(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077745
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】固形化粧料及び化粧方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240603BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240603BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240603BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/02
A61K8/49
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189877
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(72)【発明者】
【氏名】大野 孝斗
(72)【発明者】
【氏名】井口 亮
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 雄介
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC172
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC402
4C083AC552
4C083AC851
4C083AC852
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD21
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】
SPFを向上させた化粧料の提供、及び当該化粧料を用いた化粧方法の提供。
【解決手段】
ヒマワリ種子ロウ及び紫外線吸収剤が配合された固形化粧料、並びに、該固形化粧料を用いた化粧方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒマワリ種子ロウ及び紫外線吸収剤が配合された固形化粧料。
【請求項2】
水が配合された、請求項1に記載の固形化粧料。
【請求項3】
前記ヒマワリ種子ロウの配合量が3質量%以上である、請求項1又は請求項2に記載の固形化粧料。
【請求項4】
前記水の配合量が5質量%以上である、請求項2に記載の固形化粧料。
【請求項5】
前記水の配合量が60質量%以下である、請求項2又は請求項4に記載の固形化粧料。
【請求項6】
前記紫外線吸収剤として、少なくとも、UV-A及びUV-B吸収剤が配合された、請求項1又は請求項2に記載の固形化粧料。
【請求項7】
前記UV-A及びUV-B吸収剤として、少なくとも、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンが配合された、請求項6に記載の固形化粧料。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の固形化粧料を用いた化粧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形化粧料及び化粧方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所望の機能を発揮させるために、種々の成分が配合された化粧料が提供されている。
【0003】
そのような化粧料の例として、特許文献1には、固形化粧料にデキストリン脂肪酸エステルとポリオキシエチレンミツロウと液状油成分を配合することにより、透明感があり、使用性に優れ、経時の安定性が良好な油性の固形化粧料を提供できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の通り、種々の成分が配合された様々な化粧料が提供されており、そのなかでも紫外線吸収剤が配合された化粧料が提供されている。紫外線吸収剤が配合された化粧料は、化粧料の組成物自体を紫外線から防御することや、化粧料を用いた際に毛髪や皮膚に対して紫外線防御能を付与することができる。
【0006】
しかしながら、紫外線吸収剤が配合された化粧料では、依然として、毛髪や皮膚に対して高い紫外線防御能を付与させることが要望されている。中でも、化粧料における紫外線防御能の指標であるSPF(Sun Protection Factor)を向上させることが求められている。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑み、SPFを向上させた化粧料の提供、及び当該化粧料を用いた化粧方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、化粧料にヒマワリ種子ロウと紫外線吸収剤とを配合するとともに、化粧料の剤型を固形とすることにより、SPFを向上させた化粧料が提供できることを見出した。また、当該化粧料を用いた化粧方法が提供できることを見出した。
【0009】
本発明は、以下の発明を含む。
【0010】
[1]の固形化粧料は、ヒマワリ種子ロウ及び紫外線吸収剤が配合されたものである。
【0011】
[2]の固形化粧料は、[1]の固形化粧料であって、水が配合されたものである。
【0012】
[3]の固形化粧料は、[1]又は[2]の固形化粧料であって、前記ヒマワリ種子ロウの配合量が3質量%以上である。
【0013】
[4]の固形化粧料は、[1]~[3]から選ばれるいずれか1つの固形化粧料であって、水が配合されており、水の配合量が5質量%以上である。
【0014】
[5]の固形化粧料は、[1]~[4]から選ばれるいずれか1つの固形化粧料であって、水が配合されており、水の配合量が60質量%以下である。
【0015】
[6]の固形化粧料は、[1]~[5]から選ばれるいずれか1つの固形化粧料であって、前記紫外線吸収剤として、少なくとも、UV-A及びUV-B吸収剤が配合されたものである。
【0016】
[7]の固形化粧料は、[1]~[6]から選ばれるいずれか1つの固形化粧料であって、前記UV-A及びUV-B吸収剤として、少なくとも、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンが配合されたものである。
【0017】
