(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077698
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】玉網用ジョイント
(51)【国際特許分類】
A01K 97/00 20060101AFI20240603BHJP
A01K 77/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
A01K97/00 Z
A01K77/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189798
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】張 永裕
(72)【発明者】
【氏名】手塚 直人
【テーマコード(参考)】
2B106
2B109
【Fターム(参考)】
2B106AA01
2B106EA13
2B106EH08
2B106EL09
2B106PA19
2B109FA10
(57)【要約】
【課題】柄と網部との間に配設される玉網用ジョイントの回動部を網部に取り付けるに際して、取り付け部分が緩み難い玉網用ジョイントを提供する。
【解決手段】本発明の玉網用ジョイント10は、網部200と柄100との間に取り付けられ、網部200を柄100に対して使用状態と折り畳み状態に切り換えすることが可能であり、柄100の先端に取り付けられる第1継手10Aが設けられた基部20と、基部20に対して回動可能に保持され、網部200のフレーム202に取り付けられる第2継手10Bが設けられた回動部50と、第2継手10Bに配設され、網部200のフレーム202と回動部50とを固定する固定部材63Aと、固定部材63Aによって網部200のフレーム202と回動部50とを連結、固定した際、固定部材63Aの緩みを防止する弛緩防止部材63Bとを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
網部と柄との間に取り付けられ、網部を柄に対して使用状態と折り畳み状態に切り換えすることが可能な玉網用ジョイントにおいて、
前記柄の先端に取り付けられる第1継手が設けられた基部と、
前記基部に対して回動可能に保持され、前記網部のフレームに取り付けられる第2継手が設けられた回動部と、
前記第2継手に配設され、前記網部のフレームと前記回動部とを固定する固定部材と、
前記固定部材によって前記網部のフレームと前記回動部とを連結、固定した際、固定部材の緩みを防止する弛緩防止構造と、
を有することを特徴とする玉網用ジョイント。
【請求項2】
前記固定部材は、締め付けナットを備えており、
前記弛緩防止構造は、前記締め付けナットを構成する前記フレーム側に配設される第1ナットに対して前記回動部側に配設され、前記第1ナットに当て付くように締め付けられる第2ナットを有することを特徴とする請求項1に記載の玉網用ジョイント。
【請求項3】
前記第1ナットと前記第2ナットの間に、スプリングワッシャ、Оリング、樹脂製のプレートのいずれかを配設したことを特徴とする請求項2に記載の玉網用ジョイント。
【請求項4】
前記固定部材は、締め付けナットを備えており、
前記弛緩防止構造は、前記締め付けナットが締め付け固定された状態でその位置を固定されるように、前記締め付けナットに螺合する横ネジ部材を有することを特徴とする請求項1に記載の玉網用ジョイント。
【請求項5】
網部と柄との間に取り付けられ、網部を柄に対して使用状態と折り畳み状態に切り換えすることが可能な玉網用ジョイントの回動部を前記網部のフレーム取り付ける方法において、
前記網部と前記回動部が垂直に位置合わせされた状態を固定部材によって固定する工程と、固定された状態の前記固定部材に対して弛緩防止構造を構成する弛緩防止部材を当て付けて、前記固定部材の緩み止めをする工程と、を備えたことを特徴とする玉網用ジョイントの回動部と網部のフレームとの固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りに際して携行される玉網に関し、詳細には、網部と柄を連結する際に用いられる玉網用ジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
玉網は、防波堤釣り、磯釣り、船釣り、渓流釣り等、掛かった魚を取り込む際に用いられる。このような玉網は、棒状に形成された柄と、柄の先端に装着された網部とを備えており、網部と柄とは、玉網用ジョイントによって連結されている。
【0003】
