(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077765
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240603BHJP
G03B 21/16 20060101ALI20240603BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240603BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240603BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/16
G03B21/00 E
H04N5/74 D
G02B26/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189905
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】若林 慎一
(72)【発明者】
【氏名】▲角▼谷 雅人
【テーマコード(参考)】
2H141
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2H141MA12
2H141MB24
2H141MC05
2H141MD12
2H141MD13
2H141MD16
2H141MD24
2H141MD40
2H141ME01
2H141ME03
2H141ME04
2H141ME25
2H141MG04
2H141MZ23
2H141MZ27
2H141MZ28
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA32
2K203FA44
2K203FA62
2K203FB03
2K203GB18
2K203GB26
2K203GB30
2K203HA06
2K203HA63
2K203HB05
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2K203HB22
2K203KA10
2K203LA04
2K203LA12
2K203LA22
2K203LA54
2K203MA26
2K203MA32
5C058BA25
5C058EA02
5C058EA26
(57)【要約】
【課題】高解像な画像を表示できる単板式のプロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明のプロジェクターは、光源と、光源から射出された光を変調して画像光を生成する1つの光変調素子と、光変調素子から射出された画像光を反射することで画像光の光路を変更する光路変更素子を含み、画像光の光路を基準位置とシフト位置との間で連続的にシフト可能な画素シフトデバイスと、画素シフトデバイスから射出された画像光を投射する投射光学系と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から射出された光を変調して画像光を生成する1つの光変調素子を含む画像生成部と、
前記画像生成部の前記光変調素子から射出された前記画像光を反射することで前記画像光の光路を変更する光路変更素子を含み、前記画像光の光路を基準光路とシフト光路との間で切り替え可能な画素シフトデバイスと、
前記画素シフトデバイスから射出された前記画像光を投射する投射光学系と、を備える、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記画素シフトデバイスは、
前記光路変更素子を保持する第1可動部と、
第1揺動軸回りに前記第1可動部を揺動可能に連結するベースと、
前記第1可動部を揺動させる第1アクチュエーターと、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記画素シフトデバイスは、前記第1揺動軸上に位置し前記第1可動部と前記ベースとを揺動可能に連結する連結軸部をさらに備え、
前記第1可動部は、前記光路変更素子の周囲に配置され、
前記ベースは、前記第1可動部の周囲に配置され、
前記連結軸部は、前記第1可動部の外側面と前記ベースの内側面とを揺動可能に連結し、
前記第1アクチュエーターは、前記第1揺動軸に交差する方向において、前記第1可動部の前記外側面および前記ベースの前記内側面のうち一方に配置された第1磁石と、他方に配置され前記第1磁石に対向する第1コイルと、を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記光路変更素子は、前記画像光を反射する反射面を有し、
前記第1可動部は、前記光路変更素子の前記反射面と反対側の裏面に配置される第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、
前記ベースは、前記第1可動部の前記第2面に対向する第3面を有し、
前記第1揺動軸は、前記第1可動部の前記第2面と前記ベースの前記第3面との間に位置し、
前記第1アクチュエーターは、前記第1揺動軸に交差する方向において、前記第1可動部の前記第2面および前記ベースの前記第3面のうち一方に配置された第1磁石と、他方に配置され前記第1磁石に対向する第1コイルと、を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記画素シフトデバイスは、
前記光路変更素子を保持する第1可動部と、
第1揺動軸回りに前記第1可動部を揺動可能に連結する第2可動部と、
前記第1揺動軸と直交する第2揺動軸回りに前記第2可動部を揺動可能に連結するベースと、
前記第1揺動軸回りに前記第1可動部を揺動させる第1アクチュエーターと、
前記第2揺動軸回りに前記第2可動部を揺動させる第2アクチュエーターと、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記画素シフトデバイスは、前記第1揺動軸上に位置し前記第1可動部と前記第2可動部とを連結する第1連結部と、前記第2揺動軸上に位置し前記第2可動部と前記ベースとを連結する第2連結部と、をさらに備え、
前記第1可動部は、前記光路変更素子の周囲に配置され、
前記第2可動部は、前記第1可動部の周囲に配置され、前記第1可動部の外側面に対向する内側面を有し、
前記ベースは、前記第2可動部の周囲に配置され、前記第2可動部の外側面に対向するベース内側面を有し、
前記第1連結部は、前記第1可動部の外側面と前記第2可動部の内側面とを揺動可能に連結し、
前記第2連結部は、前記第2可動部の外側面と前記ベースの前記ベース内側面とを揺動可能に連結し、
前記第1アクチュエーターは、前記第1揺動軸に交差する方向において、前記第1可動部の外側面と前記第2可動部の内側面とのうち一方に配置された第1磁石と、他方に配置され前記第1磁石に対向する第1コイルと、を有し、
前記第2アクチュエーターは、前記第2揺動軸に交差する方向において、前記第2可動部の外側面と前記ベースの前記ベース内側面のうち一方に配置された第2磁石と、他方に配置され前記第2磁石に対向する第2コイルと、を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記画素シフトデバイスは、前記第1揺動軸上に位置し前記第1可動部と前記第2可動部とを揺動可能に連結する第1連結部と、前記第2揺動軸上に位置し前記第2可動部と前記ベースとを揺動可能に連結する第2連結部と、をさらに備え、
前記光路変更素子は、前記画像光を反射する反射面を有し、
前記第1可動部は、前記光路変更素子の前記反射面と反対側の裏面に配置される第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、
前記第2可動部は、前記第1可動部の前記第2面に対向する第4面を有し、
前記ベースは、前記第2可動部の周囲に配置され、前記第2可動部の外側面に対向するベース内側面を有し、
前記第1連結部は、前記第1可動部の前記第2面と前記第2可動部の前記第4面との間に配置され、
前記第2連結部は、前記第2可動部の外側面と前記ベースの前記ベース内側面とを連結する軸部材であり、
前記第1アクチュエーターは、前記第1揺動軸に交差する方向において、前記第1可動部の前記第2面と前記ベースの前記ベース内側面のうち一方に配置された第1磁石と、他方に配置された第1コイルと、を有し、
前記第2アクチュエーターは、前記第2揺動軸に交差する方向において、前記第2可動部の外側面と前記ベースの内側面のうち一方に配置された第2磁石と、他方に配置された第2コイルと、を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のプロジェクター。
【請求項8】
内部筐体と、
前記光源と前記光源の光射出側に設けられるリフレクターとで構成された光源ユニットと、をさらに備え、
前記画像生成部は、透過型の液晶パネルからなる前記光変調素子の光入射側に配置された第1フレネルレンズと、前記光変調素子の光出射側に配置された第2フレネルレンズと、をさらに含み、
前記光源ユニット、前記画像生成部、前記投射光学系および前記画素シフトデバイスは、前記内部筐体に固定される、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記画素シフトデバイスを冷却するファンをさらに備え、
前記ファンは、前記画素シフトデバイスの前記光路変更素子における光射出方向と反対側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、光変調装置として1枚の液晶パネルを用いたプロジェクターが開示されている。このプロジェクターでは、光源から射出した光を液晶パネルに入射させ、液晶パネルで変調した画像光を投射光学系から射出させ、投射光学系から射出した画像光をミラーで反射することで画像光の投射方向を変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような1枚の液晶パネルを用いた単板式のプロジェクターは小型、軽量で携帯性に優れ、低コストであるという利点がある。一方、単板式のプロジェクターは、3枚の液晶パネルを用いた3板式のプロジェクターよりも解像度が劣るという課題がある。
