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特開2024-77612光学式触覚センサ、ロボットハンド、ロボットアーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077612
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】光学式触覚センサ、ロボットハンド、ロボットアーム
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
G01L5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023197501
(22)【出願日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2022189126
(32)【優先日】2022-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522054787
【氏名又は名称】大日方 五郎
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大日方 五郎
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】中根 和靖
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA10
2F051AB03
2F051BA07
(57)【要約】
【課題】接触部に設けられたマーカを、対象物が接触する側とは反対側から撮影する光学式触覚センサに関し、対象物側の空間から一部波長範囲の光が入り込むことを抑えつつ、他の波長範囲の光を利用して撮影し得る。
【解決手段】光学式触覚センサ1は、接触部6とマーカ部20と撮像部4とを備える。接触部6は、対象物W1と接触する接触面6Aを有し、接触面6Aに対する対象物W1の接触状態に応じた変形が生じる構成をなす。マーカ部20は、接触部6に設けられ、接触部6の変形に応じて変位する。撮像部4は、対象物W1が接触する側とは反対側からマーカ部20を撮影する。接触部6は、第1波長範囲の光を通過させ、第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の光の通過を遮断する。マーカ部20は、上記反対側からマーカ部20に入射する光を反射させる。撮像部4は、マーカ部20からの反射光及び第1波長範囲の光を受光して画像を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物と接触する接触面を有し、前記接触面に対する前記対象物の接触状態に応じた変形が生じる接触部と、
前記接触部に設けられ、前記接触部の変形に応じて変位するマーカ部と、
前記対象物が接触する側とは反対側から前記マーカ部を撮影する撮像部と、
を備え、
前記接触部は、第1波長範囲の光を通過させ、前記第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の光の通過を遮断し、
前記マーカ部は、前記反対側から前記マーカ部に入射する光を反射させ、
前記撮像部は、前記マーカ部からの反射光及び前記第1波長範囲の光を受光して画像を生成する
光学式触覚センサ。
【請求項2】
前記第1波長範囲は、赤外光又は紫外光の波長範囲のうちの少なくとも一部範囲を含み、
前記第2波長範囲は、可視光の波長範囲のうちの少なくとも一部範囲を含む
請求項1に記載の光学式触覚センサ。
【請求項3】
前記第1波長範囲の光を含んだ照明光を前記接触部に対して前記反対側から照射する照射部を備える
請求項1又は請求項2に記載の光学式触覚センサ。
【請求項4】
前記撮像部が生成する画像情報に基づき、一部の光の影響を抑制又は除去した画像を生成する画像生成部を有する
請求項1又は請求項2に記載の光学式触覚センサ。
【請求項5】
前記接触部は膜状であり、
前記マーカ部は、前記接触部における前記接触面とは反対側の裏面から突出する突起部を複数備える
請求項1又は請求項2に記載の光学式触覚センサ。
【請求項6】
前記請求項1又は請求項2に記載の光学式触覚センサを備えたロボットハンド。
【請求項7】
前記請求項1又は請求項2に記載の光学式触覚センサを備えたロボットアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学式触覚センサ、ロボットハンド、ロボットアームに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光学式触覚センサの一例が開示される。特許文献1の光学式触覚センサは、触覚部と撮像手段とを備える。触覚部は、凸状曲面を有する光透過性弾性体からなり、凸状曲面上にマーカ部が配置される。撮像手段は、凸状曲面に物体が接触した際のマーカ部の挙動を撮影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2005/085785号
【特許文献2】特開2012-42220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される光学式触覚センサでは、触覚部が凸状曲面を有する光透過性弾性体からなり、触覚部が遮光機能を有していない。従って、触覚部に接触する物体側の空間から触覚部を介して撮像手段へと光が入り込んでしまい、撮像手段が生成する撮影画像が外光の影響を受けやすい。
【0005】
一方、特許文献2には、対象物の形状に応じて変形可能な膜を備えた形状計測装置が開示される。特許文献2の形状計測装置は、光を遮断する膜を有するため、対象物側の空間から膜を介して撮像手段に外光が入り込むことを防ぐことができる。しかし、このように膜が光を遮断してしまうと、撮像手段が対象物側の空間を撮影することができず、対象物側の空間の様子を撮影画像に表すことができない。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、接触部に設けられたマーカを、対象物が接触する側とは反対側から撮影する光学式触覚センサに関し、対象物側の空間から一部波長範囲の光が入り込むことを抑えつつ、他の波長範囲の光を利用して対象物側の空間を撮影し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一つである光学式触覚センサは、
対象物と接触する接触面を有し、前記接触面に対する前記対象物の接触状態に応じた変形が生じる接触部と、
前記接触部に設けられ、前記接触部の変形に応じて変位するマーカ部と、
前記対象物が接触する側とは反対側から前記マーカ部を撮影する撮像部と、
を備え、
前記接触部は、第1波長範囲の光を通過させ、前記第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の光の通過を遮断し、
前記マーカ部は、前記反対側から前記マーカ部に入射する光を反射させ、
前記撮像部は、前記マーカ部からの反射光及び前記第1波長範囲の光を受光して画像を生成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る技術は、接触部に設けられたマーカを、対象物が接触する側とは反対側から撮影する光学式触覚センサに関し、対象物側の空間から一部波長範囲の光が入り込むことを抑えつつ、他の波長範囲の光を利用して対象物側の空間を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る光学式触覚センサを概略的に例示する説明図である。
