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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077669
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】車両の制御方法及び車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/04 20060101AFI20240603BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20240603BHJP
   F01N 11/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
F02D41/04
F01N3/20 B
F01N11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189745
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】柳 琳
(72)【発明者】
【氏名】西 大紀
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 桂
(72)【発明者】
【氏名】露木 毅
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋輔
【テーマコード(参考)】
3G091
3G301
【Fターム(参考)】
3G091AA17
3G091AB03
3G091BA01
3G091CA26
3G091DA02
3G091EA01
3G091EA07
3G091EA18
3G091EA34
3G091EA36
3G091HA08
3G091HA36
3G091HA37
3G091HA42
3G301HA01
3G301JA21
3G301KA27
3G301NE13
3G301PD03Z
3G301PD04Z
3G301PD12Z
3G301PE01Z
3G301PE03Z
3G301PF03Z
(57)【要約】
【課題】内燃機関の排気通路に直列に配置された排気浄化用の2つの触媒の双方に対して適切なリッチスパイクを実施する。
【解決手段】コントロールユニット21は、燃料カットの実施直後に、マニホールド触媒14及び床下触媒15の排気浄化能力の再生を促進させるために行う第1リッチスパイク及び第2リッチスパイクを制御する。第1リッチスパイク及び第2リッチスパイクは、当量比が理論当量比よりもリッチ側となるように、燃料噴射量を一時的に増量するものである。第1リッチスパイクは、マニホールド触媒14の排気浄化能力の再生を促進させる。第2リッチスパイクは、床下触媒15の排気浄化能力の再生を促進させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に排気浄化用の2つの触媒が直列に配置された車両の制御方法において、
車両の走行中に所定の燃料カット条件が成立すると上記内燃機関に燃料を供給する燃料噴射弁の燃料噴射を停止する燃料カットを実施し、上記燃料カット中に所定の燃料カットリカバー条件が成立すると上記燃料噴射弁からの燃料噴射を再開し、
上記燃料カットの終了後に、上流側に位置する第1触媒の酸素ストレージ量に基づいて燃料噴射量を一時的に増量する第1リッチスパイクを実施するとともに、下流側に位置する第2触媒に供給される触媒供給熱量に応じて上記第1リッチスパイクの実施後に燃料噴射量を一時的に増量する第2リッチスパイクを実施することを特徴とする車両の制御方法。
【請求項2】
上記第2リッチスパイクは、上記第1リッチスパイクの実施後に実施することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御方法。
【請求項3】
上記第2リッチスパイクは、上記第2触媒の温度によらず予め設定された所定時間実施することを特徴とする請求項2に記載の車両の制御方法。
【請求項4】
上記第2リッチスパイクは、上記触媒供給熱量が所定値未満の場合には実施しないことを特徴とする請求項3に記載の車両の制御方法。
【請求項5】
上記第1リッチスパイクは、上記第1触媒の触媒温度が高くなるほど実施時間を長くすることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御方法。
【請求項6】
上記第1リッチスパイクは、上記酸素ストレージ量が多くなるほど実施時間を長くすることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御方法。
【請求項7】
内燃機関の排気通路に配置された排気浄化用の第1触媒と、
上記第1触媒の下流側に配置された排気浄化用の第2触媒と、
