(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077678
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】ドローンポート
(51)【国際特許分類】
B64U 70/92 20230101AFI20240603BHJP
【FI】
B64U70/92
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189762
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】505473503
【氏名又は名称】株式会社セネック
(74)【代理人】
【識別番号】100199107
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 拓司
(72)【発明者】
【氏名】和歌 幸蔵
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可搬性が高く、ドローンポートを使用しない場合にはコンパクトな状態にでき、かつドローンポートの骨格部分と内部機器を含む本体を保護する。
【解決手段】車輪10と、その上に設けられ本体上面と本体側面22とを備えた本体部と、本体上面の上に設けられた離着陸本体面31と、離着陸本体面31に対して回動可能に連接された離着陸外面32と、を備え、離着陸外面32は離着陸本体面31の法線と平行に固定することができ、本体側面22と平行でも固定することができ、離着陸外面32を本体側面22と平行に固定した場合において、離着陸外面32の法線と垂直な仮想垂直面に対して離着陸外面32を投影した形状の上の部分は、仮想垂直面に対して本体側面22を投影した形状の上の部分と同一の位置または上の位置にある、ドローンポートである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と、
前記車輪の上に設けられ本体上面と本体側面とを備えた本体部と、
前記本体上面の上に設けられた離着陸本体面と、
前記離着陸本体面の外周において前記離着陸本体面に対して回動可能に連接された離着陸外面と、
を備え、
前記離着陸外面はその法線が前記離着陸本体面の法線と平行となる角度で固定することができ、
前記離着陸外面はその法線が前記本体側面の法線と平行となる角度でも固定することができ、
前記離着陸外面をその法線が前記本体側面の法線と平行となる角度で固定した場合において、
前記離着陸外面の法線と垂直な仮想垂直面に対して前記離着陸外面の法線と平行な方向に前記離着陸外面を投影した形状の外周のうちの上の部分は、
前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの上の部分と同一の位置、
または前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの上の部分より上の位置にある、
ドローンポート。
【請求項2】
前記仮想垂直面に対して前記離着陸外面の法線と平行な方向に前記離着陸外面を投影した形状の外周のうちの左の部分は、
前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの左の部分と同一の位置、
または前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの左の部分よりさらに左の位置にあり、
前記仮想垂直面に対して前記離着陸外面の法線と平行な方向に前記離着陸外面を投影した形状の外周のうちの右の部分は、
前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの右の部分と同一の位置、
または前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの右の部分よりさらに右の位置にある、
請求項1に記載のドローンポート。
【請求項3】
水平面と平行な仮想水平面に対して前記離着陸本体面の法線と平行な方向に前記離着陸本体面を投影した形状の外周は正2N角形(Nは2以上の整数)を形作る、
請求項1または請求項2に記載のドローンポート。
【請求項4】
前記仮想水平面に対して前記離着陸本体面の法線と平行な方向に前記離着陸本体面を投影した形状の外周は正方形を形作る、
請求項3に記載のドローンポート。
【請求項5】
前記本体側面は複数あり、
前記離着陸外面の個数は前記本体側面と同じであり、
前記仮想垂直面に対して前記離着陸外面の法線と平行な方向に前記離着陸外面を投影した形状の外周は全て同一である、
請求項3に記載のドローンポート。
【請求項6】
