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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077643
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】物品包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/10 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
B65B11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189710
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000142850
【氏名又は名称】株式会社古川製作所
(71)【出願人】
【識別番号】599167249
【氏名又は名称】ベストパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 浩一
(72)【発明者】
【氏名】金井 宥樹
【テーマコード(参考)】
3E051
【Fターム(参考)】
3E051AA03
3E051AB06
3E051AB09
3E051BA01
3E051BA05
3E051DA07
3E051EA03
3E051EB05
3E051FB02
3E051FD03
3E051JA10
(57)【要約】
【課題】シール・カット装置によってフィルムが熱溶着される構成の物品包装装置において、熱により軟化したフィルムのシール・カット装置への付着を防止する。
【解決手段】一対のフィルム18、19の間に挟み込んだ物品11をコンベヤ13で搬送しながら、フィルム18、19どうしの重ね合わせ部をシール・カット装置24にて熱溶着する。フィルム保持装置30が、フィルム12に収容された物品11を載置して搬送するための物品載置搬送装置14との間に、熱溶着された後のフィルム12を挟み込んで保持する。フィルム保持装置30は、物品載置搬送装置14との間にフィルム12を挟み込んだまま、物品載置搬送装置14とともに物品載置搬送装置14の移動方向に移動するとともに、設定距離を移動した後に、物品載置搬送装置14との間におけるフィルム12の挟み込み状態を解消して、移動前の位置に復帰する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部が互いに溶着された上下一対のフィルムの間に挟み込んだ物品をコンベヤで搬送しながら、前記上下一対のフィルムどうしを前記物品以外の個所で重ね合わせて、これら上下一対のフィルムどうしの重ね合わせ部をシールバーにて熱溶着するとともに、裁断することで、前記フィルムを筒状に形成するとともに、前記フィルムにて形成された筒状体の内部に前記物品を包装のために収容させる装置であって、
前記コンベヤにおける前記筒状体に収容された物品を載置して搬送するための物品載置搬送装置との間に前記シーラにて熱溶着された後のフィルムを挟み込んで保持するフィルム保持装置を有し、
フィルム保持装置は、物品載置搬送装置との間にフィルムを挟み込んだまま、物品載置搬送装置とともに物品載置搬送装置の移動方向に移動するように構成されているとともに、設定距離を移動した後に、物品載置搬送装置との間におけるフィルムの挟み込み状態を解消したうえで、移動前の位置に復帰するように構成されていることを特徴とする物品包装装置。
【請求項2】
フィルム保持装置は、物品載置搬送装置の移動力によって移動されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の物品包装装置。
【請求項3】
フィルム保持装置は、ばね力によって移動前の位置へ向かう力が及ぼされているとともに、物品載置搬送装置から前記ばね力に勝る力を受けることで物品載置搬送装置と一緒に物品載置搬送装置の移動方向に移動するように構成されており、かつ物品載置搬送装置との間におけるフィルムの挟み込み状態を解消したときに前記ばね力によって移動前の位置に復帰するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の物品包装装置。
【請求項4】
フィルム保持装置を、物品載置搬送装置との間にシールバーにて熱溶着された後のフィルムを挟み込んで保持する保持位置と、フィルムの挟み込み状態を解消してフィルムを解放させる解放位置との間で移動させるアクチュエータを有することを特徴とする請求項1記載の物品包装装置。
【請求項5】
物品載置搬送装置は、互いに間隔をおいた複数の水平方向のバーが、前記互いに間隔をおいた状態で水平方向に一体に移動するように構成されており、