車両の走行中に所定の燃料カット条件が成立すると上記内燃機関に燃料を供給する燃料噴射弁の燃料噴射を停止する燃料カットを実施し、上記燃料カット中に所定の燃料カットリカバー条件が成立すると上記燃料噴射弁からの燃料噴射を再開させる第1制御部と、
上記燃料カットの終了後の上記第1触媒の酸素ストレージ量に基づいて燃料噴射量を一時的に増量する第1リッチスパイクを制御する第2制御部と、
上記第2触媒に供給される触媒供給熱量に応じて上記第1リッチスパイクの実施後に燃料噴射量を一時的に増量する第2リッチスパイクを制御する第3制御部と、を有することを特徴とする車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気通路に排気浄化用の2つの触媒が直列に配置された車両の制御方法及び車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行中に所定の燃料カット条件が成立すると燃料噴射弁からの燃料噴射を中止する燃料カットを実施する内燃機関が広く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1、2には、このような燃料カットを実施した後の排気浄化用触媒の酸素ストレージ量を推定し、排気浄化用触媒の触媒温度と推定した酸素ストレージ量とに応じて燃料噴射量を一時的に増量するリッチスパイクを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-140011号公報
【特許文献2】特開2013-15065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、排気通路に2つの排気浄化用触媒を直列に配置した場合、下流側に位置する下流側排気浄化触媒の温度は、上流側に位置する上流側排気浄化触媒の温度に比べて精度良く推定できないという問題がある。すなわち、内燃機関の排気通路に2つの排気浄化用触媒を直列に配置された車両においては、触媒温度に応じてリッチスパイクを実施して酸素ストレージ量を低減する際に、上流側排気浄化触媒及び下流側排気浄化触媒の双方に対して適切なリッチスパイクを行う上で更なる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両は、燃料カットの終了後に、上流側に位置する第1触媒の酸素ストレージ量に基づいて燃料噴射量を一時的に増量する第1リッチスパイクを実施するとともに、下流側に位置する第2触媒に供給される触媒供給熱量に応じて上記第1リッチスパイクの実施後に燃料噴射量を一時的に増量する第2リッチスパイクを実施することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1触媒及び第2触媒の双方に対して、適切なリッチスパイクを実施することが可能となり、第1触媒及び第2触媒の酸素ストレージ量を適切に低減して、排気性能の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明が適用される車両のシステム構成の概略を模式的に示した説明図。
図2】燃料カット後に第1リッチスパイクのみが実施された場合を示すタイミングチャート。
図3】燃料カット後に第2リッチスパイクが実施する場合を示すタイミングチャート。
図4】燃料カット後に第2リッチスパイクが実施しなかった場合を示すタイミングチャート。
図5】本発明に係る車両の制御の流れを示すフローチャート。
図6】本発明に係る車両の制御の流れを示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明が適用される車両のシステム構成の概略を模式的に示した説明図である。
【0011】
内燃機関1は、例えば直列多気筒の火花点火式内燃機関であって、ガソリンを燃料とし、自動車等の車両に駆動源として搭載されるものである。すなわち、内燃機関1は、内燃機関1が搭載された車両の駆動輪(図示せず)を駆動する。
【0012】
内燃機関1の燃焼室2には、吸気弁3を介して吸気ポート4の下流側端が接続され、排気弁5を介して排気ポート6の上流側端が接続されている。
【0013】
吸気ポート4には、吸気ポート4内に燃料(例えばガソリン)を噴射する燃料噴射弁7が配置されている。燃料噴射弁7から噴射された燃料は、燃焼室2内で点火プラグ8により点火される。
【0014】
吸気ポート4の上流側端には、吸気通路9に接続されている。吸気通路9には、吸気(空気)が流れる方向の上流側から順に、エアクリーナ10、吸入空気量を検出するエアフローメータ11、後述するコントロールユニット21からの制御信号によって開度が制御される電動のスロットル弁12が配置されている。
【0015】
排気ポート6の下流側端には、排気通路13に接続されている。排気通路13には、排気が流れる方向の上流側から順に、第1触媒としてのマニホールド触媒14と、第2触媒としての床下触媒15が配置されている。マニホールド触媒14及び床下触媒15は、例えば三元触媒を用いたものである。三元触媒は、理論空燃比を中心とするいわゆるウィンドウに空燃比がある場合に最大の転化効率をもって排気中のNOx、HC、COを同時に浄化できるものである。
