアルキルエステル、
p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、リン酸、カンファースルホン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5-ニトロ-o-トルエンスルホン酸、5-スルホサリチル酸、2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸、2-ニトロベンゼンスルホン酸、3-クロロベンゼンスルホン酸、3-ブロモベンゼンスルホン酸、2-フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフトール-5-スルホン酸、2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイル-ベンゼンスルホン酸及びその塩、並びにその組合せが挙げられる。好適なイオン性熱酸発生剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、ドデシルベンゼンジスルホン酸トリエチルアミン塩、p-トルエンスルホン酸-アンモニウム塩、炭素環式アリール(例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル等)及びヘテロアリール(例えばチエニル)スルホネート塩、脂肪族スルホネート塩及びベンゼンスルホネート塩などの、スルホネート塩が挙げられる。活性化時にスルホン酸を発生させる化合物が一般に好適である。好ましい熱酸発生剤としては、p-トルエンスルホン酸アンモニウム塩及びそれらのフッ素化誘導体が挙げられる。ある実施形態において、酸触媒は、N-ベンジル-N,N-ジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネートを含む。
【0055】
酸触媒は、活性化化学線に曝されたときに酸性部分を発生させることができる化合物である、光熱酸発生剤(PAG)であってもよい。好適な光酸発生剤としては、例えば、スルフィド及びオニウム型化合物が挙げられる。光酸発生剤としては、ジフェニルヨージドヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨージドヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨージドヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルp-メトキシフェニルトリフレート、ジフェニルp-トルエニルトリフレート、ジフェニルp-イソブチルフェニルトリフレート、ジフェニルp-tert-ブチルフェニルトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、
(4-t-ブチルフェニル)テトラメチレンスルホニウム(3-ヒドロキシアダマンタニルエステル)-テトラフルオロブタンスルホネート、(4-t-ブチルフェニル)テトラメチレンスルホニウム(アダマンタニルエステル)-テトラフルオロブタンスルホネート及びジブチルナフチルスルホニウムトリフレートが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいPAGとしては、テトラメチレンスルホニウム化合物が挙げられる。
【0056】
組成物は、任意の好適な溶媒又は溶媒の混合物を更に含み得る。好適な溶媒としては、例えば、1種以上のオキシイソ酪酸エステル、特に2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸、乳酸エチル又は2-メトキシエチルエーテル(ダイグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテルの1種以上;メトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノール、及びエトキシプロパノールなどのエーテル及びヒドロキシ部分の両方を有する溶媒;メチル2-ヒドロキシイソブチレート;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル並びに二塩基酸エステル、プロピレンカーボネート及びガンマ-ブチロラクトンなどの他の溶媒が挙げられる。
【0057】
一態様では、組成物は、2つ以上の異なる溶媒、例えば3つ以上の異なる溶媒の混合物を含む。例えば、溶媒混合物は、アルキレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル-2-ヒドロキシイソブチレート又は2-ヒドロキシイソ酪酸、及びガンマラクトン、例えばガンマ-ブチロラクトンの混合物を含むことができるが、これらに限定されない。
【0058】
モノマー成分並びに架橋剤(固形含有量)及び溶媒の総重量に基づく本明細書に記載のモノマー成分の濃度は、組成物の機能的又は商業的用途などのいくつかの要因に依存する。一般的に、組成物の総固形含量は、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~20重量%、0.1重量%~10重量%、又は0.1重量%~5重量%であり得る。
【0059】
層材料又は基板への組成物の塗布
組成物は、スピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティング又は他の従来のコーティング技術などの任意の好適な方法によって基板に層として又は別の層若しくはフィルムの上の層として塗布され得る。好ましくは、組成物は、スピンコーティングによって塗布される。スピンコーティングについて、組成物の固形含量は、利用される具体的なコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及び回転に許容される時間量に基づいて所望のフィルム厚をもたらすように調整され得る。組成物は、一般的に、0.01マイクロメートル(μm)~0.5μmの乾燥層厚、好ましくは0.04~0.20μmの乾燥層厚で基板上に塗布される。
