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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007774
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/02 20060101AFI20240112BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B65D30/02
B65D30/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109084
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山下 香往里
(72)【発明者】
【氏名】浦川 直也
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA27
3E064BA28
3E064BA29
3E064BA30
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA07
3E064GA04
3E064HG07
3E064HM01
3E064HN05
(57)【要約】
【課題】モノマテリアルが実現されているとともに、落袋耐性に優れる包装袋を提供することを課題とする。特にスタンディングパウチとした際のサイドシール部分における落下時の破袋耐性に優れる包装袋を提供することを課題とする。
【解決手段】基材層及びシーラント層をそれぞれ含む一対の本体部と、基材層及びシーラント層を含み且つ山折り部を有する底テープと、をヒートシールして形成されている包装袋であって、本体部の基材層が、X線回折の平行ビーム法により回折角度10°~30°の範囲で測定した結晶化度(全ピーク面積に対する結晶ピーク面積の比)が35%以上のフィルムを含み、当該包装袋におけるポリエチレンの含有量が、当該包装袋の全量を基準として、90質量%以上である、包装袋とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層及びシーラント層をそれぞれ含む一対の本体部と、基材層及びシーラント層を含み且つ山折り部を有する底テープと、をヒートシールして形成されている包装袋であって、
本体部の基材層が、X線回折の平行ビーム法により回折角度10°~30°の範囲で測定した結晶化度(全ピーク面積に対する結晶ピーク面積の比)が35%以上のフィルムを含み、
当該包装袋におけるポリエチレンの含有量が、当該包装袋の全量を基準として、90質量%以上である、包装袋。
【請求項2】
本体部が、基材層におけるシーラント層側の面と反対側の面に形成されたウレタン系樹脂を含有する耐熱樹脂層を更に含む、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
本体部が、基材層とシーラント層との間にバリア層を更に含む、請求項1又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記バリア層が、ポリエチレンを含有するバリア基材層と、下引層と、無機酸化物層と、ガスバリア性接着剤層と、がこの順で積層された構造を有する、請求項3に記載の包装袋。
【請求項5】
前記ガスバリア性接着剤層の酸素透過度が、100cc/m・day・atm以下である、請求項4に記載の包装袋。
【請求項6】
前記ガスバリア性接着剤層が、エポキシ系接着剤を用いて形成された層である、請求項4に記載の包装袋。
【請求項7】
前記無機酸化物層が、酸化ケイ素を含む、請求項4に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
包装袋は、包装する内容物の性質、内容物の量、内容物の変質を保護するための後処理、包装袋を運搬する形態、包装体を開封する方法、廃棄する方法などによって、さまざまな素材が組み合わせて用いられている。
【0003】
たとえば、スタンディングパウチは、店頭の商品棚で商品を目立たせることが可能で、採用の範囲が広がっている。スタンディングパウチが、途中で折れ曲がることなく、全面が見えるようにするためには、パウチを構成する積層体に剛性が求められる。また、内容物が液体であれば、落下した際に破袋しないような強度が求められる。これらの機能に対応するため、ポリエステルフィルムやナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルムなどを組み合わせた積層体が用いられてきた。
【0004】
しかしながら、近年の環境問題への意識の高まりから、各種製品の省資源、再利用などの機能が求められるようになり、包装体に用いられる積層体にも同様の機能が求められている。
【0005】
各種素材が複合化された積層体を再利用する一つの方法は、各素材に再分離する方法であるが、包装体として所定の強度を付与した積層体を分離するには熱的、化学的、機械的な各種作用を行う必要がある。また、分離された素材を分別するためにも、比重による物理的な作用や、素材ごとに異なる分光学的な手法などにより行わねばならないが、これら分離、分別の精度を上げようとするほど、よりエネルギーを費やすなど効率的ではなかった。