そこで、単板式のプロジェクターの利点を維持しつつ、解像度をより高めることができる新たな技術の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、光源と、前記光源から射出された光を変調して画像光を生成する1つの光変調素子を含む画像生成部と、前記画像生成部の前記光変調素子から射出された前記画像光を反射することで前記画像光の光路を変更する光路変更素子を含み、前記画像光の光路を基準光路とシフト光路との間で切り替え可能な画素シフトデバイスと、前記画素シフトデバイスから射出された前記画像光を投射する投射光学系と、を備える、プロジェクターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成を示す図である。
【
図3】液晶パネルの画素構造の要部を示す平面図である。
【
図5A】第1変形例の画素シフトデバイスの平面図である。
【
図6】第2実施形態の画素シフトデバイスの平面図である。
【
図8A】第2変形例の画素シフトデバイスの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0008】
図1は、本実施形態のプロジェクター100の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター100は、被投射面であるスクリーンSCR上にカラー画像を表示する投射型画像表示装置である。
プロジェクター100は、光源ユニット1と、画像生成部2と、投射光学系3と、画素シフトデバイス4と、ファン5と、内部筐体6と、外装筐体7と、を備えている。
【0009】
以下、図面中に示すXYZ座標系を用いて各部材の配置関係を説明する場合がある。各図面において、X軸はプロジェクター100における一部の光学部品が並ぶ第1基準軸である第1光軸AX1に沿う軸である。Y軸はX軸に直交し、プロジェクター100における他の一部の光学部品が並ぶ第2基準軸である第2光軸AX2に沿う軸であり、スクリーンSCRに対する画像光LTの投射方向に沿う軸である。Z軸はX軸およびY軸に直交する軸であり、プロジェクター100の上下に沿う軸である。
【0010】
本実施形態では、例えば、Z軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター100における「上下方向Z」、+Z方向に向かう方向を「上側」、-Z方向に向かう方向を「下側」と称す。また、X軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター100における「左右方向X」、+X方向に向かう方向を「右側」、-X方向に向かう方向を「左側」と称す。また、Y軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター100における「前後方向Y」、+Y方向に向かう方向を「前側」、-Y方向に向かう方向を「後側」と称する。
なお、上下方向Z、左右方向Xおよび前後方向Yとは、単にプロジェクター100の各構成部材の配置関係を説明するための名称であって、プロジェクター100における実際の設置姿勢や向きを規定するものではない。
【0011】
内部筐体6は、光源ユニット1、画像生成部2、投射光学系3、画素シフトデバイス4およびファン5を固定する。光源ユニット1、画像生成部2、画素シフトデバイス4および投射光学系3は、内部筐体6内において第1光軸AX1に沿って配置されている。画素シフトデバイス4および投射光学系3は、内部筐体6内において第2光軸AX2に沿って配置されている。
【0012】
本実施形態のプロジェクター100は、内部筐体6に各構成部品を固定することで組み立て性を容易にしている。外装筐体7は複数の壁部で構成された略直方体箱状であり、プロジェクター100の外装を構成する。
【0013】
光源ユニット1は、光源10とリフレクター11とで構成される。
光源10は白色光Lを射出する。本実施形態の光源10は、例えば、発光ダイオード(LED)から構成される。本実施形態のプロジェクター100は、光源10としてLEDを用いることで光源ユニット1の小型化および軽量化を図っている。
リフレクター11は、光源10の光射出側に設けられる。リフレクター11は、光源10から大きい放射角で射出された白色光Lを反射して画像生成部2に入射させる。
【0014】
画像生成部2は、第1フレネルレンズ21と、1つの光変調素子22と、第2フレネルレンズ23と、を有する。
【0015】
第1フレネルレンズ21は光変調素子22の光入射側に配置され、光源ユニット1から射出される白色光Lを平行化して光変調素子22に入射させる。第1フレネルレンズ21は正のパワーを有する凸レンズとして機能する。
本実施形態の画像生成部2は、平行化レンズとして第1フレネルレンズ21を用いることで第1光軸AX1に沿うプロジェクター100の左右方向Xの寸法を小型化している。
【0016】
光変調素子22は透過型の液晶パネル220で構成される。液晶パネル220はカラーフィルターを有し、光源10からの白色光Lを画像情報に応じて変調してフルカラーの画像光LTを生成する。光変調素子22は、液晶パネル220の光入射側に設けられた入射側偏光板221と、液晶パネル220の光射出側に設けられた射出側偏光板222と、をさらに含む。入射側偏光板221と射出側偏光板222とは、互いの偏光軸が直交するように配置されている。
本実施形態のプロジェクター100は1枚の液晶パネル220を用いた単板方式を採用することで装置構成の小型化を図っている。
【0017】
第2フレネルレンズ23は光変調素子22の光射出側に配置される。第2フレネルレンズ23は正のパワーを有する凸レンズとして機能し、液晶パネル220の射出側偏光板222から射出された画像光LTを集光させる。
本実施形態の画像生成部2は、集光レンズとして第2フレネルレンズ23を用いることで第1光軸AX1に沿うプロジェクター100の左右方向Xの寸法を小型化している。
【0018】
本実施形態のプロジェクター100において、画像生成部2と投射光学系3との間に画素シフトデバイス4が配置されている。画素シフトデバイス4は、画像生成部2の液晶パネル220から射出された画像光LTの光路を変更する光路変更素子40を含み、画像光LTの光路を基準位置とシフト位置との間で連続的にシフト可能である。
【0019】
画素シフトデバイス4は、画素シフトを行わない状態で、光路変更素子40の入射面が第1光軸AX1および第2光軸AX2に対して45°の角度をなすように内部筐体6内に配置されている。光路変更素子40は、画像生成部2から射出された画像光LTの光路を90°折り曲げて投射光学系3に入射させる。
【0020】
本実施形態のプロジェクター100は、画素シフトデバイス4によって画像光LTの光路をシフトさせることで、液晶パネル220の解像度よりも高い解像度の画像を被投射面であるスクリーンSCRに表示することが可能である。画素シフトデバイス4の構成の詳細については後述する。
【0021】
ファン5は画素シフトデバイス4を少なくとも冷却する。ファン5は画素シフトデバイス4の光路変更素子40における光射出方向と反対側に配置されている。
画素シフトデバイス4は駆動時に発熱するため、内部筐体6内において熱源となる。本実施形態のプロジェクター100によれば、光路変更素子40の光射出方向と反対側の空間を利用して画素シフトデバイス4を冷却して、画素シフトデバイス4の温度上昇を抑制できる。また、光路変更素子40の光入射側にファン5が位置しないため、画像光LTをファン5が遮ることなく光路変更素子40を冷却することができる。
なお、ファン5からの気流の一部を供給することで光源ユニット1、画像生成部2および投射光学系3を冷却してもよい。
【0022】
続いて、画素シフトデバイス4の構成について説明する。
図2は画素シフトデバイス4の平面図である。
図2に示すように、画素シフトデバイス4は、光路変更素子40と、光路変更素子40を保持する第1可動部41と、第1揺動軸J1回りに第1可動部41を揺動可能に連結するベース42と、第1可動部41を揺動させる第1アクチュエーター43と、連結軸部44と、を備える。本実施形態の画素シフトデバイス4は、光路変更素子40の姿勢を変更することで画像光LTの光路をシフト可能とする。
【0023】
光路変更素子40は、画像光LTを反射することで画像光LTの光路を変更する素子である。光路変更素子40は、一面に反射膜40bを成膜した透光性基材40aで構成される。反射膜40bは透光性基材40aの光入射面40a1と反対の裏面40a2に成膜されている。反射膜40bにおける透光性基材40aとの接触面は光路変更素子40の反射面40cとして機能する。すなわち、光路変更素子40は、画像光LTを反射する反射面40cを有している。
【0024】
光路変更素子40に入射した光は透光性基材40aの光入射面40a1で屈折し、透光性基材40aを透過して反射膜40bで反射され、透光性基材40aから射出される際に再び屈折される。光路変更素子40は、画像生成部2から入射した画像光LTの光路を90°折り曲げる際、光路変更素子40の姿勢に応じて画像光LTの光路をシフトさせる。画像光LTの光路のシフト量は光路変更素子40の姿勢変化の度合いに応じて規定される。
【0025】
透光性基材40aとしては、例えば、略正方形の白板ガラスを用いた。強度に優れた白板ガラスを採用することで、光路変更素子40全体の剛性が高まるため、光路変更素子40に生じる歪みを抑制することができる。反射膜としては、例えば、金属膜や誘電体多層膜を用いた。
【0026】
