(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077626
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】海洋半潜水型プラットフォームの建設及び進水方法及びそのようにして建設された海洋半潜水型プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
B63B 75/00 20200101AFI20240531BHJP
B63B 35/34 20060101ALI20240531BHJP
B63B 35/38 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
B63B75/00
B63B35/34 B
B63B35/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023199994
(22)【出願日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】102022000024477
(32)【優先日】2022-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】514146829
【氏名又は名称】フィンカンティエリ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ネヴィエロフ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】スケール,ジャンニ
(72)【発明者】
【氏名】ロッセット,エンリコ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】海洋半潜水型プラットフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】半潜水型プラットフォームを、複数のサブアセンブリ11、12、13を浮き柱110、120、130と、セミアームとを備えるように分割し、セミアームの下方に、仮設スラストボックス101、102、201、202、301、304、401、402、501、502、601、602を設け、前記仮設スラストボックスには、それぞれのセミアームの収容座と、バラストチャンバとを設け、前期サブアセンブリを別々に進水させ、前期サブアセンブリについて、セミアームの自由端が、隣接するサブアセンブリのセミアームの自由端と同じ高さに位置決めするように前期仮設スラストボックスのバラストを調整し、前期仮設スラストボックスを2つずつ互いに接続して、柱間の構造的接続部を形成するために、前期セミアームの自由端同士を溶接し、前期仮設スラストボックスを取り外す。
【選択図】
図19b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋半潜水型プラットフォーム(1)を建設し、進水させる方法であって、前記海洋半潜水型プラットフォーム(1)は複数の浮き柱(110、120、130、140)を備え、前記複数の浮き柱(110、120、130、140)の各々は、少なくとも1つの下部構造接続アーム(111、121、131、141、151、161)によって、前記複数の浮き柱の他の少なくとも1つと接続されており、前記少なくとも1つの下部構造接続アーム(111、121、131、141、151、161)は、2つの浮き柱の間をそれらの基部近くで接続して配置されており、
前記方法は、
a)前記半潜水型プラットフォーム(1)を、複数のサブアセンブリ(11、12、13、14)に分割することによって、乾燥環境で前記半潜水型プラットフォーム(1)を作製するステップであって、各サブアセンブリは、前記浮き柱(110、120、130、140)の少なくとも1つと、それぞれの下部構造接続アーム(111、121、131、141、151,161)の少なくとも1つのセミアーム(111a、111b、121a、121b、131a、131b、141a、141b、151a、151b、161a、161b)とを備えており、前記少なくとも1つのセミアームは、すでに前記浮き柱自体に構造的に一体化されており、その浮き柱から片持ち梁状に延び、それぞれの自由端(111a’、111b’、121a’、121b’、131a’、131b’、141a’、141b’、151a’、151b’、161a’、161b’)を有する、ステップと、
b)乾燥環境で、各サブアセンブリ(11、12、13、14)に少なくとも1つの仮設スラストボックス(101、102、201、202、301、302、401、402、501、502、601、 602)を設けるステップであって、前記仮設スラストボックスは、前記少なくとも1つのセミアーム(111a、111b、121a、121b、131a、131b、141a、141b、151a、151b、161a、161b)の下方に配置され、前記仮設スラストボックスには、それぞれのセミアームの収容座と、少なくとも1つのバラストチャンバとが設けられている、ステップと、
c)それぞれの浮き柱のおかげで独立して浮く個々のサブアセンブリ(11、12、13、14)を、別々に進水させるステップと、
d)各サブアセンブリについて、前記少なくとも1つのセミアームの自由端が、隣接位置をとることが意図されたサブアセンブリのセミアームの自由端と同じ高さに位置決めされることを可能にするサブアセンブリのバランスの取れた浮き状態を得るように、それぞれの仮設スラストボックスのバラストを調整するステップと、
e)セミアームの自由端に予め配置された軸方向位置合わせ手段(400)を用いて、前記サブアセンブリを2つずつ、それぞれのセミアームの自由端で、整列するまで互いに近づけるステップと、
f)仮設スラストボックスを2つずつ互いに接続する作業ステップと、
g)浮き柱間の構造的接続部を形成するために、セミアームの自由端同士を溶接するステップと、
h)仮設スラストボックスを取り外すステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
各下部構造接続アーム(111、121、131、141、151、161)は、2本の柱の間をそれらの基部近くで、少なくとも部分的にプラットフォーム自体の進水喫水線(LWL)よりも下で、接続して配置されており、
仮設スラストボックスを2つずつ互いに接続するステップf)において、それぞれの2つのセミアームの自由端の間の接合領域に水密チャンバが形成され、
前記溶接するステップg)は、水位よりも低いにもかかわらず、前記水密チャンバのおかげで、乾燥した環境で行われる、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記海洋半潜水型プラットフォーム(1)において、前記浮き柱(110、120、130)のそれぞれは、それぞれの下部構造接続アーム(111、121、131、141、151、161)の高さよりも高い高さで2つの浮き柱の間を接続する少なくとも1つのさらなる上部構造接続アーム(112、122、132、142、152、162)によって前記少なくとも1つの他の浮き柱に接続され、
前記サブアセンブリ(11、12、13、14)のそれぞれは、さらに、それぞれの上部構造接続アーム(112、122、132、142、152、162)のセミアーム(112a、112b、122a、122b、132a、132b、142a、142b、152a、152b、162a、162b)を備え、前記セミアームは、浮き柱自体にすでに構造的に一体化されていると共に、その浮き柱から片持ち梁状に延びて、それぞれの自由端(112a'、112b'、122a'、122b'、132a'、132b’、142a’、142b’、152a’、152b’、162a’)を有し、
異なるサブアセンブリ(11、12、13、14)のそれぞれの上部構造接続アーム(112、122、132、142、152、162)のセミアーム(112a、112b、122a、122b、132a、132b、142a、142b、152a、152b、162a、162b)は、スラストボックスの直接の助けを借りずに、それぞれの下部構造接続アーム(111、121、131)のセミアーム(111a、111b、121a、121b、131a、131b)と同様にして、互いに接続される、方法。
【請求項4】
請求項2を引用する請求項3に記載の方法において、
各上部構造接続アーム(112、122、132)は、プラットフォーム自体の進水喫水線(LWL)より上で、それぞれの下部構造接続アーム(111、121、132)の高さよりも高い高さで2つの浮き柱の間を接続して配置され、
異なるサブアセンブリ(11、12、13)のそれぞれの上部構造接続アーム(112、122、132)のセミアーム(112a、112b、112b、122a、122b、132a、132b)は、水位よりも上で働くので、前記スラストボックス間に形成された水密チャンバの助けを借りずに、それぞれの下部構造接続アーム(111、121、131)のセミアーム(111a、111b、121a、121b、131a、131b)と同様に、互いに接続される、方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の方法において、
前記プラットフォーム(1)において、前記下部構造接続アーム(111、121、131)は、中間構造体(600)によってそれぞれの上部構造接続アーム(111、121、131)と接続され、前記中間構造体(600)は、乾燥環境において前記サブアセンブリ(11、12、13)上に設置される、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記サブアセンブリは、前記中間構造体(600)が、前記下部構造接続アームおよび上部構造接続アームのセミアームの間に、セミアーム自体の自由端から離間して配置されるように作製される、方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法において、
