(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077702
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/08 20060101AFI20240603BHJP
H01F 27/22 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H01F27/08 101
H01F27/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189803
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000217491
【氏名又は名称】ダイヤゼブラ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池辺 隆史
【テーマコード(参考)】
5E050
5E070
【Fターム(参考)】
5E050JA02
5E070AA01
5E070DA02
5E070DA05
5E070DA18
5E070DB02
(57)【要約】
【課題】小型化と良好な放熱性とが実現された電子部品の提供。
【解決手段】本電子部品2は、発熱体4と、前記発熱体4を内部に格納し胴部20及び底部22を備えるケース6と、前記発熱体4と前記ケース6との隙間に充填される充填体9とを備える。前記胴部20が絶縁性であり、前記底部22が絶縁性かつ熱伝導性である。好ましくは、前記底部22は放熱シートからなる。前記底部22が、セラミックからなっていてもよい。好ましくは、前記胴部20が、主部26と、前記主部26の前記底部22側の端に位置し前記主部26から外側又は内側に突出している鍔部28とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体と、前記発熱体を内部に格納し胴部及び底部を備えるケースと、前記発熱体と前記ケースとの隙間に充填される充填体とを備え、
前記胴部が絶縁性であり、前記底部が絶縁性かつ熱伝導性である、電子部品。
【請求項2】
前記底部が放熱シートからなる、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記底部がセラミックからなる、請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記胴部が、主部と、前記主部の前記底部側の端に位置し前記主部から外側又は内側に突出している鍔部とを備える、請求項1から3のいずれかに記載の電子部品。
【請求項5】
前記鍔部が、前記主部から内側に突出しており、
前記ケースの内部において、前記主部と前記鍔部との角が丸みを帯びた形状を呈している、請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記発熱体がコイルを含む、請求項1から3のいずれかに記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電子部品を開示する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、トロイダルコイル、トランス等の、大きな発熱を伴う電子部品が使用されることがある。このような発熱性の電子部品では、樹脂組成物又は金属からなるケースに、実際に熱を発生する「発熱体」が格納された構造を呈している場合が多い。発熱性の電子部品の一例が、特開2011-210791公報で報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケースを金属で形成すると、良好な放熱性が期待できるが、ケースと発熱体との絶縁を確実にするために、ケースと発熱体との間に十分な距離を確保する必要がある。これは、電子部品の小型化の妨げとなる。ケースを樹脂組成物で形成すると、ケースと発熱体との絶縁性が確保できる一方で、良好な放熱性の実現には不利となる。小型化と良好な放熱性とが実現された電子部品が望まれている。
【0005】
本発明者の意図するところは、小型化と良好な放熱性とが実現された電子部品の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本電子部品は、発熱体と、前記発熱体を内部に格納し胴部及び底部を備えるケースと、前記発熱体と前記ケースとの隙間に充填される充填体とを備える。前記胴部が絶縁性であり、前記底部が絶縁性かつ熱伝導性である。
【発明の効果】
【0007】