図2図2は、図1の光学式触覚センサを備えた形状計測システムを概略的に例示する説明図である。
図3図3は、図1の光学式触覚センサのタッチパッド付近の構成を例示する断面概略図である。
図4図4は、図1の光学式触覚センサのタッチパッド付近について、撮像部側から見た構成を概念的に例示する説明図である。
図5図5は、第3実施形態に係る光学式触覚センサのタッチパッドを概略的に例示する斜視図である。
図6図6は、図5のタッチパッドを図5とは異なる方向から見た斜視図である。
図7図7は、図5のタッチパッドを撮像部側から見た平面図である。
図8図8は、図7のA-A位置の断面を示す断面図である。
図9図9は、第4実施形態に係る光学式触覚センサのタッチパッドを概略的に例示する斜視図である。
図10図10は、図9のタッチパッドを図9とは異なる方向から見た斜視図である。
図11図11は、図9のタッチパッドを撮像部側から見た平面図である。
図12図12は、図11のB-B位置の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本開示の望ましい例を示す。
【0011】
[1]対象物と接触する接触面を有し、前記接触面に対する前記対象物の接触状態に応じた変形が生じる接触部と、
前記接触部に設けられ、前記接触部の変形に応じて変位するマーカ部と、
前記対象物が接触する側とは反対側から前記マーカ部を撮影する撮像部と、
を備え、
前記接触部は、第1波長範囲の光を通過させ、前記第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の光の通過を遮断し、
前記マーカ部は、前記反対側から前記マーカ部に入射する光を反射させ、
前記撮像部は、前記マーカ部からの反射光及び前記第1波長範囲の光を受光して画像を生成する
光学式触覚センサ。
【0012】
[2]前記第1波長範囲は、赤外光又は紫外光の波長範囲のうちの少なくとも一部範囲を含み、
前記第2波長範囲は、可視光の波長範囲のうちの少なくとも一部範囲を含む
[1]に記載の光学式触覚センサ。
【0013】
[3]前記第1波長範囲の光を含んだ照明光を前記接触部に対して前記反対側から照射する照射部を備える
[1]又は[2]に記載の光学式触覚センサ。
【0014】
[4]前記撮像部が生成する画像情報に基づき、一部の光の影響を抑制又は除去した画像を生成する画像生成部を有する
[1]から[3]のいずれか一つに記載の光学式触覚センサ。
【0015】
[5]前記一部の光は、前記第1波長範囲の光である
[4]に記載の光学式触覚センサ。
【0016】
[6]前記一部の光は、前記第1波長範囲以外の波長範囲の光である
[4]に記載の光学式触覚センサ。
【0017】
[7]前記接触部は膜状であり、
前記マーカ部は、前記接触部における前記接触面とは反対側の裏面から突出する突起部を複数備える
[1]から[6]のいずれか一つに記載の光学式触覚センサ。
【0018】
[8]対象物と接触する接触面を有し、前記接触面に対する前記対象物の接触状態に応じた変形が生じる接触部と、
前記接触部に設けられ、前記接触部の変形に応じて変位するマーカ部と、
前記対象物が接触する側とは反対側から前記マーカ部を撮影する撮像部と、
を備え、
前記接触部は膜状であり、
前記マーカ部は、前記接触部における前記接触面とは反対側の裏面から突出する突起部を複数備える
光学式触覚センサ。
【0019】
[9]前記突起部は、前記裏面から法線方向に突出する
[8]に記載の光学式触覚センサ。
【0020】
[10]前記突起部は、前記撮像部の撮像方向に突出する
[8]又は[9]に記載の光学式触覚センサ。
【0021】
[11]前記接触面は、前記対象物が接触する側に凸である湾曲面である
[8]から[10]のいずれか一つに記載の光学式触覚センサ。
【0022】
[12]前記接触面は、平坦面である
[8]から[10]のいずれか一つに記載の光学式触覚センサ。
【0023】
[13]前記突起部の先端部には、色相、明度、彩度の少なくともいずれかが前記裏面とは異なる先端マーカ部が配置されている
[8]から[12]のいずれか一つに記載の光学式触覚センサ。
【0024】
[14]前記突起部において前記先端マーカ部と前記接触部の裏面との間には、色相、明度、彩度の少なくともいずれかが前記先端マーカ部とは異なる中間部が設けられている
[13]に記載の光学式触覚センサ。
【0025】
[15][1]から[14]のいずれか一つに記載の光学式触覚センサと、
前記撮像部が生成した画像を解析し、前記対象物の形状を計測する形状計測部と、
を含む形状計測システム。
【0026】
[16][1]から[14]のいずれか一つに記載の光学式触覚センサを用い、
前記接触部が、第1波長範囲の光を通過させ、前記第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の光の通過を遮断し、
前記マーカ部が、前記反対側から前記マーカ部に入射する光を反射させ、
前記撮像部が、前記マーカ部からの反射光及び前記第1波長範囲の光を受光して画像を生成する
センシング方法。
【0027】
[17][16]に記載のセンシング方法を用い、
前記撮像部が生成した画像を解析し、前記対象物の形状を求める
形状計測方法。
[18][1]から[14]のいずれか一つに記載の光学式触覚センサを備えたロボットハンド。
[19][1]から[14]のいずれか一つに記載の光学式触覚センサを備えたロボットアーム。
【0028】
<第1実施形態>
1.光学式触覚センサ1について
以下の説明は、第1実施形態に係る光学式触覚センサ、光学式触覚センサを含む形状計測システム、光学式触覚センサを用いたセンシング方法、このセンシング方法を用いた形状計測方法、光学式接触センサを備えたロボットハンド、光学式接触センサを備えたロボットアームに関する。
【0029】
図1には、第1実施形態に係る光学式触覚センサ1が示される。光学式触覚センサ1は、対象物W1をセンシングするセンサである。光学式触覚センサ1は、対象物W1に接触する、又は対象物W1を掴むロボットハンド又はロボットアームに適用可能である。図1には対象物W1の一例が示されるが、対象物W1の形状やサイズは図1の例に限定されず、様々な形態の物体を対象にすることができる。
【0030】
光学式触覚センサ1は、ケース2、タッチパッド3、撮像部4、照射部5、などを備える。光学式触覚センサ1は、例えば、図2のような形状計測システム10を構成し得る。タッチパッド3には、接触部6やマーカ部20(図4)などが設けられる。
【0031】
本明細書では、図2に示される撮像部4の光軸Xと平行な方向が撮像方向の一例である。図2には、撮像部4の光軸Xが一点鎖線にて概念的に示される。本明細書では、光軸Xと平行な方向は、上下方向とも称される。本明細書では、上記上下方向において、撮像部4が設けられる側が上方側であり、接触部6が設けられる側が下方側である。
【0032】
図1に示される撮像部4は、例えば、CCDカメラやCMOSカメラなどの撮像装置である。代表例では、撮像部4は、少なくとも可視光領域の光を受光して撮影画像を生成することができ、例えば、可視光領域及び可視光領域外(例えば、第1波長範囲)の光を受光して撮影画像を生成することができる。撮像部4は、入射する光の赤色の濃淡情報を生成するR素子と、入射する光の緑色の濃淡情報を生成するG素子と、入射する光の青色の濃淡情報を生成するB素子とが受光領域に配置されたカラーカメラとして構成される。例えば、R素子とG素子とB素子とが所定の配置で組み合わされたRGB要素が、上記受光領域において配列されている。なお、例示された上述の撮像装置はあくまで一例であり、R成分、G成分、B成分を撮影し得るカメラであれば、公知のどのようなカメラが用いられてもよい。
