(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077753
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】車両用紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20240603BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L2/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189887
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】前田 祥平
(72)【発明者】
【氏名】原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岡村 和那
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA24
4C058BB06
4C058CC02
4C058DD01
4C058DD07
4C058DD13
4C058DD16
4C058KK02
(57)【要約】
【課題】紫外線の照射領域にいる人に紫外線が照射されるのを抑制することができる車両用紫外線照射装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用紫外線照射装置は、紫外線を照射可能な照射部と;前記紫外線が照射される領域における、少なくとも人の存在を検出可能な第1の検出部と;操作者が、前記紫外線の照射と、前記紫外線の照射の停止と、の切り替えを行うスイッチと;前記第1の検出部の検出結果と、前記スイッチの状態とに基づいて、前記照射部を制御するコントローラと;を具備している。前記第1の検出部により少なくとも前記人の存在が検出されず、且つ、前記スイッチの状態が前記紫外線の照射を意味する場合には、前記コントローラは、前記照射部による前記紫外線の照射を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射可能な照射部と;
前記紫外線が照射される領域における、少なくとも人の存在を検出可能な第1の検出部と;
操作者が、前記紫外線の照射と、前記紫外線の照射の停止と、の切り替えを行うスイッチと;
前記第1の検出部の検出結果と、前記スイッチの状態とに基づいて、前記照射部を制御するコントローラと;
を具備し、
前記第1の検出部により少なくとも前記人の存在が検出されず、且つ、前記スイッチの状態が前記紫外線の照射を意味する場合には、前記コントローラは、前記照射部による前記紫外線の照射を行う車両用紫外線照射装置。
【請求項2】
前記紫外線が照射される領域の周辺における、少なくとも前記人の存在を検出可能な第2の検出部をさらに具備し、
前記第1の検出部により少なくとも前記人の存在が検出されず、前記第2の検出部により少なくとも前記人の存在が検出され、且つ、前記スイッチの状態が前記紫外線の照射を意味する場合には、前記コントローラは、前記照射部による前記紫外線の照射を行う請求項1記載の車両用紫外線照射装置。
【請求項3】
前記コントローラは、所定の時間の経過後に、前記照射部による前記紫外線の照射を開始する請求項1または2に記載の車両用紫外線照射装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記照射部による前記紫外線の照射を行う際に、前記紫外線の照射と、前記紫外線の照射の停止と、を所定の間隔で交互に繰り返し行う請求項1または2に記載の車両用紫外線照射装置。
【請求項5】
前記第1の検出部により少なくとも前記人の存在が検出されたこと、および、前記スイッチの状態が前記紫外線の照射の停止を意味すること、の少なくともいずれかの場合には、前記コントローラは、前記照射部による前記紫外線の照射を停止する、または、前記照射部による前記紫外線の照射の停止状態を維持する請求項1または2に記載の車両用紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線を照射する紫外線照射装置がある。近年においては、健康意識の高まりを反映して、紫外線照射装置が、物の表面に付着した細菌の殺菌やウイルスの不活性化などに用いられるようになってきている。また、感染防止などのために、自動車の車内や鉄道車両の車内などの比較的狭い閉鎖空間において、車内の雰囲気や、車内にある物の表面などを浄化する要望が高まっている。
【0003】
ここで、紫外線が、人に、ある程度の時間照射されると、健康被害が生じるおそれがある。
そのため、車両への人の出入りを検出するセンサの検出結果と、操作者が操作したスイッチの状態(例えば、ON/OFF状態)と、のいずれかが条件を満たせば紫外線の照射を行う車両用紫外線照射装置が提案されている。
【0004】
しかしながら、車両への人の出入りを検出するだけでは、紫外線の照射領域にいる人に紫外線が照射されるおそれがある。また、操作者がスイッチを誤操作した際には、紫外線の照射領域にいる人に紫外線が照射されるおそれがある。
そこで、紫外線の照射領域にいる人に紫外線が照射されるのを抑制することができる車両用紫外線照射装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、紫外線の照射領域にいる人に紫外線が照射されるのを抑制することができる車両用紫外線照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る車両用紫外線照射装置は、紫外線を照射可能な照射部と;前記紫外線が照射される領域における、少なくとも人の存在を検出可能な第1の検出部と;操作者が、前記紫外線の照射と、前記紫外線の照射の停止と、の切り替えを行うスイッチと;前記第1の検出部の検出結果と、前記スイッチの状態とに基づいて、前記照射部を制御するコントローラと;を具備している。前記第1の検出部により少なくとも前記人の存在が検出されず、且つ、前記スイッチの状態が前記紫外線の照射を意味する場合には、前記コントローラは、前記照射部による前記紫外線の照射を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、紫外線の照射領域にいる人に紫外線が照射されるのを抑制することができる車両用紫外線照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る車両用紫外線照射装置を例示するためのブロック図である。
