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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077681
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】太陽電池パネルの再生管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/30 20230101AFI20240603BHJP
【FI】
G06Q10/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189765
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】519157820
【氏名又は名称】株式会社新見ソーラーカンパニー
(72)【発明者】
【氏名】佐久本 秀行
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】廃棄太陽電池パネルから回収されたマテリアルを適切に管理する。
【解決手段】太陽電池パネルの再生管理システムは、廃棄太陽電池パネルをマテリアルごとに分離して回収するパネル分解処理拠点1と、パネル分解処理拠点1で回収した回収マテリアルを再生するマテリアル再生拠点2と、マテリアル再生拠点2で生産した再生マテリアルを使用して太陽電池パネル製造用の部品を製造する部品製造拠点3と、部品製造拠点3で製造した部品を使用して再生太陽電池パネルを製造するパネル製造拠点4と、廃棄太陽電池パネル、回収マテリアル、再生マテリアル、部品及び再生太陽電池パネルそれぞれに付与したIDを管理して、廃棄太陽電池パネルの分解から再生太陽電池パネルの生産までのマテリアルの流れをIDで追跡可能にデータベース52に記憶させるサーバ装置51と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄太陽電池パネルをマテリアルごとに分離して回収するパネル分解処理拠点と、
前記パネル分解処理拠点で回収した回収マテリアルを再生するマテリアル再生拠点と、
前記マテリアル再生拠点で生産した再生マテリアルを使用して太陽電池パネル製造用の部品を製造する部品製造拠点と、
前記部品製造拠点で製造した前記部品を使用して再生太陽電池パネルを製造するパネル製造拠点と、
前記廃棄太陽電池パネル、前記回収マテリアル、前記再生マテリアル、前記部品及び前記再生太陽電池パネルそれぞれに付与したIDを管理して、前記廃棄太陽電池パネルの分解から前記再生太陽電池パネルの生産までのマテリアルの流れをIDで追跡可能にデータベースに記憶させるサーバ装置と、を備えている、
太陽電池パネルの再生管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネルの再生管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国において、自然エネルギーの代表ともいえる太陽光発電は、2012年に「固定価格買取(FIT)制度」が導入されたことで加速度的に導入が進み、自然エネルギーでも主要な役割を果たすようになってきた。一方、太陽光発電に用いられる太陽電池パネルの耐用年数は20~30年とされており、今後、使用済み太陽電池パネルが大量廃棄されることが予想されている。
【0003】
さて、太陽電池パネルは、カバーガラスの一面に、プラスチック材料層により保持される太陽電池セルと、太陽電池セルに接続されるインターコネクタ(配線部材)と、パネル周縁部を囲うアルミ枠などを備えている。このような太陽電池パネルには、再利用可能な各種金属やガラスが含まれていることから、使用済みの太陽電池パネルは、分解して再利用されることが好ましい。
【0004】
このような太陽電池パネルを分解する方法として、太陽電池パネルを大気雰囲気の炉内で加熱処理することで、プラスチック材料を燃焼除去して、カバーガラスと、太陽電池セル及び配線部材とを分離することが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-165150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、太陽電池パネルを各マテリアルに分離した後、回収されたマテリアルがどのように処理されたかまでは知ることができず、例えば埋め立て廃棄されているなど、問題があった。
【0007】
本発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の太陽電池パネルの再生管理システムは、廃棄太陽電池パネルをマテリアルごとに分離して回収するパネル分解処理拠点と、前記パネル分解処理拠点で回収した回収マテリアルを再生するマテリアル再生拠点と、前記マテリアル再生拠点で生産した再生マテリアルを使用して太陽電池パネル製造用の部品を製造する部品製造拠点と、前記部品製造拠点で製造した前記部品を使用して前記再生太陽電池パネルを製造するパネル製造拠点と、前記廃棄太陽電池パネル、前記回収マテリアル、前記再生マテリアル及び前記再生太陽電池パネルそれぞれに付与されたIDを管理して、前記廃棄太陽電池パネルの分解から前記再生太陽電池パネルの生産までのマテリアルの流れを追跡可能にデータベースに記憶させるサーバ装置と、を備えているというものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の太陽電池パネルの再生管理システムは、廃棄太陽電池パネルの分解から再生太陽電池パネルの生産までのマテリアルの流れを追跡可能に設けているので、廃棄太陽電池パネルから回収されたマテリアルを適切に管理できる。また、廃棄太陽電池パネルを分離して得られた回収マテリアルを使用して新たに太陽電池パネルを製造するので、資源の循環を実現できるとともに、新たな資源の使用量を抑制しながら太陽電池パネルによるエネルギー供給を維持できる仕組みを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】太陽電池パネルの再生管理システムの一実施形態の構成を示す模式図である。
図2】同再生管理システムの構成を示すブロック図である。
図3】廃棄パネル分解処理拠点の一例を示す模式図である。
図4】廃棄パネルIDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。
図5】回収ガラス収容器IDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。
図6】再生ガラス収容器IDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。
図7】再生板ガラスIDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。
図8】再生パネルIDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。
図9】廃棄パネルIDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。
図10】再生パネルIDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、太陽電池パネルの再生管理システムの一実施形態の構成を示す模式図である。図2は、同再生管理システムの構成を示すブロック図である。まず、図1及び図2を参照して、本実施形態の再生管理システムの概要について説明する。
【0012】
<1.再生管理システムの概要>
図1及び図2に示す本実施形態の太陽電池パネルの再生管理システムは、おもに、廃棄パネル分解処理拠点1と、回収マテリアル再生拠点2と、再生部品製造拠点3と、再生パネル製造拠点4と、太陽電池パネル再生管理本部5と、回収パネル検査拠点6と、パネル設置場所7と、パネル保管拠点8と、運搬車両9とによって構成される。そして、この再生管理システムは、各拠点間で移動されるパネルやマテリアルなどの物品にIDを付与することで、物品及び原材料の追跡が可能となっている。
【0013】
この太陽電池パネルの再生管理システムにおける情報管理システムは、再生管理本部5に設置されたサーバ装置51と、各拠点1、2、3、4、6、8、パネル設置場所7及び運搬車両9に設置された設備又は端末装置とが、インターネット回線網などによる外部ネットワーク100で接続されて構成される。なお、各拠点1、2、3、4、6、8、パネル設置場所7及び運搬車両9と再生管理本部5との間は、外部ネットワーク100として、専用回線や仮想専用回線を利用し、外部への情報漏洩を防ぐ構成とすることが好ましい。
【0014】
なお、図1及び図2では、説明を簡単にするために、各拠点1、2、3、4、6、8、パネル設置場所7及び運搬車両9それぞれが、再生管理本部5と1対1の関係とした構成としているが、再生管理本部5と1対n(nは、1以上の整数)の関係であっても構わない。
【0015】
さて、廃棄パネル分解処理拠点1は、後述する回収パネル検査拠点6で廃棄パネルWと判定された太陽電池パネルをガラス、太陽電池セル(以下単にセルとも言う)、インターコネクタ、アルミ枠、端子ボックスに分離して回収する。図3に示すように、廃棄パネル分解処理拠点1には、パネル分解処理設備10のパネルID読取装置11、端子ボックス取外し装置12、アルミ枠取外し装置13、パネル分解装置14などが設けられている。
【0016】
回収マテリアル再生拠点2は、廃棄パネル分解処理拠点1で分離回収されたガラス、セル、インターコネクタ、アルミ枠を精錬する。本実施形態では、回収マテリアル再生拠点2は、回収ガラス再生拠点21、回収セル精錬拠点22、回収インターコネクタ精錬拠点23、回収アルミ枠精錬拠点24を備えている。
【0017】
回収ガラス再生拠点21は、廃棄パネル分解処理拠点1で分離回収された回収ガラスを精錬して再生ガラスカレットにする。回収セル精錬拠点22は、廃棄パネル分解処理拠点1で分離回収されたセルから、銀、シリコン、アルミニウムを分離回収及び精錬して、再生銀インゴット、再生シリコンインゴット、再生アルミインゴットにする。回収インターコネクタ精錬拠点23は、廃棄パネル分解処理拠点1で分離回収された銅製のインターコネクタを精錬して再生銅インゴットにする。回収アルミ枠精錬拠点24は、廃棄パネル分解処理拠点1で分離回収されたアルミニウム合金製のアルミ枠を精錬して再生アルミインゴットにする。
【0018】
再生部品製造拠点3は、回収マテリアル再生拠点2で生産された再生マテリアル及び廃棄パネル分解処理拠点1で分離回収された回収端子ボックスから太陽電池パネル用の部品を製造する。本実施形態では、再生部品製造拠点3は、再生板ガラス製造拠点31、再生セル製造拠点32、再生インターコネクタ銅線材製造拠点33、再生アルミ枠製造拠点34、再生端子ボックス製造拠点35を備えている。
【0019】
再生板ガラス製造拠点31は、回収ガラス再生拠点21で生産された再生ガラスカレットから太陽電池パネル用の再生板ガラス(再生カバーガラス)を製造する。再生セル製造拠点32は、回収セル精錬拠点22で生産された再生銀インゴット、再生シリコンインゴット、再生アルミインゴットから、太陽電池パネル用の再生セルを製造する。
【0020】
再生インターコネクタ銅線材製造拠点33は、回収インターコネクタ精錬拠点23で生産された再生銅インゴットから、太陽電池パネル用のインターコネクタの材料となる再生インターコネクタ銅線材を製造する。再生アルミ枠製造拠点34は、回収アルミ枠精錬拠点24で生産された再生アルミインゴットから、太陽電池パネル用の再生アルミ枠を製造する。再生端子ボックス製造拠点35は、廃棄パネル分解処理拠点1で分離回収された回収端子ボックスから、太陽電池パネル用の再生端子ボックスを製造する。
【0021】
再生パネル製造拠点4は、再生部品製造拠点3で製造された太陽電池パネル用の再生産部品から、太陽電池パネル(再生パネル)を製造する。本実施形態では、再生パネル製造拠点4は、再生部品製造拠点3で製造された再生板ガラス、再生セル、再生インターコネクタ銅線材、再生アルミ枠、再生端子ボックスを材料として太陽電池パネルを製造する。
【0022】
再生管理本部5は、太陽電池パネルの再生管理システム内の情報を統括して管理する。再生管理本部5は、廃棄パネルWや再生パネル、回収マテリアル、再生産部品に関する情報や各物品の運搬に関する情報などを記憶したデータベース52を備える。
【0023】
このデータベース52は、再生管理本部5内に構築されているLAN(Local Area Network)によってサーバ装置51と接続され、外部ネットワーク100からのアクセスが遮断されるような構成となっている。また、再生管理本部5内のサーバ装置51は、データベース52にアクセス可能な複数のサーバ装置によって構成され、外部ネットワーク100からのアクセスに対応するサーバ装置が特定されずにランダムに選択される、クラウドコンピューティングシステムを採用するものであってもよい。
【0024】
図2に示すように、本実施形態の再生管理システムは、各拠点1、2、3、4と再生管理本部5の他、回収パネル検査拠点6、パネル設置場所7、パネル保管拠点8及び運搬車両9を含んでいる。そして、本実施形態の再生管理システムにおける情報管理システムでは、再生管理本部5のサーバ装置51と、回収パネル検査拠点6、パネル設置場所7、パネル保管拠点8及び運搬車両9に設置された設備又は端末装置とが外部ネットワーク100で接続されている。
【0025】
回収パネル検査拠点6は、回収する太陽電池パネルの性能試験などを行い、廃棄処分する廃棄パネルWと再利用可能なリユースパネルとに分別する。パネル設置場所7は、再生パネル製造拠点4で製造した再生パネルを設置する場所である。パネル保管拠点8は、再生パネル製造拠点4で製造した再生パネルや、回収パネル検査拠点6で再利用可能と判定したリユースパネルを保管する場所である。
【0026】
<2.撤去対象の太陽電池パネルの受け入れ>
発電事業者などの太陽電池パネルの所有者からの太陽電池パネルの撤去の依頼を受けて、回収パネル検査拠点6で撤去対象の太陽電池パネルの性能検査や外観検査を行う。この検査は、太陽電池パネルの設置場所(例えばパネル設置場所7)で行ってもよいし、回収パネル検査拠点6へ運び込んで行ってもよい。
【0027】