【0060】
多種多様の基板を使用することができ、電子デバイス基板は典型的である。適切な基板としては、例えば、マルチチップモジュールなどのパッケージング基板、フラットパネルディスプレイ基板、集積回路基板、有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)用の基板、半導体ウェハ、多結晶シリコン基板等が挙げられる。好適な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレイ、光集積回路及びLEDの製造において使用されるものなどのウェハの形態であり得る。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「半導体ウェハ」は、シングルチップウェハ、マルチプルチップウェハ、様々なレベルのためのパッケージ、又ははんだ接続を必要とする他のアセンブリなどの、「電子デバイス基板」、「半導体基板」、「半導体デバイス」、及び様々なレベルの相互接続のための様々なパッケージを包含することを意図する。
【0062】
基板は、任意の寸法及び形状であってもよく、好ましくは、シリコン、二酸化ケイ素、シリコン-オン-インシュレーター(SOI)、歪みシリコン、ガリウムヒ素、及びコートされた基板などの、フォトリソグラフィに有用なものである。基板は、1つ以上の層を含み得る。基板に含有される層は、アルミニウム、銅、モリブデン、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、パラジウム、銀、カドミウム、タンタル、チタン、タングステン、白金、水銀、若しくはそれらの合金の1つ以上の導電性層;窒化物又はケイ化物;ドープ非晶質シリコン若しくはドープポリシリコン;酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、若しくは金属酸化物の層などの誘電体層;単結晶シリコンなどの半導体層;ガラス層;石英層;又はそれらの組合せ若しくは混合物であってもよいが、それらに限定されない。好ましくは、基板の最上層、又は基板の最外層は、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、パラジウム、銀、カドミウム、タンタル、タングステン、白金、水銀、又はそれらの合金などの軟質金属を含む(例えば、軟質金属でコートされている)。各層は、様々な技術、例えば、プラズマ強化CVD、低圧CVD若しくはエピタキシャル成長などの化学蒸着(CVD)、スパッタリング若しくは蒸発などの物理蒸着(PVD)、電気めっき、又はスピンコーティングなどの液体コーティング技術によって形成され得る。
【0063】
基板又は下層上に塗布された後、コーティング組成物は、任意選択的に、あらゆる溶媒及び他の比較的揮発性の成分をコーティング組成物層から除去するために比較的低い温度でソフトベークされる。典型的には、基板又は下層は、150℃以下、好ましくは60~125℃、より好ましくは90~115℃の温度でベークされる。ベーキング時間は、典型的には、10秒~10分、好ましくは30秒~5分、より好ましくは6~90秒である。
【0064】
塗布されたコーティング組成物は、任意選択的に、別のコーティング組成物又は層でオーバーコートする前に熱処理され得る。そのような熱処理は、コーティング組成物の更なる架橋を含む硬化を引き起こし得る。例えば、塗布されたコーティング組成物層は、基板上に配置された後に硬化させられ得る。硬化条件は、コーティング組成物の成分によって変わるであろう。硬化条件は、硬化組成物層を、次の層を塗布するために使用される溶媒並びにアルカリ性の水性現像液に実質的に溶けない状態にし得る。例えば、組成物層は、層が組成物で形成されたフォトレジスト下層上に直接配置されたフォトレジスト又は他の有機層などの後に塗布される層と混合しないように十分に硬化され得る。コーティング組成物層は、空気などの、酸素含有雰囲気中で、又は窒素などの、不活性雰囲気中で、及び硬化したコーティング層をもたらすのに十分な、加熱などの、条件下で硬化させられ得る。例示的な硬化は、コーティング組成物層を150℃以上、好ましくは150~450℃の硬化温度で加熱することによる。硬化温度は、180℃以上、更により好ましくは200℃以上、更に一層好ましくは200~300℃であることがより好ましい。熱酸発生剤が使用される場合、硬化温度は、熱酸発生剤が酸を遊離してコーティング組成物の硬化に役立つのに十分なものであるべきである。硬化時間は、10秒~10分、好ましくは30秒~5分、より好ましくは45秒~5分、更により好ましくは45~90秒であってもよい。硬化温度は、硬化したコーティング組成物層を達成するための所望の硬化速度に基づいて選択され得る。
【0065】
溶媒の急速な放出及び副生成物の硬化がフィルム品質を損なうことがないように硬化工程が行われる場合、初期ベーキング工程は必要でない場合がある。例えば、比較的低い温度で始まり、その後200~325℃の範囲に徐々に上昇する傾斜ベークが、許容できる結果を与え得る。場合によっては、二段階硬化プロセスを有することが好ましく、第1の段階は200℃未満のより低いベーク温度であり、第2の段階は好ましくは200~400℃のより高いベーク温度である。
【0066】