なお、透光性基材40aの材料は白板ガラスに限定するものではなく、光透過性を有し、光を屈折可能な材料であれば良く、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどの各種ガラス材料を用いても良い。または、水晶、サファイアなどの各種結晶材料、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂などの各種樹脂材料を用いても良い。なお、光路変更素子40の形状は、略正方形に限定するものではなく、長方形や、菱形、楕円形状であっても良い。
【0027】
第1可動部41は金属製の額縁状をなした保持フレームであり、光路変更素子40の周囲に配置される。第1可動部41は光路変更素子40の外周縁を支持することで、表裏面を露出した状態の光路変更素子40を収納している。第1可動部41の材質としては、例えばステンレスを用いた。光路変更素子40は接着剤により第1可動部41に固定されている。なお、第1可動部41は額縁形状に限られず、光路変更素子40の少なくとも一部を支持する部材であればよい。
【0028】
ベース42は、第1可動部41の周囲に配置され、第1可動部41よりも一回り大きい額縁状をなす樹脂製の支持部材である。ベース42は、第1可動部41の外側面41aを枠状に囲むベース内側面42aを有する。ベース42は内部筐体6に固定される。
【0029】
連結軸部44は、第1可動部41の外側面41aとベース42のベース内側面42aとを揺動可能に連結する一対の軸部44aで構成される。
一対の軸部44aは、矩枠状である第1可動部41の外側面41aのうち対角線上に位置する一対の角部からそれぞれ突出して設けられ、第1可動部41の外側面41aとベース42のベース内側面42aとを連結する。
【0030】
一対の軸部44aは矩形枠状であるベース内側面42aのうち一方の対角線上に位置する部分に連結される。第1可動部41の第1揺動軸J1は、一対の軸部44a上に位置する仮想軸であり、第1可動部41に支持された光路変更素子40の中心を通る軸である。
【0031】
光路変更素子40を保持する第1可動部41は、第1揺動軸J1に沿う方向の両端に位置する一対の軸部44aがベース42に固定されるため、第1揺動軸J1と直交する対角線上に位置する対角部分が第1揺動軸J1回りに揺動可能となっている。
よって、光路変更素子40は、第1可動部41とともに第1揺動軸J1回りにベース42に対して回転することで姿勢を変更可能とされている。
【0032】
第1アクチュエーター43は、第1揺動軸J1に交差する方向において、第1可動部41の外側面41aに配置された第1磁石43aと、ベース42のベース内側面42aに配置され第1磁石43aに対向する第1コイル43bと、を有する。
具体的に第1磁石43aは、第1可動部41の外側面41aのうち軸部44aが設けられていない他方の対角線上に位置する1つの角部に設けられている。第1コイル43bはベース内側面42aのうち第1揺動軸J1と直交する対角線上に位置し、第1磁石43aに対向する位置に配置されている。
【0033】
このように第1アクチュエーター43を構成する第1磁石43aおよび第1コイル43bは、第1可動部41の外側面41aおよびベース42のベース内側面42aのうち第1揺動軸J1と直交する対角線の一方側に位置する部分に配置されている。
【0034】
第1磁石43aは磁石枠46を介して第1可動部41の外側面41aに配置されている。磁石枠46は鉄などの金属から構成されており、バックヨークとして機能する。第1磁石43aに用いる磁石としてはネオジム磁石の他、所定の磁力を有する永久磁石であれば良く、サマリウムコバルト磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石であっても良い。
【0035】
第1コイル43bはコイル枠47を介してベース42のベース内側面42aに配置されている。コイル枠47は第1コイル43bが第1磁石43aと間隙を持って向かい合うように、ベース内側面42aに固定されている。コイル枠47は鉄などの金属から構成されており、バックヨークとして機能する。第1コイル43bはコイル枠47に巻回したコイル線により構成される。
【0036】
なお、第1磁石43aおよび第1コイル43bの位置は入れ替えてもよく、第1磁石43aがベース42のベース内側面42aに配置され、第1コイル43bが第1可動部41の外側面41aに配置されてもよい。つまり、第1磁石43aは第1可動部41の外側面41aとベース42のベース内側面42aのうち一方に配置され、第1コイル43bは第1可動部41の外側面41aとベース42のベース内側面42aのうち他方に配置されていればよい。
【0037】
第1アクチュエーター43は、第1コイル43bに通電することで発生させた磁界によって第1磁石43aと反発または引き合わせることにより、第1磁石43aおよび第1コイル43b間に第1揺動軸J1に交差する方向の力を生じさせる。第1可動部41は、上述のように第1揺動軸J1に沿う方向の両端に位置する一対の軸部44aがベース42と固定されるため、第1磁石43aが設けられた部分が第1揺動軸J1回りに揺動する。これにより、第1可動部41に固定された光路変更素子40は、ベース42に対して第1揺動軸J1回りに揺動する。
【0038】
このような構成に基づき、本実施形態の画素シフトデバイス4は、第1コイル43bへの通電量を調整することで第1揺動軸J1回りに第1可動部41を揺動させることで光路変更素子40の姿勢を制御することができる。
画素シフトデバイス4は、光路変更素子40の姿勢を変化させることで画像生成部2の液晶パネル220から射出された画像光LTの光路を90°折り曲げるとともに画像光LTの光路を第1揺動軸J1と直交する方向にシフトさせることができる。
【0039】
本実施形態の画素シフトデバイス4は、光路変更素子40の周囲に第1可動部41およびベース42を配置した構成を採用するため、光路変更素子40の厚み方向の厚さを薄くすることができる。
【0040】
投射光学系3は、画像生成部2の液晶パネル220から射出された画像光LTを投射面であるスクリーンSCRに拡大して投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大されたカラー画像が表示される。スクリーンSCRに表示される画像は液晶パネル220の画素領域GAの像である。
【0041】
ここで、液晶パネル220の画素構造について説明する。
図3は液晶パネル220の画素構造の要部を示す平面図である。
図3に示すように、液晶パネル220は複数の画素Gを含む画素領域GAを有している。画素領域GAにおいて、複数の画素Gは互いに直交する行方向R1および列方向R2に並んでマトリクス状に配置されている。画素領域GAにおいて、1つの画素GはブラックマトリクスBMにより区画された複数のサブ画素で構成される。ブラックマトリクスBMは、サブ画素間に配置されたサブ画素を駆動する配線あるいは、配線を覆いサブ画素を仕切る遮光部材である。各サブ画素には各々異なる色光に対応したカラーフィルターが設けられている。サブ画素の配列は、例えば、列方向R2において同じ色に対応したサブ画素が並ぶストライプ配列、あるいは、列方向R2において異なる色に対応したサブ画素が並ぶモザイク配列のいずれでもよい。なお、
図3ではモザイク配列の場合を図示した。
【0042】
本実施形態の液晶パネル220において、複数の画素Gは列方向R2において隣り合う第1画素G1および第2画素G2を含む。第1画素G1および第2画素G2の各々は、行方向R1に順に並んで配置された3つのサブ画素で構成される。なお、第1画素G1および第2画素G2以外の画素Gについても同様に、3つのサブ画素で構成されている。以下、第1画素G1を構成する3つのサブ画素をサブ画素SG11、SG12、SG13とし、第2画素G2を構成する3つのサブ画素をサブ画素SG21、SG22、SG23とする。サブ画素は、赤色光用のサブ画素SG11、緑色光用のサブ画素SG12、青色光用のサブ画素SG13、青色光用のサブ画素SG21、赤色光用のサブ画素SG22、緑色光用のサブ画素SG23で構成することができる。
【0043】
図3に示す構成の液晶パネル220から射出された画像光によってスクリーンSCR上に表示される画像は、液晶パネル220の画素領域GAに対応した画素構造を有する。具体的に、スクリーンSCRに表示される画像は複数の画素で構成され、各画素は3つのサブ画素で構成される。
【0044】
一般にプロジェクターによるスクリーンの表示画像の解像度は光変調素子である液晶パネルの画素数に依存する。従来、1枚の液晶パネルを用いた単板方式のプロジェクターは小型、軽量で携帯性に優れるという利点を有するが、液晶パネルを3枚用いた3板方式のプロジェクターに比べて解像度を高くすることが難しいという問題があった。
【0045】
これに対して本実施形態のプロジェクター100は画素シフトデバイス4によって画像光LTの光路をシフトさせることで単板方式の利点を生かしつつ、スクリーンSCR上に解像度の高い画像を表示可能となっている。
【0046】
以下、画素シフトデバイスによる画像の高解像度化の原理について説明する。
図4は画像の高解像度化の原理の説明図である。
図4はスクリーンSCR上に表示される画像の要部を示す図である。
【0047】
本明細書において、画素シフトデバイス4が画素シフトを行わない場合に光路変更素子40から射出された画像光LTの光路を基準光路、画素シフトデバイス4が画素シフトを行った場合に光路変更素子40から射出された画像光LTの光路をシフト光路と称す。
また、基準光路の画像光LTがスクリーンSCRに画像を表示する位置を「基準表示位置」、シフト光路の画像光LTがスクリーンSCRに画像を表示する位置を「シフト表示位置」と称し、
図4中において基準光路を符号PLで示し、
図4中においてシフト光路を符号SLで示し、
図4中において基準表示位置を符号Pで示し、シフト表示位置を符号Sで示した。また、液晶パネル220から射出された画像光LTがスクリーンSCR上に表示する画像を「表示画像」と称し、
図4中において表示画像を符号IMで示した。
【0048】
