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特開2024-77672エレベータのガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077672
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】エレベータのガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/02 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
B66B7/02 H
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189749
(22)【出願日】2022-11-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 浩明
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305BD01
3F305DA08
3F305DA23
(57)【要約】
【課題】 芯出しを行った第1のガイドレールを基準として第2のガイドレールの芯出しを行うことができるエレベータのガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置を提供する。
【解決手段】 エレベータのガイドレール芯出し方法は、第1横方向に離れて配置される一対の第1ガイドレールの芯出しを行う工程と、一対の第1ガイドレールのうち一方の第1ガイドレールにレーザ光源を取り付ける工程と、一対の第2ガイドレールのうち少なくとも一方の第2ガイドレールに位置合わせ部材を取り付ける工程と、レーザ光源から第1横方向と交差する第2横方向に照射された第1レーザ光に、位置合わせ部材を位置合わせすることで、少なくとも一方の第2ガイドレールの芯出しを行う工程と、を含む。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1横方向に離れて配置される一対の第1ガイドレールの芯出しを行う工程と、
前記一対の第1ガイドレールのうち一方の第1ガイドレールにレーザ光源を取り付ける工程と、
一対の第2ガイドレールのうち少なくとも一方の第2ガイドレールに位置合わせ部材を取り付ける工程と、
前記レーザ光源から第1横方向と交差する第2横方向に照射された第1レーザ光に、前記位置合わせ部材を位置合わせすることで、前記少なくとも一方の第2ガイドレールの芯出しを行う工程と、を含む、エレベータのガイドレール芯出し方法。
【請求項2】
前記第1レーザ光は、上下方向に延びるラインレーザ光であり、
前記位置合わせ部材は、前記レーザ光源と異なる高さに取り付けられる、請求項1に記載のエレベータのガイドレール芯出し方法。
【請求項3】
前記位置合わせ部材は、前記第1レーザ光に位置合わせするための基準線を有しており、
前記基準線は、間隔をあけて一列に並ぶ複数の直線で構成される、請求項1に記載のエレベータのガイドレール芯出し方法。
【請求項4】
前記位置合わせ部材は、前記一対の第2ガイドレールにそれぞれ取り付けられ、一対の前記位置合わせ部材は、長さを調整可能な長さ調整部材で連結されている、請求項1に記載のエレベータのガイドレール芯出し方法。
【請求項5】
前記レーザ光源は、第1横方向に第2レーザ光を照射し、
前記レーザ光源は、前記一対の第1ガイドレールのガイド部を通過する直線上に前記第2レーザ光を照射するように、前記一方の第1ガイドレールのガイド部に取り付けられる、請求項1に記載のエレベータのガイドレール芯出し方法。
【請求項6】
前記第1ガイドレールは、かごを案内するかごレールであり、前記第2ガイドレールは、釣合錘を案内する錘レールである、請求項1に記載のエレベータのガイドレール芯出し方法。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載のエレベータのガイドレール芯出し方法に用いられるガイドレール芯出し装置であって、
前記レーザ光源と、
前記レーザ光源が固定され、前記第1ガイドレールのガイド部を把持する第1治具と、
前記位置合わせ部材と、