本電子部品では、ケースの胴部及び底部は絶縁性である。このため、ケースと発熱体との距離を小さくできる。この熱性電子部品では、小型化が実現されている。さらにケースの底部は、熱伝導性である。この底部は、効果的な放熱に寄与する。例えば、底部と、筐体又は放熱器等の放熱効果が高い部分とが接触するように電子部品を電子機器に搭載することで、発熱体からの熱を効果的に放出することができる。本電子部品では、良好な放熱性が実現されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子部品が示された、斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の電子部品のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図4は、
図1の電子部品のケースが示された断面図である。
【
図5】
図5は、
図1の電子部品が電子機器に搭載された状態が示された断面図である。
【
図6】
図6は、他の実施形態に係る電子部品が示された、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0010】
図1は、一実施形態に係る電子部品2が示された斜視図である。
図1において、矢印Xはこの電子部品2の前方を表す。この逆方向が後方である。矢印Yはこの電子部品2の右方向を表す。この逆方向が左方向である。矢印Zはこの電子部品2の上方を表す。この逆方向が下方である。
図2は、
図1の電子部品2の分解斜視図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿った断面図である。この電子部品2は、トロイダルコイル4及びケース6を備える。
図3に示されるように、この電子部品2は、トロイダルコイル4とケース6との隙間に、充填体9を備えている。
【0011】
図2に示されるように、トロイダルコイル4は、コア10とワイヤ12と天板14とを備える。図では全体は見えていないが、コア10は環状を呈する。コア10は、表面が樹脂組成物で覆われた磁性体よりなる。好ましい磁性体として、フェライト、ダスト及び珪素鋼が例示される。ワイヤ12は、コア10の外周に螺旋状に巻かれている。ワイヤ12は、典型的には銅からなる。なお
図3では、コア10及びワイヤ12は、簡略化されて示されている。
図3では、コア10及びワイヤ12は、全体が一つの断面として示されている。
【0012】
天板14は、コア10の上面(環状であるコア10の軸方向をコア10の上下方向としたときの上側の面)に載せられている。天板14の中央には、孔34が設けられている。天板14の上面には、複数の端子16が設けられている。図示されないが、端子16は、ワイヤ12と電気的に接続している。外部から、端子16を介してワイヤ12に通電される。ワイヤ12に通電されると、トロイダルコイル4は発熱する。トロイダルコイル4は、発熱体4である。
【0013】
ケース6は、内部に空間を有する。ケース6は、この空間に、トロイダルコイル4を格納している。ケース6は、上面に開口18を有する。
図2及び3で示されるように、ケース6は胴部20と底部22とを備える。
図4は、ケース6が示された断面図である。
図2及び
図4では、胴部20と底部22とが分解されて示されている。
【0014】
図4で示されるように、胴部20は、内部を上下に貫通する孔24を有する。胴部20は、絶縁性である。この実施形態では、胴部20は樹脂組成物よりなる。胴部20の好ましい材質として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)及びPET(ポリエチレンテレフタレート)が例示される。なお、本明細書では、物質が「絶縁性」であるとは、当該物質の電気伝導率が10
-6S/m以下であることを指す。ここで「S」は抵抗「Ω(オーム)」の逆数(ジーメンス)を表し、mは距離(メートル)を表す。
【0015】
胴部20は、主部26と鍔部28とを備える。主部26は、筒状を呈する。鍔部28は、主部26の下側の端(底部22側の端)に位置する。鍔部28は、主部26の下側の端に沿って周方向に延びる。鍔部28は、リング状を呈する。この実施形態では、ケース6の半径方向において、鍔部28は、主部26から半径方向外側に突出している。鍔部28は、
図2で示されるように、半径方向外側に突出する突起部30を備えている。この実施形態では、二つの突起部30が設けられている。それぞれの突起部30には、取付孔32が設けられている。主部26と鍔部28とは、一体として形成されている。主部26と鍔部28とが別々に形成されていてもよい。
【0016】
底部22は、板状を呈する。
