(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077751
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】ケーブルドラム
(51)【国際特許分類】
B65H 75/14 20060101AFI20240603BHJP
B65H 75/34 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B65H75/14
B65H75/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189885
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 光司
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 孝明
【テーマコード(参考)】
3F058
3F068
【Fターム(参考)】
3F058AA03
3F058AA04
3F058AB03
3F058AC07
3F058BB03
3F058CA09
3F058CA11
3F058CA13
3F058DA05
3F058DB05
3F058DC01
3F058DC09
3F058HA00
3F058HB02
3F058HB08
3F068AA12
3F068CA06
3F068CA09
(57)【要約】
【課題】ケーブルの端部を適切に保持させることができる紙製のケーブルドラムを提供することを目的とする。
【解決手段】ケーブルドラム1は、紙製の胴部10と、一対の紙製の鍔部20とを備え、鍔部20は、外層部材100と、当該外層部材100に積層される内層部材200と、外層部材100及び内層部材200の双方を貫通しケーブルWの端部Wtから延在する紐部Cを挿通可能な巻き始め口21を有する。また、内層部材200は、胴部10を差し込み可能な開口部211と、当該開口部211と連通し、外層部材100に積層された状態で当該外層部材100に形成された第1挿通孔110と重なることで巻き始め口21を形成する第2挿通孔212とを有する第1内層部材210を含んで構成される。また、鍔部20は、第1内層部材210の開口部211の内周面211Sbが胴部10の外周面10Saに当接する状態で組み付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成され、ケーブルを巻き付け可能な紙製の胴部と、
前記胴部の端部にそれぞれ設けられ、鍔部中心軸線を中心とした円板状に形成される一対の紙製の鍔部とを備え、
前記鍔部は、外層部材と、当該外層部材の、前記胴部が位置する側に積層される内層部材と、前記外層部材及び前記内層部材の双方を貫通し前記ケーブルの端部から延在する紐部を挿通可能な巻き始め口を有し、
前記外層部材は、前記巻き始め口を形成する第1挿通孔を有し、
前記内層部材は、前記胴部の前記端部を差し込み可能な開口部と、当該開口部と当該開口部の内周面で連通する挿通孔であって、前記外層部材に対して前記鍔部中心軸線に沿う軸線方向に積層された状態で、前記第1挿通孔と前記軸線方向に重なって位置することで前記巻き始め口を形成する第2挿通孔とを有する第1内層部材を含んで構成され、
前記鍔部は、前記第1内層部材の前記開口部の前記内周面が前記胴部の外周面に当接する状態で組み付けられることを特徴とする、
ケーブルドラム。
【請求項2】
前記胴部の前記外周面が前記第2挿通孔の前記開口部の前記内周面側の開口部分を閉じることによって、前記巻き始め口の縁部の一部が形成され、
前記巻き始め口は、前記胴部の前記外周面に沿って形成される、
請求項1に記載のケーブルドラム。
【請求項3】
前記内層部材は、円形状に形成され、前記第1内層部材の前記開口部に配置される第2内層部材を含んで構成され、
前記鍔部は、前記第2内層部材の外周面が前記胴部の内周面と当接する状態で組み付けられ、
前記胴部は、前記第1内層部材の内周面となる前記開口部の前記内周面と、前記第2内層部材の前記外周面との間に前記端部が差し込まれることで保持される、
請求項1または2に記載のケーブルドラム。
【請求項4】
前記ケーブルは、前記端部から延在する前記紐部が前記巻き始め口から引き出され、当該紐部の端部が前記軸線方向から見て前記胴部より内側の領域にステープルによって固定される、
請求項1または2に記載のケーブルドラム。
【請求項5】
前記鍔部は、前記胴部に前記ケーブルを巻き付ける際に用いるスタンドに形成されたケレーピンを挿入可能なケレーピン挿入孔を有し、
前記ケレーピン挿入孔は、前記巻き始め口に対して前記ケーブルの巻き方向に傾いて形成され、軸線方向から見て、ケレーピン挿入孔の中心及び前記胴部の中心を通る第1仮想線と、前記巻き始め口の中心及び前記胴部の前記中心を結ぶ第2仮想線とがなす角度鋭角となる位置に形成される、
請求項4に記載のケーブルドラム。
【請求項6】
前記胴部は、胴部中心軸線を中心とした円筒状に形成され、
前記胴部中心軸線、及び、前記鍔部中心軸線は、重なって位置する、