【0033】
撮像部4は、接触部6に対して、「対象物W1が接触する側」とは反対側に配置される。撮像部4は、マーカ部20を「対象物W1が接触する側とは反対側」から撮影する。「対象物W1が接触する側」とは、具体的には、接触部6によって区切られる2つの空間のうちの接触面6Aが面する空間側であり、対象物W1が存在する空間側である。「対象物W1が接触する側とは反対側」とは、接触部6によって区切られる2つの空間のうちの裏面6Bが面する空間側であり、対象物W1が存在しない空間側である。図1の例では、「対象物W1が接触する側」は、接触部6の下方側であり、「対象物W1が接触する側とは反対側」は、接触部6の上方側である。つまり、撮像部4は、マーカ部20を接触部6よりも上方側から撮影する。そして、撮像部4は、マーカ部20からの反射光及び後述される第1波長範囲の光を受光して画像を生成し得る。
【0034】
図1に示される照射部5は、後述の第1波長範囲の光を含んだ照明光を照射する。照射部5の配置やサイズは、複数のマーカ部20に対して上記照明光が照射され得る配置やサイズであればよい。照射部5は、例えば、同軸落射照明が採用されてもよく、その他の照明装置であってもよい。代表例では、照射部5は、可視光と第1波長範囲の光の両方を照射する構成をなす。この場合、中心周波数は特に限定されず、中心周波数が可視光の波長範囲内であってもよく、第1波長範囲内であってもよい。照射部5は、可視光と第1波長範囲の光の両方を照射し得る単一の照明装置が用いられてもよい。或いは、照射部5は、可視光を照射する照明装置と、第1波長範囲の光を照射する照明装置とが別々に設けられていてもよい。本実施形態の代表例では、第1波長範囲は、赤外光の波長範囲の少なくとも一部を含む範囲であり、照射部5は、赤外光を照射する赤外光照射装置である。代表例では、照射部5が一種類のLEDなどによって構成され、照射部5が照射する照明光に可視光と赤外光とが含まれ、照射部5が照射する照明光の中心周波数は、赤外光の波長範囲内であり、照明光に含まれる赤外光が確実に接触部6を透過するようになっている。但し、この例に限定されず、照射部は、可視光を照射する装置(例えば可視光LED)と、赤外光の波長範囲の光を照射する装置(例えば赤外光LED)とが別々に設けられていてもよい。
【0035】
図1の例では、箱状に構成されたケース2の内部に照射部5及び撮像部4の一部が収容される。図1には、ケース2が二点鎖線によって概念的に示される。ケース2の内部の空間は、上方側がケース2の上壁部によって閉塞され、下方側がタッチパッド3によって閉塞され、周囲がケース2の周壁部によって覆われる。図1の例では、ケース2は、下端部が開放した箱状に構成され、ケース2の下端部を閉塞するようにタッチパッド3が固定される。例えば、ケース2は、光の透過を遮断する材料によって構成され、ケース2によって構成される上壁部や周壁部により光が遮断される。
【0036】
図1に示されるタッチパッド3は、対象物W1をセンシングする部分であり、光学式触覚センサ1の外側の空間から対象物W1が当てられる部分である。タッチパッド3は、対象物W1の接触を受けて変形する部分である接触部6と、接触部6の周囲に配置される周縁部7とを有する。接触部6は、例えば、弾性変形可能に構成される。周縁部7は、タッチパッド3において接触部6よりも外縁側の部分を構成する。図1の例では、接触部6の基端部に周縁部7が連結され、周縁部7から下方側に接触部6が突出した構成をなす。
【0037】
図1の例では、周縁部7は、剛性の高い保持板として構成されている。周縁部7(保持板)は、板状に構成され、板状の形状が維持される部分である。図1の例では、周縁部7(保持板)がケース2に固定されるが、上記周縁部7がケース2の一部であってもよい。周縁部7は、基端部を構成する。この基端部は、図1のように接触部6に対象物W1が接触した接触状態であっても、接触部6に対して外部から物体が接触していない自然状態であっても、所定形態が保持されるとともにケース2に対する相対位置や姿勢が変化せずに維持される。
【0038】
具体的には、タッチパッド3は、図3のように構成され得る。図3の例では、タッチパッド3が、光透過性部材3Aと、フィルタ部3Bとを備える。光透過性部材3Aは、光の通過を許容する部材であり透明部材などが用いられる。図3の例では、光透過性部材3Aは、透明性を有するゲル材料によって構成され、半球状の所定形状に構成される。図3に示される代表例では、フィルタ部3Bは、白色の塗料からなる第1層3Cと、黒色の塗料からなる第2層3Dとを含む。第1層3Cは、可視光を反射する機能を有し、赤外光を透過する機能を有する。また、第1層3Cは、下側に凸となるように湾曲した構成をなし、光透過性部材3Aの形状を保持する機能も有する。第2層3Dは、第1波長範囲の光を通過させ、第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の光の通過を遮断する層であり、下側に凸となるように湾曲した構成をなす。第2層3Dは、上述のように塗布された塗料の層であってもよいが、例えば、接着された部材の層であってもよい。感度を上げるためには、フィルタ部3Bの厚さは薄い方が望ましく、フィルタ部3Bの硬さは、光透過性部材3Aの硬さよりも小さいと良い。光透過性部材3Aとフィルタ部3Bとによって構成される半球状の接触部6は、接触面6Aに物体が接触せずに押圧力が加えられていない状態では所定形状に維持され、接触面6Aに物体が接触して押圧力が加えられるとその押圧力に応じて変形し、その押圧力が解除されると上記所定形状に復帰し得る。
【0039】
フィルタ部3Bは、膜状に構成される。接触部6は、接触面6Aと裏面6Bとを有する。接触面6Aは、接触部6の一方側の面であり、対象物W1と接触する面である。接触面6Aは、接触部6において下側に向いた面であり、下側に凸となるように湾曲した面である。図3の代表例では、接触面6Aは、第2層3Dの外面である。裏面6Bは、接触面6Aとは反対側の面であり、接触面6Aの裏側の面である。裏面6Bは、接触部6において上側に向いた面である。図3の代表例では、裏面6Bは、光透過性部材3Aの上面である。
【0040】
接触部6は、接触面6Aに対する対象物の接触状態に応じてマーカ部20付近に変形が生じる構成をなす。接触面6Aに対する対象物W1の接触状態を特定する要素は、対象物W1のうちの接触面6Aに接触する部分の形状、接触面6Aにおいて対象物W1から接触を受ける範囲、当該範囲の各位置において接触面6Aが受ける力の大きさ及び方向を含む。
【0041】
接触部6は、接触面6Aに物体が接触していない状態では、図3のような基準形状で維持される。接触部6は、図1図2のように接触面6Aに対象物W1が接触した状態では、接触面6Aに対する対象物W1の接触状態に応じた変形が生じ、その後、対象物W1が接触面6Aから離間して接触面6Aに物体が接触しなくなったときには、上述の基準形状に復帰する。接触部6を構成する材料は、このような機能を生じさせる材質であればよく、例えば、シリコ-ンゴムであってもよく、その他の材質であってもよい。
【0042】
図4のように、接触部6にはマーカ部20が設けられる。図4の例では、マーカ部20は、接触部6に付された複数のマーク20Aを備え、これらのマーク20Aによってドットパターンとして構成される。マーカ部20を構成する複数のマーク20Aは、規則的に配列された形状をなす。