組成物層の硬化後、フォトレジスト層、例えば、1つ以上の金属を含むフォトレジスト層(金属化フォトレジスト層)、ケイ素含有層、ハードマスク層、BARC層などの1つ以上の処理層を、硬化したフォトレジスト下層上に配置することができる。例えば、フォトレジストは、硬化したフォトレジスト下層の表面上に直接、例えばスピンコーティングによって、配置され得る。そのようなプロセスにおいて、組成物の層は、基板(又は下層)上に配置され、上記のように硬化させられてコーティング層(すなわち、硬化フォトレジスト下層)を形成する。次に、1つ以上の追加の層が、コーティング層上に配置される。例えば、シリコン含有層又はハードマスク層が、コーティング層上に直接配置される。例示的なシリコン含有層としては、下層上にスピンコートされ、これに硬化が続き得る、シリコン-BARC、又は化学蒸着(CVD)によってコーティング組成物層上に蒸着され得る、SiON若しくはSiOなどの無機シリコン層が挙げられる。任意の好適なハードマスクが使用され得るし、任意の好適な技術によってコーティング層上に堆積させられ、必要に応じて硬化させられ得る。任意選択的に、有機BARC層を、シリコン含有層又はハードマスク層に直接配置することができ、また適切に硬化することができる。
【0067】
一態様において、フォトレジストは、硬化したフォトレジスト下層上に直接、シリコン含有層上に直接(3層プロセスにおいて)、又は有機BARC層上に直接(4層プロセスにおいて)配置される。フォトレジスト層は、次いで、パターン形成された化学線を用いて画像形成され(曝露され)、曝露されたフォトレジスト層は、次いで、適切な現像液を使用して現像されてパターン形成されたフォトレジスト層をもたらす。パターンは、次に、例えばプラズマエッチングによってなどの、当技術分野において公知の適切なエッチング技術によって、フォトレジスト層からその直下の層に転写され、3層プロセスにおいてはパターン形成されたシリコン含有層をもたらし、4層プロセスにおいてはパターン形成された有機BARC層をもたらす。4層プロセスが用いられる場合、パターンは、次にプラズマエッチングなどの適切なパターン転写プロセスを用いて有機BARC層からシリコン含有層又はハードマスク層に転写される。シリコン含有層又はハードマスク層がパターン形成された後、コーティング層は、次いで、Oプラズマなどの、適切なエッチング技術を用いてパターン形成される。あらゆる残存するパターン形成されたフォトレジスト及び有機BARC層は、コーティング層のエッチング中に除去される。次に、パターンは、あらゆる残存するシリコン含有層又はハードマスク層をまた除去する、例えば適切なエッチング技術によって、次いで基板に転写され、これに、あらゆる残存するパターン形成されたコーティング層の除去が続いてパターン形成された基板をもたらす。
【0068】
本発明のパターン形成方法は、フォトレジスト下層組成物の層を基板(場合により、基板と塗布された下層組成物との間に配置された1つ以上の層も含む)の上に塗布すること;塗布されたフォトレジスト下層組成物を硬化させて、コーティングされた下層を形成すること;前記コーティングされた下層の上にフォトレジスト層を形成することを含む。この方法は、フォトレジスト層を活性化放射にパターン状に露光する工程;及び露光されたフォトレジスト層を現像してレジストレリーフ像を得る工程;を更に含み得る。いくつかの態様では、方法は、フォトレジスト層を形成する前に、コーティングされた下層の上にケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はその組合せを形成することを更に含み得る。いくつかの態様では、方法は、露光されたフォトレジスト層を現像した後、且つコーティングされた下層にパターンを転写する工程の前に、ケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はこれらの組合せにパターンを転写する工程を更に含み得る。
【0069】
本発明の特定のパターン形成方法においては、ハードマスク層、例えば、スピン-オン-カーボン(SOC)、無定形炭素、若しくは金属ハードマスク層、窒化ケイ素(SiN)層、酸化ケイ素(SiO)層、若しくはオキシ窒化ケイ素(SiON)層などのCVD層、有機若しくは無機BARC層、又はそれらの組合せなどの1つ以上のリソグラフィ層を、本発明のフォトレジスト下層を形成する前に基板の上層上に提供することが望ましくあり得る。そのような層は、本発明のフォトレジスト下層組成物の層及びフォトレジスト層と一緒に、リソグラフィ材料スタックを形成する。本発明のパターン形成方法において使用され得る典型的なリソグラフィスタックとしては、例えば、以下のもの:SOC層/下層/フォトレジスト層;SOC層/SiON層/下層/フォトレジスト層;SOC層/SiARC層/下層/フォトレジスト層;SOC層/金属ハードマスク層/下層/フォトレジスト層;無定形炭素層/下層/フォトレジスト層;及び無定形炭素層/SiON層/下層/フォトレジスト層が挙げられる。
【0070】
本明細書で使用される「フォトレジスト下層」は、基板とフォトレジスト層との間に(すなわち「基板の上に」)配置される1つ以上の層を指すことが理解される。したがって、本発明のコーティングされた下層(すなわちフォトレジスト下層組成物の層)は、フォトレジスト下層として単独で使用することができ、或いは本発明のコーティングされた下層(すなわちフォトレジスト下層組成物の層)は、本明細書に記載のものなどの他の下層と組み合わせて使用することができる。
【0071】
したがって、本発明者らは、コーティングされた基板であって:基板;基板上に配置されたポリマーを含む組成物から形成されたフォトレジスト下層;及びフォトレジスト下層上に配置されたフォトレジスト層、例えば金属含有フォトレジスト層を含む。