[8]の化粧方法は、[1]~[7]から選ばれるいずれか1つの固形化粧料を用いた化粧方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の固形化粧料によれば、SPFを向上した化粧料が提供できる。また、本発明の化粧方法によれば、本発明の固形化粧料を用いた化粧方法が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態(以下、本実施形態という)に基づき、本発明を以下に説明する。
【0020】
<固形化粧料>
本実施形態の固形化粧料は、ヒマワリ種子ロウ及び紫外線吸収剤が配合されたものである。本実施形態の固形化粧料によれば、SPFを向上させた化粧料が提供できる。
【0021】
本実施形態の「固形化粧料」とは、化粧料を容器(例えば、ジャー容器)に収容し、25℃の条件で、該容器を約45度の斜め方向に傾けた際、傾けた直後から5秒経過までの間に化粧料が流動しないものを指す。
【0022】
本実施形態の固形化粧料において、「SPF」とは、in vitro試験方法による測定によって得られた測定値を指す。SPFは、化粧料においてUV-B領域(波長280nm~320nm)に対する紫外線防御能の指標である。本実施形態の固形化粧料のSPFが高いものであれば、該固形化粧料を使用した際に、皮膚及び/又は毛髪に対してUV-B領域への紫外線防御能を向上させることができる。なお、前記in vitro試験方法は、測定用プレート(例えば、Helioscreen社製「HELIOPLATE」)に測定対象の固形化粧料を適宜の量(例えば、0.0325g)で塗布した後、SPFアナライザー(例えば、Labsphere社製SPFアナライザー「UV2000S」)を使用して測定することができる。
【0023】
(ヒマワリ種子ロウ)
本実施形態の固形化粧料は、ヒマワリ種子ロウが配合されたものである。前記ヒマワリ種子ロウは、ヒマワリ(HELIANTHUS ANNUUS)の種子から得られたロウである。本実施形態の固形化粧料にヒマワリ種子ロウを配合されたものとすることで、SPFを向上させることができる。
【0024】
本実施形態の固形化粧料に配合されるヒマワリ種子ロウの配合量は、特に限定されず、適宜設定すればよい。
【0025】
本実施形態の固形化粧料におけるヒマワリ種子ロウの配合量の下限値としては、例えば、2.5質量%以上であるが、SPFをより向上させる観点から、3質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、6質量%以上が特に好ましい。
また、本実施形態の固形化粧料におけるヒマワリ種子ロウの配合量の上限値としては、例えば、30質量%以下であるが、毛髪及び/又は皮膚に塗布する際の塗り広げやすさを向上させる観点から、20質量%以下が好ましい。
なお、用語「及び/又は」とは、両方又はいずれか一方を意味する(以下の同様の意味で用いる)。
【0026】
本実施形態の固形化粧料におけるヒマワリ種子ロウの配合量の範囲としては、例えば、2.5質量%以上30質量%以下であるが、下限値及び上限値の好ましい値として上述した観点から、3質量%以上20質量%以下が好ましく、4質量%以上20質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに好ましく、6質量%以上20質量%以下が特に好ましい。
【0027】
(紫外線吸収剤)
本実施形態の固形化粧料は、紫外線吸収剤が1種又は2種以上配合されたものである。本実施形態の固形化粧料に、紫外線吸収剤が配合されたものとすることで、SPFを向上させることができる。
【0028】
本実施形態の固形化粧料に配合される紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸エステルなど)、安息香酸エステル系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸又はそのエステル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸エステル、パラジメチルアミノ安息香酸エステル、4-[N,N-ジ(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]安息香酸エステルなど)、ケイ皮酸系紫外線吸収剤(例えば、パラメトキシケイ皮酸エステル、フェルラ酸など)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(オキシベンゾンなど)、トリアジン構造を有する紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン構造を有する紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール構造、アントラニル酸エステル(例えば、アントラニル酸メンチルなど)、シリコーン構造を有する紫外線吸収剤(例えば、ポリシリコーン-15など)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸エステル(例えば、オクトクリレンなど)などが挙げられる。
【0029】
本実施形態の固形化粧料に配合される紫外線吸収剤としては、例えば、UV-A領域(波長320nm~400nm)に吸収極大波長を示すUV-A吸収剤、UV-B領域(波長280nm~320nm)に吸収極大波長を示すUV-B吸収剤、UV-A領域及びUV-B領域の両方にそれぞれ吸収極大波長を示すUV-A及びUV-B吸収剤が挙げられる。
【0030】
本実施形態の固形化粧料は、SPFをより向上させる観点から、紫外線吸収剤として、少なくとも、UV-B吸収剤、並びにUV-A及びUV-B吸収剤から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものが好ましい。
また、本実施形態の固形化粧料は、SPF及びUVAPFをより向上させる観点から、紫外線吸収剤として、少なくとも、1種又は2種以上のUV-A及びUV-B吸収剤が配合されたものが好ましい。
【0031】
なお、本実施形態の固形化粧料において、「UVAPF」とは、in vitro試験方法による測定によって得られた測定値を指す。UVAPFは、化粧料におけるUV-A領域(波長320nm~400nm)に対する紫外線防御能の指標である。本実施形態の固形化粧料のUVAPFが高いものであれば、該固形化粧料を使用した際に、皮膚及び/又は毛髪に対してUV-A領域への紫外線防御能を向上させることができる。なお、前記in vitro試験方法は、測定用プレート(例えば、Helioscreen社製「HELIOPLATE」)に測定対象の固形化粧料を適宜の量(例えば、0.0325g)で塗布した後、SPFアナライザー(例えば、Labsphere社製SPFアナライザー「UV2000S」)を使用して測定することができる。
