(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077766
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】材料貯蔵装置、材料貯蔵装置の制御方法、シート製造装置
(51)【国際特許分類】
D21C 5/02 20060101AFI20240603BHJP
D04H 1/732 20120101ALI20240603BHJP
D21B 1/06 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
D21C5/02
D04H1/732
D21B1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189906
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】大田 昌紀
(72)【発明者】
【氏名】本橋 弘次
【テーマコード(参考)】
4L047
4L055
【Fターム(参考)】
4L047AA08
4L047AB02
4L047AB06
4L047CC11
4L047EA03
4L055AA11
4L055CA01
4L055DA09
4L055DA17
4L055FA30
(57)【要約】
【課題】投入時に紙片の噴き出しを抑制可能な材料貯蔵装置を提供する。
【解決手段】材料貯蔵装置は、紙片を収容し、前記紙片を内部に投入可能な投入口を備えた材料収容部と、前記投入口を開閉可能な蓋部と、を有する材料貯蔵部と、第1ブロアーを有し、前記材料収容部内に加湿された空気を供給する加湿部と、第2ブロアーを有し、前記材料収容部内の空気を吸引する空気循環部と、を備え、前記蓋部が開状態の時、前記材料収容部内が負圧となる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙片を収容し、前記紙片を内部に投入可能な投入口を備えた材料収容部と、前記投入口を開閉可能な蓋部と、を有する材料貯蔵部と、
第1ブロアーを有し、前記材料収容部内に加湿された空気を供給する加湿部と、
第2ブロアーを有し、前記材料収容部内の空気を吸引する空気循環部と、を備え、
前記蓋部が開状態の時、前記材料収容部内が負圧となることを特徴とする材料貯蔵装置。
【請求項2】
請求項1に記載の材料貯蔵装置であって、
前記投入口に対する前記蓋部の開閉状態を検出する検出部と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記蓋部が開状態であると判定した時、前記第1ブロアーを停止させることを特徴とする材料貯蔵装置。
【請求項3】
請求項1に記載の材料貯蔵装置であって、
前記投入口に対する前記蓋部の開閉状態を検出する検出部と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記蓋部が開状態であると判定した時、前記第1ブロアーを減速させることを特徴とする材料貯蔵装置。
【請求項4】
請求項1に記載の材料貯蔵装置であって、
前記投入口に対する前記蓋部の開閉状態を検出する検出部と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記蓋部が開状態であると判定した時、前記第1ブロアーを停止させ、所定時間経過後に前記第2ブロアーを停止させることを特徴とする材料貯蔵装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の材料貯蔵装置を備えたシート製造装置。
【請求項6】
紙片を収容し、前記紙片を内部に投入可能な投入口を備えた材料収容部と、前記投入口を開閉可能な蓋部と、を有する材料貯蔵部と、第1ブロアーを有し、前記材料収容部内に加湿された空気を供給する加湿部と、第2ブロアーを有し、前記材料収容部内の空気を吸引する空気循環部と、を備えた材料貯蔵装置の制御方法であって、
前記蓋部が開状態の時、前記材料収容部内を負圧にさせることを特徴とする材料貯蔵装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の材料貯蔵装置の制御方法であって、
前記蓋部が開状態の時、前記第1ブロアーを停止させることを特徴とする材料貯蔵装置の制御方法。
【請求項8】
請求項6に記載の材料貯蔵装置の制御方法であって、
前記蓋部が開状態の時、前記第1ブロアーを減速させることを特徴とする材料貯蔵装置の制御方法。
【請求項9】
請求項6に記載の材料貯蔵装置の制御方法であって、