【0072】
上述したように、他の介在する層は、フォトレジスト下層とオーバーコートされたフォトレジスト層との間に設けられ得る。いくつかの態様では、方法は、フォトレジスト層を形成する前に、コーティングされた下層の上にケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はそれらの組合せを形成することを更に含み得る。
【0073】
多種多様のフォトレジストを本発明の方法において適切に使用することができ、典型的にはこれはポジ型材料である。使用される具体的なフォトレジストは、使用される露光波長に依存し、通常、酸感受性マトリックスポリマーと、光酸発生剤などの光活性成分と、溶剤と、任意選択の追加の成分とを含む。好適なフォトレジストは、当業者に公知であり、市販の、例えば、DuPont Electronics&Industrial製のUV(商標)及びEPIC(商標)製品系統の様々なフォトレジスト材料である。フォトレジストは、下層組成物に関連して上に記載されたような公知のコーティング技術によって基板に塗布することができ、スピンコーティングが典型的である。フォトレジスト層についての典型的な厚さは、10~300nmである。フォトレジスト層は、典型的には次に、層中の溶剤含有量を最小限にするためにソフトベークされ、それによって不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善する。ソフトベークは、ホットプレート上で又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。典型的なソフトベークは、70~150℃の温度、及び30~90秒の時間で行われる。
【0074】
一態様では、本明細書に記載の下層組成物は、極紫外線(EUV)リソグラフィ用に設計された感光性フォトレジスト層と併せて商業的又は技術的利点を示す。可能な限り最小の回路を製造するために、ほとんどの最新のリソグラフィシステムは、例えば、200nm以下の波長の深紫外線、又は約13.5nmの領域の極端紫外線(EUV)などの非常に短い波長の光を使用するように設計されている。このような光源は比較的弱いため、フォトレジスト層はこの光を可能な限り効率的に利用するように設計する必要がある。マイクロエレクトロニクス/ナノエレクトロニクス製造に今日使用されているフォトレジストは本質的に、フォトレジストの光利用効率を高めるために化学増幅の概念を採用している。
【0075】
例えば、化学増幅(CA)フォトレジスト材料(層)は、ネガ型材料とすることができ、ポリマーが酸と反応した後に塩基溶液などの現像液に対して不溶性になるポリマー材料を含む。別の例では、CAフォトレジスト層はポジ型であり、ポリマー材料が酸と反応した後に現像液に可溶になるポリマー材料を含む。更に別の例では、CAフォトレジスト層は、ポリマーが酸と反応した後にその極性を変化させるポリマー材料を含む。
【0076】
EUVリソグラフィで使用するために特別に設計されたフォトレジスト層は、金属が炭素、窒素又は酸素と比較して本質的に高いEUV光子吸収及び遅いドライエッチング速度を有する傾向があるため、EUV吸収、レジスト効率及びエッチング選択性を高めるための金属含有フォトレジストであり得る。金属含有フォトレジストは、例えば、バリウム(Ba)、インジウム(In)、セリウム(Ce)、ハフニウム(Hf)又はスズ(Sn)などの金属のうちのいずれか1つ以上を含む。金属含有フォトレジストは、金属が有機マトリクスに結合又は組み込まれた金属有機化合物を含んでもよい。
【0077】
金属含有フォトレジストは、パターン形成プロセスで酸のかすれが発生せず、より低いレジスト厚さを有するため、有機CARよりも高い解像度のパターン形成を提供することができる。金属含有フォトレジストは、そのエッチング耐性に基づいてより良好な崩壊性能を提供することができる。さらに、金属含有フォトレジストは、レジスト材料のEUV放射に対する感度及び効率を高めるための増感剤として機能することができる。金属含有フォトレジストは、金属コア(有機配位子に配位した金属イオンなど)を含んでもよい。リソグラフィ露光中に、金属含有フォトレジストはEUV光子を吸収してラジカルを生成し、これがフォトレジストポリマーの架橋を引き起こし、現像中にレジストの露光部分が残る可能性がある。この場合、レジスト材料はネガ型レジストであり、酸発生化合物及び/又はブロッキング基を含まないが、これはEUV照射は金属化フォトレジストポリマーの架橋を引き起こすためである。
【0078】
金属含有フォトレジストは、有機スズオキソ水酸化物を含んでもよい。例えば、アルキル基、特に分岐アルキル基(環状配位子を含む)に結合した有機スズ化合物は、改善された放射パターン形成前駆体フィルム形成化合物として使用することができる。化合物で形成されたフィルムは、非常に高い解像度のパターンを達成するために所望の線量のEUV放射線でパターン形成することができる。有機スズ化合物の有機配位子は、コーティングを形成する際に良好な前駆体溶液安定性及び良好な放射線感受性を提供することができる。
【0079】
例えば、式RSnO(3/2-x/2)(OH)(式中、0<x<3であり、Rは、C1~22アルキル基、C1~22ヘテロアルキル基、C3~22シクロアルキル基、C2~22ヘテロシクロアルキル基、C6~14アリール基又はC3~14ヘテロアリール基である)によって表される有機スズオキソ水酸化物。一例では、RがC1~22アルキル基、C1~22ヘテロアルキル基、C3~22シクロアルキル基、又はC2~22ヘテロシクロアルキル基である場合、基の二級又は三級炭素に炭素-スズ結合を形成することが好都合であり得る。さらに、示されるように、スズは、有機配位子に加えて、1つ以上のオキソ配位子、すなわちSn=O及び/又はヒドロキソ配位子に結合している。有機配位子及びオキソ/ヒドロキソ配位子は、金属酸化物への縮合プロセスに対する有意な制御を提供することによって、前駆体溶液及び対応するコーティングに望ましい特徴を提供し、結果として有意な処理、パターン形成、及びコーティングの利点をもたらす。