【0032】
前記UV-A吸収剤としては、例えば、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(別名:2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル)、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(別名:4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン)、オキシベンゾン-2(別名:テトラヒドロキシベンゾフェノン)、オキシベンゾン-6(別名:ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン)、アントラニル酸メンチルなどの固体状である油溶性のUV-A吸収剤;アントラニル酸メンチルなどの液状である油溶性のUV-A吸収剤;オキシベンゾン-9(別名:ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム)、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸などの固体状である水溶性のUV-A吸収剤が挙げられる。なお、上記例示された成分名は、別名と記載されたもの、アントラニル酸メンチルを除き、いずれも化粧品表示名称である。
【0033】
前記UV-B吸収剤としては、例えば、エチルヘキシルトリアゾン(別名:2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン)、PABA(別名:パラアミノ安息香酸)、エチルPABA(別名:パラアミノ安息香酸エチル)、グリセリルPABA(別名:パラアミノ安息香酸グリセリル)、オキシベンゾン-1(別名:ジヒドロキシベンゾフェノン)などの固体状である油溶性のUV-B吸収剤;ジメチルPABAアミル(別名:パラジメチルアミノ安息香酸アミル)、ジメチルPABAエチルヘキシル(別名:パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル)、サリチル酸エチルヘキシル(別名:サリチル酸オクチル)、ホモサレート(別名:サリチル酸ホモメンチル)、シノキサート(別名:4-メトキシケイ皮酸-2-エトキシエチル)、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(別名:パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル)、パラメトキシケイヒ酸イソプロピル(別名:パラメトキシケイ皮酸イソプロピル)、ポリシリコーン-15(別名:ジメチコジエチルベンザルマロネート)、オクトクリレン(別名:2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル)などの液状である油溶性のUV-B吸収剤;フェニルベンズイミダゾールスルホン酸などの固体状である水溶性のUV-B吸収剤が挙げられる。なお、上記例示された成分名は、別名と記載されたものを除き、いずれも化粧品表示名称である。
【0034】
前記UV-A及びUV-B吸収剤としては、例えば、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(別名:2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(別名:2,2’-メチレンビス(6-(2H ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール)、オキシベンゾン-3(別名:2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)、トリスビフェニルトリアジン、フェルラ酸、ドロメトリゾールトリシロキサンなどが挙げられる。これらの中でも、SPF及びUVAPFをより向上させる観点から、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンが好ましい。上記例示された成分名は、別名と記載されたものを除き、いずれも化粧品表示名称である。
【0035】
なお、本実施形態の固形化粧料に配合される紫外線吸収剤において、「油溶性の紫外線吸収剤」とは25℃において100gの水に対する溶解性が1g未満であるか、又は、100gの水に対して溶解しない紫外線吸収剤をいい、「水溶性の紫外線吸収剤」とは25℃において100gの水に対する溶解性が1g以上である紫外線吸収剤をいう。
また、本実施形態の固形化粧料に配合される紫外線吸収剤において、「固体状である紫外線吸収剤」とは、25℃で静置後、傾けた際に流動性を有しない紫外線吸収剤をいい、「液状である紫外線吸収剤」とは、25℃で静置後、傾けた際に流動性を有する紫外線吸収剤をいう。
【0036】
本実施形態の固形化粧料は、SPF及びUVAPFをより向上させる観点から、紫外線吸収剤として、少なくとも、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、及びメトキシケイヒ酸エチルヘキシルが配合されたものが好ましい。なお、上述した通り、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンは固体状である油溶性のUV-A及びUV-B吸収剤であり、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは固体状である油溶性のUV-A吸収剤であり、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは液状状である油溶性のUV-B吸収剤である。これらの組み合わせによって、固形化粧料のSPF及びUVAPFをより向上させることができる。
【0037】
本実施形態の固形化粧料に配合される紫外線吸収剤の配合量は、特に限定されず、適宜設定すればよい。
【0038】
本実施形態の固形化粧料における紫外線吸収剤の配合量の下限値としては、例えば、0.1質量%以上であるが、SPFをより向上させる観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の固形化粧料における紫外線吸収剤の配合量の上限値としては、例えば、30質量%以下であるが、低コスト化の観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