検査の結果、廃棄パネルと判定した太陽電池パネルに廃棄パネルID(WP・・・・・・・・)を付与し、識別タグを貼り付ける。回収パネル検査拠点6の性能検査装置は、廃棄パネルIDや検査装置ID、検査日時、検査装置の操作者IDなどのデータを再生管理本部5のサーバ装置51に対してアップロードする。ここで、識別タグは、例えばバーコードもしくは二次元コードがプリントされたラベルであるが、電子タグ(RFIDタグ)であっても構わない。なお、本実施形態で使用される電子タグはパッシブ型又はアクティブ型のいずれであってもよい。
【0028】
図4に示すように、サーバ装置51は、廃棄パネルIDに紐付けて、検査装置ID、検査日時、検査装置の操作者IDをデータベース52に記憶させる。本実施形態では、廃棄パネルIDには、廃棄パネルの元所有者の発電事業者名や、パネル撤去作業を行った解体事業者名も紐付けて記憶される。
【0029】
一方、検査の結果、再利用可能なリユースパネルと判定した場合、太陽電池パネルにリユースパネルIDを付与し、識別タグを貼り付ける。例えば、リユースパネルの側面に識別タグが貼り付けられる。回収パネル検査拠点6の性能検査装置は、リユースパネルID、検査装置ID、検査日時、検査装置の操作者IDなどのデータを再生管理本部5のサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、リユースパネルIDに紐付けて、検査装置ID、検査日時、操作者ID、発電事業者名、解体事業者名をデータベース52に記憶させる。
【0030】
なお、回収する太陽電池パネルを性能検査する前に各太陽電池パネルにID付きの識別タグを貼り付け、性能検査結果に応じて、廃棄パネルIDとリユースパネルIDに振り分けても構わない。また、検査装置の操作者が検査装置によってサーバ装置51にデータをアップロードする際、検査装置毎又は操作者毎に割り振られたID及びパスワードの入力が求められ、サーバ装置51による検査装置の操作者の認証が行われることが好ましい。操作者の認証は、ID及びパスワードの入力に限定されず、例えば生体認証などの他の認証方法であっても構わない。
【0031】
回収した太陽電池パネルが回収パネル検査拠点6から廃棄パネル分解処理拠点1又はパネル保管拠点8に搬送される際、回収パネル検査拠点6又は運搬車両9に設けたパネルID読取装置は、搬送されるパネルIDを読み取る。読み取られた廃棄パネルID又はリユースパネルIDは、搬出日時、運搬車両ID、運搬者ID、運搬先拠点とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、これらの情報を廃棄パネルID又はリユースパネルIDに紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0032】
図4は、廃棄パネルIDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。図4に示すように、データベース52には、廃棄パネルIDに紐付けて、検査装置ID、検査日時、検査装置の操作者ID、発電事業者などの元所有者名、解体事業者名、搬出日時、運搬車両ID、運搬先分解拠点(廃棄パネル分解処理拠点1)のIDがなど記憶される。同様に、リユースパネルIDに紐付けて、検査装置ID、検査日時、検査装置の操作者ID、元所有者名、解体事業者名、搬出日時、運搬車両ID、運搬先保管拠点(パネル保管拠点8)のIDが記憶される。なお、1台の運搬車両9には複数の廃棄パネルW又はリユースパネルが搭載される。
【0033】
なお、廃棄パネルID又はリユースパネルIDが付与される太陽電池パネルが後述する再生パネルIDを有する再生パネルである場合、その再生パネルIDを廃棄パネルID又はリユースパネルIDに紐付けてデータベース52に記憶させるようにしても構わない。
【0034】
<3.廃棄パネルからのマテリアル回収>
回収パネル検査拠点6から搬出された廃棄パネルWは運搬車両9によって廃棄パネル分解処理拠点1に搬入される。運搬車両9にはIDが付与されている。図3も参照して説明すると、廃棄パネルWを搭載した運搬車両9が廃棄パネル分解処理拠点1の入退構管理ゲート1gを通過すると、運搬車両9の入構情報が搬入日時(入構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに廃棄パネル分解処理拠点1のIDと搬入日時のデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0035】
また、サーバ装置51は、廃棄パネルWの運搬先の廃棄パネル分解処理拠点1のID及び搬入日時のデータを廃棄パネルIDに紐付けてデータベース52に記憶させる。これにより、運搬車両9に搭載した廃棄パネルWが回収パネル検査拠点6又はパネル撤去場所から廃棄パネル分解処理拠点1に到着したことを確認でき、回収した太陽電池パネルが廃棄パネル分解処理拠点1に搬送されたことを証明できる。
【0036】
廃棄パネル分解処理拠点1では、廃棄パネルWをガラス、セル、インターコネクタ、アルミ枠、端子ボックスに分離して回収する。本実施形態では、廃棄パネル分解処理拠点1に、過熱蒸気式のパネル分解装置14を有するパネル分解処理設備10が設置されている例を挙げて説明する。パネル分解装置14は、アルミ枠及び端子ボックスが取り外された廃棄パネルを過熱蒸気雰囲気中で加熱して封止樹脂やバックシートなどのプラスチック材料を除去して、ガラス、セル、インターコネクタに分別回収するものである。このようなパネル分解装置14は、本願出願人によって例えば特願2022-137017に開示されている。
【0037】
廃棄パネル分解処理拠点1に搬入された廃棄パネルWは、1枚ずつパネル分解処理設備10のパネル搬送機構の上流側端部に載置され、パネルID読取装置11にて廃棄パネルWに取り付けられた識別タグが自動で読み取られる。IDが読み取られた廃棄パネルWは端子ボックス取外し装置12で端子ボックスが取り外される。取り外された端子ボックスはID付きの回収端子ボックス収容器15に収容される。パネル分解処理設備10は、廃棄パネルW(ID:WP・・・・・・・・)から取り外した端子ボックスが回収端子ボックス収容器15(ID:CJ・・・・・・・・)に収容された情報をサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している廃棄パネルIDに回収端子ボックス収容器IDを紐付けて記憶する(図4参照)。
【0038】
端子ボックスが取り外された廃棄パネルWはアルミ枠取外し装置13でアルミ枠が取り外される。取り外されたアルミ枠はID付きの回収アルミ枠収容器16に収容される。パネル分解処理設備10は、廃棄パネルW(ID:WP・・・・・・・・)から取り外したアルミ枠が回収アルミ枠収容器16(ID:CF・・・・・・・・)に収容された情報をサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している廃棄パネルIDに回収アルミ枠収容器IDを紐付けて記憶する(図4参照)。
【0039】
端子ボックス及びアルミ枠が取り外された廃棄パネルWは、パネル分解装置14でガラス、セル、インターコネクタに分離される。分離されたガラス、セル、インターコネクタそれぞれは、回収ガラス収容器17、回収セル収容器18、回収インターコネクタ収容器19に回収される。これらの収容器17、18、19それぞれにIDが付与されている。
【0040】
パネル分解処理設備10は、廃棄パネルW(ID:WP・・・・・・・・)から分離・回収したガラス、セル、インターコネクタそれぞれが回収ガラス収容器17(ID:CG・・・・・・・・)、回収セル収容器18(ID:CC・・・・・・・・)、回収インターコネクタ収容器19(ID:CI・・・・・・・・)に収容された情報と分解処理日時情報と設備の操作者情報とをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している廃棄パネルIDに、回収ガラス収容器ID、回収セル収容器ID、回収インターコネクタ収容器IDを紐付けて記憶する(図4参照)。
【0041】
パネル分解処理設備10のパネル搬送機構の上流側端部に廃棄パネルWを順次配置することで、パネル分解処理設備10は廃棄パネルWから各マテリアルを順次分離・回収する。各収容器15、16、17、18、19それぞれに、複数の廃棄パネルWから分離・回収した各マテリアルが収容される。各収容器15、16、17、18、19は、例えば着脱式コンテナ(バッカン)で構成される。
【0042】
各収容器15、16、17、18、19それぞれには、IDを記録した識別タグが取り付けられている。パネル分解処理設備10は、収容器15、16、17、18、19が取り付けられると、収容器15、16、17、18、19のID情報を読み取って、サーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、各収容器IDにパネル分解処理設備10のIDを紐付けてデータベース52に記憶させる。ここで、収容器15、16、17、18、19に設けられる識別タグは、例えば非接触式のものであり、電子タグ、バーコード、二次元コードなどを採用できる。
【0043】
パネル分解処理設備10は、取り付けられた収容器15、16、17、18、19それぞれの重量を計測する重量計15s、16s、17s、18s、19sを備えている。パネル分解処理設備10は、収容器15、16、17、18、19内の回収マテリアルの重量を監視し、それが所定の重量になると、その重量情報を回収時重量としてサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶されている収容器IDに回収時重量情報を紐付けて記憶させる。
【0044】
なお、廃棄パネルWを構成する各マテリアルそれぞれの重量比率は異なっているので、収容器15、16、17、18、19が所定重量になる時期は異なる。また、収容器15、16、17、18、19それぞれに設定する内容物の上記所定重量は異なっていても構わない。
【0045】
また、パネル分解処理設備10は、収容器15、16、17、18、19内の回収マテリアルの重量が所定の重量になると、収容器を自動で交換可能に構成している。なお、パネル分解処理設備10が発信する収容器交換時期を知らせる信号に基づいて、設備操作者が収容器を交換する構成であっても構わない。また、パネル分解処理設備10が各収容器の重さをサーバ装置51に対して逐次アップロードし、サーバ装置51が収容器の交換を指示する信号を発信する構成であっても構わない。
【0046】
サーバ装置51は運搬車両9を手配し、廃棄パネル分解処理拠点1に向かわせるように指示を出す。運搬車両9が廃棄パネル分解処理拠点1の入退構管理ゲート1gを通過すると、運搬車両9の入構情報が入構日時とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに廃棄パネル分解処理拠点IDと入構日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0047】
入構した運搬車両9に、パネル分解処理設備10から取り外された収容器15、16、17、18又は19が搭載される。運搬車両9は、収容器IDの読取装置を備えており、読み取った収容器IDをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、収容器IDに運搬車両IDを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0048】
なお、運搬車両9の運搬者(運転者)のIDが運搬車両ID及び収容器IDとともにアップロードされて、収容器IDに運搬車両IDと運搬者IDが紐付けて記憶されるようにしても構わない。また、運搬車両9の運搬者がID読取装置を使用した収容器IDの読取操作をすること又は収容器IDを端末装置に入力することで、運搬車両IDと収容器IDと運搬者IDがサーバ装置51に対してアップロードされる構成であっても構わない。
【0049】
収容器15、16、17、18又は19を搭載した運搬車両9は入退構管理ゲート1gを通過して、搭載した回収マテリアルに応じて、回収ガラス再生拠点21、回収セル精錬拠点22、回収インターコネクタ精錬拠点23、回収アルミ枠精錬拠点24又は再生端子ボックス製造拠点35へ向かう。運搬車両9が入退構管理ゲート1gを通過する際、運搬車両9の退構情報が搬出日時(退構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、収容器IDに、搬出日時情報、運搬車両ID、運搬者ID、運搬先拠点IDなどのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、運搬車両IDに、廃棄パネル分解処理拠点IDと搬出日時情報と運搬者IDのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0050】
運搬先の拠点では、運搬車両9の入構情報が搬入日時(入構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに運搬先拠点IDと搬入日時のデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。また、運搬先の拠点では、到着した収容器15、16、17、18又は19の内容物の重量が計測され、納品時重量情報としてサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、収容器IDに搬入日時情報と納品時重量情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0051】
これにより、運搬車両9に搭載した収容器15、16、17、18、19に収容した回収マテリアルが廃棄パネル分解処理拠点1から各拠点21、22、23、24、35に搬送されたことを追跡及び証明できる。また、収容器15、16、17、18、19の収容物の回収時重量と納品時重量とを管理でき、回収マテリアルの移動を正確に追跡できる。
【0052】
<3-1.収容器IDに紐付けられる情報の例>
図5は、回収ガラス収容器IDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。図5を参照して、収容器IDに紐付けられる情報の一例として回収ガラス収容器IDに紐付けられる情報ついて説明する。
【0053】