【0080】
分岐アルキル配位子、例えば、tert-ブチル又はイソプロピルアルキルの使用は、改善されたパターン形成性能を示し得る。場合によっては、特に少なくとも1つの分岐アルキル基を有する分岐及び/又は非分岐アルキル基にSn-C結合を有するアルキル-スズ化合物の適切な混合物を配合して、ナノリソグラフィパターン形成性能を更に改善することができる。
【0081】
フォトレジスト層は、次に、露光領域と非露光領域との間で溶解性の差を生じさせるためにフォトマスクを通して活性化放射線に露光される。組成物のために活性化する放射線にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射線がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを示す。フォトマスクは、活性化放射線によって、それぞれ、露光される及び露光されないレジスト層の領域に対応する光学的に透過性領域及び光学的に不透過性領域を有する。露光波長は、典型的には、400nm未満、より典型的には、248nm(KrF)、193nm(ArF)、又はEUV波長(例えば13.5nm)などの、300nm未満である。好ましい態様において、露光波長は193nm又はEUV波長である。露光エネルギーは、例えば露光ツール及び感光性組成物の成分に応じて、典型的には、1平方センチメートル当たり10~100ミリジュール(mJ/cm)である。
【0082】
フォトレジスト層の露光に続いて、典型的には、後露光ベーク(PEB)が実行される。PEBは、典型的には、70~150℃の温度、及び30~90秒の時間で行われる。これにより、架橋領域と非架橋領域との境界(それぞれ露光領域及び非露光領域に対応する)で規定される潜像が形成される。フォトレジスト層は、次に、層の非露光領域を除去するために現像され、パターン形成フォトレジスト層を形成する露光領域を残す。
【0083】
ネガ型画像化のために、現像剤は、前駆体溶液を形成するために使用される溶媒などの有機溶媒であり得る。一般的に、現像剤の選択は、照射及び非照射の両方のコーティング材料に関する溶解度パラメータ、並びに現像剤の揮発性、可燃性、毒性、粘度、及び他のプロセス材料との潜在的な化学的相互作用によって影響され得る。特に、適切な現像剤としては、例えば、芳香族化合物(例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン)、エステル(例えば、プロピレングリコールモノメチルエステルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸n-ブチル、ブチロラクトン)、アルコール(例えば、4-メチル-2-ペンタノール、1-ブタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、メタノール)、ケトン(例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール)などが挙げられる。現像液は、公知の技術、例えば、スピンコーティング又はパドルコーティングによって塗布され得る。
【0084】
フォトレジスト層のパターンは、エッチングされる各層にとって適切なガス種を使用するプラズマエッチングによるなどの適切なエッチング技術によって、コーティングされた下層を含む1つ以上の下層に、及び基板に転写することができる。層の数及び関係している材料に応じて、パターン転写は、異なるエッチングガスを使用する複数のエッチング工程を含み得る。リソグラフィスタック中のパターン形成されたフォトレジスト層、コーティングされた下層、及び他の任意選択の層は、従来技術を用いて基板へのパターン転写後に除去され得る。任意選択的に、スタックの層の1つ以上は、下位層へのパターン転写後に及び基板へのパターン転写前に除去され得るか、又はパターン転写中に及び基板へのパターン転写前に消費され得る。例えば、ケイ素含有層、有機反射防止コーティング層などのうちの1つ以上へのパターン転写は、露光されたフォトレジスト層が現像された後、且つコーティングされた下層へのパターン転写の前に行い得る。基板は、次いで、電子デバイスを形成するために当該技術分野で公知の方法に従って更に処理される。
【0085】
本発明のコンセプトは、非限定的であることを意図する、以下の実施例によって更に例示される。本明細書で使用される化合物及び試薬は、手順が以下に与えられている場合を除いて、市販されている。
【実施例0086】
ポリマー1(P1)
グリシジルメタクリレート3.00g、4-ブロモ-2.6-ジヨードフェノール8.95g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド0.08gを、コンデンサを備えた丸底フラスコ中でジメチルアセトアミド30.56gに溶解した。混合物を撹拌しながら18時間80℃にて加熱し、その後室温まで放冷した。生成物である、3-(4-ブロモ-2,6-ジヨードフェノキシ)2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(BDIPHPM)を、酢酸エチルと水の組合せを使用して抽出し、溶媒を蒸発によって除去し、生成物を真空下、40℃で16時間乾燥させた。
【0087】