【0039】
本実施形態の固形化粧料における紫外線吸収剤の配合量の範囲としては、例えば、0.1質量%以上30質量%以下であるが、下限値及び上限値の好ましい値として上述した観点から、0.5質量%以上25質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下がより好ましく、2質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
【0040】
本実施形態の固形化粧料における紫外線吸収剤の配合量に対するヒマワリ種子ロウの配合量の質量比([ヒマワリ種子ロウ/紫外線吸収剤]比)は、特に限定されないが、例えば、上限値が0.2以上であり、下限値が300以下である。
【0041】
(任意成分)
本実施形態の固形化粧料は、上述したヒマワリ種子ロウ、紫外線吸収剤以外の成分(「任意成分」という)が、適宜配合されたものとしてよい。
【0042】
本実施形態の固形化粧料に配合できる任意成分としては、例えば、水、液状油、ノニオン界面活性剤、紫外線散乱剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、1価の低級アルコール、多価アルコール、固形油(例えば、固形の炭化水素、固形のロウなど)、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物、蛋白、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤色素、酸、アルカリ、キレート剤などである。
【0043】
(水)
本実施形態の固形化粧料は、水が配合されたものであってもよく、水が配合されないものであってもよいが、SPFをより向上させる観点から、水が配合されたものが好ましい。
【0044】
本実施形態の固形化粧料に水が配合される場合、水の配合量は、特に限定されず、適宜設定すればよい。
【0045】
本実施形態の固形化粧料に水が配合される場合、水の配合量の下限値としては、例えば、5質量%以上であるが、SPFをより向上させる観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上がよりさらに好ましく、35質量%以上が特に好ましい。
また、本実施形態の固形化粧料に水が配合される場合、水の配合量の上限値としては、例えば、60質量%以下であるが、毛髪及び/又は皮膚に塗布する際の塗り広げやすさを向上させる観点から、50質量%以下が好ましい。
【0046】
本実施形態の固形化粧料における水の配合量の範囲としては、例えば、5質量%以上60質量%以下であるが、下限値及び上限値の好ましい値として上述した観点から、10質量%以上50質量%以下が好ましく、20質量%以上50質量%以下がより好ましく、25質量%以上50質量%以下がさらに好ましく、30質量%以上50質量%以下がよりさらに好ましく、35質量%以上50質量%以下が特に好ましい。
【0047】
(液状油)
本実施形態の固形化粧料は、液状油が配合されたものであってもよく、液状油が配合されないものであってもよいが、毛髪及び/又は皮膚に塗布する際の塗り広げやすさを向上させる観点から、1種又は2種以上の液状油が配合されたものが好ましい。ここで液状油における「液状」とは、25℃で静置後、傾けた際に流動性を示すことをいう。
前記液状油として、例えば、融点20℃以下の液状油を用いることができる。
【0048】
本実施形態の固形化粧料に配合される液状油としては、例えば、液状の炭化水素、液状のエステル油、液状のエーテル油、液状の油脂、液状のロウ、液状の高級アルコール、液状の脂肪酸、液状のシリコーン油などが挙げられる。
【0049】
本実施形態の固形化粧料に配合される液状油としては、毛髪及び/又は皮膚に塗布する際の塗り広げやすさを向上させる観点から、液状の炭化水素、液状のエステル油、液状の油脂、液状のロウ、液状の高級アルコール、及び液状のシリコーン油から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0050】
(液状の炭化水素)
本実施形態の固形化粧料は、1種又は2種以上の液状の炭化水素が配合されたものとしてよい。前記液状の炭化水素としては、例えば、イソドデカン、水添ポリイソブテン、イソヘキサデカン、ドデカン、ウンデカン、トリデカン、テトラデカン、(C9-12)アルカン、(C9-12)アルカン、(C10-13)アルカン、(C13,14)アルカン、(C13-15)アルカン、ミネラルオイル、スクワラン、水添ファルネセン、ポリブテン(但し、液状油に該当するものに限る)などが挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0051】
本実施形態の固形化粧料は、例えば、液状の炭化水素として、ミネラルオイルが配合されたものである。
【0052】
(液状のエステル油)
本実施形態の固形化粧料は、1種又は2種以上の液状のエステル油が配合されたものとしてよい。なお、「エステル油」とは、アルコールと脂肪酸から得られたエステル構造を持つ液状の油(但し、紫外線吸収剤に該当するものを除く)を意味する。
【0053】
本実施形態の固形化粧料に配合されるエステル油としては、例えば、エステル油の化学構造中に含まれる炭素原子の合計数が、12以上60以下のものを用いることできる。
本実施形態の固形化粧料に配合されるエステル油としては、例えば、直鎖又は分岐脂肪酸と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステル、直鎖又は分岐脂肪酸と多価のアルコールとのエステル、1価の直鎖又は分岐アルコールと1価又は多価のカルボン酸とのエステル、ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪酸と直鎖又は分岐脂肪酸とのエステル化合物と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステルが挙げられる。
【0054】
