(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077723
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】タイヤ周囲空間モデルの生成装置及び生成方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20240603BHJP
G06F 30/15 20200101ALI20240603BHJP
G06F 30/23 20200101ALI20240603BHJP
【FI】
B60C19/00 Z
G06F30/15
G06F30/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189836
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥 祐樹
【テーマコード(参考)】
3D131
5B146
【Fターム(参考)】
3D131LA34
5B146AA05
5B146DJ01
5B146DJ08
(57)【要約】
【課題】タイヤの放射音解析に用いるタイヤ周囲空間モデルを作成する際に、タイヤの接地解析の結果を反映させた路面境界モデルを低コストで作成できるようにする。
【解決手段】本発明に係るタイヤ周囲空間モデルの生成装置は、タイヤを複数の要素に分割したタイヤモデルを用いて、所定形状の路面上で所定荷重をかけた状態についての接地解析を行い、変形したタイヤモデルを得る接地解析部と、タイヤモデルにおいて路面と接触する接触域の輪郭を特定し、輪郭を路面に投影した投影図を作成し、路面から投影図に該当する部分を削除して路面モデルを作成する路面モデル作成部と、タイヤモデルと、路面モデルとを連結して路面境界モデルを生成する路面境界モデル生成部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを複数の要素に分割したタイヤモデルを用いて、所定形状の路面上で所定荷重をかけた状態についての接地解析を行い、変形した前記タイヤモデルを得る接地解析部と、
前記タイヤモデルにおいて前記路面と接触する接触域の輪郭を特定し、前記輪郭を前記路面に投影した投影図を作成し、前記路面から前記投影図に該当する部分を削除して路面モデルを作成する路面モデル作成部と、
前記タイヤモデルと、前記路面モデルとを連結して路面境界モデルを生成する路面境界モデル生成部とを備える、タイヤ周囲空間モデルの生成装置。
【請求項2】
前記路面モデル作成部は、前記タイヤモデルから全ての節点で接触圧力を有する接触要素を抽出した後に、前記接触要素の各々の区画線分を取得し、前記区画線分から前記輪郭を特定する、請求項1に記載のタイヤ周囲空間モデルの生成装置。
【請求項3】
前記路面モデル作成部は、前記輪郭を特定する際に一筆書きのアルゴリズムを用いる、請求項2に記載のタイヤ周囲空間モデルの生成装置。
【請求項4】
情報処理装置が実行する方法であって、
タイヤを複数の要素に分割したタイヤモデルを用いて、所定形状の路面上で所定荷重をかけた状態についての接地解析を行い、変形した前記タイヤモデルを得るステップと、
前記タイヤモデルにおいて前記路面と接触する接触域の輪郭を特定し、前記輪郭を前記路面に投影した投影図を作成し、前記路面から前記投影図に該当する部分を削除して路面モデルを形成するステップと、
前記タイヤモデルと、前記路面モデルとを連結して路面境界モデルを生成するステップとを備える、タイヤ周囲空間モデルの生成方法。
【請求項5】
前記タイヤモデルから全ての節点で接触圧力を有する接触要素を抽出した後に、前記接触要素の各々の区画線分を取得し、前記区画線分から前記輪郭を特定する、請求項4に記載のタイヤ周囲空間モデルの生成方法。
【請求項6】
前記輪郭を特定する際に一筆書きのアルゴリズムを用いる、請求項5に記載のタイヤ周囲空間モデルの生成方法。
【請求項7】