【0016】
マニホールド触媒14は、排気マニホールドの集合部に設けられている。床下触媒15は、例えば車両の床下に配置される。
【0017】
排気通路13には、空燃比センサ16と酸素センサ17が設けられている。空燃比センサ16は、マニホールド触媒14の上流側に配置されている。つまり、空燃比センサ16は、マニホールド触媒14の入口側における排気の空燃比を検出する。空燃比センサ16は、空燃比に応じた略リニアな出力特性を有するものである。酸素センサ17は、マニホールド触媒14の下流側となり、床下触媒15の上流側となる位置に配置されている。酸素センサ17は、排気空燃比のリッチ/リーンのみを検出するものである。つまり、酸素センサ17は、マニホールド触媒14の出口側における排気空燃比のリッチ/リーンを検出する。換言すると、酸素センサ17は、床下触媒15の入口側における排気空燃比のリッチ/リーンを検出する。
【0018】
また、内燃機関1は、クランクシャフト(図示せず)のクランク角を検出するクランク角センサ18、運転者により操作されるアクセルペダルの踏込量を検出するアクセル開度センサ19等の各種センサを備えている。クランク角センサ18は、内燃機関1の機関回転数を検出可能なものである。
【0019】
上述した各種センサ類の検出信号は、コントロールユニット21に入力される。
【0020】
コントロールユニット21は、CPU、ROM、RAM及び入出力インターフェースを備えた周知のデジタルコンピュータである。
【0021】
コントロールユニット21は、各種センサ類の検出信号等に基づいて、燃料噴射弁7から噴射される燃料の噴射量や噴射時期、内燃機関1(点火プラグ8)の点火時期、吸入空気量等を最適に制御する。
【0022】
コントロールユニット21は、所定の燃料カット条件が成立すると、内燃機関1への燃料供給を停止する燃料カットを実施する。燃料カット条件は、例えば、暖機完了後に機関回転数が所定の燃料カット回転数以上でアクセル開度が所定開度以下となっている減速中に成立する。コントロールユニット21は、燃料カット中に、所定の燃料カットリカバー条件が成立すると、内燃機関1への燃料供給を再開する。燃料カットリカバー条件は、例えば、アクセル開度が所定開度よりも大きくなった場合や、アクセルペダルが踏み込まれることなく機関回転数が所定の燃料カットリカバー回転数以下となった場合に成立する。つまり、コントロールユニット21は、第1制御部に相当する。
【0023】
また、マニホールド触媒14及び床下触媒15は、燃料カットを実施したことにより多量の酸素が吸着されてNOxを還元しにくい状態となっている。
【0024】
そこで、コントロールユニット21は、燃料カットの実施直後に、マニホールド触媒14及び床下触媒15の排気浄化能力(NOx還元能力)の再生を促進させるために行う第1リッチスパイク及び第2リッチスパイクを制御する。第1リッチスパイク及び第2リッチスパイクは、当量比が理論当量比よりもリッチ側となるように、燃料噴射量を一時的に増量するものである。換言すると、第1リッチスパイク及び第2リッチスパイクは、空燃比が理論空燃比よりもリッチ側となるように、燃料噴射量を一時的に増量するものである。つまり、コントロールユニット21は、第2制御部及び第3制御部に相当する。
【0025】
第1リッチスパイクは、上述した燃料カットの終了後に、マニホールド触媒14の温度及びマニホールド触媒14の酸素ストレージ量に基づいて実施する。つまり、第1リッチスパイクは、マニホールド触媒14の排気浄化能力(NOx還元能力)の再生を促進させるものである。
【0026】
マニホールド触媒14の触媒温度は、例えば、内燃機関1からマニホールド触媒14までの物理モデルを用い、内燃機関1の吸入空気量、内燃機関1のトルク、内燃機関1の空燃比等の内燃機関1の運転状態に基づいて推定する。なお、マニホールド触媒14の温度は、温度センサで検出するようにしてもよい。
【0027】
マニホールド触媒14の酸素ストレージ量は、例えば、酸素センサ17の出力信号を用いて算出可能(推定可能)である。酸素ストレージ量の算出は、コントロールユニット21で実施される。
【0028】
第1リッチスパイクは、基本第1リッチスパイク量(基本第1リッチスパイク実施時間)に第1リッチスパイク温度補正関数を乗じて得られた第1リッチスパイク量(第1リッチスパイク実施時間)に応じて実施される。つまり、第1リッチスパイクは、第1リッチスパイク量に対応する第1リッチスパイク実施時間の間実施される。第1リッチスパイク量は、酸素ストレージ量とマニホールド触媒14の触媒温度を考慮して算出される。
【0029】
基本第1リッチスパイク量(基本第1リッチスパイク実施時間)は、燃料カット中にマニホールド触媒14に蓄積された酸素ストレージ量に基づいて算出される。基本第1リッチスパイク量(基本第1リッチスパイク実施時間)は、酸素ストレージ量が多くなるほど大きく(長く)なる。