前記蓋部が開状態の時、前記第1ブロアーを停止させ、所定時間経過後に前記第2ブロアーを停止させることを特徴とする材料貯蔵装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料貯蔵装置、材料貯蔵装置の制御方法、及びシート製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、細断された紙材を目的箇所へ供給する紙材供給装置が開示されている。当該紙材供給装置は、内部に移送空間を有する中空状の移送路部材と、移送路部材の上流側に設けられて移送路部材内に紙材を投入する紙材投入部と、移送路部材の下流側に設けられて移送路部材内から目的箇所へ紙材を排出する排出部と、移送路部材内に送風して、紙材投入部から移送路部材内に投入された紙材を排出部へ流す気流を発生させる送風機とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような紙材供給装置では、紙材投入部に向けて外部から一定量の紙材を投入する。このとき、紙材投入時に発生する対流や紙材投入部に貯留された紙材への衝撃等によって紙材や紙粉が舞い上がり、紙材投入部から外部に向けて紙材等が噴き出すおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
材料貯蔵装置は、紙片を収容し、前記紙片を内部に投入可能な投入口を備えた材料収容部と、前記投入口を開閉可能な蓋部と、を有する材料貯蔵部と、第1ブロアーを有し、前記材料収容部内に加湿された空気を供給する加湿部と、第2ブロアーを有し、前記材料収容部内の空気を吸引する空気循環部と、を備え、前記蓋部が開状態の時、前記材料収容部内が負圧となる。
【0006】
シート製造装置は、上記材料貯蔵装置を備える。
【0007】
材料貯蔵装置の制御方法は、紙片を収容し、前記紙片を内部に投入可能な投入口を備えた材料収容部と、前記投入口を開閉可能な蓋部と、を有する材料貯蔵部と、第1ブロアーを有し、前記材料収容部内に加湿された空気を供給する加湿部と、第2ブロアーを有し、前記材料収容部内の空気を吸引する空気循環部と、を備えた材料貯蔵装置の制御方法であって、前記蓋部が開状態の時、前記材料収容部内を負圧にさせる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態にかかるシート製造装置の構成を示す模式図。
【
図2】第1実施形態にかかる材料貯蔵装置の構成を示す模式図。
【
図3A】第1実施形態にかかる材料貯蔵部の構成を示す外観図。
【
図3B】第1実施形態にかかる材料貯蔵部の構成を示す外観図。
【
図4】第1実施形態にかかる材料貯蔵装置の制御構成を示すブロック図。
【
図5】第1実施形態にかかる材料貯蔵装置の制御方法を示すフローチャート。
【
図6】第2実施形態にかかる材料貯蔵装置の制御方法を示すフローチャート。
【
図7】第3実施形態にかかる材料貯蔵装置の制御方法を示すフローチャート。
【
図8】第4実施形態にかかる材料貯蔵装置の制御方法を示すフローチャート。
【
図9】第5実施形態にかかる材料貯蔵装置の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.第1実施形態
まず、シート製造装置1の構成について説明する。シート製造装置1は、シートSを形成する装置である。
図1に示すように、シート製造装置1は、材料貯蔵装置10と、定量供給部11と、解繊部20と、選別部40と、第1ウェブ形成部45と、回転体49と、混合部50と、堆積部60と、ウェブ搬送部80と、加湿部90と、加圧部100と、切断部120と、を含む。さらに、シート製造装置1は、材料貯蔵装置10や上記各部の駆動機構を制御する制御部150を備える。
【0010】
材料貯蔵装置10は、原料を貯蔵する装置である。材料貯蔵装置10に貯蔵される原料は、各種繊維を含む材料である。
【0011】
繊維としては、特に限定されず、広範な繊維材料を用いることができる。繊維としては、天然繊維(動物繊維、植物繊維)、化学繊維(有機繊維、無機繊維、有機無機複合繊維)などを例示できる。繊維は、更に詳しくは、セルロース、絹、羊毛、綿、大麻、ケナフ、亜麻、ラミー、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、針葉樹、広葉樹等からなる繊維等が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよいし、精製などを行った再生繊維として用いてもよい。
【0012】
繊維の原料としては、例えば、パルプ、古紙、古布等が挙げられる。また、繊維は、各種の表面処理がされていてもよい。また、繊維の材質は、純物質であってもよいし、不純物及びその他の成分など、複数の成分を含む材質であってもよい。また、繊維として、古紙やパルプシートなどを乾式で解繊した解繊物を用いてもよい。
【0013】
繊維の長さは、特に限定されないが、独立した1本の繊維で、その繊維の長手方向に沿った長さは、1μm以上5mm以下、好ましくは、2μm以上3mm以下、より好ましくは3μm以上2mm以下である。
【0014】
シート製造装置1では、加湿部90において水分を付与するので、水素結合を形成する能力のある繊維を用いると、形成されるシートSの機械的強度を高めることができる。そのような繊維としては、セルロースが挙げられる。
【0015】
シートSにおける繊維の含有量は、例えば、50質量%以上99.9質量%以下、好ましくは、60質量%以上99質量%以下、より好ましくは70質量%以上99質量%以下である。混合物を形成する際に配合を行うことで、このような含有量とすることができる。