請求項4に記載のタイヤ周囲空間モデルの生成方法を情報処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ放射音解析に用いることができるタイヤ周囲空間モデルの生成装置及び生成方法、並びにプログラムに関し、詳細には、タイヤの接地解析の結果を反映させた路面境界モデルを低コストで作成するためのタイヤ周囲空間モデルの生成装置及び生成方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、タイヤからの放射音を予測、評価するために、タイヤ周囲空間モデルを用いた解析が行われている。例えば、特許文献1は、トレッド部とボディ部の境界が非連続であるタイヤモデルを用いてタイヤ周囲空間モデルを形成する方法について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、路面境界モデルを作成する方法について、詳細に記載していない。タイヤからの放射音をより正確に予測、評価するには、タイヤの接触域の形状がタイヤ接地解析の結果と一致している必要があるが、タイヤの接地解析の結果を反映させた路面境界モデルを効率的に作成することは困難である。
【0005】
本発明の目的は、タイヤの放射音解析に用いるタイヤ周囲空間モデルを作成する際に、タイヤの接地解析の結果を反映させた路面境界モデルを低コストで作成できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るタイヤ周囲空間モデルの生成装置は、タイヤを複数の要素に分割したタイヤモデルを用いて、所定形状の路面上で所定荷重をかけた状態についての接地解析を行い、変形したタイヤモデルを得る接地解析部と、タイヤモデルにおいて路面と接触する接触域の輪郭を特定し、輪郭を路面に投影した投影図を作成し、路面から投影図に該当する部分を削除して路面モデルを作成する路面モデル作成部と、タイヤモデルと、路面モデルとを連結して路面境界モデルを生成する路面境界モデル生成部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るタイヤ周囲空間モデルの生成方法は、情報処理装置が実行する方法であって、タイヤを複数の要素に分割したタイヤモデルを用いて、所定形状の路面上で所定荷重をかけた状態についての接地解析を行い、変形したタイヤモデルを得るステップと、タイヤモデルにおいて路面と接触する接触域の輪郭を特定し、輪郭を路面に投影した投影図を作成し、路面から投影図に該当する部分を削除して路面モデルを形成するステップと、タイヤモデルと、路面モデルとを連結して路面境界モデルを生成するステップとを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプログラムは、上記のタイヤ周囲空間モデルの生成方法を情報処理装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るタイヤ周囲空間モデルの生成装置及び生成方法、並びにプログラムによれば、タイヤの接地解析の結果を反映させた路面境界モデルを低コストで作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の一例に係るタイヤ周囲空間モデルの側面図である。
【
図2】実施形態の一例に係るタイヤ周囲空間モデルの生成装置を示すブロック図である。
【
図3】実施形態の一例に係るタイヤモデルの接触域近傍の側面図である。
【
図4】実施形態の一例に係るタイヤモデルの接触域の輪郭を示す図である。
【
図5】実施形態の一例に係るタイヤ周囲空間モデルの生成方法のフローチャートである。
【
図6】
図5のフローチャートのS2に該当する部分の詳細なフローチャートである。
【
図7】
図6のフローチャートのS24に該当する部分の詳細なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る検出方法の一例について詳細に説明する。以下で説明する実施形態はあくまでも一例であって、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、以下で説明する複数の実施形態および変形例の各構成要素を選択的に組み合わせてなる構成は本発明に含まれている。
【0012】
以下、
図1及び
図2を参照しつつ、本発明の一実施形態であるタイヤ周囲空間モデルの生成装置1について説明する。
【0013】