【0030】
第1リッチスパイク温度補正関数は、マニホールド触媒14の触媒温度に依存する関数であり、マニホールド触媒14の触媒温度が高いほど、第1リッチスパイク量が大きく(第1リッチスパイク実施時間が長く)なるように基本第1リッチスパイク量(基本第1リッチスパイク実施時間)を補正するものである。
【0031】
第1リッチスパイクは、マニホールド触媒14の触媒温度が高くなるほど、また酸素ストレージ量が多くなるほど実施時間が長くなる。
【0032】
第1リッチスパイク量は、酸素ストレージ量とマニホールド触媒14の触媒温度を考慮することで精度良く算出される。
【0033】
第2リッチスパイクは、第1リッチスパイクの実施後に第1リッチスパイクに連続するよう実施される。第2リッチスパイクは、床下触媒15の排気浄化能力(NOx還元能力)の再生を促進させるものである。
【0034】
ここで、床下触媒15の触媒温度は、例えば、内燃機関1から床下触媒15までの物理モデルを用い、内燃機関1の吸入空気量、内燃機関1のトルク、内燃機関1の空燃比等の内燃機関1の運転状態に基づいて推定することも可能である。しかしながら、内燃機関1から床下触媒15までの物理モデルを用いて推定する場合、内燃機関1から床下触媒15までの距離が長くなるため、その間に低下する排気温度の低下量の推定誤差が大きくなり、総じて床下触媒15の温度を精度良く推定できない虞がある。つまり、内燃機関1から床下触媒15までの物理モデルを用いて推定する床下触媒15の触媒温度を推定する場合には、床下触媒15が活性化していない状態を誤って活性化していると判定して第2リッチスパイクを行い、排気性能が悪化する虞がある。
【0035】
そこで、第2リッチスパイクは、床下触媒15に供給される触媒供給熱量が所定値Q以上の場合に床下触媒15が活性化された状態であると判定して実施する。つまり、第2リッチスパイクは、触媒供給熱量が所定値Q未満であれば実施されない。所定値Qは、床下触媒15の活性化が担保されるように予め設定されるものである。
【0036】
また、第2リッチスパイクは、触媒供給熱量が所定値Q以上であれば、触媒供給熱量の多寡によらず、予め設定された一定時間実施される。つまり、第2リッチスパイクは、床下触媒15の触媒温度によらず一定時間実施される。第2リッチスパイクは、床下触媒15の酸素ストレージ量を最大値と仮定したときに、例えば酸素ストレージ量が最大値の50%まで減少するように実施される。
【0037】
触媒供給熱量は、例えば、内燃機関1の機関回転数、点火時期、吸気空気量、燃料噴射量に基づいて算出可能(推定可能)である。触媒供給熱量の算出は、コントロールユニット21で実施される。触媒供給熱量は、床下触媒15の入口側に供給される熱量の積算値である。
【0038】
図2は、燃料カット後に第1リッチスパイクのみが実施された場合を示すタイミングチャートである。
【0039】
図2の時刻t1は、燃料カット条件が成立し、燃料カットが開始されるタイミングである。
【0040】
図2の時刻t2は、燃料カットリカバー条件が成立し、燃料カットが終了するタイミングである。第1リッチスパイクを実施する際にオン(ON )となる第1リッチスパイク要求フラグは、図2の時刻t2のタイミングでオフ(OFF)からオンに切り替わる。第1リッチスパイクは、時刻t2における第1リッチスパイク量に応じた期間実施される。←ここ
図2の時刻t3は、第1リッチスパイク要求フラグがオンからオフに切り替わるタイミングである。つまり、第1リッチスパイクは、図2の時刻t2~時刻3の間実施される。図2中の時刻t3は、図2中の時刻t2のタイミングにおける第1リッチスパイク量に応じて設定される。←ここ
図3は、燃料カット後に第2リッチスパイクが実施する場合を示すタイミングチャートである。
【0041】
図3の時刻t1は、燃料カット条件が成立し、燃料カットが開始されるタイミングである。
【0042】
図3の時刻t2は、燃料カットリカバー条件が成立し、燃料カットが終了するタイミングである。第1リッチスパイク要求フラグは、図3の時刻t2のタイミングでオフ(OFF)からオンに切り替わる。
【0043】
図3の時刻t3は、第1リッチスパイク要求フラグがオンからオフに切り替わるタイミングである。第2リッチスパイクを実施する際にオン(ON )となる第2リッチスパイク要求フラグは、図3の時刻t3のタイミングでオフ(OFF)からオンに切り替わる。図3の例では、時刻t2のタイミングで触媒供給熱量が所定値Q以上となっているので、第2リッチスパイク要求フラグが時刻t3のタイミングでオンとなっている。
【0044】
第2リッチスパイクは、第1リッチスパイクと連続して実施することにより、排気性能の悪化(NOxの発生)を抑制することができる。第1リッチスパイクと第2リッチスパイクとを連続して実施しない場合には、その間に排気性能が悪化(NOxの発生)する虞がある。
【0045】