前記直鎖又は分岐脂肪酸と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステルとしては、例えば、炭素数8以上24以下の直鎖又は分岐脂肪酸と炭素数1以上24以下である1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステルであってよく、その具体例としては、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸メチルヘプチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソステアリル、リノール酸イソプロピル、ステアリン酸エチルヘキシル、ステアリン酸ヘキシルデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸セテアリル、エチルヘキサン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルドデシルなどが挙げられる。これらの具体例の中でも、紫外線吸収剤との相溶性に優れる観点から、イソノナン酸エチルヘキシルが好ましい。
前記直鎖又は分岐脂肪酸と多価のアルコールとのエステルとしては、例えば、炭素数8以上24以下の直鎖又は分岐脂肪酸と炭素数2以上12以下の多価のアルコールとのエステルであってよく、その具体例としては、トリエチルヘキサノイン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ジラウリン酸PG、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルなどが挙げられる。
前記1価の直鎖又は分岐アルコールと1価又は多価のカルボン酸とのエステルとしては、例えば、炭素数2以上24以下の1価の直鎖又は分岐アルコールと炭素数2以上12以下の1価又は多価のカルボン酸とのエステルであってよく、その具体例としては、乳酸エチル、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、マレイン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、安息香酸アルキル(C12-15)、安息香酸エチルヘキシルなどが挙げられる。
前記ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪酸と直鎖又は分岐脂肪酸とのエステル化合物と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステルとしては、例えば、炭素数12以上24以下のヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪酸と炭素数12以上24以下の直鎖又は分岐脂肪酸とのエステル化合物と炭素数12以上24以下の1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステルであってよく、その具体例としては、ステアロイルオキシステアリン酸イソセチル、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシルなどが挙げられる。
上記エステル油の具体例として示した成分名は、いずれも化粧品表示名称である。
【0055】
(液状のエーテル油)
本実施形態の固形化粧料は、1種又は2種以上の液状のエーテル油が配合されたものとしてよい。前記液状のエーテル油としては、炭素数が12以上24以下の液状のエーテル油を用いると良く、例えば、ジカプリリルエーテルなどが挙げられる。
【0056】
(液状の油脂)
本実施形態の固形化粧料は、1種又は2種以上の液状の油脂が配合されたものとしてよい。前記液状の油脂としては、例えば、アーモンド油、アブラナ種子油、アボカド油、アマニ油、アルガニアスピノサ核油、アンズ核油、エゴマ油、オリーブ油、カノラ油、キョウニン油、ククイナッツ油、クルミ種子油、コーン油、ゴマ油、コムギ胚芽油、コメヌカ油、コメ胚芽油、サザンカ油、サフラワー油、シア脂油、シソ種子油、ダイズ油、チャ実油、月見草油、ツバキ油、パーシック油、パーム油、ハイブリッドサフラワー油、ハトムギ油、バオバブ種子油、ババス油、ピーナッツ油、ピスタシオ種子油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ブロッコリー種子油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、マンゴー種子油、メドウフォーム油、綿実油、野菜油、ヤシ油、ユチャ油、ルリジサ種子油、ローズヒップ油、ワサビノキ種子油などの植物油が挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0057】
(液状のロウ)
本実施形態の固形化粧料は、1種又は2種以上の液状のロウが配合されたものとしてよい。前記液状のロウとしては、例えば、ホホバ油、オレンジラフィー油などが挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0058】
(液状のシリコーン油)
本実施形態の固形化粧料は、1種又は2種以上の液状のシリコーン油が配合されたものとしてよい。前記液状のシリコーン油とは、シロキサン結合(Si-O-Si結合)を有する液状のシリコーン成分である(但し、紫外線吸収剤に該当するものを除く)。前記液状のシリコーン油としては、例えば、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン、アミノエチルアミノプロピルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコンなどが挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0059】
(液状の高級脂肪酸)
本実施形態の固形化粧料は、1種又は2種以上の液状の高級脂肪酸が配合されたものとしてよい。前記液状の高級脂肪酸としては、炭素数8以上22以下の液状の高級脂肪酸を用いると良く、例えば、カプリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸などが挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0060】
(液状の高級アルコール)
本実施形態の固形化粧料は、1種又は2種以上の液状の高級アルコールが配合されたものとしてよい。前記液状の高級脂肪酸としては、炭素数が12以上24以下の液状の高級アルコールを用いると良く、例えば、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、ドデシルヘキサデカノール、イソステアリルアルコール、テトラデシルオクタデカノール、オレイルアルコールなどが挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0061】
本実施形態の固形状化粧料に液状油が配合される場合、液状油の配合量は、特に限定されず、適宜設定することができる。
【0062】