図1は、実施形態の一例に係るタイヤ周囲空間モデル10の側面図である。タイヤ周囲空間モデル10は、タイヤモデル20と、路面モデル22と、タイヤ周囲空間の最外面24とで包囲される空間を規定するモデルである。タイヤ周囲空間モデル10は、変形したタイヤモデル20及び路面モデル22からなる路面境界モデル12を含む。
【0014】
タイヤモデル20は、接触域20aにおいて路面モデル22と接触している。タイヤモデル20は、平面円盤形状の路面モデル22の中央に設置されている。タイヤ周囲空間の最外面24は、タイヤモデル20を中心とした半球形状であり、路面モデル22の外縁と接続している。本実施形態において、路面モデル22は平面であるが、曲面であってよい。例えば、ドラム式試験機で騒音を測定する場合には、路面モデル22であるドラム表面が曲面であるため、接触域20aの形状をモデル化することが難しいが、本発明によればより簡便に路面境界モデル12を形成することができる。
【0015】
図2は、実施形態の一例に係るタイヤ周囲空間モデル10の生成装置1を示すブロック図である。生成装置1は、例えば、プロセッサ30、メモリ32等を含む情報処理装置により構成される。プロセッサ30は、生成装置1を制御するための演算処理を実行する。メモリ32は、プロセッサ30を制御する制御プログラム等を記憶し、例えば、RAM、ROM、ハードディスク等により構成される。制御プログラムには、タイヤ周囲空間モデル10の生成方法を情報処理装置に実行させるプログラムが含まれる。生成装置1は、1つの情報処理装置で構成されていてもよく、複数の情報処理装置で構成されていてもよい。
【0016】
生成装置1は、接地解析部40と、路面モデル作成部42と、路面境界モデル生成部44とを備える。
【0017】
接地解析部40は、タイヤを複数の要素に分割したタイヤモデル20を用いて、所定形状の路面上で所定荷重をかけた状態についての接地解析を行う。タイヤモデル20は、タイヤを複数の要素に分割したモデルであり、接地解析は、例えば、有限要素法(FEM)を用いて行うことができる。タイヤモデル20は、タイヤの内部及び外部の構造に関するデータを含む。
【0018】
接地解析部40は、接地解析により、変形したタイヤモデル20を得る。このタイヤモデル20は、要素が路面から受ける接触圧力の大きさのデータを含む。また、タイヤモデル20は、要素の節点の位置座標のデータ、及び要素の区画線分のデータを含む。ここで、節点とは、要素の頂点を意味し、区画線分とは、要素を区画する辺を意味する。
【0019】
路面モデル作成部42は、接地解析の結果を用いて、路面モデル22を形成する。まず、路面モデル作成部42は、タイヤモデル20において路面と接触する接触域20aの輪郭を特定する。また、路面モデル作成部42は、接地解析に用いたものと同じ形状の路面を作成する。
【0020】
次に、路面モデル作成部42は、特定した輪郭を路面に投影した投影図を作成し、路面から投影図に該当する部分を削除して路面モデル22を作成する。路面モデル作成部42は、例えば、投影図に該当する部分を削除した路面を複数の要素に分割することで路面モデル22を作成する。
【0021】
路面境界モデル生成部44は、タイヤモデル20と、路面モデル22とを連結して路面境界モデル12を生成する。路面境界モデル生成部44は、接触域20a近傍において、接近しているタイヤモデル20の要素の節点と路面モデル22の節点を結合することで、連続した路面境界モデル12を作成する。接触域20aの輪郭がタイヤモデル20の要素に基づいた折れ線で構成されるため、タイヤモデル20の要素の節点と路面モデル22の節点とを結合しやすい。路面モデル作成部42は、路面モデル22が、タイヤモデル20の外表面の要素の区画線分よりも短い区画線分を有する要素を有しないようにすることが好ましい。これにより、タイヤモデル20の節点と、路面モデル22の節点を対応させることができるため、連続した路面境界モデル12を生成の際に、容易に結合することが可能となる。
【0022】
以下、
図3及び
図4を参照しつつ、路面モデル作成部42が接触域20aの輪郭を特定する方法について説明する。
図3は、実施形態の一例に係るタイヤモデル20の接触域20a近傍の側面図であり、荷重により変形したタイヤモデル20の状態を示している。
図4は、実施形態の一例に係るタイヤモデル20の接触域20aの輪郭を示す図である。
図4において、接触域20aの輪郭は、Z1~Z5の5つの図形からなる。
図3及び