【
図2】放電ランプを備えた照射部を例示するための模式斜視図である。
【
図3】
図2における照射部のA-A線方向の模式断面図である。
【
図4】他の実施の形態に係る車両用紫外線照射装置を例示するためのブロック図である。
【
図5】他の実施形態に係る照射部を例示するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
本実施の形態に係る車両用紫外線照射装置は、自動車や鉄道などの車両に設けることができる。例えば、車両用紫外線照射装置は、自動車の車室内やトランクルームなどに設けたり、鉄道車両の車室内などに設けたりすることができる。ただし、車両用紫外線照射装置の設置場所は、例示をしたものに限定されるわけではない。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る車両用紫外線照射装置1を例示するためのブロック図である。
図1に示すように、車両用紫外線照射装置1には、例えば、照射部10、検出部11(第1の検出部の一例に相当する)、スイッチ12、およびコントローラ13が設けられている。
照射部10は、紫外線100を照射する。例えば、照射部10は、紫外線100を照射する放電ランプ4を備えたものとすることができる。
【0012】
図2は、放電ランプ4を備えた照射部10を例示するための模式斜視図である。
図3は、
図2における照射部10のA-A線方向の模式断面図である。
図2、および
図3に示すように、照射部10は、例えば、筐体2、基板3、放電ランプ4、カバー5、点灯回路6、窓7、およびシールド8を有する。
【0013】
筐体2は、箱状を呈し、内部に、基板3、放電ランプ4、カバー5、および点灯回路6を収納する空間を有する。筐体2の平面形状は、例えば、四角形とすることができる。ただし、筐体2の平面形状は、照射部10が設けられるスペースに応じて適宜変更することができる。例えば、筐体2の平面形状は、円や楕円などの曲線から構成される形状、曲線と直線から構成される形状などとしてもよい。筐体2の厚み寸法Tは、筐体2の平面寸法よりも小さくすることができる。筐体2の厚み寸法Tを小さくすることができれば、車両の運行などに用いられる電子機器と、照射部10とを一緒に設けるのが容易となる。
【0014】
また、筐体2は、例えば、筐体2の厚み方向において、第1の部分21と、第2の部分22とに分割することができる。筐体2が分割されていれば、筐体2の内部に、基板3、放電ランプ4、カバー5、および点灯回路6を取り付けるのが容易となる。また、筐体2(第2の部分22)には、紫外線を出射させるための孔22aを設けることができる。孔22aは、放電ランプ4と対向する位置に設けることができる。
【0015】
前述した様に、筐体2の内部には、基板3、放電ランプ4、および点灯回路6が設けられる。そのため、これらと筐体2との短絡を抑制するために、筐体2は、絶縁性を有する樹脂から形成することが好ましい。また、絶縁性を有する樹脂から筐体2を形成すれば、照射部10の軽量化や製造コストの低減を図ることもできる。
【0016】
基板3は、板状を呈している。基板3は、例えば、スペーサ31などを介して、筐体2(第1の部分21)の内壁に設けることができる。基板3の材料には特に限定がない。基板3は、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板3は、金属板の表面を絶縁材料で被覆したメタルコア基板などであってもよい。
【0017】
放電ランプ4は、基板3と、筐体2(第2の部分22)の孔22aとの間に設けられている。放電ランプ4は、一対の端子ホルダ41に着脱可能に設けることができる。一対の端子ホルダ41は、例えば、基板3に設けることができる。なお、
図3においては、1つの放電ランプ4が設けられる場合を例示したが、複数の放電ランプ4が設けられるようにしてもよい。放電ランプ4は、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0018】
ここで、細菌やウイルスのDNAやRNAに紫外線100を吸収させれば、細菌やウイルスのDNAやRNAを破壊することができる。細菌やウイルスのDNAやRNAを破壊することができれば、高い殺菌効果や高い不活性化の効果を得ることができる。例えば、細菌やウイルスのDNAやRNAは、波長が260nm程度の紫外線100を吸収し易い。そのため、放電ランプ4は、ピーク波長が220nm以上、320nm以下の紫外線100を照射するものとすることが好ましい。例えば、放電ランプ4は、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ、エキシマ蛍光ランプ、フラッシュランプなどとすることができる。例えば、放電ランプ4が、熱陰極型の低圧水銀ランプであれば、ピーク波長が254nm程度の紫外線100を照射することができる。そのため、細菌やウイルスのDNAやRNAを破壊するのが容易となる。
【0019】
