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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077647
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】動力作業機
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240603BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25F5/00 G
B25F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189715
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】力石 真
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA20
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA01
3C064BA06
3C064BA14
3C064BB78
3C064BB83
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA27
3C064CA29
3C064CA60
3C064CA61
3C064CB11
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB32
3C064CB36
3C064CB61
3C064CB72
3C064CB83
3C064CB84
(57)【要約】
【課題】導光棒の始端面から終端面までの光量のロスを抑制し、照射領域を明るく照らすことができる動力作業機が必要とされている。
【解決手段】動力作業機1は、本体ハウジング11に収容されるLED31を有する。動力作業機1は、LED31に対向する第1始端面32aを備え、かつ第1始端面32aから入射された光を第1終端面32cまで導いて第1終端面32cから光を照射させる第1導光棒32を有する。動力作業機1は、LED31に対向する第2始端面35aを備え、かつ第2始端面35aから入射された光を第2終端面35cまで導いて第2終端面35cから光を照射させる第2導光棒35を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力作業機であって、
本体ハウジングに収容される光源と、
前記光源に対向する第1始端面を備え、かつ前記第1始端面から入射された光を第1終端面まで導いて前記第1終端面から光を照射させる第1導光棒と、
前記光源に対向する第2始端面を備え、かつ前記第2始端面から入射された光を第2終端面まで導いて前記第2終端面から光を照射させる第2導光棒を有する動力作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の動力作業機であって、
前記第1導光棒と前記第2導光棒の少なくとも1つは、全長に渡って柱状であり、かつ少なくとも一部が湾曲状である湾曲部を含む動力作業機。
【請求項3】
請求項2に記載の動力作業機であって、
前記本体ハウジングは、電動モータを収容するように筒状であり、
前記第1導光棒または前記第2導光棒の前記湾曲部は、前記本体ハウジングの内周面に沿って周方向に延びる動力作業機。
【請求項4】
請求項2または3に記載の動力作業機であって、
前記本体ハウジングに収容された電動モータを有し、
前記第1導光棒または前記第2導光棒の前記湾曲部は、前記電動モータのモータ軸線と直交する仮想平面に沿って湾曲する第1湾曲部と、前記仮想平面から前記モータ軸線に沿った方向に湾曲する第2湾曲部を含む動力作業機。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1つに記載の動力作業機であって、
前記第1導光棒または前記第2導光棒は、前記本体ハウジングに取付けられる取付座を有し、
前記取付座は、前記湾曲部の外周湾曲面から離間した前記湾曲部の側面に設けられる動力作業機。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の動力作業機であって、
前記光源を含む光源装置の光発射端面と、前記第1導光棒の前記第1始端面との間に第1スペースが設けられ、
前記光源装置の前記光発射端面と、前記第2導光棒の前記第2始端面との間に第2スペースが設けられている動力作業機。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の動力作業機であって、
前記本体ハウジングは、相互に組付けられる第1ハウジングと第2ハウジングを含み、
前記光源は前記第1ハウジングに取付けられ、前記第1導光棒と前記第2導光棒は前記第2ハウジングに取付けられる動力作業機。
【請求項8】
請求項7に記載の動力作業機であって、
前記第1ハウジングには、電源と、前記電源から延出する配線と、前記配線に接続される前記光源が取付けられ、
前記第2ハウジングには、前記配線に接続される電気部品が設けられていない動力作業機。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つに記載の動力作業機であって、
前記本体ハウジングに収容される電動モータと、
前記電動モータから延出する出力軸と、
前記出力軸によって回転して前記電動モータを冷却する風を生じる冷却ファンを有し、
前記電動モータと前記冷却ファンの間でかつ前記本体ハウジング内に、前記光源が配設される動力作業機。
【請求項10】
請求項9に記載の動力作業機であって、
前記冷却ファンと対向する前記本体ハウジングの内周面には、前記冷却ファンを越えて延出する溝が設けられ、前記溝に前記第1導光棒または/および前記第2導光棒が挿通される動力作業機。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の動力作業機であって、
前記第1導光棒の前記第1始端面と前記第2導光棒の前記第2始端面は、相互に隣接し、かつ同一仮想平面上または平行に位置し、
前記第1導光棒の前記第1終端面と前記第2導光棒の前記第2終端面は、相互に離間している動力作業機。
【請求項12】
請求項11に記載の動力作業機であって、
前記第1始端面を含む前記第1導光棒の第1始端部と前記第2始端面を含む前記第2導光棒の第2始端部が横並びで一体に結合された動力作業機。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載の動力作業機であって、
前記第1導光棒および前記第2導光棒は、1mmあたりの光透過率が80%以上の単一材料で形成される動力作業機。
【請求項14】
動力作業機であって、
本体ハウジングに収容される光源と、
前記光源に対向する第1始端面を備え、かつ前記第1始端面から入射された光を第1終端面まで導いて前記第1終端面から光を照射させる第1導光棒を有し、
前記本体ハウジングは、電動モータを収容するように筒状であり、相互に組付けられる第1ハウジングと第2ハウジングを含み、
前記第1導光棒は、全長に渡って柱状であり、かつ少なくとも一部が湾曲状である湾曲部を含み、
前記第1導光棒の前記湾曲部は、前記本体ハウジングの内周面に沿って周方向に延び、
前記光源は前記第1ハウジングに取付けられ、前記第1導光棒は前記第2ハウジングに取付けられ、
前記光源を含む光源装置の光発射端面と、前記第1導光棒の前記第1始端面との間に第1スペースが設けられる動力作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば木材等の被加工材の切削加工に用いられる動力作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばルータやトリマ(英語表記:Laminate Trimmer)と称される動力作業機は、主として木材等の被加工材に端縁加工や溝切り加工等の切削加工を行う際に用いられる。この種の動力作業機は、駆動源としての電動モータと、電動モータの駆動力によって回転する出力軸と、被加工材の上面に当接されるベースを有する。出力軸は、電動モータの下方からベースの下面に対して鉛直方向に延出する。出力軸の先端に取付けた刃具を、ベースから下方に突き出させた状態で出力軸回りに回転させつつ被加工材の端縁や上面等に押し付ける。これにより被加工材の切削加工を行うことができる。
【0003】