【0043】
図4の例では、マーカ部20を構成する各マーク20Aの形状が円形である。各マーク20Aの形状は、図4のような円形形状とは異なる形状に変更されてもよく、この場合、多角形、楕円形など、様々な形状が採用され得る。図4には、ドットパターンとして構成されたマーカ部20が例示されるが、図4の例はあくまで一例であり、マーカ部20は、図4とは異なる他のドット形状やグリッド形状に変更されてもよい。マーカ部20がグリッド形状である場合、格子状の模様や、三角形の網目状、六角形の網目状(ハニカム状)などの様々な形状が採用され得る。
【0044】
マーカ部20が、図4のようなマーク20A又はマーク20Aとは異なる形状のマークが配列されたドットパターンである場合、ドットパターンを構成する各マークは、塗料などによって表されてもよく、凸部や凹部などによって表されてもよい。マーカ部20がグリッド形状である場合、グリッド形状は塗料などによって表されてもよく、凸部や凹部によって表されてもよい。マーカ部20は、フィルタ部3Bや光透過性部材3Aとは別部分として構成されていてもよく、フィルタ部3Bの一部、或いは光透過性部材3Aの一部として構成されていてもよい。
【0045】
本実施形態の代表例では、図4の各マーク20Aは、図3に示される接触部6において光透過性部材3Aの部分の下側の面3Eに対して塗料などによって表されており、光透過性部材3Aの上方側から撮影可能とされている。各マーク20Aは、下側からフィルタ部3Bによって覆われており、光透過性部材3Aとフィルタ部3Bの間に挟まれる。マーカ部20には、接触部6に対象物W1が接触する側とは反対側、即ち、上方側から照明光が当てられ、マーカ部20は、上記反対側からマーカ部20に入射する光を反射させる。撮像部4は、マーカ部20からの反射光を受光可能とされており、接触部6におけるマーカ部20を含む所定範囲を撮像し得る。代表例では、各マーク20Aは、光透過性部材3Aと第1層3Cとの間に挟まれ、白色の第1層3Cの上側に黒色の各マーク20Aが配置されるため、撮像部4が上方側からマーカ部20を含む所定範囲を撮影した場合には、白色の第1層3Cを背景として黒色のマーク20Aが表れるような画像が生成される。なお、図3の代表例では、黒色の第2層3Dが表側(下側)に配置され、白色の第1層3Cが裏側(上側)に配置されるが、この例に限定されず逆であってもよい。即ち、黒色の第2層3Dが裏側(上側)に配置され、白色の第1層3Cが表側(下側)に配置されてもよい。このような場合、マーカ部20は、第2層3Dとは区別し得る色(例えば白色等)で表されればよい。いずれにしても、マーカ部20は、第2層3Dよりも内側(撮像部4側)にあればよい。
【0046】
マーカ部20は、接触部6の変形に応じて変位する。具体的には、接触面6Aに対して対象物W1が接触した場合に、接触部6の一部をなすフィルタ部3B及びマーカ部20は、基準形状から対象物W1の接触状態に応じた変形が生じ、基準形状から変形した部分に配置されるマーク20Aの位置、姿勢、形状などが変化する。
【0047】
このように構成された接触部6は、例えば、マーカ部20以外の領域の一部又は全部において第1波長範囲の光を通過させ、第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の光の通過を遮断する。第1波長範囲は、例えば、赤外光又は紫外光の波長範囲のうちの少なくとも一部範囲を含み、第2波長範囲は、例えば、第1波長範囲以外の波長範囲全部である。第2波長範囲は、可視光の波長範囲のうちの少なくとも一部範囲を含むことが望ましい。
【0048】
本明細書では、可視光の波長範囲を、400nmよりも大きく、かつ760nmよりも小さい範囲とする。そして、760nm以上、かつ1000nm以下の範囲を赤外光の範囲とする。そして、10nm以上、かつ400nm以下の範囲を紫外光の範囲とする。代表例では、第1波長範囲は、上記赤外光の波長範囲の内の少なくとも一部範囲を含む範囲である。第1波長範囲の下限値は、上記赤外光の波長範囲の下限値よりも大きいことが望ましい。第1波長範囲の下限値は、照射部5が照射する照明光の中心波長よりも小さい範囲であることが望ましい。照射部5が照射する照明光の中心波長は、例えば、850nmであってもよく、940nmであってもよい。この場合、第1波長範囲の下限値は、例えば、800nmとすることができる。勿論、下限値は、この値以外であってもよい。第1波長範囲は、第1波長範囲の下限値以上の全ての範囲であってもよく、上限値が設定されてもよい。第1波長範囲の上限値が設定される場合、この上限値は、照射部5が照射する照明光の中心波長よりも大きい値であることが望ましい。
【0049】
2.形状計測システム10について
図2に示される形状計測システム10は、光学式触覚センサ1を用い、光学式触覚センサ1が生成した画像を利用して対象物W1の形状を計測するシステムである。形状計測システム10は、光学式触覚センサ1と、形状計測システム10全体を制御する制御部11とを備える。
【0050】
制御部11は、情報処理部としてのCPU12と、記憶部としてのROM13及びRAM14と、入出力ポート15とを備える。CPU12は、各種演算や各種制御を行い得る。例えば、CPU12は、形状計測システム10全体を制御するための各種処理を実行することができ、その処理結果を所定の制御信号として出力することもできる。ROM13には、形状計測システム10を制御するための制御プログラムなどが記憶される。RAM14には、形状計測システム10の動作に必要な各種の情報が一時的に記憶されるようになっている。ROM13やRAM14はあくまで一例であり、他種の記憶媒体が用いられてもよい。入出力ポート15は、通信に用いるインタフェースであり、制御部11は、入出力ポート15を介して撮像部4や照射部5などと通信を行い得る。
【0051】
形状計測システム10では、CPU12の指令に基づいて照射部5が照明光を照射したり、照射を停止したりする。更に、形状計測システム10では、CPU12の指令に基づいて撮像部4がマーカ部20の撮影を開始し、撮像部4が撮影によって生成した画像は、CPU12に与えられる。
【0052】
3.センシング方法及び形状計測方法について
形状計測システム10は、光学式触覚センサ1を用いたセンシング方法及び形状計測方法を実施することができる。形状計測システム10が上記センシング方法を実施する場合、上記記憶部に予め記憶されたプログラムに従ってCPU12が形状計測制御を行い、撮影工程、解析工程を行う。形状計測システム10が上記形状計測方法を実施する場合、上記センシング方法に含まれる撮影工程及び解析工程に加え、更に計測工程を行う。
【0053】
例えば、CPU12は、予め定められた開始条件が成立した場合に、上記形状計測制御を実行し、撮影工程、解析工程、計測工程を行う。上記開始条件は、形状計測システム10に設けられた図示されていない操作装置に対して所定操作がなされたことであってもよく、制御部11に対して電力供給が開始されたことであってもよく、その他の条件であってもよい。
【0054】
CPU12は、上記開始条件の成立に応じて形状計測制御を行う場合、まず、撮影工程を行い、撮像部4に撮影を行わせる。撮影工程では、CPU12が照射部5に対して照射を指示する指示情報を与え、CPU12が撮像部4に対して撮像を指示する指示情報を与える。従って、撮影工程では、照射部5が照明光を照射しつつ、指示情報に応じて撮像部4が上述のマーカ部20を撮影する。CPU12からの上記情報に応じて撮像部4が画像を生成するタイミングは、CPU12が撮像部4に上記指示情報を与えた直後のタイミングであってもよく、CPU12が撮像部4に上記指示情報を与えた後の、一定時間毎の各タイミングであってもよく、その他のタイミングであってもよい。