データベース52には、回収ガラス収容器IDに、パネル分解処理設備10に関するパネル分解処理設備ID、分解処理日時情報、設備操作者ID、が紐付けて記憶される。なお、パネル分解処理設備10が複数の廃棄パネルWを順次分解処理して回収ガラス収容器17内の回収ガラス重量が所定重量に到達するまでに時間がかかる。そこで、回収ガラス収容器IDに紐付く分解処理日時情報として、例えば、回収ガラス収容器17がパネル分解処理設備10に取り付けられてから取り外されるまでの期間を記憶できる。また、その期間内に複数の操作者がパネル分解処理設備10を操作した場合には、回収ガラス収容器IDに複数の設備操作者IDが紐付けられる。
【0054】
また、データベース52には、回収ガラス収容器17の回収ガラス再生拠点21への搬送に関する情報として、搬出日時情報、運搬車両ID、運搬者ID、搬送先の回収ガラス再生拠点ID及び搬入日時情報が、回収ガラス収容器IDに紐付けて記憶される。また、回収ガラス収容器17に収容した回収ガラス重量に関する情報として、パネル分解処理設備10で所定重量に到達したときの回収時重量情報と、回収ガラス再生拠点21で計測した納品時重量情報とが、回収ガラス収容器IDに紐付けて記憶される。
【0055】
また、回収ガラス収容器IDには、パネル分解処理設備10で分離・回収して回収ガラス収容器17に収容したガラスの元となる複数の廃棄パネルIDが紐付いている。これにより、複数の廃棄パネルWから分離・回収したガラスが回収ガラス再生拠点21へ搬送されたことを確実に追跡及び証明できる。
【0056】
図示は省略するが、データベース52には、回収セル収容器ID、回収インターコネクタ収容器ID、回収アルミ枠収容器ID、回収端子ボックス収容器IDそれぞれについて、回収ガラス収容器IDと同様に、各種情報が紐付けて記憶される。具体的には、各収容器IDに、パネル分解処理設備ID、分解処理日時情報、設備操作者ID、運搬先拠点ID、回収時重量情報、運搬先拠点への搬出日時情報、運搬車両ID、運搬者ID、運搬先拠点での搬入日時情報、納品時情報、複数の対応廃棄パネルIDなどが紐付いて記憶される。これにより、複数の廃棄パネルWから分離・回収した各回収マテリアルが各精錬拠点へ搬送されたことを確実に追跡及び証明できる。
【0057】
<4.回収マテリアルの再生>
図1及び図3に示すように、廃棄パネル分解処理拠点1から搬出された回収アルミ枠収容器16、回収ガラス収容器17、回収セル収容器18及び回収インターコネクタ収容器19それぞれは、運搬車両9によって回収マテリアル再生拠点2へ輸送される。廃棄パネル分解処理拠点1から回収マテリアル再生拠点2への収容器16、17、18、19の輸送は太陽電池パネル再生管理本部5によって管理される。
【0058】
回収ガラス収容器17は回収ガラス再生拠点21へ輸送される。回収セル収容器18は回収セル精錬拠点22へ輸送される。回収インターコネクタ収容器19は回収インターコネクタ精錬拠点23へ輸送される。回収アルミ枠収容器16は回収アルミ枠精錬拠点24へ輸送される。
【0059】
上述のように、各拠点21、22、23、24には、廃棄パネル分解処理拠点1と同様に入退構管理ゲートが設けられている。収容器16、17、18又は19を搭載した運搬車両9が各拠点21、22、23、24の入退構管理ゲートを通過すると、収容器が搬入された搬入日時情報が運搬車両IDとともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、データベース52に記憶している収容器16、17、18又は19の収容器IDに、搬入された拠点21、22、23又は24の拠点ID、搬入日時情報、運搬車両ID、運搬者IDを紐付けて記憶させる。
【0060】
上述のように、各拠点21、22、23、24には、収容器16、17、18、19内の回収マテリアルを計測する重量計が設けられている。そして、搬入された収容器16、17、18又は19の重量計測が実施され、受け取った回収マテリアルの重量が納品時重量情報として収容器IDとともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、データベース52に記憶している収容器IDに、納品時重量情報を紐付けて記憶させる。なお、回収マテリアルの重量を計測したときの計測日時情報を収容器IDに紐付けて記憶させても構わない。
【0061】
図9は、廃棄パネルIDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。図10は、再生パネル製造拠点4で製造される再生パネルの再生パネルIDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。図9及び図10も参照しながら、各マテリアルの情報管理例について説明する。
【0062】
<4-1.回収ガラスの再生例及び情報管理例>
回収ガラス再生拠点21に運び込まれた回収ガラス収容器17(図3参照)内の回収ガラスは、回収ガラス再生拠点21に設けられたガラス再生処理設備によってガラスカレットに再生される。当該ガラス再生処理設備には、回収ガラス収容器17に取り付けられた識別タグに記憶した回収ガラス収容器ID(CG・・・・・・・・)を読み取るID読取装置が設けられている。
【0063】
また、ガラス再生処理設備には、再生したガラスカレットを収容する再生ガラス収容器が設けられる。当該再生ガラス収容器は例えば着脱式コンテナ(バッカン)で構成される。当該再生ガラス収容器にはID(RG・・・・・・・・)を記録した識別タグが取り付けられている。ガラス再生処理設備は、取り付けられた再生ガラス収容器の重量を計測する重量計を備えている。ガラス再生処理設備は、再生ガラス収容器内の再生ガラスの重量を監視し、それが所定の重量になると、その重量情報を回収時重量としてサーバ装置51に対してアップロードするように構成されている。また、ガラス再生処理設備は、再生ガラス収容器内の再生ガラスの重量が所定の重量になると、再生ガラス収容器を自動で交換可能に構成している。
【0064】
図6は、再生ガラス収容器IDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。図5及び図6も参照して、回収ガラス収容器ID及び再生ガラス収容器IDに紐付けられる情報ついて説明する。
【0065】
回収ガラスを再生する際、回収ガラス収容器17(ID:CG・・・・・・・・)に取り付けた識別タグがガラス再生処理設備に設けたID読取装置によって読み取られる。そして、ガラス再生処理設備IDと設備操作者IDと読み込んだ回収ガラス収容器IDとがサーバ装置51に対してアップロードされる。図5での図示は省略しているが、サーバ装置51は、データベース52に記憶している回収ガラス収容器IDにガラス再生処理設備IDと設備操作者IDとを紐付けて記憶させる。
【0066】
IDが読み込まれた回収ガラス収容器17(ID:CG・・・・・・・・)内の回収ガラスは、ガラス再生処理設備に投入され、ガラスカレットに再生されて、再生ガラスとして再生ガラス収容器(ID:RG・・・・・・・・)に収容される。ガラス再生処理設備は、再生ガラス収容器IDと、再生ガラス収容器に収容した再生ガラスの元となる回収ガラスを収容していた回収ガラス収容器IDと、再生処理を実施したガラス再生処理設備のIDと設備操作者IDと再生処理日時情報とをサーバ装置51に対してアップロードする。
【0067】
サーバ装置51は、データベース52に記憶している回収ガラス収容器IDに、再生ガラス収容器IDを紐付けて記憶する(図5図9及び図10参照)。また、サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生ガラス収容器IDに、ガラス再生処理設備ID、設備操作者ID、再生処理日時情報、回収ガラス収容器IDを紐付けて記憶する(図6図9及び図10参照)。これにより、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから分離・回収した回収ガラスが回収ガラス再生拠点21で再生ガラスに再生されたことを追跡及び証明できる。
【0068】
なお、1つの回収ガラス収容器17内の回収ガラスを再生した再生ガラスを、1つの再生ガラス収容器に収容しても構わないし、複数の再生ガラス収容器に収容しても構わない。後者の場合、1つの回収ガラス収容器IDに複数の再生ガラス収容器IDなどが紐付いてデータベース52に記憶されることとなる。また、複数の回収ガラス収容器17内の回収ガラスから再生した再生ガラスが1つの回収セル収容器18に収容される場合には、複数の回収セル収容器IDに同一の回収ガラス収容器IDが紐付けられることとなる。
【0069】
回収ガラス再生拠点21のガラス再生処理設備は、取り付けられた再生ガラス収容器内の再生ガラスの重量を監視し、それが所定の重量になると、その重量情報を製造時重量としてサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶されている再生ガラス収容器IDに、再生ガラスの製造時重量情報を紐付けて記憶させる(図6参照)。
【0070】
サーバ装置51は運搬車両9を手配し、回収ガラス再生拠点21に向かわせるように指示を出す。運搬車両9が回収ガラス再生拠点21の入退構管理ゲートを通過すると、運搬車両9の入構情報が入構日時とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDにガラス再生処理設備IDと入構日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0071】
回収ガラス再生拠点21に入構した運搬車両9に、再生ガラスを収容した再生ガラス収容器が搭載される。運搬車両9は、再生ガラス収容器IDの読取装置を備えており、読み取った再生ガラス収容器IDと運搬者IDをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、再生ガラス収容器IDに運搬車両IDと運搬者IDを紐付けてデータベース52に記憶させる(図6参照)。
【0072】
再生ガラス収容器を搭載した運搬車両9は入退構管理ゲートを通過して、再生板ガラス製造拠点31へ向かう。運搬車両9が回収ガラス再生拠点21の入退構管理ゲートを通過する際、運搬車両9の退構情報が搬出日時(退構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、再生ガラス収容器IDに、搬出日時情報、運搬車両ID、運搬者ID、運搬先拠点IDなどのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる(図6参照)。また、サーバ装置51は、運搬車両IDに、回収ガラス再生拠点IDと搬出日時情報と運搬者IDのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0073】
運搬先の再生板ガラス製造拠点31では、再生ガラス収容器を搭載した運搬車両9の入構情報が搬入日時(入構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに運搬先拠点IDと搬入日時のデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。また、再生板ガラス製造拠点31では、到着した再生ガラス収容器の内容物の重量が計測され、納品時重量情報としてサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、再生ガラス収容器IDに搬入日時情報と納品時重量情報を紐付けてデータベース52に記憶させる(図6参照)。
【0074】
これにより、運搬車両9に搭載した再生ガラス収容器に収容した再生ガラスが回収ガラス再生拠点21から再生板ガラス製造拠点31に搬送されたことを追跡及び証明できる。つまり、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから回収された回収ガラスが回収ガラス再生拠点21で再生ガラスに再生されて、再生板ガラス製造拠点31に搬送されたことを追跡及び証明できる。また、再生ガラス収容器内の再生ガラスの回収時重量と納品時重量とを管理でき、再生ガラスの移動を正確に追跡できる。
【0075】
<4-2.回収セルの再生例及び情報管理例>
廃棄パネル分解処理拠点1から回収セル精錬拠点22に運び込まれた回収セル収容器18(図3参照)内の回収セルは、回収セル精錬拠点22に設けられたセル精錬設備によって素材ごとに分離及び回収されて精錬される。太陽電池セルには、例えば銀、シリコン、アルミニウムなどが含まれている。本実施形態では、廃棄パネルWから分離・回収したセルから銀、シリコン、アルミニウムを分離・精錬する例について説明する。
【0076】
回収セル精錬拠点22のセル精錬設備は、回収セル収容器18に収容した回収セルから銀、シリコン、アルミニウムを分離・精錬して、再生銀インゴット、再生シリコンインゴット、再生アルミニウムインゴットを生産する。当該セル精錬設備には、回収セル収容器18に取り付けられた識別タグに記憶した回収セル収容器ID(CC・・・・・・・・)を読み取るID読取装置が設けられている。生産した再生銀インゴット、再生シリコンインゴット、再生アルミニウムインゴットそれぞれに、再生AgインゴットID、再生SiインゴットID、再生Al(セル)インゴットIDが付与される。
【0077】
回収セルを精錬処理する際、回収セル収容器18(ID:CC・・・・・・・・)に取り付けた識別タグがセル精錬設備に設けたID読取装置によって読み取られる。そして、セル精錬設備IDと設備操作者IDと読み込んだ回収セル収容器IDとがサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、データベース52に記憶している回収セル収容器IDにセル精錬設備IDと設備操作者IDとを紐付けて記憶させる。
【0078】
IDが読み込まれた回収セル収容器18(ID:CC・・・・・・・・)内の回収セルは、セル精錬設備で、回収セル収容器IDを管理しながらマテリアルごとに分離・精錬されて、再生銀インゴット、再生シリコンインゴット、再生アルミニウムインゴットそれぞれに再生される。各再生インゴットにはIDが付与される。例えば、再生AgインゴットID(RA・・・・・・・・)、再生SiインゴットID(RS・・・・・・・・)、再生アルミ(セル)インゴットID(RL・・・・・・・・)が付与される(図9及び図10参照)。これらのインゴットIDは、インゴットに刻印される構成であっても構わないし、インゴットもしくはそれを収容した容器に識別タグが取り付けられる構成であっても構わない。
【0079】