前記位置合わせ部材が固定され、前記第2ガイドレールのガイド部を把持する第2治具と、を備える、ガイドレール芯出し装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータのガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータにおいて、かご及び釣合錘は、ガイドレールに沿って昇降する。ガイドレールに曲がりやねじれ、継ぎ目の段差があると、乗り心地が悪くなったり、また建物側に振動や騒音が伝わったりする。そのため、ガイドレールを据え付ける際に、ガイドレールを正確な位置に固定する、芯出しと呼ばれる作業がある。この芯出しでは、従来、錘を付けたピアノ線を昇降路の頂部から垂らして基準線としていた(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1のガイドレール芯出し装置は、一対のガイドレールについての芯出しを行うものであり、かご用のピアノ線を基準としたかご用のガイドレールの芯出しと、釣合錘用のピアノ線を基準とした釣合錘用のガイドレールの芯出しとを別々に行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭56-151266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、芯出しを行った第1のガイドレールを基準として第2のガイドレールの芯出しを行うことができるエレベータのガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エレベータのガイドレール芯出し方法は、第1横方向に離れて配置される一対の第1ガイドレールの芯出しを行う工程と、
前記一対の第1ガイドレールのうち一方の第1ガイドレールにレーザ光源を取り付ける工程と、
一対の第2ガイドレールのうち少なくとも一方の第2ガイドレールに位置合わせ部材を取り付ける工程と、
前記レーザ光源から第1横方向と交差する第2横方向に照射された第1レーザ光に、前記位置合わせ部材を位置合わせすることで、前記少なくとも一方の第2ガイドレールの芯出しを行う工程と、を含む。
【0007】
また、エレベータのガイドレール芯出し装置は、上記のエレベータのガイドレール芯出し方法に用いられるガイドレール芯出し装置であって、
前記レーザ光源と、
前記レーザ光源が固定され、前記第1ガイドレールのガイド部を把持する第1治具と、
前記位置合わせ部材と、
前記位置合わせ部材が固定され、前記第2ガイドレールのガイド部を把持する第2治具と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るエレベータの全体図
図2】同実施形態に係るエレベータの平面図
図3】同実施形態に係るガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置を説明するための平面図
図4図3のIV領域拡大図
図5】同実施形態に係るレール把持装置の平面図
図6図3のVI領域拡大図
図7】同実施形態に係る位置合わせ部材の(a)平面図、(b)正面図、及び(c)左側面図
図8】同実施形態に係るガイドレール芯出し装置及びガイドレール芯出し方法を説明するための側面図
図9】別実施形態に係るガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置を説明するための平面図
図10】別実施形態に係るガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置を説明するための平面図
図11】別実施形態に係るガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置を説明するための平面図
図12】別実施形態に係るガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置を説明するための平面図
図13】別実施形態に係るガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置を説明するための平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、エレベータのガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置における一実施形態について、図1図8を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0010】