【0006】
他の手法として、もとの積層体を同系統の素材で構成して、積層体を一体の素材として再利用することが挙げられる。特に熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系などの各種系統の素材がある。それぞれが、分子量や、分子量分布、熱処理、配向、延伸などの状態、処理によりさまざまな特性を付与することができる。特にポリオレフィン系の素材は、融点が低いことから加工性もよく、また、共重合体などによりさまざまな素材が製造されていることから、用いやすい。そのため、これまでにも、さまざまな手法が提案されてきている。
【0007】
特許文献1には、一軸延伸したポリオレフィン系樹脂フィルムとポリオレフィン系のヒートシール層からなる積層体が開示されている。この発明の主眼は、一軸延伸フィルムによる易引裂き性を有する積層体であるが、結果として同系統の樹脂からなる積層体となっている。しかしながら、包装体としての強度について規定されるものはなく、必要に応じて二軸延伸ナイロンやポリエステルなどのフィルムを積層しておくことも可能とあり、環境問題に対した課題に対応したものではない。
【0008】
包装材のモノマテリアル化を実現するための材料として、ポリエチレン樹脂を選択した包装材料も知られているが、落下時の破れの課題があることが知られている。
例えばスタンディングパウチ状の包装袋とした際、落下時にパウチのサイドシールの部分(例えば2枚の本体フィルムと底フィルムが接する図1のX)において破れが発生するという問題がある。この問題は特に容量が0.5L以上やさらには1L以上の液体等の大容量のパウチとしたときに生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第5197952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、モノマテリアルが実現されているとともに、落袋耐性に優れる包装袋を提供することを課題とする。特にスタンディングパウチとした際のサイドシール部分における落下時の破袋耐性に優れる包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、基材層及びシーラント層をそれぞれ含む一対の本体部と、基材層及びシーラント層を含み且つ山折り部を有する底テープと、をヒートシールして形成されている包装袋であって、本体部の基材層が、X線回折の平行ビーム法により回折角度10°~30°の範囲で測定した結晶化度(全ピーク面積に対する結晶ピーク面積の比)が60%以上のフィルムを含み、当該包装袋におけるポリエチレンの含有量が、当該包装袋の全量を基準として、90質量%以上である、包装袋とすることを特徴とする。
【0012】
また、本体部が、基材層におけるシーラント層側の面と反対側の面に形成されたウレタン系樹脂を含有する耐熱樹脂層を更に含むことを特徴とする。
【0013】
また、本体部が、基材層とシーラント層との間にバリア層を更に含むことを特徴とする。
【0014】
また、バリア層が、ポリエチレンを含有するバリア基材層と、下引層と、無機酸化物層と、ガスバリア性接着剤層と、がこの順で積層された構造を有することを特徴とする。
【0015】
また、ガスバリア性接着剤層の酸素透過度が、100cc/m・day・atm以下であることを特徴とする。
【0016】
また、ガスバリア性接着剤層が、エポキシ系接着剤を用いて形成された層であることを特徴とする。
【0017】
また、無機酸化物層が、酸化ケイ素を含むことを特著欧とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、モノマテリアルが実現されているとともに、落袋耐性に優れる包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は本開示の一実施形態に係る自立性包装袋を模式的に示す正面図である。
図2図2図1に示す自立性包装袋の構成を模式的に示す断面図である。
図3図3図1に示す自立性包装袋を構成する一対の本体部と、底テープとを模式的に示す斜視図である。
図4図4は本体部の一例を模式的に示す断面図である。
図5図5は本体部の他の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態に係る包装袋について詳細に説明する。ここでは、モノマテリアル化が実現されたスタンディングパウチを例に挙げて説明する。
【0021】
図1は本実施形態に係るスタンディングパウチ(自立性包装袋)を模式的に示す正面図である。図2はスタンディングパウチの構成を模式的に示す断面図である。これらの図に示すスタンディングパウチ10は、一対の本体部1,2(第一及び第二の本体部)と、底テープ3とをヒートシールして形成されている。一対の本体部1,2はいずれも、基材層L1(第一及び第二の基材層)と、シーラント層L2(第一及び第二のシーラント層)とを少なくとも含む積層フィルム1Fで構成されている。底テープ3は、基材層L3(第三の基材層)と、シーラント層L4(第三のシーラント層)とを少なくとも含む積層フィルム3Fで構成されている。ヒートシールによるスタンディングパウチの形成は、従来の方法と同様に実施することができる。
【0022】