カバー5は、基板3と、筐体2(第2の部分22)との間に設けられている。カバー5は、例えば、基板3に設けることができる。カバー5は、箱状を呈し、基板3側とは反対側の端部が開口している。カバー5の開口5aは、筐体2(第2の部分22)の孔22aと対向している。カバー5の内部には、放電ランプ4と一対の端子ホルダ41が設けられる。カバー5は、放電ランプ4から照射された紫外線100に曝される。そのため、カバー5の材料は、筐体2の材料よりも紫外線100に対する耐性の高い材料とすることが好ましい。カバー5が設けられていれば、放電ランプ4から照射された紫外線100が、筐体2の内壁、基板3、および点灯回路6に入射するのを抑制することができる。そのため、これらが紫外線100により劣化するのを抑制することができる。
【0020】
また、カバー5にリフレクタの機能を持たせることもできる。例えば、カバー5を白色の樹脂から形成したり、カバー5の内壁に反射膜を形成したり、カバー5の内壁を曲面としたりすることができる。カバー5にリフレクタの機能を持たせれば、放電ランプ4から照射された紫外線100の利用効率を向上させることができる。
【0021】
点灯回路6は、例えば、基板3の、放電ランプ4が設けられる側の面に設けられている。放電ランプ4と点灯回路6が基板3の同じ側の面に設けられていれば、筐体2の厚み寸法Tを小さくするのが容易となる。点灯回路6は、例えば、配線コードや金属板などの配線部材を用いて、一対の端子ホルダ41と電気的に接続されている。そのため、放電ランプ4を一対の端子ホルダ41に装着することで、点灯回路6と放電ランプ4とが電気的に接続される。
【0022】
点灯回路6は、放電ランプ4に、所定の周波数の駆動電圧を印加する。点灯回路6は、例えば、100kHz~300kHz程度の正弦波電圧を点灯回路6に印加する。点灯回路6は、例えば、共振型の各種インバータとすることができる。放電ランプ4に駆動電圧が印加されると、例えば、放電ランプ4に設けられた一対の電極間に放電が生じて、放電ランプ4から紫外線100が照射される。
【0023】
点灯回路6は、配線61を介して、コントローラ13と電気的に接続される。また、配線61のコモン線を介して、シールド8と車両のグランド(例えば、車体フレーム)とを電気的に接続することもできる。なお、シールド8と車両のグランドとを直接接触させるようにしてもよい。
【0024】
また、点灯回路6が、筐体2の内部に設けられる場合を例示したが、点灯回路6がコントローラ13の内部に設けられるようにしてもよい。点灯回路6がコントローラ13の内部に設けられるようにすれば、筐体2を小型化したり、カバー5を省いたりすることができる。そのため、比較的小さな車両であっても、照射部10を配置するのが容易となる。
【0025】
窓7は、筐体2(第2の部分22)の孔22aが設けられた部分に設けられている。例えば、窓7は、筐体2(第2の部分22)の内壁に設けられ、孔22aを覆っている。窓7は、放電ランプ4から照射された紫外線100が透過可能な複数の開口を有する。窓7が設けられていれば、放電ランプ4から照射された紫外線100を筐体2の外部に照射することができ、且つ、人の指や異物などが筐体2の内部に侵入するのを抑制することができる。
【0026】
シールド8は、筐体2の内部において発生した電磁波が、筐体2の外部に放射されるのを抑制する。筐体2の内部において発生する電磁波は、例えば、放電ランプ4の電極間における放電により生じた電磁波、点灯回路6に設けられたスイッチング素子のスイッチングにより生じた電磁波などである。
【0027】
シールド8は、導電性を有する材料を含んでいる。導電性を有する材料は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、炭素鋼などの金属とすることができる。シールド8が導電性を有していれば、反射損失を大きくすることができるので、筐体2の内部において発生した電磁波が、筐体2の外部に放射されるのを抑制することができる。
【0028】
例えば、シールド8は、導電性材料を含む板材またはフィルムを筐体2の外壁に設けたり、導電性フィラーを含む導電性塗料を筐体2の外壁に塗布したり、導電性を有するめっき層や蒸着層などを筐体2の外壁に設けたりすることで形成することができる。
【0029】
筐体2が、第1の部分21、および第2の部分22に分割されている場合には、例えば、第1の部分21の外壁にシールド8aを設け、第2の部分22の外壁にシールド8bを設けることができる。そして、第1の部分21と第2の部分22との接続部分2aにおいて、第1の部分21の外壁に設けられたシールド8aと、第2の部分22の外壁に設けられたシールド8bとが接触するようにする。
【0030】
ここで、前述した様に、窓7には放電ランプ4から照射された紫外線100を透過させる複数の開口が設けられている。そのため、窓7に設けられた複数の開口を介して、電磁波が筐体2の外部に放射されるおそれがある。そこで、窓7は、導電性を有するものとすることが好ましい。導電性を有する窓7とすれば、前述したシールド8の場合と同様に、窓7における反射損失を大きくすることができるので、電磁波が窓7を介して筐体2の外部に放射されるのを抑制することができる。例えば、窓7は、アルミニウム、銅、ニッケル、炭素鋼などの金属から形成することができる。また、窓7は、筐体2に設けられたシールド8と電気的に接続することができる。
【0031】
シールド8、および窓7により、筐体2の内部において発生した電磁波が、筐体2の外部に放射されるのを抑制することができれば、照射部10と、車両の運行などに用いられる電子機器との間の距離を小さくしても、電子機器の誤動作などが生じるのを抑制することができる。
【0032】
次に、
図1に戻って、検出部11、スイッチ12、およびコントローラ13について説明する。
図1に示すように、検出部11は、コントローラ13と電気的に接続されている。例えば、検出部11は、照射部10と別体に設けることができる。この様にすれば、照射部10により紫外線100が照射される領域100aと、検出部11による検出領域との間の位置調整が容易となる。
【0033】