動力作業機は、被加工材に切り込まれる刃具の先端の視認性や、被加工材に描かれたスミ線と刃具の先端との位置合わせをする際の視認性を向上するために照明装置を備えている。特許文献1には、LEDを備えた2組の照明装置を有する動力作業機が開示されている。各照明装置は、それぞれユニット化されており、電動モータを収容するハウジング内に設けられる。各照明装置は、上方から下方のベースへ向けて刃具が下降して切り込まれる領域を照射する。各照明装置は、互いに離間した位置、例えば出力軸に対して左右対称に所定距離離れた位置に設けられる。
【0004】
引用文献1に記載されるように従来の動力作業機に設けられるユニット化された照明装置は、LEDを1つずつ備える必要があった。しかも各照明装置は、硬質の合成樹脂等を用いてユニット化されている。そのため各照明装置の形状を大きく変更することが難しい。したがって、例えば動力作業機のコンパクト化が求められてハウジング内のスペースを小さくする際、2つの照明装置を狭小なスペースに合わせて形状を変更することは困難であった。
【0005】
引用文献2には、軟質のアクリル樹脂製の導光棒を用いて1つのLEDの照射光を照射領域へ導光する構造が開示されている。LEDは、導光棒の1つの先端面(始端面)に向けて発光する。導光棒は、延出する途中で複数本の分岐導光棒に枝分かれする。分岐導光棒の各終端面は、例えば被加工材と当接する先端工具の先端周辺を照射する。LEDを1つ設けるだけで良く、導光棒の形状を例えばハウジングの外形に沿った形状に変更可能である。
【0006】
しかしながら引用文献2に記載される導光棒の場合、特に枝分かれ部分において光量のロスが多く、各終端面における照射光の光量が低減してしまう場合があった。導光棒を単にY字状に分岐する場合、分岐の付け根部分から導光棒の外へ光が漏出してしまう。一方、分岐部分での光量のロスを抑制しようとする場合、分岐部分の周囲の形状が複雑になり、導光棒を形成する金型の形状も複雑になる。そのためコストアップに繋がってしまう。また、複雑な形状の導光棒を工具本体に取り付けるためには所定のスペースが必要であり、例えばハウジング内の限られたスペースに収容することが難しい。そのため、動力作業機のさらなるコンパクト化のために改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-337073号公報
【特許文献2】特開2011-167796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって導光棒の始端面から終端面までの光量のロスを抑制し、照射領域を明るく照らすことができる動力作業機が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一つの特徴によると動力作業機は、本体ハウジングに収容される光源を有する。動力作業機は、光源に対向する第1始端面を備え、かつ第1始端面から入射された光を第1終端面まで導いて第1終端面から光を照射させる第1導光棒を有する。動力作業機は、光源に対向する第2始端面を備え、かつ第2始端面から入射された光を第2終端面まで導いて第2終端面から光を照射させる第2導光棒を有する。
【0010】
したがって光源の発光は、第1始端面から第1導光棒内に直接進入し、かつ第2始端面から第2導光棒内に直接進入する。第1導光棒は、受光面である第1始端面から発光面である第1終端面まで枝分かれすることなく設けられる。第2導光棒は、受光面である第2始端面から発光面である第2終端面まで枝分かれすることなく設けられる。これにより第1始端面から第1終端面までの光量のロスを抑制でき、かつ第2始端面から第2終端面までの光量のロスを抑制できる。しかも第1終端面と第2終端面の2箇所から照射領域を照射できる。かくして第1導光棒および第2導光棒を通る光量のロスを抑制できかつ照射領域を明るく照らすことができる。
【0011】
また、第1導光棒と第2導光棒をそれぞれ独立した形状で設けることができる。そのため第1導光棒と第2導光棒の形状の自由度と取付姿勢の自由度が高くなる。これにより第1導光棒と第2導光棒を本体ハウジング内の限られたスペースに配設でき、かつ第1導光棒と第2導光棒を形成する金型のコストアップを抑制できる。また、光源の数を少なくできるため、本体ハウジングのコンパクト化を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の第1実施例に係る動力作業機の全体斜視図である。
図2】動力作業機の後面図である。
図3】動力作業機の左側面図である。
図4図3中IV-IV線断面矢視図であって動力作業機の縦断面図である。
図5図2中V-V線断面矢視図であって動力作業機の縦断面図である。
図6図2中VI-VI線断面矢視図であって動力作業機の横断面図である。
図7】ベースを外した状態の動力作業機の下面図である。
図8】第1導光棒と第2導光棒の斜視図である。
図9】モータハウジングの右半割部とブラケットと第1導光棒と第2導光棒との組付け状態を示す一部縦断面を含む斜視図である。
図10】モータハウジングの左半割部とブラケットと第1導光棒と第2導光棒との組付け状態を示す一部縦断面を含む拡大斜視図である。
図11】光源装置と第1導光棒と第2導光棒の後面図である。
図12】ブラケットと第1導光棒と第2導光棒の上面図である。
図13】第2実施例に係る第1導光棒と第2導光棒の後面図である。
図14】第2実施例に係る第1導光棒と第2導光棒の上面図である。
図15】比較例の導光棒を示す後面図である。
図16】比較例の導光棒を示す上面図である。
図17】第1実施例に係る第1導光棒と第2導光棒で照射領域を照射した場合を示す図である。
図18】比較例に係る導光棒で照射領域を照射した場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の他の特徴によると第1導光棒と第2導光棒の少なくとも1つは、全長に渡って柱状であり、かつ少なくとも一部が湾曲状である湾曲部を含む。したがって湾曲部を設けることで、第1始端面と第2始端面の配置や向きの自由度が高くなり、かつ第1終端面と第2終端面の配置や向きの自由度が高くなる。そのため第1導光棒と第2導光棒を大型化することなく、第1始端面、第2始端面および光源の配置変更等に容易に対応できる。また、第1導光棒と第2導光棒を大型化することなく、第1終端面と第2終端面の照射領域までの距離、照射角度の設計変更等に容易に対応できる。
【0014】
本開示の他の特徴によると本体ハウジングは、電動モータを収容するように筒状である。第1導光棒または第2導光棒の湾曲部は、本体ハウジングの内周面に沿って周方向に延びる。したがって本体ハウジングの大型化を抑制しながら、第1導光棒または第2導光棒を本体ハウジング内に収容できる。
【0015】
本開示の他の特徴によると動力作業機は、本体ハウジングに収容された電動モータを有する。第1導光棒または第2導光棒の湾曲部は、電動モータのモータ軸線と直交する仮想平面に沿って湾曲する第1湾曲部と、仮想平面からモータ軸線に沿った方向に湾曲する第2湾曲部を含む。したがって本体ハウジングを大型化することなく、電動モータを収容する形状を利用して、第1湾曲部を本体ハウジングに収容できる。また、本体ハウジングを大型化することなく、モータ軸線方向に延出する電動モータの出力軸を収容する形状を利用して、第2湾曲部を本体ハウジングに収容できる。かくして本体ハウジングの大型化を抑制できる。
【0016】
本開示の他の特徴によると第1導光棒または第2導光棒は、本体ハウジングに取付けられる取付座を有する。取付座は、湾曲部の外周湾曲面から離間した湾曲部の側面に設けられる。したがって取付座を光の経路から離間した場所に設けることができる。外周湾曲面は、第1導光棒内と第2導光棒内を進む光の反射面として光の経路上に位置する。仮に取付座を外周湾曲面に設けた場合、光が外周湾曲面から取付座へ進入し易い。そのため光量がロスしてしまう。取付座を光の経路上の外周湾曲面から離間させることで光量のロスを抑制できる。
【0017】
本開示の他の特徴によると光源を含む光源装置の光発射端面と、第1導光棒の第1始端面との間に第1スペースが設けられる。光源装置の光発射端面と、第2導光棒の第2始端面との間に第2スペースが設けられている。したがって動力作業機を組付ける時、あるいは動作時に振動が発生する時において、光発射端面と第1始端面と第2始端面が傷つくことを抑制できる。これにより第1導光棒と第2導光棒と光発射端面の光透過性が低減してしまうことを抑制できる。また、第1スペースと第2スペースを確保することで光源装置の形状の制約が少なくなる。そのため汎用的な光源装置を利用できる。
【0018】
本開示の他の特徴によると本体ハウジングは、相互に組付けられる第1ハウジングと第2ハウジングを含む。光源は第1ハウジングに取付けられる。第1導光棒と第2導光棒は第2ハウジングに取付けられる。したがって第1ハウジングと第2ハウジングを相互に組付けることで、光源と第1導光棒と第2導光棒を調整することなく相互に位置決めできる。そのため光源と第1導光棒と第2導光棒の組付け性を向上させることができる。