フィルム保持装置は、物品載置搬送装置との間にフィルムを挟み込んで保持するときに前記バーを収容する収容溝を有して、この収容溝において、前記バーとの間にフィルムを挟み込んで保持するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の物品包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品包装装置に関し、特に、一端部が互いに溶着された上下一対のフィルムの間に挟み込んだブロック肉などの物品をコンベヤで搬送しながら、これら上下一対のフィルムどうしを物品以外の個所で重ね合わせて、前記一対のフィルムどうしの重ね合わせ部の他端部を熱溶着するとともに、裁断し、フィルムを筒状に形成して後工程へ搬送する物品包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特許文献1には、上記した物品包装装置に類似する装置が記載されている。特許文献1の記載の装置においては、水平方向とされた上下一対のフィルムどうしをシールするための、上下に往復運動することで一対のフィルムを間に挟み込む一対のシーラが設けられている。このようなシーラはヒートシールによってシールを行うのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願昭56-005325号(実開昭57-120401号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、本発明のように、シール・カット装置にて一対のフィルムどうしをシールし、裁断した場合、シール・カット装置のヒータ台とシール台(以下、両者を合わせて「シーラ」と記載する場合がある。)を互いに接近、離間する方向に上下動させたときに、ヒータ台のヒータ線の温度、物品の重量、上下一対のフィルムの厚み等の条件によって、裁断された筒状フィルムの端部がシール台に付着したままとなって、先行する筒状のフィルムがコンベヤにより下流側に搬送されることなく、コンベヤだけが空移動してしまうことがある。こうなると、前記の先行する筒状のフィルムと、次の送られてきた後続する筒状のフィルムとが重なりあって、シール・カット装置の噛み込み事故の原因となったりすることがある。特に、物品が軽量の場合に、熱により軟化溶融したフィルム端部のシール台への粘着力が、先行する筒状のフィルムのコンベヤ上での摩擦力(接触力)に勝ってしまうと、先行する筒状のフィルムがその場に留まり、送られてくる後続する筒状のフィルムとが重なり合って、前記のような噛み込み事故が発生して装置故障の原因となることがある。さらに、本発明の物品包装装置は、かなり薄い包装用のフィルムを使用する場合があるので、その意味でもフィルム端部がシール台に溶着しやすくなる。
【0005】
そこで本発明は、このような問題点を解決して、フィルムが熱溶着された後、裁断される構成のシール・カット装置を備えた物品包装装置において、熱により溶融軟化したフィルムがシール台へ付着することを防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため本発明の物品包装装置は、
端部が互いに接続された一対のフィルムの間に挟み込んだ物品をコンベヤで搬送しながら、前記一対のフィルムどうしを前記物品以外の個所で重ね合わせて、これら一対のフィルムどうしの重ね合わせ部をシール台及びヒータ台にて熱溶着することで、前記フィルムを筒状に形成するとともに、前記フィルムにて形成された筒状体の内部に前記物品を包装のために収容させる装置であって、
前記コンベヤにおける前記筒状体に収容された物品を載置して搬送するための物品載置搬送装置との間に前記シール台及びヒータ台にて熱溶着された後のフィルムを挟み込んで保持するフィルム保持装置を有し、
フィルム保持装置は、物品載置搬送装置との間にフィルムを挟み込んだまま、物品載置搬送装置とともに物品載置搬送装置の移動方向に移動するように構成されているとともに、設定距離を移動した後に、物品載置搬送装置との間におけるフィルムの挟み込み状態を解消したうえで、移動前の位置に復帰するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
このような構成であると、フィルム保持装置によって、シーラにて熱溶着された後のフィルムを物品載置搬送装置との間に挟み込んで保持するため、フィルムは物品載置搬送装置と一緒にシーラから離れる方向に移動される。このため、フィルムは強制的にシーラから引き離されることになり、したがってヒータ台から受ける熱により軟化したフィルムがシーラへ付着することが防止され、シールの際に品物がシーラに挟まれることが無い。
【0008】
また、フィルム保持装置が、物品載置搬送装置との間にフィルムを挟み込んだまま、物品載置搬送装置とともに物品載置搬送装置の移動方向に移動するように構成されているため、フィルムを確実に物品載置搬送装置と一緒に移動させてシーラから引き離すことができる。しかも、フィルム保持装置は、設定距離を移動した後に、物品載置搬送装置との間におけるフィルムの挟み込み状態を解消したうえで、移動前の位置に復帰するように構成されているため、次ストロークを支障なく実行することができる。