玉網用ジョイントは、例えば、非特許文献1(ダイワ社製のFLジョイントを紹介したホームページ)にあるように、一端側(柄側)に第1継手が設けられた基部と、他端側(網側)に第2継手が設けられた回動部とを備えている。前記第1継手は、柄の先端部に設けられた第1連結部に取り付けられ、前記第2継手は、網部のフレームに設けられた第2連結部に取り付けられる。また、前記回動部は、基部に対して一定角度(略180°)回動可能となるように保持されており、基部側に設けられた操作部材を操作することで回動部を回動させ、網部を使用状態(柄に対して網部が直線状に展開する)にロックすると共に、折り畳み状態(柄に対して網部が重なる)にロックするよう構成されている。
【0004】
非特許文献1に開示された玉網用ジョイントは、網部へ取り付ける際、網部の第2連結部である雄螺子部に対してナットを締め付ける構成となっている。この場合、網部を取り付けるに際しては、前記回動部の回動方向となる回動面と、網部を構成するリング状のフレームが含まれるフレーム面が垂直になるように取り付ける必要がある。しかしながら、第2連結部の雄螺子部に対してナットの雌螺子部を締め付けた位置では、回動面とフレーム面が必ずしも垂直状態にはならない。
【0005】
このため、回動部を網部に取り付ける際には、ナットの締め込み量を調整して、前記回動部の回動面に対して網部のフレームが垂直になるように位置合わせすることが行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献1】https://www.daiwa.com/jp/fishing/item/terminal_tackle/lure_te/FLjoint/index.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した玉網用ジョイントの回動部と網部との取り付け構造では、固定部材であるナットを位置決めしても緩み易いという問題が生じる。特に、魚を網内に取り込んだ後、魚が網の開口から飛び出さないように、握持している柄を回転させて前記開口を閉じる操作を行なうことがあるが、このような動作を繰り返すと緩みが生じ易く、網部の回動操作が行ない難くなる。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、柄と網部との間に配設される玉網用ジョイントの回動部を網部に取り付けるに際して、取り付け部分が緩み難い玉網用ジョイントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明に係る玉網用ジョイントは、網部と柄との間に取り付けられ、網部を柄に対して使用状態と折り畳み状態に切り換えすることが可能であり、前記柄の先端に取り付けられる第1継手が設けられた基部と、前記基部に対して回動可能に保持され、前記網部のフレームに取り付けられる第2継手が設けられた回動部と、前記第2継手に配設され、前記網部のフレームと前記回動部とを固定する固定部材と、前記固定部材によって前記網部のフレームと前記回動部とを連結、固定した際、固定部材の緩みを防止する弛緩防止構造と、を有することを特徴とする。
【0010】
上記した構成の玉網用ジョイントは、回動部に設けられている第2継手を、固定部材によって網部のフレームに位置合わせした状態で固定する。この固定に際しては、弛緩防止構造によって固定部材が緩む(固定部材が動くことで緩む)ことが防止されるので、実際の使用時に網部が不用意に動くことが防止される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、柄と網部との間に配設される玉網用ジョイントの回動部を網部に取り付けるに際して、取り付け部分が緩み難い構造の玉網用ジョイントが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る玉網用ジョイントの一実施形態を玉網に取り付けた状態を示す図。
【
図2】玉網用ジョイントの作用を説明する図であり、(a)は使用状態を示す図、(b)は折り畳み状態を示す図、(c)は使用状態の平面図。
【
図5】(a)は玉網用ジョイントの平面図、(b)は柄側から見た図。
【
図6】(a)~(f)は、網部に玉網用ジョイントの回動部を取り付ける手順を順に示す図。
【
図7】網部のフレームと回動部とを固定する固定部材、及び、固定部材の緩みを防止する弛緩防止構造の第2の実施形態を示す図。
【
図8】網部のフレームと回動部とを固定する固定部材、及び、固定部材の緩みを防止する弛緩防止構造の第3の実施形態を示す図。
【
図9】網部のフレームと回動部とを固定する固定部材、及び、固定部材の緩みを防止する弛緩防止構造の第4の実施形態を示す図。
【
図10】網部のフレームと回動部とを固定する固定部材、及び、固定部材の緩みを防止する弛緩防止構造の第5の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る玉網用ジョイントに用いられる固定部材、及び、固定部材の緩みを防止する弛緩防止構造の第1の実施形態について
図1から
図5を参照しながら説明する。