請求項1または2に記載のケーブルドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ケーブルを巻き付け可能な胴部と、当該胴部の端部にそれぞれ設けられた一対の鍔とを備えた段ボール製のケーブルドラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなケーブルドラムは、胴部に巻き付けるケーブルの重量や張力等が大きい場合、ケーブル等の専用の打ち付け工具を用いてケーブルの端部を鍔部等に固定してから当該ケーブルを巻き付ける必要がある。ここで、例えば、軽量化等のため、胴や鍔が段ボールなどの紙で形成される場合があるが、このような場合であっても、ケーブルの端部を適切に保持させることができる構成が望まれており、この点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、ケーブルの端部を適切に保持させることができる紙製のケーブルドラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るケーブルドラムは、円筒状に形成され、ケーブルを巻き付け可能な紙製の胴部と、前記胴部の端部にそれぞれ設けられ、鍔部中心軸線を中心とした円板状に形成される一対の紙製の鍔部とを備え、前記鍔部は、外層部材と、当該外層部材の、前記胴部が位置する側に積層される内層部材と、前記外層部材及び前記内層部材の双方を貫通し前記ケーブルの端部から延在する紐部を挿通可能な巻き始め口を有し、前記外層部材は、前記巻き始め口を形成する第1挿通孔を有し、前記内層部材は、前記胴部の前記端部を差し込み可能な開口部と、当該開口部と当該開口部の内周面で連通する挿通孔であって、前記外層部材に対して前記鍔部中心軸線に沿う軸線方向に積層された状態で、前記第1挿通孔と前記軸線方向に重なって位置することで前記巻き始め口を形成する第2挿通孔とを有する第1内層部材を含んで構成され、前記鍔部は、前記第1内層部材の前記開口部の前記内周面が前記胴部の外周面に当接する状態で組み付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るケーブルドラムは、紙製のケーブルドラムであり、ケーブルの端部を適切に保持させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るケーブルドラムの概略構成を表す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るケーブルドラムの概略構成を表す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るケーブルドラムの概略構成を表す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る鍔の概略構成を表す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るケーブルドラムの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
本実施形態に係るケーブルドラム1は、各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられるケーブルWを運搬し、当該ケーブルWを所定の場所まで配索できるようにしたものである。
【0011】
ケーブルWは、例えば、導電性を有する複数の金属素線を束ねた芯線を絶縁被覆部によって被覆した絶縁電線である。なお、ケーブルWは、複数の絶縁電線を束ねたもの、また複数の絶縁電線を束ねたものにシースを施したものであってもよい。
【0012】
ケーブルドラム1は、紙製のケーブルドラムである。
図1~
図3に示すように、ケーブルドラム1は、胴部10と、当該胴部10の端部10tにそれぞれ設けられる一対の鍔部20とを備えている。また、鍔部20は、外層部材100と、当該外層部材100の内側に積層される内層部材200と、外層部材100及び内層部材200の双方を貫通しケーブルWの端部Wtから延在する紐部Cを挿通可能な巻き始め口21とを含んで構成されている。なお、このケーブルドラム1は、巻き取り機M(
図5参照)によってケーブルWを巻き取ることができるものである。
【0013】
ここで、巻き取り機Mは、
図5に示すように、一対のアーム部M10を備えたケーブルドラム用スタンドであり、アーム部M10の端部に設けられた回転駆動部M100が回転することによってケーブルドラム1を回転させることができるものである。なお、回転駆動部M100には、回転駆動部M100の回転中心となる軸M110と、ケーブルドラム1を回転させるケレーピンM120が形成されている。そのため、巻き取り機Mは、軸M110やケレーピンM120等の突起部が、ケーブルドラム1に形成された孔部(後述する軸孔22やケレーピン挿入孔23)とそれぞれ嵌め合わさることで、当該ケーブルドラム1を回転可能に支持することができる。
【0014】
そして、本実施形態のケーブルドラム1は、内層部材200を環状に形成された第1内層部材210で構成し(
図4を参照)、巻き始め口21が形成された鍔部20を胴部10に組み付ける際に、胴部10の外周面10Saを第1内層部材210の内周面210Sbに当接させ、胴部10に対して巻き始め口21を適正な位置に形成することで、ケーブルWの端部Wtを適切に保持させることができる構成を実現したものである。以下、
図1~