一の前記離着陸外面とこれに隣り合う他の前記離着陸外面との間には離着陸外隣接面がそれぞれの前記離着陸外面と回動可能に連接されている、
請求項5に記載のドローンポート。
【請求項7】
前記離着陸外面をその法線が前記離着陸本体面の法線と平行となる角度で固定した場合において、
前記仮想水平面に対して前記離着陸外隣接面の法線と平行な方向に前記離着陸外隣接面を投影した形状の外周は二等辺三角形であり、
前記離着陸外隣接面に対して前記仮想水平面の法線と平行な方向に前記二等辺三角形の垂直二等分線を投影した仮想線において前記離着陸外隣接面は隣接第一面と隣接第二面に分割されており、
前記隣接第一面と前記隣接第二面とは前記仮想線の位置で回動可能に連接されている、
請求項6に記載のドローンポート。
【請求項8】
それぞれの前記仮想垂直面に対して前記離着陸外面のそれぞれの法線と平行な方向にそれぞれの前記離着陸外面を投影した形状の外周は長方形を形作る、
請求項5から請求項7に記載のドローンポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドローンポートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドローンの様々な活用がなされるようになり、農業用途や物流用途、画像や動画の撮影など、幅広い用途にドローンが用いられるようになっている。それに伴い、ドローンを離着陸させる場所として、ドローンポートも種々のものが提案され、実用化されている。
【0003】
これらのドローンポートは多種多様で、持ち運びが便利なもの、安定性の高いもの、生産コストが低いものなど、その用途に合わせていろいろなポートがある。なお特許文献1には、ドローンポートとしてのフェンスの部分は収容したコンパクトな状態にすることができ、移動が容易なように車輪を備え、かつ使用時にはフェンスの部分を広げる等、ドローンポートとして必要十分な構造・スペースに展開できる技術が開示されている。
【0004】
またドローンポートを人がいない場所などに設置する必要がある場合、ドローンポートを使用しない場合はドローンポート本体をコンパクトな状態にしておき、使用時には遠隔操作でドローンポートを使用状態にしたいというニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ドローンポートを人がいない場所などに設置する際には、可搬性の高さはもちろんのこと、ドローンポートを使用しない場合にはコンパクトな状態にすることができるだけでなく、使用しない時にはドローンポートの骨格部分と内部機器を含む本体を保護しておきたいという課題があった。
【0007】
本開示の目的は、可搬性が高く、ドローンポートを使用しない場合にはコンパクトな状態にすることができ、かつドローンポートの骨格部分と内部機器を含む本体を保護することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のドローンポートは、車輪と、前記車輪の上に設けられ本体上面と本体側面とを備えた本体部と、前記本体上面の上に設けられた離着陸本体面と、前記離着陸本体面の外周において前記離着陸本体面に対して回動可能に連接された離着陸外面と、を備え、前記離着陸外面はその法線が前記離着陸本体面の法線と平行となる角度で固定することができ、前記離着陸外面はその法線が前記本体側面の法線と平行となる角度でも固定することができ、前記離着陸外面をその法線が前記本体側面の法線と平行となる角度で固定した場合において、前記離着陸外面の法線と垂直な仮想垂直面に対して前記離着陸外面の法線と平行な方向に前記離着陸外面を投影した形状の外周のうちの上の部分は、前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの上の部分と同一の位置、または前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの上の部分より上の位置にある。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ドローンポートとしての使用時には広い離着陸スペースを確保でき、ドローンポートの格納時、つまりドローンポートを使用しない時には離着陸外面を本体側面の横に折りたたんで、ドローンポート本体の骨格部分などの内部を保護しつつコンパクトに収納でき、容易に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、使用時のドローンポートを斜め上から見たイメージ図である。
【
図2】
図2は、使用時におけるドローンポートを斜め下から見たイメージ図である。
【
図3】
図3は、使用時におけるドローンポートを本体側面の方向から見た図である。
【
図4】