【0016】
本実施形態における材料貯蔵装置10は、紙片を貯蔵する。紙片は、シュレッダー等を用いて古紙等を裁断したものである。紙片の形状や大きさは、例えば、数mm角から数cm角の細片である。材料貯蔵装置10に貯蔵された紙片は、定量供給部11に供給される。
なお、材料貯蔵装置10の詳細な構成は後述する。
【0017】
定量供給部11(例えば、ロードセル)は、紙片の重量を計測し、一定重量の紙片を、ホッパー14を介して随時解繊部20に供給する。
【0018】
解繊部20は、供給された原料(紙片)を解繊する。ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20は、原料に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。
【0019】
解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂粒や、インク、トナーなどの色剤や、にじみ防止材、紙力増強剤等の添加剤を含んでいる場合もある。解きほぐされた解繊物の形状は、ひも状である。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態、すなわち独立した状態で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となった状態、すなわちダマを形成している状態で存在してもよい。
【0020】
解繊部20は、乾式で解繊を行う。ここで、液体中ではなく、大気中等の気中において、解繊等の処理を行うことを乾式と称する。解繊部20としては、例えば、インペラーミルを用いる。解繊部20は、原料を吸引し、解繊物を排出するような気流を発生させる機能を有する。これにより、解繊部20は、自ら発生する気流によって、導入口22から原料を気流と共に吸引し、解繊処理して、解繊物を排出口24へと搬送することができる。解繊部20を通過した解繊物は、管16を介して、選別部40に移送される。なお、解繊部20から選別部40に解繊物を搬送させるための気流は、解繊部20が発生させる気流を利用してもよいし、ブロアー等の気流発生装置を設け、その気流を利用してもよい。
【0021】
選別部40は、解繊部20により解繊された解繊物を導入口42から導入し、繊維の長さによって選別する。選別部40は、例えば、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43と、を有する。ドラム部41としては、例えば、篩を用いる。ドラム部41は、網を有し、網の目開きの大きさより小さい繊維又は粒子、すなわち網を通過する第1選別物と、網の目開きの大きさより大きい繊維や未解繊片やダマ、すなわち網を通過しない第2選別物と、を分けることができる。例えば、第1選別物は、管17を介して、堆積部60に移送される。第2選別物は、排出口44から管18を介して、解繊部20に戻される。具体的には、ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部41の網としては、例えば、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いる。
【0022】
第1ウェブ形成部45は、選別部40を通過した第1選別物を、管17に搬送する。第1ウェブ形成部45は、例えば、メッシュベルト46と、張架ローラー47と、サクション機構48と、を有する。
【0023】
サクション機構48は、選別部40の開口を通過して空気中に分散された第1選別物をメッシュベルト46上に吸引することができる。これにより、第1選別物は、移動するメッシュベルト46上に堆積する。
【0024】
メッシュベルト46には、選別部40の開口を通過した第1選別物が堆積される。メッシュベルト46は、張架ローラー47によって張架され、第1選別物を通し難く空気を通す構成である。メッシュベルト46は、張架ローラー47が自転することによって移動する。メッシュベルト46が連続的に移動しながら、選別部40を通過した第1選別物が連続的に降り積もることにより、メッシュベルト46上にウェブVが形成される。
【0025】
サクション機構48は、メッシュベルト46の下方に設けられる。サクション機構48は、下方に向く気流を発生させることができる。サクション機構48によって、選別部40により空気中に分散された第1選別物をメッシュベルト46上に吸引することができる。これにより、選別部40からの排出速度を大きくすることができる。
【0026】
ウェブVは、選別部40及び第1ウェブ形成部45を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態に形成される。メッシュベルト46に堆積されたウェブVは、管17へ投入され、堆積部60へと搬送される。
【0027】