図3中の時刻t4は、図3中の時刻t3から予め設定された所定時間経過したタイミングである。図3中の時刻t4は、第2リッチスパイク要求フラグがオンからオフに切り替わるタイミングである。第2リッチスパイクは、図3の時刻t3~時刻4の間実施される。
【0046】
図4は、燃料カット後に第2リッチスパイクが実施しなかった場合を示すタイミングチャートである。
【0047】
図4の時刻t1は、燃料カット条件が成立し、燃料カットが開始されるタイミングである。
【0048】
図4の時刻t2は、燃料カットリカバー条件が成立し、燃料カットが終了するタイミングである。第1リッチスパイク要求フラグは、図4の時刻t2のタイミングでオフ(OFF)からオンに切り替わる。
【0049】
図4の時刻t3は、第1リッチスパイク要求フラグがオンからオフに切り替わるタイミングである。図4の例では、時刻t2のタイミングで触媒供給熱量が所定値Q未満なので、第2リッチスパイク要求フラグは、時刻t3のタイミングでオンになることはなく、第2リッチスパイクは実施されない。
【0050】
図5は、上述した実施例の車両に搭載された内燃機関1の制御の流れを示すフローチャートである。
【0051】
ステップS1では、燃料カット条件が成立したか否かを判定する。ステップS1において燃料カット条件が成立したと判定された場合には、ステップS2へ進み燃料カットを実施(開始)する。ステップS1において燃料カット条件が成立したと判定されなかった場合には、今回のルーチンを終了する。
【0052】
ステップS3では、燃料カットリカバー条件が成立したか否かを判定する。ステップS3において燃料カットリカバー条件が成立したと判定された場合には、ステップS4へ進み燃料カットを終了する。ステップS3において燃料カットリカバー条件が成立していないと判定された場合には、ステップS2へ進み燃料カットを継続する。
【0053】
ステップS5では、触媒供給熱量が所定値Q以上であるか否かを判定する。ステップS5において触媒供給熱量が所定値Q以上であると判定された場合は、ステップS6へ進み、その後ステップS7へ進む。ステップS5において触媒供給熱量が所定値Q未満であると判定された場合は、ステップS8へ進む。
【0054】
ステップS6では、第1リッチスパイクを実施する。ステップS7では、第2リッチスパイクを実施する。ステップS8では、第1リッチスパイクを実施する。
【0055】
図6は、上述した実施例の車両に搭載された内燃機関1の制御の流れを示すブロック図である。
【0056】
ステップS11では、マニホールド触媒14の触媒温度を推定する。ステップS12では、触媒供給熱量を算出する。ステップS13では、マニホールド触媒14の触媒温度、酸素センサ17からの検出信号、エアフローメータ11の検出信号である吸入吸気量、燃料カット情報等を用いて所定のタイミングで第1リッチスパイク量を算出し、第1リッチスパイクを実施する。
【0057】
ステップS14では、ステップS13で算出された第1リッチスパイク量、もしくは後述するステップS16で算出された第2リッチスパイク量に基づいて目標空燃比を算出する。ステップS15では、内燃機関1の空燃比がステップS14で算出された目標空燃比となるような燃料噴射弁7からの燃料噴射量を算出する。ステップS16では、触媒供給熱量と、ステップS13からの第1リッチスパイク要求フラグのオン/オフ情報を用いて所定のタイミングで第2リッチスパイク量を算出する。
【0058】
以上説明してきたように、車両は、燃料カットの実施後に、マニホールド触媒14及び床下触媒15に対してそれぞれ適切なリッチスパイク(マニホールド触媒14に対しては第1リッチスパイク、床下触媒15に対しては第2リッチスパイク)を実施することが可能となる。そのため、車両は、燃料カットの実施後に、マニホールド触媒14及び床下触媒15の酸素ストレージ量をそれぞれ適切に低減することができ、内燃機関1の排気性能の悪化を抑制することができる。
【0059】
以上、本発明の具体的な実施例を説明してきたが、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0060】
例えば、第2リッチスパイクは、第1リッチスパイクを終了したタイミングで触媒供給熱量が所定値Q以上の場合に実施するようにしてもよい。すなわち、第2リッチスパイクは、第1リッチスパイクを終了したタイミングで触媒供給熱量が所定値Q未満の場合に実施しないようにしてもよい。
【0061】
上述した実施例は、車両の制御方法及び車両の制御装置に関するものである。
【符号の説明】
【0062】
1…内燃機関
2…燃焼室
3…吸気弁
4…吸気ポート
5…排気弁
6…排気ポート
7…燃料噴射弁
8…点火プラグ
9…吸気通路
10…エアクリーナ
11…エアフローメータ
12…スロットル弁
13…排気通路
14…マニホールド触媒
15…床下触媒
16…空燃比センサ
17…酸素センサ
18…クランク角センサ
19…アクセル開度センサ
21…コントロールユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6