図4は、使用時におけるドローンポートを別の方向から見た図である。
【
図5】
図5は、運搬時におけるドローンポートを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、運搬時における別の実施形態のドローンポートを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、運搬時におけるまた別の実施形態のドローンポートを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、運搬時におけるさらに別の実施形態のドローンポートを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、使用時における
図7の実施形態のドローンポートを示す斜視図である。
【
図10】
図10は、使用時における
図8の実施形態のドローンポートを示す斜視図である。
【
図12】
図12は、格納時において仮想水平面に本体上面と離着陸本体面を投影したイメージ図である。
【
図13】
図13は、格納時において仮想垂直面に本体側面と離着陸外面を投影したイメージ図である。
【
図15】
図15は、ドローンポートの設置状態とドローンの運行状態を示すイメージ図である。
【
図16】
図16は、ドローンポートの設置状態においてドローンポートを展開した示すイメージ図である。
【
図17】
図17は、ドローンポートに配送物が配置された状態を示すイメージ図である。
【
図18】
図18は、ドローンポートが配送物のずれを修正するイメージ図である。
【
図20】
図20は、情報機器・管理サーバ・ドローン・ドローンポートの情報の送受信を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のドローンポートは、
[1]車輪と、前記車輪の上に設けられ本体上面と本体側面とを備えた本体部と、前記本体上面の上に設けられた離着陸本体面と、前記離着陸本体面の外周において前記離着陸本体面に対して回動可能に連接された離着陸外面と、を備え、前記離着陸外面はその法線が前記離着陸本体面の法線と平行となる角度で固定することができ、前記離着陸外面はその法線が前記本体側面の法線と平行となる角度でも固定することができ、前記離着陸外面をその法線が前記本体側面の法線と平行となる角度で固定した場合において、前記離着陸外面の法線と垂直な仮想垂直面に対して前記離着陸外面の法線と平行な方向に前記離着陸外面を投影した形状の外周のうちの上の部分は、前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの上の部分と同一の位置、または前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの上の部分より上の位置にある。
【0012】
この構成によれば、可搬性が高く、ドローンポートを使用しない場合にはコンパクトな状態にすることができ、かつドローンポートの骨格部分と内部機器を含む本体を保護することができる。
【0013】
[2]上記[1]のものにおいて、前記仮想垂直面に対して前記離着陸外面の法線と平行な方向に前記離着陸外面を投影した形状の外周のうちの左の部分は前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの左の部分と同一の位置、または前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの左の部分よりさらに左の位置にあり、前記仮想垂直面に対して前記離着陸外面の法線と平行な方向に前記離着陸外面を投影した形状の外周のうちの右の部分は前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの右の部分と同一の位置、または前記仮想垂直面に対して前記本体側面の法線と平行な方向に前記本体側面を投影した形状の外周のうちの右の部分よりさらに右の位置にある、とすることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、ドローンポートの格納時、本体部と内部機器をより広範囲に離着陸外面で保護することができる。
【0015】
[3]上記[1]または[2]のものにおいて、水平面と平行な仮想水平面に対して前記離着陸本体面の法線と平行な方向に前記離着陸本体面を投影した形状の外周は正2N角形(Nは2以上の整数)を形作る、とすることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、仮想水平面の方向における本体部のスペースがいびつな形状にならず内部機器を本体部の内部にバランスよく収めることができる。
【0017】