また、各図において、第1方向D1は、第1横方向D1であり、第2方向D2は、第1横方向D1と直交する横方向である第2横方向D2であり、第3方向D3は、各横方向D1,D2とそれぞれ直交する上下方向D3である。
【0011】
まず、ガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置を説明することに先立って、ガイドレールを備えるエレベータについて、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、エレベータの構成は、以下の構成に限定されない。
【0012】
図1に示すように、エレベータ10は、例えば、人が乗るためのかご10aと、かご10aのかごシーブ10bに巻き掛けられる主ロープ10cと、主ロープ10cが巻き掛けられる錘シーブ10dを有するエレベータ用釣合錘(以下、単に「釣合錘」ともいう)10eと、主ロープ10cを駆動してかご10a及び釣合錘10eを上下方向D3に走行させる巻上機10fと、かご10aの下部と釣合錘10eの下部とにそれぞれ接続される釣合ロープ10gと、を備えている。なお、エレベータ10は、釣合ロープ10gに代えて釣合鎖を備えていてもよい。
【0013】
かごシーブ10bは、かご10aの下部に配置されており、錘シーブ10dは、釣合錘10eの上部に配置されている。そして、主ロープ10cの端部は、それぞれ昇降路X1の上部に固定されている。また、巻上機10fは、昇降路X1の内部に配置されている。
【0014】
本実施形態においては、主ロープ10cがかごシーブ10b及び錘シーブ10dに巻き掛けられることによって、主ロープ10cがかご10a及び釣合錘10eに接続されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、主ロープ10cの一端部がかご10aに固定され、主ロープ10cの他端部が釣合錘10eに固定され、巻上機10fが昇降路X1よりも上部の機械室の内部に配置されている、という構成でもよい。
【0015】
かご10a及び釣合錘10eは、上下方向D3に沿って延びるガイドレールに沿って昇降する。図2に示すように、ガイドレールは、かご10aを案内するために、上下方向D3に沿って延びるかごレール11,12と、釣合錘10eを案内するために、上下方向D3に沿って延びる錘レール21,22とを備えている。通常、かごレール11,12及び錘レール21,22は、昇降路X1の底面付近から頂部付近まで複数本据え付けられる。
【0016】
かごレール11,12は、略T字状断面を有しており、かご10aのガイドローラ又はガイドシューをガイドするガイド部11a,12aと、昇降路X1等に固定される固定板部11b,12bと、を備えていてもよい。同様に、錘レール21,22は、略T字状断面を有しており、釣合錘10eのガイドローラ又はガイドシューをガイドするガイド部21a,22aと、昇降路X1等に固定される固定板部21b,22bと、を備えていてもよい。
【0017】
次に、本実施形態に係るガイドレール芯出し装置について、図3図8を参照しながら説明する。
【0018】
ガイドレール芯出し装置は、図3に示すように、レーザ光源1と、レーザ光源1をかごレール11に取り付けるための第1治具2と、位置合わせ部材3と、位置合わせ部材3を一対の錘レール21,22にそれぞれ取り付けるための第2治具4と、を備えていてもよい。
【0019】
レーザ光源1は、例えばレーザ光を照射するレーザ水準器である。レーザ光源1は、例えば2軸方向にレーザ光を照射するレーザ水準器であってもよい。レーザ光源1は、第1レーザ光L1と、第1レーザ光L1と直交する第2レーザ光L2と、を照射してもよい。また、レーザ光源1は、好ましくは上下方向D3に沿った直線状に第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を照射する。レーザ光源1は、第1レーザ光L1として、上下方向D3に延びるラインレーザ光を照射してもよい。
【0020】
レーザ光源1は、第1治具2を介してかごレール11に取り付けられる。第1治具2は、図4に示すように、かごレール11のガイド部11aを把持するレール把持装置5と、レール把持装置5に固定されるベースプレート6と、を備えている。
【0021】