【0019】
本開示の他の特徴によると第1ハウジングには、電源と、電源から延出する配線と、配線に接続される光源が取付けられる。第2ハウジングには、配線に接続される電気部品が設けられていない。したがって光源を含む電気部品を第1ハウジング側にまとめることで、配線を第2ハウジングに設ける必要がない。そのため、先ず第1ハウジングに光源を含む電気部品と配線を組付け、第2ハウジングに第1導光棒と第2導光棒を組付ける。その後に第1ハウジングと第2ハウジングを相互に組付ける。これにより本体ハウジングの組付け性を向上させることができる。
【0020】
本開示の他の特徴によると動力作業機は、本体ハウジングに収容される電動モータを有する。動力作業機は、電動モータから延出する出力軸を有する。動力作業機は、出力軸によって回転して電動モータを冷却する風を生じる冷却ファンを有する。電動モータと冷却ファンの間でかつ本体ハウジング内に、光源が配設される。したがって光源は、電動モータと冷却ファンの間の空いたスペースに収容され、かつ冷却ファンよりも、電動モータと電気的に接続される電源に近い位置に配設される。そのため冷却ファンの近くに光源へ電力供給する配線が配設されることを抑制できる。これにより冷却ファンの周囲における本体ハウジングの大型化を抑制できる。
【0021】
本開示の他の特徴によると冷却ファンと対向する本体ハウジングの内周面には、冷却ファンを越えて延出する溝が設けられ、溝に第1導光棒または/および第2導光棒が挿通される。したがって本体ハウジングの大型化を抑制しながら、冷却ファンの径方向外方を跨いで第1導光棒または/および第2導光棒を配設できる。また、第1導光棒の第1始端面に近い領域または/および第2導光棒の第2始端面に近い領域を溝で位置決めできる。そのため第1導光棒または/および第2導光棒の組付け性を向上させることができる。
【0022】
本開示の他の特徴によると第1導光棒の第1始端面と第2導光棒の第2始端面は、相互に隣接し、かつ同一仮想平面上または平行に位置する。第1導光棒の第1終端面と第2導光棒の第2終端面は、相互に離間している。したがって1箇所に設けられた光源の近くに第1始端面と第2始端面をまとめて配設できる。そのため光源の周囲をコンパクトにすることができる。また、第1終端面と第2終端面を相互に離間させることで、照射領域に陰影が生じることを抑制できる。そのため照射領域の視認性を向上させることができる。
【0023】
本開示の他の特徴によると第1始端面を含む第1導光棒の第1始端部と第2始端面を含む第2導光棒の第2始端部が横並びで一体に結合される。したがって部品点数を減らすことで、第1導光棒と第2導光棒を形成する金型の点数を少なくすることができる。そのため製造コストを抑制できる。また、組付け時において、第1導光棒と第2導光棒の相互の位置関係を調整する手間を抑制できる。そのため第1導光棒と第2導光棒の組付け性を向上させることができる。
【0024】
本開示の他の特徴によると第1導光棒および第2導光棒は、1mmあたりの光透過率が80%以上の単一材料で形成される。したがって高い光透過率によって、第1導光棒の第1始端面から第1終端面まで、および第2導光棒の第2始端面から第2終端面までの光量のロスを抑制できる。しかも単一材料で形成することで、製造コストを抑制でき、かつ光の経路をシミュレーションし易いため設計変更に容易に対応できる。
【0025】
本開示の他の特徴によると動力作業機は、本体ハウジングに収容される光源を有する。動力作業機は、光源に対向する第1始端面を備え、かつ第1始端面から入射された光を第1終端面まで導いて第1終端面から光を照射させる第1導光棒を有する。本体ハウジングは、電動モータを収容するように筒状であり、相互に組付けられる第1ハウジングと第2ハウジングを含む。第1導光棒は、全長に渡って柱状であり、かつ少なくとも一部が湾曲状である湾曲部を含む。第1導光棒の湾曲部は、本体ハウジングの内周面に沿って周方向に延びる。光源は第1ハウジングに取付けられ、第1導光棒は第2ハウジングに取付けられる。光源を含む光源装置の光発射端面と、第1導光棒の第1始端面との間に第1スペースが設けられる。
【0026】
したがって光源の発光は、第1始端面から第1導光棒内に直接進入し、枝分かれしない第1導光棒を通って第1終端面まで送られる。そのため第1始端面から第1終端面までの光量のロスを抑制できる。湾曲部を設けることで、第1導光棒を大型化することなく第1始端面と第1終端面の配置や向きを自由に変更できる。湾曲部を内周面に沿わせることで、本体ハウジングの大型化を抑制しながら第1導光棒を本体ハウジング内に収容できる。第1ハウジングと第2ハウジングを相互に組付けることで、光源と第1導光棒を調整することなく相互に位置決めできる。そのため光源と第1導光棒の組付け性を向上させることができる。第1スペースを設けることで、動力作業機の組付時や動作の際の振動時に、光発射端面と第1始端面が傷つくことを抑制できる。これにより第1導光棒と光発射端面の光透過性が低減してしまうことを抑制できる。また、第1スペースを確保することで光源装置の形状の制約が少なくなる。そのため汎用的な光源装置を利用できる。
【0027】
次に、本開示の1つの実施例を図1~12に基づいて説明する。本実施例では動力作業機の一例として、いわゆるルータと称される動力作業機1を例示する。動力作業機1は、後述する窓部3eを有する(図3参照)。使用者は、窓部3eを反使用者側に向けた姿勢で動力作業機1を把持する。以下の説明では、窓部3eがある方を前側とし、窓部3cがある反対側を後側とする。上下左右方向については動力作業機1の後側(図3において右側)に位置する作業者から見た方向で規定する。図1~3に示すように動力作業機1は、被加工材Wの上面に当接する円盤状のベース2と、ベース2の上方でベース2に連結される本体支持部3と、本体支持部3に上下に移動可能に支持される工具本体10を有する。工具本体10の本体ハウジング11には、駆動源としての電動モータ20(図4参照)が収容される。
【0028】
図4,6,9,10に示すように本体ハウジング11は、樹脂製で左右半割構造のモータハウジング(第1ハウジング)12と、樹脂製でモータハウジング12の外周を覆うブラケット(第2ハウジング)16を有する。左右に分離したモータハウジング12の右半割部12bが図9に示され、左半割部12aの一部が図10に示されている。モータハウジング12は、下部において円筒形状の円筒部12iと、円筒部12iの上方で側方へ膨出する膨出部12jを有する。ブラケット16は、円筒部12iの外周を覆う円筒形状に形成される。
【0029】
図1,4,5に示すように本体支持部3は、ベース2と連結される円筒状のベース連結部3aと、ベース連結部3aの上方でブラケット16の外周を覆う略円筒形状の円筒部3bを有する。ベース連結部3aは、上下方向の厚みが薄く、ベース2と略同じ厚みで形成される。ベース2には、上下方向に貫通する円形の透孔2a,2bが設けられる。透孔2aは、ベース2の中央において後述する先端刃具22が通過可能な径で設けられる。透孔2bは、透孔2aの周囲に複数個設けられ、例えば周方向に60°の等角度間隔で6個設けられる。透孔2a,2bは、ベース連結部3aから上方へ露出する。
【0030】
図1~3に示すように円筒部3bの後部には、円筒部3bの内部を視認可能に開口した窓部3cが設けられる。円筒部3bの前部には、円筒部3bの内部を視認可能に開口した窓部3eが設けられる。作業者は窓部3c,3eを覗くことで、先端刃具22および透孔2a,2bを含むベース2を外方から視認することができる。円筒部3bの左右側部には、左右外方に向けて略水平に張出した左右一対のグリップ支持部3dが設けられる。各グリップ支持部3dには、グリップ6が装着される。グリップ6は、グリップ支持部3dに連結される略円柱状のアーム部6aと、アーム部6aの先端に設けられる把持部6bを有する。把持部6bは、前方から後方に向けて下方へ傾斜しかつ傾斜方向に長手方向を有している。作業者は、左右一対の把持部6bをそれぞれ把持して、動力作業機1を被加工材Wの上面に沿って水平に移動させることができる。
【0031】
図3,6に示すように円筒部3bの前部には、ロックレバー4が開閉可能に設けられる。ロックレバー4が開いている場合、本体ハウジング11は本体支持部3に対して上下に移動可能である。本体ハウジング11を上下動させることで、被加工材Wに対する先端刃具22の切り込み深さを変更可能である。図に示すようにロックレバー4を閉じた場合、本体ハウジング11は本体支持部3に対して上下に移動させた所定の高さで固定される。
【0032】