リサイクル適性の観点から、一対の本体部1,2及び底テープ3はいずれも、ポリエチレン系樹脂組成物で構成されている。スタンディングパウチ10のポリエチレン含有量は、90質量%以上であり、好ましくは92質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。
【0023】
(本体部)
本体部1,2はいずれも、基材層L1と、シーラント層L2とを含む積層フィルム1Fで構成されている。
【0024】
[基材層L1]
基材層L1は、X線回折の平行ビーム法により回折角度10°~30°の範囲で測定した結晶化度(全ピーク面積に対する結晶ピーク面積の比)が35%以上であるフィルムを含む。また、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上であるフィルムであるとより好ましい。
樹脂フィルムは結晶化度が高くなると、結晶が揃う状態となっており、フィルムの力学的特性が向上しての腰が強くなり、破れにくくなる。すなわち、落袋耐性に優れたものとなる。また、結晶が揃う状態となることでガラス転移点があがり、製袋時の熱による変形や劣化などが起きにくくなる。さらに透明性も向上するため、内側に設けた印刷層の視認性向上を図ることができる。ポリエチレン樹脂については結晶化度が35%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上であると、落袋耐性などに優れたものとなる。
基材層L1がこのようなフィルムを含むことで、スタンディングパウチ10は、融着しにくく、耐熱性及び落袋耐性に優れたものとなる。
【0025】
このようなフィルムとしては、例えば、高密度ポリエチレン(密度0.95g/m以上)、中密度ポリエチレン(密度0.935~0.95g/m)、直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.905~0.935g/m)、及び超低密度ポリエチレン(密度0.905g/m未満)を使用した延伸ポリエチレンフィルム(一軸又は二軸延伸フィルム)が挙げられる。特に中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを用いた延伸ポリエチレンフィルムが好ましい。
また、基材層L1は単層でも良いが複数層からなるものを用いても良い。例えば複数層のものとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンからなる3層構成のものや、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンからなる3層構成用いることができる。なお複数層の場合も延伸されているものを用いることが好ましい。
さらに最表面に耐熱層を設けることが好ましい。耐熱層を設けることで製袋時の熱による変形や劣化などを防ぐことが可能となる。耐熱層としては、アクリル系、ウレタン系、エステル系などの樹脂バインダーにシリカ等の無機粒子を含有させたものを用いることができる。
【0026】
基材層L1が含むフィルムの結晶化度は、X線回折の平行ビーム法により回折角度10°~30°の範囲で測定される。
基材層L1が含むフィルムの結晶化度が35%以上であることからスタンディングパウチ10が一層融着しにくく落袋耐性に一層優れるものとなる。特に50%以上、60%以上であることが好ましい。
基材層L1が含むフィルムの結晶化度は、95%以下であってよい。
【0027】
また、基材層L1には、当該フィルム以外のその他の層を有していてもよい。その他の層としては、例えば、インキからなる印刷層が挙げられる。
【0028】
基材層L1は、石油由来のものに限定されず、生物由来の樹脂材料(例えば、バイオマス由来のエチレン原材料に用いたバイオマスポリエチレン)を一部又は全部に含むものであってもよい。バイオマス由来のポリエチレンの製造方法は、例えば、特表2010-511634号公報に開示されている。また、市販のバイオマスポリエチレン(ブラスケム社製グリーンPE等)を用いてもよい。
また、基材層L1は、生分解性の樹脂材料(例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、カゼイン、変性澱粉等)を一部に含んでもよい。
基材層L1は、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤等の添加剤が配合されたものであってもよい。
また、基材層L1は、使用済みのポリエチレン製品やポリエチレン製品の製造過程で発生した樹脂(いわゆるバリ)を原料とするメカニカルリサイクルポリエチレンを含んでいてもよい。
【0029】
基材層L1の厚さは、例えば、10~80μmであってよい。
【0030】
[シーラント層L2]
シーラント層L2は、基材層L1よりも融点が低いポリエチレンを含有する。
このようなポリエチレンとしては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)が挙げられる。中でも、密度0.900~0.920g/cmの密度のポリエチレンを用いることが好ましい。
【0031】
シーラント層L2は、ポリエチレンとして、バイオマス由来のエチレンを原材料に用いたバイオマスポリエチレンを含んでいてもよい。