図5を参照して、ケーブルドラム1の各構成について詳細に説明する。
【0015】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「軸線方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。軸線方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。軸線方向Xは、典型的には、第2中心軸線X2(鍔部中心軸線)に沿う方向等に相当する。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、ケーブルドラム1が組み付けられた状態での方向として説明する。また、以下の説明では、軸線方向Xに対する回転方向を「周方向」といい、各部材における「外周面」、「内周面」は、この「周方向」に沿って形成された面であることを意味する。また、以下の説明では、軸線方向Xから見た際に、当該軸線方向X上に位置する点から放射状に広がる方向を「径方向」という。
【0016】
また、軸線方向Xにおいて内側とは、典型的には、ケーブルドラム1の各部が相互に組み付けられた状態での一対の鍔部20の内方側、言い換えれば、胴部10が位置する側等に相当する。また、軸線方向Xにおいて外側とは、典型的には、ケーブルドラム1の各部が相互に組み付けられた状態での一対の鍔部20の外方側、言い換えれば、鍔部20の外層部材100が位置する側等に相当する。また、径方向において内側とは、典型的には、各部の中心側(例えば、第2中心軸線X2側)等に相当する。また、径方向において外側とは、典型的には、各部の外周面側に相当する。
【0017】
また、ここでいう「紙製」とは、紙を基材とした材料によって形成されるものであり、例えば、紙、紙板(積層ボードや黄板紙)、段ボールによって形成されるものである。
【0018】
胴部10は、ケーブルWが巻回される部分である。
図1~
図3に示すように、胴部10は、第1中心軸線X1(胴部中心軸線)を中心O1とした円筒状に形成され、軸線方向Xに対して一対の鍔部20の間に位置する。胴部10は、当該鍔部20に支持されている状態で回転することで外周面10SaにケーブルWを巻き付けることができる。
【0019】
鍔部20は、胴部10に巻き付けられたケーブルWが脱落することを防ぐことができる部分である。
図1~
図3に示すように、鍔部20は、軸線方向Xが板厚方向である側板であり、第2中心軸線X2(鍔部中心軸線)を中心O2とした円板状に形成されている。なお、本実施形態では、第1中心軸線X1と第2中心軸線X2は、軸線方向Xに重なって位置している。また、一対の鍔部20は、軸線方向Xに沿って間隔をあけて対向して位置し、胴部10を挟持することができる。そのため、鍔部20は、胴部10に巻き付けられるケーブルWの位置を適正な位置に誘導し、胴部10上に当該ケーブルWを保持しておくことができる。
【0020】
この鍔部20は、上述したように、外層部材100と、内層部材200とを含んで構成される。そして、鍔部20は、これらの外層部材100及び内層部材200の双方を軸線方向Xに沿って貫通する貫通孔として形成された、巻き始め口21、軸孔22、及び、ケレーピン挿入孔23を含んで構成されている。ここではまず、巻き始め口21、軸孔22、及び、ケレーピン挿入孔23について説明した後、外層部材100と内層部材200との積層構造についてより詳細に説明する。
【0021】
巻き始め口21は、ケーブルWの端部Wtから延在する紐部Cを軸線方向Xにおいて外側に向かって引き出すことができる挿通孔である。
図1に示すように、巻き始め口21は、胴部10の外周面10Saに沿って円弧状に形成されている。そのため、巻き始め口21は、紐部Cを挿通させた状態で、ケーブルWの端部Wtを胴部10の外周面10Sa上に延在させることできる。
【0022】
軸孔22は、巻き取り機Mの回転駆動部M100に形成された軸M110を挿入することができる挿通孔である。
図1に示すように、軸孔22は、第1中心軸線X1を中心O1とした円形状に形成されている。そのため、軸孔22は、巻き取り機MによってケーブルWを胴部10に巻き付ける際に、回転駆動部M100の軸M110が嵌め合わさることで回転駆動部M100の回転中心となる。
【0023】
ケレーピン挿入孔23は、巻き取り機Mの回転駆動部M100に形成されたケレーピンM120を挿入することができる挿通孔である。ケレーピン挿入孔23は、第1中心軸線X1を中心O1とした円の円周上に複数形成され、中心O1を通る対角線上にそれぞれ設けられている。そのため、ケレーピン挿入孔23は、巻き取り機MによってケーブルWを胴部10に巻き付ける際に、回転駆動部M100のケレーピンM120が嵌め合わさることで軸M110に接続された軸孔22を中心として回転する。なお、本実施形態のケレーピン挿入孔23は、軸線方向Xから見た際に、巻き始め口21が形成されている位置から周方向にずれた位置に形成されている(
図5を参照)。そのため、本実施形態のケーブルドラム1は、巻き取り機Mに取り付けられる際に、巻き始め口21に対して回転駆動部M100がずれた状態で設置される。なお、ケレーピン挿入孔23の位置については、後でケーブルドラム1の動作を説明する際に詳細に説明する。
【0024】