【0009】
本発明の物品包装装置によると、フィルム保持装置は、物品載置搬送装置の移動力によって移動されるように構成されていることが好適である。
【0010】
このような構成であると、フィルム保持装置を移動させるための特別な動力が不要である。しかも、物品載置搬送装置の移動力によって移動されるように構成されているため、フィルム保持装置を容易に物品載置搬送装置と等速で移動させることができる。
【0011】
本発明の物品包装装置によると、フィルム保持装置は、ばね力によって移動前の位置へ向かう力が及ぼされているとともに、物品載置搬送装置から前記ばね力に勝る力を受けることで物品載置搬送装置と一緒に物品載置搬送装置の移動方向に移動するように構成されており、かつ物品載置搬送装置との間におけるフィルムの挟み込み状態を解消したときに前記ばね力によって移動前の位置に復帰するように構成されていることが好適である。
【0012】
このような構成であると、特別な動力を必要とせずに、ばね力だけによって、移動後のフィルム保持装置を、保持解消位置から移動前位置に復帰させることができる。
【0013】
本発明の物品包装装置によると、フィルム保持装置を、物品載置搬送装置との間にシーラにて熱溶着された後のフィルムを挟み込んで保持する保持位置と、フィルムの挟み込み状態を解消してフィルムを解放させる解放位置との間で移動させるアクチュエータを有することが好適である。
【0014】
このような構成であると、フィルム保持装置を、保持位置と解放位置との双方に確実に位置させることができる。
【0015】
本発明の物品包装装置によると、
物品載置搬送装置は、互いに間隔をおいた複数の水平方向のバーが、前記互いに間隔をおいた状態で水平方向に一体に移動するように構成されており、
フィルム保持装置は、物品載置搬送装置との間にフィルムを挟み込んで保持するときに前記バーを収容する収容溝を有して、この収容溝において、前記バーとの間にフィルムを挟み込んで保持するように構成されていることが好適である。
【0016】
このような構成であると、バーを有する物品載置搬送装置と、バーを収容する収容溝を有したフィルム保持装置との間にフィルム挟み込んで確実に保持することができ、したがってフィルムを支障なく強制的にシーラから引き離すことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の物品包装装置によれば、熱により軟化したフィルムがシーラへ付着することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態の物品包装装置の平面図である。
図2】同物品包装装置の正面図である。
図3】同物品包装装置の立体図である。
図4】同物品包装装置に備えられたシール・カット装置の側面図である。
図5】同物品包装装置に備えられたシール・カット装置の部分正面図である。
図6】同物品包装装置の要部を拡大して示す正面図である。
図7】同物品包装装置の要部を拡大して示す側面図である。
図8】同物品包装装置の動作状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図3は、本発明の実施の形態の物品包装装置を示す。この物品包装装置は、物品としてのブロック肉11を包装のために両端が開口した筒状のフィルム12の内部に収容するものである。ブロック肉11は、コンベヤ13によって水平方向に搬送される。コンベヤ13は、物品載置搬送装置14を有する。物品載置搬送装置14は、互いに間隔をおいた複数の水平方向のバー15、15、・・・が、この互いに間隔をおいた状態で水平方向に一体に移動するように構成されている。詳細には、バー15の一端部および他端部は、それぞれ無端状のチェーン16、16に連結されている。チェーン16はスプロケット17に巻き掛けられている。チェーン16、16が走行することで、ブロック肉11を支持したバー15、15・・・が水平方向に移動して、ブロック肉11の搬送が行われる。
【0020】
図2および図3に示すように、物品載置搬送装置14のバー15よりも上側の位置に向けて、帯状上フィルム18と帯状下フィルム19とが供給されるように構成されている。これらのフィルム18、19は、それぞれロール20、21から繰り出され、帯状下フィルム19は物品載置搬送装置14に上側から被さるように供給される。そして、このように供給された帯状下フィルム19の上に、たとえば作業者によってブロック肉11が載置されると、ブロック肉11は、帯状下フィルム19よりも上側の位置において、帯状下フィルム19とともに物品載置搬送装置14により支持されて水平方向に搬送される。帯状上フィルム18は、このようにして搬送されているブロック肉11の上側から、このブロック肉11に被さるように供給される。
【0021】