[4]上記[3]のものにおいて、前記仮想水平面に対して前記離着陸本体面の法線と平行な方向に前記離着陸本体面を投影した形状の外周は正方形を形作る、とすることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、離着陸外面を共通化しつつその離着陸外面の部材数を最小限に減らして生産コストを下げることができる。
【0019】
[5]上記[3]のものにおいて、前記本体側面は複数あり、前記離着陸外面の個数は前記本体側面と同じであり、前記仮想垂直面に対して前記離着陸外面の法線と平行な方向に前記離着陸外面を投影した形状の外周は全て同一である、とすることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、離着陸外面を統一することで生産コストを下げることができる。
【0021】
[6]上記[5]のものにおいて、一の前記離着陸外面とこれに隣り合う他の前記離着陸外面との間には離着陸外隣接面がそれぞれの前記離着陸外面と回動可能に連接されている、とすることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、離着陸スペースをより広く確保することができる。
【0023】
[7]上記[6]のものにおいて、前記離着陸外面をその法線が前記離着陸本体面の法線と平行となる角度で固定した場合において、前記仮想水平面に対して前記離着陸外隣接面の法線と平行な方向に前記離着陸外隣接面を投影した形状の外周は二等辺三角形であり、前記離着陸外隣接面に対して前記仮想水平面の法線と平行な方向に前記二等辺三角形の垂直二等分線を投影した仮想線において前記離着陸外隣接面は隣接第一面と隣接第二面に分割されており、前記隣接第一面と前記隣接第二面とは前記仮想線の位置で回動可能に連接されている、とすることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、離着陸外面と同じように離着陸外隣接面もドローンポートの格納時に効率よく収納できる。
【0025】
[8]上記[5]から[7]のものにおいて、それぞれの前記仮想垂直面に対して前記離着陸外面のそれぞれの法線と平行な方向にそれぞれの前記離着陸外面を投影した形状の外周は長方形を形作る、とすることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、本体部の骨組み部分を直角・平行のみの組み合わせでシンプルに構成できる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のドローンポートの具体例を以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。
なお本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。なお上とは
図3および
図4における上を言うものとする。
【0028】
[実施形態1]
(ドローンポート1)
ドローンポート1は、
図1・
図5・
図11などに示すように、複数の車輪10と、その上に設けられた本体部20と、その上に設けられドローンの離着陸に使用される離着陸面30と、を備える。
【0029】
(車輪10)
車輪10は、
図1などに示すように、様々な大きさ、材質、強度の市販されている汎用品を使用することができる。大きさについては、ドローンポート1を運搬する際の運搬路の段差が小さい場合は小さい車輪10を選択し、エレベーターとフロアの間の隙間などを含み運搬路に比較的大きな段差がある場合は直径のより大きな車輪10を選択することができる。
【0030】
車輪10の材質・強度については、その使用環境に合わせて耐候性などの要求レベルに応じた材質のものを選択し、ドローンポート10自体の質量やドローンの荷重などに応じた強度のものを、コストも含めて選択する。
【0031】
(高さ調整部11)
車輪10と本体部20の間には、その高さを調整することができる高さ調整部が設けられている。例えば車輪10の上部が雄ネジに、本体部20の車輪10を取り付ける部分が雌ネジになっていて、車輪10をねじ込む深さを変えることで高さを調整するようにすることもできる。また、油圧等でアクチュエーターを用いて高さ調整をすることもできる。これにより、ドローンポート1の設置面に水平が確保できない場所においても、離着陸面30を水平に保つことができるようになるとともに、本体部20の製造バラつきにより水平が確保できないときの微調整にも用いるこができる。
【0032】
(本体部20)
本体部20は、
図2・
図11に示すように、離着陸本体面31が載置される本体上面21と、ドローンポート1を使用しないときに離着陸外面32の側面に隣接する本体側面22と、これら本体上面21と本体側面22に囲まれた部分である骨組み23(図示しない)と、後述の内部機器40を備える。