レール把持装置5は、ガイド部11aを前後左右から挟み込んで把持する。図5に示すように、ガイド部11aは、頂面11cと、第1側面11dと、第2側面11eと、第1くびれ部11fと、第2くびれ部11gと、を有している。レール把持装置5は、頂面11cと第1側面11dに当接するベース51と、第2側面11eに当接するブロック52と、第2くびれ部11gに当接するロック爪53と、を備えていてもよい。ブロック52は、ベース51に対して第2横方向D2に相対移動する。これにより、ベース51とブロック52は、第1側面11dと第2側面11eを第2横方向D2に挟み込んでガイド部11aを把持する。また、ロック爪53は、ベース51に対して第1横方向D1に相対移動する。これにより、ベース51とロック爪53は、頂面11cと第2くびれ部11gを第1横方向D1に挟み込んでガイド部11aを把持する。
【0022】
ベースプレート6は、レール把持装置5の上面に固定される。レーザ光源1は、ベースプレート6上に載置される。ベースプレート6は、図4に示すように、レーザ光源1の位置合わせをするためのマーカ6a,6b,6cを備えていてもよい。具体的には、レーザ光源1は、レーザ光源1からの第1レーザ光L1がマーカ6a上を通過し、レーザ光源1からの第2レーザ光L2がマーカ6b上を通過するように、ベースプレート6上に配置される。また、ベースプレート6は、マーカ6bがかごレール11のガイド部11aの中心線11hの延長線上に配置されるように、レール把持装置5に固定される。これにより、第2レーザ光L2は、図3に示すように、一対のかごレール11,12のガイド部11a,12aを通過する直線上に照射される。
【0023】
位置合わせ部材3は、長尺板状に形成されている。位置合わせ部材3は、図7に示すように、短手方向両端縁が下方へ折り曲げられていてもよい。なお、位置合わせ部材3は、短手方向両端縁が上方へ折り曲げられていてもよい。これにより、位置合わせ部材3の強度を向上できるとともに、後述する基準線3aを位置合わせ部材3の側面にも形成することができる。
【0024】
位置合わせ部材3は、基準線3aを有していてもよい。また、基準線3aは、長手方向に複数設けられてもよい。本実施形態では、4つの基準線3aが設けられている。基準線3aを複数設けることで、例えば、かご10aのサイズによってかごレール11,12に対する錘レール21,22の位置を変える必要がある場合にも、一種類の位置合わせ部材3にて対応することができる。
【0025】
また、位置合わせ部材3には、長手方向に沿って延びる開口3bが形成されており、基準線3aは、上下方向D3視において、間隔をあけて一列に並ぶ複数の直線となっている。基準線3aを間隔をあけて一列に並ぶ複数の直線で構成することで、仮に基準線3aの位置が第1レーザ光L1からずれている場合に、その位置ずれを判別しやすくなる。また、開口3bを形成することで、位置合わせ部材3を軽量化できる。
【0026】
位置合わせ部材3は、第2治具4を介して錘レール21,22に取り付けられる。第2治具4は、図6に示すように、錘レール21,22のガイド部21a,22aを把持するレール把持装置5と、レール把持装置5に固定される連結ブロック7と、を備えている。位置合わせ部材3は、レール把持装置5の上面に固定される。
【0027】
一対の第2治具4は、連結ブロック7を介して長さ調整部材8で連結されてもよい。長さ調整部材8は、長さを調整可能に構成されており、一対の錘レール21,22間の距離を調整することができる。
【0028】
次に、本実施形態に係るガイドレール芯出し方法について、図3及び図8を参照しながら説明する。
【0029】
初めに、かごレール11,12の芯出しを行う。かごレール11,12の芯出しは、従来と同様に、錘を付けたピアノ線を昇降路X1の上部から垂らして基準線とし、この基準線からのかごレール11,12までの距離が一定以下となるように調整してもよい。かごレール11,12は、最下段から順に最上段まで据え付けられる。かごレール11,12は、例えば、図示していない固定手段によって、昇降路X1や上下に隣接する別のかごレール11,12に固定される。
【0030】
次に、かごレール11,12のうち一方のかごレール11にレーザ光源1を取り付ける。レーザ光源1は、第1治具2を介してかごレール11に取り付けられる。レーザ光源1は、第2横方向D2に第1レーザ光L1を照射し、第1横方向D1に第2レーザ光L2を照射する。このとき、第2レーザ光L2は、一対のかごレール11,12のガイド部11a,12aを通過する直線上に照射されてもよい。
【0031】
次に、一対の錘レール21,22にそれぞれ位置合わせ部材3を取り付ける。位置合わせ部材3は、第2治具4を介して錘レール21,22に取り付けられる。また、一対の第2治具4は、長さ調整部材8で連結されており、一対の錘レール21,22は、長さ調整部材8によって互いの間隔が決定されてもよい。なお、長さ調整部材8は、不図示の水準器等を用いて水平となるように配置される。