図2に示したように、画素シフトデバイス4が第1揺動軸J1回りに光路変更素子40を揺動させると、液晶パネル220の各画素Gから射出された画像光LTの光路がシフトする。このとき、
図4に示すように液晶パネル220の各画素Gから射出された画像光LTの光路が基準光路PLとシフト光路SLとの間でシフトされ、スクリーンSCR上の表示画像IMの表示位置が基準表示位置Pとシフト表示位置Sとの間で切り替わる。
【0049】
図4に示すように、本実施形態の画素シフトデバイス4は、画素シフトを行わない場合に基準光路の画像光LTをスクリーンSCRの基準表示位置Pに位置させ、画素シフトを行った場合にシフト光路の画像光LTをスクリーンSCRのシフト表示位置Sに位置させる。
【0050】
上述のようにスクリーンSCRの表示画像IMは液晶パネル220の画素領域GAと同様の画素構造を有する。このため、表示画像IMは複数の画素を含み、各画素は3つのサブ画素で構成される。
以下、スクリーンSCRの表示画像IMの各画素を「表示画素」、表示画素を構成する複数のサブ画素を「表示サブ画素」と称す。
【0051】
図4において、スクリーンSCRの表示画像IMを構成する複数の表示画素のうち、
図3に示した液晶パネル220の第1画素G1に対応する表示画素を第1表示画素IM1、
図3に示した液晶パネル220の第2画素G2に対応する表示画素を第2表示画素IM2とする。なお、
図4では、図を見易くするため、表示画像IMを構成する複数の表示画素のうち第1表示画素IM1および第2表示画素IM2のみを図示しており、画素シフト後については第1表示画素IM1のみを図示した。
【0052】
図4において、液晶パネル220の第1画素G1を構成する3つのサブ画素SG11、SG12、SG13に対応する表示サブ画素をそれぞれ第1表示サブ画素IM11、IM12、IM13とし、液晶パネル220の第2画素G2を構成する3つのサブ画素SG21、SG22、SG23に対応する表示サブ画素をそれぞれ第2表示サブ画素IM21、IM22、IM23とする。
【0053】
本実施形態において、
図3に示した第1画素G1を構成する3つのサブ画素SG11、SG12、SG13のうち1つであるサブ画素SG11を基準サブ画素SG0と称す。また、表示画像IMの第1表示サブ画素IM11、IM12、IM13のうち基準サブ画素SG0に対応する第1表示サブ画素IM11を基準表示サブ画素IM0と称す。
【0054】
本実施形態の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMに対応する領域に重ねる。
以下では、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を説明するが、その他のサブ画素から射出された画像光LTの光路についても同様のことが言える。
【0055】
ここで、基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMに対応する領域とは、表示画像IMにおいて各表示サブ画素間に位置する領域であり、画像を表示しない非表示部分Aに相当する。
【0056】
つまり、本実施形態の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて表示画像IMの基準表示サブ画素IM0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて表示画像IMの非表示部分Aに重ねている。
【0057】
具体的に本実施形態の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG11、SG12と第2画素G2の第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG11,SG12に隣り合う2つのサブ画素SG21,SG22との4つの角部で囲まれるブラックマトリクスBMの交差部BM1に対応する領域に、重ねる。
【0058】
つまり、本実施形態の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM11、IM12と第2表示画素IM2の第2表示サブ画素IM21,IM22との4つの角部で囲まれる非表示部分Aの交差部A1に重ねている。
【0059】
本実施形態の場合、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光軸は基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMの交差部BM1に対応する領域の中心に位置している。つまり、表示画像IMの基準表示サブ画素IM0の中心IMcは非表示部分Aの交差部A1の中心A1cに位置する。
この場合、シフト表示位置Sにおける基準表示サブ画素IM0と基準表示位置Pにおける4つの表示サブ画素との重なり具合がそれぞれ等しくなる。
よって、画素シフト後の表示サブ画素と画素シフト前の4つの表示サブ画素との合計の重なり量が少なるので、画素シフト前後における表示サブ画素同士の重なりによる表示画像IMの混色が抑制されて画素シフトにより高解像度化された表示画像IMの見栄えをより向上させることができる。
【0060】
このように本実施形態の画素シフトデバイス4は、画素シフト前における表示画像IMの非表示部分Aに、画素シフト後の表示画像IMの各表示画素を構成する表示サブ画素を効率良く重ねることができる。よって、画素シフトデバイス4は、スクリーンSCRの表示画像IMの非表示部分Aに疑似的に画素をシフトさせることで見掛け上の画素数を増加させて表示画像IMの解像度を高めることができる。
【0061】
以下のように、本実施形態のプロジェクター100は、光源10と、光源10から射出された光を変調して画像光LTを生成する1つの光変調素子22を含む画像生成部2と、画像生成部2の光変調素子22から射出された画像光LTを反射することで画像光LTの光路を変更する光路変更素子40を含み、画像光LTの光路を基準光路PLとシフト光路SLとの間で切り替え可能な画素シフトデバイス4と、画素シフトデバイス4から射出された画像光LTを投射する投射光学系3と、を備える。
【0062】
本実施形態のプロジェクター100によれば、画素シフトデバイス4の光路変更素子40によって画像光LTの光路を基準光路PLとシフト光路SLとの間で切り替えることで、スクリーンSCRに投射される画像光LTの表示位置を基準表示位置Pからシフト表示位置Sとの間で切り替えることができる。これにより、スクリーン上の表示画像IMの見掛け上の画素数を増加させることができる。
なお、本実施形態の画素シフトデバイス4は、画像光LTの光路を反射して変更する光路変更素子40を揺動させる構成を採用するため、構造が複雑化することなく、小型および軽量化を実現できる。
したがって、本実施形態のプロジェクター100によれば、小型および軽量の画素シフトデバイス4と光変調素子22として1枚の液晶パネル220を用いた単板方式の画像生成部2とを組み合わせることで、小型、軽量で携帯性に優れ、高解像度の画像を表示可能なプロジェクターを提供できる。
【0063】
(第1変形例)
続いて、第1変形例として、第1実施形態のプロジェクターの変形例を説明する。本変形例と第1実施形態との違いは画素シフトデバイスの構成であり、それ以外の構成は共通である。このため、以下では画素シフトデバイスの構成を主に説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0064】
図5Aは本変形例の画素シフトデバイスの平面図である。
図5Bは本変形例の画素シフトデバイスの断面図である。
図5Bは
図5AのB-B線矢視による断面図である。
図5Aおよび
図5Bに示すように、本変形例の画素シフトデバイス4Aは、光路変更素子40と、光路変更素子40を保持する第1可動部141と、第1揺動軸J1回りに第1可動部141を揺動可能に連結するベース142と、第1可動部141を揺動させる第1アクチュエーター43と、連結部144と、を備える。
【0065】
本変形例の画素シフトデバイス4Aにおいて、第1可動部141とベース142と第1アクチュエーター43とは光路変更素子40の反射面40cと反対側に配置されている。
本変形例において、第1可動部141は金属製の板状部材である。第1可動部141は光路変更素子40の裏面40dに配置される第1面141aと、第1面141aと反対側の第2面141bと、を有する。
【0066】
第1可動部141は、連結部144を介してベース142に連結される。連結部144は、軸部144aと軸受け部144bとで構成される。軸部144aは第1可動部141の第2面141bに設けられている。軸受け部144bは後述のようにベース142に設けられている。
【0067】
本変形例において、第1可動部141の第1揺動軸J1は軸部144aの中心を通る仮想軸である。第1揺動軸J1は、第1可動部141に保持される矩形状の光路変更素子40の対角線に沿って延びる軸であり、光路変更素子40の中心から離間した位置を通る軸である。なお、第1揺動軸J1は、光路変更素子40の中心を通ってもよい。
【0068】
ベース142は、光路変更素子40および第1可動部141を保持する金属製の板状部材である。ベース142は、第1可動部141の第2面141bに対向する第3面142aを有する。連結部144を構成する軸受け部144bは、ベース142の第3面142aに設けられている。軸受け部144bは第1可動部141に設けられた軸部144aを揺動可能に支持する。これにより、第1可動部141はベース142の第3面142aに対して第1揺動軸J1回りに揺動可能となっている。
【0069】
第1アクチュエーター43は、第1揺動軸J1に交差する方向において、第1可動部141の第2面141bに配置された第1磁石43aと、ベース142の第3面142aに配置された第1コイル43bと、を有する。このため、第1アクチュエーター43は、第1磁石43aおよび第1コイル43b間に第1揺動軸J1に交差する方向の力を生じさせる。
【0070】