前記接続アームは、円形または多角形の断面を有する管状体からなる、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記軸方向位置合わせ手段(400)は、
前記管状体と同軸のピン(401)、および/または
ピンが設けられたフランジ(402)と、対応する穴あき挿入カウンターフランジ(403)
からなる、方法。
【請求項9】
請求項1~2および請求項2を引用する請求項3~8のいずれか一項に記載の方法において、
各仮設スラストボックス(101、102、201、202、301、302)には、別のスラストボックスと相互接続するための結合部分(700)が設けられ、それぞれの結合部分を介した2つのスラストボックス間の相互接続と水密隔壁の使用は、セミアームのそれぞれのハウジングシートを水圧的に隔離することを可能とし、それぞれの2つのセミアームの自由端の間の接合ゾーンに前記水密チャンバ(701)を形成する、方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法において、
前記仮設スラストボックスを取り外すステップh)は、前記スラストボックスを下部構造接続アームから切り離して、それらの下部構造接続アームをバラストによって沈める操作を含む、方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法において、
前記半潜水型プラットフォーム(1)は、浮き柱および/または接続アームと連携するプラットフォーム運動減衰構造(801、802、803)を備え、前記プラットフォーム運動減衰構造(801、802、803)は、乾燥環境で、好ましくは進水させるステップc)の前に、各サブアセンブリに設置される、方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法において、
前記海洋半潜水型プラットフォーム(1)は、周縁環状構造(100)を備え、前記周縁環状構造(100)は前記複数の浮き柱(110、120、130)の少なくとも一部を含み、前記周縁環状構造(100)の一部を形成する前記浮き柱のそれぞれは、少なくとも2つの下部構造接続アーム(111、121、131)によって、前記周縁環状構造の一部を形成する少なくとも2つの他の隣接する浮き柱に接続され、前記少なくとも2つの下部構造接続アームは、浮き柱間をその基部の近くで、好ましくは、少なくとも部分的にプラットフォーム自体の進水喫水線(LWL)よりも下方で、接続して配置されており、前記下部構造接続アームは、前記周縁環状構造(100)に構造的連続性を与え、
各サブアセンブリ(11、12、13)は、前記周縁環状構造の一部を形成する浮き柱(110、120、130)のうちの少なくとも1つと、それぞれの下部構造接続アーム(111、121、131)の少なくとも2つのセミアーム(111a、111b、121a、121b、131a、131b)とを備え、前記セミアームは、浮き柱自体にすでに構造的に一体化されており、その浮き柱から片持ち梁状に延びて、それぞれの自由端(111a'、111b'、121a'、121b'、131a'、131b')を有する、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記周縁環状構造(100)は多角形形状を有し、前記多角形形状の各頂点に前記浮き柱の1つを有する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記多角形形状の周縁環状構造(100)は、前記多角形形状の辺に沿って配置された1つまたは複数の浮き柱を含む、方法。
【請求項15】
前記周縁環状構造は、形状が三角形、好ましくは等辺であり、3つの浮き柱(110、120、130)、好ましくは互いに同一の3つの浮き柱(110、120、130)を備え、各浮き柱(110、120、130)は、三角形の周縁環状構造のそれぞれの頂点の1つに配置され、前記サブアセンブリ(11、12、13)のそれぞれは、前記3つの浮き柱(110、120、130)のうちの1つと、それぞれの下部構造接続アーム(111、121、131)の少なくとも2つのセミアーム(111a、111b、121a、121b、131a、131b)とを備え、前記セミアームは、浮き柱自体にすでに構造的に一体化されており、その浮き柱から片持ち梁状に延びて、それぞれの自由端(111a'、111b'、121a'、121b'、131a'、131b')を有する、方法。
【請求項16】
請求項12~14のいずれか一項に記載の方法において、
前記周縁環状構造によって画定される内部空間に配置された少なくとも1つの内部浮き柱を含み、前記内部浮き柱は1つまたは複数の内部下部構造接続アームによって前記周縁環状構造の1つまたは複数の浮き柱に構造的に接続され、前記少なくとも1つの内部浮き柱は、内部下部構造接続アームの少なくとも1つまたは複数のセミアームを含むサブアセンブリの一部である、方法。
【請求項17】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法において、
前記半潜水型プラットフォーム(1)は星形構造を有し、前記星形構造は、前記浮き柱のうちの1つで、星形の中心に配置された中央の浮き柱と、前記中央の浮き柱の周りに放射状に配置され、前記下部構造接続アーム(141、151、161)によって、前記中央の浮き柱に接続された残りの浮き柱とを有し、
前記プラットフォームを分割してなる前記サブアセンブリは、
- 前記中央の浮き柱と、それぞれの下部構造接続アームの複数のセミアームとを備え、前記セミアームは、既に中央の浮き柱自体に構造的に一体化されるとともに、その中央の浮き柱から片持ち梁状に延びて、それぞれの自由端を有する、中央サブアセンブリと、
- 各々が、放射状に配置された浮き柱のうちの少なくとも1つと、それぞれの下部構造接続アームの少なくとも1つのセミアームとを備える、複数の周囲サブアセンブリと
を備える、方法。
【請求項18】
複数の浮き柱(110、120、130)を備え、前記複数の浮き柱(110、120、130)の各々は、少なくとも1つの下部構造接続アーム(111、121、131)によって、前記複数の浮き柱の他の少なくとも1つと接続されており、前記少なくとも1つの下部構造接続アーム(111、121、131)は、2つの浮き柱の間を、それらの基部近くで、好ましくは、少なくとも部分的にプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも下方で接続して配置されている、海洋半潜水型のプラットフォームにおいて、
前記下部構造接続アーム(111、121、131)の各々は、それぞれの2つの浮き柱の間の中間位置に配置された溶接接合ゾーン(511、521、531)を有し、
前記溶接接合ゾーン(511、521、531)において、2つの隣接する浮き柱から延びている前記下部構造接続アームの2つの部分(111a、111b、121b、121a、121b、121a、131b)の間に軸方向位置合わせ手段(400)が存在していることを特徴とするプラットフォーム(1)。
【請求項19】
請求項18に記載のプラットフォーム(1)において、
前記浮き柱(110、120、130)のそれぞれが、少なくとも1つのさらなる上部構造接続アーム(112、122、132)によって前記少なくとも1つの他の浮き柱に接続されており、前記上部構造接続アーム(112、122、132)は、それぞれの下部構造接続アーム(111、121、131)の高さよりも高い高さで、好ましくはプラットフォーム自体の進水喫水線(LWL)よりも高い高さで、2つの浮き柱の間に接続されており、前記上部構造接続アーム(112、122、132)のそれぞれは、それぞれの2つの浮き柱の間の中間位置に配置された溶接接合ゾーン(512、522、532)を有し、前記溶接接合ゾーン(512、522、532)では、2つの隣接する浮き柱から延びる前記上部構造接続アームの2つの部分(112a、112b、112b、122a、1221b、132a、132b)の間に軸方向位置合わせ手段(400)が存在している、プラットフォーム(1)。
【請求項20】
請求項19に記載のプラットフォーム(1)において、
前記下部構造接続アーム(111、121、131)は、中間構造(600)によってそれぞれの上部構造接続アーム(112、122、132)に接続されている、プラットフォーム(1)。
【請求項21】
請求項20に記載のプラットフォーム(1)において、
前記中間構造(600)は、下部構造接続アームと上部構造接続アームとの間に、前記溶接結合ゾーンから間隔をあけて、配置されている、プラットフォーム(1)。
【請求項22】
請求項18~21のいずれか一項に記載のプラットフォームにおいて、
前記接続アームは、円形または多角形の断面を有する管状体からなる、プラットフォーム。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記軸方向位置合わせ手段(400)は、
前記管状体と同軸のピン(401)および/または
ピンが設けられたフランジ(402)と対応する穴あき挿入カウンターフランジ(403)
からなる、方法。
【請求項24】
請求項18~23のいずれか一項に記載のプラットフォーム(1)において、
前記浮き柱および/または前記接続アームと連携するプラットフォーム運動減衰構造(801、802、803)を備えた、プラットフォーム。
【請求項25】
請求項18~24のいずれか一項に記載のプラットフォーム(1)において、