図4,5に示すように本体支持部3の上方かつモータハウジング12の膨出部12jの下方には、本体ハウジング11の高さを変更可能な高さ調整ダイヤル5が設けられる。高さ調整ダイヤル5は、水平方向に回転可能に本体支持部3の上端に支持される。高さ調整ダイヤル5の内周面には、周方向に螺旋状に延出しかつ径方向内方へ突出する螺旋状凸部5aが設けられる。ブラケット16の外周面には、周方向に螺旋状に延出しかつ径方向内方に凹形状の螺旋状凹部16dが設けられる。螺旋状凸部5aと螺旋状凹部16dは相互に螺合する。ブラケット16は、本体支持部3に対して回り止めされている。高さ調整ダイヤル5を水平方向に回転させると、回り止めされたブラケット16は螺旋状凸部5aと螺旋状凹部16dとの螺合によって上下方向に送られる。これにより本体ハウジング11を本体支持部3に対して上下動させることができる。
【0033】
図4,5に示すようにモータハウジング12の円筒部12iには、電動モータ20が内装される。電動モータ20は、いわゆるブラシレスDCモータであり、回転子20bと固定子20cとセンサ基板20fを有する。回転子20bは、出力軸20aと一体に設けられる。出力軸20aは、円筒部12iの中央で上下方向に延出するモータ軸線Jを中心に回転する。出力軸20aは、軸受20d,20eによって回転可能に支持される。電動モータ20よりも上方の円筒部12iの上部には、左半割部12aと右半割部12bを左右に連結する左右連結部12gが設けられる。上側の軸受20dは、左右連結部12gの中央に凹設された円筒状の凹部12hに圧入される。下側の軸受20dは、ブラケットの中央下部に凹設された円筒状の凹部16fに圧入される。
【0034】
図4,5に示すように固定子20cは、回転子20bの径方向外方においてモータハウジング12の内周面に沿って固定される。センサ基板20fは、回転子20bの上方において固定子20cの上面に沿って固定される。センサ基板20fには、回転子20bの回転位置を検知する磁気センサが搭載される。
【0035】
図4,5に示すように出力軸20aには、電動モータ20を冷却する風を生じる冷却ファン21が取付けられる。冷却ファン21は、上下方向について回転子20bと下側の軸受20eとの間に位置する。冷却ファン21は、電動モータ20の駆動によって出力軸20aと一体でモータ軸線Jの軸回りに回転する。冷却ファン21が回転すると、上方から下方に向けて流れる風が生じる。膨出部12jの左右側面には、膨出部12jを左右方向に貫通する複数の吸気孔12cが設けられる(図1参照)。ブラケット16の下部には、ブラケット16を上下方向に貫通しかつブラケット16の内周面16cに沿って周方向に並んだ複数の排気孔16bが設けられる(図7,12参照)。冷却ファン21が回転すると、吸気孔12cを介してモータハウジング12内に外気が導入される。導入した外気は、下方へ流れて排気孔16bから本体ハウジング11の外方へ排出される。風の流れによって電動モータ20および膨出部12jに収容されたコントローラ24が冷却される。コントローラ24の詳細については後述する。
【0036】
図4,5に示すように出力軸20aは、ブラケット16の下部中央を上下方向に貫通する透孔16aに挿通されて下方へ突出する。ブラケット16の下方には、略円錐状のフランジ17が装着される。出力軸20aは、フランジ17よりも下方へ突出する。出力軸20aの先端には、電動モータ20の駆動によって被加工材Wを切削する先端刃具22が装着される。
【0037】
図1~3に示すように工具本体10の上部であってモータハウジング12の膨出部12jの上面には、バッテリ取付部15が設けられる。バッテリ取付部15には、電源としてのバッテリ23が取外し可能に装着される。バッテリ23は、複数本のバッテリセルをケースに収容したリチウムイオンバッテリで、別途用意した充電器で充電することにより繰り返し使用することができる。バッテリ23は、後側へスライドさせることでバッテリ取付部15に装着され、前側へスライドさせることでバッテリ取付部15から取外される。バッテリ23は、ねじ締め機や電気ドリル等のその他の充電式電動工具との間で電源として使い回すことができる。
【0038】
図4,5に示すようにバッテリ取付部15の下方であってモータハウジング12の膨出部12jには、主として電動モータ20の動作制御を行うためのコントローラ24が内装される。コントローラ24は、矩形底浅のケースに制御基板を収容して樹脂モールドしたもので、概ね平板形状である。コントローラ24は、その厚み方向を上下方向とする姿勢で膨出部12jに収容される。コントローラ24の下面は、吸気孔12cよりもわずかに上方に位置する。コントローラ24には、マイコンからなる制御回路、FETからなる駆動回路、およびオートストップ回路等が搭載される。制御回路は、センサ基板20fで検知された回転子20bの回転位置情報に基づいて制御信号を送信する。駆動回路は、電動モータ20の電流をスイッチングする。オートストップ回路は、バッテリ23の電力供給状態を検出しかつ検出結果に応じて過放電または過電流状態とならないように電動モータ20への電力供給を遮断する。
【0039】
図1,2,5に示すようにモータハウジング12の膨出部12jの後面には、スイッチパネル13が設けられる。スイッチパネル13には、押圧操作される待機スイッチ13aとロックオンスイッチ13bが設けられる。待機スイッチ13aは、1回押圧操作をすることでオン状態になる。待機スイッチ13aがオン状態になると、動力作業機1は休止状態から待機状態へと移行する。待機状態ではバッテリ23からコントローラ24に電力が供給される。ロックオンスイッチ13bは、1回押圧操作することでオン状態になる。動力作業機1が待機状態の時にロックオンスイッチ13bがオン状態になると、動力作業機1は駆動状態に移行する。駆動状態ではバッテリ23から電動モータ20への電力供給が維持され、電動モータ20の駆動が維持される。
【0040】
動力作業機1が駆動状態の時に待機スイッチ13aもしくはロックオンスイッチ13bを1回押圧操作すると、コントローラ24は、バッテリ23からコントローラ24および電動モータ20への電力供給をそれぞれ停止させる。これにより動力作業機1は休止状態に移行する。また、動力作業機1が待機状態の時にロックオンスイッチ13bが押圧操作されることなく所定時間が経過した場合、コントローラ24は、待機スイッチ13aをオフ状態にする。これにより動力作業機1は、待機状態から休止状態へと移行する。膨出部12jの左側部には、水平方向に回転可能な変速ダイヤル14が設けられる。変速ダイヤル14を回転させることで、電動モータ20の回転速度を調整することができる。以上のようにバッテリ23と電気的に接続されるコントローラ24,電動モータ20、スイッチパネル13、変速ダイヤル14、および後述の光源装置30は、いずれもモータハウジング12に取付けられる。これらの電材部品は、ブラケット16には直接取付けられていない。
【0041】
図5,9,10に示すようにモータハウジング12の前部には、先端刃具22の周辺領域を照射するための光源装置30が内装される。光源装置30は、上下方向において固定子20cの下方かつ冷却ファン21の上方に位置する。光源装置30は、略矩形の箱形に形成される。光源装置30には、2つのLED(光源)31が左右横並びに収容される(図11参照)。2つのLED31は、下方に向けて発光する。光源装置30の下面には、LED31が発した光を透過可能なレンズが光発射端面30aとして設けられる。光源装置30の上部には、各LED31と電気的に接続されかつ光源装置30の外方へ延出する配線接続部30cが設けられる。配線接続部30cは、コントローラ24から下方へ延出する配線(リード線)25と電気的に接続される。配線25は、冷却ファン21の上方に位置する光源装置30まで延出しており、例えば冷却ファン21の周囲にまでは延出していない。2つのLED31は、コントローラ24、配線25、配線接続部30cを介してバッテリ23から電力供給を受ける。2つのLED31は、動力作業機1が待機状態または駆動状態の時にバッテリ23から電力供給されて発光する。
【0042】
図6,9,10に示すように左半割部12aと右半割部12bには、光源装置30の略半分を収容する略矩形箱形の光源収容部12dが設けられる。光源装置30の後面には、後方へ突出する係合突起30bが設けられる。左右それぞれの光源収容部12dの後面には、切欠き部12eが設けられる。左半割部12aと右半割部12bを係合させる際、左右の光源収容部12dが左右に隣接して1つの箱形空間を形成する。左右の光源収容部12dが形成する箱形空間に光源装置30が収容される。左右の光源収容部12dの下面は、光発射端面30aが下方へ発する光の妨げにならないように開口する。左半割部12aと右半割部12bを係合させる際、左右の切欠き部12eが左右に隣接して1つの貫通孔を形成する。左右の切欠き部12eが形成する貫通孔に光源装置30の係合突起30bが挿通される。左右の切欠き部12eと係合突起30bとの係合により、光源装置30が光源収容部12dから脱落しないように保持される。光源装置30は、光源収容部12dに収容されることで、冷却ファン21が生じる風の流れを妨げないモータハウジング12の外周縁の近傍に配設される。