セル精錬設備は、再生銀インゴットが生産されると、再生AgインゴットIDと、再生元マテリアルとなる回収セルを収容していた回収セル収容器IDと、分離・精錬処理を実施した回収セル精錬拠点22のIDと設備操作者IDと精錬処理日時情報とをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している回収セル収容器IDに、再生銀インゴットIDを紐付けて記憶する。また、サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生銀インゴットIDに、回収セル精錬設備ID、設備操作者ID、精錬処理日時情報、回収セル収容器IDを紐付けて記憶する。
【0080】
同様に、セル精錬設備は、再生シリコンインゴットが生産されると、再生SiインゴットID、回収セル収容器ID、回収セル精錬拠点ID、設備操作者ID、精錬処理日時情報をサーバ装置51に対してアップロードする。そして、サーバ装置51は、データベース52に記憶している回収セル収容器IDに再生SiインゴットIDを紐付けて記憶する。また、サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生SiインゴットIDに、回収セル精錬設備ID、設備操作者ID、精錬処理日時情報、回収セル収容器IDを紐付けて記憶する。
【0081】
再生アルミニウムインゴットが生産された際にも、同様に、セル精錬設備は、再生Al(セル)インゴットID、回収セル収容器ID、回収セル精錬拠点ID、設備操作者ID、精錬処理日時情報をサーバ装置51に対してアップロードする。そして、サーバ装置51は、データベース52に記憶している回収セル収容器IDに再生Al(セル)インゴットIDを紐付けて記憶する。また、サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生Al(セル)インゴットIDに、回収セル精錬設備ID、設備操作者ID、精錬処理日時情報、回収セル収容器IDを紐付けて記憶する。
【0082】
このように、再生管理本部5のサーバ装置51は、回収セル収容器IDと、各インゴットIDとを紐付けて管理する。これにより、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから分離・回収した回収セルが回収セル精錬拠点22で再生銀インゴット、再生シリコンインゴット、再生アルミニウムインゴットに再生されたことを追跡及び証明できる。
【0083】
なお、1つの回収セル収容器18内の回収セルから生産できる再生銀インゴット、再生シリコンインゴット、再生アルミニウムインゴットそれぞれは、1つであっても構わないし、複数であっても構わない。後者の場合、1つの回収セル収容器IDに複数の再生インゴットID(再生AgインゴットID、再生SiインゴットID又は再生Al(セル)インゴットID)などが紐付いてデータベース52に記憶される。また、複数の回収セル収容器18内の回収セルから1つの再生銀インゴット、再生シリコンインゴット又は再生アルミニウムインゴットが生産される場合には、複数の回収セル収容器IDに同一の再生インゴットIDが紐付けられることとなる。
【0084】
サーバ装置51は、回収セル精錬拠点22で生産した再生インゴットを再生セル製造拠点32へ輸送する運搬車両9を手配し、回収セル精錬拠点22に向かわせるように指示を出す。運搬車両9が回収セル精錬拠点22の入退構管理ゲートを通過すると、運搬車両9の入構情報が入構日時とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに回収セル精錬拠点IDと入構日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0085】
回収セル精錬拠点22に入構した運搬車両9に、再生インゴットが搭載される。運搬車両9は、再生インゴットIDの読取装置を備えており、読み取った再生インゴットIDと運搬者IDをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、再生インゴットIDに運搬車両IDと運搬者IDを紐付けてデータベース52に記憶させる。なお、運搬車両9に搭載された再生インゴットのID読取り方法は特に限定されない。例えば、複数の再生インゴットを、再生インゴットIDを管理しつつID付きの輸送用容器に収容し、輸送用容器IDを読み込んで、再生インゴットの輸送を管理しても構わない。
【0086】
再生インゴットを搭載した運搬車両9は回収セル精錬拠点22の入退構管理ゲートを通過して、再生セル製造拠点32へ向かう。運搬車両9が入退構管理ゲートを通過する際、運搬車両9の退構情報が搬出日時(退構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、再生インゴットIDに、搬出日時情報、運搬車両ID、運搬者ID、運搬先拠点IDなどのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、運搬車両IDに、回収セル精錬拠点IDと搬出日時情報と運搬者IDのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0087】
運搬先の再生セル製造拠点32では、再生インゴットを搭載した運搬車両9の入構情報が搬入日時(入構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに運搬先拠点IDと搬入日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、再生インゴットIDに搬入日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0088】
これにより、運搬車両9に搭載した再生インゴット(再生銀インゴット、再生シリコンインゴット及び再生アルミニウムインゴット)が回収セル精錬拠点22から再生セル製造拠点32に搬送されたことを追跡及び証明できる。すなわち、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから回収された回収セルが回収セル精錬拠点22で再生インゴットに再生されて、再生セル製造拠点32に搬送されたことを追跡及び証明できる。
【0089】
<4-3.回収インターコネクタの再生例及び情報管理例>
廃棄パネル分解処理拠点1で分離・回収された回収インターコネクタを収容した回収インターコネクタ収容器19(図3参照)は、回収インターコネクタ精錬拠点23に運ばれる。回収インターコネクタは、回収インターコネクタ精錬拠点23に設けられたインターコネクタ精錬設備によって再生銅インゴットに精錬・再生される。当該インターコネクタ精錬設備で生産した再生銅インゴットに再生CuインゴットIDが付与される。
【0090】
回収インターコネクタを精錬処理する際、回収インターコネクタ収容器19(ID:CI・・・・・・・・)に取り付けた識別タグがインターコネクタ精錬設備に設けたID読取装置によって読み取られる。そして、インターコネクタ精錬設備IDと設備操作者IDと回収インターコネクタ収容器IDとがサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、データベース52に記憶している回収インターコネクタ収容器IDにインターコネクタ精錬設備IDと設備操作者IDとを紐付けて記憶させる。
【0091】
IDが読み込まれた回収インターコネクタ収容器19(ID:CI・・・・・・・・)内の回収インターコネクタは、インターコネクタ精錬設備で、回収インターコネクタ収容器IDを管理しながら精錬されて、再生銅インゴットに再生される。再生銅インゴットにはID(RD・・・・・・・・)が付与される(図9及び図10参照)。
【0092】
再生銅インゴットが生産されると、インターコネクタ精錬設備は、再生CuインゴットIDと、再生元マテリアルとなる回収インターコネクタを収容していた回収インターコネクタ収容器IDとをサーバ装置51に対してアップロードする。また、インターコネクタ精錬設備は、インターコネクタ精錬設備IDと設備操作者IDと精錬処理日時情報とをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している回収インターコネクタ収容器IDに、再生CuインゴットIDを紐付けて記憶する。また、サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生CuインゴットIDに、回収インターコネクタ精錬設備ID、設備操作者ID、精錬処理日時情報、回収インターコネクタ収容器IDを紐付けて記憶する。
【0093】
このように、再生管理本部5のサーバ装置51は、回収インターコネクタ収容器IDと再生CuインゴットIDとを紐付けて管理する。これにより、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから分離・回収した回収インターコネクタが回収インターコネクタ精錬拠点23で再生銅インゴットに再生されたことを追跡及び証明できる。
【0094】
なお、上記再生銀インゴットに対するIDの紐付けと同様に、1つの回収インターコネクタ収容器IDに1つ又は複数の再生CuインゴットIDが紐付いてデータベース52に記憶される。また、複数の回収インターコネクタ収容器IDに同一の再生CuインゴットIDが紐付けられることもある。
【0095】
サーバ装置51は、回収インターコネクタ精錬拠点23で生産した再生銅インゴットを再生インターコネクタ銅線材製造拠点33へ輸送する運搬車両9を手配し、回収インターコネクタ精錬拠点23に向かわせるように指示を出す。運搬車両9が回収インターコネクタ精錬拠点23の入退構管理ゲートを通過すると、運搬車両9の入構情報が入構日時とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに回収インターコネクタ精錬拠点IDと入構日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0096】
回収インターコネクタ精錬拠点23に入構した運搬車両9に、再生銅インゴットが搭載される。運搬車両9は、再生CuインゴットIDの読取装置を備えており、読み取った再生CuインゴットIDと運搬者IDをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、再生CuインゴットIDに運搬車両IDと運搬者IDを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0097】
銅線材製造拠点33へ向かうために、再生銅インゴットを搭載した運搬車両9が回収インターコネクタ精錬拠点23の入退構管理ゲートを通過する際、運搬車両9の退構情報が搬出日時(退構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、再生CuインゴットIDに、搬出日時情報、運搬車両ID、運搬者ID、運搬先拠点IDなどのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、運搬車両IDに、回収インターコネクタ精錬拠点IDと搬出日時情報と運搬者IDのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0098】
運搬先の再生インターコネクタ銅線材製造拠点33では、再生銅インゴットを搭載した運搬車両9の入構情報が搬入日時(入構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに運搬先拠点IDと搬入日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、再生CuインゴットIDに搬入日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0099】
これにより、運搬車両9に搭載した再生銅インゴットが回収インターコネクタ精錬拠点23から再生インターコネクタ銅線材製造拠点33に搬送されたことを追跡及び証明できる。すなわち、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから回収された回収インターコネクタが回収インターコネクタ精錬拠点23で再生銅インゴットに再生されて、再生インターコネクタ銅線材製造拠点33に搬送されたことを追跡及び証明できる。
【0100】
<4-4.回収アルミ枠の再生例及び情報管理例>
廃棄パネル分解処理拠点1で分離・回収された回収アルミ枠を収容した回収アルミ枠収容器16(図3参照)は、回収アルミ枠精錬拠点24に運ばれる。回収アルミ枠は、回収アルミ枠精錬拠点24に設けられたアルミ枠精錬設備によって再生アルミニウムインゴットに精錬・再生される。再生アルミニウムインゴットには再生Al(枠)インゴットIDが付与される。
【0101】
回収アルミ枠を精錬処理する際、回収アルミ枠収容器16(ID:CF・・・・・・・・)に取り付けた識別タグがアルミ枠精錬設備に設けたID読取装置によって読み取られる。そして、アルミ枠精錬設備IDと設備操作者IDと回収アルミ枠収容器IDとがサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、データベース52に記憶している回収アルミ枠収容器IDにアルミ枠精錬設備IDと設備操作者IDとを紐付けて記憶させる。
【0102】
IDが読み込まれた回収アルミ枠収容器16(ID:CF・・・・・・・・)内の回収アルミ枠は、アルミ枠精錬設備で、回収アルミ枠収容器IDを管理しながら精錬されて、再生アルミニウムインゴットに再生される。再生アルミニウムインゴットには再生Al(枠)インゴットID(RX・・・・・・・・)が付与される(図9及び図10参照)。
【0103】
再生アルミニウムインゴットが生産されると、アルミ枠精錬設備は、再生Al(枠)インゴットIDと、再生元マテリアルとなる回収アルミ枠を収容していた回収アルミ枠収容器IDとをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している回収アルミ枠収容器IDに、再生Al(枠)インゴットIDを紐付けて記憶する。また、アルミ枠精錬設備は、回収アルミ枠精錬設備IDと設備操作者IDと精錬処理日時情報とをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生Al(枠)インゴットIDに、回収アルミ枠精錬設備ID、設備操作者ID、精錬処理日時情報、回収アルミ枠収容器IDを紐付けて記憶する。
【0104】