周縁環状構造(100)を備え、前記周縁環状構造(100)は前記複数の浮き柱(110、120、130)の少なくとも一部を含み、前記周縁環状構造(100)の一部を形成する前記浮き柱のそれぞれは、少なくとも2つの下部構造接続アーム(111、121、131)によって、前記周縁環状構造の一部を形成する少なくとも2つの他の隣接する浮き柱に接続されており、前記少なくとも2つの下部構造接続アームは、浮き柱間を、その基部の近くで、好ましくは、少なくとも部分的にプラットフォーム自体の進水喫水線(LWL)よりも下方で、接続して配置されており、前記下部構造接続アームは、前記周縁環状構造(100)に構造的連続性を与える、プラットフォーム(1)。
【請求項26】
請求項25に記載のプラットフォーム(1)において、
前記周縁環状構造(100)は多角形形状を有し、前記多角形形状の各頂点に前記浮き柱の1つを有する、プラットフォーム(1)。
【請求項27】
請求項26に記載のプラットフォーム(1)において、
前記多角形形状の周縁環状構造(100)は、前記多角形の辺に沿って配置された1つまたは複数の浮き柱を備える、プラットフォーム(1)。
【請求項28】
請求項26に記載のプラットフォーム(1)において、
前記周縁環状構造は、形状が三角形、好ましくは等辺であり、前記周縁環状構造は、好ましくは互いに同一の、3つの浮き柱(110、120、130)を備え、前記3つの浮き柱のそれぞれは前記三角形の周縁環状構造の頂点の一つに配置されている、プラットフォーム(1)。
【請求項29】
請求項25~27のいずれか一項に記載のプラットフォーム(1)において、
前記周縁環状構造によって画定される内部空間に配置された少なくとも1つの内部浮き柱を含み、前記内部浮き柱は1つまたは複数の内部下部構造接続アーム(141,151,161)によって前記周縁環状構造の1つまたは複数の浮き柱に構造的に接続されている、プラットフォーム(1)。
【請求項30】
請求項18から24のいずれか一項に記載のプラットフォーム(1)において、
星形構造を有し、前記星形構造は、前記浮き柱のうちの1つで、星形の中心に配置された中央の浮き柱と、前記中央の浮き柱の周りに放射状に配置され、前記下部構造接続アームによって前記中央の浮き柱に接続された残りの浮き柱とを有する、プラットフォーム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋半潜水型プラットフォームの建設および進水方法、およびそのようにして建設された海洋半潜水型プラットフォームに関する。
【0002】
一般に、本発明に係る海洋半潜水型プラットフォームは、再生可能資源からエネルギーを生成するためのプラントを支持することを意図するだけでなく、再生可能資源からエネルギーを生産する海洋ファーム用の補助コンポーネント、たとえば、浮体式変電所、補助サポートステーション、技術者用の宿泊施設など、を支持することも意図することができる。
【0003】
特に、そのようなプラットフォームは、洋上風力発電機を支持することを目的としている。
【0004】
本発明による海洋半潜水型プラットフォームは、炭化水素鉱床の開発のためのプラントを支援するために石油・ガス産業でも使用することができる。
【背景技術】
【0005】
風から抽出可能なクリーンな再生可能エネルギーを利用するための海岸の風力発電所は、周知の長い歴史を持つ現実であり、化石燃料の無差別使用によって引き起こされるさまざまな種類の汚染の軽減に貢献している。
【0006】
再生可能資源からのエネルギー生産が増大する状況において、風力源からの生産は、その陸上および海洋の両方の実施にとって基本的な役割を果たす。しかし、風力タービンを陸上に設置することに伴う不便さは、本質的に景観への影響や騒音公害に関連しているため、そのような施設は、最もエネルギーを消費するように見える最も密集した地域から遠ざけて、可能であれば、沿岸地域の海上に移動させることになる。
【0007】
海洋産業において風力発電を利用するための現在の技術は、適切な海岸の利用可能性と、約50メートルの閾値深さを超えるとポールまたはパイロンを海底に固定する現在の技術は停止されることとによって、制限されている。
【0008】
上述したように、適切な場所の利用可能性は徐々に失われつつある。さらに、風から取り出されるエネルギーの利用可能性は、沖合の深海に行くほどはるかに高くなるが、気象海洋条件の観点からはさらに不利にもなる。
【0009】
一方で、海岸から遠ざかると、より高いコストがかかることになるが、他方では、莫大な風力発電の可能性が確保されることになる。たとえば、北欧の海では、公海上の風の強さは海岸よりも35~50%大きくなる。これは利用可能なエネルギーが2倍になることを意味する。なぜならば、エネルギーは風速の3乗に比例するためである。
【0010】
このような状況では、利用可能な技術的手段の観点および経済的な観点から最近までは使用不可能と考えられていた地域で洋上風力発電所の拡張を可能にする新しい技術的解決策を模索する必要がある。
【0011】
様々な種類および形状のフローティング(浮き)手段の提案が最近提案されているが、様々な技術的/構造的および/または設置および/またはメンテナンスの複雑さのため、それらは一般に経済的な観点から魅力的ではない。
【0012】
現在、風力発電機を海底に固定して設置するコストは、洋上の浮体(フローター)に設置するコストよりも低いと推定されている。したがって、浮体式設置をより安価にする適切な技術的および生産的ソリューションを積極的に模索する必要がある。IEAのデータによると、洋上風力発電(送電を含む)のための世界の平均初期資本コストは、2030年までに現在の平均に比べて大幅に低下すると予測されている。これは、設備電力が2倍になるごとに資本コストは15%ずつ減少するという想定学習率に基づいている。
【0013】
現時点では、概念的に互いに非常に異なる様々な設計提案について効果的な耐航性(seakeeping)と経済的利便性を実証することを目的としたプロトタイプ実験がわずか数件、世界の様々な地域(ノルウェー、米国、日本)の沖合に設置されているに過ぎない。
【0014】
提案されたフローターの技術的解決策は、それらが対処する深さと気象海洋条件に応じて変化する。
【0015】
海洋石油・ガス産業からインスピレーションを得た、さまざまな種類の浮体式風力発電プラットフォームがある。これらは、波荷重、風、海流によってエネルギーを与えられることができる6つの自由度を備えた浮き構造によって支えられる。そして、係留索、バラスト、または大きな浮き領域を使用して、システム全体を係留し、安定させる必要がある。
【0016】
浮体式プラットフォームの主な概念は、スパーブイ(円柱ブイ)、テンションレッグプラットフォーム(TLP)、バージ、および半潜水艇である。
スパーブイ
【0017】
スパーブイ技術SP(
図1に概略的に示す)は、非常に細い円筒形の構造を特徴とする単純な設計を有し、波に対する高い透明度を確保するように設計されており、主に、波が高いのが特徴で、非常にエネルギーの多い海である北海を対象としている。このようなタイプは、浮き面積が小さいためメタセンター(メタセンターとは、幾何学的にはフロートの小さな傾きにより静水圧推力の作用線が回転する点。)が非常に低いので、底部のバラストで安定化して、それの重心Gを低くし、メタセンター高さGM(重心GとメタセンタMとの距離)を大きくして十分な安定性を確保するようにしている。それは、通常、製造は簡単であるが、深い深さが必要なため、組み立て、輸送、設置の際に物流上の問題が生じる可能性があり、使用が100/200mより深い場所に限定される可能性がある。
【0018】
このタイプのフローターに関連する技術的問題は、大きな進水深度を備えた造船所を必要とするスパーブイの建設の難しさと、技術的に困難で費用がかかる活動であるその後の最終現場までの曳航と公海上にタービンを設置して完成させる複雑さとである。
【0019】
このような側面は、間もなく設置される風力発電所で提供されるような、多数のフローターからなる風力発電所でそれを使用することを複雑かつ工業的に非効率的なものとする。
テンションレッグプラットフォーム (Tension Leg Platform:TLP)
【0020】
TLPプラットフォームは、
図4および
図5に概略的に示されているように、必要な横方向の安定性を提供するピンと張った係留索で海底に固定された半没水浮体構造(semi-submerged floating structure)を有する。この設計は、脚および固定システムにかかる応力を増大させる。そのため、設計、製造、実装が複雑になる。設置プロセスもより複雑になり、さらに脚が損傷した場合の運転リスクも大きくなる。したがって、他の技術と比較すると、長さは短いものの、より複雑で高価な係留索が必要となる。
【0021】
一方、TLPソリューションは、比較的構造が単純であるという点で魅力的な効率の期待を提供するが、最終サイトに移送されるステップ中および係留索が恒久的に配置されて張られるまでの安定性の欠如に関連する大きな困難があることに特徴がある。
【0022】
最終サイトに係留する際の費用、時間および技術的困難は、多数のフローターを特徴とする次の風力発電所で必要とされる数の多さを考慮すると、このタイプは魅力的ではない。
バージプラットフォーム (Barge platform)
【0023】
バージプラットフォームB(その一例を
図6に概略的に示す)は、コンクリートまたは鋼製の浅喫水フローターであり、カテナリー係留によって所定の位置に保持される。これは、すべての中で、最大の浮き面積を提供し、したがって最高の安定性を提供するだけでなく、波の力に最大限さらされる、フローターソリューションである。 したがって、露出が少なく、エネルギーの低い海や波の低いエリアに適している。
【0024】
このタイプのフローターの興味深い特質は、構造が比較的単純であり、浸水が少ないため、造船所で完成させ、その後、最終現場まで簡単に曳航することができ、また、予め配置されている索(lines)に簡単に係留できることである。さらに、典型的な造船構造が、検査とメンテナンスのステップ、および修復作業を、費用対効果の高いものとする。これらの特徴により、バージプラットフォームは大量生産に適しており、建設工場でのセットアップが容易になる。 ただし、バージタイプは波の動きが限定的な地域に適している。