コンベヤ13には、図4および図5に示すようなシール・カット装置24が設けられている。シール・カット装置24は上部のヒータ台25と、下部のシール台26とから構成されたシーラを備えている。後述するヒータ台25と、シール台26は帯状のフィルム18、19の幅方向に配置されており、これらのヒータ台25、シール台26がそれぞれ上下方向に移動可能であることによって、上下に重ねられた帯状のフィルム18、19を挟み込んでヒートシールして裁断できるように構成されている。このヒートシール時には、物品載置搬送装置14のチェーン16およびバー15は、間欠停止する。また物品載置搬送装置14には一定ピッチごとにバー15を有しない間隙部27が設けられており、この間隙部27がシール・カット装置24の位置に対応した状態で間欠停止するように制御されることで、シール・カット装置24は、バー15に邪魔されることなしに、ヒータ台25及びシール台26による帯状のフィルム18、19のヒートシール及び裁断ができるようにされている。ヒートシールの際に、フィルム18、19は、ヒータ台25から熱の供給を受けることで、軟化溶融して相互に熱溶着される。
【0022】
図5に示すように、ヒータ台25は、下面にヒータ線を備えた2本の長尺なヒータ台単体25a、から構成されている。ヒータ台単体25aとヒータ台単体25bとの間には、フィルム18、19を裁断する際に、後述するカットナイフ26Aが入り込むスリット25cが設けられている。なお、ヒータ台25の両側には、ヒートシールの際に、フィルム18、19を押えるためのスプリングを備えたフィルム押えバー25eを備えている。
シール台26は、上面にゴム板26eを設けた2本の長尺なシール台単体26a、26bから構成されている。なお、前記ゴム板26eにヒータ台25の熱が蓄積し、溶融したフィルム12がヒータ台25に付着する原因となる。シール台単体26aとシール台単体26bの間には、カットナイフ26Aが上下にスライド可能に嵌め込まれている。このカットナイフ26Aの下部は、エアシリンダ26cが接合し、エアシリンダ26cのロットが伸長することによりカットナイフ26Aの先端がシール台26の上部から突き出て、ヒータ台25と、シール台26に挟まれているフィルム18、19を裁断する。
【0023】
シール・カット装置24の下部には、駆動軸24Aが軸支され、この駆動軸24Aの両側部にヒータ台用のクランク機構25Aが設けられ、クランク機構25Aの内側にはシール台用のクランク機構26Bが設けられている。ヒータ台用のクランク機構25Aとヒータ台25はヒータ台用の昇降軸25dで連結され、シール台用のクランク機構26Bとシール台26はシール台用の昇降軸26dで連結されている。駆動軸24Aの回転により、クランク機構25A、26B、昇降軸25d、26dを介してヒータ台25とシール台26が接近、離間する方向に昇降動する。
【0024】
ヒータ台25とシール台26による熱溶着によって、先行するブロック肉11の帯状のフィルム18、19の後端部がヒートシールされるとともに、後続するブロック肉11の帯状のフィルム18、19の前端部どうしがヒートシールされる。それと同時に、先行する帯状のフィルム18、19の後端部と、後続する帯状のフィルム18、19の前端部との境をカットナイフ26Aで裁断する。そして、間欠停止していたコンベヤ13が再起動することで、筒状に形成されたフィルム12の内部に包装されたブロック肉11は、ワンピッチ分下流に向けて搬送される。このような動作を繰り返すことにより、ブロック肉11は、筒状体の態様に形成されたフィルム12の内部に包装されて、コンベヤ13で下流側に次々に搬送される。
【0025】
次の工程へ向けて搬出される状態では、筒状に形成されたフィルム12は、帯状のフィルム18、19の幅方向に沿った両端が開口されている。次の工程では、たとえば、この開口端を利用して筒状に形成されたフィルム12の内部の空気を真空チャンバー内(図示せず)で吸引し、その後に開口端をヒートシールすれば、ブロック肉11をフィルム12によって真空包装することができる。
【0026】
図1図3に示すように、本発明の物品包装装置においては、シール・カット装置24の下流側にフィルム保持装置30が設けられている。このフィルム保持装置30は、コンベヤ13の物品載置搬送装置14のバー15との間にフィルム12の端部を挟み込むことができる保持部材31を、図1に示すようにコンベヤ13の一方側方および他方側方にそれぞれ設置した構成とされている。以下、片方の保持部材31に着目して説明する。
【0027】
図6に詳しく示すように、コンベヤ13の側方におけるコンベヤ13の搬送方向に距離をおいた一対の位置には、それぞれ支持ブロック32、32が設置されている。これらの支持ブロック32、32に、コンベヤ13の搬送方向に沿って水平に配置された第1ガイドバー33が軸心まわりに回転自在に支持されている。第1ガイドバー33は、その一端および他端に支持ブロック32、32からの突出部34、34をそれぞれ有し、これらの突出部34、34に、それぞれレバー35、35の基端が固定されている。レバー35、35は、第1ガイドバー33から第1ガイドバー33の径方向でそれぞれ同一方向に延びる姿勢で、突出部34、34に固定されている。そして、一対のレバー35、35の先端部どうしの間には、第2ガイドバー36がわたされている。第2ガイドバー36は、第1ガイドバー33から離れた位置において、第1ガイドバー33と平行に配置されている。第2ガイドバー36の一端および他端は、一方および他方のレバー35、35の先端部にそれぞれ固定されている。