ここで、紫外線100が照射される領域100aに意図しない物が存在する場合がある。意図しない物は、車両の構成要素ではない物である。意図しない物は、例えば、鞄や傘などの乗車者の荷物や、乗車者の忘れ物などである。意図しない物に紫外線100が照射されたとしても、人に紫外線100が照射された場合と比べれば、悪影響は少ないと考えられる。しかしながら、意図しない物の材質などによっては、意図しない物が紫外線により変質する場合も生じ得る。
そのため、検出部11は、照射部10により紫外線100が照射される領域100aにおける、少なくとも人の存在を検出するものとすることができる。
【0034】
検出部11は、例えば、人感センサとすることができる。人感センサは、例えば、人や物から放射された熱を検出する赤外線センサ、人や物から放射された音を検出する音波センサ、人や物から放射された静電気を検出する静電気センサ、人や物からの振動を検出する振動センサ、人や物の存在に伴う静電容量の変化を検出する静電センサなどとすることができる。
【0035】
また、検出部11は、例えば、超音波、赤外線、可視光、レーザ光などを出射し、人や物により反射された反射波や反射光を検出する反射型のセンサとすることもできる。
また、検出部11は、例えば、超音波、赤外線、可視光、レーザ光などを出射し、これらが人や物により遮蔽されたことを検出する透過型のセンサとすることもできる。
【0036】
また、検出部11は、例えば、座席や、ハンドルなどに内蔵された温度センサ、振動センサ、近接センサ、音波センサなどとすることもできる。この様にすれば、所定の場所における人や物の存在を検出することができる。
【0037】
また、検出部11は、例えば、CCDカメラなどの撮像装置とすることもできる。検出部11が撮像装置の場合には、例えば、コントローラ13において画像処理を行うことで、人や物の存在を検出することができる。検出部11が撮像装置であれば、比較的広い領域の検出を行うことができるので、紫外線100が照射される領域100aを大きくしたり、複数の照射部10に対して1つの検出部11を設けたりすることができる。
【0038】
なお、検出部11の形式は、例示をしたものに限定されるわけではなく、紫外線100が照射される領域100aにおける、少なくとも人の存在を検出できるものであればよい。
【0039】
また、1つの照射部10に対して複数の検出部11を設けるようにしてもよい。例えば、紫外線100が照射される領域100aにおける、少なくとも人の存在を検出する検出部11と、領域100aの周辺における、少なくとも人の存在を検出する検出部11a(第2の検出部の一例に相当する)を設けることができる。なお、検出部11aの形式は、検出部11の形式と同じであってもよいし、異なっていてもよい。検出部11aが設けられていれば、例えば、領域100aへの人の出入りをより確実に検出したり、人が領域100aから離れたのをより確実に検出したりすることができる。そのため、紫外線100が誤って人に照射されるのをより確実に抑制することができる。
【0040】
スイッチ12は、コントローラ13と電気的に接続されている。スイッチ12は、運転者などの操作者が、紫外線100の照射と、紫外線100の照射の停止との切り替えを行う操作スイッチとすることができる。
【0041】
スイッチ12は、例えば、コントローラ13などに設けることができる。例えば、スイッチ12をコントローラ13に設けたり、照射部10、検出部11、スイッチ12、およびコントローラ13を一体に設けたりすれば、車両用紫外線照射装置1の小型化を図ることができる。そのため、車両の大きさが小さい場合であっても、車両用紫外線照射装置1の設置が容易となる。
【0042】
また、スイッチ12は、例えば、操作者がいる場所に設けることもできる。車両の大きさが大きかったり、操作者のいる場所が予め定められていたりする場合には、スイッチ12を操作者がいる場所に設けることが好ましい。例えば、スイッチ12は、タクシーやバスなどの運転席や、電車などの乗務員室などに設けることができる。この様にすれば、スイッチ12の操作性を向上させることができる。
【0043】
スイッチ12は、例えば、ワンプッシュスイッチ(押しボタンスイッチ)、トグルスイッチ、ロッカースイッチ、スライドスイッチ、タクタイルスイッチなどの有接点スイッチとすることができる。また、スイッチ12は、例えば、光、音、静電容量などの変化に応じて、切り替えを行う非接触スイッチとしてもよい。また、スイッチ12は、例えば、離れた位置から操作が可能なリモコンスイッチとしてもよい。
なお、スイッチ12は、例示をしたものに限定されるわけではなく、操作者の意図を電気信号としてコントローラ13に伝えることができるものであればよい。
【0044】
コントローラ13は、検出部11の検出結果と、スイッチ12の状態とに基づいて、照射部10を制御する。
【0045】
ここで、紫外線100は、視認することができないため、例えば、紫外線100が照射される領域100aにいる人が、紫外線100が照射されていることに気付かない場合がある。
【0046】
そこで、コントローラ13は、検出部11の検出結果と、スイッチ12の状態(例えば、ON/OFF状態)の両方が条件を満たせば、照射部10を制御して、照射部10による紫外線100の照射を行う。一方、コントローラ13は、検出部11の検出結果と、スイッチ12の状態(例えば、ON/OFF状態)との少なくとも一方が条件を満たさなければ、照射部10を制御して、照射部10による紫外線100の照射を停止したり、紫外線100の照射の停止状態を維持したりする。
【0047】
コントローラ13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、半導体メモリなどの記憶部とを有する。コントローラ13は、例えば、コンピュータである。記憶部には、例えば、照射部10による紫外線100の照射と、紫外線100の照射の停止との切り替えを制御する制御プログラムを格納することができる。また、記憶部には、例えば、紫外線100の照射時間、紫外線100の照射開始までの遅延時間、後述する間欠照射に関する条件などのデータを格納することもできる。
【0048】