半潜水型プラットフォーム(Semi-submersible platforms)
【0025】
半潜水型プラットフォームSは、
図2に概略的に示すように、海面に半沈して浮かぶプラットフォームである。実際、それらは、必要な静水圧推力を確保するために船体の一部が沈められる一方、一部が、通常はアームによって互いに接続された細い柱によって支えられて、出現していることを特徴とする。それらは、
図3に示すように、正しい安定化レバーと波の動きに対する十分な透明性を発揮する。復元力(righting moment)は各柱の表面と相互の距離とに依存する。浮き面積を増やして、ユニットの合計サイズとその結果としての構造の複雑さを減らすことは、流体力学的な力に対する、したがってタービンの性能を妨げるより大きな動きに対するフローターの応答が増大することを意味する。柱間の距離を増やすと、施工性は犠牲になるが、全体的な性能が向上するためである。
【0026】
この結果、安定性を維持するために大きくて重い構造が必要となり、多くの場合、構造重量が高く、溶接接続が多いため製造が複雑な鋼で作られる。
【0027】
一般に、半潜水型プラットフォームは、スパーブイ(円柱ブイ)(Spar-Buoy)のように極端に浸水しないこと、および現場の海況に適応する柔軟性のおかげで多用途の構造である。ただし、これらのプラットフォームは構造の観点から見ると最も複雑であるため、他のプラットフォームと比較して製造に多くの時間とコストがかかる。造船所にとって、このタイプの船体は、好ましくは平面強化された金属シートに基づく典型的な造船大工構造と比較した場合、構成要素、主にパイプの断片化により、いくつかの管理上の問題を引き起こす。このような形状により、検査及びメンテナンス工程、さらには修復作業も複雑になる。
【0028】
スパーブイタイプと同様に、運転時および進水時の浸水(operational and launching immersions)により、たとえ半潜水型プラットフォーム(サイズおよび重量)の場合であっても、フローターの建設を陸上で完了することを通常はできない。このことはプラットフォームのサイズを制限するが、この制限は基本的に造船所の可能性(ポテンシャル)と産業上の機会とによって課せられる。
【0029】
半潜水型プラットフォームの建設は、一般に、進水時に沈められる支持バージの助けを借りて水中で行われ、これによりプラットフォームの進水が可能となる。プラットフォームのサイズが大きくなると、それに比例してバージのサイズも大きくなる。
【0030】
いずれの場合でも、半潜水型プラットフォームの特徴は、そのプラットフォームを、建設段階中の前述の作業限界を超えて、建設プラントでのセットアップが比較的容易で、連続して多数建設されるのに適したものとする。
【0031】
海洋設置サイトの特定の条件および気象海洋状況(風の強さ、波の周期および高さ)により、あるタイプのフローターが別のタイプのフローターよりも便利な場合がある。各構造には長所と短所があり、たとえば、海の深さや海岸からの距離に応じて、好ましいものになる(プラットフォームによっては、サイトへの輸送が最大の課題となる)。
【0032】
いずれにせよ、フローターの個々のタイプの性能特徴に加えて、短期間に多数の風力発電フローターの設置を求める市場の需要を満たすために、近い将来、工業化の性質も考慮する必要がある。
【0033】
これまでに知られている浮体式プラットフォームの特徴を考慮すると、浮体式風力発電プラットフォームの分野では、以下のニーズを満たすフローターの必要性が強く感じられている。
【0034】
‐ 大規模造船産業の典型的な方法に沿った、単純でしたがって費用効果の高い建造。
【0035】
‐ 工業化することができ、非常に限られた期間内に多数の大型フローターを保有するという市場の差し迫った需要に応えることを可能にする建設および物流方法。
【0036】
‐ 造船所での完全なセットアップと、市場を拡大するために深さ50メートルから始まる現場での船舶の使用との両方を可能にするなど、限定された浸水。
【0037】
‐ 完全なフローター(フローター完成品)を固定場所まで曳航する工程中におけるそのフローターの安定性。
【0038】
‐ 浮きユニットによるエネルギーの生成に先立つプロセス全体を費用(すなわち、いわゆるCAPEX)効率よくするための、単純かつ迅速な現場係留。
【0039】
‐ 運転寿命中のユニットのコストおよび保守作業(すなわち、いわゆるOPEX)を削減および簡素化すること。
【0040】
上記を考慮すると、そのようなニーズを満たすための最も有望なタイプのプラットフォームは、半潜水型プラットフォームである。
【0041】
すでに強調したように、このプラットフォームは、構造の観点から最も複雑であり、したがって、他のものと比較して製造により多くの時間とより高いコストを必要とする。造船所にとって、このタイプの船体は、好ましくは平面強化された金属シートに基づく典型的な造船大工構造と比較した場合、構成要素、主にパイプの断片化により、いくつかの管理上の問題を引き起こす。
【0042】
スパーブイタイプと同様に、運転時および進水時の浸水により、たとえ半潜水型プラットフォーム(サイズおよび重量)の場合であっても、フローターの建設を陸上で完了することは通常できない。これによりプラットフォームのサイズが制限されるが、この制限は基本的に造船所のポテンシャルと産業の機会によって課せられるものである。
【0043】
したがって、浮体式プラットフォームの分野では、プラットフォームの最大サイズの点で現在の運用限界を克服し、建設時間とコストを大幅に削減できるが、プラットフォーム自体のパフォーマンスには影響しない、海洋半潜水型プラットフォームを建設する方法の必要性が強く感じられている。
【0044】
特に、このような工法は、短期間で多数の大型ユニット(10MW以上の風力タービン)の製造と組み立てを可能にし、近い将来に計画されている大規模風力発電所の投資コストと両立できるように工業化できる必要がある。
【0045】
そのようなニーズは、現在完全には満たされていない。
【発明の開示】
【0046】
したがって、本発明の主な目的は、上述の従来技術の欠点を除去するか少なくとも軽減し、プラットフォームの最大サイズの点での現在の作業(運用)上の限界を克服して、プラットフォーム自体のパフォーマンスを損なうことなく、建設時間とコストを大幅に削減できる、海洋半潜水型プラットフォームを建設および進水させる方法を提供することである。、。
【0047】
本発明のさらなる目的は、水面下で作業しながら乾燥した環境で溶接作業を実行できる海洋半潜水型プラットフォームを、簡単に実施可能で、かつ作業上信頼できる方法で、建設および進水する方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
前述の目的に従った本発明の技術的特徴は、請求項の内容に明確に見出すことができ、その利点は、単に非限定的な例として一つまたはそれ以上の実施形態を示した添付の図面を参照して行われる詳細な説明からより明らかになるであろう。添付の図面において、
【
図1】洋上風力発電機の支持のためのスパーブイ型の従来のフローター(浮体)の概略図で、海底に固定された状態を示す。
【
図2】洋上風力発電機の支持のための従来の半潜水型フローターの概略図であり、海底に固定された状態を示す。
【
図3】洋上風力発電機の支持のための従来の半潜水型フローターの斜視図である。
【
図4】洋上風力発電機の支持のための従来のTLP型フローターの概略図であり、海底に固定された状態を示す図である。
【
図5】洋上風力発電機の支持のための従来のTLPタイプのフローターの斜視図を示す。
【
図6】洋上風力発電機を支持するためのバージ型の従来のフローターを示す概略斜視図である。
【
図7】本発明による建設および進水方法で得られた本発明の第1の好ましい実施形態による海洋半潜水型プラットフォームの斜視図であり、他の部分をより強調するためにいくつかの部分が除去されている。
【
図8a】
図7のプラットフォームの直交平面図を示す。
【
図8b】セルフフローティングサブアセンブリに分割された
図7のプラットフォームを示す。
【
図9】本発明による方法の作業ステップであって、乾燥した環境、好ましくは陸上で、本発明による海洋半潜水型プラットフォームが分割されたセルフフローティングサブアセンブリのうちの1つのアームのセミアームの下に、一時的つまり仮設スラストボックスを結合することを含むステップを示す。
【
図10】
図10(a)~
図10(f)は、本発明による方法の作業ステップであって、本発明による海洋半潜水型プラットフォームがそれぞれのアームで分割されてなる2つのセルフフローティングサブアセンブリを水中で結合することを含むステップを順番に示している。
【
図11】本発明による海洋半潜水型プラットフォームが分割された2つのセルフフローティングサブアセンブリに属する2つのセミアーム間の結合領域の詳細図を示す。
【
図14】本発明による海洋半潜水型プラットフォームが分割された2つのセルフフローティングサブアセンブリに属する2つのセミアーム間の結合領域の詳細図を示し、結合が同軸挿入ピンによって達成される。
【
図16】本発明による海洋半潜水型プラットフォームが分割された2つのセルフフローティングサブアセンブリに属する2つのセミアーム間の結合領域の詳細図であって、結合がピン付きフランジ及び対応する穴あき挿入カウンターフランジによって達成される場合を示す。
【
図18】本発明による建設および進水方法で得られた本発明の第2の好ましい実施形態による海洋半潜水型プラットフォームの斜視図を示しており、他の部分をより強調するためにいくつかの部分が除去されている。
【
図19a】セルフフローティングサブアセンブリに分割された
図18のプラットフォームを示す。
【
図19b】セルフフローティングサブアセンブリがそれぞれのスラストボックスと連携する