そして、本実施形態の外層部材100は、鍔部20のベース部材となる部分である。外層部材100は、
図1~
図4に示すように、第2中心軸線X2を中心O2とした円板状に形成されている。また、外層部材100は、
図2~
図4に示すように、巻き始め口21を形成する孔部110(第1挿通孔に相当する)と、軸孔22を形成する孔部120と、ケレーピン挿入孔23を形成する孔部130とを含んで構成される。
【0025】
孔部110は、
図4に示すように、軸線方向Xに沿って貫通する貫通孔であり、胴部10の外周面10Saに沿って円弧状に形成されている挿通孔である。そのため、孔部110は、内層部材200側に形成された孔部(後述する孔部212)と重なることで、紐部Cを軸線方向Xにおいて外側に向かって引き出すことができる。
【0026】
孔部120は、
図4に示すように、軸線方向Xに沿って貫通する貫通孔であり、第1中心軸線X1を中心O1とした円形状に形成されている挿通孔である。そのため、孔部120は、内層部材200側に形成された孔部(後述する孔部221)と重なることで、巻き取り機Mの回転駆動部M100に形成された軸M110を軸線方向Xにおいて内側に向かって挿入することができる。
【0027】
孔部130は、
図4に示すように、軸線方向Xに沿って貫通する貫通孔であり、第1中心軸線X1を中心O1とした円の円周上に複数形成されている挿通孔である。孔部130は、中心O1を通る対角線上にそれぞれ設けられている。そのため、孔部130は、内層部材200側に形成された孔部(後述する孔部222)と重なることで、巻き取り機Mの回転駆動部M100に形成されたケレーピンM120を軸線方向Xにおいて内側に向かって挿入することができる。
【0028】
また、本実施形態の内層部材200は、上述したように、外層部材100の軸線方向Xにおいて内側に積層されることで、鍔部20の補強部材となる部分である。また、内層部材200は、
図2~
図4に示すように、環状に形成され、外層部材100の内面において径方向の外側に位置する領域に積層される第1内層部材210と、第1中心軸線X1を中心O1とした円形状に形成され、第1内層部材210の内周面210Sb側に配置されることで外層部材100の内面において径方向の内側に位置する領域に積層される第2内層部材220とを含んで構成される。
【0029】
外層部材100に内層部材200を積層する方法は、特に限定されないが、例えば、接着剤等を用いることで、外層部材100に内層部材200を貼り合わすことができる。
【0030】
第1内層部材210は、
図4に示すように、内周面210Sbによって形成される開口部211と、巻き始め口21を形成する孔部212とを含んで構成され、外形が外層部材100の外形と略同一の大きさに形成されている。そのため、第1内層部材210は、軸線方向Xから見て自身の外周面210Saと外層部材100の外周面100Saとが重なっている状態で積層される(
図2を参照)。
【0031】
開口部211は、軸線方向Xに沿って貫通する貫通孔であり、鍔部20を胴部10に組み付ける際に当該胴部10の端部10tを差し込むことができる挿通孔である。
図3、
図4に示すように、開口部211は、第1中心軸線X1を中心O1とした円形状に形成され、胴部10の外形と略同一の大きさに形成されている。そのため、第1内層部材210は、軸線方向Xに沿って開口部211と胴部10の外周面10Saとが重なっている状態で組み付けられる(
図2を参照)。なお、本実施形態の第1内層部材210は、
図2に示すように、開口部211の内周面211Sb(第1内層部材210の内周面210Sb)が胴部10の外周面10Saに当接する状態で組み付けられる。そのため、第1内層部材210は、胴部10に対する接着面積を確保することができ、当該胴部10に対する保持力をより確実に確保することが可能となる。
【0032】
孔部212は、
図4に示すように、軸線方向Xに沿って貫通する貫通孔であり、外層部材100の孔部110と略同一の大きさに形成されている挿通孔である。そのため、第1内層部材210は、軸線方向Xから見て孔部212の縁部と孔部110の縁部とが重なっている状態で積層される(
図2、
図3を参照)。なお、本実施形態の孔部212は、
図4に示すように、開口部211の縁部に沿って円弧状に形成され、開口部211と当該開口部211の内周面211Sbで連通する孔部として形成されている。そのため、孔部212には、
図4に示すように、開口部211に向かって開口する開口部分212kが形成されている。なお、開口部分212kは、鍔部20を胴部10に組み付ける際に、開口部211に胴部10の端部10tが差し込まれることで、当該胴部10の外周面10Saによって閉じられる(
図1、
図2を参照)。そのため、孔部212の縁部の一部は、胴部10の外周面10Saによって形成され、当該外周面10Saが軸線方向Xから見た際に外層部材100の孔部110の縁部と重なって位置し、孔部212と孔部110とが一体となることで、1つの巻き始め口21が形成される。
【0033】
また、第2内層部材220は、
図3、
図4に示すように、軸孔22を形成する孔部221と、ケレーピン挿入孔23を形成する孔部222を含んで構成され、外形が胴部10の内形と略同一の大きさに形成されている。そのため、第2内層部材220は、軸線方向Xに沿って自身の外周面220Saと胴部10の内周面10Sbとが重なっている状態で積層される(