また、シーラント層L2は、使用済みのポリエチレン製品やポリエチレン製品の製造過程で発生した樹脂(いわゆるバリ)を原料とするメカニカルリサイクルポリエチレンを含んでいてもよい。
【0032】
シーラント層L2は、ポリエチレン以外の樹脂を含んでいてもよい。このような樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン-エチレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-1-ブテン共重合体が挙げられる。
【0033】
シーラント層L2を構成する樹脂の融点は、ヒートシール性の観点から、好ましくは40~160℃の範囲である。
【0034】
シーラント層L2は、添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗ブロッキング剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
【0035】
シーラント層L2の厚さは、例えば、30~200μmであってよい。
シーラント層L2の厚さを調整することで、折り曲げ性及び剛性を調整できる。より好ましくは50~150μmである。
【0036】
シーラント層L2の形成方法としては、上述した材料からなるフィルム状のシーラント層L2を、一液硬化型もしくは二液硬化型ウレタン系接着剤等の接着剤で貼りあわせるドライラミネート法、フィルム状のシーラント層L2を無溶剤接着剤を用いて貼りあわせるノンソルベントドライラミネート法、シーラント層L2と同等の樹脂材料を加熱溶融させ、カーテン状に押し出し、貼りあわせるエクストルージョンラミネート法等、いずれも公知の積層方法により形成することができる。
【0037】
(底テープ)
底テープ3は一つの山折り部3aを有する。すなわち、スタンディングパウチ10が自立した状態において、底テープ3は逆V字状に配置されている(図2,3参照)。図4に示すように、底テープ3を構成する積層フィルム3Fは、シーラント層L4及び基材層L3を含む。以下、シーラント層L4及び基材層L3について説明する。
【0038】
(基材層L3)
基材層L3を構成する材料としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、及び超低密度ポリエチレンを使用し得る。特に中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが好ましい。
基材層L3は、無延伸又は一軸延伸又は二軸延伸のフィルムであってよいが、特に二軸延伸のフィルムを好適に用いることができる。
また、基材層L3は単層でも良いが複数層からなるものを用いても良い。例えば複数層のものとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンからなる3層構成のものを用いることができる。また、延伸されているものを用いることが好ましい。
【0039】
(シーラント層L4)
シーラント層L4を構成するポリエチレン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、及び超低密度ポリエチレンを使用し得る。これらのうち、シール性の観点から、直鎖状低密度ポリエチレンを使用することが好ましい。シーラント層L4は、無延伸又は延伸フィルムであってよいが、無延伸であることが好ましい。シーラント層L4の厚さは、シーラント層L2と同様であってよい。
【0040】
以下、スタンディングパウチの具体的な構成について説明する。スタンディングパウチ10の底部は、図2に示すように、ヒートシール部5と、ヒートシール部6とによって構成されている。ヒートシール部5は、本体部1の底部1aと底テープ3の一方の底部3bとをヒートシールした部分である。ヒートシール部6は、本体部2の底部2aと底テープ3の他方の底部3cとをヒートシールした部分である。本体部1,2と底テープ3は、図1に示されるように、内容物を収容する領域の底部が曲面をなすように、上側が円弧状をなすようにヒートシールされている。なお、本発明者らの検討によると、従来のスタンディングパウチは、液状物が収容された状態において、底部が下方の向きで落下することが多く、また、このような状態で落下したときに、底部が破袋しやすい。
【0041】
スタンディングパウチ10の底辺10aから山折り部3aまでの距離Lは、内容物の種類及び内容量に依存するが、例えば、35~60mmであり、37~50mm又は40~50mmであってもよい。距離Lが35mm以上であることでスタンディングパウチ10の落下耐性をより一層向上できる傾向にある。他方、距離Lが60mm以下であることでスタンディングパウチ10の十分な内容量を確保しやすい傾向にある。スタンディングパウチ10の幅Wも、内容物の種類及び内容量に依存するが、例えば、100~300mmであり、105~295mm又は110~290mmであってもよい。
【0042】
スタンディングパウチ10の側部は、ヒートシール部7で構成されている。ヒートシール部7の幅は、例えば、3~18mmであり、5~15mmであってもよい。ヒートシール部7の幅が3mm以上であることでスタンディングパウチ10に十分な自立性を付与できる傾向にあり、他方、18mm以下であることでスタンディングパウチ10の十分な内容量を確保しやすい傾向にある。