図1は、玉網用ジョイントの一実施形態を取り付けた玉網の一例を示す図である。本実施形態の玉網1は、柄100と、柄100の先端に取り付けられる網部200とを備えており、柄100と網部200との間には、玉網用ジョイント(以下、ジョイントと称する)10が取り付けられている。このジョイント10は、柄100と網部200との間に取り付けたままの状態であっても良いし、網部側又は柄側に取り付けた状態であっても良い。
【0014】
前記柄100は、管状に構成されており、元節(管状体)101と、元節101内に順次振出式に収納される複数本の節を備えており、節の本数や振出構造については限定されることはない(元節101の内部に節を配設しない構成であっても良い)。また、このような柄100については、玉の柄として、単独で製造、販売することが可能である。
【0015】
前記柄100、及び、柄の内部に収容される節は、軽量化が図れるように、繊維強化樹脂製の管状体で構成するのが好ましい。例えば、強化繊維(主に炭素繊維やガラス繊維等)に、エポキシ樹脂等の熱硬化性の合成樹脂を含浸した繊維強化樹脂プリプレグを芯金に巻回し、加熱工程を経た後、脱芯する等、定法に従って形成された管状体として構成することが可能である。前記柄100の先端には、第1連結部110が設けられており、ジョイント10の第1継手10Aに連結されるようになっている。本実施形態の第1連結部110は、柄100の先端に軸方向に沿って形成された雌螺子部(
図3参照)で構成されている。
【0016】
前記網部200は、円形状のフレーム201に対して、編成した網202を装着して構成されている。前記フレーム201の一部には、第2連結部210が設けられており、ジョイント10の第2継手10Bに連結されるようになっている。本実施形態の第2連結部210は、フレーム201に対して固定されるブロック状の固定部212に突出形成された雄螺子部(
図3参照)で構成されている。
なお、フレーム201、網202については、その大きさ、形状、材料については限定されることはなく、網部200についても、柄100と同様、単独で製造、販売することが可能である。
【0017】
前記網部200と柄100との間には、ジョイント10が取り付けられている。
以下、
図2から
図5を参照して、本実施形態のジョイント10の構成を説明する。
【0018】
ジョイント10は、網部200を柄100に対して、魚の取り込み操作ができる使用状態(
図2(a)参照)と、この使用状態から網部200を略180°、柄100の手元側に回動させる折り畳み状態(
図2(b)参照)に切り換える機能を備えている。具体的にジョイント10は、一端側に前記第1継手10Aが設けられた基部20と、他端側に前記基部20に対して回動可能に保持され、前記第2継手10Bが設けられた回動部50とを備えた構成となっている。そして、各継手10A,10Bは、それぞれ、柄100の第1連結部110、及び、網部200の第2連結部210が着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0019】
前記基部20は、軸方向に突出する筒部21を備えており、筒部21の外周面に、前記第1継手10Aを構成する雄螺子部が形成されている。この第1継手10Aには、前記柄100の第1連結部(雌螺子部)110が螺合して連結される。なお、この螺合結合するに際しては、柄100の端面と基部20との間にOリング(図示せず)を介在することが好ましく、これにより、使用時に柄100の緩みを防止することが可能となる。
【0020】
前記回動部50は、軸方向に突出する筒部51を備えており、筒部51の内周面に、前記第2継手10Bを構成する雌螺子部が形成されている。この第2継手10Bには、前記網部200の第2連結部(雄螺子部)210が螺合して連結される。
【0021】
前記第2継手10Bは第2連結部210に固定され、これにより、網部200のフレーム202(固定部212)と回動部50は固定状態となる。この固定に際しては固定部材が用いられ、本実施形態では、固定部材として締め付けナット63が用いられている。すなわち、前記筒部51の外周面には、雄螺子部52が形成されており、第2継手(雌螺子部)10Bに前記網部200の第2連結部(雄螺子部)210を螺合した状態で、雄螺子部52に螺合する締め付けナット63を締め付けることによって、ジョイント10を網部200に対して位置合わせして固定することが可能となっている。
【0022】
本発明では、前記フレーム202と回動部50とを連結、固定した際、固定部材(締め付けナット63)の緩みを防止する弛緩防止構造60を備えている。
本実施形態の弛緩防止構造60は、図に示すように、締め付けナット63をダブルナット63A,63Bにすることで構成されている。すなわち、網部200のフレーム201を回動部50に位置合わせした状態で、フレーム側に配設される第1ナット(固定部材を構成する)63Aを締め付け、その状態で回動部側に配設される第2ナット63Bを閉め付けることで、第1ナット63Aは、第2ナット63Bが当て付いて締め付けられ、軸方向の移動が規制されて緩まないようになっている(固定部材を構成する第1ナット63Aの緩みを防止して、フレーム202が変位しないようにしている)。