【0043】
図6,9,10に示すように左半割部12aと右半割部12bは、光源収容部12dの下方に上下方向に直線状に延出する切り欠き形状を有する。左半割部12aと右半割部12bを係合させる際、左右の切欠き形状が協働して上下方向に延出する溝12fを形成する。溝12fは、冷却ファン21の径方向外周側に位置しかつ冷却ファン21を上下方向に越えるように延出する。溝12fには、後述する第1導光棒32と第2導光棒35が挿通される。
【0044】
図4,5,9,10に示すように本体ハウジング11には、2つのLED31の発光を先端刃具22の周辺等の照射領域まで導光する第1導光棒32と第2導光棒35が収容される。第1導光棒32と第2導光棒35は、それぞれ枝分かれすることなく柱状に延出する1本の棒状に形成される。第1導光棒32と第2導光棒35は、ブラケット16の下部に取付けられる。
【0045】
第1導光棒32と第2導光棒35は、それぞれ光透過性の高い材料を単一材料として形成される。第1導光棒32と第2導光棒35は、好ましくは光透過性の高い樹脂、例えばアクリルを単一材料として形成される。第1導光棒32の1mmあたりの光透過率は、80%以上であり、より好ましくは85%以上、90%以上、95%以上である。第1導光棒32の全長は、例えば20mm以上、30mm以上、40mm以上、50mm以上、60mm以上である。第2導光棒35の1mmあたりの光透過率は、第1導光棒32の1mmあたりの光透過率と略同じであり、80%以上、より好ましくは85%以上、90%以上、95%以上である。第2導光棒35の全長は、例えば20mm以上、30mm以上、40mm以上、50mm以上、60mm以上である。
【0046】
図8,11に示すように第1導光棒32は、柱状に延出する両端に第1始端面32aと第1終端面32cを有する。第1始端面32aと第1終端面32cは、それぞれ平面状に形成される。第1始端面32aはモータ軸線Jに沿って上方を向き、第1終端面32cはモータ軸線Jに沿って下方を向く。第1始端面32aと第1終端面32cは、外周縁が角の無い曲線で構成される略円形である。第1導光棒32の延出方向と直交する断面における断面形状は、第1始端面32aおよび第1終端面32cと略同じ形状である。
【0047】
図8,11,12に示すように第1導光棒32は、第1始端面32aから略垂直に所定距離延出する第1始端部32bを有する。第1導光棒32は、第1始端面32aから第1終端面32cまでの間に湾曲状である湾曲部33を含む。第1導光棒32には、第1湾曲部33a,第2湾曲部33b,第3湾曲部33cの3つの湾曲部33が設けられる。第1始端部32bの下方には、第3湾曲部33cが設けられる。第3湾曲部33cは、モータ軸線Jに沿った方向からモータ軸線Jと直交する仮想平面Hに沿った水平方向へと左方へ湾曲する。第3湾曲部33cの下流側には、第1湾曲部33aが設けられる。第1湾曲部33aは、仮想平面Hに沿いかつブラケット16の内周面16cに倣うように湾曲する。第1湾曲部33aは、内周面16cの略4分の1周(角度範囲で略90°)の長さで反時計回り方向に延出する。第1湾曲部33aから第1終端面32cまでの間には、第2湾曲部33bが設けられる。第2湾曲部33bは、仮想平面Hに沿った方向からモータ軸線Jに沿った略鉛直方向へと湾曲する。
【0048】
図8,12に示すように第1導光棒32は、同一材料で一体に形成される取付座34を有する。取付座34は、第1湾曲部33aの外周湾曲面33eから離間した第1湾曲部33aの側面33dに設けられる。側面33dは、例えば第1湾曲部33aの内周湾曲面33f、上面、下面である。本実施例では第1湾曲部33aの内周湾曲面33fに位置する取付座34を例示する。取付座34は、側面33dから径方向内方に延出する板形状に形成される。取付座34の中央には、上下方向に貫通する円形状の透孔34aが形成される。透孔34aには、ブラケット16の下面から上方へ突出するように設けられたボス部16eが圧入される。これにより第1導光棒32がブラケット16に対して固定される。
【0049】
図8,11に示すように第2導光棒35は、第1導光棒32の右方に設けられ、第1導光棒32と左右略対称に設けられる。第2導光棒35は、柱状に延出する両端に平面状に形成された第2始端面35aと第2終端面35cを有する。第2始端面35aはモータ軸線Jに沿って上方を向き、第2終端面35cはモータ軸線Jに沿って下方を向く。第2始端面35aと第2終端面35cは、外周縁が角の無い曲線で構成される略円形である。第2導光棒35の延出方向と直交する断面における断面形状は、第2始端面35aおよび第2終端面35cと略同じ形状である。
【0050】
図8,11,12に示すように第2導光棒35は、第2始端面35aから略垂直に所定距離延出する第2始端部35bを有する。第2導光棒35は、第2始端面35aから第2終端面35cまでの間に湾曲状である湾曲部36を含む。第2導光棒35には、第1湾曲部36a,第2湾曲部36b,第3湾曲部36cの3つの湾曲部36が設けられる。第2始端部35bの下方には、第3湾曲部36cが設けられる。第3湾曲部36cは、モータ軸線Jに沿った方向からモータ軸線Jと直交する仮想平面Hに沿った水平方向へと右方へ湾曲する。第3湾曲部36cの下流側には、第1湾曲部36aが設けられる。第1湾曲部36aは、仮想平面Hに沿いかつブラケット16の内周面16cに倣うように湾曲する。第1湾曲部36aは、内周面16cの略4分の1周(角度範囲で略90°)の長さで時計回り方向に延出する。第1湾曲部36aから第2終端面35cまでの間には、第2湾曲部36bが設けられる。第2湾曲部36bは、仮想平面Hに沿った方向からモータ軸線Jに沿った略鉛直方向へと湾曲する。
【0051】
図8,12に示すように第2導光棒35は、同一材料で一体に形成される取付座37を有する。取付座37は、第1湾曲部36aの外周湾曲面36eから離間した第1湾曲部36aの側面36dに設けられる。側面36dは、例えば第1湾曲部36aの内周湾曲面36f、上面、下面である。本実施例では第1湾曲部36aの内周湾曲面36fに位置する取付座37を例示する。取付座37は、側面36dから径方向内方に延出する板形状に形成される。取付座37の中央には、上下方向に貫通する円形状の透孔37aが形成される。透孔37aには、ブラケット16の下面から上方へ突出するように設けられたボス部16eが圧入される。これにより第2導光棒35がブラケット16に対して固定される。
【0052】
図8,11,12に示すように第1導光棒32の第1始端部32bと第2導光棒35の第2始端部35bは、左右横並びで一体に結合される。これにより第1導光棒32と第2導光棒35は、導光棒連結体38として一体に形成される。導光棒連結体38が一体に設けられることで、取付座34は第2導光棒35をブラケット16に固定する部材としても作用し、取付座37は第1導光棒32をブラケット16に固定する部材としても作用する。これによりブラケット16が第1導光棒32と第2導光棒35を支持する安定性が向上する。
【0053】
図11に示すように第1始端面32aと第2始端面35aは、相互に隣接しかつ相互に略同じ高さで光発射端面30aと対向するように配置される。光源装置30をモータハウジング12に組付けかつ第1導光棒32をブラケット16に組付けた状態で、第1始端面32aと光発射端面30aとの間には第1スペースS1が設けられる。第1始端面32aは、1つのLED31の略直下に位置する。光源装置30をモータハウジング12に組付けかつ第2導光棒35をブラケット16に組付けた状態で、第2始端面35aと光発射端面30aとの間には第2スペースS2が設けられる。第2始端面35aは、1つのLED31の略直下に位置する。第1スペースS1と第2スペースS2の上下方向の長さは、例えば10mm以下、5mm以下であり、例えば1mm、2mm、3mmである。
【0054】
図7に示すように第1終端面32cは、ブラケット16の左部に設けられたいずれか1つの排気孔16b内で下方に向けて露出する。第2終端面35cは、ブラケット16の右部に設けられたいずれか1つの排気孔16b内で下方に向けて露出する。第1終端面32cと第2終端面35cは、出力軸20aを中心にして左右略対称の位置に配設される。第1終端面32cと第2終端面35cから出た光は、先端刃具22およびベース2の透孔2a(図1参照)の周囲を照射する。