このように、再生管理本部5のサーバ装置51は、回収アルミ枠収容器IDと再生Al(枠)インゴットIDとを紐付けて管理する。これにより、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから分離・回収した回収アルミ枠が回収アルミ枠精錬拠点24で再生アルミニウムインゴットに再生されたことを追跡及び証明できる。
【0105】
なお、上記再生インゴットに対するIDの紐付けと同様に、1つの回収アルミ枠収容器IDに1つ又は複数の再生Al(枠)インゴットIDが紐付いてデータベース52に記憶される。また、複数の回収アルミ枠収容器IDに同一の再生Al(枠)インゴットIDが紐付けられることもある。
【0106】
回収アルミ枠精錬拠点24及び再生アルミ枠製造拠点34には、上記廃棄パネル分解処理拠点1などと同様に、運搬車両9の入退出を管理するための入退構管理ゲートが設けられている。そして、回収アルミ枠精錬拠点24で製造した再生アルミニウムインゴットの輸送、及びそれを輸送する運搬車両9の移動は、上記再生銀インゴットなどの輸送時と同様に、サーバ装置51にて追跡及び管理される。
【0107】
すなわち、サーバ装置51は、再生アルミ(枠)インゴットIDに、運搬車両ID、運搬者ID、搬出日時情報、運搬先の再生アルミ枠製造拠点ID、搬入日時情報などを紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、再生アルミニウムインゴットを運搬する運搬車両IDに、運搬者ID、回収アルミ枠精錬拠点ID、入構日時情報、搭載した再生インゴットの再生アルミ(枠)インゴットID、搬出日時情報、運搬先の再生アルミ枠製造拠点ID、搬入日時情報などを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0108】
これにより、運搬車両9に搭載した再生アルミニウムインゴットが回収アルミ枠精錬拠点24から再生アルミ枠製造拠点34に搬送されたことを追跡及び証明できる。すなわち、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから回収された回収アルミ枠が回収アルミ枠精錬拠点24で再生アルミニウムインゴットに再生されて、再生アルミ枠製造拠点34に搬送されたことを追跡及び証明できる。
【0109】
<5.再生部品の製造>
図1も参照して説明すると、上述したように、回収マテリアル再生拠点2で製造された再生マテリアルそれぞれは、運搬車両9(図3参照)によって再生部品製造拠点3へ輸送される。また、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから分離・回収された回収端子ボックスを収容した回収端子ボックス収容器15(図3参照)は、運搬車両9によって再生部品製造拠点3に輸送される。回収マテリアル再生拠点2又は廃棄パネル分解処理拠点1から再生部品製造拠点3への各マテリアルの輸送は太陽電池パネル再生管理本部5によって管理される。
【0110】
上述のように、回収ガラス再生拠点21で生産した再生ガラス(ガラスカレット)は再生板ガラス製造拠点31へ輸送される。回収セル精錬拠点22で生産した再生銀インゴット、再生シリコンインゴット、再生アルミニウムインゴットは再生セル製造拠点32へ輸送される。回収インターコネクタ精錬拠点23で生産した再生銅インゴットは再生インターコネクタ銅線材製造拠点33へ輸送される。回収アルミ枠精錬拠点24で生産した再生アルミニウムインゴットは再生アルミ枠製造拠点34へ輸送される。回収端子ボックスを収容した回収端子ボックス収容器15は、廃棄パネル分解処理拠点1から再生端子ボックス製造拠点35へ輸送される。
【0111】
各拠点31、32、33、34、35には、廃棄パネル分解処理拠点1と同様に入退構管理ゲートが設けられている。各マテリアルを搭載した運搬車両9が各拠点31、32、33、34、35の入退構管理ゲートを通過すると、各マテリアルが搬入された搬入日時情報が運搬車両IDとともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、データベース52に記憶している各マテリアルのIDに、搬入された拠点31、32、33、34又は35の拠点ID、搬入日時情報、運搬車両ID、運搬者IDを紐付けて記憶させる。
【0112】
また、拠点31及び35には、再生ガラス収容器又は回収端子ボックス収容器内の再生ガラス又は回収端子ボックスの重量を計測する重量計が設けられている。そして、搬入された再生ガラス又は回収端子ボックスの重量計測が実施され、受け取った再生ガラス又は回収端子ボックスの重量が納品時重量情報として収容器IDとともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生ガラス収容器ID又は回収端子ボックス収容器IDに、納品時重量情報を紐付けて記憶させる。なお、回収マテリアルの重量を計測したときの計測日時情報を収容器IDに紐付けて記憶させても構わない。
【0113】
<5-1.再生板ガラスの製造例及び情報管理例>
再生板ガラス製造拠点31に設けられた再生板ガラス製造設備は、再生板ガラス製造拠点31に運び込まれた再生ガラス収容器内の再生ガラスから、太陽電池パネル用の板ガラスを製造する。製造された板ガラスには、再生板ガラスID(RB・・・・・・・・)が付与される。
【0114】
図7は、再生板ガラスIDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。図6及び図7も参照して、再生ガラス収容器ID及び再生板ガラスIDに紐付けられる情報ついて説明する。
【0115】
当該再生板ガラス製造設備には、再生ガラス収容器に取り付けられた識別タグに記憶した再生ガラス収容器ID(RG・・・・・・・・)を読み取るID読取装置が設けられている。再生板ガラスを製造する際、再生ガラス収容器ID(RG・・・・・・・・)が再生板ガラス製造設備によって読み取られる。そして、再生板ガラス製造設備IDと設備操作者IDと読み込んだ再生ガラス収容器IDとがサーバ装置51に対してアップロードされる。図6での図示は省略するが、サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生ガラス収容器IDに再生板ガラス製造設備IDと設備操作者IDとを紐付けて記憶させる。
【0116】
再生板ガラス製造設備は、IDが読み込まれた再生ガラス収容器ID(RG・・・・・・・・)内の再生ガラスから、再生ガラス収容器IDを管理しながら再生板ガラスを製造する。再生板ガラスには再生板ガラスID(RB・・・・・・・・)が付与される(図6図7図9及び図10参照)。例えば、再生板ガラスに、再生板ガラスIDを記録したバーコードや二次元コードをプリントした識別タグが貼り付けられる。
【0117】
再生板ガラス製造設備は、再生板ガラスが製造されると、再生板ガラスIDと、再生板ガラスの元となる再生ガラスを収容していた再生ガラス収容器IDと、再生板ガラス製造設備IDと、設備操作者IDと、製造日時情報とをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生ガラス収容器IDに、再生板ガラスIDを紐付けて記憶する(図6参照)。また、サーバ装置51は、再生板ガラスIDに、再生板ガラス製造設備ID、設備操作者ID、製造日時情報、対応する回収ガラス収容器IDを紐付けてデータベース52に記憶させる(図7参照)。
【0118】
これにより、回収ガラス再生拠点21で製造した再生ガラスから、再生板ガラス製造拠点31で再生板ガラスが製造されたことを追跡及び証明できる。そして、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから分離・回収した回収ガラスが回収ガラス再生拠点21で再生ガラスに再生され、その再生ガラスから再生板ガラスが製造されたことを追跡及び証明できる。
【0119】
なお、1つの再生ガラス収容器内の再生ガラスから複数枚の再生板ガラスが製造される。したがって、複数の再生板ガラスIDに同一の再生ガラス収容器IDが紐付けられることとなる。
【0120】
サーバ装置51は、再生板ガラス製造拠点31で製造した再生板ガラスを再生パネル製造拠点4へ輸送する運搬車両9を手配し、再生板ガラス製造拠点31に向かわせるように指示を出す。運搬車両9が再生板ガラス製造拠点31の入退構管理ゲートを通過すると、運搬車両9の入構情報が入構日時とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに再生板ガラス製造拠点IDと入構日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0121】
再生板ガラス製造拠点31に入構した運搬車両9に複数の再生板ガラスが搭載される。運搬車両9は、再生板ガラスIDの読取装置を備えており、読み取った再生板ガラスIDと運搬者IDをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、再生板ガラスIDに運搬車両IDと運搬者IDを紐付けてデータベース52に記憶させる(図7参照)。なお、運搬車両9に搭載された再生板ガラスのID読取り方法は特に限定されない。例えば、複数の再生板ガラスを、再生板ガラスIDを管理しつつID付きの輸送用容器に収容し、輸送用容器IDを読み込んで、再生板ガラスの輸送を管理しても構わない。
【0122】
再生板ガラスを搭載した運搬車両9は再生板ガラス製造拠点31の入退構管理ゲートを通過して、再生パネル製造拠点4へ向かう。運搬車両9が再生板ガラス製造拠点31の入退構管理ゲートを通過する際、運搬車両9の退構情報が搬出日時(退構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、再生板ガラスIDに、搬出日時情報、運搬車両ID、運搬者ID、運搬先拠点IDなどのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる(図7参照)。また、サーバ装置51は、運搬車両IDに、再生板ガラス製造拠点IDと搬出日時情報と運搬者IDのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0123】
運搬先の再生パネル製造拠点4では、再生板ガラスを搭載した運搬車両9の入構情報が搬入日時(入構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに運搬先拠点ID(再生パネル製造拠点ID)と搬入日時のデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、再生板ガラスIDに再生パネル製造拠点4での搬入日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる(図7参照)。
【0124】
これにより、運搬車両9に搭載した再生板ガラスが再生板ガラス製造拠点31から再生パネル製造拠点4に搬送されたことを追跡及び証明できる。そして、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから回収された回収ガラスが、回収ガラス再生拠点21で再生ガラスに再生され、再生板ガラス製造拠点31で再生板ガラスに再生され、再生パネル製造拠点4に搬送されたことを追跡及び証明できる。
【0125】
<5-2.再生セルの製造例及び情報管理例>
図1も参照して説明すると、回収セル精錬拠点22で製造された再生銀インゴット、再生シリコンインゴット及び再生アルミニウムインゴットは、上述のように、再生セル製造拠点32に輸送される。再生セル製造拠点32では、再生セル製造設備によって、再生銀インゴット、再生シリコンインゴット及び再生アルミニウムインゴットを使って太陽電池パネル用の再生セルが製造される。
【0126】
再生セルを製造する際、再生セル製造設備に設けたID読取装置によって、再生銀インゴットの再生AgインゴットID、再生シリコンインゴットの再生SiインゴットID及び再生アルミニウムインゴットの再生Al(セル)インゴットIDが読み取られる。そして、再生セル製造設備IDと設備操作者IDと再生AgインゴットIDと再生SiインゴットIDと再生Al(セル)インゴットIDがサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、データベース52に記憶している各インゴットIDに再生セル製造設備IDと設備操作者IDとを紐付けて記憶させる。
【0127】
再生セル製造設備は、再生銀インゴット、再生シリコンインゴット及び再生アルミニウムインゴットを使って太陽電池パネル用の再生セルを製造する。再生セルには再生セルID(RC・・・・・・・・)が付与される(図9及び図10参照)。
【0128】
1つの再生銀インゴットは複数の再生セルの材料となる。同様に、1つの再生シリコンインゴット及び再生アルミニウムインゴットそれぞれは、複数の再生セルの材料となる。したがって、データベース52では、再生AgインゴットID、再生SiインゴットID及び再生Al(セル)インゴットIDそれぞれに、複数の再生セルIDが紐付いて記憶される。
【0129】
再生セル製造設備は、再生セルが生産されると、再生セルIDと、再生元マテリアルとしての再生AgインゴットID、再生SiインゴットID及び再生Al(セル)インゴットIDと、再生セル製造設備IDと、設備操作者IDと、製造日時情報とをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生AgインゴットID、再生SiインゴットID及び再生Al(セル)インゴットIDそれぞれに、再生セルIDを紐付けて記憶する。また、サーバ装置51は、再生セルIDに、再生セル製造設備ID、設備操作者ID、製造日時情報、対応する再生AgインゴットID、再生SiインゴットID及び再生Al(セル)インゴットIDを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0130】
このように、再生管理本部5のサーバ装置51は、各インゴットIDと再生セルIDを紐付けて管理する。これにより、回収セル精錬拠点22で製造した再生銀インゴット、再生シリコンインゴット及び再生アルミニウムインゴットを使って、再生セル製造拠点32で再生セルが製造されたことを追跡及び証明できる。そして、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから分離・回収した回収セルが、回収セル精錬拠点22で再生銀インゴット、再生シリコンインゴット、再生アルミニウムインゴットに再生され、それらのインゴットを使って再生セルが製造されたことを追跡及び証明できる。