図5Aに示すように、第1磁石43aは、平面形状が矩形である第1可動部141の第2面141bのうち第1揺動軸J1に直交する方向の一端に位置する外縁部141b1に配置されている。第1磁石43aはバックヨークとして機能する磁石枠46を介して第1可動部141の外縁部141b1に配置されている。第1コイル43bは、平面形状が矩形であるベース142の第3面142aのうち第1揺動軸J1に直交する方向の一端に位置する外縁部142a1に配置されている。第1コイル43bはバックヨークとして機能するコイル枠47を介してベース142の外縁部142a1に配置されている。
【0071】
なお、第1磁石43aおよび第1コイル43bの位置は入れ替えてもよい。つまり、第1磁石43aがベース142の外縁部142a1に配置され、第1コイル43bが第1可動部141の外縁部141b1に配置されてもよい。
【0072】
本変形例の画素シフトデバイス4Aは、第1実施形態の画素シフトデバイス4と同様、第1アクチュエーター43によって第1可動部141を第1揺動軸J1回りに揺動させることで光路変更素子40の姿勢を1軸で制御することもできる。よって、第1実施形態の画素シフトデバイス4と同様、スクリーンSCRに投射する画像の高解像度化を実現できる。
また、本変形例の画素シフトデバイス4Aは、光路変更素子40の反射面40cの反対側の裏面40dに第1可動部141、第1アクチュエーター43およびベース142を配置するため、光路変更素子40の外周に部材が配置されない。よって、本変形例の画素シフトデバイス4Aは、光路変更素子40における外周部の大型化を抑制できる。
本変形例のプロジェクターにおいても小型および軽量の画素シフトデバイス4Aと1枚の液晶パネル220を用いた単板方式の画像生成部2とを組み合わせることで、小型、軽量で携帯性に優れた高解像度の高いプロジェクターを提供できる。
【0073】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態のプロジェクターについて説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは画素シフトデバイスが2軸の揺動軸を有する点である。このため、以下では画素シフトデバイスの構成を説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0074】
図6は本実施形態の画素シフトデバイスの平面図である。
図6に示すように、本実施形態の画素シフトデバイス104は、光路変更素子40と、光路変更素子40を保持する第1可動部241と、第1揺動軸J1回りに第1可動部241を揺動可能に連結する第2可動部243と、第2揺動軸J2回りに第2可動部243を揺動可能に連結するベース242と、第1揺動軸J1回りに第1可動部241を揺動させる一対の第1アクチュエーター245と、第2揺動軸J2回りに第2可動部243を揺動させる一対の第2アクチュエーター246と、第1連結部247と、第2連結部248と、を備える。
【0075】
第1揺動軸J1は、第2可動部243に対して第1可動部241を揺動させる仮想的な軸であり、第2揺動軸J2は、ベース242に対して第2可動部243を揺動させる仮想的な軸である。すなわち、本実施形態の画素シフトデバイス104は2軸揺動方式を採用している。
【0076】
第1可動部241は、光路変更素子40の周囲に配置される。第1可動部241は矩形枠状の部材から構成され、内側に光路変更素子40を支持する。
第1連結部247は第1可動部241の外側面241aと第2可動部243の内側面243aとを揺動可能に連結する一対の第1軸部247aで構成される。一対の第1軸部247aは、第1可動部241の4つの外側面241aのうち互いに反対を向く面からそれぞれ突出し、第1可動部241と第2可動部243とを連結する。
【0077】
第1可動部241の第1揺動軸J1は一対の第1軸部247a上に位置する仮想軸であり、第1揺動軸J1は第1可動部241に支持された光路変更素子40の中心を通る軸である。これにより、第1可動部241は、第2可動部243に対して第1揺動軸J1回りに回転可能となっている。よって、第1可動部241に支持された光路変更素子40は、第2可動部243に対して第1揺動軸J1回りに回転することで姿勢を変更可能とされている。
【0078】
第2可動部243は、平面視、略八角形状の板材から構成され、略八角形状の開口部243hを有する。第2可動部243の開口部243hの内側には、光路変更素子40を支持する第1可動部241が配置されている。すなわち、第2可動部243は、第1可動部241を囲む枠状の部材から構成され、第1可動部241の周囲に配置されている。
【0079】
第2連結部248は第2可動部243の外側面243bとベース242のベース内側面242aとを揺動可能に連結する一対の第2軸部248aで構成される。一対の第2軸部248aは、第2可動部243の8つの外側面241aのうち互いに反対を向く面からそれぞれ突出し、第2可動部243とベース242とを連結する。
【0080】
ベース242は、例えば金属等の板材から構成され、平面視、略八角形状の開口部242hを有し、開口部242hの内側に第2可動部243が配置されている。すなわち、ベース242は、第2可動部243の周囲に枠状に配置される。ベース242は、第2可動部243の外側面243bに対向するベース内側面242aを有する。
【0081】
第2可動部243の第2揺動軸J2は一対の第2軸部248a上に位置する仮想軸であり、第2揺動軸J2は第1揺動軸J1と直交し、かつ、第1可動部241に支持された光路変更素子40の中心を通る軸である。これにより、第2可動部243は、ベース242に対して第2揺動軸J2回りに回転可能となっている。よって、第1可動部241を介して第2可動部243に支持された光路変更素子40は、ベース242に対して第2揺動軸J2回りに回転することで姿勢を変更可能とされている。
【0082】
一対の第1アクチュエーター245の各々は、第2可動部243の開口部243hにおいて、第1揺動軸J1に交差する第2揺動軸J2に沿って互いに対向する部分に設けられている。各第1アクチュエーター245は、第2揺動軸J2に沿う方向に所定の間隔をおいて配置された磁石とコイルとを有する。具体的に、各第1アクチュエーター245は、第1揺動軸J1に交差する第2揺動軸J2に沿う方向において、第1可動部241の外側面241aに配置された第1磁石245aと、第2可動部243の内側面243aに配置され第1磁石245aに対向する第1コイル245bと、を有する。なお、第1磁石245aおよび第1コイル245bは、第1実施形態の第1アクチュエーター43を構成する第1磁石43aおよび第1コイル43bと同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0083】
第1磁石245aはバックヨークとして機能する磁石枠46を介して第1可動部241の外側面241aに配置されている。第1コイル245bはバックヨークとして機能するコイル枠47を介して第2可動部243の内側面243aに配置されている。
【0084】
なお、第1磁石245aおよび第1コイル245bの位置は入れ替えてもよく、第1磁石245aが第2可動部243の内側面243aに配置され、第1コイル245bが第1可動部241の外側面241aに配置されてもよい。つまり、第1磁石245aが第1可動部241の外側面241aと第2可動部243の内側面243aのうち一方に配置され、第1コイル245bが第1可動部241の外側面241aと第2可動部243の内側面243aのうち他方に配置されていればよい。
【0085】
一対の第2アクチュエーター246の各々は、ベース242の開口部242hにおいて、第2揺動軸J2に交差する第1揺動軸J1に沿って互いに対向する部分に設けられている。各第2アクチュエーター246は、第1揺動軸J1に沿う方向に所定の間隔をおいて配置された磁石とコイルとを有する。具体的に、各第2アクチュエーター246は、第2揺動軸J2に交差する第1揺動軸J1に沿う方向において、第2可動部243の外側面243bに配置された第2磁石246aと、ベース242のベース内側面242aに配置され第2磁石246aに対向する第2コイル246bと、を有する。なお、第2磁石246aおよび第2コイル246bは、第1アクチュエーター245を構成する第1磁石245aおよび第1コイル245bと同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0086】
第2磁石246aはバックヨークとして機能する磁石枠46を介して第2可動部243の外側面243bに配置されている。第2コイル246bはバックヨークとして機能するコイル枠47を介してベース242のベース内側面242aに配置されている。なお、本実施形態の場合、第2コイル246bは、ベース内側面242aのうち他の部分に対して窪んだ部分に設けられている。
【0087】
なお、第2磁石246aおよび第2コイル246bの位置は入れ替えてもよく、第2磁石246aがベース242の外側面243bに配置され、第2コイル246bが第2可動部243の外側面243bに配置されてもよい。つまり、第2磁石246aが第2可動部243の外側面243bとベース242のベース内側面242aのうち一方に配置され、第2コイル246bが第2可動部243の外側面243bとベース242のベース内側面242aのうち他方に配置されていればよい。
【0088】
各第1アクチュエーター245は、第1コイル245bに通電することで発生させた磁界を第1磁石245aと反発または引き合わせることにより、第1磁石245aおよび第1コイル245b間に第1揺動軸J1に交差する方向の力を生じさせる。これにより、第1可動部241は第1揺動軸J1回りに揺動する。第1可動部241は、上述のように第1揺動軸J1に沿う方向の両端に位置する第1軸部247aが第2可動部243と連結されるため、第1可動部241に固定された光路変更素子40は第1揺動軸J1回りに第2可動部243に対して揺動することができる。