【0055】
図11に第1導光棒32内を通る光の経路を概略的に示す。なお第2導光棒35内を通る光については、第1導光棒32と左右略対称になるため図示は省略する。LED31が発して光発射端面30aから下方へ発射する光は、第1始端面32aから第1導光棒32内に進入する。光は、第1導光棒32内において壁面で全反射しながら第1始端部32b、第3湾曲部33c、第1湾曲部33a、第2湾曲部33bと順に進んで第1終端面32cから下方へ照射される。各湾曲部33は、光が壁面から漏出せず全反射するような曲率で形成される。各湾曲部33において光は、主として外周湾曲面33e(図8参照)で全反射する。そのため外周湾曲面33eから離間した側面33dに設けられた取付座34に光が進入することが抑制される。
【0056】
上述するように動力作業機1は、図9,10に示すように本体ハウジング11に収容されるLED31を有する。動力作業機1は、LED31に対向する第1始端面32aを備え、かつ第1始端面32aから入射された光を第1終端面32cまで導いて第1終端面32cから光を照射させる第1導光棒32を有する。動力作業機1は、LED31に対向する第2始端面35aを備え、かつ第2始端面35aから入射された光を第2終端面35cまで導いて第2終端面35cから光を照射させる第2導光棒35を有する。
【0057】
したがってLED31の発光は、第1始端面32aから第1導光棒32内に直接進入し、かつ第2始端面35aから第2導光棒35内に直接進入する。第1導光棒32は、受光面である第1始端面32aから発光面である第1終端面32cまで枝分かれすることなく設けられる。第2導光棒35は、受光面である第2始端面35aから発光面である第2終端面35cまで枝分かれすることなく設けられる。これにより第1始端面32aから第1終端面32cまでの光量のロスを抑制でき、かつ第2始端面35aから第2終端面35cまでの光量のロスを抑制できる。しかも第1終端面32cと第2終端面35cの2箇所から照射領域を照射できる。かくして第1導光棒32および第2導光棒35を通る光量のロスを抑制できかつ照射領域を明るく照らすことができる。
【0058】
また、第1導光棒32と第2導光棒35をそれぞれ独立した形状で設けることができる。そのため第1導光棒32と第2導光棒35の形状の自由度と取付姿勢の自由度が高くなる。これにより第1導光棒32と第2導光棒35を本体ハウジング11内の限られたスペースに配設でき、かつ第1導光棒32と第2導光棒35を形成する金型のコストアップを抑制できる。また、LED31の数を少なくできるため、本体ハウジング11のコンパクト化を向上させることができる。
【0059】
図8に示すように第1導光棒32と第2導光棒35の少なくとも1つは、全長に渡って柱状であり、かつ少なくとも一部が湾曲状である湾曲部33,36を含む。したがって湾曲部33,36を設けることで、第1始端面32aと第2始端面35aの配置や向きの自由度が高くなり、かつ第1終端面32cと第2終端面35cの配置や向きの自由度が高くなる。そのため第1導光棒32と第2導光棒35を大型化することなく、第1始端面32a、第2始端面35aおよびLED31の配置変更等に容易に対応できる。また、第1導光棒32と第2導光棒35を大型化することなく、第1終端面32cと第2終端面35cの照射領域までの距離、照射角度の設計変更等に容易に対応できる。
【0060】
図9,10に示すように本体ハウジング11は、電動モータ20(図4~6参照)を収容するように筒状である。第1導光棒32または第2導光棒35の湾曲部33,36は、本体ハウジング11の内周面16cに沿って周方向に延びる。したがって本体ハウジング11の大型化を抑制しながら、第1導光棒32または第2導光棒35を本体ハウジング11内に収容できる。
【0061】
図4,5,11に示すように動力作業機1は、本体ハウジング11に収容された電動モータ20を有する。第1導光棒32または第2導光棒35の湾曲部33,36は、電動モータ20のモータ軸線Jと直交する仮想平面Hに沿って湾曲する第1湾曲部33a,36aと、仮想平面Hからモータ軸線Jに沿った方向に湾曲する第2湾曲部33b,36bを含む。したがって本体ハウジング11を大型化することなく、電動モータ20を収容する形状を利用して、第1湾曲部33a,36aを本体ハウジング11に収容できる。また、本体ハウジング11を大型化することなく、モータ軸線J方向に延出する出力軸20aを収容する形状を利用して、第2湾曲部33b,36bを本体ハウジング11に収容できる。かくして本体ハウジング11の大型化を抑制できる。
【0062】
図8~10に示すように第1導光棒32または第2導光棒35は、本体ハウジング11に取付けられる取付座34,37を有する。取付座34,37は、湾曲部33,36の外周湾曲面33e,36eから離間した湾曲部33,36の側面33d,36dに設けられる。したがって取付座34,37を光の経路から離間した場所に設けることができる。外周湾曲面33e,36eは、第1導光棒32内と第2導光棒35内を進む光の反射面として光の経路上に位置する。仮に取付座34,37を外周湾曲面33e,36eに設けた場合、光が外周湾曲面33e,36eから取付座34,37へ進入し易い。そのため光量がロスしてしまう。取付座34,37を光の経路上の外周湾曲面33e,36eから離間させることで光量のロスを抑制できる。
【0063】
図11に示すようにLED31を含む光源装置30の光発射端面30aと、第1導光棒32の第1始端面32aとの間に第1スペースS1が設けられる。光源装置30の光発射端面30aと、第2導光棒35の第2始端面35aとの間に第2スペースS2が設けられている。したがって動力作業機1を組付ける時、あるいは動作時に振動が発生する時において、光発射端面30aと第1始端面32aと第2始端面35aが傷つくことを抑制できる。これにより第1導光棒32と第2導光棒35と光発射端面30aの光透過性が低減してしまうことを抑制できる。また、第1スペースS1と第2スペースS2を確保することで光源装置30の形状の制約が少なくなる。そのため汎用的な光源装置30を利用できる。
【0064】
図5,9,10に示すように本体ハウジング11は、相互に組付けられるモータハウジング12とブラケット16を含む。LED31はモータハウジング12に取付けられる。第1導光棒32と第2導光棒35はブラケット16に取付けられる。したがってモータハウジング12とブラケット16を相互に組付けることで、LED31と第1導光棒32と第2導光棒35を調整することなく相互に位置決めできる。そのためLED31と第1導光棒32と第2導光棒35の組付け性を向上させることができる。
【0065】
図5に示すようにモータハウジング12には、バッテリ(電源)23と、バッテリ23から延出する配線25と、配線25に接続されるLED31が取付けられる。ブラケット16には、配線25に接続される電気部品が設けられていない。したがってLED31を含む電気部品をモータハウジング12側にまとめることで、配線25をブラケット16に設ける必要がない。そのため、先ずモータハウジング12にLED31を含む電気部品と配線25を組付け、ブラケット16に第1導光棒32と第2導光棒35を組付ける。その後にモータハウジング12とブラケット16を相互に組付ける。これにより本体ハウジング11の組付け性を向上させることができる。
【0066】
図4,5に示すように動力作業機1は、本体ハウジング11に収容される電動モータ20を有する。動力作業機1は、電動モータ20から延出する出力軸20aを有する。動力作業機1は、出力軸20aによって回転して電動モータ20を冷却する風を生じる冷却ファン21を有する。電動モータ20と冷却ファン21の間でかつ本体ハウジング11内に、LED31が配設される。したがってLED31は、電動モータ20と冷却ファン21の間の空いたスペースに収容され、かつ冷却ファン21よりも、電動モータ20と電気的に接続されるバッテリ23に近い位置に配設される。そのため冷却ファン21の近くにLED31へ電力供給する配線25が配設されることを抑制できる。これにより冷却ファン21の周囲における本体ハウジング11の大型化を抑制できる。
【0067】
図5,6,9,10に示すように冷却ファン21と対向する本体ハウジング11の内周面16cには、冷却ファン21を越えて延出する溝12fが設けられる。溝12fに第1導光棒32および第2導光棒35が挿通される。したがって本体ハウジング11の大型化を抑制しながら、冷却ファン21の径方向外方を跨いで第1導光棒32および第2導光棒35を配設できる。また、第1導光棒32の第1始端面32aに近い領域および第2導光棒35の第2始端面35aに近い領域を溝12fで位置決めできる。そのため第1導光棒32および第2導光棒35の組付け性を向上させることができる。