【0033】
(本体上面21)
本体上面21は、板状の部材や、長尺のアングル材やパイプ材などを組み合わせたワイヤーフレームをつないだ面として、離着陸本体面31を載置できるように構成した平面である。本体上面21は、板状部材かワイヤーフレームをつないだ面であるかによらず、その法線が離着陸本体面31の法線と平行になるように設けられている。
【0034】
(本体側面22)
本体側面22は、本体上面21と同様に、板状の部材や、長尺のアングル材やパイプ材などを組み合わせたワイヤーフレームをつないだ面として構成した平面である。本体側面22は、ドローンポートの格納時、つまり後述の離着陸外面32を閉じたコンパクトな状態で運搬・収容する際に、その法線が離着陸外面32の法線と平行になるように設けられている。
【0035】
本体側面22は、
図1および
図2などに示すように、隣り合う本体側面22の間に隙間が設けられており、ドローンポートの格納時に離着陸外隣接面33が本体部20の内部に収容できるようになっている。
【0036】
(骨組み23)
骨組み23は、本体上面21および本体側面22と同じように、板状の部材や、長尺のアングル材やパイプ材などを組み合わせたワイヤーフレームをつないだ面として構成することができる。または、本体上面21と本体側面22とを連結した、面を組み合わせた構造体として骨組み23を構成しても良い。この骨組み23には後述の内部機器40が固定されている。
【0037】
(離着陸面30)
離着陸面30は、
図1・
図11・
図12などに示すように、離着陸本体面31を中心に、その外周には離着陸外面32が連接されている。隣り合う離着陸外面32の間には、離着陸外隣接面33が連接されている。
【0038】
(離着陸本体面31)
離着陸本体面31は、
図2・
図11などに示すように、本体上面21の上に載置されている平面である。離着陸本体面31は、ドローンポートの離着陸面30の中心部分を構成している。離着陸本体面31を水平面と平行な仮想水平面に投影した形状の外周は、本実施形態においては正2N角形(Nは2以上の整数)であり、正方形がより好ましい。なお投影の方向は、投影対象である面、すなわち被投影面の法線と平行な方向、または被投影面が投影される面(仮想面である仮想水平面・仮想垂直面を含む)の法線と平行な方向を言う。被投影面と、被投影面が投影される面は平行であり、その投影方向は被投影面の法線と平行な方向であり、被投影面が投影される面の法線とも平行な方向である。以下、同様である。
【0039】
図12に示すように、離着陸本体面31を水平面と平行な仮想水平面に投影した形状の外周(破線)は、本体上面21を仮想水平面に投影した形状の外周(実線)より外側にある。このようにすることで、
図11に示すように、ドローンポート1の格納時において離着陸外面32を本体側面22に隣接する位置に配置させた際に、離着陸外面32が本体上面21に干渉することを回避することができる。
【0040】
(離着陸外面32)
離着陸外面32は、離着陸本体面31の外周である端部において、隣り合う離着陸本体面31の離着陸外面32側の端部と蝶つがいなどで連接されている平面である。このように、離着陸外面32は離着陸本体面31に対して回動可能に固定されている。本実施形態では離着陸本体面31の周りに複数の同一の形状の離着陸外面32が配置されている。
【0041】
ドローンポート1を使用する、つまりドローンポート1をドローン100の離着陸に用いるときは、離着陸外面32の法線を離着陸本体面31の法線と平行な状態で固定することで、ドローンポート1の離着陸面30を展開して最大に広げたスペースとすることができる。逆にドローンポート1の格納時、つまりドローンポート1を運搬・収容しておくときは、離着陸外面32の法線を本体側面22の法線と平行な状態で固定することで、ドローンポート1をコンパクトに格納することができる。
【0042】
離着陸外面32は、
図13に示すように、本体側面22の法線と離着陸外面32の法線が平行になる状態において、その法線と垂直な仮想平面(仮想垂直面とする)に対して離着陸外面32を投影した形状の外周(一点鎖線)の上側・左側・右側は、それぞれ本体側面22を仮想垂直面に投影した形状の外周(二点鎖線)よりも外側にある。
【0043】
より詳しくは、本体側面22の法線と離着陸外面32の法線が平行になる状態において、離着陸外面32を仮想垂直面に投影した形状の外周(一点鎖線)の上側は本体側面22を仮想垂直面に投影した形状の外周(二点鎖線)の上側より上にあり、離着陸外面32を仮想垂直面に投影した形状の外周(一点鎖線)の左側は本体側面22を仮想垂直面に投影した形状の外周(二点鎖線)の左側のさらに左にあり、離着陸外面32を仮想垂直面に投影した形状の外周(一点鎖線)の右側は本体側面22を仮想垂直面に投影した形状の外周(二点鎖線)の右側のさらに右にある。