図3で示されるように、底部22は、鍔部28と接触している。この実施形態では、鍔部28の下側の面全体が、底部22と接触している。底部22は、胴部20の孔24の開口全体を覆っている。底部22は、鍔部28に固定されている。この実施形態では、底部22は、鍔部28に接着剤で固定されている。底部22が粘着性を有する材質で形成され、これにより底部22と鍔部28とが固定されてもよい。
【0017】
底部22は、絶縁性であり、かつ熱伝導性である。この実施形態では、底部22は、絶縁性の放熱シートよりなる。底部22が、他の絶縁性かつ熱伝導性の材質から形成されていてもよい。なお、本明細書では、物質が「熱伝導性」であるとは、当該物質の熱伝導率が0.5W/m・K以上であることを指す。ここで「W」は電力(ワット)を表し、mは距離(メートル)を表し、Kは温度(ケルビン)を表す。
【0018】
充填体9は、トロイダルコイル4とケース6との隙間を埋める。
図3の実施形態では、充填体9は、トロイダルコイル4の天板14とケース6との間に充填されている。充填体9は、絶縁性である。この実施形態では、充填体9は熱硬化性樹脂からなる。充填体9として、常温で硬化する樹脂が使用されてもよい。好ましくは、熱伝導率が大きな樹脂が選択される。さらに、ケース6内の隙間の隅々まで樹脂で埋めるために、充填体9の材質として、粘度が低い樹脂が選択される。好ましい充填体9として、エポキシ樹脂が例示される。
【0019】
この電子部品2の製造では、ケース6の胴部20、底部22となる放熱シート及びトロイダルコイル4が準備される。胴部20の主部26と鍔部28とは、一体として形成されている。底部22が、鍔部28に接着剤で接着される。これにより、ケース6が形成される。このケース6に、トロイダルコイル4が挿入される。ケース6内に、トロイダルコイル4が格納される。トロイダルコイル4の天板14の孔34から、液状の熱硬化性樹脂が流し込まれる。熱硬化性樹脂は、ケース6とトロイダルコイル6との隙間を埋める。熱硬化性樹脂は、加熱され硬化される。これにより、充填体9が形成される。これにて電子部品2が得られる。
【0020】
胴部20と底部22とが接着されなくてもよい。例えば、胴部20を底部22に押さえつけた状態で、熱硬化性樹脂をケース6に流し込んでもよい。この場合、熱硬化性樹脂が加熱され硬化することで、胴部20と底部22とが互いに固定される。
【0021】
得られた電子部品2は、電子機器に搭載される。
図5は、電子部品2が電子機器に搭載された状態の一例が、示されている。
図5の電子部品2は、
図1のV-V線に沿った断面である。この断面図には、
図3の断面図とは異なり、鍔部28の突起部30が存在する位置における、断面が示されている。この実施形態では、電子部品2は、電子機器の放熱器38に載せられている。電子部品2は、底部22が放熱器38に接触するように配置される。底部22の取付孔32を通して放熱器38にネジ40が挿入されることで、電子部品2が放熱器38に固定される。電子部品2が、電子機器の筐体に載せられていてもよい。電子部品2が、電子機器の他の放熱効果が高い部分に載せられてもよい。
【0022】
図5の実施形態では、電子部品2の上側に回路基板42が配置されている。トロイダルコイル4の端子16が、この回路基板42の所定の端子と接続している。これにより回路基板42からトロイダルコイル4に通電され、電子部品2が動作する。
【0023】
以下では、本実施形態の作用効果が説明される。
【0024】
本電子部品2では、ケース6の胴部20及び底部22は、いずれも絶縁性である。このため、発熱体4であるトロイダルコイル4とケース6との電気的なショートが防止されている。この電子部品2では、ケース6と発熱体4との距離を小さくできる。この電子部品2では、小型化が実現されている。
【0025】
良好な絶縁性を実現するとの観点から、ケース6の電気伝導率は、10-8S/m以下がより好ましく、10-10S/m以下がさらに好ましく、10-12S/m以下がさらに好ましい。
【0026】
本電子部品2では、ケース6の底部22は放熱シートで形成されている。発熱体4からの熱は、底部22を介して効果的に外部に放出できる。例えば、底部22と、筐体又は放熱器38等の放熱効果が高い部分とが接触するように電子部品2を電子機器に搭載することで、発熱体4からの熱をより効果的に放出することができる。
【0027】
電子部品2の良好な放熱性を実現するとの観点から、底部22の熱伝導率は、1.0W/m・K以上がより好ましく、3.0W/m・K以上がさらに好ましく、10W/m・K以上がさらに好ましい。
【0028】