【0055】
接触面6Aに対象物W1が接触している接触状態のときに上記撮影工程によって撮影がなされれば、接触部6が第1波長範囲の光の通過を許容し第2波長範囲の光の通過を遮断した状態、且つマーカ部20が上方側からマーカ部20に入射する光を反射させた状態で、撮像部4がマーカ部20からの反射光及び第1波長範囲の光を受光し、上記接触状態のときのマーカ部20の画像を生成することができる。そして、撮像部4による撮影の際に、対象物W1が撮影範囲内にあれば、上記接触状態であっても、非接触状態であっても、照射部5から照射される第1波長範囲の光が接触部6を通過して対象物W1に照射され、この照射による対象物W1からの反射光が接触部6を通過して撮像部4に受光され得る。従って、撮影工程では、撮像部4は、上記接触状態のときにはマーカ部20及び対象物W1を上方側から撮影して表した撮影画像を生成することができ、非接触状態であってもマーカ部20及び対象物W1を上方側から撮影して表した撮影画像を生成することができる。
【0056】
そして、このようなセンシング方法によって得られた撮影画像をCPU12が解析することで、対象物W1の形状等を計測することができる。具体的には、CPU12は、上述の撮影工程の実行によって撮影画像を取得した後、解析工程を行う。解析工程では、CPU12は、撮影工程で生成された撮影画像からマーカ部20の画像及び対象物W1の画像を抽出する。CPU12が解析工程を行う場合、撮像部4が生成した画像情報の全てを利用し、撮像部4が生成した画像からマーカ部20の画像や対象物W1の画像を抽出してもよい。
【0057】
解析工程は、撮像部4が生成した画像情報から、「一部の光」の影響を抑制又は除去した画像を生成し、この画像からマーカ部20の画像や対象物W1の画像を抽出する工程を含んでいてもよい。この場合、CPU12が、画像生成部の一例に相当する。解析工程において、「一部の光」の影響を抑制又は除去する場合、「一部の光」は、第1波長範囲以外の所定波長範囲の光であってもよく、第1波長範囲内の所定波長範囲の光であってもよい。例えば、「一部の光」が「第1波長範囲以外の所定波長範囲の光」である場合、この「一部の光」の影響を抑制又は除去した画像を生成すれば、相対的に、第1波長範囲の光を強調した画像を生成することができる。例えば、解析工程において、CPU12は、撮像部4が生成した画像情報から、撮像部4の複数のG素子によって生成されるG成分の画像情報とB素子によって生成されるB成分の画像情報とを除き、複数のR素子によって生成されるR成分の画像情報のみを利用した画像から、マーカ部20の画像や対象物W1の画像を抽出してもよい。この例では、複数のR素子が、第1波長範囲のうちの少なくとも一部を含む波長範囲の光を受光可能とされ、複数のG素子及び複数のB素子が、第1波長範囲の光を受光不能とされていれば、「第1波長範囲以外の所定波長範囲の光」を除去することができる。或いは、撮像部4が生成した撮影画像に含まれる各々の画素において、RGBの各成分の濃度が256諧調で表される場合、各画素のG成分及びB成分の濃度を0としたり、大きく低減させたりしてもよく、撮像部4が生成する画像情報に対してその他のフィルタ処理を行い、第1波長範囲以外の所定波長範囲の光を低減又は除去した画像を生成してもよい。
【0058】
解析工程の別例として、上記の「一部の光」を「第1波長範囲の光」とするような工程が含まれてもよい。この「一部の光」の影響を抑制又は除去した画像を生成すれば、相対的に、第1波長範囲以外の光を強調した画像を生成することができる。例えば、解析工程において、CPU12は、撮像部4が生成した画像情報から、R成分の画像情報を除き、G成分の画像情報及びB成分の画像情報のみを利用した画像から、マーカ部20の画像を抽出してもよい。この例では、複数のR素子が、第1波長範囲のうちの少なくとも一部を含む波長範囲の光を受光可能とされ、複数のG素子及び複数のB素子が、第1波長範囲の光を受光不能とされていれば、「第1波長範囲の光」を除去することができ、接触部6が外光を遮断する場合と同様の画像を得ることができる。なお、撮像部4が生成した撮影画像に含まれる各々の画素において、RGBの各成分の濃度が256諧調で表される場合、各画素のR成分の濃度を0としたり、大きく低減させたりしてもよく、撮像部4が生成する画像情報に対してその他のフィルタ処理を行い、第1波長範囲の光を低減又は除去した画像を生成してもよい。
【0059】
計測工程では、解析工程の際に生成された画像に基づいて対象物W1の形状を求める。具体的には、計測工程では、撮像部4が生成した画像を解析し、対象物W1の形状を求める。ドットパターンやグリッドパターンとして構成されるマーカ部の撮像画像からマーカ部が付された接触部に接触する対象物W1の形状等を検出する方法は、公知の様々な方法が採用され得る。例えば、特開2005-257343号公報、国際公開2005/085785号、特開2005-114715号公報などに開示された方法が用いられてもよく、その他の公知の方法が用いられてもよい。例えば、CPU12は、上述の撮影工程で得られた画像情報を解析し、接触部6における対象物W1が接触する接触領域の大きさや接触後の変形形状を計測してもよく、対象物W1によって接触部6の各位置に加えられる力の大きさや向きを計測してもよい。制御部11は、形状計測部の一例に相当し、撮像部4が生成した画像を解析し、対象物W1の形状を計測するように機能する。更に、CPU12は、接触部6を透過する光に基づいて対象物W1を直接撮影した画像から、対象物W1の外形、大きさ、位置などを計測することもできる。
【0060】
4.効果の例
光学式触覚センサ1は、対象物W1が接触面6Aに接触した場合に接触部6において対象物W1の接触状態に応じた変形が生じ、マーカ部20が接触部6の変形に応じて変化する。このような構成であるため、撮像部4は「対象物W1の接触状態が反映された状態のマーカ部20」を撮影することができる。そして、撮像部4がマーカ部20の画像を生成する際には、第2波長範囲の光が対象物W1側の空間から撮像部4に入り込むことを確実に抑えつつ画像を生成することができる。更に、撮像部4は、対象物W1が撮像範囲に存在する場合に、対象物W1側の空間から接触部6を通過する第1波長範囲の光に基づいて対象物W1の画像も生成することができる。
【0061】
なお、光学式触覚センサ1を用いた上述のセンシング方法、光学式接触センサ1を備えた上述のロボットハンドやロボットアームも、このような効果を奏する。光学式触覚センサ1を用いた形状計測方法や形状計測システム10は、光学式触覚センサ1を用いることにより上述の効果を奏しつつ、対象物W1の形状を計測することができる。
【0062】
光学式触覚センサ1は、撮像部4がマーカ部20からの反射光を受光してマーカ部20を撮影する際に、対象物W1側の空間からの第2波長範囲の光を遮断して撮影することができる。従って、マーカ部20の画像を生成する場合に、対象物W1側の空間から接触部6に入り込む第2波長範囲の光が上記画像に影響を及ぼすこと確実に抑制し得る。例えば、対象物W1側の空間から撮像部4へと第2波長範囲の光が入り込むことにより、その外乱光によってマーカ部20の画像とその周囲の画像が同色になってしまう場合、マーカ部20の外縁が正確に示されない虞があるが、光学式触覚センサ1はこのような問題を解消することができる。
【0063】