図19bのプラットフォームを示す。
【
図20】本発明による建設および進水方法で得られた本発明の第3の好ましい実施形態による海洋半潜水型プラットフォームの斜視図であり、他の部分をより強調するために一部の部分が除去されている。
【
図21】セルフフローティングサブアセンブリに分割された
図20のプラットフォームを示す。
【
図22】水中での位置合わせの作業ステップ中に示される、本発明によるプラットフォームの2つのセルフフローティングサブアセンブリの直角立面図を示す。
【詳細な説明】
【0049】
開示を簡単にするために、この建設および進水方法に従って建設された海洋半潜水型プラットフォームについて最初に説明し、その後、本発明による方法について説明する。
【0050】
添付図面を参照すると、本発明による海洋半潜水型プラットフォームは、全体として1で示されている。
【0051】
ここ並びに以下の説明および特許請求の範囲では、使用状態にあるプラットフォーム1についても言及する。 したがって、この意味で、より低い位置またはより高い位置、水平方向または垂直方向、または浮上または浸水状態への言及は理解されなければなりません。
【0052】
半潜水型プラットフォームとは、様々な種類のプラントを支持するように設計された半潜水型の浮遊構造体を意味する。一般に、半潜水型プラットフォームには、必ずしも連続的ではない1つまたは複数のブリッジを設けることができるほか、ブリッジを設けないこともできる。
【0053】
本発明の一般的な実施形態は、複数の浮き柱(floating columns)110、120、130、140を備える。
【0054】
前記浮き柱110、120、130、140のうちの1つの頂部に、ブレード付き風力発電機を支持するためのタワーを設置することができる。あるいは、前記浮き柱110、120、130、140の頂部に載せて、様々な種類のプラントを支持するための1つまたは複数の橋を作成することもできる。
【0055】
一般に、本発明による海洋半潜水型プラットフォームは、再生可能資源からエネルギーを生成するためのプラントを支持することを意図したものであるだけでなく、再生可能資源からエネルギーを生産する海洋ファーム用の補助コンポーネント、たとえば、浮体式変電所、補助サポートステーション、技術者用の宿泊施設など、を支持することも意図することができる。
【0056】
特に、そのようなプラットフォームは、洋上風力発電機を支持することを意図したものである。
【0057】
本発明による海洋(オフショア)半潜水型プラットフォームは、炭化水素鉱床の開発のためのプラントを支持するために石油・ガス産業でも使用することができる。
【0058】
前記浮き柱110、120、130、140のそれぞれは、配置された少なくとも1つの下部構造接続アーム111、121、131、141、151、161によって、前記浮き柱のうちの少なくとも1つの他のものに接続される。下部構造接続アーム111、121、131、141、151、161は、2つの柱の間をそれらの基部110b、120b、130b、140bの近くで接続して配置される。
【0059】
好ましくは、下部構造接続アーム111、121、131、141、151、161のそれぞれは、(
図22に示すように)少なくとも一部がプラットフォーム自体の進水喫水線(launching waterline)LWLより下に配置される。
【0060】
あるいは、下部構造接続アーム111、121、131、141、151、161のそれぞれは、プラットフォーム自体の進水喫水線LWLより上に配置することができる。
【0061】
喫水線とは、プラットフォームが水に浸かっているレベルを意味する。半潜水型プラットフォームの喫水線は、プラットフォーム自体の負荷状態に応じて変化する。一般に、少なくとも3つの喫水線が特定できる。進水(launching)喫水線、運搬(transiting)喫水線、及び動作(operating)喫水線である。それぞれは特定の範囲内で可変である。したがって、喫水線は平均値に関係する。最も浅い喫水線は進水喫水線である、つまり、進水操作を容易にするために、バラストを除いた後のプラットフォームの荷重が最小限のときである。最も深い喫水線は動作中の喫水線、つまりプラットフォームの荷重が通常公称サイズ範囲内に含まれるときであり、この場合はプラットフォームが完全に動作している状態である。中間喫水線は運搬喫水線、つまり、プラットフォームの荷重が一般に進水時の荷重に比べて高いが、建設および進水現場から設置現場までの水中での移動作業を容易にするために最小限に抑えられている場合である。
【0062】
海洋半潜水型プラットフォーム1において、下部構造接続アーム111、121、131、141、151、161がプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも少なくとも部分的に下にあるという事実は、下部構造接続アームが決して完全には水から出てこず、通常、作業状態では完全に水中に沈むことを意味している。
【0063】
有利には、下部アームが管状であり、したがって内部が中空である場合、下部構造接続アーム111、121、131、141、151、161が少なくとも部分的にプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも下にあるという事実により、柱によって提供される浮力に、浮力を追加することができる。
【0064】
本発明の第1の態様によれば、前記下部構造接続アーム111、121、131、141、151、161のそれぞれは、それぞれの2つの柱間の中間位置に置かれた溶接接合ゾーン511、521、531、541、551、561を有する。
【0065】
前述の中間位置は、中心線位置または2つの柱間の任意の位置に対応することができる。
【0066】
本発明の第2の態様によれば、前記接合ゾーン511、521、531、541、551、561において、2つの隣接する柱から延びている前記構造接合アームの2つの部分111aと111b、121aと121b、131aと131b、141aと141b、151aと151b、161aと161bの間に、軸方向位置合わせ手段400が存在している。
【0067】
以下の説明から明らかなように、溶接接合ゾーンの存在およびそのような接合ゾーンにおける軸方向位置合わせ手段の存在は、本発明による建設および進水方法によって残された痕跡である。
【0068】
好ましくは、
図7、18、および20に示すように、前記浮き柱110、120、130、140のそれぞれは、少なくとも1つのさらなる上部構造接続アーム112、122、132、142、152、162によって前記少なくとも1つの他の浮き柱に接続される。上部構造接続アーム112、122、132、142、152、162は、それぞれの下部接続アーム111、121、131、141、151、161の高さよりも高い高さのところで、好ましくはプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも上の方で、2つの柱の間を接続している。
【0069】
前記上部構造接続アーム112、122、132、142、152、162のそれぞれは、それぞれの2つの柱の間の中間位置に配置された溶接接合ゾーン512、522、532、542、552、562を有する。
【0070】
前述の中間位置は、2つの柱の間の中心線位置または任意の位置に対応することができる。
【0071】
前記接合ゾーン512、522、532、542、552、562において、2つの隣接する柱から延びている前記構造接続アームの2つの部分112aと112b、122aと122b、132aと132b、142aと142b、152aと152b、162aと162bの間に、軸方向位置合わせ手段400が存在する。
【0072】
この場合も、以下の説明から明らかなように、溶接接合ゾーンの存在およびそのような接合ゾーンにおける軸方向位置合わせ手段の存在は、本発明による建設および進水方法によって残された痕跡である。
【0073】
好ましくは、添付の図に示すように、下部構造接続アーム111、121、131、141、151、161は、中間構造600によってそれぞれの上部構造接続アーム112、122、132、142、152、162に接続されている。
【0074】
有利には、前記中間構造600は、下部アームと上部アームとの間に、接合ゾーンから離間して配置される。
【0075】
好ましくは、前記(下部および上部)接続アームは、円形または多角形の断面を有する管状体からなる。
【0076】
好ましくは、前記中間構造は、円形または多角形の断面を有する管状体からなる。
【0077】
図7、18、および20に示す実施形態によれば、下部接続アーム111、121、131、141、151、161およびそれぞれの上部接続アーム112、122、132、142、152、162は、互いに平行で、好ましくは水平に配置される、直線状の管状体からなる。
【0078】
図7、18および20に示される実施形態によれば、前述の中間構造600は直線状の管状体からなり、好ましくは、水平方向に配置された下部接続アームおよび上部接続アームに対して垂直または斜めに配置されている。
【0079】
好ましくは、前述の軸方向位置合わせ手段400は、以下のものから構成される。
【0080】
‐
図14および
図15に示すように、管状体と同軸のピン401、 および/または
【0081】
‐
図16および
図17に示すように、ピンが設けられたフランジ402および対応する穴あき挿入カウンターフランジ(相手方のフランジ)403。
【0082】
有利には、
図7に示すように、プラットフォーム1は、浮き柱および/または下部接続アームと連携するプラットフォーム運動減衰構造801、802、803を備えることができる。
【0083】
図7および