【0131】
サーバ装置51は、再生セル製造拠点32で製造した再生セルを再生パネル製造拠点4へ輸送する運搬車両9を手配し、再生セル製造拠点32に向かわせるように指示を出す。運搬車両9が再生セル製造拠点32の入退構管理ゲートを通過すると、運搬車両9の入構情報が入構日時とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに再生セル製造拠点IDと入構日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0132】
再生セル製造拠点32に入構した運搬車両9に再生セルが搭載される。運搬車両9は、再生セルIDの読取装置を備えており、読み取った再生セルIDと運搬者IDをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、再生セルIDに運搬車両IDと運搬者IDを紐付けてデータベース52に記憶させる。なお、運搬車両9に搭載された再生セルのID読取り方法は特に限定されない。例えば、複数の再セルを、再生セルIDを管理しつつID付きの輸送用容器に収容し、輸送用容器IDを読み込んで、再生セルの輸送を管理しても構わない。また、再生セルIDはロット単位で管理されても構わない。
【0133】
再生セルを搭載した運搬車両9は再生セル製造拠点32の入退構管理ゲートを通過して、再生パネル製造拠点4へ向かう。運搬車両9が再生セル製造拠点32の入退構管理ゲートを通過する際、運搬車両9の退構情報が搬出日時(退構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、再生セルIDに、搬出日時情報、運搬車両ID、運搬者ID、運搬先拠点IDなどのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、運搬車両IDに、再生セル製造拠点IDと搬出日時情報と運搬者IDのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0134】
運搬先の再生パネル製造拠点4では、再生セルを搭載した運搬車両9の入構情報が搬入日時(入構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに再生パネル製造拠点IDと搬入日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、再生セルIDに搬入日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0135】
これにより、運搬車両9に搭載した再生セルが再生セル製造拠点32から再生パネル製造拠点4に搬送されたことを追跡及び証明できる。すなわち、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから回収された回収セルが、回収セル精錬拠点22で再生インゴットに再生され、その再生インゴットを使用して再生セル製造拠点32で再生セルが製造されて、再生パネル製造拠点4に搬送されたことを追跡及び証明できる。
【0136】
<5-3.再生インターコネクタ銅線材の製造例及び情報管理例>
図1に示すように、回収インターコネクタ精錬拠点23で生産された再生銅インゴットは再生インターコネクタ銅線材製造拠点33に運ばれる。再生インターコネクタ銅線材製造拠点33に設けられた銅線材製造設備は、再生銅インゴットを使用して、再生インターコネクタ銅線材を製造する。当該再生インターコネクタ銅線材は、再生パネル製造拠点4で太陽電池パネルの製造に使用されるものである。
【0137】
当該銅線材製造設備で生産した再生インターコネクタ銅線材に再生インターコネクタ銅線材IDが付与される。再生インターコネクタ銅線材IDは、例えば再生インターコネクタ銅線材を巻き取ったボビンやドラムに識別タグを取り付けることで管理できる。
【0138】
再生インターコネクタ銅線材を製造する際、再生銅インゴットの再生CuインゴットIDが銅線材製造設備に設けたID読取装置によって読み取られる。そして、銅線材製造設備IDと設備操作者IDと再生CuインゴットIDとがサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生CuインゴットIDに銅線材製造設備IDと設備操作者IDとを紐付けて記憶させる。
【0139】
IDが読み込まれた再生銅インゴットは、銅線材製造設備で、再生CuインゴットIDを管理しながら再生インターコネクタ銅線材に加工される。製造された再生インターコネクタ銅線材に再生インターコネクタ銅線材ID(RI・・・・・・・・)が付与される(図9及び図10参照)。
【0140】
再生インターコネクタ銅線材が生産されると、銅線材製造設備は、再生インターコネクタ銅線材IDと、その製造に使用した再生銅インゴットの再生CuインゴットIDとをサーバ装置51に対してアップロードする。また、銅線材製造設備は、銅線材製造設備IDと設備操作者IDと製造日時情報とをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生CuインゴットIDに再生インターコネクタ銅線材IDを紐付けて記憶する。また、サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生インターコネクタ銅線材IDに、銅線材製造設備ID、設備操作者ID、製造日時情報、再生CuインゴットIDを紐付けて記憶する。
【0141】
このように、再生管理本部5のサーバ装置51は、再生インターコネクタ銅線材IDと再生CuインゴットIDとを紐付けて管理する。これにより、回収インターコネクタ精錬拠点23で製造した再生銅インゴットを使用して、再生インターコネクタ銅線材が製造されたことを追跡及び証明できる。そして、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから分離・回収した回収インターコネクタが、回収インターコネクタ精錬拠点23で再生銅インゴットに精錬され、その再生銅インゴットを使って再生インターコネクタ銅線材が製造されたことを追跡及び証明できる。
【0142】
なお、1つの再生銅インゴットから複数の再生インターコネクタ銅線材が製造されても構わないし、複数の再生銅インゴットを使用して1つの再生インターコネクタ銅線材が製造されても構わない。そして、1つの再生CuインゴットIDに複数の再生インターコネクタ銅線材IDが紐付けられることもあるし、複数の再生CuインゴットIDに同一の再生インターコネクタ銅線材IDが紐付けられることもある。
【0143】
サーバ装置51は、再生インターコネクタ銅線材製造拠点33で生産した再生インターコネクタ銅線材を再生パネル製造拠点4へ輸送する運搬車両9を手配し、再生インターコネクタ銅線材製造拠点33に向かわせるように指示を出す。運搬車両9が再生インターコネクタ銅線材製造拠点33の入退構管理ゲートを通過すると、運搬車両9の入構情報が入構日時とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに再生インターコネクタ銅線材製造拠点IDと入構日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0144】
再生インターコネクタ銅線材製造拠点33に入構した運搬車両9に、再生インターコネクタ銅線材が搭載される。運搬車両9は、再生インターコネクタ銅線材IDの読取装置を備えており、読み取った再生インターコネクタ銅線材IDと運搬者IDをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、再生インターコネクタ銅線材IDに運搬車両IDと運搬者IDを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0145】
再生インターコネクタ銅線材を搭載した運搬車両9が再生インターコネクタ銅線材製造拠点33の入退構管理ゲートを通過する際、運搬車両9の退構情報が搬出日時(退構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、再生インターコネクタ銅線材IDに、搬出日時情報、運搬車両ID、運搬者ID、運搬先拠点ID(再生パネル製造拠点ID)などのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、運搬車両IDに、再生インターコネクタ銅線材製造拠点IDと搬出日時情報と運搬者IDのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0146】
運搬先の再生パネル製造拠点4では、再生インターコネクタ銅線材を搭載した運搬車両9の入構情報が搬入日時(入構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに再生パネル製造拠点IDと搬入日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、再生インターコネクタ銅線材IDに再生パネル製造拠点4への搬入日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0147】
これにより、運搬車両9に搭載した再生インターコネクタ銅線材が再生インターコネクタ銅線材製造拠点33から再生パネル製造拠点4に搬送されたことを追跡及び証明できる。すなわち、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから回収された回収インターコネクタが回収インターコネクタ精錬拠点23で再生銅インゴットに再生され、その再生銅インゴットを使用して再生インターコネクタ銅線材製造拠点33で製造された再生インターコネクタ銅線材が再生パネル製造拠点4に搬送されたことを追跡及び証明できる。
【0148】
<5-4.再生アルミ枠の製造例及び情報管理例>
図1に示すように、回収アルミ枠精錬拠点24で生産された再生アルミニウムインゴットは再生アルミ枠製造拠点34に運ばれる。再生アルミ枠製造拠点34に設けられた再生アルミ枠製造設備は、回収アルミ枠精錬拠点24で生産された再生アルミニウムインゴットを使用して再生アルミ枠を製造する。当該再生アルミ枠は、再生パネル製造拠点4で太陽電池パネルの製造に使用されるものである。製造された再生アルミ枠に再生アルミ枠IDが付与される。当該再生アルミ枠IDは、例えばロット単位で再生アルミ枠に付与される。
【0149】
再生アルミ枠を製造する際、再生アルミニウムインゴットに取り付けた識別タグの再生アルミ(枠)インゴットID(RX・・・・・・・・)が再生アルミ枠製造設備に設けたID読取装置によって読み取られる。そして、再生アルミ枠製造設備IDと設備操作者IDと再生アルミ(枠)インゴットIDとがサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生アルミ(枠)インゴットIDに再生アルミ枠製造設備IDと設備操作者IDとを紐付けて記憶させる。なお、再生アルミ(枠)インゴットIDは、再生アルミニウムインゴットに刻印されていても構わない。
【0150】
再生アルミ枠製造設備は、IDが読み込まれた再生アルミニウムインゴットを使用して、再生アルミ(枠)インゴットIDを管理しながら再生アルミ枠を製造する。再生アルミ枠には、例えばロット単位で再生アルミ枠ID(RF・・・・・・・・)が付与される(図9及び図10参照)。
【0151】
再生アルミ枠が生産されると、再生アルミ枠製造設備は、再生アルミ枠IDと、使用した再生Al(枠)インゴットIDとをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生Al(枠)インゴットIDに、再生アルミ枠IDを紐付けて記憶する。また、再生アルミ枠製造設備は、再生アルミ枠製造設備IDと設備操作者IDと製造日時情報とをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生アルミ枠IDに、再生アルミ枠製造設備ID、設備操作者ID、製造日時情報、再生Al(枠)インゴットIDを紐付けて記憶する。
【0152】
このように、再生管理本部5のサーバ装置51は、再生Al(枠)インゴットIDと再生アルミ枠IDとを紐付けて管理する。これにより、回収アルミ枠精錬拠点24で生産した再生アルミニウムインゴットを使用して再生アルミ枠製造拠点34で再生アルミ枠が製造されたことを追跡及び証明できる。
【0153】
なお、再生アルミインゴット及び再生アルミ枠の製造態様及びID付与方式の違いによって、1つの再生Al(枠)インゴットIDに1つ又は複数の再生アルミ枠IDが紐付けられることもあるし、複数の再生Al(枠)インゴットIDに同一の再生アルミ枠IDが紐付けられることもある。
【0154】
再生アルミ枠製造拠点34及び再生パネル製造拠点4には、上記廃棄パネル分解処理拠点1などと同様に、運搬車両9の入退出を管理するための入退構管理ゲートが設けられている。そして、再生アルミ枠製造拠点34で製造した再生アルミ枠の輸送、及びそれを輸送する運搬車両9の移動は、上記輸送管理態様と同様に、サーバ装置51にて追跡及び管理される。
【0155】
すなわち、サーバ装置51は、再生アルミ枠IDに、運搬車両ID、運搬者ID、搬出日時情報、運搬先の再生パネル製造拠点ID、搬入日時情報などを紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、再生アルミ枠を運搬する運搬車両IDに、運搬者ID、再生アルミ枠製造拠点ID、入構日時情報、搭載した再生アルミ枠の再生アルミ枠ID、搬出日時情報、運搬先の再生パネル製造拠点ID、搬入日時情報などを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0156】
これにより、運搬車両9に搭載した再生アルミ枠が再生アルミ枠製造拠点34から再生パネル製造拠点4に搬送されたことを追跡及び証明できる。すなわち、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから分離・回収した回収アルミ枠が回収アルミ枠精錬拠点24で再生アルミニウムインゴットに再生され、その再生アルミニウムインゴットを使用して再生アルミ枠製造拠点34で再生アルミ枠が製造されたことを追跡及び証明できる。
【0157】
<5-5.再生端子ボックスの製造例及び情報管理例>