一方で、光学式触覚センサ1では、接触部6が第1波長範囲の光を通過させ、撮像部4は第1波長範囲の光を受光して画像を生成することができる。つまり、撮像部4は、対象物W1が接触面6Aに近づいた際に第1波長範囲の光に基づいて画像を生成すれば、対象物W1と撮像部4の間に接触部6が介在していても、対象物W1をより鮮明に表した画像を生成することができる。例えば、対象物W1が接触部6に接触しておらず、接触部6が変形していなくても、撮像部4は、接触部6を透過した光に基づく透過画像として対象物W1の画像を得ることができる。更に、対象物W1側の空間から接触部6に入り込む第2波長範囲の光は接触部6によって遮断されるため、対象物W1の透過画像を生成する上で、第2波長範囲の外乱光の影響は抑えられる。
【0064】
上述の代表例では、第1波長範囲は、赤外光の波長範囲のうちの少なくとも一部の波長範囲を含んでいる。この光学式触覚センサ1は、対象物W1側の空間において第2波長範囲の可視光が強く、第1波長範囲に含まれる赤外光の光がそれほど強くない場合に、より有効である。このような場合に、対象物W1側の空間において第2波長範囲の可視光が強すぎることによってマーカ部20の撮影に悪影響が及ぶことを防ぐとともに、第1波長範囲の透過光によって対象物W1を撮影することができる。
【0065】
光学式触覚センサ1は、照射部5から照射される照明光に含まれる第1波長範囲の光が接触部6を通過して対象物W1に入射し、この光が対象物W1で反射して生じる反射光のうちの第1波長範囲の光が接触部6を通過して撮像部4によって受光され得る。つまり、光学式触覚センサ1は、照射部5と対象物W1との間に接触部6が介在していても、撮像部4と対象物W1との間に接触部6が介在していても、照明光に含まれる第1波長範囲の光によって対象物W1を照らしながら、撮像部4によって対象物W1をより鮮明に撮影することができる。
【0066】
代表例の光学式触覚センサ1のように、照射部5が赤外光照射装置である場合、照明光によって照らすだけでなく、赤外線によって対象物Wを温めることもできる。この場合、照射部5は、対象物Wを加熱する加熱装置として機能することになる。更に、「温度に応じて色が変化する示温ゴム」によって接触部6を構成することもできる。この場合、撮像部4によって接触部6を撮影し、得られた接触部6の画像を解析して色を評価することにより、接触部6の温度を計測することもできる。
【0067】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る光学式触覚センサ1は、照射部5の具体的構成、フィルタ部3Bの材質、撮像部4が生成する画像情報の解析方法のみが第1実施形態の光学式触覚センサ1と異なり、その他の点は第1実施形態と同様である。図1図4の構成は、第1実施形態と第2実施形態とで同一であるため、第2実施形態に係る光学式触覚センサ1の説明でも、図1図4が参照される。
【0068】
第2実施形態では、第1波長範囲は、紫外光の波長範囲のうちの少なくとも一部範囲を含み、第2波長範囲は、例えば、第1波長範囲以外の波長範囲全部である。第2波長範囲は、可視光の波長範囲のうちの少なくとも一部範囲を含むことが望ましい。
【0069】
第2実施形態において第1波長範囲の上限値は、上記紫外光の波長範囲の上限値よりも小さいことが望ましい。第1波長範囲の上限値は、照射部5が照射する照明光の中心波長よりも大きい範囲であることが望ましい。照射部5が照射する照明光は、紫外光を含む光である。第1波長範囲は、第1波長範囲の上限値以下の全ての範囲であってもよく、下限値が設定されてもよい。第1波長範囲の下限値が設定される場合、この下限値は、照射部5が照射する照明光の中心波長よりも小さい値であることが望ましい。第2実施形態の具体例では、照射部5は、可視光を照射する装置と、紫外光の波長範囲の光を照射する装置とが別々に設けられている。但し、この例に限定されず、照射部5は、可視光と紫外光の両方を照射し得る単一の照明装置が用いられてもよい。
【0070】
第2実施形態に係る光学式触覚センサ1の接触部6も、図4のように、対象物W1と接触する接触面6Aを有し、接触面6Aに対する対象物W1の接触状態に応じた変形が生じるようになっている。そして、マーカ部20は、接触部6に設けられ、接触部6の変形に応じて変位するようになっている。撮像部4は、対象物W1が接触する側とは反対側からマーカ部20を撮影するようになっており、マーカ部20は、上記反対側からマーカ部20に入射する光を反射させるようになっている。撮像部4は、マーカ部20からの反射光及び第1波長範囲の光を受光して画像を生成するように機能する。接触部6は、第1波長範囲の光を通過させ、第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の光の通過を遮断するようになっている。
【0071】
第2実施形態に係る形状計測システム10は、上述された第2実施形態の光学式触覚センサ1を用いて、撮影工程、解析工程、計測工程を第1実施形態に係る形状計測システム10と同様に行うものである。なお、解析工程は、基本的には第1実施形態と同様であるが、第1波長範囲が紫外光の波長範囲を含むことに合わせて変更されればよい。
【0072】
本実施形態でも、解析工程では、CPU12は、撮影工程で生成された撮影画像からマーカ部20の画像及び対象物W1の画像を抽出する。CPU12が解析工程を行う場合、撮像部4が生成した画像情報の全てを利用し、撮像部4が生成した画像からマーカ部20の画像や対象物W1の画像を抽出してもよい。
【0073】
解析工程は、撮像部4が生成した画像情報から、「一部の光」の影響を抑制又は除去した画像を生成し、この画像からマーカ部20の画像や対象物W1の画像を抽出する工程を含んでいてもよい。例えば、解析工程において、CPU12は、撮像部4が生成した画像情報から、撮像部4のR成分の画像情報とG成分の画像情報とを除き、B成分の画像情報のみを利用した画像から、マーカ部20の画像や対象物W1の画像を抽出してもよい。この例では、複数のB素子が、第1波長範囲のうちの少なくとも一部を含む波長範囲の光を受光可能とされ、複数のR素子及び複数のG素子が、第1波長範囲の光を受光不能とされていれば、「第1波長範囲以外の所定波長範囲の光」を除去することができる。或いは、撮像部4が生成した撮影画像に含まれる各々の画素において、RGBの各成分の濃度が256諧調で表される場合、各画素のR成分及びG成分の濃度を0としたり、大きく低減させたりしてもよく、撮像部4が生成する画像情報に対してその他のフィルタ処理を行い、第1波長範囲以外の所定波長範囲の光を低減又は除去した画像を生成してもよい。
【0074】
解析工程の別例として、上記の「一部の光」を「第1波長範囲の光」とするような工程が含まれてもよい。例えば、解析工程において、CPU12は、撮像部4が生成した画像情報から、B成分の画像情報を除き、R成分の画像情報及びG成分の画像情報のみを利用した画像から、マーカ部20の画像を抽出してもよい。この例では、複数のB素子が、第1波長範囲のうちの少なくとも一部を含む波長範囲の光を受光可能とされ、複数のR素子及び複数のG素子が、第1波長範囲の光を受光不能とされていれば、「第1波長範囲の光」を除去することができ、接触部6が外光を遮断する場合と同様の画像を得ることができる。なお、撮像部4が生成した撮影画像に含まれる各々の画素において、RGBの各成分の濃度が256諧調で表される場合、各画素のB成分の濃度を0としたり、大きく低減させたりしてもよく、撮像部4が生成する画像情報に対してその他のフィルタ処理を行い、第1波長範囲の光を低減又は除去した画像を生成してもよい。