図18に示すように、プラットフォーム1は、周縁環状構造(peripheral annular structure)100を備えることができ、周縁環状構造100は、前記複数の浮き柱のうちの少なくとも一部110、120、130を備える。周縁環状構造100の一部を形成する各浮き柱は、少なくとも2つの下部構造接続アーム111、121、131によって、前記周縁環状構造の一部を形成する少なくとも2つの他の隣接する浮き柱に接続されている。前記少なくとも2つの下部構造接続アーム111、121、131は、柱の基部110b、120b、130bの近くで、好ましくは、少なくとも一部がプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも下方で、柱間を接続して配置されている。前記下部接続アームは、前記周縁環状構造100に構造的連続性を与える。
【0084】
有利には、前記周縁環状構造100の一部を形成する浮き柱のそれぞれは、少なくとも2つの上部構造接続アーム112、122、132によって、前記環状構造の一部を形成する少なくとも2つの他の隣接する浮き柱に接続される。前記少なくとも2つの上部構造接続アーム112、122、132は、それぞれの下部接続アーム111、121、131の高さよりも高い高さで、好ましくはプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも高い位置で、柱間を接続する。前記上部構造接続アームは、前記周縁環状構造100にさらなる構造的連続性を与える。
【0085】
好ましくは、
図7および
図18に示すように、前記周縁環状構造100は多角形形状を有し、前記多角形形状の各頂点に前記浮き柱の1つを有する。
【0086】
添付図面に示されていない実施形態によれば、多角形の前述の周縁環状構造100は、前記多角形の辺(側面)に沿って配置された1つまたは複数の浮き柱を備えることができる。
【0087】
図7、8a、および8bに示される実施形態によれば、前記周縁環状構造は、形状が三角形、好ましくは等辺であり、3つの浮き柱110、120、130、好ましくは互いに同一である3つの浮き柱110、120、130を備え、それぞれが、三角形の環状構造の頂点の1つに配置されている。
【0088】
上述した周縁環状構造100は、多角形でなくてもよく、例えば円形や楕円形などの曲線形状であってもよい。
【0089】
図18に示される実施形態によれば、プラットフォーム1は、前記周縁環状構造によって画定される内部空間に配置された少なくとも1つの内部浮き柱140を備えることができる。内部浮き柱140は、1つまたは複数の内部下部構造接続アーム141、151、161によって、周縁環状構造100の1つまたは複数の浮き柱110、120、130に構造的に接続されている。
【0090】
有利には、内部浮き柱140は、1つ以上の内部上部構造接続アーム142、152、162によっても、前記環状構造100の1つ以上の柱110、120、130に構造的に接続することができる。内部上部構造接続アーム142、152、162は、それぞれの内部下部接続アーム141、151、161の高さよりも高い高さで、好ましくはプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも上で、浮き柱間を接続している。
【0091】
あるいは、
図20に示すように、プラットフォーム1は、上述の周縁環状構造を持たず、星型の中心に前記浮き柱の1つ140が配置された星型構造であってもよい。残りの浮き柱110、120、130は、中央の柱140の周囲に放射状に配置され、内部下部構造アーム141、151、161によって中央の柱140に接続されている。これらの内部下部構造アーム141、151、161は、浮き柱と浮き柱との間を、それらの基部110b、120b、130bの近くで、好ましくは、少なくとも部分的にプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも下方で、接続している。
【0092】
有利なことに、前記中央の柱140の周囲に放射状に配置された浮き柱110、120、130は、内部上部構造アーム142、152、162によって中央の柱140に接続されることもできる。これらのアーム142、152、162は、それぞれの内部下部接続アーム141、151、161の高さよりも高いところで、好ましくはプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも上で、柱間を接続する。
【0093】
浮き柱および接続アーム、ならびに、接続アーム間の中間構造600および運動減衰構造(設けられている場合)は、鋼製であることが好ましい。
【0094】
次に、本発明による海洋半潜水型プラットフォーム1を建設し、進水させる方法について説明する。
【0095】
一般に、本発明の方法に従って建設および進水可能な海洋半潜水型プラットフォーム1は、複数の浮き柱110、120、130、140を備えている。各浮き柱110、120、130、140は、基部110b、120b、130b、140bの近くで2つの柱の間を接続するように配置された少なくとも1つの下部構造接続アーム111、121、131、141、151、161によって、少なくとも1つの別の浮き柱に接続されている。
【0096】
本発明によれば、この方法は、前記半潜水型プラットフォーム1を複数のサブアセンブリ11、12、13、14に分割することによって、乾燥環境で前記半潜水型プラットフォーム1を作製するステップa)を含む。各サブアセンブリは以下のものを含む。
【0097】
- 前記浮き柱110、120、130、149のうちの少なくとも1つ、および、
【0098】
- それぞれの下部構造接続アーム111、121、131、141、151のうちの少なくとも1つのセミアーム111aおよび111b、121aおよび121b、131aおよび131b、141aおよび141b、151aおよび151b、161aおよび161b。前記セミアームはすでに柱自体に構造的に一体化されており、そこから片持ち梁状に延びて、それぞれの自由端111a'、111b'、121a'、121b'、131a'、131b'、141a'、141b'、151a'、151b'、161a'、161b'を有する。
【0099】
セミアームとは、構造接続アームが分割されてできる2つの端の部分のうちの1つを意味する。
【0100】
単一のサブアセンブリは、2つ以上の浮き柱を備えることもできる。この場合、同じサブアセンブリの柱間のそれぞれの接続アームは、すでに乾燥環境で直接作成されている。
【0101】
有利なことに、乾燥環境での実施は、陸上で(例えば岸壁Bで)または沈没可能なバージ上で行うことができる。
【0102】
図9に示すように、この方法は、乾燥環境(好ましくは陸上または沈没可能なバージ上)の各サブアセンブリ11、12、13、14に少なくとも1つの一時的つまり仮設スラストボックス101、102、 201、202、301、302、401、402、501、502、601、602を提供する作業ステップb)をさらに含む。前記少なくとも1つの仮設スラストボックスは、前記少なくとも1つのセミアーム111aおよび111b、121aおよび121b、131aおよび131b、141aおよび141b、151aおよび151b、161aおよび161bの下方に配置され、それぞれのセミアームのハウジングシート(収容座)1001と、少なくとも1つのバラストチャンバ1002、1003とを備える。
図9は、陸上である岸壁B上でのステップb)の実行を示している。
【0103】
この方法は、次に、それぞれの浮き柱110、120、130、140によって独立して浮く個々のサブアセンブリ11、12、13、14を別々に水中に進水させる作業ステップc)を含む。
【0104】
有利なことに、サブアセンブリの進水は、目的に適合した任意の方法によって実行できる。たとえば、メーソンリー・ベイスン・フラッディング(masonry basin flooding)、フローティング・ベイスン・イマージョン(floating basin immersion)、または傾斜した船台からの浸水(これらは乾燥環境で実施される作業ステップが陸上で実施される場合)、あるいはバージの沈没(乾燥環境で実施される作業ステップが沈没可能なバージで実施される場合)などの方法である。
【0105】
次に、この方法は、以下の作業ステップを含む。
【0106】
d)(
図22に示すように)前記少なくとも1つのセミアームの自由端が、隣接位置を取るためのサブアセンブリのセミアームの自由端と同じ高さに配置されることを可能にするサブアセンブリのバランスの取れた浮き状態(a balanced floatation of the sub-assembly)を得るよう、各サブアセンブリについてそれぞれの仮設スラストボックスのバラストを調整するステップ。
【0107】
e)各セミアームの自由端に予め配置された軸方向位置合わせ手段400を利用して、サブアセンブリを2つずつ、それらが位置合わせされるまで、それぞれのセミアームの自由端で互いに近づけるステップ(
図10aを参照)。
【0108】
f)仮設スラストボックスを2つずつ互いに接続するステップ。
【0109】
g)柱間に構造的接続を形成するために、セミアームの自由端同士を溶接するステップ。
【0110】
h)仮設スラストボックスを除去するステップ(
図10eおよび10fを参照)。
【0111】
作業上、本発明によれば、仮設スラストボックス101、102、201、202、301、302、401、402、501、502、601、602には基本的に次の2つの機能がある。
【0112】
‐ 隣接するサブアセンブリのセミアームの自由端との位置合わせおよび溶接を可能にするために、自由端が正しい位置にある状態でそれぞれのセミアームを位置決めすること。及び、
【0113】
‐ サブアセンブリのバランスのとれた浮きを可能にし、柱から片持ち梁状に延びる下部セミアームの重量が柱を傾けることを防止して、それに付随する柱自体およびサブアセンブリ全体を沈ませるリスクを防止すること。
【0114】