【0089】
また、各第2アクチュエーター246は、第2コイル246bに通電することで発生させた磁界を第2磁石246aと反発または引き合わせることにより、第2磁石246aおよび第2コイル246b間に第2揺動軸J2に交差する方向の力を生じさせる。これにより、第2可動部243は第2揺動軸J2回りに揺動する。第2可動部243は、上述のように第2揺動軸J2に沿う方向の両端に位置する第2軸部248aがベース242と連結されるため、第1可動部241および第1連結部247を介して第2可動部243に固定された光路変更素子40は第2揺動軸J2回りにベース242に対して揺動することができる。
【0090】
このような構成に基づき、本実施形態の画素シフトデバイス104は、第1アクチュエーター245および第2アクチュエーター246により第1可動部241に支持した光路変更素子40の姿勢を2軸で制御することができる。よって、画素シフトデバイス104は、光路変更素子40の姿勢を変化させることで画像生成部2の液晶パネル220から射出された画像光LTの光路を90°折り曲げるとともに画像光LTの光路を2軸に沿う方向にシフトさせることができる。
【0091】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、光路変更素子40の周囲に第1可動部241、第2可動部243およびベース242を配置した構成を採用するため、光路変更素子40の厚み方向の厚さを薄くすることができる。
【0092】
続いて、本実施形態の画素シフトデバイス104による画像の高解像度化の原理について説明する。
図7は画像の高解像度化の原理の説明図である。
図7はスクリーンSCR上に表示される画像の要部を示す図である。
【0093】
図7において、表示画像IMにおける第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM11、IM12、IM13が順に並ぶ方向を第1方向D1、表示画像IMにおける第1表示画素IM1および第2表示画素IM2が順に並ぶ方向を第2方向D2、第1方向D1と反対方向を第3方向D3、第2方向D2と反対方向を第4方向D4と称す。
なお、
図7では、図を見易くするため、表示画像IMを構成する複数の表示画素のうち第1表示画素IM1および第2表示画素IM2のみを図示している。
【0094】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、光路変更素子40の姿勢を変化させることで、画像光LTの光路を、基準光路PL、第1シフト光路SL1、第2シフト光路SL2および第3シフト光路SL3の間で切り替える。
【0095】
第1シフト光路SL1は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において基準光路PLに対して第1方向D1にシフトした光路である。
第2シフト光路SL2は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において第1シフト光路SL1に対して第1方向D1と異なる第2方向D2にシフトした光路である。
第3シフト光路SL3は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において第2シフト光路SL2に対して第1方向D1および第2方向D2と異なる第3方向D3にシフトした光路である。
【0096】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、基準光路PLの画像光LTをスクリーンSCRの基準表示位置Pに位置させ、第1シフト光路SL1の画像光LTをスクリーンSCRの第1シフト表示位置S1に位置させ、第2シフト光路SL2の画像光LTをスクリーンSCRの第2シフト表示位置S2に位置させ、第3シフト光路SL3の画像光LTをスクリーンSCRの第3シフト表示位置S3に位置させる。
【0097】
本実施形態の場合、画素シフトデバイス104は、第2揺動軸J2回りの一方側に第2可動部243を回転させることで光路変更素子40の姿勢を変化させ、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第1シフト光路SL1に切り替える。このとき、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路はスクリーンSCR上で第1方向D1にシフトすることで表示画像IMの表示位置が基準表示位置Pから第1シフト表示位置S1に切り替わる。
【0098】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、第1シフト表示位置S1において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG11、SG12を区画するブラックマトリクスBMの画素間部分BM2に対応する領域に重ねる。
【0099】
つまり、本実施形態の画素シフトデバイス104は、第1シフト表示位置S1において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM11、IM12を区画する非表示部分Aの画素間部分A2に重ねている。
【0100】
本実施形態の場合、第1シフト表示位置S1において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光軸は基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMの画素間部分BM2に対応する領域の中心に位置する。つまり、表示画像IMの基準表示サブ画素IM0の中心IMcは非表示部分Aの画素間部分A2の中心A2cに位置する。
【0101】
このように本実施形態の画素シフトデバイス104は、画素シフト前における表示画像IMの非表示部分Aの画素間部分に、画素シフト後の表示画像IMの各表示画素を構成する各表示サブ画素を効率良く重ねることができる。よって、画素シフトデバイス104は、ブラックマトリクスBMの画素間部分BM2に相当する部分を目立たなくすることができる。
【0102】
続いて、画素シフトデバイス104は、第1揺動軸J1回りに第1可動部241を回動させることで光路変更素子40の姿勢を変化させ、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第2シフト光路SL2に切り替える。このとき、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路はスクリーンSCR上で第2方向D2にシフトすることで表示画像IMの表示位置が第1シフト表示位置S1から第2シフト表示位置S2に切り替わる。
【0103】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、第2シフト表示位置S2において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を第1シフト光路SL1からシフトさせ、基準表示位置Pにおいて第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG11、SG12と第2画素G2の第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG11、SG12に隣り合う2つのサブ画素SG21、SG22との4つの角部で囲まれるブラックマトリクスBMの交差部BM1に対応する領域に重ねる。
【0104】
つまり、本実施形態の画素シフトデバイス104は、第2シフト表示位置S2において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM11、IM12と第2表示画素IM2の第2表示サブ画素IM21,IM22との4つの角部で囲まれる非表示部分Aの交差部A1に重ねている。
【0105】
続いて、画素シフトデバイス104は、第2揺動軸J2回りの他方側に第2可動部243を回転させることで光路変更素子40の姿勢を変化させ、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第3シフト光路SL3に切り替える。このとき、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路はスクリーンSCR上で第3方向D3にシフトすることで表示画像IMの表示位置が第2シフト表示位置S2から第3シフト表示位置S3に切り替わる。
【0106】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、第3シフト表示位置S3において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を第2シフト光路SL2からシフトさせ、基準表示位置Pにおける第1画素G1の基準サブ画素SG0と第2画素G2における第1画素G1の基準サブ画素SG0に隣接するサブ画素SG21とを区画するブラックマトリクスBMの画素間部分BM3に対応する領域に重ねる。
【0107】
つまり、本実施形態の画素シフトデバイス104は、第3シフト表示位置S3において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて第1表示画素IM1の基準表示サブ画素IM0と第2表示画素IM2の第2表示サブ画素IM21とを区画する非表示部分Aの画素間部分A2に重ねている。
【0108】
続いて、本実施形態の画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第3シフト光路SL3から基準光路PLに切り替える。以下、同様にして画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を基準光路PL、第1シフト光路SL1、第2シフト光路SL2、第3シフト光路SL3、基準光路PLへと順に切り替えるシフト操作を繰り返す。