【0075】
第2実施形態の光学式触覚センサ1は、対象物W1側の空間において第2波長範囲の可視光が強く、第1波長範囲の光がそれほど強くない場合に、より有効である。このような場合に、対象物W1側の空間において第2波長範囲の可視光が強すぎることによってマーカ部20の撮影に悪影響が及ぶことを防ぐとともに、紫外光を含む第1波長範囲の透過光によって対象物W1を撮影することができる。しかも、この光学式触覚センサは、紫外光の照射によって対象物W1を殺菌しながら、対象物W1を撮影することができるため、例えば、対象物W1の殺菌と形状等の把握が同時期に望まれる環境において極めて有効である。
【0076】
第2実施形態の光学式触覚センサ1では、撮像部4は、可視光領域のみの光を受光して撮影画像を生成するものであってもよく、可視光領域及び赤外光領域の光を受光して撮影画像を生成するものであってもよく、可視光領域及び紫外光領域の光を受光して撮影画像を生成するものであってもよい。
【0077】
例えば、紫外光を殺菌などに用いる場合、可視光領域を受光して撮影画像を生成し、紫外光を反映しない撮像装置を撮像部4として用いることができる。一方で、照射部5は、紫外光を照射する光源(例えば、紫外線LED)と可視光を照射する光源(例えば、可視光LED)とが別々に構成される照明装置を用いることができる。このような例では、対象物W1が接触部6付近に位置する状態で、照射部5から対象物W1に紫外光が当てられると、対象物W1を殺菌することができる。一方で、撮像部4は、マーカ部20付近からの反射光を含む可視光を受光することにより、マーカ部20の画像を含む撮影画像を生成することができる。
【0078】
或いは、第2実施形態の光学式触覚センサ1において、撮像部4は、可視光領域及び紫外光領域の光を受光して撮影画像を生成するものであってもよい。この場合でも、照射部5は、紫外光を照射する光源(例えば、紫外線LED)と可視光を照射する光源(例えば、可視光LED)とが別々に構成される照明装置を用いるとよい。なお、いずれの例でも、照射部5は、紫外光を照射する光源と可視光を照射する光源とが別々に構成される照明装置に限定されるわけではなく、可視光領域及び紫外光領域の光を照射し得る単一の光源を有する照明装置が用いられてもよい。
【0079】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る光学式触覚センサ1は、図3に示されるタッチパッド3を図5のようなものに変更した点が第1実施形態の光学式触覚センサ1と異なり、その他の点は、第1実施形態と同様である。図1図2の構成は、第1実施形態と第3実施形態とで同一であるため、第3実施形態に係る光学式触覚センサ1の説明でも、図1図2が参照される。
【0080】
第3実施形態に係る光学式触覚センサ1も、図1のように、第1実施形態と同様のケース2、撮像部4、照射部5、などを備える。但し、タッチパッド3は、図3図4のような構成に代えて、図5図8のようなものが用いられる。第3実施形態に係る光学式触覚センサ1を用いた形状計測システム10は、図2と同様の構成をなし、第1実施形態と同様の制御部11を備える。
【0081】
第3実施形態に係る光学式触覚センサ1でも、照射部5は、対象物W1が接触する側とは反対側から図6に示されるマーカ部320に対して照明光を照射する構成をなす。撮像部4は、対象物W1が接触する側とは反対側からマーカ部320を撮影する。
【0082】
図1図2図5のように、第3実施形態に係る光学式触覚センサ1の接触部6も、膜状をなし、対象物W1と接触する接触面6Aを有しており、接触面6Aに対する対象物W1の接触状態に応じた変形が生じるようになっている。図5の構成でも、接触部6は、図3と同様の構成をなしており、図3の光透過性部材3Aと同様の光透過性部材と、フィルタ部3Bと同様のフィルタ部とが重なった構成をなしている。なお、図5図8では、保持板8が省略されているが、第1実施形態と同様の保持板8が設けられていてもよく、保持板8が用いられなくてもよい。
【0083】
接触面6Aは、接触部6の一方側の面であり、対象物W1と接触する面である。接触面6Aは、接触部6において下側に向いた面であり、下側に凸となるように湾曲した面である。即ち、接触面6Aは、対象物W1が接触する側に凸である湾曲面である。裏面6Bは、接触面6Aとは反対側の面であり、接触面6Aの裏側の面である。裏面6Bは、接触部6において上側に向いた面であり、図1に示されるケース2内の空間側から見て下側に凹となるように湾曲した面である。
【0084】
図6図8のように、接触部6にはマーカ部320が設けられる。マーカ部320は、接触部6の変形に応じて変位する部分である。マーカ部320は、膜状の接触部6の裏面6Bから突出する突起部320Aを複数備える。複数の突起部320Aは、裏面6Bから上方側に突出する。具体的には、複数の突起部320Aはいずれも、裏面6Bから法線方向に突出する。具体的には、突起部320Aは、当該突起部320Aの基端部の位置の接触面6A及び裏面6Bの向きに対して法線方向に突出する。
【0085】
本実施形態の光学式触覚センサ1を用いた形状計測システム10でも、第1実施形態と同様の方法で、撮影工程、解析工程、計測工程を行うことができる。計測工程を行う前提として、制御部11には、接触部6の形状の情報やマーカ部320の形状の情報が記憶されており、具体的には、接触部6の接触面6Aや裏面6Bの位置や形状、接触部6の各位置の厚さ、各突起部320Aの各々の位置、長さ、太さ、向きなどが情報として記憶されている。従って、CPU12は、撮影工程で得られた画像情報を解析し、各突起部320Aの画像を抽出して特定することにより、これらの画像に基づいて、接触部6における対象物W1が接触する接触領域の大きさや接触後の変形形状を計測することができ、対象物W1によって接触部6の各位置に加えられる力の大きさや向きを計測することもできる。この例では、制御部11は、形状計測部の一例に相当し、撮像部4が生成した画像を解析し、対象物W1の形状を計測するように機能する。更に、CPU12は、接触部6を透過する光に基づいて対象物W1を直接撮影した画像から、対象物W1の外形、大きさ、位置などを計測することもできる。
【0086】
第3実施形態の光学式触覚センサ1は、接触部6の裏面6Bから突起部320Aが突出するため、接触部6において突起部320A付近の位置や姿勢が変化した場合に、その変化に合わせて突起部320Aの位置や姿勢が変化する。従って、撮像部4がマーカ部20を撮影した場合に、接触部6の各部位の位置や姿勢が各突起部320Aの位置や姿勢によって表される画像を生成することができる。しかも、この光学式触覚センサ1は、突起部320A付近で接触部6の傾きが変化した場合に突起部320Aの先端部がより大きく変位するため、上記画像において、接触部6の傾きの変化が、よりはっきりと表れやすい。
【0087】
例えば、接触部の裏面の一部にマーカ部が描画された構成であると、マーカ部近傍において接触部の傾きが微小に変化した場合、マーカ部自体も傾きが微小に変化するだけであり、このようなマーカ部を撮影しても、変化前のマーカ部との差異が小さく、画像から接触部の傾きの変化を正確に検出できない虞がある。これに対し、第3実施形態の光学式触覚センサ1は、突起部320Aの基端部付近の姿勢の変化が「微小な傾きの変化」であっても、その変化を増幅する形で突起部320Aの先端部がより大きく変位しやすい。よって、マーカ部320を撮影して得られる画像には、突起部320Aの基端部付近の傾きの変化が「突起部320Aの先端部の変位」としてはっきりと表れやすい。