本発明によれば、プラットフォーム1を複数のセルフフローティングサブアセンブリに分割することと、仮設スラストボックスの助けとにより、プラットフォームの最大サイズに関して現在の実施限界(operational limits)を克服することができる。プラットフォームはもはや、すでに完成した状態で進水させるように建設されはしない。逆に、本発明によれば、プラットフォームは、水中で互いに構造的に接続されるブロック(セルフフローティングサブアセンブリ)で進水させられるように建設される。これにより、プラットフォームの最終的なサイズには制限がない。このような建設および進水方法では、半潜水型プラットフォームの構造を変更する必要がないため、その性能が不利になることがない。さらに、本発明による方法によれば、製造時間と製造コストが大幅に削減される。
【0115】
下部構造接続アーム111、121、131、141、151、161(およびそれぞれのセミアーム)のそれぞれは、基部110b、120b、130b、140bの近くで、少なくとも部分的にはプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも下で、2つの柱の間を接続して配置されることが好ましい(
図22に示す通り)。
【0116】
あるいは、下部構造接続アーム111、121、131、141、151、161(およびそれぞれのセミアーム)のそれぞれを、プラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも上に配置することができる。
【0117】
有利なことに、下部構造接続アーム111、121、131、141、151、161のセミアームがプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも少なくとも部分的に下にあるという事実により、下部構造接続アームが進水喫水線LWLより上に位置する場合に比べて、高さを低減したスラストボックスの使用が可能になる。後者の場合、実際には、ボックスは、進水喫水線LWLに対して、セミアームの位置決め高さと少なくとも等しい高さを有していなければならない。逆に、最初の(好ましい)ケースでは、スラストボックスは、進水時に完全に沈められるか少なくとも部分的に沈められるセミアームを支持するだけでよく、進水喫水線LWLから上に延びる高さははるかに少ない。
【0118】
下部セミアームが少なくとも部分的に進水喫水線の下に配置される場合、本発明による方法は以下を含むことが好ましい。
【0119】
‐ 仮設スラストボックスを互いに2つずつ接続するステップf)中に、それぞれの2つのセミアームの自由端の間の接合ゾーンに水密チャンバが作成されること(
図10b)。および、
【0120】
前記水密チャンバのおかげで、水位より低いにもかかわらず、前記溶接ステップg)は、乾燥した環境で行われること(
図10d)。
【0121】
本発明の好ましい実施形態による海洋半潜水型プラットフォームを建設し進水させる方法のおかげで、実施するのが簡単で、作業上信頼性の高いやり方で、水面よりも下で作業しながら乾燥した環境で溶接を行うことが可能である。
【0122】
下部セミアームが進水喫水線より上に配置される(好ましくない)場合には、それらはすでに浮上状態(emerged condition)にある。したがって、接合ゾーンが自然に水面より上に位置するため、溶接ステップg)は、乾燥環境で実行される。したがって、仮設スラストボックスを互いに2つずつ接続するステップf)中に、それぞれの2つのセミアームの自由端の間の接合ゾーンに水密チャンバを作成する必要はない。
【0123】
有利には、ステップf)とステップg)との間に、浮きレベル(floatation level)のバランスをとるさらなるステップを含めることができる(
図10cを参照)。
【0124】
好ましくは、添付の図に示されるように、海洋半潜水型プラットフォーム1では、前記浮き柱110、120、130、140のそれぞれが、少なくとも1つのさらなる上部構造接続アーム112、122、132、141、152、162によって、前記少なくとも1つの他の浮き柱に接続される。上部構造接続アーム112、122、132、141、152、162は、それぞれの下部接続アーム111、121、131、141、151、161の高さよりも高い高さで、好ましくはプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも上で、2つの柱の間を接続して配置されている。
【0125】
特に、前記サブアセンブリ11、12、13、14のそれぞれは、それぞれの上部接続アーム112、122、132、142、152、162の少なくとも1つのセミアーム112a、112b、122a、122b、132a、132b、142a、142b、152a、152b、162a、162bをさらに備える。これらのセミアームはすでに柱自体に構造的に一体化されており、そこから片持ち梁状に延び、それぞれの自由端112a、112b’、122a’、122b’、132a’、132b’、142a’、142b’、152a’、152b’、162a’、162b’を有する。
【0126】
作業では、異なるサブアセンブリ11、12、13、14のそれぞれの上部接続アーム112、122、132、142、152、162のセミアーム112a、112b、122a、122b、132a、132b、142a、142b、152a、152b、162a、162bは、それぞれの下部接続アーム111、121、131、141、151、161のセミアーム111a、111b、121a、121b、131a、131b、141a、141b、151a、151b、161a、161bと同様に、互いに接続される。ただし、スラストボックスの直接の補助はない。これは、水面より上で作業が行われるためである。動作上、実際に、ボックスは、下部アームのセミアームのみを直接支持して、下部アームの重量、ひいてはサブアセンブリの重量のバランスをとるので、必ずしも上部アームのセミアームの高さに達する必要はない。
【0127】
上部接続アーム(およびそれぞれのセミアーム)が進水喫水線LWLの上に配置される好ましい場合では、本方法により、異なるサブアセンブリ11、12、13、14のそれぞれの上部接続アーム112、122、132、142、152、162のセミアーム112a、112b、122a、122b、132a、132b、142a、142b、152a、152b、162a、162bは、それぞれの下部接続アーム111、121、131、141、151、161のセミアームと同様にして、互いに接続される。但し、作業は水面より上で行われるので、スラストボックス間に形成される水密チャンバの助けは無しである。
【0128】
有利なことに、プラットフォーム1では、下部接続アーム111、121、131、141、151、161は、中間構造600により、それぞれの上部接続アーム112、122、132、142、152、162に接続される。前記中間構造600は、一般に進水ステップc)の前に、乾燥環境(好ましくは陸上または沈没可能なバージ上)で前記サブアセンブリ11、12、13、14に設置される。
【0129】
好ましくは、前記サブアセンブリは、前記中間構造600が、下部接続アームと上部接続アームのセミアームの間に、それらのセミアーム自体の自由端から離間して配置されるように作られ、前記中間構造600がサブアセンブリ間の接続作業を妨害しないようにしている。
【0130】
好ましくは、前記接続アームは、円形または多角形の断面を有する管状体からなる。
【0131】
好ましくは、前記中間構造は、円形または多角形の断面を有する管状体からなる。
【0132】
図7、18、および20に示す実施形態によれば、下部接続アーム111、121、131、141、151、161およびそれぞれの上部接続アーム112、122、132、142、152、162は、直線状の管状体からなり、それらは互いに平行であり、好ましくは水平に配置される。
【0133】
図7、18、および20に示される実施形態によれば、前述の中間構造600は直線状の管状体からなり、好ましくは垂直または斜めに配置されている。
【0134】
好ましくは、前述の軸方向位置合わせ手段400は、以下のものから構成される。
【0135】
‐
図14および15に示すように、前記管状体と同軸のピン401、および/または
【0136】
‐
図16および17に示すように、ピンが設けられたフランジ402および対応する穴あき挿入カウンターフランジ403。
【0137】
有利には、
図7に示すように、プラットフォーム1は、浮き柱および/または下部接続アームと連携(連合、協働)する(associated)プラットフォーム運動減衰構造801、802、803を備えることができる。前記プラットフォーム運動減衰構造801、802、803は、一般に進水ステップc)の前に、乾燥環境(好ましくは陸上または沈没可能なバージ上)で各サブアセンブリに設置される。
【0138】
有利なことに、各仮設スラストボックス101、102、201、202、301、302には、他のスラストボックスと連結するための結合部700が設けられている。作用的には、
図11、12、および13に示すように、それぞれの結合部700による2つのスラストボックス間の相互接続と水密隔壁(watertight septa)710の使用とにより、セミアームのそれぞれのハウジングシート(収容座)1001を水圧的に隔離する(hydraulically isolated)ことが可能となり、それぞれの2つのセミアームの自由端の間の接合ゾーンに水密(防水)チャンバ701を形成する。
【0139】
図10eおよび
図10fに示すように、仮設スラストボックスを取り外すステップh)は、仮設スラストボックスを下部アームから切り離し、バラストによってそれらを沈める作業(操作)を含むことが好ましい。
【0140】