ケース6が金属等の導電性の材質からなる場合、電子部品2と電子機器の他の部品との絶縁性を確保するため、ケース6と他の部品との間に、絶縁材が必要となる。例えば、ケース6と筐体又は冷却器との間に、放熱シートを配置する必要がある。本電子部品2では、ケース6が絶縁性のため、電子部品2と他の部品とを絶縁さるための絶縁材を設ける必要はない。本電子部品2では、電子機器の部品数の増加が抑えられている。
【0029】
この実施形態では、ケース6の胴部20は、胴部20から半径方向外側に突出した鍔部28を備えている。底部22は、鍔部28と接触している。この鍔部28により、鍔部28を有しない場合と比べて、胴部20と底部22との接触面積を大きくできる。これにより、製造時に熱硬化性樹脂をケース6に流し込んだ際に、熱硬化性樹脂がケース6から洩れることが効果的に防止できる。
【0030】
図4において、符号Wは、鍔部28の幅を表す。幅Wは、半径方向に計測される。この実施形態では、鍔部28の幅Wは、この電子部品2の胴部20からの沿面距離以上となっている。このようにすることで、この電子部品2と他の部品との確実な絶縁が実現できる。
【0031】
図6は、他の実施形態に係る電子部品50が示された断面図である。この電子部品50は、トロイダルコイル52及びケース54を備える。この電子部品50は、トロイダルコイル52とケース54との隙間に、充填体58を備えている。この電子部品50のトロイダルコイル52及び充填体58は、それぞれ
図1-3の電子部品2のトロイダルコイル4及び充填体9と同じである。
【0032】
ケース54は、内部に空間を有する。ケース54は、この空間に、トロイダルコイル52を格納している。ケース54は、上面に開口を有する。ケース54は胴部60と底部62とを備える。胴部60は、内部を上下に貫通する孔を有する。胴部60は、絶縁性である。この実施形態では、胴部60は樹脂組成物よりなる。
【0033】
胴部60は主部64と鍔部66とを備える。主部64は、筒状を呈する。鍔部66は、主部64の下側の端(底部62側の端)に位置する。鍔部66は、主部64の下側の端に沿って延びる。鍔部66は、リング状を呈する。
図6に示されるように、この実施形態では、鍔部66は、主部64から内側に突出している。ケース54の内部において、主部64と鍔部66との角は、丸み68を帯びた形状を呈している。図示されないが、鍔部66は、半径方向外側に突出する突起部を備えている。この実施形態では、二つの突起部が設けられている。それぞれの突起部には、取付孔が設けられている。主部64と鍔部66とは、一体として形成されている。主部64と鍔部66とが別々に形成されていてもよい。
【0034】
底部62は、板状を呈する。
図6で示されるように、底部62は、鍔部66と接触している。この実施形態では、鍔部66の下側の面全体が、底部62と接触している。底部62は、胴部60の孔の開口全体を覆っている。底部62は、鍔部66に固定されている。この実施形態では、底部62は、鍔部66に接着剤で固定されている。底部62が粘着性を有する材質で形成され、これにより底部62と鍔部66とが固定されてもよい。底部62は、絶縁性であり、かつ熱伝導性である。この実施形態では、底部62は、絶縁性の放熱シートよりなる。底部62が、他の絶縁性かつ熱伝導性の材質から形成されていてもよい。
【0035】
本電子部品50では、ケース54の胴部60及び底部62は、いずれも絶縁性である。このため、発熱体52であるトロイダルコイル52とケース54との電気的なショートが防止されている。この電子部品50では、ケース54と発熱体52との距離を小さくできる。この電子部品50では、小型化が実現されている。さらに本電子部品50では、ケース54の底部62は放熱シートで形成されている。発熱体52からの熱は、底部62を介して効果的に外部に放出できる。例えば、底部62と電子機器の筐体又は放熱器とが接触するように電子部品50を電子機器に搭載することで、発熱体52からの熱をより効果的に放出することができる。
【0036】
この実施形態では、ケース54の胴部60は、胴部60から半径方向内側に突出した鍔部66を備えている。底部62は、鍔部66と接触している。この鍔部66により、鍔部66を有しない場合と比べて、胴部60と底部62との接触面積を大きくできる。これにより、製造時に熱硬化性樹脂をケース54に流し込んだ際に、熱硬化性樹脂がケース54から洩れることが効果的に防止できる。
【0037】
この実施形態では、ケース54の内部において、主部64と鍔部66との角は、丸み68を帯びた形状を呈している。ケース54内部の発熱体52の多くは、コイルに代表されるように、丸み68を帯びた形状を呈している。例えば、