【0068】
図8,11に示すように第1導光棒32の第1始端面32aと第2導光棒35の第2始端面35aは、相互に隣接し、かつ同一仮想平面上または平行に位置する。第1導光棒32の第1終端面32cと第2導光棒35の第2終端面35cは、相互に離間している。したがって1箇所に設けられたLED31の近くに第1始端面32aと第2始端面35aをまとめて配設できる。そのためLED31の周囲をコンパクトにすることができる。また、第1終端面32cと第2終端面35cを相互に離間させることで、照射領域に陰影が生じることを抑制できる。そのため照射領域の視認性を向上させることができる。
【0069】
図8,11に示すように第1始端面32aを含む第1導光棒32の第1始端部32bと第2始端面35aを含む第2導光棒35の第2始端部35bが横並びで一体に結合される。したがって部品点数を減らすことで、第1導光棒32と第2導光棒35を形成する金型の点数を少なくすることができる。そのため製造コストを抑制できる。また、組付け時において、第1導光棒32と第2導光棒35の相互の位置関係を調整する手間を抑制できる。そのため第1導光棒32と第2導光棒35の組付け性を向上させることができる。
【0070】
図8,11に示すように第1導光棒32および第2導光棒35は、1mmあたりの光透過率が80%以上の単一材料で形成される。したがって高い光透過率によって、第1導光棒32の第1始端面32aから第1終端面32cまで、および第2導光棒35の第2始端面35aから第2終端面35cまでの光量のロスを抑制できる。しかも単一材料で形成することで、製造コストを抑制でき、かつ光の経路をシミュレーションし易いため設計変更に容易に対応できる。
【0071】
図10に示すように動力作業機1は、本体ハウジング11に収容される光源31を有する。動力作業機1は、光源31に対向する第1始端面32aを備え、かつ第1始端面32aから入射された光を第1終端面32cまで導いて第1終端面32cから光を照射させる第1導光棒32を有する。本体ハウジング11は、電動モータ20を収容するように筒状であり、相互に組付けられるモータハウジング12とブラケット16を含む。第1導光棒32は、全長に渡って柱状であり、かつ少なくとも一部が湾曲状である湾曲部33を含む。第1導光棒32の湾曲部33は、本体ハウジング11の内周面16cに沿って周方向に延びる。光源31はモータハウジング12に取付けられ、第1導光棒32はブラケット16に取付けられる。光源31を含む光源装置30の光発射端面30aと、第1導光棒32の第1始端面32aとの間に第1スペースS1が設けられる(図11参照)。
【0072】
したがって光源31の発光は、第1始端面32aから第1導光棒32内に直接進入し、枝分かれしない第1導光棒32を通って第1終端面32cまで送られる。そのため第1始端面32aから第1終端面32cまでの光量のロスを抑制できる。湾曲部33を設けることで、第1導光棒32を大型化することなく第1始端面32aと第1終端面32cの配置や向きを自由に変更できる。湾曲部33を内周面16cに沿わせることで、本体ハウジング11の大型化を抑制しながら第1導光棒32を本体ハウジング11内に収容できる。モータハウジング12とブラケット16を相互に組付けることで、光源31と第1導光棒32を調整することなく相互に位置決めできる。そのため光源31と第1導光棒32の組付け性を向上させることができる。第1スペースS1を設けることで、動力作業機1の組付時や動作の際の振動時に、光発射端面30aと第1始端面32aが傷つくことを抑制できる。これにより第1導光棒32と光発射端面30aの光透過性が低減してしまうことを抑制できる。また、第1スペースS1を確保することで光源装置30の形状の制約が少なくなる。そのため汎用的な光源装置30を利用できる。
【0073】
次に本開示の第2実施例を図13,14に基づいて説明する。第2実施例の動力作業機40は、図8に示す第1実施例の第1導光棒32と第2導光棒35に代えて、図13,14に示す第1導光棒41と第2導光棒44を有する。以下の説明においては、第1実施例と異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0074】
図13,14に示す第1導光棒41と第2導光棒44は、無色で光透過性の高いアクリルを単一材料として形成される。第1導光棒41と第2導光棒44の1mmあたりの光透過率は、80%以上であり、より好ましくは85%以上、90%以上、95%以上である。第1導光棒41の全長は、例えば20mm以上、30mm以上、40mm以上、50mm以上、60mm以上である。第2導光棒44の全長は、例えば20mm以上、30mm以上、40mm以上、50mm以上、60mm以上である。第2導光棒44は、第1導光棒41よりも長く設けられる。
【0075】
図13,14に示すように第1導光棒41は、第1導光棒32(図8参照)と概ね同様に構成される。第1導光棒41は、両端に平面状かつ略円形の第1始端面41aと第1終端面41cを有する。第1始端面41aは上方を向き、第1終端面41cは下方を向く。第1始端面41aと第1終端面41cの間には、第1始端面41aから順に、第1始端部41b、第3湾曲部42c、第1湾曲部42a、第2湾曲部42bが設けられる。第1湾曲部42a、第2湾曲部42b、第3湾曲部42cは、第1導光棒41において湾曲状である湾曲部42に相当する。
【0076】
図13,14に示すように第1始端部41bは、第1始端面41aから略垂直に所定距離延出する。第3湾曲部42cは、略垂直方向から水平方向へと左方へ湾曲する。第1湾曲部42aは、仮想平面Hに沿いかつブラケット16の内周面16cに倣うように湾曲する(図11,12参照)。第1湾曲部42aは、内周面16cの略6分の1周(角度範囲で略60°)の長さで反時計回り方向に延出する。第2湾曲部42bは、水平方向から略鉛直方向へと湾曲する。
【0077】
図13,14に示すように第1導光棒41は、同一材料で一体に形成される取付座43を有する。取付座43は、第1湾曲部42aの外周湾曲面42eから離間した第1湾曲部42aの側面42d(内周湾曲部42f)に設けられる。取付座43は、側面42dから径方向内方に延出する板形状に形成される。取付座43の中央には、上下方向に貫通する円形状の透孔43aが形成される。
【0078】
図13,14に示すように第2導光棒44は、第1導光棒41の右方に設けられ、かつ第2導光棒35(図8参照)と概ね同様に構成される。第2導光棒44は、両端に平面状かつ略円形の第2始端面44aと第2終端面44cを有する。第2始端面44aは上方を向き、第2終端面44cは下方を向く。第2始端面44aと第2終端面44cの間には、第2始端面44aから順に、第2始端部44b、第3湾曲部45c、第1湾曲部45a、第2湾曲部45bが設けられる。第1湾曲部45a、第2湾曲部45b、第3湾曲部45cは、第2導光棒44において湾曲状である湾曲部45に相当する。
【0079】
図13,14に示すように第2始端部44bは、第2始端面44aから略垂直に所定距離延出する。第3湾曲部45cは、略垂直方向から水平方向へと右方へ湾曲する。第1湾曲部45aは、仮想平面Hに沿いかつブラケット16の内周面16cに倣うように湾曲する(図11,12参照)。第1湾曲部45aは、内周面16cの略3分の1周(角度範囲で略120°)の長さで反時計回り方向に延出する。第2湾曲部45bは、水平方向から略鉛直方向へと湾曲する。
【0080】
図13,14に示すように第2導光棒44は、同一材料で一体に形成される取付座46を有する。取付座46は、第1湾曲部45aの外周湾曲面45eから離間した第1湾曲部45aの側面45d(内周湾曲部45f)に設けられる。取付座46は、側面45dから径方向内方に延出する板形状に形成される。取付座46の中央には、上下方向に貫通する円形状の透孔46aが形成される。
【0081】
図13,14に示すように第1導光棒41の第1始端部41bと第2導光棒44の第2始端部44bは、左右横並びで一体に結合される。これにより第1導光棒41と第2導光棒44は、導光棒連結体47として一体に形成される。第1始端面41aと第2始端面44aは、相互に隣接しかつ相互に略同じ高さで光発射端面30a(図11参照)と対向するように配置される。第1始端面41aと光発射端面30aとの間、および第2始端面44aと光発射端面30aとの間には、スペースが設けられる。第1終端面41cは、ブラケット16の左部に設けられたいずれか1つの排気孔16b内で下方に向けて露出する(図7参照)。第2終端面44cは、ブラケット16の右部に設けられたいずれか1つの排気孔16b内で下方に向けて露出する。第1終端面41cは、第2終端面44cよりも前側に配置される。係る構成によって第1実施例の第1導光棒32と第2導光棒35とは明るさの強い領域の位置がずれた状態で、先端刃具22およびベース2の透孔2a(図1参照)の周囲を照射できる。