図7、8b、18、19に示すように、プラットフォーム1は、周縁環状構造100を備えることができ、この周縁環状構造100は、複数の浮き柱110、120、130の少なくとも一部を備える。前記周縁環状構造100の一部を形成する浮き柱の各々は、それらの基部110b付近で、好ましくは、ラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも少なくとも部分的に下で柱間を接続するように配置されている少なくとも2つの下部構造接続アーム111、121、131によって、前記環状構造の一部を形成する少なくとも2つの他の隣接する浮き柱に接続される。前記下部接続アームは、前記周縁環状構造100に構造的連続性を与える。
【0141】
前記サブアセンブリ11、12、13のそれぞれは、前記環状構造の一部を形成する浮き柱110、120、130のうちの少なくとも1つと、各下部接続アーム111、121、131の少なくとも2つのセミアーム111a、111b、121a、121b、131a、131bとを備える。前記セミアームは、すでに柱自体に構造的に一体化されており、そこから片持ち梁状に延びて、それぞれの自由端111a'、111b’、121a’、121b’、131a’、131b’となっている。
【0142】
有利には、前記周縁環状構造100の一部を形成する柱のそれぞれは、少なくとも2つの上部構造接続アーム112、122、132によっても、前記環状構造の一部を形成する少なくとも2つの他の隣接する浮き柱に接続される。前記少なくとも2つの上部構造アーム111、121、131は、それぞれの下部接続アーム111、121、131の高さよりも高い高さで、好ましくはプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも高い位置で柱間を接続している。前記上部接続アームは、前記周縁環状構造100にさらなる構造的連続性を与える。
【0143】
この場合、前記サブアセンブリ11、12、13のそれぞれは、それぞれの上部接続アーム112、122、132の少なくとも2つのセミアーム112a、112b、122a、122b、132a、132bをさらに備える。セミアーム112a、112b、122a、122b、132a、132bは、すでに柱自体に構造的に一体化されており、その柱から、それぞれの自由端112a'、112b’、122a’、122b’、132a’、132b’を有する片持ち梁状に延びている。
【0144】
好ましくは、
図7および
図18に示すように、前述の周縁環状構造100は多角形形状を有し、前記多角形形状の各頂点に前記浮き柱の1つを有する。
【0145】
添付図面に示されていない実施形態によれば、多角形の前述の周縁環状構造100は、前記多角形の辺(側面)に沿って配置された1つまたは複数の浮き柱を備えることができる。
【0146】
図7、8a、および8bに示される実施形態によれば、前記環状構造100は、形状が三角形、好ましくは等辺であり、好ましくは互いに同一である3つの浮き柱110、120、130を備え、これらの浮き柱のそれぞれが、三角形の環状構造の頂点の1つに置かれている。
【0147】
この場合、前記サブアセンブリ11、12、13のそれぞれは、3つの浮き柱110、120、130のうちの1つと、それぞれの下部接続アーム111、121、131の少なくとも2つのセミアーム111a、111b、121a、121b、131aとを備える。これらのセミアームは、すでに柱自体に構造的に一体化されており、そこから片持ち梁状に延び、それぞれの自由端111a’、111b’、121a’、121b’、131a’、131b’を有する。
【0148】
有利なことに、やはり
図7、8a、および8bに示される実施形態によれば、前記周縁環状構造100の一部を形成する3つの柱のそれぞれは、少なくとも2つの上部構造接続アーム112、122、132によって、他の2つの隣接する浮き柱に接続される。上部構造接続アーム112、122、132は、それぞれの下部接続アーム111、121、131の高さよりも高い高さで、好ましくはプラットフォーム自体の進水喫水線LWLより高い位置で、柱間を接続して配置される。
【0149】
この場合、前記3つのサブアセンブリ11、12、13のそれぞれは、それぞれの上部接続アーム112、122、132の少なくとも2つのセミアーム112a、112b、122a、122b、132a、132bをさらに備える。。これらのセミアームは、すでに柱自体に構造的に一体化されており、その柱から片持ち梁状に延び、それぞれの自由端112a'、112b’、122a’、122b’、132a’、132b’を有する。
【0150】
前述の周縁環状構造100は、多角形の形状ではなく、例えば円形または楕円形などの曲線の形状を有していてもよい。
【0151】
図18および
図19に示される実施形態によれば、プラットフォーム1は、前記環状構造によって画定される内部空間に配置され、1つまたは複数の内部下部構造接続アーム141、151、161によって1つまたは複数の浮き柱110、120、130に構造的に接続される少なくとも1つの内部浮き柱140を備えることができる。
【0152】
前記少なくとも1つの内部浮き柱140は、内部下部構造接続アームの少なくとも1つ以上のセミアームを備えるサブアセンブリ14の一部である。
【0153】
有利なことに、内部浮き柱140は、1つ以上の内部上部構造接続アーム142、152、162によっても、前記環状構造100の1つ以上の浮き柱110、120、130に構造的に接続することができる。内部上部構造接続アーム142、152、162は、プラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも上で、それぞれの内部下部接続アーム141、151、161の高さよりも高い高さで、浮き柱間を接続している。
【0154】
この場合、前記少なくとも1つの内部浮き柱140を備えたサブアセンブリ14は、内部上部構造接続アームの少なくとも1つまたは複数のセミアームを備える。
【0155】
あるいは、
図20および
図21に示すように、プラットフォーム1は、前述の周縁環状構造を持たず、前記浮き柱140の1つが星形の中心に配置された星形構造を有することができる。残りの浮き柱110、120、130は、前記中央柱140の周囲に放射状に配置され、内部下部構造アーム141、151、161によって中央柱140に接続されている。これらの内部下部構造アームは、柱と柱との間を、その基部110b、120b、130b、140bの近くで、好ましくは、少なくとも部分的にプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも下方で、接続している。
【0156】
この場合、プラットフォームを分割したサブアセンブリは以下を含む。
【0157】
‐ 前記中央柱140と、それぞれの下部接続アームの複数のセミアームとを備え、前記セミアームは、既に中央柱140自体に構造的に一体化されており、その中央柱から片持ち梁状に延び、それぞれの自由端を有する、中央サブアセンブリ14と、
【0158】
‐ 各々が、放射状に配置された柱110、120、130のうちの少なくとも1つと、それぞれの下部接続アームの少なくとも1つのセミアームとを備える、複数の周囲サブアセンブリ11,12,13。
【0159】
有利なことに、前記中央柱140の周囲に放射状に配置された浮き柱110、120、130は、内部上部構造アーム142、152、162によって中央柱140に接続することもできる。これらのアームは、それぞれの内部下部接続アーム141、151、161の高さよりも高いところで、好ましくはプラットフォーム自体の進水喫水線LWLよりも上で、柱間を接続している。この場合、中央サブアセンブリ14はそれぞれの上部接続アームの複数のセミアームを備える一方、周囲サブアセンブリ11、12、13のそれぞれは、それぞれの上部接続アームの少なくとも1つのセミアームを備える。
【0160】
本発明はいくつかの利点を提供し、そのいくつかはすでに説明された。
【0161】
本発明による海洋半潜水型プラットフォームを建設し進水させる方法は、プラットフォームの最大サイズの観点から現在の実施限界を克服することを可能にし、したがって、プラットフォーム自体の性能に影響を与えることなく、建設時間とコストを大幅に削減することができる。
【0162】
半潜水型プラットフォームが、別々に設置できるセルフフローティングサブアセンブリに分割されているという事実により、プラットフォームを水中で直接組み立てることができる。これにより、プラットフォームの最終的なサイズは、造船所全体のサイズや、輸送、進水、組み立てに適したサイズのバージの入手可能性とはもはや関係がない。
【0163】
本発明による海洋半潜水型プラットフォームを建設し進水させる方法により、実施が簡単で作業上信頼できる方法で、水面下で作業しながら乾燥環境で溶接を行うことができる。
【0164】
したがって、本発明による方法は、以下の点に特徴がある技術的および経済的な好機をつかむことを可能にする。
【0165】
- 構造用鋼サブアセンブリの生産場所の選択における柔軟性。
【0166】
‐ 最終目的地の風力発電所にできるだけ近くに位置することが有利である最終組立現場までの海上による構造サブアセンブリの輸送の容易さ。
【0167】
- サブアセンブリの建設現場で必要とされるスペースの削減。
【0168】
- 組立現場の陸上で必要とされるスペースの削減。
【0169】
- 単一の最終的な浮き部品として完成したとき、長さ数百メートル、重量数千トンの大型の嵩張る構造物の進水に伴う困難性の解消。
【0170】
したがって、このように考案された本発明は、所定の目的を達成する。
【0171】
その実施においては、本発明の保護範囲から逸脱することなく、上で開示したものとは異なる形状および構成をとることもできることは、明らかである。
【0172】
さらに、すべての詳細は技術的に同等の要素で置き換えることができ、必要に応じて任意のサイズ、形状、および材料を使用することができる。
【外国語明細書】