図4における方向Yは、タイヤ軸方向を示す。
【0023】
まず、路面モデル作成部42は、タイヤモデル20の外表面を構成する要素から、全ての節点で接触圧力を有する接触要素を抽出する。
図4においては、Z1~Z5の各々の内部に含まれる要素が接触要素である。例えば、Z1の内部に含まれる接触要素E1及びE2は、いずれも矩形で、4つの節点(頂点)で接触圧力を有する。
【0024】
次に、路面モデル作成部42は、抽出した接触要素の各々の区画線分を取得し、区画線分から接触域20aの輪郭を特定する。例えば、接触要素E1を区画する区画線分は、L1~L4の4つである。L1及びL2は、L1及びL2を介して接触要素E1と隣接する要素が接触要素ではないため、輪郭を構成する。一方、L3及びL4は、L3及びL4を介して接触要素E1と隣接する要素が接触要素であるため、輪郭を構成しない。また、接触要素E2は、区画される4つの区画線分のいずれにおいても接触要素と隣接しているため、輪郭を構成しない。
【0025】
路面モデル作成部42は、接触要素を囲む区画線分から輪郭を構成する輪郭成分を抽出してもよい。
図4の例においては、L1及びL2は輪郭成分であり、L3及びL4は輪郭成分ではない。路面モデル作成部42が取得した区画線分には輪郭成分と輪郭成分でないもの(非輪郭成分)が含まれるため、路面モデル作成部42は、輪郭成分と非輪郭成分を分類し、輪郭成分のみを抽出する。
【0026】
区画線分の両端の節点の座標を取得し、両節点の座標が一致する区画線分の本数を調査することで、輪郭成分と非輪郭成分を分類してもよい。輪郭成分は、区画線分を介して接触要素と接触要素ではない要素が隣接するので、両節点の座標が一致する区画線分は存在しない。一方、非輪郭成分は、区画線分を介して接触要素同士が隣接するので、両節点の座標が一致する区画線分が他に存在する。
【0027】
路面モデル作成部42は、接触要素を囲む区画線分の内、両節点の座標が一致する区画線分は存在しないものを輪郭成分として直接的に抽出してもよい。また、路面モデル作成部42は、接触要素を囲む区画線分の内、両節点の座標が一致する区画線分が他に存在するものを非輪郭成分として抽出し、さらに、接触要素を囲む区画線分から非輪郭成分を除くことで、輪郭成分を間接的に抽出してもよい。
【0028】
路面モデル作成部42は、接触要素を囲む区画線分から輪郭を特定する際に、一筆書きのアルゴリズムを用いてもよい。一筆書きのアルゴリズムは、一筆書きとなるように輪郭成分を繋ぐことで輪郭を特定する手続きであり、一筆書きによって閉じられた輪郭が作成される。
図4に示す例では、Z1~Z5の各々に対して一筆書きが実施され、接触域20aの輪郭が形成される。一筆書きのアルゴリズムは、全ての輪郭成分が一筆書きに使用されて終了する。
【0029】
以下、
図5~
図7を参照しつつ、上記の生成装置1を用いたタイヤ周囲空間モデル10の作成方法について説明する。
【0030】
図5は、実施形態の一例に係るタイヤ周囲空間モデル10の生成方法のフローチャートである。まず、接地解析部40がタイヤモデル20に対して接地解析を実行し、変形したタイヤモデルを取得する(S1)。接地解析の際の路面形状や荷重の大きさは任意に設定することができる。
【0031】
路面モデル作成部42が、接地解析の結果から得られた接触域20aの輪郭を路面に投影し、投影図を作成する(S2)。この時、路面は、接地解析に用いたものと同じ形状のものを使用する。その後、路面モデル作成部42が、路面から投影図に該当する部分を削除して路面モデル22を作成する(S3)。路面モデル作成部42は、例えば、投影図に該当する部分を削除した路面を複数の要素に分割することで路面モデル22を作成する。
【0032】
路面境界モデル生成部44が、タイヤモデル20と、路面モデル22とを連結して路面境界モデル12を生成し(S4)、本フローは終了する。
【0033】
図6は、
図5のフローチャートのS2のステップに該当する部分の詳細なフローチャートである。まず、路面モデル作成部42が、接地解析後のタイヤモデル20の外表面を構成する要素から接触圧力が0以上の節点を抽出し(S21)、全ての節点で接触圧力が0以上の接触要素を抽出する(S22)。
【0034】