図2を参照)。なお、本実施形態の第2内層部材220は、
図2に示すように、外周面220Saが胴部10の内周面10Sbに当接する状態で組み付けられる。そのため、第2内層部材220は、胴部10に対する接着面積を確保することができ、当該胴部10に対する保持力を確実に確保することができる。また、胴部10は、第1内層部材210の内周面210Sbと第2内層部材220の外周面220Saとの間に端部10tが差し込まれることで保持される。
【0034】
孔部221は、
図4に示すように、軸線方向Xに沿って貫通する貫通孔であり、外層部材100の孔部120と略同一の大きさに形成されている挿通孔である。そのため、第2内層部材220は、軸線方向Xから見て孔部221の縁部と孔部120の縁部とが重なっている状態で積層される(
図2、
図3を参照)。そのため、孔部221と孔部120とが一体となることで、1つの軸孔22が形成される。
【0035】
孔部222は、
図2~
図4に示すように、軸線方向Xに沿って貫通する貫通孔であり、外層部材100の孔部130と略同一の大きさに形成されている挿通孔である。そのため、第2内層部材220は、軸線方向Xから見て孔部222の縁部と孔部130の縁部とが重なっている状態で積層される(
図2、
図3を参照)。そのため、孔部222と孔部130とが一体となることで、1つのケレーピン挿入孔23が形成される。
【0036】
なお、
図1~
図4に示す鍔部20は、外層部材100に対して第1内層部材210及び第2内層部材220が1つずつ積層されているが、外層部材100に重ねられる第1内層部材210や第2内層部材220の個数は、特に限定されない。第1内層部材210や第2内層部材220の個数を増やし、鍔部20の積層数を増やすことで、鍔部20は、胴部10に対する接着面積をさらに確保することができる。そのため、鍔部20は、胴部10に対する保持力をより確保し、強度を向上させることができる。また、外層部材100に対して第1内層部材210及び第2内層部材220を複数重ねた場合、巻き始め口21、軸孔22、及び、ケレーピン挿入孔23は、複数の部材に形成された孔部によって形成され、それぞれの孔部が一体となることで1つの挿通孔が形成される。そのため、鍔部20は、各挿通孔の強度を向上させることができる。
【0037】
また、鍔部20は、外層部材100の外周面100Saや第1内層部材210の外周面210Sa等で構成される外周部に防水性を有する樹脂が塗布されていてもよい。本実施形態のケーブルドラム1は、上述したように、紙板や段ボール等の紙で形成されているため、段ボールの隙間(ライナーと中芯の間に形成されている空間部分)や積層ボードの隙間(基材となる紙繊維同士の間に形成されている空間部分)が、鍔部20の端面(鍔部20の外周面であり、紙の側面)に露出している。そのため、ケーブルドラム1は、空気に含まれる水分や、使用する際に付着した水等の液体を鍔部20の端面から吸収しやすい構造となっている。したがって、ケーブルドラム1は、鍔部20の外周部の全周に熱硬化樹脂が塗布され、当該熱硬化樹脂が鍔部20の端面を覆うことによって、水等の液体が浸入することを防止することができ、吸湿によって鍔部20の強度が低下することを防止することができる。また、ケーブルドラム1は、鍔部20の外周部に塗布された熱硬化樹脂が硬化することによって、当該外周部の硬度が増大する。そのため、ケーブルドラム1は、鍔部20の強度を向上させることができると同時に、耐久性を向上させることができる。また、ケーブルドラム1は、耐久性が向上することで、保管時に荷重がかかった際に鍔部20が変形したり、移動時に鍔部20を転がした際に当該鍔部20が変形したりすることを抑制することができる。
【0038】
熱硬化性樹脂が塗布される範囲は、特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂を鍔部20の外周面のみに塗布し、鍔部20の端面に形成された隙間を熱硬化性樹脂で塞ぐことで、端面から液体が浸入することを防止し、かつ、耐久性を向上させることができる。
【0039】
また、隙間が形成されている紙を鍔部20の構成材料として用いる場合や、反っている紙を外層部材100や内層部材200の構成材料として用い、両部材を貼り合わせた際に隙間が生じる場合は、熱硬化性樹脂を鍔部20の端面に形成された隙間から内部へ含浸させ、当該隙間に熱硬化性樹脂を詰まらせることで、端面から液体が浸入することをより確実に防止し、かつ、耐久性をより確実に向上させることができる。
【0040】
また、熱硬化性樹脂を鍔部20の外周部に含浸させたうえで、その周囲(端面を挟んで位置する外面や内面)に熱硬化性樹脂を塗布し、その範囲を覆うことで、端面から液体が浸入することをより確実に防止し、かつ、耐久性をより確実に向上させることができる。
【0041】
なお、熱硬化性樹脂を鍔部20の外周面のみに塗布する場合よりも、熱硬化性樹脂を鍔部20の外周部に含浸させた場合の方が、ケーブルドラム1を転がした際に、当該鍔部20に塗布された熱硬化性樹脂が剥がれにくくなるため、耐久性を向上させることができる。また、熱硬化性樹脂を鍔部20の外周部に含浸させたうえで、その周囲に熱硬化性樹脂を塗布する場合は、単に熱硬化性樹脂を含浸させた場合よりも鍔部20の耐久性がさらに向上する。そのため、凹凸がある場所でケーブルドラム1を転がした際に、鍔部20が変形することをより確実に抑制することができる。