【0082】
次に、第1実施例と比較例で照射領域の明るさを比較した実験について図15~18に基づいて説明する。比較例では、図8に示す第1実施例の第1導光棒32と第2導光棒35に代えて、導光棒50を用いた。導光棒50は、第1導光棒32および第2導光棒35と同材料を単一材料として形成される。導光棒50は、始端側に平面状かつ略円形の始端面50aと直線状に延出する始端部50bを有し、終端側に平面状かつ略円形の2つの終端面51a,54aを有する。始端面50aは上方を向き、終端面51a,54aは下方を向く。導光棒50は、始端部50bの下端で終端面51aに向かう第1分岐部51と終端面54aに向かう第2分岐部54に枝分かれする。
【0083】
図15,16に示すように第1分岐部51は、始端部50bの下端に対して左方へ略直交して延出する第1直交部52aと、第1直交部52aの先端に対して下方へ略直交する第2直交部52bの2つの直交部52を有する。第1直交部52aは、ブラケット16の内周面16cに倣うように湾曲し(図12参照)、内周面16cの略4分の1周(角度範囲で略90°)の長さで反時計回り方向に延出する。第1直交部52aの側面52cには、径方向内方へ突出しかつ透孔53aを備えた取付座53が設けられる。第2直交部52bの下端には、終端面51aが設けられる。終端面51aは、図7に示す第1終端面32cと略同じ位置に配設される。
【0084】
図15,16に示すように第2分岐部54は、始端部50bの下端に対して右方へ略直交して延出する第1直交部55aと、第1直交部55aの先端に対して下方へ略直交する第2直交部55bの2つの直交部55を有する。第1直交部55aは、ブラケット16の内周面16cに倣うように湾曲し(図12参照)、内周面16cの略4分の1周(角度範囲で略90°)の長さで時計回り方向に延出する。第1直交部55aの側面55cには、径方向内方へ突出しかつ透孔56aを備えた取付座56が設けられる。第2直交部55bの下端には、終端面54aが設けられる。終端面54aは、図7に示す第2終端面35cと略同じ位置に配設される。
【0085】
図15に導光棒50内を通る光の経路を概略的に示す。なお第2分岐部54内を通る光については、第1分岐部51と左右略対称になるため図示は省略する。LED31(図11参照)からの発光は、始端面50aから始端部50bへ進入する。第1分岐部51と第2分岐部54に分かれる分岐部分において、一部の光は分岐部分の壁面で全反射されずに導光棒50の外へ漏出する。また、第1直交部52a,55aと第2直交部52b,55bとが連結される直交部分においても、一部の光が導光棒50の外へ漏出する場合がある。そのため始端面50aから終端面51a,54aまでの経路における光量のロスが多くなる。
【0086】
図17は、本開示の第1実施例の第1導光棒32と第2導光棒35(図11参照)を用いた場合のベース2の下面側における照射領域を示す。光は、中央の透孔2aと周囲の複数の透孔2bのいずれも通過して下方を照らす。そのため透孔2aと複数の透孔2bの全ての輪郭が明瞭に見え、広範囲でかつ明るく照らされている。図18は、比較例の導光棒50を用いた場合のベース2の下面側における照射領域を示す。光は、中央の透孔2aと複数の透孔2bの一部を通過して下方を照らす。透孔2aと複数の透孔2bの一部の輪郭のみが確認され、しかも透孔2aと透孔2bの輪郭全体は視認できず、一部の輪郭のみに留まっている。そのため照射範囲が狭くかつ光量も小さい。図17,18を比較することで第1導光棒32および第2導光棒35を通った光と、導光棒50を通った光では光量に大きな差があることを確認できる。
【0087】
以上説明した本開示の実施例には、種々変更を加えることができる。ルータと称される動力作業機1を例示した。これに代えて、例えばトリマ、ねじ締め機、電動ドリル、レシプロソー等の電動工具、圧縮エア式の釘打ち機等のエア工具、芝刈り機等の園芸工具等に適用しても良い。第1導光棒32と第2導光棒35の2つの導光棒を設ける攻勢を例示したが、導光棒を3つ以上設けても良い。光源装置30に2つのLEDを備える攻勢を例示した。これに代えて、光源装置30にLEDを1つのみあるいは3つ以上設けても良い。
【0088】
光透過率の高いアクリル製の第1導光棒32と第2導光棒35を例示した。これに代えて、例えばポリカーボネート、ポリスチレン等の他の光透過率が高い樹脂材料で設けても良く、あるいは光透過率が高い非樹脂材料で設けても良い。第1導光棒32と第2導光棒35の各始端面、各終端面および中途部分の断面形状は、例示した略円形に代えて、例えば楕円形、長円形等であっても良い。
【0089】
第1始端面32aと第2始端面35aが上方を向き、第3湾曲部33c,36cで垂直方向の延出方向から水平方向へ湾曲する第1導光棒32と第2導光棒35を例示した。これに代えて、例えば第1始端面32aと第2始端面35aが図11に示す仮想平面H上で外方を向き、第3湾曲部33c,36cが仮想平面H上で水平方向に湾曲する構成であっても良い。係る構成の場合、光源装置30は、仮想平面H上で第1始端面32aと第2始端面35aの外方に位置する。
【0090】
各始端面と各終端面が平面状に設けられる第1導光棒32と第2導光棒35を例示した。これに代えて、例えば各始端面または各終端面、あるいはその両方を凸レンズ面や凹レンズ面等に設けても良い。取付座34,37の透孔34a,37aにブラケット16のボス部16eを圧入することで、第1導光棒32と第2導光棒35をブラケット16に固定する構成を例示した。これに代えて、例えばねじ締結によって第1導光棒32と第2導光棒35をブラケット16に固定しても良い。
【符号の説明】
【0091】
1…動力作業機(第1実施例)
2…ベース、2a,2b…透孔
3…本体支持部、3a…ベース連結部、3b…円筒部、3c…窓部
3d…グリップ支持部、3e…窓部
4…ロックレバー
5…高さ調整ダイヤル、5a…螺旋状凸部
6…グリップ、6a…アーム部、6b…把持部
10…工具本体
11…本体ハウジング
12…モータハウジング(第1ハウジング)、12a…左半割部、12b…右半割部
12c…吸気孔、12d…光源収容部、12e…切欠き部、12f…溝
12g…左右連結部、12h…凹部、12i…円筒部、12j…膨出部
13…スイッチパネル、13a…待機スイッチ、13b…ロックオンスイッチ
14…変速ダイヤル
15…バッテリ取付部
16…ブラケット(第2ハウジング)、16a…透孔、16b…排気孔
16c…内周面、16d…螺旋状凹部、16e…ボス部、16f…凹部
17…フランジ
20…電動モータ、20a…出力軸、20b…回転子、20c…固定子
20d,20e…軸受、20f…センサ基板
21…冷却ファン
22…先端刃具
23…バッテリ
24…コントローラ
25…配線
30…光源装置、30a…光発射端面、30b…係合突起、30c…配線接続部
31…LED(光源)
32…第1導光棒、32a…第1始端面、32b…第1始端部、32c…第1終端面
33…湾曲部、33a…第1湾曲部、33b…第2湾曲部、33c…第3湾曲部
33d…側面、33e…外周湾曲面、33f…内周湾曲面
34…取付座、34a…透孔
35…第2導光棒、35a…第2始端面、35b…第2始端部、35c…第2終端面
36…湾曲部、36a…第1湾曲部、36b…第2湾曲部、36c…第3湾曲部
36d…側面、36e…外周湾曲面、36f…内周湾曲面
37…取付座、37a…透孔
38…導光棒連結体
40…動力作業機(第2実施例)
41…第1導光棒、41a…第1始端面、41b…第1始端部、41c…第1終端面
42…湾曲部、42a…第1湾曲部、42b…第2湾曲部、42c…第3湾曲部
42d…側面、42e…外周湾曲面、42f…内周湾曲面
43…取付座、43a…透孔
44…第2導光棒、44a…第2始端面、44b…第2始端部、44c…第2終端面
45…湾曲部、45a…第1湾曲部、45b…第2湾曲部、45c…第3湾曲部
45d…側面、45e…外周湾曲面、45f…内周湾曲面
46…取付座、46a…透孔
47…導光棒連結体
50…導光棒、50a…始端面、50b…始端部
51…第1分岐部、51a…終端面
52…直交部、52a…第1直交部、52b…第2直交部、52c…側面
53…取付座、53a…透孔
54…第2分岐部、54a…終端面
55…直交部、55a…第1直交部、55b…第2直交部、55c…側面
56…取付座、56a…透孔
W…被加工材
J…モータ軸線
H…仮想平面
S1…第1スペース、S2…第2スペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18