【0109】
以上のように本実施形態の画素シフトデバイス104によれば、第1アクチュエーター245および第2アクチュエーター246により光路変更素子40の姿勢を2軸で制御することで、スクリーンSCR上の表示画像IMの表示位置を種々な方向にシフトさせることができる。本実施形態の場合、画像光LTの光路を4回シフトさせるため、スクリーンSCR上の表示画像IMの見掛け上の画素数をより増加することができる。よって、本実施形態のプロジェクターは、スクリーンSCR上の表示画像IMの解像度をより高めることができる。
【0110】
また、本実施形態の画素シフトデバイス104においても、画像光LTの光路を反射することで変更する光路変更素子40を揺動させる構成を採用するため、構造が複雑化することなく、小型および軽量化を実現できる。
したがって、本実施形態のプロジェクターにおいても、小型および軽量の画素シフトデバイス104と光変調素子22として1枚の液晶パネル220を用いた単板方式の画像生成部2とを組み合わせることで、小型、軽量で携帯性に優れた高解像度のプロジェクターを提供できる。
【0111】
(第2変形例)
続いて、第2変形例として、第2実施形態のプロジェクターの変形例を説明する。本変形例と第2実施形態との違いは画素シフトデバイスの構成であり、それ以外の構成は共通である。このため、以下では画素シフトデバイスの構成を主に説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0112】
図8Aは本変形例の画素シフトデバイスの平面図である。
図8Bは本変形例の画素シフトデバイスにおける
図8AのB-B線矢視による断面図である。
図8Cは本変形例の画素シフトデバイスにおける
図8AのC-C線矢視による断面図である。
【0113】
図8A~
図8Cに示すように、本変形例の画素シフトデバイス104Aは、光路変更素子40と、光路変更素子40を保持する第1可動部341と、第1揺動軸J1回りに第1可動部341を揺動可能に連結する第2可動部343と、第2揺動軸J2回りに第2可動部343を揺動可能に連結するベース342と、第1揺動軸J1回りに第1可動部341を揺動させる第1アクチュエーター245と、第2揺動軸J2回りに第2可動部343を揺動させる第2アクチュエーター246と、第1連結部347と、第2連結部348と、を備える。
【0114】
本変形例の画素シフトデバイス104Aにおいて、第1可動部341と第2可動部343とベース342と第1アクチュエーター245と第2アクチュエーター246とは光路変更素子40の反射面40cと反対側に配置されている。
【0115】
本変形例において、第1可動部341は金属製の板状部材である。第1可動部341は光路変更素子40の裏面40dに配置される第1面341aと、第1面341aと反対側の第2面341bと、を有する。
【0116】
第1可動部341は、第1連結部347を介して第2可動部343に連結される。第1連結部347は、第1軸部347aと第1軸受け部347bとで構成される。第1軸部347aは第1可動部341の第2面341bに設けられている。第1軸受け部347bは後述のように第2可動部343に設けられている。
【0117】
本変形例において、第1可動部341の第1揺動軸J1は第1軸部347aの中心を通る仮想軸である。第1揺動軸J1は、第1可動部341に保持される矩形状の光路変更素子40の外周辺のうち互いに平行な一対の辺に沿って延び、かつ、光路変更素子40の中心を通る軸である。
【0118】
第2可動部343は、光路変更素子40および第1可動部341を保持する金属製の板状部材である。第2可動部343は、第1可動部341の第2面341bに対向する第4面343bを有する。
第1連結部347を構成する第1軸受け部347bは、第2可動部343の第4面343bに設けられている。第1軸受け部347bは第1可動部141に設けられた第1軸部347aを揺動可能に支持する。これにより、第1可動部341は第2可動部343の第4面343bに対して第1揺動軸J1回りに揺動可能となっている。
【0119】
ベース342は、第2可動部343を保持する金属製の板状部材である。ベース342は第2可動部343の周囲に枠状に配置される。ベース342は、第2可動部343の外側面343aに対向するベース内側面342aを有する。
【0120】
第2可動部343は、第2連結部348を介してベース342に連結される。第2連結部348は第2可動部343の外側面とベース342の内側面とを揺動可能に連結する一対の軸部材348aで構成される。一対の軸部材348aは、矩形状である第2可動部343の4つの外側面343aのうち互いに平行な一対の面からそれぞれ突出し、ベース242のベース内側面342aに連結される。第2可動部343はベース342に対して第2揺動軸J2回りに揺動可能とされている。
【0121】
本変形例において、第2可動部343の第2揺動軸J2は一対の軸部材348aの中心を通る仮想軸である。第2揺動軸J2は第1揺動軸J1と直交し、かつ、第1可動部241に支持された光路変更素子40の中心を通る軸である。
【0122】
第1アクチュエーター245は、第1揺動軸J1に交差する方向において、第1可動部341の第2面341bに配置された第1磁石245aと、第2可動部343の第4面343bに配置された第1コイル245bと、を有する。このため、第1アクチュエーター245は、第1磁石245aおよび第1コイル245b間に第1揺動軸J1に交差する方向の力を生じさせる。
【0123】
図8Bに示すように、第1磁石245aは、平面形状が矩形である第1可動部341の第2面341bのうち第1揺動軸J1に直交する第2揺動軸J2に沿う方向の一端に位置する外縁部341b1に配置されている。第1磁石245aはバックヨークとして機能する磁石枠46を介して第1可動部341の外縁部341b1に配置されている。第1コイル245bは、平面形状が矩形である第2可動部343の第4面343bのうち第1揺動軸J1に直交する第2揺動軸J2に沿う方向の一端に位置する外縁部343a1に配置されている。第1コイル245bはバックヨークとして機能するコイル枠47を介してベース342の外縁部343a1に配置されている。
【0124】
なお、第1磁石245aおよび第1コイル245bの位置は入れ替えてもよい。つまり、第1磁石245aが第2可動部343の外縁部343a1に配置され、第1コイル245bが第1可動部341の外縁部341b1に配置されてもよい。
【0125】
第2アクチュエーター246は、第2揺動軸J2に交差する方向において、第2可動部343の外側面343aに配置された第2磁石246aと、ベース342のベース内側面342aに配置され第2磁石246aに対向する第2コイル246bと、を有する。第2磁石246aはバックヨークとして機能する磁石枠46を介して第2可動部343の外側面343aに配置されている。第2コイル246bはバックヨークとして機能するコイル枠47を介してベース342のベース内側面342aに配置されている。
【0126】
なお、第2磁石246aおよび第2コイル246bの位置は入れ替えてもよい。つまり、第2磁石246aがベース342のベース内側面342aに配置され、第2コイル246bが第2可動部343の外側面343aに配置されてもよい。
【0127】
本変形例の画素シフトデバイス104Aは、第2実施形態の画素シフトデバイス104と同様、光路変更素子40の姿勢を2軸で制御することができる。このため、本変形例においてもスクリーンSCR上の表示画像IMの表示位置を種々な方向にシフトさせることができる。
本変形例の画素シフトデバイス104Aは、光路変更素子40の反射面40cの反対側の裏面40dに第1可動部341、第1アクチュエーター245、ベース242および第2アクチュエーター246を配置するため、光路変更素子40の外周に部材が配置されない。よって、本変形例の画素シフトデバイス104Aは、光路変更素子40における外周部の大型化を抑制できる。
本変形例のプロジェクターにおいても画素シフトデバイス104Aを備えることで1枚の液晶パネル220を用いた単板方式による装置構成を小型化しつつ、スクリーンSCRに投射する画像の高解像度化を実現できる。
【0128】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
その他、プロジェクターを構成する各種構成要素の数、配置、形状および材料等の具体的な構成は、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
【0129】
例えば、第1実施形態の画素シフトデバイス4および第1変形例の画素シフトデバイス4Aによる画像光LTのシフト方向は上記態様に限られない。画像光LTのシフトせる方向は光路変更素子40と第1揺動軸J1との位置関係や第1揺動軸J1回りに光路変更素子40を回転させる方向に応じて適宜調整可能である。
【0130】
同様に、第2実施形態の画素シフトデバイス104および第2変形例の画素シフトデバイス104Aによる画像光LTのシフト方向は上記態様に限られない。画像光LTのシフトせる方向は光路変更素子40と第1揺動軸J1および第2揺動軸J2との位置関係や第1揺動軸J1あるいは第2揺動軸J2回りに光路変更素子40を回転させる方向の組み合わせに応じて適宜調整可能である。
【0131】
また、上記実施形態および変形例において、液晶パネル220の画素領域GAの各画素Gは行方向R1に順に並んで配置された3つのサブ画素で構成される場合を例に挙げたが、各画素は4つのサブ画素で構成されていてもよい。例えば、4つのサブ画素は、赤、青、黄色、緑の色光を射出する画素でそれぞれ構成される。
【0132】
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
光源と、
前記光源から射出された光を変調して画像光を生成する1つの光変調素子を含む画像生成部と、