本実施形態の固形化粧料に液状油が配合される場合、液状油の配合量の下限値としては、例えば、10質量%以上であるが、毛髪及び/又は皮膚に塗布する際の塗り広げやすさを向上させる観点から、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の固形化粧料に液状油が配合される場合、液状油の配合量の上限値としては、例えば、90質量%以下である。
【0063】
本実施形態の固形化粧料に液状油が配合される場合、液状油の配合量の範囲としては、例えば、10質量%以上90質量%以下であるが、下限値の好ましい値として上述した観点から、15質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上90質量%以下がより好ましく、30質量%以上90質量%以下がさらに好ましい。
【0064】
本実施形態の固形化粧料に液状油が配合される場合、ヒマワリ種子ロウの配合量に対する液状油の配合量の質量比([液状油/ヒマワリ種子ロウ]比)は、特に限定されないが、例えば、上限値が0.1以上であり、下限値が30以下である。
【0065】
(ノニオン界面活性剤)
本実施形態の固形化粧料は、ノニオン界面活性剤が配合されたものであってもよく、ノニオン界面活性剤が配合されないものであってもよいが、洗い落ちに優れた固形化粧料が実現可能となる観点から、1種又は2種以上のノニオン界面活性剤が配合されたものが好ましい。
【0066】
前記ノニオン界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(例えば、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル(化粧品表示名称)など)、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、植物油から得られたモノグリセリド及びジグリセリドのポリエチレングリコール誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキレンエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。なお、上述したポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルにおける「脂肪酸」としては、例えば、炭素数12以上24以下の直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の脂肪酸を用いることができる。また、上述したポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、植物油から得られたモノグリセリド及びジグリセリドのポリエチレングリコール誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油における酸化エチレンの平均付加モル数は、例えば、1以上60以下である。また、上述したポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキレンエーテルにおける酸化プロピレンの平均付加モル数は、例えば、1以上60以下である。また、上述したポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキレンエーテルにおける酸化エチレン及び酸化プロピレンの平均付加モル数は、例えば、それぞれ1以上60以下である。
【0067】
本実施形態の固形化粧料に配合されるノニオン界面活性剤としては、洗い落ちに優れた固形化粧料が実現可能となる観点から、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルが好ましい。
【0068】
本実施形態の固形化粧料にノニオン界面活性剤が配合される場合、ノニオン界面活性剤の配合量の下限値としては、例えば、0.1質量%以上であるが、洗い落ちに優れた固形化粧料が実現可能となる観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の固形化粧料にノニオン界面活性剤が配合される場合、ノニオン界面活性剤の配合量の上限値としては、例えば、30質量%以下であるが、毛髪及び/又は皮膚への塗布後のべたつきを低減させる観点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
【0069】
本実施形態の固形化粧料にノニオン界面活性剤が配合される場合、ノニオン界面活性剤の配合量の範囲としては、例えば、0.1質量%以上30質量%以下であるが、下限値及び上限値の好ましい値として上述した観点から、0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
【0070】
(紫外線散乱剤)
本実施形態の固形化粧料は、1種又は2種以上の紫外線散乱剤が配合されたものであってもよく、紫外線散乱剤が配合されないものであってもよい。
【0071】
前記紫外線散乱剤は、例えば、金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛など)が挙げられる。この金属酸化物は、疎水化処理又は親水化処理されたものであってもよい。疎水化処理された金属酸化物としては、粉体(例えば、フッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、アルキルシラン、油剤など)により疎水化処理された金属酸化物などが挙げられる。また、親水化処理された金属酸化物としては、高分子により親水化処理された金属酸化物、無機ケイ酸系化合物(例えば、シリカなど)により親水化処理された金属酸化物などが挙げられる。
【0072】
前記紫外線散乱剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化クロムなどが挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0073】
本実施形態の固形化粧料に紫外線散乱剤が配合される場合、紫外線散乱剤の配合量の下限値としては、例えば、0.01質量%以上であるが、SPFをより向上させる観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.25質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の固形化粧料に紫外線散乱剤が配合される場合、紫外線散乱剤の配合量の上限値としては、例えば、15質量%以下であるが、毛髪や皮膚に塗布する際にきしきしとした滑りが悪い手触りを低減する観点から、10質量%以下が好ましく、7.5質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下がよりさらに好ましい。