【0043】
図1に示されたとおり、スタンディングパウチ10は、底部10bの両サイドに局所的接合部9をそれぞれ有する。局所的接合部9は本体部1と本体部2とを接合している。すなわち、局所的接合部9は、底テープ3に設けられた切り欠き部8を通じて本体部1,2のシーラント層L2同士が局所的に接着している箇所である。図3に示されたように、底テープ3の切り欠き部8は、山折り部3aと底辺3d,3dとの間の領域であり且つ底テープ3の側部に設けられている。底部10bの両サイドに局所的接合部9が設けられていることで、スタンディングパウチ10の自立性及び落袋耐性をより一層向上させることができる。
【0044】
スタンディングパウチ10は、内容物として食品、医薬品等の内容物を収容することができる。包装袋は、ボイル処理などの加熱殺菌処理を施すことができる。
【0045】
ボイル処理は、食品、医薬品等を保存するため湿熱殺菌する方法である。通常は、内容物にもよるが、食品等を包装した包装袋を60~100℃、大気圧下で、10~120分の条件で湿熱殺菌処理を行う。ボイル処理は、通常、熱水槽を用いて100℃以下で処理を行う。方法としては、一定温度の熱水槽の中に浸漬し一定時間処理した後に取り出すバッチ式と、熱水槽の中をトンネル式に通して処理する連続式がある。本実施形態の包装袋は、ボイル処理を施す用途にも好適に用いることができる。
【0046】
また、スタンディングパウチ10は、内容物としてハンドソープ、ボディーソープ、シャンプー、リンス、洗剤、柔軟剤などの粘稠物を収容することができる。
【0047】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、二層構成の積層フィルム1F,3Fを例示したが、積層フィルムは、基材層及びシーラント層以外の層を更に備えていてよい。図5は、積層フィルムの他の一例である。図5に示される積層フィルム1Fは、基材層L1及びシーラント層L2に加えて、接着剤層L5、耐熱樹脂層L6及びバリア層L7を備える。バリア層L7は、バリア基材層L7a、下引層L7b、無機酸化物層L7c及びガスバリア性接着剤層L7dを含む。以下、各層について詳述する。また、底テープに用いる積層フィルム3Fも同様の構成にすることが可能である。なお、本体に用いる積層フィルム1F、底テープに用いる積層フィルム3F共に図5に示す構成にしても良いがどちらか一方のみを図5の構成としてもよい。
【0048】
[接着剤層L5]
接着剤層L5を構成する材料としては、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを含む組成物の反応物を含む接着剤(ウレタン系接着剤)が挙げられる。ウレタン系接着剤は、ポリオールとポリイソシアネートとを含む組成物の反応物、すなわち、ウレタン樹脂を含むものである。ポリオールとポリイソシアネートとを含む組成物には、必要に応じてエポキシ樹脂、ヒドロキシ酸等が含まれていてもよい。ポリオールは、ポリエステルポリオールであってよく、脂肪族ポリエステルポリオールであると好ましい。ポリイソシアネートは、分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定はなく、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネートのいずれであってもよい。ウレタン系接着剤としては、例えば、タケラックA626(脂肪族ポリエステルポリオール、三井化学株式会社製)と、タケネートA65(ポリイソシアネート、三井化学株式会社製)との反応物が挙げられ、必要に応じて、エポキシ樹脂を併用してもよい。
【0049】
接着剤層L5の厚さは、例えば、1.0~10.0μmであってよい。
【0050】
[耐熱樹脂層L6]
耐熱樹脂層L6は、積層フィルム4Fに耐熱性を付与する層である。耐熱樹脂層L6を構成する材料としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂が挙げられる。更に二酸化ケイ素などの添加剤を含んでいても良い。耐熱樹脂層L6の厚さは、例えば、0.1~1.0μmであってよい。
【0051】
[バリア基材層L7a]
バリア基材層L7aはポリエチレンを含有する。このようなポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンを使用し得る。これらのうち、加工性の観点から、高密度ポリエチレンを使用することが好ましい。
【0052】
バリア基材層L7aの厚さは、例えば、10~50μmであってよい。
【0053】
[下引層L7b]
バリア基材層L7aの無機酸化物層L7cを積層する面には、下引層(アンカーコート層)L7bが設けられる。下引層L7bは、バリア基材層L7aと無機酸化物層L7cとの密着性能向上、バリア基材層L7a表面の平滑性向上、及び、バリア基材層L7aの伸びに起因した無機酸化物層L7cの割れの発生の抑制、といった効果を奏することができる。なお、平滑性が向上することで無機酸化物層L7cを欠陥なく均一に成膜し易くなり、高いバリア性を発現し易い。下引層L7bは下引層形成用組成物(アンカーコート剤)を用いて形成することができる。
【0054】