路面モデル作成部42が、接触要素を区画する区画線分を取得し、区画線分から輪郭を構成する輪郭成分を抽出する(S23)。その後、路面モデル作成部42が、一筆書きのアルゴリズムにより輪郭成分を繋いで、接触域20aの輪郭を特定する(S24)。
【0035】
路面モデル作成部42が、輪郭を構成する節点におけるタイヤ鉛直方向の座標値を路面の座標値に合わせ(S25)、投影図を作成する(S26)。例えば、路面が平面の場合には、タイヤ鉛直方向の座標(
図3及び4のZ座標)を0とする。また、投影図の形式は特に限定されないが、CADフォーマットであることが好ましい。
【0036】
図7は、
図6のフローチャートのS24に該当する部分の詳細なフローチャートであり、一筆書きのアルゴリズムを説明するものである。本フローを始める前に、全ての輪郭成分が非ソート済み線群に分類される。一筆書きに使用された輪郭成分は、非ソート済み線群からソート済み線群へ移動し、非ソート済み線群に輪郭成分がなくなると、本フローは終了する。
【0037】
まず、路面モデル作成部42が、未ソート線群から輪郭成分の1つをソート済み線群として任意に選択する(S241)。これにより、一筆書きのアルゴリズムを始めるきっかけとなる輪郭成分が選択される。
【0038】
路面モデル作成部42が、ソート済み線群の終点座標を取得する(S242)。S241のステップの後の場合には、最初に任意に選択された輪郭成分の終点座標が取得される。
【0039】
路面モデル作成部42が、未ソート線群に終点座標と同じ始点を有する輪郭成分が存在するか否かを判断し(S243)、YESの場合には、当該輪郭成分をソート済み線群に追加し(S244)、ソート済み線群の終点が更新した後に、未ソート線群の更新を行い(S245)、その後、再度S242ステップに戻って本フローを繰り返す。
【0040】
路面モデル作成部42が、S243のステップでNOと判断した場合には、一筆書きにより閉じた図形が形成されたことを意味するので、未選択の輪郭成分が存在するか否かを判断し(S246)、YESの場合には、S241のステップと同様に、未ソート線群から輪郭成分の1つを任意に選択し(S247)、S244のステップに進む。
【0041】
路面モデル作成部42が、S246のステップでNOと判断した場合には、全ての輪郭成分が使用されたことを意味するので、本フローは終了する。
【0042】
このように、本発明に係るタイヤ周囲空間モデル10の生成方法は、情報処理装置が実行する方法であって、タイヤを複数の要素に分割したタイヤモデル20を用いて、所定形状の路面上で所定荷重をかけた状態についての接地解析を行い、変形したタイヤモデル20を得るステップ(S1)と、タイヤモデル20において路面と接触する接触域20aの輪郭を特定し、輪郭を路面に投影した投影図を作成し、路面から投影図に該当する部分を削除して路面モデル22を形成するステップ(S2,S3)と、タイヤモデル20と、路面モデル22とを連結して路面境界モデル12を生成するステップ(S4)とを備える。
【0043】
また、本発明に係るタイヤ周囲空間モデル10の生成方法において、タイヤモデル20から全ての節点で接触圧力を有する接触要素を抽出した後に(S21,S22)、接触要素の各々の区画線分を取得し(S23)、区画線分から輪郭を特定してもよい(S24)。さらに、本発明に係るタイヤ周囲空間モデル10の生成方法において、輪郭を構成する節点の座標値を用いて投影図を作成してもよい(S25,S26)。
【0044】
また、本発明に係るタイヤ周囲空間モデル10の生成方法において、輪郭を特定する際に一筆書きのアルゴリズムを用いてもよい(S241~S247)。
【0045】
また、本発明に係るプログラムは、上記のタイヤ周囲空間モデル10の生成方法を情報処理装置に実行させるものである。
【0046】
以上のように、本発明に係るタイヤ周囲空間モデルの生成装置及び生成方法、並びにプログラムのいずれかを用いれば、タイヤの放射音解析に用いるタイヤ周囲空間モデルを作成する際に、タイヤの接地解析の結果を反映させた路面境界モデルを低コストで作成できる。
【符号の説明】
【0047】
1 生成装置、10 タイヤ周囲空間モデル、12 路面境界モデル、20 タイヤモデル、20a 接触域、22 路面モデル、24 タイヤ周囲空間の最外面、30 プロセッサ、32 メモリ、40 接地解析部、42 路面モデル作成部、44 路面境界モデル生成部、