また、コントローラ13は、例えば、照射部10による紫外線100の照射と、紫外線100の照射の停止との切り替えをリレー制御により行う回路としてもよい。リレー制御を行う回路は、例えば、2つのリレーを直列接続したり、2つのスイッチング素子(例えば、トランジスタ)を直列接続したりした、AND回路を有することができる。また、リレー制御を行う回路には、タイマー回路を含めることもできる。タイマー回路は、例えば、紫外線100の照射時間、紫外線100の照射開始までの遅延時間、後述する間欠照射に関する照射時間と照射の停止時間を制御する。
【0049】
次に、コントローラ13による制御についてさらに説明する。
なお、以下の説明においては、スイッチ12がON状態のときは、紫外線100を照射することを意味し、スイッチ12がOFF状態のときは、紫外線100の照射を停止すること、または、紫外線100の照射の停止を維持することを意味するものとする。
ただし、スイッチ12がOFF状態のときは、紫外線100を照射することを意味し、スイッチ12がON状態のときは、紫外線100の照射を停止すること、または、紫外線100の照射の停止を維持することを意味するものとしてもよい。
【0050】
(第1の制御)
コントローラ13は、例えば、以下の制御を行うことができる。
コントローラ13は、検出部11により、紫外線100が照射される領域100aに、少なくとも人の存在が検出された場合には、照射部10による紫外線100の照射の停止状態を維持したり、照射部10による紫外線100の照射を停止したりする。
【0051】
「第1の制御」においては、運転者などの操作者の判断と、検出部11の検出結果とに基づいて、紫外線100が照射されるため、少なくとも紫外線100が照射される領域100aに存在する人に紫外線100が照射されるのを抑制することができる。例えば、運転者などの操作者がスイッチ12を誤操作してON状態にしても、検出部11により、少なくとも人が検出された場合には、領域100aには紫外線100が照射されない。
【0052】
コントローラ13は、検出部11により、紫外線100が照射される領域100aに、少なくとも人が存在することが検出されない場合には、運転者などの操作者が操作したスイッチ12の状態に基づいて、照射部10による紫外線100の照射を制御する。
【0053】
例えば、操作者が、ワンプッシュスイッチであるスイッチ12を押すと(ON状態にすると)、コントローラ13は、照射部10を制御して、照射部10による紫外線100の照射を開始する。
この場合、コントローラ13は、スイッチ12が押された直後に、照射部10による紫外線100の照射を開始することもできるが、スイッチ12が押されてから所定の時間t1の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を開始することもできる。この様にすれば、退避時間を設けることができる。そのため、例えば、領域100aから人が出る際に、検出部11による検出ができなかった、人体の一部(例えば、手や足など)や、鞄や傘などの荷物に紫外線100が誤って照射されるのを抑制することができる。
【0054】
また、コントローラ13は、紫外線100の照射が開始された後に、検出部11により、紫外線100が照射される領域100aに、少なくとも人が存在することが検出された場合には、照射部10による紫外線100の照射を停止する。
この場合、コントローラ13は、照射部10による紫外線100の照射を停止した後に、検出部11により、紫外線100が照射される領域100aに、少なくとも人が存在することが検出されなくなった場合には、所定の時間t2の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を再開することができる。
【0055】
また、コントローラ13は、最初にスイッチ12が押されてから、所定の時間t3の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を停止することができる。なお、途中で紫外線100の照射が停止された場合には、時間t3と、停止時間との合計時間の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を停止することができる。この様にすれば、紫外線100の積算光量を一定にすることができるので、細菌の殺菌やウイルスの不活性化などの効果を均一にすることができる。
【0056】
なお、所定の時間の経過後に、紫外線100の照射が停止された場合には、コントローラ13は、運転者などの操作者が、スイッチ12を次に押すまでは(ON状態とするまでは)、紫外線100の照射の停止状態を維持することができる。また、紫外線100の照射中に、運転者などの操作者が、スイッチ12を押した場合には、コントローラ13は、紫外線100の照射を停止することができる。そして、運転者などの操作者が、スイッチ12をさらに押した場合には、コントローラ13は、所定の時間t2の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を再開することができる。
【0057】
なお、以上においては、スイッチ12がワンプッシュスイッチである場合を説明したが、スイッチ12が他の形式のスイッチの場合も同様の制御を行うことができる。ただし、スイッチ12がワンプッシュスイッチであれば、操作手順の簡易化を図ることができる。
【0058】
(第2の制御)
また、コントローラ13は、例えば、以下の制御を行うこともできる。
運転者などの操作者が、スイッチ12を操作してON状態にすると、コントローラ13は、検出部11の検出結果に基づいて、照射部10による紫外線100の照射と、紫外線100の照射の停止とを切り替える。
【0059】
例えば、コントローラ13は、検出部11により、紫外線100が照射される領域100aに、少なくとも人が存在することが検出された場合には、照射部10による紫外線100の照射の停止状態を維持したり、紫外線100の照射を停止したりする。
【0060】