回転体49は、ウェブVを切断する。図示の例では、回転体49は、基部49aと、基部49aから突出している突部49bと、を有する。突部49bは、例えば、板状の形状を有する。図示の例では、突部49bは4つ設けられ、4つの突部49bが等間隔に設けられる。基部49aが方向Rに回転することにより、突部49bは、基部49aを軸として回転することができる。回転体49によってウェブVを切断することにより、例えば、堆積部60に供給される単位時間当たりの繊維量の変動を小さくすることができる。
【0028】
回転体49は、第1ウェブ形成部45の近傍に設けられる。図示の例では、回転体49は、ウェブVの経路において下流側に位置する張架ローラー47aの近傍に設けられる。回転体49は、突部49bがウェブVと接触可能な位置であって、ウェブVが堆積されるメッシュベルト46と接触しない位置に設けられる。これにより、メッシュベルト46が突部49bによって摩耗することを抑制することができる。突部49bとメッシュベルト46との間の最短距離は、例えば、0.05mm以上0.5mm以下である。これは、メッシュベルト46が損傷を受けずにウェブVを切断することが可能な距離である。
【0029】
混合部50は、選別部40を通過した第1選別物(繊維)と、結着剤としての澱粉と、を混合する。混合部50は、澱粉を供給する澱粉供給部52と、第1選別物と澱粉とを搬送する管54と、ブロアー56と、を有する。図示の例では、澱粉は、澱粉供給部52からホッパー19を介して管54に供給される。管54は、管17に接続される。
【0030】
混合部50では、ブロアー56によって気流を発生させ、管54中において、第1選別物と澱粉とを混合させながら、搬送することができる。なお、第1選別物と澱粉とを混合させる機構は、特に限定されず、高速回転する羽根により攪拌するものであってもよいし、V型ミキサーのように容器の回転を利用するものであってもよい。
【0031】
澱粉供給部52としては、スクリューフィーダーや、ディスクフィーダーなどを用いる。
【0032】
澱粉供給部52から供給される澱粉は、複数のα-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した高分子である。澱粉は、直鎖状であってもよいし、分岐を含んでもよい。
【0033】
澱粉は、各種植物由来のものを用いることができる。澱粉の原料としては、トウモロコシ、小麦、米等の穀類、ソラマメ、緑豆、小豆等の豆類、ジャガイモ、サツマイモ、タピオカ等のイモ類、カタクリ、ワラビ、葛等の野草類、サゴヤシ等のヤシ類が挙げられる。
【0034】
また、澱粉として加工澱粉、変性澱粉を用いてもよい。加工澱粉としては、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化澱粉、酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸物エステル化リン酸架橋澱粉、尿素リン酸化エステル化澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、高アミロースコーンスターチ等が挙げられる。また、変性澱粉としてのデキストリンは、澱粉を加工又は変性して得られるものを好適に用いることができる。
【0035】
シート製造装置1において、結着剤として澱粉を用いることにより、合成樹脂を用いる場合に比べて環境負荷を低減できる。また、澱粉を含む繊維(第1選別物)に水分が付与された後に加圧加熱されることで、澱粉の糊化による繊維間の結合、及び、繊維間の水素結合の少なくとも一方が生じ、シートSに十分な強度を持たせることができる。なお、繊維間の水素結合のみでシートSに十分な強度を持たせることができる場合は、澱粉を用いずにシートSを製造することもできる。澱粉を用いずにシートSを製造する場合、シート製造装置1は澱粉供給部52を備えていなくてもよい。
【0036】
シートSにおける澱粉の含有量は、例えば、0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは、1質量%以上40質量%以下、より好ましくは1質量%以上30質量%以下である。混合物を形成する際に配合を行うことで、このような含有量とすることができる。
【0037】
なお、澱粉供給部52では、澱粉に加え、製造されるシートSの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や澱粉の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃え難くするための難燃剤が含まれていてもよい。混合部50を通過した混合物は、管54を介して、堆積部60に移送される。
【0038】
堆積部60は、混合部50を通過した混合物を導入口62から導入し、絡み合った繊維をほぐして、空気中で分散させながら降らせる。これにより、堆積部60は、第2ウェブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
【0039】