【0044】
離着陸外面32の個数は本体側面22と同じであり、離着陸外面32を前記本体側面22と平行な角度で固定した場合において離着陸外面32を仮想垂直面に投影した形状の外周は全て同一である。離着陸外面32の外周形状は四角形であり、上辺と下辺それぞれの中点を結んだ線分に対して線対称である。
図7に示すような上辺が下辺より長い四角形とすれば、設置面に対して空間が広い場所に適するし、
図8に示すように上辺が下辺より短い四角形とすれば、設置面や搬送路に段差がある環境での設置・搬送に適する。
図5および
図6に示すように離着陸外面32を長方形(正方形を含む)とすれば、格納時の収容効率を最も高めることができる。
【0045】
離着陸外面32の角度は、
図18・
図19に示すように、離着陸外面32の法線が離着陸本体面31の法線と平行となる状態における離着陸外面32の法線のうちの上向きの法線が離着陸本体面31の中心に向かう方向へも変えることができる。さらに離着陸外面32の角度の固定は、離着陸外面32の法線と離着陸本体面31の法線とがなす角度が任意の位置でも行うことができる。
【0046】
ドローン100がドローンポート100の中心から外れて着陸した場合、配送物をドローンポート1の中心に寄せることができる。また風が強い場合や後述のレール50を含むドローンポート1の移動経路に傾斜や段差がある場合でも、配送物をドローンポート1の中心に寄せつつ配送物がずれることを防止することができる。
【0047】
(離着陸外隣接面33)
離着陸外隣接面33は、隣り合う離着陸外面32の間に設けられ、離着陸外面32の離着陸外隣接面33側の端部と、離着陸外隣接面33の離着陸外面32側の端部は蝶つがいなどで回動可能に連接されている。また離着陸外隣接面33は、その端部がおのおの蝶つがいなどで連接された隣接第一面34および隣接第二面35で構成されている。隣接第一面34は離着陸外面32および隣接第二面35と回動可能に連接されており、隣接第二面35は離着陸外面32および隣接第一面34と回動可能に連接されている。より詳しくは、離着陸外面32は、その法線が離着陸本体面31の法線と平行となる角度で固定した場合において、仮想水平面に対して離着陸外隣接面33の法線と平行な方向に離着陸外隣接面33を投影した形状の外周は二等辺三角形である。そして、離着陸外隣接面33に対して仮想水平面の法線と平行な方向に垂直二等分線を投影した仮想線において離着陸外隣接面33は隣接第一面34と隣接第二面35に分割されており、前記隣接第一面34と前記隣接第二面35とは前記仮想線の位置で回動可能に連接されている。
【0048】
ドローンポート1を格納状態から使用状態(展開状態)にする場合、つまり離着陸外面32を本体側面22に対して開く場合は、離着陸外隣接面33は離着陸外面32に追従して開く。逆にドローンポート1を使用状態(展開状態)から格納状態にする場合、つまり離着陸外面32を本体側面22に対して閉じる場合は、離着陸外隣接面33は自重により離着陸外面32に対して垂れ下がって、最終的には隣り合う本体側面22の間の隙間に自然と収めることができる。なお離着陸外隣接面33にだけドローンの荷重が集中して掛かることは稀であるため、離着陸外隣接面33を布や樹脂製のシートで構成することもできる。
【0049】
(内部機器40)
内部機器40は、本体部20の骨組み23に固定されている。内部機器40(図示しない)としては、ドローンと通信する通信装置41(図示しない)、離着陸外面32の角度を変化させる駆動力を発生させるモーター(アクチュエーター)42(図示しない)と、
図3に示すようなアクチュエーターと離着陸外面32をつなぐシャフト43、
図4に示すような離着陸外隣接面33(隣接第一面34・隣接第二面35)の開閉の動きをスムーズにするダンパー44、通信装置・モーター(アクチュエーター)42を動作させる電源45(図示しない)がある。電源45は、蓄電池でも良いし、商用電源でも良い。なお商用電源を用いる場合はドローンポート1にその内部機器として電源45を設置する必要はない。また、ドローン100が発する風切り音の不快感を低減するための音の発生源としてのスピーカー(図示しない)を備えておくこともできる。スピーカーからは、心地良い音楽を発生させても良いし、風切り音のノイズキャンセリングとしての音を発生させても良い。
【0050】
(レール50)
レール50は、
図15~
図18などに示すように、ドローンポート1が設置される場所に敷設され、ドローンポート1の車輪10と係合し、ドローンポート1が設置面と平行な方向(XY平面上)に移動することは許容するが、ドローンポート1の上下方向(Z軸方向)の移動は拘束する。ドローンポート1の移動は、後述の管理サーバ70・情報機器80からの制御信号により後述の駆動部60が電源45から電力の供給を受けて行われる。