【0074】
本実施形態の固形化粧料に紫外線散乱剤が配合される場合、紫外線散乱剤の配合量の範囲としては、例えば、0.01質量%以上15質量%以下であるが、下限値及び上限値の好ましい値として上述した観点から、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.25質量%以上7.5質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。
【0075】
本実施形態の固形化粧料は、例えば、紫外線散乱剤が配合され、その配合量が15質量%以下であるか、又は、紫外線散乱剤が配合されないものである。なお、本実施形態の固形化粧料に紫外線散乱剤が配合される場合、その配合量としては、例えば、0.1質量%以下としてもよい。
【0076】
(粘度)
本実施形態の固形化粧料における粘度は、適宜設定することができる。
本実施形態の固形化粧料における粘度の指標である粘弾性の値としては、例えば、レ
オメーター〔例えば、HAAKE社製の応力制御型レオメーター「Rheo Stres
s 6000」(商品名)〕を使用し、測定温度:25℃、コーンプレートセンサーの直径:35mm、コーンプレートセンサーの傾斜角:2°の条件で、フローカーブモードにおいて、測定時間300秒でせん断速度を0.01s-1から100s-1に変化させた際の、せん断速度1s-1における測定値を採用する。
【0077】
本実施形態の固形化粧料における粘弾性の下限値は、例えば、20Pa・S以上であるが、SPF及びUVAPFをより向上させる観点から、40Pa・S以上が好ましく、50Pa・S以上がより好ましく、100Pa・S以上がさらに好ましく、150Pa・S以上が特に好ましい。
また、本実施形態の固形化粧料における粘弾性の上限値については、例えば、20000Pa・S以下であるが、毛髪及び/又は皮膚への塗布をより行いやすいものとする観点から、10000Pa・S以下が好ましく、8000Pa・S以下がより好ましく、2500Pa・S以下がさらに好ましい。
【0078】
本実施形態の固形化粧料における粘弾性の範囲としては、例えば、20Pa・S以上20000Pa・S以下であるが、下限値及び上限値の好ましい値として上述した観点から、40Pa・S以上10000Pa・S以下が好ましく、50Pa・S以上8000Pa・S以下がより好ましく、100Pa・S以上2500Pa・S以下がさらに好ましく、150Pa・S以上2500Pa・S以下が特に好ましい。
【0079】
(剤型)
本実施形態の固形化粧料の剤型は、例えば、固形状の油中水型乳化物、固形状の水中油型乳化物、固形状の非水系化粧料である。前記「非水系化粧料」とは、水の配合量が5質量%以下であるか、又は、水が無配合である化粧料を指す。
【0080】
(用途)
本実施形態の固形化粧料は、例えば、毛髪及び/又は皮膚(頭皮を含む)に用いられるものである。
【0081】
本実施形態の固形化粧料は、例えば、毛髪用とすることができる。本実施形態の固形化粧料の毛髪用途としては、ヘアケア用途(例えば、ヘアトリートメント、スタイリング兼用ヘアトリートメント、多剤式ヘアトリートメントの一構成剤、パーマの前処理用ヘアトリートメント、パーマの後処理用ヘアトリートメント、ヘアカラーリングの前処理用ヘアトリートメント、ヘアカラーリングの後処理用ヘアトリートメント、ブリーチの前処理用ヘアトリートメント、ブリーチの後処理用ヘアトリートメントなど)、ヘアスタリング用途などが挙げられる。なお、前記ヘアトリートメントは、洗い流さないヘアトリートメントであってもよく、洗い流すヘアトリートメントであってもよい。
【0082】
本実施形態の固形化粧料は、毛髪に優れた油性感や滑らかさを付与できる観点から、毛髪に塗布した後に洗い流さないヘアトリートメントとして用いると好ましい。毛髪に塗布した後に洗い流さないヘアトリートメントの製品形態としては、例えば、ヘアバーム、日焼け止め用ヘアバーム、ヘアスティックが挙げられる。
【0083】
本実施形態の固形化粧料は、例えば、皮膚用(頭皮用を含む)とすることができる。本実施形態の固形化粧料の皮膚用途としては、例えば、スキンバーム、頭皮用バームなどが挙げられる。
【0084】
本実施形態の固形化粧料は、例えば、毛髪用の日焼け止め化粧料、皮膚用の日焼け止め化粧料(頭皮用の日焼け止めを含む)に用いられるものである。
【0085】
(使用方法)
本実施形態の固形化粧料は、公知の固形化粧料に用いられる使用方法を用いることができる。
【0086】
本実施形態の固形化粧料における使用方法の一例を挙げる。
・水で濡れた毛髪に本実施形態の固形化粧料を塗布し、塗布後の固形化粧料を水で洗い流さずに、又は、水で洗い流してから、毛髪を乾燥させて使用する方法。
・乾燥した毛髪に本実施形態の固形化粧料を塗布し、塗布後の固形化粧料を水で洗い流さずに使用する方法。
・乾燥した毛髪に本実施形態の固形化粧料を塗布し、塗布後の固形化粧料を水で洗い流してから、毛髪を乾燥させて使用する方法。
・皮膚に本実施形態の固形化粧料を塗布し、塗布後の固形化粧料を水で洗い流さずに又は水で洗い流して使用する方法。
【0087】
本実施形態の固形化粧料は、毛髪及び/又は皮膚において、SPF及びUVAPFをより向上させる観点から、塗布後に洗い流さないものであることが好ましい。
【0088】
(製造方法)
本実施形態の固形化粧料は、剤型に応じた公知の固形化粧料の製法を採用して製造できる。製造方法の一例としては、ヒマワリ種子ロウと紫外線吸収剤とを両成分の融点以上に融解させ、混合した後に、冷却する方法が挙げられる。
【0089】
<化粧方法>
本実施形態の化粧方法は、上述した本実施形態の固形化粧料を用いて毛髪及び/又は皮膚(頭皮を含む)に処理する方法である。
本実施形態の化粧方法としては、本実施形態の固形化粧料を用いる以外には、公知の化粧方法を採用すればよい。そのため、上述した本実施形態の固形化粧料の使用方法を用いてもよい。
【0090】
本実施形態の化粧方法は、例えば、上述した本実施形態の固形化粧料を用いた毛髪及び/又は皮膚(頭皮を含む)の日焼け止めのための化粧方法である。
【実施例0091】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0092】
(実施例1~9、比較例1~3の化粧料の製造)