【0023】
また、このような弛緩防止構造において、前記固定部212と第1ナット63Aとの間にOリング(図示せず)を介在することが好ましく、これにより、使用時に締め付けナット63(第1ナット63A)が緩むことを確実に防止することが可能となる。
【0024】
上記したように、ジョイント10は、網部200を、魚の取り込み操作ができる使用状態(
図2(a)参照)と、この使用状態から略180°回動させて折り畳み状態(
図2(b)参照)に切り換える機能を備えている。このような回動が成される回動構造は、例えば、前記基部20の網部側に略U字形状のスタンド24を一体的に設けておき、このスタンド24の凹所24aに、前記筒部51と一体的に設けられ、略L字状に屈曲した腕部54の基端部54aを、支持部54bを中心にして回動可能に軸支することで構成することが可能である。すなわち、スタンド24の凹所24aに腕部54の基端部54aを挿入し、その中心部分でピンなどの支持部54bを取り付けることで、前記基部20に対して、筒部51(網部200)を回動可能に保持することが可能となる。
【0025】
前記ジョイント10は、網部200を回動操作する操作部材、及び、操作部材の操作に関連して、
図2(a)に示す使用状態をロックするロック機構を備えている。なお、本実施形態のロック機構は、
図2(b)に示す折り畳み状態についてもロックできるように構成されている。
以下、このような機能を果たす操作部材、及び、ロック機構について説明する。
【0026】
本実施形態の操作部材は、軸周りに回転操作することで、網部200を使用状態と折り畳み状態に切り換えるよう構成されている。
前記基部20は、前記筒部21の第1継手10Aを露出して固定する管状本体25を備えている。本実施形態の管状本体は、径方向で重なる二重構造となっており、共にアルミなどの金属で略管状に一体形成された内側体25A及び外側体25Bを備えている。前記内側体25Aは、後述する摺動部材30を軸方向に移動可能に保持し、前記外側体25Bは、後述する操作部材によって回転される部分となる。
なお、内側体25Aと外側体25Bとの間には、隙間を形成しておき、この隙間内に樹脂製のカラー26を介在させておくことが好ましい。このようなカラー26を介在しておくことで、内側体25Aと外側体25Bとの間の緩衝作用が得られると共に、塩ガミ等の発生を防止することができる。
【0027】
前記内側体25Aには、固定部材(止めビス)27aによって、前記第1継手10Aを備えた筒部21が位置決め固定されている。また、内側体25Aと外側体25Bは、前記カラー26を介在した状態で固定部材(止めビス)27bによって、位置決め固定されている。
【0028】
前記筒部21の内部空間には、コイルスプリング等の付勢部材28が配設されており、その一端は、筒部21の底21aに固定され、他端は、軸方向に摺動する摺動部材30に固定されている。前記摺動部材30は、内側体25Aの内部で軸方向に摺動可能となっており、その先端側には、係合部材31が前記腕部54の基端部54aに向けて突出するように設けられている。
【0029】
前記係合部材31は、
図4に示すように、基端部54aの支持部54bに対して、対向して形成された一対の凹部54c,54dに、前記付勢部材28の付勢力によって係合するようになっている。すなわち、一方の凹部54cは、係合部材31が係合することで網部200の使用状態を固定する機能を有しており、他方の凹部54dは、
図4に示す状態から回動部50が支持部54bを中心に反時計回り方向に略180°回動した際、係合部材31が係合することで網部200の折り畳み状態を固定する機能を有している。
【0030】
前記摺動部材30には、軸方向に直交する方向に向けて案内ピン35が設けられており、案内ピン35は、前記管状本体25の外側体25Bに形成された案内溝25aに嵌合している。案内溝25aは、軸方向に対して傾斜するように外側体25Bの表面に形成されており、前記外側体25Bが回転されると、案内ピン35は、案内溝25aによって軸方向へ移動する力を受ける。
【0031】
前記案内ピン35は、
図3及び
図5に示すように、案内溝25aの一端部に位置しており、この状態では、係合部材31と、凹部54c(又は凹部54d)とは係合状態にあり、回動部50はロック状態にある。そして、
図3から
図5に示す網部200の使用状態において、外側体25Bを回転操作すると、前記摺動部材30は、案内ピン35を介して付勢部材28の付勢力に抗して柄100側に駆動され、これにより、係合部材31と凹部54cとの係合状態が解除される(回動部50のロック状態の解除)。
【0032】