【0042】
また、上記では、防水性を有する樹脂として熱硬化性樹脂が塗布される場合を説明したが、小さい隙間が形成されている紙を鍔部20の構成材料として用いる場合は、熱硬化性樹脂の代わりに防水性を有する塗料が塗布されていてもよい。なお、塗料としては、乾燥した後に硬度を持つものが望ましく、例えば、アクリルニス等を用いることができる。ケーブルドラム1は、鍔部20の端面に塗料が塗布され、当該塗料が硬化することによって、端面に熱硬化性樹脂が塗布される場合と同様に端面から液体が浸入することを防止することができ、かつ、耐久性を向上させることができる。
【0043】
次に、ケーブルドラム1の動作を説明する。
【0044】
まず、作業者は、ケーブルドラム1を巻き取り機Mに取り付ける。このとき、作業者は、一対のアーム部M10の間にケーブルドラム1を設置し、回転駆動部M100に形成された軸M110を鍔部20に形成された軸孔22に嵌め、当該回転駆動部M100に形成されたケレーピンM120を鍔部20に形成されたケレーピン挿入孔23に嵌めることで、ケーブルドラム1を取り付けることができる。
【0045】
そして、作業者は、ケーブルドラム1の胴部10にケーブルWの端部Wtを架け、当該端部Wtから延在する紐部Cの端部CtをステープルHによって固定することで、ケーブルドラム1にケーブルWの端部Wtを固定する(
図5を参照)。このとき、作業者は、鍔部20に形成された巻き始め口21を巻き取り機Mの設置面に対して鉛直上向きに位置させ、ケーブルドラム1の周方向に位置する巻き始め口21の一方の端部21taと他方の端部21tbを、アーム部M10を挟んで両側に位置させる。そして、作業者は、ケーブルドラム1に対するケーブルWの巻き方向θに沿って、胴部10にケーブルWを架けた状態で、当該ケーブルWの端部Wtから延在する紐部Cを巻き始め口21から引き出す。そして、作業者は、ケーブルWの巻き方向θと反対方向に紐部Cの端部Ctを引っ張り、当該端部CtをステープルHによって鍔部20の外面20Scに固定する。このとき、作業者は、紐部Cの端部Ctを軸線方向Xから見て胴部10より内側の領域Rに固定することで、当該領域Rで重なって位置する外層部材100や内層部材200にステープルHが突き刺っている状態(場合よっては、外層部材100や内層部材200にステープルHが突き刺って貫通し、鍔部20の内面20Sd側から突出ししている状態)で固定される。
【0046】
なお、本実施形態のケーブルドラム1は、上述したように、鍔部20に形成されたケレーピン挿入孔23が巻き始め口21に対して傾いて形成されている。より詳しく言えば、ケレーピン挿入孔23は、巻き始め口21に対してケーブルWの巻き方向θに所定の角度だけ回転した位置に形成され、軸線方向Xから見た際に、ケレーピン挿入孔23の中心O3と胴部10の中心O1を通る第1仮想線L1(すなわち、2つのケレーピン挿入孔23を通る対角線)と、巻き始め口21の中心O4と中心O1を結ぶ第2仮想線L2とがなす角度θ1が鋭角となる位置に形成される。そのため、ケーブルドラム1は、鍔部20を軸線方向Xから見て胴部10より内側の領域Rのうち、アーム部M10に対して巻き方向θ側の領域が回転駆動部M100によって覆われ、アーム部M10に対してケーブルWの巻き方向θの反対側の領域R1が露出している状態で、巻き取り機Mに設置される。したがって、作業者は、紐部Cの端部CtをステープルHによって鍔部20の外面20Scに固定する際に、巻き方向θに対して手前に位置する巻き始め口21の端部21taからアーム部M10に沿って広がり、かつ、アーム部M10と回転駆動部M100によって形成される角度が鈍角に形成される領域R1に紐部Cを引き出して、その端部Ctを固定することができる。
【0047】
なお、巻き始め口21に対するケレーピン挿入孔23の位置は、ケレーピン挿入孔23の中心O3と胴部10の中心O1を通る第1仮想線L1と、巻き始め口21の中心O4と中心O1を結ぶ第2仮想線L2とがなす角度θ1が鋭角となる限り特に限定されず、巻き取り機Mの仕様等に合わせて変更することができるが、その角度θ1は、30°~60°の間で設定されることが好ましい。
【0048】
以上で説明したケーブルドラム1は、円筒状に形成され、ケーブルWを巻き付け可能な紙製の胴部10と、胴部10の端部10tにそれぞれ設けられ、第2中心軸線X2(鍔部中心軸線)を中心O2とした円板状に形成される一対の紙製の鍔部20とを備える。また、鍔部20は、外層部材100と、当該外層部材100の軸線方向Xにおいて内側(胴部10が位置する側)に積層される内層部材200と、外層部材100及び内層部材200の双方を貫通しケーブルWの端部Wtから延在する紐部Cを挿通可能な巻き始め口21を有する。また、外層部材100は、巻き始め口21を形成する孔部110(第1挿通孔)を有し、内層部材200は、胴部10の端部10tを差し込み可能な開口部211と、当該開口部211と当該開口部211の内周面211Sbで連通する挿通孔であって、外層部材100に対して第2中心軸線X2に沿う軸線方向Xに積層された状態で、孔部110と軸線方向Xに重なって位置することで巻き始め口21を形成する孔部212(第2挿通孔)とを有する第1内層部材210を含んで構成される。また、鍔部20は、第1内層部材210の開口部211の内周面211Sbが胴部10の外周面10Saに当接する状態で組み付けられる。