図1に示すように、廃棄パネル分解処理拠点1で複数の廃棄パネルWから分離・回収された回収端子ボックスを収容した回収端子ボックス収容器15は再生端子ボックス製造拠点35に運ばれる。再生端子ボックス製造拠点35に設けられた再生端子ボックス製造設備は、回収端子ボックスから再生端子ボックスを製造する。当該再生端子ボックスは、再生パネル製造拠点4で太陽電池パネルの製造に使用されるものである。製造された再生端子ボックスに再生端子ボックスIDが付与される。当該再生端子ボックスIDは、例えば再生端子ボックスごとに付与されても構わないし、ロット単位で付与されても構わない。
【0158】
再生端子ボックスを製造する際、回収端子ボックス収容器15に取り付けた識別タグの回収端子ボックス収容器ID(CJ・・・・・・・・)が再生端子ボックス製造設備に設けたID読取装置によって読み取られる。そして、再生端子ボックス製造設備IDと設備操作者IDと回収端子ボックス収容器IDとがサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、データベース52に記憶している回収端子ボックス収容器IDに再生端子ボックス製造設備IDと設備操作者IDとを紐付けて記憶させる。
【0159】
再生端子ボックス製造設備は、IDが読み込まれた回収端子ボックス収容器15内の回収端子ボックスを使用して、回収端子ボックス収容器IDを管理しながら再生端子ボックスを製造する。再生端子ボックスには、例えば固体単位又はロット単位で再生端子ボックス(RJ・・・・・・・・)が付与される(図9及び図10参照)。
【0160】
再生端子ボックスが製造されると、再生端子ボックス製造設備は、再生端子ボックスIDと、それに対応する回収端子ボックス収容器IDとをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している回収端子ボックス収容器IDに、再生端子ボックスIDを紐付けて記憶する。また、再生端子ボックス製造設備は、再生端子ボックス製造設備IDと設備操作者IDと製造日時情報とをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生端子ボックスIDに、再生端子ボックス製造設備ID、設備操作者ID、製造日時情報、対応する回収端子ボックス収容器IDを紐付けて記憶する。
【0161】
このように、再生管理本部5のサーバ装置51は、回収端子ボックス収容器IDと再生端子ボックスIDとを紐付けて管理する。これにより、廃棄パネル分解処理拠点1で分離・回収した回収端子ボックスを使用して再生端子ボックス製造拠点35で再生端子ボックスが製造されたことを追跡及び証明できる。
【0162】
再生端子ボックス製造拠点35には、上記廃棄パネル分解処理拠点1などと同様に、運搬車両9の入退出を管理するための入退構管理ゲートが設けられている。そして、再生端子ボックス製造拠点35で製造した再生端子ボックスの再生パネル製造拠点4への輸送、及びそれを輸送する運搬車両9の移動は、上記輸送管理態様と同様に、サーバ装置51にて追跡及び管理される。
【0163】
すなわち、サーバ装置51は、再生端子ボックスIDに、運搬車両ID、運搬者ID、搬出日時情報、運搬先の再生パネル製造拠点ID、搬入日時情報などを紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、再生端子ボックスを運搬する運搬車両IDに、運搬者ID、再生端子ボックス製造拠点ID、入構日時情報、搭載した再生端子ボックスの再生端子ボックスID、搬出日時情報、運搬先の再生パネル製造拠点ID、搬入日時情報などを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0164】
これにより、運搬車両9に搭載した再生端子ボックスが再生端子ボックス製造拠点35から再生パネル製造拠点4に搬送されたことを追跡及び証明できる。すなわち、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから分離・回収した回収端子ボックスを使用して再生端子ボックス製造拠点35で再生端子ボックスが製造されたことを追跡及び証明できる。
【0165】
再生端子ボックスは、後述する再生太陽電池パネル(再生パネル)に実装される。そして、再生端子ボックスは、再生パネルの発電量の監視に使用できるICチップを内蔵していても構わない。例えば、このICチップは、再生パネルIDと発電量に応じた信号とを再生端子ボックスから延びる電気配線に送信するものである。ただし、このICチップは、再生パネルの発電量を計測して再生パネルIDとともに送信できるものであればよい。また、当該ICチップに、再生パネルIDを識別できるRFID機能を設けても構わない。再生パネルの発電量の監視については後述する。
【0166】
<6.再生パネルの製造例及び情報管理例>
図1も参照して説明すると、上述したように、再生部品製造拠点3で再生マテリアルから製造された太陽電池パネル用の部品及び素材は、運搬車両9(図3参照)によって再生パネル製造拠点4へ輸送される。再生部品製造拠点3から再生パネル製造拠点4への各部品及び素材の輸送は太陽電池パネル再生管理本部5によって管理される。
【0167】
再生パネル製造拠点4に設けられた再生セル製造設備は、再生部品製造拠点3から運び込まれた部品及び素材を使用して再生太陽電池パネル(再生パネル)を製造する。製造された再生パネルには、再生パネルID(RP・・・・・・・・)が付与される(図9及び図10参照)。
【0168】
図8は、再生パネルIDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブル図である。図7図10を参照して、再生パネルIDに紐付けられる情報ついて説明する。
【0169】
当該再生セル製造設備には、各部品及び素材のIDを読み取るID読取装置が設けられている。再生セル製造設備は、各部品及び素材のIDを読み取ると、再生セル製造設備IDと設備操作者IDと読み込んだ部品又は素材のIDとをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生板ガラスID(RB・・・・・・・・)、再生セルID(RC・・・・・・・・)、再生インターコネクタ銅線材ID(RI・・・・・・・・)、再生アルミ枠ID(RF・・・・・・・・)及び再生端子ボックスID(RJ・・・・・・・・)それぞれに、再生セル製造設備IDと設備操作者IDとを紐付けて記憶させる。
【0170】
再生セル製造設備は、再生板ガラスID、再生セルID、再生インターコネクタ銅線材ID、再生アルミ枠ID、再生端子ボックスIDを管理しながら、再生パネルを製造可能に構成している。製造された再生パネルには再生パネルID(RP・・・・・・・・)が付与される(図7図10参照)。再生パネルに再生パネルIDを記録した識別タグが貼り付けられる。この識別タグは、例えばバーコードもしくは二次元コードがプリントされたラベルであるが、電子タグ(RFIDタグ)であっても構わない。識別タグは、例えば再生パネルの側面に貼り付けられる。ただし、識別タグは、再生パネルの内部に埋め込まりたり、再生端子ボックスに配設されたりしても構わない。
【0171】
再生パネル製造設備は、再生パネルが製造されると、再生パネルIDと、その再生パネルの製造に使用した各部品及び素材のID(再生板ガラスID、再生セルID、再生インターコネクタ銅線材ID、再生アルミ枠ID、再生端子ボックスID)とをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、データベース52に記憶している再生板ガラスID、再生セルID、再生インターコネクタ銅線材ID、再生アルミ枠ID、再生端子ボックスIDに、対応する再生パネルIDを紐付けて記憶する(図7図10参照)。例えば、図7に示すように、再生板ガラスIDに、対応する再生パネルIDが紐付けて記憶される。
【0172】
また、再生パネル製造設備は、再生パネルが製造されると、再生パネルIDと、再生パネル製造設備IDと、設備操作者IDと、製造日時情報とをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、再生パネルIDに、再生パネル製造設備ID、設備操作者ID、製造日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる(図8参照)。
【0173】
これにより、再生部品製造拠点3で製造した再生板ガラス、再生セル、再生インターコネクタ銅線材、再生アルミ枠、再生端子ボックスから、再生パネル製造拠点4で再生パネルが製造されたことを追跡及び証明できる。そして、再生部品製造拠点3で製造された各部品及び素材は廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから分離・回収したマテリアルから製造されたものであるから、再生パネルは廃棄パネルWから分離・回収したマテリアルを使用して製造されたことを追跡及び証明できる。
【0174】
サーバ装置51は、再生パネル製造拠点4で製造した再生パネルをパネル保管拠点8へ輸送する運搬車両9を手配し、再生パネル製造拠点4に向かわせるように指示を出す。運搬車両9が再生パネル製造拠点4の入退構管理ゲートを通過すると、運搬車両9の入構情報が入構日時とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに再生パネル製造拠点IDと入構日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0175】
再生パネル製造拠点4に入構した運搬車両9に複数の再生パネルが搭載される。運搬車両9は、再生パネルIDの読取装置を備えており、読み取った再生パネルIDと運搬者IDをサーバ装置51に対してアップロードする。サーバ装置51は、再生パネルIDに運搬車両IDと運搬者IDを紐付けてデータベース52に記憶させる(図8参照)。なお、運搬車両9に搭載された再生パネルのID読取り方法は特に限定されない。例えば、複数の再生パネルを、再生パネルIDを管理しつつID付きの輸送用容器に収容し、輸送用容器IDを読み込んで、再生パネルの輸送を管理しても構わない。
【0176】
再生パネルを搭載した運搬車両9は再生パネル製造拠点4の入退構管理ゲートを通過して、パネル保管拠点8へ向かう。運搬車両9が再生パネル製造拠点4の入退構管理ゲートを通過する際、運搬車両9の退構情報が搬出日時(退構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、再生パネルIDに、搬出日時情報、運搬車両ID、運搬者ID、運搬先拠点IDなどのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる(図8参照)。また、サーバ装置51は、運搬車両IDに、再生パネル拠点IDと搬出日時情報と運搬者IDのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0177】
運搬先のパネル保管拠点8では、再生パネルガラスを搭載した運搬車両9が入退構管理ゲートを通過すると、運搬車両9の入構情報が搬入日時(入構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両IDに運搬先拠点ID(パネル保管拠点ID)と搬入日時のデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、再生パネルIDに、パネル保管拠点8での搬入日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる(図8参照)。これにより、運搬車両9に搭載した再生パネルが再生パネル製造拠点4からパネル保管拠点8に搬送されたことを追跡及び証明できる。
【0178】
<6-1.廃棄パネル分解から再生パネル製造までの情報管理例>
上述のように、再生管理本部5のサーバ装置51は、廃棄パネルW、各回収マテリアル、各再生マテリアル、太陽電池パネル製造用の各部品、及び再生パネルそれぞれに付与したIDを管理して、廃棄パネルの分解から再生パネルの生産までのマテリアルの流れをIDで追跡可能にデータベース52に記憶させる。
【0179】
本実施形態では、上記回収マテリアルは、回収ガラス、回収セル、回収インターコネクタ、回収アルミ枠、回収端子ボックスである。また、上記再生マテリアルは、再生ガラス、再生銀インゴット、再生シリコンインゴット、セル由来の再生アルミニウムインゴット、再生銅インゴット、アルミ枠由来の再生アルミニウムインゴットである。また、上記太陽電池パネル製造用の部品は、再生板ガラス、再生セル、再生インターコネクタ銅線材、再生アルミ枠、再生端子ボックスである。
【0180】
図9は、1つの廃棄パネルIDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブルを表している。図9から分かるように、1枚の廃棄パネルから回収した各マテリアル(回収マテリアル)が、どの再生マテリアルに再生され、さらに、どの太陽電池パネル製造用の部品の材料となり、最終的にどの再生パネルの材料となったかを追跡できる。
【0181】
図10は、1つの再生パネルIDに紐付けられる情報の一例を示すデータテーブルを表している。図10から分かるように、1枚の再生パネルは、どの太陽電池パネル製造用の部品を使用して製造されたかを追跡できる。そして、それらの部品はどの再生マテリアルを使用して製造されたかを追跡できる。さらに、それらの再生マテリアルはどの回収マテリアルを使用して生産されたかを追跡できる。そして、それらの回収マテリアルはどの廃棄パネルから回収されたものであるかを追跡できる。
【0182】
このように、本実施形態の太陽電池パネルの再生管理システムは、廃棄パネルから回収された各マテリアルを適切に管理できる。また、廃棄パネルを分離して得られた回収マテリアルを使用して新たに再生パネルを製造するので、資源の循環を実現できるとともに、新たな資源の使用量を抑制しながら太陽電池パネルによるエネルギー供給を維持できる仕組みを構築できる。
【0183】
<7.パネルの保管例及び情報管理例>