この様にすれば、運転者などの操作者の判断と、検出部11の検出結果とに基づいて、紫外線100が照射されるため、少なくとも紫外線100が照射される領域100aに存在する人に紫外線100が照射されるのを抑制することができる。例えば、運転者などの操作者がスイッチ12を誤操作してON状態にしても、検出部11により、少なくとも人が検出された場合には、領域100aには紫外線100が照射されない。
【0061】
例えば、コントローラ13は、検出部11により、紫外線100が照射される領域100aに、少なくとも人が存在することが検出されない場合には、、照射部10を制御して、照射部10による紫外線100の照射を開始することができる。
この場合、コントローラ13は、直ちに、照射部10による紫外線100の照射を開始することもできるが、所定の時間t4の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を開始することもできる。
【0062】
また、コントローラ13は、紫外線100の照射が開始された後に、検出部11により、紫外線100が照射される領域100aに、少なくとも人が検出された場合には、照射部10による紫外線100の照射を停止する。
この場合、コントローラ13は、照射部10による紫外線100の照射を停止した後に、検出部11により、紫外線100が照射される領域100aに、少なくとも人が存在することが検出されなくなった場合には、所定の時間t5の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を再開することができる。
【0063】
また、コントローラ13は、検出部11の検出結果に基づいて、最初に紫外線100の照射が開始されてから、所定の時間t6の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を停止することができる。なお、途中で紫外線100の照射が停止された場合には、時間t6と、停止時間との合計時間の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を停止することができる。この様にすれば、紫外線100の積算光量を一定にすることができるので、細菌の殺菌やウイルスの不活性化などの効果を均一にすることができる。
【0064】
なお、所定の時間の経過後に、紫外線100の照射が停止された場合には、コントローラ13は、運転者などの操作者が、スイッチ12を操作してON状態とするまでは、紫外線100の照射の停止状態を維持することができる。また、紫外線100の照射中に、運転者などの操作者が、スイッチ12を操作してOFF状態とした場合には、コントローラ13は、照射部10による紫外線100の照射を停止することができる。そして、運転者などの操作者が、スイッチ12を操作してON状態とした場合には、コントローラ13は、所定の時間t7の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を再開することができる。
【0065】
なお、以上においては、スイッチ12がトグルスイッチなどである場合を説明したが、スイッチ12が、他の形式のスイッチの場合も同様の制御を行うことができる。ただし、スイッチ12がトグルスイッチなどであれば、運転者などの操作者が、スイッチ12の状態を視認することができる。
【0066】
(第3の制御)
また、コントローラ13は、例えば、以下の制御を行うこともできる。
運転者などの操作者が、スイッチ12を操作してON状態にすると、コントローラ13は、検出部11の検出結果に基づいて、照射部10による紫外線100の照射と、紫外線100の照射の停止とを切り替える。
【0067】
例えば、コントローラ13は、検出部11により、紫外線100が照射される領域100aに、少なくとも人が存在することが検出された場合には、照射部10による紫外線100の照射の停止状態を維持したり、紫外線100の照射を停止したりする。
【0068】
この様にすれば、運転者などの操作者の判断と、検出部11の検出結果とに基づいて、紫外線100が照射されるため、少なくとも紫外線100が照射される領域100aに存在する人に紫外線100が照射されるのを抑制することができる。例えば、運転者などの操作者がスイッチ12を誤操作してON状態にしても、検出部11により、少なくとも人が検出された場合には、領域100aには紫外線100が照射されない。
【0069】
例えば、コントローラ13は、検出部11により、紫外線100が照射される領域100aに、少なくとも人が存在することが検出されない場合には、照射部10を制御して、照射部10による紫外線100の照射を開始することができる。
この場合、コントローラ13は、直ちに、照射部10による紫外線100の照射を開始することもできるが、所定の時間t8の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を開始することもできる。
【0070】
ここで、前述した「第1の制御」や「第2の制御」においては、コントローラ13は、所定の時間の間、照射部10による紫外線100の照射を連続して行う(連続照射)。これに対して、「第3の制御」においては、コントローラ13は、照射部10による紫外線100の照射と、紫外線100の照射の停止と、を所定の間隔で交互に繰り返し行う(間欠照射)。
【0071】
一般的に、積算光量が同じであれば、「連続照射」であっても、「間欠照射」であっても、細菌の殺菌やウイルスの不活性化などの効果には大きな差はないと考えられる。しかしながら、同一の照度の場合、「間欠照射」にすると「連続照射」と同等の殺菌効果や不活性化の効果を得るためには時間を要する。一方、同一の照射時間の場合、「間欠照射」にすると「連続照射」に比べて省エネルギー化を図ることができる。そのため、短時間で確実な殺菌や不活性化を行いたい場合には「連続照射」を選択し、高い殺菌効果や、高い不活性化の効果までは必要としない場合(例えば、殺菌や不活性化を行っているという安心感を得たい場合など)には「間欠照射」を選択して省エネルギー化を図ることができる。例えば、バスなどの交通機関において、人の出入りが多い運行中は「間欠照射」を選択し、運行前・運行終了後は「連続照射」を選択して確実な殺菌や不活性化を行う様にすることができる。