なお、網部200の折り畳み状態においても、係合部材31と凹部54dが係合状態にあることからロック状態となっているが、このようなロック状態でも、外側体25Bを回転操作することで、係合部材31と凹部54dとの係合状態を解除することができる。
【0033】
本実施形態の操作部材40は、基部20の構成要素である外側体25Bに設けられており、回動部50を使用状態、及び、折り畳み状態でロックすると共に、回動部50のロックを解除して回動部50を回動可能にする機能を備えている。操作部材40は、前記基部20の表面から径方向に突出して周方向に回転可能に装着されており、詳細には、基部20の構成要素である外側体25Bの表面から径方向に突出し、周方向に間隔をおいて3箇所設けた突起40aを有している。すなわち、いずれかの突起40aを周方向に回転操作することで、回動部50のロックを解除することが可能となっている。
【0034】
上記したように、ロック状態を解除する操作部材(突起40a)を、周方向に間隔をおいて3箇所設けたことで、柄100を握っている片手の指(親指、人差し指、中指)を突起間に入り込ませ易くなり、そのまま周方向に回転させれば、突起40aに回転力が作用して外側体25Bは回転し易くなる。
【0035】
前記突起については、基部20に対して3箇所以上設けられていれば良いが、指が入り易いように、或いは、入り込んだ指で摘まみ易いように、3~4箇所に形成しておくことが好ましい。また、柄100の握り状態や、握っているときの方向性に関係がないように、周方向に等間隔(3箇所では120°間隔、4箇所では90°間隔など)で設けることが好ましい。
【0036】
また、前記突起40aは、前記基部20(外側体25B)の軸方向全長に亘って設けておくことが好ましい。すなわち、ロック状態を解消するに際して、外側体25Bを回転させることから、その回転を行なう突起40aについては、外側体25Bの軸方向長さ全長に亘って設けておくことで回転操作し易くなる。
【0037】
また、前記突起40aは、高く形成し過ぎると、網部200を折り畳んだ際に網202と干渉して引っ掛かり易くなるため、最大の高さHを15mm以下に形成することが好ましい。ただし、あまり低く形成すると、指を掛けて回転操作し難くなる(力が伝わり難くなる)ため、2mm以上に形成しておくことが好ましい。
【0038】
さらに、突起40aは、柄側で指の腹部を押し付けて、回動部側では指を強く押し付けて力を伝える必要もないことから、その先端側は、次第に下降する傾斜部40bにしておくことが好ましい。すなわち、このような傾斜部40bを形成しておくことで、網部200を折り畳んだ際に、網202がさらに引っ掛かり難くすることが可能となる。
【0039】
このような操作部材40の構成によれば、
図2(a)に示す使用状態において、柄100を握持している手の指をそのまま網側に伸ばすことで、指を突起40a間に入り込ませたり、突起40aを摘まむことが容易に行える。そして、そのまま指を周方向に回転操作することで、突起40aには回転力が作用し、外側体25Bを回転することができる。このとき、前記摺動部材30は、案内ピン35を介して付勢部材28の付勢力に抗して柄100側に駆動され、これにより、係合部材31と凹部54cとの係合状態(ロック状態)が解除される。
【0040】
前記係合部材31と凹部54cとの係合状態が解除された状態で、フレーム201を把持し手前側に回動させたり、或いは、柄100を前方に付き出すような操作をすることで、回動部50(網部200)は
図2(b)の矢印で示すように回動し、折り畳み状態にすることができる。このとき、係合部材31と凹部54dは係合状態となり、折り畳み状態でもロックが成される。
【0041】
また、このような折り畳み状態を使用状態にするには、上記した手順と同様に、突起40aを回転操作することで、係合部材31と凹部54dの係合を解除し、折り畳み状態のロックを解除することができる。すなわち、ロックが解除された状態で、フレーム201を前側に回動させたり、或いは、柄100を手前に引くような操作をすることで、網部200は回動し、
図2(a)に示すように使用状態にすることができる。
【0042】
図6(a)~(f)は、前記網部200にジョイント10の回動部50を取り付ける方法(手順)を順に示す図である。
最初に、固定部材である締め付けナット63Aを、ナット63Bと共に緩めておき、フレーム側の雄螺子部(第2連結部210)に回動部50の第2継手10Bを螺合させ、ジョイント10を最後まで締め付け固定する(
図6(a)及び
図6(b)の矢印方向参照)。この状態で、回動部50の回動方向と、網部200のフレーム202が垂直になっていない場合、ジョイント10を、締め付けナット63A,63Bと共に少し緩め、この状態で、第1ナット63Aを締め付け、仮止めする。次に、第1ナット63Aを押さえながら、フレーム202を締め付け方向に回転させ、回動部50の回動方向と、網部200のフレーム202が垂直状態になった状態で第1ナット63Aを締め付ける(