さて、再生パネル製造拠点4で製造した再生パネル及び回収パネル検査拠点6で再利用可能と判定されたユースパネルは、パネル保管拠点8に搬入されて保管される。上述のように、パネル保管拠点8には入退構管理ゲートが設けられている。再生パネル又はリユースパネルを搭載した運搬車両9が入退構管理ゲートを通過すると、運搬車両9の入構情報が搬入日時(入構日時)とともにサーバ装置51に対してアップロードされる。サーバ装置51は、運搬車両9に載置された再生パネル又はリユースパネルのIDに、搬入日時情報、運搬車両ID、運搬者ID、パネル保管拠点IDなどのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、運搬車両IDに、パネル保管拠点IDと搬入日時情報と運搬者IDのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0184】
これにより、サーバ装置51はパネル保管拠点8に保管されている再生パネル及びリユースパネルを管理できる。なお、再生パネルを製造した時点又は再生パネル製造拠点4に一時保管している段階で再生パネルの設置拠点が決定しているときは、パネル保管拠点8を経ずに再生パネルをパネル設置場所7に搬送しても構わない。リユースパネルについても同様に、パネル保管拠点8を経ずにパネル設置場所7に搬送しても構わない。
【0185】
<8.パネルの設置例及び情報管理例>
再生パネルの所有者(購入者)及び設置場所が決まると、サーバ装置51は、データベース52に記憶した再生パネルIDに所有者情報及び設置場所情報を紐付けて記憶させる(図8参照)。また、サーバ装置51は、再生パネルをパネル設置場所7へ輸送する運搬車両9を手配し、パネル保管拠点8に向かわせるように指示を出す。運搬車両9がパネル保管拠点8の入退構管理ゲートを通過すると、サーバ装置51は運搬車両IDにパネル保管拠点IDと入構日時情報を紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0186】
運搬車両9に再生パネルが搭載される。サーバ装置51は、再生パネルIDに運搬車両IDと運搬者IDを紐付けてデータベース52に記憶させる。再生パネルを搭載した運搬車両9がパネル保管拠点8の入退構管理ゲートを通過すると、サーバ装置51は、再生パネルIDに、搬出日時情報、運搬車両ID、運搬者IDなどのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる(図8参照)。また、サーバ装置51は、運搬車両IDに、パネル保管拠点IDと搬出日時情報と運搬者IDと運搬先の設置場所情報などのデータを紐付けてデータベース52に記憶させる。
【0187】
パネル設置場所7に到着した運搬車両9から降ろされた再生パネルが設置される。サーバ装置51は、データベース52に記憶されている再生パネルIDに、設置日時情報や設置事業者情報などを紐付けて記憶させる。なお、設置日時情報や設置事業者情報をデータベース52に記憶させる時期は、再生パネルの設置前であっても構わない。また、運搬車両9にGPS装置などの位置追跡装置を搭載して、運搬車両9が目的地(ここではパネル設置場所7)に到着したことをサーバ装置51に管理させるようにしても構わない。
【0188】
また、回収パネル検査拠点6で再利用可能と判定したリユースパネルについても、パネル設置場所7に設置するにあたり、データベース52に記憶したリユースパネルIDに、所有者情報、設置場所情報、搬出日時情報、運搬車両ID、運搬者ID、設置日時情報、設置事業者情報などの情報が紐付けて記憶される。
【0189】
さて、上述のように、再生パネル製造拠点4で製造した再生パネルは、その再生端子ボックスに、再生パネルの発電量を計測するICチップが搭載されていても構わない。当該ICチップは、例えば、計測した発電量を再生パネルIDとともに電気配線を通じて送信するものである。この場合、再生パネルが電気配線を通じて接続される接続箱又はパワーコンディショナーに、上記ICチップの送信信号から再生パネルID及び発電量を読み取って外部ネットワーク100を介してサーバ装置51に送信する通信装置を設けても構わない。
【0190】
このような構成にすれば、サーバ装置51は、パネル設置場所7に設置した再生パネルの発電量を監視できるとともに、当該再生パネルの故障や劣化を検知できる。そして、再生パネルに不具合が生じたときには、パネル保管拠点8に保管している再生パネルを手配して迅速な交換に対応できる。
【0191】
なお、上記ICチップは、再生パネルIDと計測した発電量とを送信できるものであれば、どのような構成のものであっても構わない。また、再生パネルIDと計測した発電量とを送信する装置は、上記ICチップに限らず、例えば、再生パネルに後付けで装着されたものであっても構わないし、再生パネルの外部に設けられるものであっても構わない。また、再生パネルID及び発電量をサーバ装置51に外部ネットワーク100を介して送信する通信装置は特に限定されない。当該通信装置は、例えば、接続箱やパワーコンディショナーとは異なる箇所に設けられても構わない。また、リユースパネルについても、リユースパネルIDと発電量とをサーバ装置51に送信できるように構成しても構わない。
【0192】
<9.各拠点の設備の管理例>
本実施形態の太陽電池パネルの再生管理システムでは、各拠点1、21~24、31~35、4の各設備は、外部ネットワーク100を介して再生管理本部5のサーバ装置51に接続している。そして、サーバ装置51によって、各設備の稼働状況の監視や不具合の検知などを可能に構成している。
【0193】
図3を参照して、廃棄パネル分解処理拠点1のパネル分解処理設備10の管理について説明する。上述のように、パネル分解処理設備10は、パネルID読取装置11、端子ボックス取外し装置12、アルミ枠取外し装置13及びパネル分解装置14を備えている。パネル分解処理設備10は、装置11~14の稼働状況や、装置11~14に設けた各種センサーの信号をサーバ装置51に対してアップロードするように構成している。上述した重量計15s、16s、17s、18s、19sはパネル分解処理設備10に設けたセンサーの一例である。
【0194】
サーバ装置51は、パネル分解処理設備10からの信号を受信して装置11~14の稼働状況を監視する。これにより、サーバ装置51は、パネル分解処理設備10が正常に稼働していることや、適切に運用されていることを監視できる。
【0195】
例えば、パネル分解処理設備10のメンテナンス期間中にも関わらず装置11~14が稼働して太陽電池パネルの分解処理が実施されているとき、パネル分解処理設備10の不適切な運用が実施されていることとなる。このような不適切な運用が検知された場合、サーバ装置51からの指示によって、又はパネル分解処理設備10に設けた制御装置によって、パネル分解処理設備10の稼働が停止されるようにしても構わない。例えば、パネルID読取装置11で廃棄パネルIDが読み込まれていないにも関わらず、装置12~14が廃棄パネルの分解処理を実行している状況なども、パネル分解処理設備10の不適切な運用が実施されていることとなる。また、データベース52に記憶されていない廃棄パネルIDがパネルID読取装置11によって読み込まれたときも同様である。
【0196】
このように、パネル分解処理設備10の不適切な運用を防止することにより、本実施形態の太陽電池パネルの再生管理システムによって廃棄パネルIDが付与された太陽電池パネルだけを分解処理できる。これにより、適切に廃棄パネルIDが付与された太陽電池パネル由来の各回収マテリアルのみを各収容器15~19に収容できる。そして、各拠点21~24、31~35、4の各設備の稼働状況を同様に監視することで、廃棄パネルWからのマテリアルの分離・回収から再生パネル製造までのマテリアルの流れを適切かつ正確に管理できる。
【0197】
図3に示すように、パネル分解処理設備10のパネル分解装置14は、過熱蒸気雰囲気中で封止樹脂やバックシートなどのプラスチック材料を気化させて除去する過熱蒸気式のものである。気化させたプラスチック材料は、例えば、重質油成分、軽質油成分、合成ガス成分に分離して回収される。パネル分解装置14は、重質油成分を貯留する第1回収タンクT1、軽質油成分を貯留する第2回収タンクT2、汚染水を貯留する第3回収タンクT3、メタンガス等を含む合成ガス成分を貯留するガスホルダーT4を備えている。
【0198】
サーバ装置51は、タンクT1、T2、T3及びガスホルダーT4に設けたセンサーを監視して各貯留物の貯留量を監視するようにしても構わない。各貯留物の貯留量が所定量に到達すると、貯留物が回収されて、パネル分解処理拠点1の外部に搬出されて、例えば売却先や廃水処理業者に搬送される。サーバ装置51は、貯留物を輸送する運搬車両や、運搬者ID、搬出日時情報、搬送先情報などを管理するようにしても構わない。これにより、廃棄パネルWの分解時に発生した各マテリアルを、太陽電池パネルの再生に使用されないマテリアルも含めて適切に管理でき、不法廃棄等を防止した環境に優しい太陽電池パネルの再生管理システムを構築できる。
【0199】
また、パネル分解処理設備10は、装置11~14に設けた各種センサーの信号をサーバ装置51に対してアップロードするようにしても構わない。この場合、サーバ装置51は、例えばパネル分解装置14の分解炉内温度情報を監視するなどして、パネル分解装置14の適切な条件での稼働を監視できる。そして、サーバ装置51は、パネル分解装置14に不具合が発生したときには直ちに検知できる。
【0200】
例えば、分解炉内の温度が十分に上昇していない不適切な温度でプラスチック材料の気化及び除去処理が実施されると、分離・回収するガラスやセル、インターコネクタなどの回収マテリアルにプラスチック材料が残存する可能性が有る。収容器17~19に収容した回収マテリアルにプラスチック材料が混入すると、回収マテリアル再生拠点2でマテリアルを再生する際にプラスチック材料を除去する手間がかかったり、再生マテリアルに所望の純度が得られない不具合が生じたりする。
【0201】
そこで、サーバ装置51は、パネル分解装置14の不具合を検知したときに、パネル分解処理設備10を停止させる信号やパネル分解装置14の不具合を知らせる信号をパネル分解処理設備10に送信するようにしても構わない。これにより、収容器17~19にプラスチック材料が混入するなどの不具合を防止できる。
【0202】
なお、廃棄パネル分解処理拠点1に設けられる廃棄パネル分解設備は、パネル分解処理設備10に限定されない。例えば、廃棄パネルからアルミ枠と端子ボックスを取り外した後、カバーガラスを掻き落としてガラスを分離・回収する方式や、いわゆるホットナイフを使って樹脂シートからカバーガラスを分離・回収する方式であっても構わない。そして、分離したガラスや樹脂シートに例えば過熱蒸気処理を施してプラスチック材料を気化及び除去することで、ガラス、セル、インターコネクタ等を純度の高い状態で回収できる。
【0203】
また、パネル分解処理設備10を操作する操作者の認証が行われ、サーバ装置51に対してアップロードされる。操作者の認証は、例えば、生体認証、IDカード認証、ID及びパスワードの入力操作など、どのような他の認証方法であっても構わない。これにより、パネル分解処理設備10の不適切な運用を防止できる。なお、本実施形態では、各拠点21~24、31~35、4の各設備についても同様にして操作者の認証が行われる。
【0204】
<10.運搬車両の管理例>
上述のように、運搬車両9が各拠点1、21~24、31~35、4に設けた入退構管理ゲートを通過する際、運搬車両IDが読み取られてサーバ装置51に対してアップロードするように構成している。運搬車両IDの読取方式は特に限定されないが、例えば運搬車両IDと運搬車両のナンバープレートとを紐付けておき、ナンバープレートを画像処理して認識することで、運搬車両IDを読み取る方式であっても構わない。また、運搬車両に二次元コードなどのID識別ラベルを貼り付けておき、識別ラベルを非接触で読み取って運搬車両IDを認識する方式であっても構わない。
【0205】
また、入退構管理ゲートにアンテナを設ける一方、運搬車両9に運搬車両IDを入力した車載器を搭載し、運搬車両9が入退構管理ゲートを通過する際に、無線方式で運搬車両IDを読み取る方式であっても構わない。この場合、車載器に運搬者IDを記録したIDカードを挿込み可能に構成し、運搬車両9が入退構管理ゲートを通過する際に、車載器が読み取った運搬者IDが運搬車両IDとともにサーバ装置51にアップロードされる構成であっても構わない。なお、車載器が運搬者IDを読み取る方式は、IDカード方式に限らず、例えば生体認証方式やその他の認証方式であっても構わない。
【0206】
また、運搬車両9にサーバ装置51との通信可能なGPS発信器を設け、サーバ装置51によって運搬車両9の位置情報を監視可能に構成しても構わない。これにより、再生パネルや回収マテリアルなどの各拠点間で移動される物品の移動ルートや運搬状況を把握でき、これらの物品の移動及び追跡をより正確に行える。また、移動中の運搬車両9や待機中の運搬車両9の位置など、各運搬車両9の状況を正確に把握できるので、運搬車両9の効率的な管理・運用を実現できる。
【0207】
以上のように、本実施形態の太陽電池パネルの再生管理システムは、廃棄パネルの分解から再生パネルの生産までのマテリアルの流れを、再生管理本部5のサーバ装置51で統括して追跡及び管理できる。さらに、本実施形態の再生管理システムは、回収パネル検査拠点6での回収パネル検査の管理や、パネル設置場所7に設置した再生パネル及びリユースパネルの管理についても、サーバ装置51で統括して行える。
【0208】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【0209】
本発明の太陽電池パネルの再生管理システムは、廃棄パネルWから回収したマテリアルの一部を使用して再生パネルを製造する構成であっても構わない。例えば、再生パネルに取り付けられる端子ボックスは、回収端子ボックスを使用して製造した再生端子ボックスに限定されず、新規に製造された端子ボックスであっても構わない。この場合、当該端子ボックスに、再生パネルの発電量と再生パネルIDとを送信するICチップを内蔵していても構わない。
【0210】
また、廃棄パネル分解処理拠点1で廃棄パネルWから回収ガラスを高純度で分離・回収したときは、回収ガラス再生拠点21を経ずに、当該回収ガラスを再生板ガラス製造拠点31に輸送しても構わない。この場合、再生板ガラス製造拠点31の再生板ガラス製造設備は、当該回収ガラスを使用して再生板ガラスを製造する。
【符号の説明】
【0211】
1 廃棄パネル分解処理拠点
2 回収マテリアル再生拠点
3 再生部品製造拠点
4 再生パネル製造拠点
5 太陽電池パネル再生管理本部
51 サーバ装置
52 データベース
100 外部ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10