【0032】
次に、レーザ光源1から第2横方向D2に照射された第1レーザ光L1に、位置合わせ部材3の基準線3aを位置合わせすることで、錘レール21,22の位置を調整し、錘レール21,22の芯出しを行う。これにより、芯出しを行ったかごレール11,12を基準として錘レール21,22の芯出しを行うことができる。その結果、錘レール21,22の芯出しを行うためのピアノ線を昇降路X1内に取り付ける必要がない。
【0033】
芯出しを行った錘レール21,22は、例えば、図示していない固定手段によって、昇降路X1や上下に隣接する別の錘レール21,22に固定される。錘レール21,22は、最下段から順に最上段まで芯出しを行いながら据え付けられる。
【0034】
なお、位置合わせ部材3は、図8に示すように、レーザ光源1、具体的にはレーザ光源1の第1レーザ光L1の照射部、と異なる高さに取り付けられてもよい。この構成によれば、第1レーザ光L1が上下方向D3に延びるラインレーザ光であるとき、錘レール22の位置合わせ部材3が、錘レール21の位置合わせ部材3の影に隠れることがないため、第1レーザ光L1による位置合わせを適切に行うことができる。
【0035】
[1]
以上より、ガイドレール芯出し方法は、本実施形態のように、第1横方向D1に離れて配置される一対の第1ガイドレール(本実施形態においては、かごレール)11,12の芯出しを行う工程と、前記一対の第1ガイドレール11,12のうち一方の第1ガイドレール11にレーザ光源1を取り付ける工程と、一対の第2ガイドレール(本実施形態においては、錘レール)21,22のうち少なくとも一方の第2ガイドレール(本実施形態においては、両方の錘レール)21,22に位置合わせ部材3を取り付ける工程と、前記レーザ光源1から第1横方向D1と交差する第2横方向D2に照射された第1レーザ光L1に、前記位置合わせ部材3を位置合わせすることで、前記少なくとも一方の第2ガイドレール21,22の芯出しを行う工程と、を含む、という方法が好ましい。
【0036】
斯かる方法によれば、芯出しを行った第1ガイドレール11,12を基準として第2ガイドレール21,22の芯出しを行うことができる。
【0037】
[2]
また、上記[1]のガイドレール芯出し方法においては、本実施形態のように、前記第1レーザ光L1は、上下方向D3に延びるラインレーザ光であり、前記位置合わせ部材3は、前記レーザ光源1と異なる高さに取り付けられる、という方法が好ましい。
【0038】
斯かる方法によれば、一方の位置合わせ部材3が他方の位置合わせ部材3の影に隠れることがないため、第1レーザ光L1による位置合わせを適切に行うことができる。
【0039】
[3]
また、上記[1]又は[2]のガイドレール芯出し方法においては、本実施形態のように、前記位置合わせ部材3は、前記第1レーザ光L1に位置合わせするための基準線3aを有しており、前記基準線3aは、間隔をあけて一列に並ぶ複数の直線で構成される、という方法が好ましい。
【0040】
斯かる方法によれば、位置合わせ部材3の位置合わせが容易となる。また、基準線3aを間隔をあけて一列に並ぶ複数の直線で構成することで、仮に基準線3aの位置が第1レーザ光L1からずれている場合に、その位置ずれを判別しやすくなる。
【0041】
[4]
また、上記[1]~[3]の何れか一つのガイドレール芯出し方法においては、本実施形態のように、前記位置合わせ部材3は、前記一対の第2ガイドレール21,22にそれぞれ取り付けられ、一対の前記位置合わせ部材3は、長さを調整可能な長さ調整部材8で連結されている、という方法が好ましい。
【0042】
斯かる方法によれば、一対の第2ガイドレール21,22の間隔を調整することができる。また、長さ調整部材8を水平となるように配置することで、一対の第2ガイドレール21,22の間隔をより正確に調整することができる。
【0043】
[5]
また、上記[1]~[4]の何れか一つのガイドレール芯出し方法においては、本実施形態のように、前記レーザ光源1は、第1横方向D1に第2レーザ光L2を照射し、前記レーザ光源1は、前記一対の第1ガイドレール(本実施形態においては、かごレール)11,12のガイド部11a,12aを通過する直線上に前記第2レーザ光L2を照射するように、前記一方の第1ガイドレール11のガイド部11aに取り付けられる、という方法が好ましい。
【0044】