図6(c)及び
図6(d)の矢印方向参照)。
【0043】
本実施形態の弛緩防止構造60は、固定部材である第1ナット63Aに対して当接する第2ナットを備えたダブルナット構造で構成されており、第1ナット63Aを締め付けた状態(
図6(d)参照)で、第2ナット63Bを第1ナット63Aに当て付くように締め付けることで、固定部材である第1ナット63Aが緩むことが防止される(
図6(e)(f)参照)。このため、実際の使用時で、網部200が回転することもなく、網部200と回動部50の垂直状態の位置が変位することもない。
【0044】
以上のように、ジョイント10の網部200の第2連結部(雄螺子部)210に対する取り付け方法は、回動部50の第2継手10Bを第2連結部210に配設し、網部200と回動部50が垂直に位置合わせされた状態を固定部材(本実施形態ではダブルナット構造の第1ナット63A)によって固定する工程と、固定された状態の固定部材に対して弛緩防止構造を構成する弛緩防止部材(本実施形態ではダブルナット構造の第2ナット63B)を当て付けて固定部材の緩み止めをする工程と、を備えていれば良く、これにより、ジョイント10に対して網部200が緩むことを効果的に防止することが可能となる。
【0045】
次に、固定部材、及び、固定部材の緩みを防止する弛緩防止構造の別の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態では、上記した第1の実施形態と同様な構成については同一の参照符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0046】
図7は、第2の実施形態を示す図である。
本実施形態の弛緩防止構造60は、上記したダブルナット63A,63Bの間に介在されるスプリングワッシャ65を備えている。
このようなスプリングワッシャ65を介在することで、弛緩防止部材である第2ナット63Bを締め付けた際、その反力によって第1ナット63A及び第2ナット63Bは、軸方向に互いに離反する力を受け、これにより螺合構造におけるネジ山同士の微小隙間が詰まって密着力の向上(緩み防止効果の向上)が図れる。
【0047】
図8は、第3の実施形態を示す図である。
本実施形態の弛緩防止構造60は、上記したダブルナット63A,63Bの間に介在されるリング状の樹脂プレート65Aを備えている。
このような樹脂プレート65Aを介在することで、弛緩防止部材である第2ナット63Bを締め付けた際、第1ナット63Aとの間で摩擦力の向上が図れ、これにより双方のナット部材が緩み難くなって緩み防止効果の向上が図れる。
なお、樹脂プレート以外にもOリングを配設した構造であっても良い。
【0048】
図9は、第4の実施形態を示す図である。
本実施形態の弛緩防止構造60は、上記したダブルナット63A,63Bに加え、第2ナット63Bに隣接する第3ナット63Cを備えている。
このような第3ナット63Cを配設することで、第1の実施形態の第2ナット63Bも軸方向へ移動できなくなり、緩み防止効果の向上が図れる。
【0049】
図10は、第5の実施形態を示す図である。
本実施形態の弛緩防止構造60は、固定部材である締め付けナット63が締め付け固定された状態で、その位置を固定できるように、締め付けナット63に螺合する横ネジ部材(弛緩防止部材)68を有している。横ネジ部材68は、締め付けナット63に軸方向に対して垂直方向に形成された螺子溝に螺合する雄螺子部68aを備えており、締め付けナット63の位置が固定された状態で横ネジ部材68を締め付けることで、締め付けナット63が軸方向へ移動できなくなり、緩み防止効果の向上が図れる。
なお、このような横ネジ部材68は、治具によって締め付けるようにしても良いし、蝶ネジのような構造にして指で締め付けるような構造であっても良い。また、本実施形態の構造では、締め付けナット63にネジ切りをしなくても良い。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
本発明に係るジョイント10は、網部のフレーム202と回動部50とを固定する固定部材について、その緩みを防止することに特徴があり、それ以外については、上記した実施形態の構成に限定されることはない。例えば、柄100に対する固定方法、網部200をロックするロック機構、操作部材40の操作態様など、適宜、変形することが可能である。また、上記した実施形態では、固定部材は、締め付けナットで構成したが、固定部材は、回転操作されるのではなく、軸方向に付勢される付勢機構を備えたスライド部材で構成しても良い。
【符号の説明】
【0051】
1 玉網
10 玉網用ジョイント
20 基部
40 操作部材
50 回動部
60 弛緩防止構造
63 締め付けナット
63A 第1ナット(固定部材)
63B 第2ナット(締め付け部材)
100 柄
200 網部
202 フレーム