図6に示されるように、トロイダルコイル52の、底部62と対向する面と、胴部60と対向する面との角は、丸みを帯びた形状を呈している。主部64と鍔部66との角を丸み68を帯びた形状としても、発熱体52と接触していない。主部64と鍔部66との角を丸み68を帯びた形状とすることで、発熱体52とケース54との隙間を小さくできる。これにより、必要となる充填体58の量を削減できる。
【0038】
発熱体52とケース54との隙間をより小さくするとの観点から、丸み68と、トロイダルコイル52の底部62と対向する面と胴部60と対向する面との角の丸みとは、対応した形状を呈するのが好ましい。
【0039】
さらに他の実施形態に係る電子部品は、
図1-3で示された電子部品2の構造と、同じ構造を有する。この実施形態の電子部品では、底部の材質が、
図1の電子部品2とは異なる。この電子部品では、底部はセラミックで形成されている。この底部は、絶縁性であり、かつ熱伝導性である。好ましいセラミックとして、アルミナ、ジルコニア及び窒化珪素が例示される。この電子部品は、底部の材質がセラミックで形成されていることの他は、
図1の電子部品2と同じである。
【0040】
この電子部品は、電子機器に搭載される。このとき電子部品は、例えば底部が、筐体又は放熱器に接触するように配置される。底部の取付孔を通して筐体又は放熱器にネジが挿入されることで、電子部品が固定される。この実施形態の電子部品では、底部と筐体又は放熱器との間に、放熱シートが配置されてもよい。底部と筐体又は放熱器との間に、放熱グリスを介在させてもよい。
【0041】
本電子部品では、ケースの胴部及び底部は、いずれも絶縁性である。このため、発熱体であるトロイダルコイルとケースとの電気的なショートが防止されている。この電子部品では、ケースと発熱体との距離を小さくできる。この電子部品では、小型化が実現されている。
【0042】
本電子部品では、ケースの底部はセラミックで形成されている。発熱体からの熱は、底部を介して効果的に外部に放出できる。例えば、底部と、筐体又は放熱器等の放熱効果が高い部分とが接触するように電子部品を電子機器に搭載することで、発熱体からの熱をより効果的に放出することができる。
【0043】
上述の実施形態では、胴部の鍔部は、主部から外側に突出するか、又は内側に突出していた。鍔部が、主部から外側及び内側の両方に突出していてもよい。胴部が、鍔部を有していなくてもよい。
【0044】
上述の実施形では、ケースの内部には、発熱体としてトロイダルコイルが格納されていた。発熱体は、トロイダルコイルに限られない。発熱体が、リアクトル又はトランスであってもよく、抵抗器であってもよい。発熱体が、その他の素子であってもよい。
【0045】
以上説明されたとおり、この電子部品では、小型化と良好な放熱性とが実現されている。このことから、本実施形態の優位性は明らかである。
【0046】
[開示項目]
以下の項目は、好ましい実施形態の開示である。
【0047】
[項目1]
発熱体と、前記発熱体を内部に格納し胴部及び底部を備えるケースと、前記発熱体と前記ケースとの隙間に充填される充填体とを備え、
前記胴部が絶縁性であり、前記底部が絶縁性かつ熱伝導性である、電子部品。
【0048】
[項目2]
前記底部が放熱シートからなる、項目1に記載の電子部品。
【0049】
[項目3]
前記底部がセラミックからなる、項目1に記載の電子部品。
【0050】
[項目4]
前記胴部が、主部と、前記主部の前記底部側の端に位置し前記主部から外側又は内側に突出している鍔部とを備える、項目1から3のいずれかに記載の電子部品。
【0051】
[項目5]
前記鍔部が、前記主部から内側に突出しており、
前記ケースの内部において、前記主部と前記鍔部との角が丸みを帯びた形状を呈している、項目4に記載の電子部品。
【0052】
[項目6]
前記発熱体がコイルを含む、項目1から5のいずれかに記載の電子部品。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明された電子部品は、種々の電子機器に適用されうる。
【符号の説明】
【0054】
2、50・・・電子部品
4、52・・・トロイダルコイル(発熱体)
6、54・・・ケース
9、58・・・充填体
10・・・コア
12・・・ワイヤ
14・・・天板
16・・・端子
18・・・ケースの開口
20、60・・・胴部
22、62・・・底部
24・・・胴部の孔
26、64・・・主部
28、66・・・鍔部
30・・・突起部
32・・・取付孔
34・・・孔
36・・・端子孔
38・・・冷却器
40・・・ネジ
42・・・回路基板
68・・・丸み