【0028】
第1ガイドバー33と第2ガイドバー36とによって、アーム37が支持されている。アーム37は、その基端側に第1ブッシュ38と第2ブッシュ39とを有する。第1ブッシュ38は、第1ガイドバー33に外嵌めされるとともに、第1ガイドバー33の長さ方向にスライド自在である。第2ブッシュ39は、第2ガイドバー36に外嵌めされるとともに、第2ガイドバー36の長さ方向にスライド自在である。その結果、アーム37は、第1ガイドバー33および第2ガイドバー36に案内されながら、第1ガイドバー33および第2ガイドバー36に沿って、第1ガイドバー33および第2ガイドバー36の長さ方向に往復移動可能とされている。
【0029】
保持部材31は、取付けねじ40によって、アーム37の先端側に取り付けられている。アーム37の第2ブッシュ39と、コンベヤ13の搬送方向に沿った下流側のレバー35との間には、圧縮コイルばね41が、第2ガイドバー36に外嵌めされた状態で設けられている。図6では、圧縮コイルばね41は、所定長さの一対が直列に配置されたものが例示されている。これは、アーム37の比較的長めの移動ストロークに対応したものである。なお、圧縮コイルばね41は、アーム37の移動ストロークなどに応じて任意の形態で設置することができる。たとえば図1では、圧縮コイルばね41は、単一の部材として概念的に描かれている。
【0030】
アーム37の第2ブッシュ39と、コンベヤ13の搬送方向に沿った上流側のレバー35との間には、スラストブッシュ42が、第2ガイドバー36に外嵌めされた状態で設けられている。スラストブッシュ42は、第2ガイドバー36に外嵌め固定されたカラー43によってスラスト方向に位置決めされるとともに、第2ブッシュ39が圧縮コイルばね41の作用によってスラストブッシュ42に当たったときにクッション作用を発揮するようにされている。
【0031】
図7に詳しく示すように、コンベヤ13の搬送方向に沿った下流側のレバー35には、第1ガイドバー33を間に挟んで第2ガイドバー36と反対側に延びるレバー構造の操作部45が一体に形成されている。操作部45の先端には、アクチュエータとしてのエアシリンダなどのシリンダ装置46の動作端47が接続されている。このため、シリンダ装置46が伸縮することで、レバー35および第1ガイドバー33が軸心まわりに約90度の範囲で一方向および逆方向に回転する。すると、それに応じて、第2ガイドバー36およびアーム37も第1ガイドバー33の軸心まわりに約90度の範囲で一方向および逆方向に回転する。
【0032】
このようにアーム37が約90度の範囲で回転することで、アーム37に取り付けられた保持部材31は、図7および図8において仮想線で示し、かつ図6において実線で示す立ち上がった解放位置50と、図1図7図8において実線で示す倒れた保持位置51との間で、位置の切り替えが行われる。図8に詳しく示すように、保持部材31は、厚板構造で、その中央に収容溝48が長さ方向にわたって形成されており、保持位置51となったときに収容溝48に物品支持搬送装置14のバー15が入り込むように構成されている。
【0033】
詳しくは、図8に示すように、バー15によってフィルム12が支持されているときに保持部材31が保持位置51になると、フィルム12が収容溝48とバー15との間に挟み込まれて保持されるように構成されている。収容溝48は、バー15の収容とそれに伴うフィルム12の保持とを容易に行うことができるように、その横断面形状が、溝底が上底すなわち短辺となり、溝開口が下底すなわち長辺となる台形状に形成されている。また保持部材31は、保持位置51となってバー15を収容し、収容したバー15との間でフィルム12を挟み込んで保持したときに、厚板構造の保持部材31のエッジがフィルム12と干渉しないように、図8で示されるような面取部49を形成することもできる。なお、保持部材31のサイズや複数のバー15のピッチなどに応じて、収容溝48は、図示のような単数のほかに、複数形成されていても差し支えない。
【0034】
バー15は、金属製である。保持部材31は、樹脂製のフィルム12に傷をつけることなく、このフィルム12を金属製のバー15との間に挟み込むことが必要である。このため保持部材31は、樹脂製であることが好ましい。
【0035】