そのため、「第3の制御」においては、「間欠照射」を行うようにしている。なお、「第1の制御」や「第2の制御」においても「間欠照射」を行うことができる。また、「連続照射」と「間欠照射」を切り替えて行えるようにすることもできる。この様にすれば、浄化処理の汎用性を向上させることができる。
【0072】
また、コントローラ13は、紫外線100の照射が開始された後に、検出部11により、紫外線100が照射される領域100aに、少なくとも人が存在することが検出された場合には、照射部10による紫外線100の照射を停止する。
この場合、コントローラ13は、照射部10による紫外線100の照射を停止した後に、検出部11により、紫外線100が照射される領域100aに、少なくとも人が存在することが検出されなくなった場合には、所定の時間t9の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を再開することができる。
【0073】
また、コントローラ13は、検出部11の検出結果に基づいて、紫外線100の照射が最初に開始されてから、所定の時間t10の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を停止することができる。なお、途中で紫外線100の照射が停止された場合には、時間t10と、停止時間との合計時間の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を停止することができる。この様にすれば、紫外線100の積算光量を一定にすることができるので、細菌の殺菌やウイルスの不活性化などの効果を均一にすることができる。
【0074】
なお、所定の時間の経過後に、紫外線100の照射が停止された場合には、コントローラ13は、運転者などの操作者が、スイッチ12を操作してON状態とするまでは、紫外線100の照射の停止状態を維持することができる。また、紫外線100の照射中に、運転者などの操作者が、スイッチ12を操作してOFF状態とした場合には、コントローラ13は、照射部10による紫外線100の照射を停止することができる。そして、運転者などの操作者が、スイッチ12を操作してON状態とした場合には、コントローラ13は、所定の時間t11の経過後に、照射部10による紫外線100の照射を再開することができる。
【0075】
なお、以上においては、スイッチ12がトグルスイッチなどである場合を説明したが、スイッチ12が、他の形式のスイッチの場合も同様である。ただし、スイッチ12がトグルスイッチなどであれば、運転者などの操作者が、スイッチ12の状態を視認することができる。
【0076】
また、「第1の制御」、「第2の制御」、および「第3の制御」において説明した時間t1~t11は、車両の種類、車両の大きさ、車両の用途、照射部10の設置場所などに応じて適宜変更することができる。例えば、バス、タクシー、電車などのように、不特定多数の人が出入りしたり、人の滞在時間がある程度長かったりする場合は、照射部10による紫外線100の照射時間を長めにしたり、積算光量を多くしたりすることが好ましい。例えば、時間t1~t11は、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定すれば良い。実験やシミュレーションを行うことで時間t1~t11を設定すれば、細菌の殺菌やウイルスの不活性化に対する十分な効果を得ることができ、且つ、過剰な紫外線100の照射により、領域100aにある物の表面が変質するのを抑制することができる。
【0077】
図4は、他の実施の形態に係る車両用紫外線照射装置1aを例示するためのブロック図である。
図4に示すように、車両用紫外線照射装置1aには、例えば、照射部10、検出部11、スイッチ12、およびコントローラ13が設けられている。
照射部10は、複数設けられている。
検出部11は、複数の照射部10のそれぞれに設けることができる。検出部11がCCDカメラのように検出範囲が広い場合には、例えば、隣接する複数の照射部10に対して1つの検出部11を設けることもできる。また、前述した様に、紫外線100が照射される領域100aにおける、少なくとも人の存在を検出する検出部11と、領域100aの周辺における、少なくとも人の存在を検出する検出部11aを設けることもできる。
【0078】
照射部10が複数設けられていれば、複数の照射部10を所望の位置に分散配置することができる。そのため、例えば、バスや電車などのような比較的大きな車両であっても、細菌の殺菌やウイルスの不活性化に対する十分な効果を得ることができる。また、スイッチ12、およびコントローラ13を共用とすることができるので、車両用紫外線照射装置1aの小型化や低コスト化を図ることができる。
【0079】
図5は、他の実施形態に係る照射部10aを例示するための模式断面図である。
照射部10aは、紫外線100を照射する。例えば、照射部10aは、紫外線100を照射する発光素子4aを備えたものとすることができる。
図5に示すように、照射部10aは、例えば、筐体2、基板3、発光素子4a、カバー5、点灯回路6a、および窓7aを有する。
【0080】
発光素子4aは、例えば、複数設けることができる。複数の発光素子4aは、例えば、基板41aの一方の面に設けられた配線パターンに電気的に接続されている。複数の発光素子4aは、例えば、筐体2(第2の部分22)の孔22aに対向する位置に設けることができる。複数の発光素子4aの配置は、紫外線100が照射される領域100aの大きさや形状に応じて適宜変更することができる。複数の発光素子4aは、例えば、同心円上に並べて設けることもできるし、マトリクス状に並べて設けることもできるし、一方向に並べて設けることもできる。