【0049】
このような構成によれば、ケーブルドラム1は、紙、紙板(積層ボードや黄板紙)、段ボール等紙を基材とした材料によって形成されているため、木、金属、樹脂によって形成されているケーブルドラムと比べて、製造方法が容易であり、軽量である。そのため、ケーブルドラム1は、低コストで製造することができ、取り回しが良く、廃棄し易いことから、取扱性を向上させることができる。また、ケーブルドラム1は、外層部材100に形成された孔部110の縁部と第1内層部材210に形成された孔部212の縁部とが重なり、孔部110と孔部212とが一体となることで、軸線方向Xに沿って貫通する巻き始め口21を形成することができる。また、ケーブルドラム1は、巻き始め口21が形成されている鍔部20に胴部10を組み付けることで、胴部10に対して巻き始め口21を適正な位置に形成することができる。また、さらに言えば、ケーブルドラム1は、第1内層部材210の開口部211の内周面211Sbが胴部10の外周面10Saに当接する状態で組み付けられることで、第1内層部材210は、胴部10に対する第1内層部材210の接着面積を確保することができ、胴部10に対する鍔部20の保持力を確実に確保することで、接着強度を向上させることができる。したがって、ケーブルドラム1は、ケーブルWの端部Wtから延在する紐部Cを巻き始め口21に挿通させて、鍔部20の外面20Scに紐部Cの端部Ctを固定することで、当該端部Wtを適切に保持させることができ、木、金属、樹脂によって形成されているケーブルドラムと同様に、ケーブルWを胴部10に巻き付けることができる。
【0050】
さらに、以上で説明したケーブルドラム1は、胴部10の外周面10Saが孔部212(第2挿通孔)の開口部211の内周面211Sb側の開口部分212kを閉じることによって、巻き始め口21の縁部の一部が形成され、当該巻き始め口21は、胴部10の前記外周面10Saに沿って形成される。このような構成によれば、ケーブルドラム1は、外層部材100の孔部110の縁部と第1内層部材210の孔部212の縁部が重なって位置することで、巻き始め口21の縁部の一部が形成され、孔部212の開口部分212kを閉じる胴部10の外周面10Saが孔部110の縁部と重なって位置することで、巻き始め口21の縁部の残りの部分が形成される。また、ケーブルドラム1は、巻き始め口21の縁部が胴部10の外周面10Saによって形成されているため、当該巻き始め口21は、胴部10の外周面10Saと接する位置に形成される。そのため、ケーブルドラム1は、紐部Cの端部Ctを鍔部20の外面20Scに固定する際に、ケーブルWの端部Wtを胴部10の外周面10Sa上に配置した状態で紐部Cを巻き始め口21から引き出すことができ、当該ケーブルWの端部Wtが胴部10の外周面10Saから浮くことを防止することができる。したがって、ケーブルドラム1は、胴部10に対してケーブルWの端部Wtを適切な位置に配置した状態で、紐部Cの端部Ctを鍔部20に固定することができ、ケーブルWの端部Wtをより適切に保持させることができる。
【0051】
さらに、以上で説明したケーブルドラム1の内層部材200は、円形状に形成され、第1内層部材210の開口部211に配置される第2内層部材220を含んで構成される。また、鍔部20は、第2内層部材220の外周面220Saが胴部10の内周面10Sbと当接する状態で組み付けられ、胴部10は、第1内層部材210の内周面210Sbとなる開口部211の内周面211Sbと、第2内層部材220の外周面220Saとの間に端部10tが差し込まれることで保持される。このような構成によれば、ケーブルドラム1は、胴部10に対する第2内層部材220の接着面積を確保することができ、胴部10に対する鍔部20の保持力をより確実に確保することで、接着強度をより向上させることができる。また、ケーブルドラム1は、一対の鍔部20が胴部10を挟み込み、鍔部20に胴部10の端部10tがそれぞれ差し込まれた状態で組み付けられることで、例えば、軸線方向Xと交差する方向から荷重がかかり、鍔部20に対する胴部10の接続部分が捩れた際に、当該部分が変形することを抑制することができる。したがって、ケーブルドラム1は、強度を向上させることができ、ケーブルWの端部Wtをより適切に保持させることができる。
【0052】
さらに、以上で説明したケーブルドラム1に巻き付けられるケーブルWは、端部Wtから延在する紐部Cが巻き始め口21から引き出され、当該紐部Cの端部Ctが軸線方向Xから見て胴部10より内側の領域にステープルHによって固定される。このような構成によれば、ケーブルドラム1は、紐部Cの端部Ctを鍔部20の外面20Scに固定する際に、ステープルHを胴部10の内周面10Sbより内側に打ち付けることによって、鍔部20の内面20Sd(
図1を参照)に突出したステープルHの端部が胴部10に巻き付けられるケーブルWに触れることを防ぐことができる。したがって、ケーブルドラム1は、ケーブルWを適切に巻き付けることができる。
【0053】