アンカーコート剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂等が挙げられる。アンカーコート剤に用いられる樹脂としては、耐熱性及び層間接着強度の観点から、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。これらの樹脂、又は、反応してこれらの樹脂を形成する成分を含むアンカーコート剤を用いて、下引層L7bを形成することができる。
【0055】
下引層L7bの厚さは特に限定されないが、0.01~5μmの範囲であることが好ましく、0.03~3μmの範囲であることがより好ましく、0.05~2μmの範囲であることが特に好ましい。下引層L7bの厚さが上記下限値以上であると、より十分な層間接着強度が得られる傾向にあり、他方、上記上限値以下であると所望のガスバリア性が発現し易い傾向にある。
【0056】
[無機酸化物層L7c]
無機酸化物層L7cの構成材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化錫等の無機酸化物が挙げられる。透明性及びバリア性の観点から、無機酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び酸化マグネシウムからなる群より選択されてよい。また、加工時に引っ張り延伸性に優れる観点から、無機酸化物層L7cを酸化ケイ素を用いた層とすることが好ましい。無機酸化物層L7cを用いることにより、積層フィルムのリサイクル性に影響を与えない範囲のごく薄い層で、高いバリア性を得ることができる。
【0057】
無機酸化物層L7cの膜厚は、10nm以上50nm以下であることが好ましい。膜厚が10nm以上であると、十分なガスバリア性を得ることができる
【0058】
[ガスバリア性接着剤層L7d]
ガスバリア接着性剤層を構成する材料としては、例えば、エポキシ系接着剤が挙げられる。エポキシ樹脂は分子構造上、緻密な膜を作りやすいため、エポキシ系接着剤を用いて形成されたガスバリア性接着剤層L7dは、より高いガスバリア性を発揮しやすい。
【0059】
ガスバリア性接着剤層L7dの酸素透過度は、100cc/m・day・atm以下であってよい。これにより、積層フィルム4Fのガスバリア性をより向上させることができると共に、屈曲後のガスバリア性の低下をより一層抑制することができる。また、屈曲等により無機酸化物層L7cに軽微な割れが生じ、その隙間にガスバリア性接着剤層が入り込んで補完した場合に、ガスバリア性接着剤層L7dの酸素透過度が上記範囲内であることで、ガスバリア性の低下をより一層抑制することができる。
【0060】
ガスバリア性接着剤層L7dの厚さは、例えば、1.0~10.0μmであってよい。
【0061】
積層フィルムは、上述した各層以外のその他の層を備えていてもよい。その他の層としては、例えば、印刷層が挙げられる。印刷層を設ける場合、印刷インキには塩素を含まないものを用いることが、印刷層が再溶融時に着色したり、臭いが発生したりすることを防ぐ観点から好ましい。また、印刷インキに含まれる化合物にはバイオマス材料を使用することが、環境配慮の観点から好ましい。
【0062】
また、スタンディングパウチは、自立性を向上させるために、その側部に縦方向に延びる折れ目加工(エンボス加工)を有していてもよい。また、スタンディングパウチは、自立性を向上させるために、その側部に縦方向に延びる空気封入部を備えていてもよい。
【実施例0063】
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
【0064】
<積層フィルムの作製>
(積層フィルムA)
アクリルポリオールとトリレンジイソシアネートとを、アクリルポリオールのOH基の数に対してトリレンジイソシアネートのNCO基の数が等量となるように混合し、全固形分(アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量)が5質量%になるよう酢酸エチルで希釈した。希釈後の混合液に、さらにβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを、アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量100質量部に対して5質量部となるように添加し、これらを混合することで下引層形成用組成物(アンカーコート剤)を調製した。下引層形成用組成物をワイヤーバーにて無延伸HDPE(バリア基材層、厚さ:32μm)に塗工して塗膜を形成した。塗膜を60℃で乾燥及び硬化させて下引層(アクリルウレタン系樹脂の塗布量:0.1g/m)を形成した。下引層上に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、酸化ケイ素からなる透明な無機酸化物層(シリカ蒸着膜、厚さ:30nm)を形成した。酢酸エチルとメタノールとを質量比1:1で混合した溶媒23質量部に三菱ガス化学社製のマクシーブC93Tを16質量部と、三菱ガス化学社製のマクシーブM-100を5質量部とを混合して、エポキシ系接着剤である接着剤Aを調製した。接着剤Aをワイヤーバーにて無機酸化物層上に塗工して塗膜を形成した。塗膜を60℃で乾燥させ、ガスバリア性接着剤層(厚さ:3μm)を形成した。ガスバリア性接着剤層にシーラント層としての無延伸LLDPEフィルム(厚さ:120μm)を貼り合わせて積層体を得た。得られた積層体を40℃で4日間エージングした。これにより、ガスバリア積層体(積層構造:バリア基材層/下引層/無機酸化物層/ガスバリア性接着剤層/シーラント層)を得た。