【0081】
基板41aは、例えば、スペーサ41bなどを介して、基板3に設けることができる。基板41aに設けられた配線パターンは、配線コードなどを介して、点灯回路6aと電気的に接続されている。なお、複数の発光素子4aが基板3に直接設けられるようにしてもよい。基板41aの材料は、例えば、基板3の材料と同じとすることができる。
【0082】
前述した様に、細菌やウイルスのDNAやRNAは、波長が260nm程度の紫外線100を吸収し易い。そのため、発光素子4aは、例えば、ピーク波長が、220nm以上、320nm以下の紫外線100を照射する発光ダイオードやレーザダイオードとすることが好ましい。
発光素子4aは、チップ状の発光素子であってもよいし、表面実装型の発光素子であってもよいし、砲弾型などのリード線を有する発光素子であってもよい。
【0083】
点灯回路6aは、複数の発光素子4aを点灯させたり、複数の発光素子4aに印加する電力を制御したりする。複数の発光素子31bに印加する電力を制御することで、複数の発光素子4aから照射される紫外線100の光量、ひいては積算光量を制御することができる。
【0084】
また、点灯回路6aが、筐体2の内部に設けられる場合を例示したが、点灯回路6aがコントローラ13の内部に設けられるようにしてもよい。点灯回路6aがコントローラ13の内部に設けられるようにすれば、筐体2を小型化したり、カバー5を省いたりすることができる。そのため、比較的小さな車両であっても、照射部10aを配置するのが容易となる。
【0085】
窓7aは、板状を呈し、筐体2(第2の部分22)の孔22aが設けられた部分に設けられている。例えば、窓7aは、筐体2(第2の部分22)の内壁に設けられ、孔22aを覆っている。窓7aは、発光素子4aから照射された紫外線100が透過可能な材料から形成される。例えば、窓7aは、紫外線透過ガラスや、アクリル樹脂などから形成することができる。なお、窓7aは、前述した窓7と同じとしてもよい。
【0086】
発光素子4a、および点灯回路6aは、前述した放電ランプ4や、点灯回路6に比べて、電磁波の発生が少ない。そのため、前述したシールド8は、省くこともできる。
また、発光素子4aを点灯させた際に、発光素子4aの温度が最大ジャンクション温度を超えると、発光素子4aの寿命が短くなったり、発光素子4aが故障したりするおそれがある。そのため、必要に応じて、基板41aに放熱フィンを設けたり、筐体2の内部に送風ファンを設けたりすることもできる。
【0087】
以上に説明した様に、検出部11により少なくとも人の存在が検出されず、且つ、スイッチ12の状態が紫外線100の照射を意味する場合には、コントローラ13は、照射部10、10aによる紫外線100の照射を行う。
また、検出部11により少なくとも人の存在が検出されず、検出部11aにより少なくとも人の存在が検出され、且つ、スイッチ12の状態が紫外線100の照射を意味する場合には、コントローラ13は、照射部10、10aによる紫外線100の照射を行う。
また、検出部11により少なくとも人の存在が検出されたこと、および、スイッチ12の状態が紫外線100の照射の停止を意味すること、の少なくともいずれかの場合には、コントローラ13は、照射部10、10aによる紫外線100の照射を停止する、または、照射部10、10aによる紫外線100の照射の停止状態を維持する。
また、紫外線100の発生源は、放電ランプ4であってもよいし、発光素子4aであってもよい。
【0088】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0089】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0090】
(付記1)
紫外線を照射可能な照射部と;
前記紫外線が照射される領域における、少なくとも人の存在を検出可能な第1の検出部と;
操作者が、前記紫外線の照射と、前記紫外線の照射の停止と、の切り替えを行うスイッチと;
前記第1の検出部の検出結果と、前記スイッチの状態とに基づいて、前記照射部を制御するコントローラと;
を具備し、
前記第1の検出部により少なくとも前記人の存在が検出されず、且つ、前記スイッチの状態が前記紫外線の照射を意味する場合には、前記コントローラは、前記照射部による前記紫外線の照射を行う車両用紫外線照射装置。
【0091】
(付記2)
前記紫外線が照射される領域の周辺における、少なくとも前記人の存在を検出可能な第2の検出部をさらに具備し、
前記第1の検出部により少なくとも前記人の存在が検出されず、前記第2の検出部により少なくとも前記人の存在が検出され、且つ、前記スイッチの状態が前記紫外線の照射を意味する場合には、前記コントローラは、前記照射部による前記紫外線の照射を行う付記1記載の車両用紫外線照射装置。
【0092】
(付記3)
前記コントローラは、所定の時間の経過後に、前記照射部による前記紫外線の照射を開始する付記1または2に記載の車両用紫外線照射装置。
【0093】
(付記4)
前記コントローラは、前記照射部による前記紫外線の照射を行う際に、前記紫外線の照射と、前記紫外線の照射の停止と、を所定の間隔で交互に繰り返し行う付記1~3のいずれか1つに記載の車両用紫外線照射装置。
【0094】
(付記5)
前記第1の検出部により少なくとも前記人の存在が検出されたこと、および、前記スイッチの状態が前記紫外線の照射の停止を意味すること、の少なくともいずれかの場合には、前記コントローラは、前記照射部による前記紫外線の照射を停止する、または、前記照射部による前記紫外線の照射の停止状態を維持する付記1~4のいずれか1つに記載の車両用紫外線照射装置。
【符号の説明】
【0095】
1 車両用紫外線照射装置、1a 車両用紫外線照射装置、2 筐体、4 放電ランプ、4a 発光素子、6 点灯回路、6a 点灯回路、10 照射部、10a 照射部、11 検出部、11a 検出部、12 スイッチ、13 コントローラ、100 紫外線、100a 領域