斯かる方法によれば、第1ガイドレール11,12を並べる方向(本実施形態においては、第1横方向D1)と第2ガイドレール21,22を並べる方向(本実施形態においては、第2横方向D2)の角度を正確に設定できる。
【0045】
[6]
また、上記[1]~[5]の何れか一つのガイドレール芯出し方法においては、本実施形態のように、前記第1ガイドレールは、かご10aを案内するかごレール11,12であり、前記第2ガイドレールは、釣合錘10eを案内する錘レール21,22である、という方法が好ましい。
【0046】
斯かる方法によれば、エレベータ10において重要なかごレール11,12の芯出しを、錘レール21,22の芯出しよりも先に行うことができる。
【0047】
[7]
以上より、ガイドレール芯出し装置は、本実施形態のように、上記[1]~[6]の何れか一つのガイドレール芯出し方法に用いられるガイドレール芯出し装置であって、前記レーザ光源1と、前記レーザ光源1が固定され、前記第1ガイドレール(本実施形態においては、かごレール)11のガイド部11aを把持する第1治具2と、前記位置合わせ部材3と、前記位置合わせ部材3が固定され、前記第2ガイドレール(本実施形態においては、錘レール21,22)のガイド部21a,22aを把持する第2治具4と、を備える、という構成が好ましい。
【0048】
斯かる構成によれば、芯出しを行った第1ガイドレール11,12を基準として第2ガイドレール21,22の芯出しを行うことができる。
【0049】
なお、ガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、ガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0050】
(A)上記実施形態に係るガイドレール芯出し方法においては、第1レーザ光L1は、上下方向D3に延びるラインレーザ光であり、位置合わせ部材3は、レーザ光源1と異なる高さに取り付けられる、という方法である。しかしながら、ガイドレール芯出し方法は、斯かる方法に限られない。例えば、第1レーザ光L1は、上下方向D3に延びるラインレーザ光である必要はない。例えば、第1レーザ光L1として、ドットレーザを上下方向D3に走査させて上下方向D3に沿った直線状にレーザ光を照射してもよい。また、位置合わせ部材3は、レーザ光源1と同じ高さに取り付けられる、という方法でもよい。位置合わせ部材3とレーザ光源1が同じ高さであっても、例えば位置合わせ部材3の先端を基準として位置合わせすることができる。
【0051】
(B)上記実施形態に係るガイドレール芯出し方法においては、位置合わせ部材3は、第1レーザ光L1に位置合わせするための基準線3aを有しており、基準線3aは、間隔をあけて一列に並ぶ複数の直線で構成される、という方法である。しかしながら、ガイドレール芯出し方法は、斯かる方法に限られない。例えば、基準線3aは、連続した直線で構成される、という方法でもよい。また、基準線3aは、1本の直線で構成される必要はなく、例えば、2本の直線で構成され、2本の基準線3aの間を第1レーザ光L1が通るようにして位置合わせしてもよい。
また、位置合わせ部材3は、基準線3aに代えて、例えば、第1レーザ光L1に位置合わせするための位置合わせマーク(ドット、四角のマーキングなど)を有する、という構成でもよい。
【0052】
(C)上記実施形態に係るガイドレール芯出し方法においては、位置合わせ部材3は、一対の第2ガイドレール21,22にそれぞれ取り付けられ、一対の位置合わせ部材3は、長さを調整可能な長さ調整部材8で連結されている、という方法である。しかしながら、ガイドレール芯出し方法は、斯かる方法に限られない。例えば、一対の位置合わせ部材3は、一対の第2ガイドレール21,22にそれぞれ独立して取り付けられる、という方法でもよい。
【0053】
(D)上記実施形態に係るガイドレール芯出し方法においては、レーザ光源1は、第1横方向D1に第2レーザ光L2を照射し、レーザ光源1は、一対の第1ガイドレール(本実施形態においては、かごレール)11,12のガイド部11a,12aを通過する直線上に第2レーザ光L2を照射するように、一方の第1ガイドレール11のガイド部11aに取り付けられる、という方法である。しかしながら、ガイドレール芯出し方法は、斯かる方法に限られない。例えば、レーザ光源1は、第1レーザ光L1を第2横方向D2に照射できるように、第1ガイドレール11の固定板部11bに取り付けられる、という方法でもよい。
【0054】