前記画像生成部の前記光変調素子から射出された前記画像光を反射することで前記画像光の光路を変更する光路変更素子を含み、前記画像光の光路を基準光路とシフト光路との間で切り替え可能な画素シフトデバイスと、
前記画素シフトデバイスから射出された前記画像光を投射する投射光学系と、を備える、
ことを特徴とするプロジェクター。
【0133】
この構成のプロジェクターによれば、画素シフトデバイスの光路変更素子によって画像光の光路を基準光路とシフト光路との間で切り替えることで、被投射面上の画像表示位置をシフトさせることができる。これにより、被投射面上の表示画像の見掛け上の画素数を増加させることができる。また、画素シフトデバイスは、画像光の光路を変更する光路変更素子を揺動させる構成を採用するため、構造が複雑化することなく、小型および軽量化を実現できる。
したがって、この構成のプロジェクターによれば、小型および軽量の画素シフトデバイスと1つの光変調素子を用いた単板方式の画像生成部とを組み合わせることで、小型、軽量で携帯性に優れた高解像度のプロジェクターを提供できる。
【0134】
(付記2)
前記画素シフトデバイスは、
前記光路変更素子を保持する第1可動部と、
第1揺動軸回りに前記第1可動部を揺動可能に連結するベースと、
前記第1可動部を揺動させる第1アクチュエーターと、を備える、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0135】
この構成によれば、第1アクチュエーターによって光路変更素子を保持する第1可動部を第1揺動軸回りに揺動させることで被投射面に投射する画像の解像度を疑似的に向上させることができる。
【0136】
(付記3)
前記画素シフトデバイスは、前記第1揺動軸上に位置し前記第1可動部と前記ベースとを揺動可能に連結する連結部をさらに備え、
前記第1可動部は、前記光路変更素子の周囲に配置され、
前記ベースは、前記第1可動部の周囲に配置され、
前記連結部は、前記第1可動部の外縁部の一部と前記ベースの内縁部の一部とを揺動可能に連結し、
前記第1アクチュエーターは、前記第1揺動軸に交差する方向において、前記第1可動部の前記外縁部の他の一部と前記ベースの前記内側面の他の一部のうち一方に配置された第1磁石と、他方に配置され前記第1磁石に対向する第1コイルと、を有する、
ことを特徴とする付記2に記載のプロジェクター。
【0137】
この構成によれば、光路変更素子の周囲に第1可動部およびベースが配置されるため、光路変更素子の厚み方向の厚さを薄くすることができる。
【0138】
(付記4)
前記光路変更素子は、前記画像光を反射する反射面を有し、
前記第1可動部は、前記光路変更素子の前記反射面と反対側の裏面に配置される第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、
前記ベースは、前記第1可動部の前記第2面に対向する第3面を有し、
前記第1揺動軸は、前記第1可動部の前記第2面と前記ベースの前記第3面との間に位置し、
前記第1アクチュエーターは、前記第1揺動軸に交差する方向において、前記第1可動部の前記第2面と前記ベースの前記第3面のうち一方に配置された第1磁石と、他方に配置され前記第1磁石に対向する第1コイルと、を有する、
ことを特徴とする付記2に記載のプロジェクター。
【0139】
この構成によれば、光路変更素子の反射面と反対側の裏面に第1可動部、第1アクチュエーターおよびベースを配置することで光路変更素子の外周に部材が配置されていないため、光路変更素子における外周部の大型化を抑制できる。
【0140】
(付記5)
前記画素シフトデバイスは、
前記光路変更素子を保持する第1可動部と、
第1揺動軸回りに前記第1可動部を揺動可能に連結する第2可動部と、
前記第1揺動軸と直交する第2揺動軸回りに前記第2可動部を揺動可能に連結するベースと、
前記第1揺動軸回りに前記第1可動部を揺動させる第1アクチュエーターと、
前記第2揺動軸回りに前記第2可動部を揺動させる第2アクチュエーターと、を備える、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0141】
この構成によれば、第1アクチュエーターによって光路変更素子を保持する第1可動部を第1揺動軸回りに揺動させ、第2アクチュエーターによって第1可動部を保持するベースを第2揺動軸回りに揺動させることで被投射面に投射する画像の解像度を疑似的に向上させることができる。
【0142】
(付記6)
前記画素シフトデバイスは、前記第1揺動軸上に位置し前記第1可動部と前記第2可動部とを連結する第1連結部と、前記第2揺動軸上に位置し前記第2可動部と前記ベースとを連結する第2連結部と、をさらに備え、
前記第1可動部は、前記光路変更素子の周囲に配置され、
前記第2可動部は、前記第1可動部の周囲に配置され、前記第1可動部の外側面に対向する内側面を有し、
前記ベースは、前記第2可動部の周囲に配置され、前記第2可動部の外側面に対向するベース内側面を有し、
前記第1連結部は、前記第1可動部の外側面と前記第2可動部の内側面とを揺動可能に連結し、
前記第2連結部は、前記第2可動部の外側面と前記ベースの前記ベース内側面とを揺動可能に連結し、
前記第1アクチュエーターは、前記第1揺動軸に交差する方向において、前記第1可動部の外側面と前記第2可動部の内側面とのうち一方に配置された第1磁石と、他方に配置され前記第1磁石に対向する第1コイルと、を有し、
前記第2アクチュエーターは、前記第2揺動軸に交差する方向において、前記第2可動部の外側面と前記ベースの前記ベース内側面のうち一方に配置された第2磁石と、他方に配置され前記第2磁石に対向する第2コイルと、を有する、
ことを特徴とする付記5に記載のプロジェクター。
【0143】
この構成によれば、光路変更素子の周囲に第1可動部、第2可動部およびベースが配置されるため、光路変更素子の厚み方向の厚さを薄くすることができる。
【0144】
(付記7)
前記画素シフトデバイスは、前記第1揺動軸上に位置し前記第1可動部と前記第2可動部とを揺動可能に連結する第1連結部と、前記第2揺動軸上に位置し前記第2可動部と前記ベースとを揺動可能に連結する第2連結部と、をさらに備え、
前記光路変更素子は、前記画像光を反射する反射面を有し、
前記第1可動部は、前記光路変更素子の前記反射面と反対側の裏面に配置される第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、
前記第2可動部は、前記第1可動部の前記第2面に対向する第4面を有し、
前記ベースは、前記第2可動部の周囲に配置され、前記第2可動部の外側面に対向するベース内側面を有し、
前記第1連結部は、前記第1可動部の前記第2面と前記第2可動部の前記第4面との間に配置され、
前記第2連結部は、前記第2可動部の外側面と前記ベースの前記ベース内側面とを連結する軸部材であり、
前記第1アクチュエーターは、前記第1揺動軸に交差する方向において、前記第1可動部の前記第2面と前記ベースの前記ベース内側面のうち一方に配置された第1磁石と、他方に配置された第1コイルと、を有し、
前記第2アクチュエーターは、前記第2揺動軸に交差する方向において、前記第2可動部の外側面と前記ベースの内側面のうち一方に配置された第2磁石と、他方に配置された第2コイルと、を有する、
ことを特徴とする付記5に記載のプロジェクター。
【0145】
この構成によれば、光路変更素子の反射面と反対側の裏面に第1可動部、第1アクチュエーター、第2可動部およびベースを配置することで光路変更素子の外周に部材が配置されていないため、光路変更素子における外周部の大型化を抑制できる。
【0146】
(付記8)
内部筐体と、
前記光源と前記光源の光射出側に設けられるリフレクターとで構成された光源ユニットと、をさらに備え、
前記画像生成部は、透過型の液晶パネルからなる前記光変調素子の光入射側に配置された第1フレネルレンズと、前記光変調素子の光出射側に配置された第2フレネルレンズと、をさらに含み、
前記光源ユニット、前記画像生成部、前記投射光学系および前記画素シフトデバイスは、前記内部筐体に固定される、
ことを特徴とする付記1から付記7のうちのいずれか一つに記載のプロジェクター。
【0147】
この構成によれば、内部筐体に各構成部品を固定することでプロジェクターの組み立て性を容易にできる。
【0148】
(付記9)
前記画素シフトデバイスを冷却するファンをさらに備え、
前記ファンは、前記画素シフトデバイスの前記光路変更素子における光射出方向と反対側に配置されている、
ことを特徴とする付記1から付記8のうちのいずれか一つに記載のプロジェクター。
【0149】
この構成によれば、光路変更素子の光射出方向と反対側の空間を利用して画素シフトデバイスを冷却することができる。また、光路変更素子の光入射側にファンが位置しないため、画像光をファンが遮ることなく光路変更素子を冷却することができる。
【符号の説明】
【0150】
1…光源ユニット、2…画像生成部、3…投射光学系、4,4A,104,104A…画素シフトデバイス、5…ファン、6…内部筐体、10…光源、11…リフレクター、21…第1フレネルレンズ、22…光変調素子、23…第2フレネルレンズ、40…光路変更素子、40c…反射面、40d…裏面、41,141,241,341…第1可動部、41a,241a…第1可動部の外側面、243b,343a…第2可動部の外側面、42,142,242,342…ベース、42a,242a,342a…ベース内側面、43,245…第1アクチュエーター、43a,245a…第1磁石、43b,245b…第1コイル、44…連結軸部、100…プロジェクター、141a,341a…第1面、141b,341b…第2面、142a…第3面、220…液晶パネル、243,343…第2可動部、243a…第2可動部の内側面、246…第2アクチュエーター、246a…第2磁石、246b…第2コイル、247,347…第1連結部、248,348…第2連結部、343b…第4面、348a…軸部材、G…画素、J1…第1揺動軸、J2…第2揺動軸、LT…画像光、PL…基準光路、SL…シフト光路。