【0065】
二軸延伸LLDPEフィルム(基材層、厚さ:25μm、密度:0.935g/cm)とガスバリア積層体とを接着剤(接着剤層、三井化学社製、商品名:A626/A50)を介して貼り合わせて積層フィルムA(積層構造:基材層/接着剤層/バリア基材層/下引層/無機酸化物層/接着剤層/シーラント層)を得た。
【0066】
(積層フィルムB)
シーラント層を無延伸LLDPEフィルム(厚さ:150μm)に変え、ガスバリア性接着剤をDIC製Paslimに変更した以外は積層フィルムAの作製と同様にしてガスバリア積層体を得た。
一軸延伸HDPEフィルム(基材層、厚さ:25μm、密度:0.950g/cm)とガスバリア積層体とを接着剤(接着剤層、三井化学社製、商品名:A626/A50)を介して貼り合わせて積層フィルムB(積層構造:基材層/接着剤層/バリア基材層/下引層/無機酸化物層/接着剤層/シーラント層)を得た。
【0067】
(積層フィルムC)
二軸延伸LLDPEフィルム(基材層、厚さ:30μm、密度:0.930g/cm)とLLDPEフィルム(シーラント層、厚さ:120μm、密度:0.913g/cm)とを接着剤(接着剤層、三井化学社製、商品名:A626/A50)を介して貼り合わせて積層フィルムC(積層構造:基材層/接着剤層/シーラント層)を得た。
【0068】
(積層フィルムD)
積層フィルムAの作製と同様にしてガスバリア積層体を得た。積層フィルムAの作製と同様にしてガスバリア積層体を得た。
無延伸HDPEフィルム(基材層、厚さ:35μm、密度:0.95g/cm)とガスバリア積層体とを接着剤(接着剤層、三井化学社製、商品名:A626/A50)を介して貼り合わせて積層フィルムB(積層構造:基材層/接着剤層/バリア基材層/下引層/無機酸化物層/ガスバリア性接着剤層/シーラント層)を得た。
【0069】
(積層フィルムE)
二軸延伸LLDPEフィルム(基材層、厚さ:25μm、密度:0.935g/cm)の一方の表面上にウレタン系樹脂をグラビアコートして耐熱樹脂層(厚さ:0.5μm)を形成した。基材層とLLDPEフィルム(シーラント層、厚さ:120μm、密度:0.913g/cm)とを接着剤(接着剤層、三井化学社製、商品名:A626/A50)を介して貼り合わせて積層フィルムE(積層構造:耐熱樹脂層/基材層/接着剤層/シーラント層)を得た。
【0070】
(積層フィルムF)
二軸延伸LLDPEフィルム(基材層、厚さ:25μm、密度:0.935g/cm)の一方の表面上にウレタン系樹脂をグラビアコートして耐熱樹脂層(厚さ:0.5μm)を形成した。積層フィルムAの作製と同様にしてガスバリア積層体を得た。基材層とガスバリア積層体とを接着剤(接着剤層、三井化学社製、商品名:A626/A50)を介して貼り合わせて積層フィルムF(積層構造:耐熱樹脂層/基材層/接着剤層/バリア基材層/下引層/無機酸化物層/ガスバリア性接着剤層/シーラント層)を得た。
【0071】
(積層フィルムG)
ナイロンフィルム(基材層、厚さ:15μm)とアルミが蒸着された蒸着層を備えるポリエステルフィルム(バリア基材層、厚さ:12μm)とをナイロンフィルムとポリエステルフィルムの蒸着層が設けられていない表面とが対向するように接着剤(接着剤層、三井化学社製、商品名:A626/A50)を介して貼り合わせて第1の積層体を得た。次いで、第1の積層体の蒸着層とLLDPEフィルム(シーラント層、厚さ:120μm、密度:0.913g/cm)とを接着剤(接着剤層、三井化学社製、商品名:A626/A50)を介して貼り合わせて積層フィルムG(積層構造:基材層/接着剤層/ガスバリア基材層/蒸着層/接着剤層/シーラント層)を得た。
【0072】
(積層フィルムH)
無延伸LLDPEフィルム(基材層、厚さ:25μm、密度:0.92g/cm)とLLDPEフィルム(シーラント層、厚さ:120μm、密度:0.913g/cm)とを接着剤(接着剤層、三井化学社製、商品名:A626/A50)を介して貼り合わせて積層フィルムH(積層構造:耐熱樹脂層/基材層/接着剤層/シーラント層)を得た。
【0073】
(積層フィルムI)
一軸延伸HDPEフィルム(基材層、厚さ:25μm、密度:0.95g/cm)とLLDPEフィルム(シーラント層、厚さ:120μm、密度:0.913g/cm)とを接着剤(接着剤層、三井化学社製、商品名:A626/A50)を介して貼り合わせて積層フィルムI(積層構造:耐熱樹脂層/基材層/接着剤層/シーラント層)を得た。
【0074】
(積層フィルムJ)
積層フィルムAの作製と同様にしてガスバリア積層体を得た。無延伸LLDPEフィルム(基材層、厚さ:25μm、密度:0.92g/cm)とガスバリア積層体とを接着剤(接着剤層、三井化学社製、商品名:A626/A50)を介して貼り合わせて積層フィルムJ(積層構造:基材層/接着剤層/バリア基材層/下引層/無機酸化物層/ガスバリア性接着剤層/シーラント層)を得た。
【0075】
(積層フィルムK)