このような構成において、図2に示すようにヒータ台25と、シール台26が互いに接近し、両者の間に帯状上フィルム18と帯状下フィルム19とをブロック肉11の存在しない部分において挟み込んでヒートシールの工程が開始されるとともに、図2では図示を省略したカットナイフ26Aによりフィルム18、19が裁断される。このヒートシールと裁断工程が終了するまでの間に、それまでシリンダ装置46の伸長動作により立ち上がった解放位置50に保持されていたフィルム保持装置30の保持部材31が、シリンダ装置46の短縮動作によって、図1、7、8に示す保持位置51に位置変更される。すると、図8に示すように、保持部材31とバー15との間にフィルム12が挟み込まれて保持される。このフィルム12の保持は、図1に示すように、一対の保持部材31、31によって、フィルムの一端側と他端側とにおいて行われる。
【0036】
ヒートシールと裁断工程が完了すると、ヒータ台25と、シール台26が上下方向に離間し、コンベヤ13と干渉しない位置まで退避する。ヒータ台25と、シール台26の退避を受けてコンベヤ13が再起動し、物品載置搬送装置14上に載置されたブロック肉11を包んだ円筒状のフィルム12がシール・カット装置24から離れるように搬送が行われる。
【0037】
すると、フィルム保持装置30は、図8に示すように物品載置搬送装置14のバー15を収容溝48に収容した状態にあるため、物品載置搬送装置14からの搬送力すなわち移動力を受けて、保持部材31が、バー15との間にフィルム12を挟み込んで保持した状態のまま、バー15と一体的に移動する。このとき、アーム37の第2ブッシュ39が圧縮コイルばね41を圧縮方向に押すことになり、圧縮コイルばね41からの反発力を受けることになるが、この反発力よりも物品載置搬送装置14からの搬送力の方が強いため、上記のように保持部材31はバー15と一体的に移動することになる。
【0038】
これにより、保持部材31を支持したアーム37は、第1ブッシュ38および第2ブッシュ39を介して、第1ガイドバー33および第2ガイドバー36に沿って移動する。このとき、圧縮コイルばね41は、圧縮力を受けて圧縮変形される。
【0039】
その結果、保持部材31とバー15との間に挟まれたフィルム12も一体的に移動される。すると、フィルム12の端部は、強制的に、シール・カット装置24のシール台26から引き離され、シール台26に融着するなどの事態の発生が確実に防止され、融着などによりヒータ台25やシール台26によるブロック肉11の噛み込みによる装置の破損の発生を防止することができる。これにより、図示の物品包装装置を円滑に運転し続けることができる。
【0040】
フィルム12の端部が確実にシール・カット装置24のシール台26から引き離される距離すなわち特定の設定距離まで保持部材31が移動したなら、何らかの手段によってそのことを検知する。その検知の手法は任意である。たとえば保持部材31が到達位置に達したことを近接センサや光学的なセンサにて検知することが最も簡便であるし、他の手法を採用することもできる。
【0041】
その検知が行われたなら、シリンダ装置46を作動させることで、保持部材31を、フィルム12を保持していた保持位置51から解放位置50へ移動させる。すると、フィルム保持装置30は、もはや物品載置搬送装置14のバー15からの搬送力を受けなくなり、アーム37は、圧縮されていたばね41の反発力だけを受けることになる。その結果、アーム37および保持部材31は、バー15によって移動される前の元の位置に復帰される。このとき、圧縮コイルばね41の作用によってアーム37および保持部材31に大きな復帰力が働くことがあり得るが、過剰な力はスラストブッシュ42により受け止められて吸収される。
【0042】
上記においては「ばね」の形態例として圧縮コイルばね41を示した。しかし、上述したばねの機能を発揮するのであれば、他の任意のばねを用いることが可能である。また、ばね以外の任意の復帰手段を活用することも可能である。
【0043】
なお、前記実施例では、フィルム12の端部がシール・カット装置24のシール台26から引き離される事例を記載したが、ヒータ台25から引き離される事例は記載していない。これは、図5に示すように、ヒータ台25には、フィルム押えバー25eを備えているので、仮に、溶融したフィルム12がヒータ台25に付着した場合でもフィルム押えバー25eに備えられたスプリングの力により引き離される。従って、フィルム押えバー25eを備えていないシール・カット装置24を装備した物品包装装置の場合は、フィルム12がヒータ台25に付着する場合もありえるが、前記フィルム保持装置30はこのような物品包装装置にも有効であるので、フィルム保持装置30の引き離しはシール台26の付着に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0044】
11 ブロック肉
12 フィルム
13 コンベヤ
14 物品載置搬送装置
15 バー
18 帯状上フィルム
19 帯状下フィルム
24 シール・カット装置
25 ヒータ台
26 シール台
30 フィルム保持装置
31 保持部材
37 アーム
41 圧縮コイルばね
46 シリンダ装置(アクチュエータ)
48 収容溝
50 解放位置
51 保持位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8