【0088】
具体的には、各々の突起部320Aを各位置の法線方向に揃えて形成することができ、裏面6B付近の空間に複数の突起部320Aを効率的に配置することができる。そして、形状計測システム10は、各突起部320Aが法線方向に突出していることを前提とした画像解析を行うことができるため、それぞれが異なる方向に突出している構成と比較すると、各々の突起部近傍の接触部6の状態を把握する解析を行う上で有利である。
【0089】
接触面6Aは、対象物W1が接触する側に凸である湾曲面であるため、湾曲面に適した対象物W1に適用しやすく、対象物W1が接触したときの変化がマーカ部20に表れやすい。
【0090】
いずれの突起部320Aも、全体が同一色によって構成されていてもよく、一部分の色と他の部分の色が異なっていてもよい。各々の突起部320Aの先端部に、色相、明度、彩度の少なくともいずれかが裏面6Bとは異なる先端マーカ部が配置されていてもよい。例えば、図6図8に示される各突起部320Aの先端面の色を、裏面6Bと異ならせれば、撮像部4がマーカ部320を撮影した画像を解析する際に、突起部320Aの先端面の画像と裏面6Bの画像とが明確に区別されやすく、先端面の画像が正確に抽出されやすい。この場合、先端面の部分が先端マーカ部の一例に相当する。また、このように各々の突起部320Aにおいて先端マーカ部を設ける場合、先端マーカ部と裏面6Bとの間には、色相、明度、彩度の少なくともいずれかが先端マーカ部及び裏面6Bとは異なる中間部が設けられていてもよい。例えば、各突起部320Aの先端面の色を、裏面6Bと異ならせ、突起部320Aにおける先端面以外の部分の色を先端面及び裏面6Bと異ならせれば、撮像部4がマーカ部320を撮影した画像を解析する際に、突起部320Aの先端面の画像と、突起部320Aの先端面以外の中間部の画像と、裏面6Bの画像とが明確に区別されやすい。
【0091】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る光学式触覚センサ1は、図3に示されるタッチパッド3を図9のようなものに変更した点が第1実施形態の光学式触覚センサ1と異なり、その他の点は、第1実施形態と同様である。図1図2の構成は、第1実施形態と第4実施形態とで同一であるため、第4実施形態に係る光学式触覚センサ1の説明でも、図1図2が参照される。但し、図1図2において、タッチパッド3の形状は、図9のようなものに変更される。
【0092】
第4実施形態に係る光学式触覚センサ1も、図1のように、第1実施形態と同様のケース2、撮像部4、照射部5、などを備える。但し、タッチパッド3は、図3図4のような構成に代えて、図9図12のようなものが用いられる。第4実施形態に係る光学式触覚センサ1を用いた形状計測システム10は、図2と同様の構成をなし、第1実施形態と同様の制御部11を備える。
【0093】
第4実施形態に係る光学式触覚センサ1でも、照射部5は、対象物W1が接触する側とは反対側から図10図12に示されるマーカ部420に対して照明光を照射する構成をなす。撮像部4は、対象物W1が接触する側とは反対側からマーカ部420を撮影する。
【0094】
図9のように、第4実施形態に係る光学式触覚センサ1の接触部6も、膜状をなし、対象物W1と接触する接触面6Aを有しており、接触面6Aに対する対象物W1の接触状態に応じた変形が生じるようになっている。図9の構成でも、接触部6は、図3と同様の構成をなしており、図3の光透過性部材3Aと同様の光透過性部材と、フィルタ部3Bと同様のフィルタ部とが重なった構成をなしている。
【0095】
接触面6Aは、接触部6の一方側の面であり、対象物W1と接触する面である。接触面6Aは、接触部6において下側に向いた面であり、大部分の領域が上下方向と直交する水平方向の平坦面である。図11図12のように、裏面6Bは、接触面6Aとは反対側の面であり、接触面6Aの裏側の面である。裏面6Bは、接触部6において上側に向いた面であり、大部分の領域が上下方向と直交する方向の平坦面である。
【0096】
図10図12のように、接触部6にはマーカ部420が設けられる。マーカ部420は、接触部6の変形に応じて変位する部分である。マーカ部420は、膜状の接触部6の裏面6Bから突出する突起部420Aを複数備える。複数の突起部420Aは、裏面6Bから上方側に突出する。具体的には、複数の突起部420Aはいずれも、裏面6Bから法線方向に突出する。具体的には、突起部420Aは、当該突起部420Aの基端部の位置の接触面6A及び裏面6Bの向きに対して法線方向に突出する。図11図12の例では、裏面6Bの一部が水平方向の平坦面とされており、この平坦面に設けられる突起部420Aは、撮像部4の撮像方向に突出する。この平坦面に設けられた突起部420Aは、上下方向に沿った向きで上方に突出している。
【0097】
本実施形態の光学式触覚センサ1を用いた形状計測システム10でも、第3実施形態と同様の方法で、撮影工程、解析工程、計測工程を行うことができる。
【0098】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0099】
第3、第4実施形態では、接触部6は、第1波長範囲の光を通過させ、第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の光の通過を遮断する構成であったが、この例に限定されない。接触部6は、光の通過を遮断する遮光膜であってもよく、可視光などの通過を許容する光透過膜であってもよい。
【0100】
上述された実施形態では、照射部5は、第1波長範囲の光を含んだ照明光を照射する照射部5が上側(内側)から接触部6側を照射するが、この構成に代えて、又はこの構成に加えて、この照射部5と同様の照射部が下側(外側)から接触部6に照明光を照射するように設けられていてもよい。
【0101】
上述された実施形態では、照射部5は、第1波長範囲の光を含んだ照明光を照射する構成であるが、照射部5は、可視光のみを照射する構成であってもよい。この場合、接触部6の外側から接触部6に対して第1波長範囲の光を含んだ照明光(太陽光や外部装置からの照明光)が当たるようになっているとよい。
【0102】
上述された実施形態では、フィルタ部3Bが第1層3Cと第2層3Dとによって構成されるが、フィルタ部3Bが第2層3Dのみによって構成されてもよい。この場合、第2層3Dの膜厚が、光透過性部材3Aの形状を保持し得る膜厚であればよい。そして、この場合、黒色塗料の第2層3Dと光透過性部材3Aとの間にマーカ部20が配置されることになるため、マーカ部20は、第2層3Dと異なる色(例えば白色)であればよい。
【0103】
上述された実施形態では、光透過性部材3Aの全体がゲルによって構成されたが、光透過性部材3Aの一部領域のゲルの代わりに空気が存在するように内部に空間が構成されてもよい。この場合、上記空間の周囲に存在する光透過性部材3Aは、弾性、粘性を備えたものが好ましい。
【0104】
本開示は上記で詳述した実施形態に限定されず、様々な変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 :光学式触覚センサ
4 :撮像部
5 :照射部
6 :接触部
6A :接触面
6B :裏面
10 :形状計測システム
11 :制御部
12 :CPU(画像生成部)
20 :マーカ部
320 :マーカ部
320A :突起部
420 :マーカ部
420A :突起部
W1 :対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12