2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)3.34g、tert-ブチルメタクリレート(tBMA)6.57g、BDIPHPM 17.48g及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)2.37gを、攪拌しながら室温で丸底フラスコ内でアニソール100.5gに溶解して、モノマー溶液を得た。アニソール19.5gを、コンデンサを備えた他の丸底フラスコに入れた。丸底フラスコ中の溶媒を撹拌しながら80℃まで加熱した。モノマー溶液を丸底フラスコに3時間かけて滴下により供給した。モノマー供給が完了した後、反応混合物を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を氷浴で冷却し、メチルtert-ブチルエーテル/ヘプタンの混合物1500gに沈殿させた。溶媒混合物を濾過し、ポリマーを真空下、40℃で16時間乾燥させた。
【0088】
ポリマー2(P2)
グリシジルメタクリレート3.00g、4-フルオロ-3,5-ジヨードフェノール7.35g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド0.08gを、コンデンサを備えた丸底フラスコ中でジメチルアセトアミド30.56gに溶解した。混合物を撹拌しながら18時間80℃にて加熱し、その後室温まで放冷した。生成物である、3-(4-フルオロ-3,5-ジヨードフェノキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(FDIPHPM)を、酢酸エチルと水の組合せを使用して抽出し、溶媒を蒸発によって除去し、生成物を真空下、40℃で16時間乾燥させた。
【0089】
2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)3.34g、tert-ブチルメタクリレート(tBMA)6.57g、FDIPHPM 15.59g及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)2.37gを、攪拌しながら室温で丸底フラスコ内でアニソール100.5gに溶解して、モノマー溶液を得た。アニソール19.5gを、コンデンサを備えた他の丸底フラスコに入れた。丸底フラスコ中の溶媒を撹拌しながら80℃まで加熱した。モノマー溶液を丸底フラスコに3時間かけて滴下により供給した。モノマー供給が完了した後、反応混合物を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を氷浴で冷却し、メチルtert-ブチルエーテル/ヘプタンの混合物1500gに沈殿させた。溶媒混合物を濾過し、ポリマーを真空下、40℃で16時間乾燥させた。
【0090】
ポリマー3(P3)
グリシジルメタクリレート3.00g、2,3,4,5,6-ペンタフルオロ安息香酸4.28g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド0.08gを、コンデンサを備えた丸底フラスコ中でジメチルアセトアミド30.56gに溶解した。混合物を撹拌しながら18時間80℃にて加熱し、その後室温まで放冷した。生成物である2-ヒドロキシ-3-(メタクリロイルオキシ)プロピル2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゾエート(HMPPFB)を酢酸エチルと水の組合せを用いて抽出し、溶媒を蒸発により除去し、生成物を真空下、40℃で16時間乾燥させた。
【0091】
2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)3.34g、tert-ブチルメタクリレート(tBMA)6.57g、HMPPFB 10.91g及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)2.37gを、攪拌しながら室温で丸底フラスコ内でアニソール100.5gに溶解して、モノマー溶液を得た。アニソール19.5gを、コンデンサを備えた他の丸底フラスコに入れた。丸底フラスコ中の溶媒を撹拌しながら80℃まで加熱した。モノマー溶液を丸底フラスコに3時間かけて滴下により供給した。モノマー供給が完了した後、反応混合物を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を氷浴で冷却し、メチルtert-ブチルエーテル/ヘプタンの混合物1500gに沈殿させた。溶媒混合物を濾過し、ポリマーを真空下、40℃で16時間乾燥させた。
【0092】
ポリマー4(P4)
2-(メタクリロイルオキシ)エチル2,3,5-トリヨードベンゾエート(METIB)を文献の手順(Biomolecules,2003,4,793-798)に従って調製した。2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)3.34g、tert-ブチルメタクリレート(tBMA)6.57g、METIB 18.87g及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)2.37gを、攪拌しながら室温で丸底フラスコ内でアニソール100.5gに溶解して、モノマー溶液を得た。アニソール19.5gを、コンデンサを備えた他の丸底フラスコに入れた。丸底フラスコ中の溶媒を撹拌しながら80℃まで加熱した。モノマー溶液を丸底フラスコに3時間かけて滴下により供給した。モノマー供給が完了した後、反応混合物を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を氷浴で冷却し、メチルtert-ブチルエーテル/ヘプタンの混合物1500gに沈殿させた。溶媒混合物を濾過し、ポリマーを真空下、40℃で16時間乾燥させた。