積層フィルムAの作製と同様にしてガスバリア積層体を得た。一軸延伸HDPEフィルム(基材層、厚さ:25μm、密度:0.95g/cm)とガスバリア積層体とを接着剤(接着剤層、三井化学社製、商品名:A626/A50)を介して貼り合わせて積層フィルムK(積層構造:基材層/接着剤層/バリア基材層/下引層/無機酸化物層/ガスバリア性接着剤層/シーラント層)を得た。
【0076】
(積層フィルムL)
無延伸HDPEフィルム(基材層、厚さ:35μm、密度:0.95g/cm)と、LLDPEフィルム(シーラント層、厚さ:120μm、密度:0.913g/cm)とを接着剤(接着剤層、三井化学社製、商品名:A626/A50)を介して貼り合わせて積層フィルムA(積層構造:基材層/接着剤層/シーラント層)を得た。
【0077】
<包装袋の作製>
(実施例1~6及び比較例1~5)
積層フィルムA~Lを用いて高さ300mm、巾200mm、底材50mm(折込片道)の包装袋(スタンディングパウチ)を作製した。本体部及び底テープはそれぞれ表1に示す積層フィルムを用いた。
【0078】
<リサイクル性評価>
(実施例1~6及び比較例1~5)
各実施例及び比較例の包装袋のリサイクル性を下記評価基準に基づいて、評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:包装袋におけるポリエチレンの含有量が90質量%以上であった。
B:包装袋におけるポリエチレンの含有量が90質量%未満であった。
【0079】
<落下試験評価>
(実施例1~6及び比較例1~5)
スタンディングパウチに水1000mlを封入し、5℃で24時間保管した。保管後、10個のスタンディングパウチを1mの高さから底面を下にしてそれぞれ10回落下させ、サイドシール部の破袋(図1のXの部分における破れ等)したものの数を数えた。破袋したスタンディングパウチの数を下記の評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:破袋したスタンディングパウチの数が1個未満であった。
B:破袋したスタンディングパウチの数が1~3個であった。
C:破袋したスタンディングパウチの数が5個以上であった。
【0080】
<製袋適性評価>
(実施例1~6及び比較例1~5)
スタンディングパウチの底テープを折り込んで上から熱板の温度140℃でヒートシールしたときの底テープ同士の融着の有無を確認し、下記の評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1にまとめた。
A:融着無し
B:融着有り
【0081】
<結晶化度評価>
各実施例及び比較例で用いた本体の基材層について、X線回折の平行ビーム法により回折角度10°~30°の範囲で測定した。
より具体的には、樹脂フィルムのX線回折パターンは、リガク社製の広角X線回折装置を使用し、アウト・オブ・プレーン(Out-of-plane)測定で、回折角度10°から30°までの範囲を2θ/θスキャンさせることで得た。X線は特性X線CuKαを用い、多層膜ミラーにより平行化して入射し、受光ユニットには平板コリメータを取り付けたシンチレーション検出器を用いた。
得られたX線回折パターンより、結晶ピークと非晶質ピークの面積を求め、全ピーク面
積に対する結晶ピーク面積の比を結晶化度として算出した。
樹脂フィルムが複数層を有する場合は、積層体最外層を構成する層の結晶化度を測定した。
樹脂フィルムがポリエチレンフィルムの場合、回折角度10°から30°までの範囲でスキャンを行うことにより、PE(110)面とPE(200)面に対応する2つシャープな結晶ピークとブロードな非晶質ピーク(ハローピーク)が観測される。この3つのピークを分離解析し、結晶ピークと非晶質ピークの面積を算出すると、式(1)より結晶化度が求められる。
結晶化度=結晶ピーク面積/(結晶ピーク面積+非晶質ピーク面積)…(1)
樹脂フィルムの表面は平坦ではなく、測定面にずれが生じる可能性があることから、ここでは平行ビーム法を用いた。
結果を表1に示した。
【0082】
【表1】
【0083】
実施例1~6のサンプルはいずれもポリエチレンの含有量が90質量%以上でありリサイクル適性があり、また製袋時の底テープ同士の融着もなく、落下時のサイドシール部の破袋もないものとなった。
それに対し、比較例1~4のサンプルはポリエチレンの含有量が90質量%以上でありリサイクル適性があるものの、落下時のサイドシール部の破袋があるものとなった。中でも比較例1、3については製袋時の底テープ同士の融着もあるものとなった。
さらに比較例5のサンプルは製袋時の底テープ同士の融着もなく、落下時のサイドシール部の破袋もないものとないものの、ポリエチレンの含有量が69%と異種材料が混在するものとなりリサイクル適性のないものとなった。
【符号の説明】
【0084】
1,2…本体部
3…底テープ
3a…山折り部
10…スタンディングパウチ
L1…基材層(第一及び第二の基材層)
L2…シーラント層(第一及び第二のシーラント層)
L3…基材層(第三の基材層)
L4…シーラント層(第三のシーラント層)
L6…耐熱樹脂層
L7…バリア層
L7a…バリア基材層
L7b…下引層(アンカーコート層)
L7c…無機酸化物層
L7d…ガスバリア性接着剤層
X…サイドシールの破れやすい箇所
図1
図2
図3
図4
図5