(E)上記実施形態に係るガイドレール芯出し方法においては、第1ガイドレールは、かご10aを案内するかごレール11,12であり、第2ガイドレールは、釣合錘10eを案内する錘レール21,22である、という方法である。しかしながら、ガイドレール芯出し方法は、斯かる方法に限られない。例えば、第1ガイドレールは、釣合錘10eを案内する錘レール21,22であり、第2ガイドレールは、かご10aを案内するかごレール11,12である、という方法でもよい。
【0055】
(F)上記実施形態に係るガイドレール芯出し方法及びガイドレール芯出し装置においては、第2横方向D2は、第1横方向D1と直交する方向であるが、これに限定されない。第2横方向D2は、第1横方向D1と90度以外の角度で交差する方向でもよい。
【0056】
(G)上記実施形態に係るガイドレール芯出し方法においては、第1横方向D1に離れて配置される一対の第1ガイドレール11,12の芯出しを行う工程と、一対の第1ガイドレール11,12のうち一方の第1ガイドレール11にレーザ光源1を取り付ける工程と、一対の第2ガイドレール21,22のうち両方の第2ガイドレール21,22に位置合わせ部材3を取り付ける工程と、レーザ光源1から第1横方向D1と交差する第2横方向D2に照射された第1レーザ光L1に、位置合わせ部材3を位置合わせすることで、両方の第2ガイドレール21,22の芯出しを行う工程と、を含む、という方法である。しかしながら、ガイドレール芯出し方法は、斯かる方法に限られない。
図9に示すように、ガイドレール芯出し方法は、第1横方向D1に離れて配置される一対の第1ガイドレール11,12の芯出しを行う工程と、一対の第1ガイドレール11,12のうち一方の第1ガイドレール11にレーザ光源1を取り付ける工程と、一対の第2ガイドレール21,22のうち少なくとも一方の第2ガイドレール22に位置合わせ部材3を取り付ける工程と、一対の第2ガイドレール21,22の間に長さ調整部材8を取り付ける工程と、レーザ光源1から第1横方向D1と交差する第2横方向D2に照射された第1レーザ光L1に、位置合わせ部材3を位置合わせすることで、少なくとも一方の第2ガイドレール22の芯出しを行う工程と、を含む、という方法でもよい。なお、このガイドレール芯出し方向においては、一対の第1ガイドレール11,12の芯出しを行う工程の後、第2ガイドレール21を一体化ブラケット9で第1ガイドレール11に固定することで第2ガイドレール21の芯出しを行う。
【0057】
(H)上記実施形態に係るガイドレール芯出し方法においては、一対の第2ガイドレール21,22は、一対の第1ガイドレール11,12が並べられた第1横方向D1と交差する方向(上記実施形態では第2横方向D2)に並べて配置されているが、これに限定されない。例えば、一対の第2ガイドレール21,22は、一対の第1ガイドレール11,12と同様に第1横方向D1に並べて配置されてもよい。言い換えると、一対の第2ガイドレール21,22は、一対の第1ガイドレール11,12が並べられた直線と平行な直線上に並べて配置されてもよい。
図10に示すように、ガイドレール芯出し方法は、第1横方向D1に離れて配置される一対の第1ガイドレール11,12の芯出しを行う工程と、一対の第1ガイドレール11,12のうち一方の第1ガイドレール11にレーザ光源1を取り付ける工程と、一対の第2ガイドレール21,22のうち少なくとも一方の第2ガイドレール21に位置合わせ部材3cを取り付ける工程と、第1ガイドレール11と第2ガイドレール21の間に長さ調整部材8aを取り付ける工程と、レーザ光源1から第1横方向D1と交差する第2横方向D2に照射された第1レーザ光L1に、位置合わせ部材3cを位置合わせすることで、少なくとも一方の第2ガイドレール21の芯出しを行う工程と、を含む、という方法でもよい。なお、位置合わせ部材3cは、上記実施形態に係る位置合わせ部材3と形状が異なるが、位置合わせ部材の形状は特に限定されない。
【0058】
図11は、図10に示す方法にて第2ガイドレール21の芯出しを行った後、第2ガイドレール22の芯出しを行う工程を説明するための図である。ガイドレール芯出し方法は、第2ガイドレール21の芯出しを行った後、第2ガイドレール21に第1のレーザ光源1aを取り付ける工程と、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール22に位置合わせ部材3d,3eを取り付ける工程と、一対の第1ガイドレール11,12の間に長さ調整部材8bを取り付け、長さ調整部材8b上に第2のレーザ光源1bを取り付ける工程と、第1のレーザ光源1aから第2横方向D2に照射されたレーザ光を位置合わせ部材3dに合わせることで第1のレーザ光源1aを位置決めする工程と、第1レーザ光源1aから第1横方向D1に照射されたレーザ光に第2ガイドレール22のガイド部を位置合わせし、第2のレーザ光源1bから第2横方向D2に照射されたレーザ光に位置合わせ部材3eを位置合わせすることで、第2ガイドレール22の芯出しを行う工程と、をさらに含む、という方法でもよい。