ヒマワリ種子ロウ、ミツロウ、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、フェノキシエタノール、メチルパラベン、水、及びイソノナン酸エチルへキシルから選ばれる各種成分を用いて、表1~3の組成となるように、各種成分を常法により混合し、実施例1~9、比較例1~3の化粧料を製造した。
なお、表1~3中の成分名の欄の数値の単位は質量%であり、「-」は未配合であることを示す。
【0093】
製造した実施例1、比較例2の化粧料について、それぞれの粘弾性を測定したところ、実施例1が41.9Pa・S、比較例2が0.2Pa・Sであった。なお、上記粘弾性の数値は、HAAKE社製の応力制御型レオメーター「Rheo Stress 6000」(商品名)〕を使用し、測定温度:25℃、コーンプレートセンサーの直径:35mm、コーンプレートセンサーの傾斜角:2°の条件で、フローカーブモードにおいて、測定時間300秒でせん断速度を0.01s-1から100s-1に変化させた際のせん断速度1s-1における測定値である。
【0094】
製造した実施例1~9、比較例1~3の化粧料を用いて、下記に示す評価方法及び評価基準により、各化粧料の外観、SPF、及びUVAPFを評価した。
【0095】
(外観の評価方法)
製造した実施例1~9、比較例1~3の化粧料を用いて、下記評価基準により室温での外観を目視評価した。
【0096】
(外観の評価基準)
固形:化粧料を収容したジャー容器を約45度の斜め方向に傾けた際、傾けた直後から5秒経過までの間に化粧料が流動しない。
液状:化粧料を収容したジャー容器を約45度の斜め方向に傾けた際、傾けた直後から5秒経過までの間に化粧料が流動する。
【0097】
(SPF及びUVAPFの評価方法)
製造した実施例1~9、比較例1~3の化粧料を用いて、in vitro試験方法によるSPF測定及びUVAPF測定を行った。両測定は、実施例1~9、比較例1~3の化粧料をそれぞれ0.0325g塗布したHelioscreen社製「HELIOPLATE」を対象とし、Labsphere社製SPFアナライザー「UV2000S」を使用して行った。
なお、SPFの数値が大きい方が、化粧料においてUV-B領域(波長280nm~320nm)に対する紫外線防御能に優れることを示し、該化粧料を使用した際に、皮膚及び/又は毛髪に対してUV-B領域への紫外線防御能を向上させることができるものとなる。また、UVAPFの数値が大きい方が、化粧料においてUV-A領域(波長320nm~400nm)に対する紫外線防御能に優れることを示し、該化粧料を使用した際に、皮膚及び/又は毛髪に対してUV-A領域への紫外線防御能を向上させるものとなる。
【0098】
(評価結果:実施例1~5、比較例1~3)
表1、表2に実施例1~5、比較例1~3の化粧料の組成と評価結果を示す。
【0099】
【0100】
【0101】
表1、表2に示す結果から、ヒマワリ種子ロウ及び紫外線吸収剤が配合された実施例1~5の固形化粧料は、比較例1~3の液状の化粧料に比べて、SPFの数値が大きかった。この結果から、ヒマワリ種子ロウ及び紫外線吸収剤が配合された固形化粧料によれば、SPFが向上できることが分かる。
また、実施例1~5の固形化粧料のSPFの数値を比較すると、ヒマワリ種子ロウの配合量が増加するにつれて、SPFの数値がより大きくなっていた。この結果から、ヒマワリ種子ロウ及び紫外線吸収剤が配合された固形化粧料において、ヒマワリ種子ロウの配合量を高めることで、SPFがより向上できることが分かる。
【0102】
また、表1、表2に示す結果から、実施例1~5の固形化粧料は、比較例1~3の液状の化粧料に比べて、UVAPFの数値が大きかった。そして、実施例1~5の固形化粧料のUVAPFの数値を比較すると、ヒマワリ種子ロウの配合量が増加するにつれて、UVAPFの数値がより大きくなっていた。この結果から、ヒマワリ種子ロウ及び紫外線吸収剤が配合された固形化粧料によれば、UVAPFが向上できることが分かる。さらに、ヒマワリ種子ロウ及び紫外線吸収剤が配合された固形化粧料において、ヒマワリ種子ロウの配合量を高めることで、UVAPFがより向上できることが分かる。
【0103】
(評価結果:実施例3、6~9)
表3に実施例3、6~9の化粧料の組成と評価結果を示す。
【0104】
【0105】
表3に示す結果から、ヒマワリ種子ロウ及び紫外線吸収剤が配合された実施例3、6~9の固形化粧料は、表1に示す比較例1~3の液状の化粧料に比べて、SPFの数値が大きく、SPFが向上していた。
また、水が配合された実施例6~9の固形化粧料は、水が無配合の実施例3の固形化粧料に比べて、SPFの数値がより大きくなっていた。この結果から、ヒマワリ種子ロウ及び紫外線吸収剤が配合された固形化粧料において、水を配合することで、SPFがより向上できることが分かる。さらに、実施例6~9の固形化粧料のSPFの結果を比較すると、水の配合量が多くなるにつれて、SPFがより向上していた。
【0106】
また、表3に示す結果から、ヒマワリ種子ロウ及び紫外線吸収剤が配合された実施例3、6~9の固形化粧料は、表1に示す比較例1~3の液状の化粧料に比べて、UVAPFの数値が大きく、UVAPFが向上していた。そして、水が配合された実施例6~9の固形化粧料は、水が無配合の実施例3の固形化粧料に比べて、UVAPFの数値がより大きくなっていた。この結果から、ヒマワリ種子ロウ及び紫外線吸収剤が配合された固形化粧料において、水を配合することで、UVAPFがより向上できることが分かる。さらに、実施例6~9の固形化粧料のUVAPFの結果を比較すると、水の配合量が多くなるにつれて、UVAPFがより向上していた。
【0107】
本実施形態の固形化粧料の処方例を以下に記載する。
【0108】
(処方例1)
ヒマワリ種子ロウ 5質量%
ミツロウ 5質量%
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 3.6質量%
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7.6質量%
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 1質量%
酸化チタン 0.5質量%
酸化亜鉛 0.5質量%
トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル 5質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%
メチルパラベン 0.1質量%
水 20質量%
ミネラルオイル 25質量%
イソノナン酸エチルヘキシル 26.2質量%