【0051】
なおレール50がある態様では、
図15~
図18に示すように、レール50が敷設された経路であるX軸方向のみをドローンポート1は移動可能だが、レール50がない態様では管理サーバ70・情報機器80の制御信号により、制御下における任意の場所、つまりX軸方向に限らずXY平面上を任意に移動させることができる。
【0052】
(駆動部60)
駆動部60はドローンポート1を上記のように移動させるためのもので、ドローンポート1の内部に設けても良いし、レール50の端部などのドローン設置面に設けてワイヤー・チェーン・シャフトなどでドローンポート1と接続してドローンポート1を移動させるようにしても良い。
【0053】
駆動部60への電力は、管理サーバ70・情報機器80の制御信号により、電源45から、または商用電源から供給される。駆動部60による駆動力は、情報管理サーバ70または情報機器80からの制御信号により、単に前進・後退だけでなく、移動速度や移動方向についての指示も含む制御信号に従って適宜、移動速度や方向を適切に決定して駆動力を発生する。
【0054】
(管理サーバ70)
管理サーバ70は、
図20に示すように、後述の情報機器80・ドローン100およびドローンポート1と有線または無線のネットワークを適宜経由して制御信号を送受信する。
【0055】
管理サーバ70は、まず情報機器80からの情報を受け取り、配送物の受け渡しおよびドローン1の運行が決まったら、これらの情報をドローン100とドローンポート1に送信する。
【0056】
この後、配送スケジュールやドローン100の位置情報、配送物の受け取り可否の情報のほか、ドローン100が配送先に近づいたときには管理サーバ70はドローンポート1の移動・開閉の情報を、情報機器80・ドローン100・ドローンポート1と送受信する。この情報のなかには、ドローンポート1の移動および開閉(離着陸外面32の展開および格納)の制御信号も含まれる。
【0057】
(情報機器80)
情報機器80は、配送の起点となる情報を管理サーバ70に送信する。つまり物品の購入や宅配の委託などにより物品の配送が必要になった段階で、物品を配送する人や、その人からの委託を受けた会社が、情報機器80を通じて情報を管理サーバ70へ送信する。
【0058】
その後、ドローンの運行が決まったら、情報機器80は管理サーバ70・ドローン100・ドローンポート1と適宜、情報を送受信する。この情報のなかには上述の管理サーバ70と同様に、ドローンポート1の移動および開閉(離着陸外面32の展開および格納)を制御する制御信号も含まれる。
【0059】
(ドローン100)
ドローン100は、配送スケジュールやドローン100自身の位置情報、配送物の受け取り可否の情報のほか、ドローン100が配送先に近づいたときにはドローンポート1の移動・開閉の情報を、管理サーバ70・情報機器80・ドローンポート1と送受信する。この情報のなかには、ドローンポート1の移動および開閉(離着陸外面32の展開および格納)を制御する制御信号も含まれる。
【0060】
またドローン100は着陸直前においては、管理サーバ70・情報機器80との情報の送受信のほか、ドローンポート1と直接、情報を送受信することで、着陸の精度を大幅に高めている。すなわちドローン100は風や雨などの外部環境の影響を受けながら配送物をドローンポート1の適切な位置に、配送物を壊さないように慎重に配置する必要があるため着陸の直前においては、ドローン100はドローンポート1と直接情報を送受信して、高い精度での着陸および配送物の配置を実現している。また、ドローンポート100に内蔵されたカメラで離着陸面30に載置されたQRコード(登録商標)を読むことで着陸の精度を上げることもできる。
【0061】
本実施形態の作用効果を説明する。
本開示のドローンポート1は、
[1]車輪10と、車輪10の上に設けられ本体上面21と本体側面22とを備えた本体部20と、車輪10と本体部20との間に設けられた高さ調整部11と、本体上面21の上に設けられた離着陸本体面31と、離着陸本体面31の外周において離着陸本体面31に対して回動可能に連接された離着陸外面32と、を備え、離着陸外面32はその法線が離着陸本体面31の法線と平行となる角度で固定することができ、離着陸外面32はその法線が本体側面22の法線と平行となる角度でも固定することができ、離着陸外面32をその法線が本体側面22の法線と平行となる角度で固定した場合において、離着陸外面32の法線と垂直な仮想垂直面に対して離着陸外面32の法線と平行な方向に離着陸外面32を投影した形状の外周のうちの上の部分は、仮想垂直面に対して本体側面22の法線と平行な方向に本体側面22を投影した形状の外周のうちの上の部分と同一の位置、または仮想垂直面に対して本体側面22の法線と平行な方向に本体側面22を投影した形状の外周のうちの上の部分より上の位置にある。