【0059】
また、図12は、図10に示す方法にて第2ガイドレール21の芯出しを行った後、第2ガイドレール22の芯出しを行う工程を説明するための図である。ガイドレール芯出し方法は、第2ガイドレール21の芯出しを行った後、第2ガイドレール21にレーザ光源1cを取り付ける工程と、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール22に位置合わせ部材3f,3gを取り付ける工程と、一対の第2ガイドレール21,22の間に長さ調整部材8cを取り付ける工程と、レーザ光源1cから第2横方向D2に照射されたレーザ光を位置合わせ部材3fに合わせることでレーザ光源1cを位置合わせする工程と、レーザ光源1cから第1横方向D1に照射されたレーザ光に位置合わせ部材3gを位置合わせすることで、第2ガイドレール22の芯出しを行う工程と、をさらに含む、という方法でもよい。
【0060】
また、図13は、図10に示す方法にて第2ガイドレール21の芯出しを行った後、第2ガイドレール22の芯出しを行う工程を説明するための図である。ガイドレール芯出し方法は、第2ガイドレール21の芯出しを行った後、第2ガイドレール22にレーザ光源1dを取り付ける工程と、一対の第1ガイドレール11,12の間に長さ調整部材8dを取り付け、長さ調整部材8d上に位置合わせ部材3hを取り付ける工程と、第2ガイドレール21に位置合わせ部材3iを取り付ける工程と、レーザ光源1dから第2横方向D2に照射されたレーザ光を位置合わせ部材3hに合わせ、且つレーザ光源1dから第1横方向D1に照射されたレーザ光を位置合わせ部材3iに合わせることで、第2ガイドレール22の芯出しを行う工程と、をさらに含む、という方法でもよい。
【0061】
また、ガイドレール芯出し方法は、第2ガイドレール21の芯出しを行った後、第2ガイドレール21に第2ガイドレール22との距離及び角度を決めることができる不図示の治具を取り付け、第2ガイドレール22の芯出しを行う工程をさらに含む、という方法でもよい。
【0062】
(I)なお、例えば、特許請求の範囲、明細書及び図面において示した方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各工程の実行順序は、前の工程での生成物を後の工程で用いるものでない限り、任意の順序で実現できる。例えば、便宜上、「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実行することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0063】
1…レーザ光源、1a…第1のレーザ光源、1b…第2のレーザ光源、1c…レーザ光源、1d…レーザ光源、2…第1治具、3…位置合わせ部材、3a…基準線、3b…開口、3c~3i…位置合わせ部材、4…第2治具、5…レール把持装置、6…ベースプレート、6a…マーカ、6b…マーカ、6c…マーカ、7…連結ブロック、8…長さ調整部材、8a~8d…長さ調整部材、9…一体化ブラケット、10…エレベータ、10a…かご、10b…かごシーブ、10c…主ロープ、10d…錘シーブ、10e…釣合錘、10f…巻上機、10g…釣合ロープ、11…かごレール、11a…ガイド部、11b…固定板部、11c…頂面、11d…第1側面、11e…第2側面、11f…第1くびれ部、11g…第2くぼみ部、11h…中心線、12…かごレール、12a…ガイド部、12b…固定板部、21…錘レール、21a…ガイド部、21b…固定板部、22…錘レール、22a…ガイド部、22b…固定板部、51…ベース、52…ブロック、53…ロック爪、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向、L1…第1レーザ光、L2…第2レーザ光、X1…昇降路
図1
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図13