【0093】
ポリマー5(P5)
4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(HQMA)4.58g、tert-ブチルメタクリレート(tBMA)6.57g、METIB 18.87g及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)2.37gを、攪拌しながら室温で丸底フラスコ内のアニソール100.5gに溶解させて、モノマー溶液を得た。次いで合成はポリマー4の調製に従う。
【0094】
ポリマー6(P6)
2-(メタクリロイルオキシ)エチル2,3,5-トリヨードベンゾエート(METIB)を上記文献の手順に従って調製した。グリシジルメタクリレート(GMA)3.65g、tert-ブチルメタクリレート(tBMA)6.57g、METIB 18.87g及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)2.37gを、攪拌しながら室温で丸底フラスコ内でアニソール100.5gに溶解して、モノマー溶液を得た。次いで合成はポリマー4の調製に従う。
【0095】
ポリマー7(P7)
2-(メタクリロイルオキシ)エチル2,3,5-トリヨードベンゾエート(METIB)を上記文献の手順に従って調製した。6-ヒドロキシヘキシルメタクリレート(HHMA)4.79g、tert-ブチルメタクリレート(tBMA)6.57g、METIB 18.87g及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)2.37gを、攪拌しながら室温で丸底フラスコ内でアニソール100.5gに溶解して、モノマー溶液を得た。次いで合成はポリマー4の調製に従う。
【0096】
ポリマー8(P8)
2-(メタクリロイルオキシ)エチル2,3,5-トリヨードベンゾエート(METIB)を上記文献の手順に従って調製した。2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)3.34g、1-メチルシクロペンチルメタクリレート(MCPMA)7.78g、METIB 18.87g及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)2.37gを、攪拌しながら室温で丸底フラスコ内のアニソール100.5gに溶解して、モノマー溶液を得た。次いで合成はポリマー4の調製に従う。
【0097】
ポリマー9(P9)
2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)3.34g、1-エチルシクロヘキシルメタクリレート(ECHMA)9.07g、METIB 18.87g及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)2.37gを、攪拌しながら室温で丸底フラスコ内のアニソール100.5gに溶解して、モノマー溶液を得た。次いで合成はポリマー4の調製に従う。
【0098】
ポリマー10(P10)
2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)3.34g、2-イソプロピルアダマンタン-2-イルメタクリレート(iPAMA)12.12g、METIB 18.87g及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)2.37gを、攪拌しながら室温で丸底フラスコ中でアニソール100.5gに溶解させて、モノマー溶液を得た。次いで合成はポリマー4の調製に従う。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
比較ポリマー1(P11)
2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)17.45g、メチルメタクリレート(MMA)17.45g、及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)2.47gを、250mL丸底フラスコ中で撹拌しながらプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40.0gに溶解し、氷浴に入れてモノマー溶液を約0℃に冷却した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80gを、コンデンサを備えた別の3口丸底フラスコに投入した。丸底フラスコ中の溶媒を撹拌しながら80℃まで加熱した。モノマー溶液を丸底フラスコに60分間かけて滴下により供給した。その後、反応混合物を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した。得られたポリマー溶液をイソプロピルアルコール(反応混合物の10倍過剰)で沈殿させ、濾過し、真空乾燥させて、得られたポリマーを得た。
【0102】
比較ポリマー2(P12)