さらに、以上で説明したケーブルドラム1の鍔部20は、胴部10にケーブルWを巻き付ける際に用いるスタンド(巻き取り機M)に形成されたケレーピンM120を挿入可能なケレーピン挿入孔23を有する。また、ケレーピン挿入孔23は、巻き始め口21に対してケーブルWの巻き方向θに傾いて形成され、軸線方向Xから見て、ケレーピン挿入孔23の中心O3及び胴部10の中心O1を通る第1仮想線L1と、巻き始め口21の中心O4及び胴部10の中心O1を結ぶ第2仮想線L2とがなす角度θ1が鋭角となる位置に形成される。このような構成によれば、ケーブルドラム1は、紐部Cの端部Ctを鍔部20の外面20Scに固定する際に、巻き方向θに対して手前に位置する巻き始め口21の端部21ta側に広がり、かつ、第2仮想線L2から巻き方向θと反対方向に90度以上離れた位置まで広がる領域R1に紐部Cを引き出して、領域R1内の任意の箇所に紐部Cの端部Ctを固定することができる。そのため、ケーブルドラム1は、第1仮想線L1と第2仮想線L2とがなす角度θ1が直角や鈍角である場合と比べて、領域R1の面積を広くすることができ、ステープルHを広いスペースに配置することができる。したがって、ケーブルドラム1は、紐部Cの端部Ctを鍔部20の外面20Scに固定する際に、ステープルHに対して力をかけやすくなり、当該紐部Cの端部Ctを領域R1に固定しやすくすることができる。
【0054】
さらに、以上で説明したケーブルドラム1の胴部10は、第1中心軸線X1(胴部中心軸線)を中心O1として形成され、第1中心軸線X1、及び、第2中心軸線X2は、重なって位置する。このような構成によれば、胴部10と鍔部20は、軸線方向Xから見て同心円上に配置される。したがって、ケーブルドラム1は、操作性をより向上させることができる。
【0055】
なお、上述した本発明の実施形態に係るケーブルドラム1は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0056】
例えば、胴部10は、第1中心軸線X1を中心O1とした円筒状に形成されるものとして説明したが、外周面10SaにケーブルWを巻きつけ可能な筒状の部材である限り、軸線方向Xから見た形状については特に限定されず、真円、楕円、歪んだ円等の略円形の中からケーブルドラムの仕様にあわせて形状を決定することができる。
【0057】
また、鍔部20は、第2中心軸線X2を中心O2とした円板状に形成され、第1内層部材210の外周面210Saと外層部材100の外周面100Saが重なっている状態で積層されているものとして説明したが、外層部材100及び第1内層部材210の形状は、
図1~
図4に示す形態に限定されない。より詳しく言えば、鍔部20は、外層部材100及び内層部材200のうち一方の部材が、第2中心軸線X2を中心O2とした円板状に形成されていることでベース部材となり、他方の部材が、軸線方向から見て一方の部材より内側に配置された状態で重なって位置することで当該ベース部材の補強部材となればよく、ケーブルドラム1は、鍔部20のベース部材となる部材の外周面が接地した状態で回転することで、地面を転がることができる。なお、補強部材は、軸線方向Xから見てベース部材より小さく形成されている限り、その形状は特に限定されず、円形、矩形、多角形等の中からケーブルドラム1の仕様にあわせて形状を決定することができる。
【0058】
また、胴部10は、外周面10Saが巻き始め口21を形成する第1挿通孔110の縁部や第2挿通孔120の縁部と重なって位置していなくてもよい。
【0059】
また、内層部材200は、第1内層部材210のみで構成されていてもよい。
【0060】
また、ケーブルWの端部Wtから延在する紐部Cの端部Ctは、軸線方向Xから見て胴部10より外側の領域に固定されていてもよい。
【0061】
また、ケレーピン挿入孔23は、ケレーピン挿入孔23の中心O3及び胴部10の中心O1を通る第1仮想線L1と、巻き始め口21の中心O4及び胴部10の中心O1を結ぶ第2仮想線L2とがなす角度は、直角や鈍角となる位置に形成されていてもよい。
【0062】
また、胴部10の中心O1を通る第1中心軸線X1と、鍔部20の中心O2を通る第2中心軸線X2は、重なって位置していなくてもよく、鍔部20は、胴部10に対して偏心している状態で組み付けられていてもよい。
【0063】
本実施形態に係るケーブルドラム1は、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 ケーブルドラム
10 胴部
10Sa 胴部の外周面
10Sb 胴部の内周面
10t 鍔部の端部
20 鍔部
21 巻き始め口
22 軸孔
23 ケレーピン挿入孔
100 外層部材
110 孔部(第1挿通孔)
200 内層部材
210 第1内層部材
210Sb 第1内層部材の内周面
211 開口部
211Sb 開口部の内周面
212 孔部(第2挿通孔)
212k 孔部の開口部分
220 第2内層部材
220Sa 第2内層部材の外周面
C 紐部
Ct 紐部の端部
H ステープル
L1 第1仮想線
L2 第2仮想線
O1 胴部の中心
O2 鍔部の中心
O3 ケレーピン挿入孔の中心
O4 巻き始め口の中心
W ケーブル
Wt ケーブルの端部
X 軸線方向
X1 第1中心軸線(胴部中心軸線)
X2 第2中心軸線(鍔部中心軸線)
Y 幅方向
Z 高さ方向
θ 巻き方向