【0062】
この構成によれば、可搬性が高く、ドローンポートを使用しない場合にはコンパクトな状態にすることができ、かつドローンポートの骨格部分と内部機器を含む本体を保護することができる。
【0063】
[2]上記[1]のものにおいて、仮想垂直面に対して離着陸外面32の法線と平行な方向に離着陸外面32を投影した形状の外周のうちの左の部分は仮想垂直面に対して本体側面22の法線と平行な方向に本体側面22を投影した形状の外周のうちの左の部分と同一の位置、または仮想垂直面に対して本体側面22の法線と平行な方向に本体側面22を投影した形状の外周のうちの左の部分よりさらに左の位置にあり、仮想垂直面に対して離着陸外面32の法線と平行な方向に離着陸外面32を投影した形状の外周のうちの右の部分は仮想垂直面に対して本体側面22の法線と平行な方向に本体側面22を投影した形状の外周のうちの右の部分と同一の位置、または仮想垂直面に対して本体側面22の法線と平行な方向に本体側面22を投影した形状の外周のうちの右の部分よりさらに右の位置にある、とすることが好ましい。
【0064】
この構成によれば、ドローンポート1の格納時、本体部20と内部機器40をより広範囲に離着陸外面32で保護することができる。
【0065】
[3]上記[1]または[2]のものにおいて、水平面と平行な仮想水平面に対して離着陸本体面31の法線と平行な方向に離着陸本体面31を投影した形状の外周は正2N角形(Nは2以上の整数)を形作る、とすることが好ましい。
【0066】
この構成によれば、仮想水平面の方向における本体部20のスペースがいびつな形状にならず内部機器40を本体部20の内部にバランスよく収めることができる。
【0067】
[4]上記[3]のものにおいて、仮想水平面に対して離着陸本体面31の法線と平行な方向に離着陸本体面31を投影した形状の外周は正方形を形作る、とすることが好ましい。
【0068】
この構成によれば、離着陸外面32を共通化しつつその離着陸外面32の部材数を最小限に減らして生産コストを下げることができる。
【0069】
[5]上記[3]のものにおいて、本体側面22は複数あり、離着陸外面32の個数は本体側面22と同じであり、仮想垂直面に対して離着陸外面32の法線と平行な方向に離着陸外面32を投影した形状の外周は全て同一である、とすることが好ましい。
【0070】
この構成によれば、離着陸外面32を統一することで生産コストを下げることができる。
【0071】
[6]上記[5]のものにおいて、一の離着陸外面32とこれに隣り合う他の離着陸外面32との間には離着陸外隣接面33がそれぞれの離着陸外面32と回動可能に連接されている、とすることが好ましい。
【0072】
この構成によれば、離着陸スペースをより広く確保することができる。
【0073】
[7]上記[6]のものにおいて、離着陸外面32をその法線が離着陸本体面31の法線と平行となる角度で固定した場合において、仮想水平面に対して離着陸外隣接面33の法線と平行な方向に離着陸外隣接面33を投影した形状の外周は二等辺三角形であり、離着陸外隣接面33に対して仮想水平面の法線と平行な方向に二等辺三角形の垂直二等分線を投影した仮想線において離着陸外隣接面33は隣接第一面34と隣接第二面35に分割されており、隣接第一面34と隣接第二面35とは仮想線の位置で回動可能に連接されている、とすることが好ましい。
【0074】
この構成によれば、離着陸外面32と同じように離着陸外隣接面33もドローンポート1の格納時に効率よく収納できる。
【0075】
[8]上記[5]から[7]のものにおいて、それぞれの仮想垂直面に対して離着陸外面32のそれぞれの法線と平行な方向にそれぞれの離着陸外面32を投影した形状の外周は長方形を形作る、とすることが好ましい。
【0076】
この構成によれば、本体部の骨組み部分を直角・平行のみの組み合わせでシンプルに構成できる。
【0077】
なお上述したのはあくまでも一実施形態であり、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0078】
1ドローンポート
10車輪
11高さ調整部
20本体部
21本体上面
22本体側面
23骨組み
30離着陸面
31離着陸本体面
32離着陸外面
33離着陸外隣接面
34隣接第一面
35隣接第二面
40内部機器
41通信装置
42モーター(アクチュエーター)
43シャフト
44ダンパー
45電源
50レール
60駆動部
70管理サーバ
80情報機器
100ドローン