2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)13.08g、1-メチルシクロペンチルメタクリレート(MCPMA)16.92g、及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)4.17gを、攪拌しながら室温で丸底フラスコ内のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45.0gに溶解して、モノマー溶液を得た。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25.0gを、コンデンサを備えた他の丸底フラスコに投入した。丸底フラスコ中の溶媒を撹拌しながら80℃まで加熱した。モノマー溶液を丸底フラスコに3時間かけて滴下により供給した。モノマー供給が完了した後、反応混合物を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を氷浴で冷却し、メチルtert-ブチルエーテル/ヘプタンの混合物1000gに沈殿させた。溶媒混合物を濾過し、ポリマーを真空下、40℃で16時間乾燥させた。
【0103】
比較ポリマー3(P13)
2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)2.38g、n-ブチルメタクリレート(nBMA)5.21g、METIB 22.41g及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)1.90gを、攪拌しながら室温で丸底フラスコ内でアニソール100.5gに溶解して、モノマー溶液を得た。
【0104】
【表3】
【0105】
実施例組成物
実施例1:P1 0.24g、C1 0.05g、及びA1 0.01gを、69.8gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、27.9gのメチル-2-ヒドロキシイソブチレート、及び2.0gのガンマブチロラクトン溶媒混合物に溶解して、溶液を得た。その後、溶液をPTFE 0.45μmメンブレンフィルターで濾過した。
【0106】
実施例2~実施例10 実施例2~10のそれぞれについて、0.24gのポリマーP2~P10をそれぞれ使用することを除いて、実施例1による同じ手順を実施例2~10の組成物の調製に使用する。
【0107】
比較例1、2及び3 比較例1、2、及び3の各々について、0.24gの比較ポリマーP1、P2、及びP3をそれぞれ使用したことを除いて、実施例1と同様の手順を比較例1、2、及び3の調製に使用する。
【0108】
【表4】
【0109】
フィルムストリップ評価
調製した組成物をシリコンウェハ上にスピンナーを用いて1500rpmでスピンコートし、ウェハをホットプレート上、205℃で、60秒間加熱して薄フィルム(フィルム厚5nm)を形成した。初期のフィルム厚は、Therma-Wave OptiProbe(商標)計測ツールを使用して測定した。次いで、薄フィルムを30mLのPGMEAに90秒間曝露し、4000rpmで60秒間スピン乾燥し、ホットプレート上、110℃で60秒間ポストベークした。Δストリップを計算し(曝露した&曝露後のベークフィルム厚-最初にコーティングされたフィルム厚)、表4に報告する。PGMEA剥離剤との接触前後のフィルム厚の差を測定して、ウェハに残っているフィルム厚のパーセント(%フィルム残存率)を決定する。この値は、ポリマー層の架橋度を示し、より正の値になると、架橋密度の増加を示す。
【0110】
【表5】
【0111】
密着性評価
調製した組成物をシリコンウェハ上にスピンナーを用いて1500rpmでスピンコートし、ウェハをホットプレート上、205℃で、60秒間加熱して薄フィルム(フィルム厚5nm)を形成した。この下層フィルムに無機レジスト溶液(n-プロパノール中ジ-n-ブチルスズジアセテート(CAS 1067-33-0、Alfa-Aesarから購入))をスピンナーで塗布し、ホットプレート上、150℃で、60秒間加熱した(フィルム厚20nm)。テープを無機レジスト上に押し付け、次いで迅速にストリップした。表5に示すように、実施例1~実施例10では観察可能な剥離が見られなかったのに対し、比較例1及び比較例3では観察可能な部分的剥離及びほぼ完全な剥離が見られた。特に、酸発生繰り返し単位を有するポリマーをそれぞれ含む実施例組成物4及び8~10によって観察された基板への接着性は、酸発生繰り返し単位を含まない比較例3の組成物よりも大きいことが示される。
【0112】
【表6】
【0113】
レジストパターン形成評価
調製した下層組成物をシリコンウェハ上にスピンナーを用いて1500rpmでスピンコートし、ウェハをホットプレート上、205℃で、60秒間加熱して薄フィルム(フィルム厚5nm)を形成した。下層フィルム上に、無機レジスト溶液(n-プロパノール中ジ-n-ブチルスズジアセテート(CAS 1067-33-0、Alfa-Aesarから購入))をスピンナーで塗布し、ホットプレート上で加熱して無機レジストフィルム(フィルム厚40nm)を形成した。下層の実施例上の40nmピッチのL/Sパターン形成レジストの動作線量を、Eビームリソグラフィツール(JEOL 100 keV製のJBX 9300FS)を使用する直接Eビーム描画によって評価した。ウェハを60℃で60秒間曝露後ベークし、PGMEAで30秒間現像し、100℃で5分間ハードベークした。パターン形成されたウェハをHITACHI S9380 CD-SEMによって検査し、表6に報告した。
【0114】
【表7】
【0115】
特に、それぞれが酸発生繰り返し単位を有するポリマーを含む実施例組成物4及び8の観察されたパターン形成又は安定性は、酸発生繰り返し単位を含まないことを除いて同様の組成物の比較例3よりも大きいことが示される。
【0116】
本開示は、実用的で例示的な実施形態であると現在考えられるものと併せて記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、むしろ添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等な構成を包含することを意図することが理解されるべきである。
【外国語明細書】