堆積部60は、例えば、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部63と、を有する。ドラム部61としては、回転する円筒の篩を用いる。ドラム部61は、網を有し、混合部50を通過した混合物に含まれる、網の目開きの大きさより小さい繊維又は粒子を降らせる。ドラム部61の構成は、例えば、ドラム部41の構成と同じである。
【0040】
なお、ドラム部61の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ドラム部61として用いられる「篩」とは、網を備えたもの、という意味であり、ドラム部61は、ドラム部61に導入された混合物の全てを降らしてもよい。
【0041】
堆積部60は、第2ウェブ形成部70を備える。第2ウェブ形成部70は、ドラム部61を通過した混合物を堆積して、ウェブWを形成する。第2ウェブ形成部70は、例えば、第1メッシュベルト72と、張架ローラー74と、サクション機構76と、を有する。
【0042】
第1メッシュベルト72には、堆積部60の開口を通過した混合物が堆積される。第1メッシュベルト72は、張架ローラー74によって張架され、混合物を通し難く空気を通す構成である。第1メッシュベルト72は、張架ローラー74が自転することによって移動する。第1メッシュベルト72が連続的に移動しながら、堆積部60を通過した混合物が連続的に降り積もることにより、第1メッシュベルト72上にウェブWが形成される。
【0043】
サクション機構76は、第1メッシュベルト72の下方に設けられる。サクション機構76は、下方に向く気流を発生させることができる。サクション機構76によって、ドラム部61により空気中に分散された混合物を第1メッシュベルト72上に吸引することができる。これにより、堆積部60からの排出速度を大きくすることができる。さらに、サクション機構76によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に繊維や澱粉が絡み合うことを防ぐことができる。
【0044】
以上のように、堆積部60を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態のウェブWが形成される。
【0045】
第1メッシュベルト72上におけるウェブWの搬送方向の下流側にはウェブ搬送部80が配置される。ウェブ搬送部80は、第1メッシュベルト72上のウェブWを、第1メッシュベルト72から剥がして加圧部100に向けて搬送する。
ウェブ搬送部80は、搬送ベルトとしての第2メッシュベルト81と、複数のローラー82と、吸引部としてのサクション機構83と、を有する。第2メッシュベルト81は、複数のローラー82によって張架され、空気を通す構成となっている。第2メッシュベルト81は、ローラー82の自転により回転駆動可能に構成される。サクション機構83は、第2メッシュベルト81を挟んでウェブWに対して対向する位置に配置される。サクション機構83は、吸気ファン(図示せず)を備え、当該吸気ファンの吸引力によって第2メッシュベルト81に上向きの気流を発生させる。この気流によってウェブWを吸引する。
【0046】
これにより、ウェブWを第1メッシュベルト72から剥がし、第1メッシュベルト72から剥がされたウェブWの上面である他方面Wbを、第2メッシュベルト81に接触させることができる。そして、ウェブWの他方面Wbが、第2メッシュベルト81に接触して、ウェブWが保持された状態で搬送される。
【0047】
ウェブ搬送部80の下方には加湿部90が配置される。加湿部90は、第2メッシュベルト81と対向するように配置される。加湿部90は、第2メッシュベルト81に接触しているウェブWの下面である一方面Wa側から水分を付与する。加湿部90では、水分として、加湿空気(例えば、水蒸気やミスト)をウェブWに付与する。
【0048】
サクション機構83は、第2メッシュベルト81を挟んで加湿部90と対向する位置に配置される。サクション機構83は、加湿部90から排出されたミストを吸引する。排出口93から排出されたミストは、排出口93に対向して配置されたサクション機構83に吸引される。これにより、ミストはウェブWを介してサクション機構83に吸引されるので、ウェブWの厚み方向において水分を付与できる。
【0049】
加湿部90において水分が付与されたウェブWの含水率は、例えば、12質量%以上40質量%以下である。当該ウェブ含水率により、繊維間の水素結合を効果的に形成でき、シートSの強度を増加させることができる。
【0050】
ウェブ搬送部80及び加湿部90の下流には加圧部100が配置される。水分が付与されたウェブWは、加圧部100へと搬送される。
【0051】
加圧部100は、加湿されたウェブWに対して加圧して、シートSを形成する。加圧部100は、ウェブWの一方面Waと接触する第1ローラー101とウェブWの他方面Wbと接触する第2ローラー102とを有する。本実施形態の第1ローラー101及び第2ローラー102は、それぞれ加熱用のヒーター(例えば、ハロゲンヒーター)を内蔵している。本実施形態の加圧部100は、ウェブWに対して加圧と加熱とが同時に実行されるので、シートSの生産性を向上させることができる。また、シート製造装置1の構成を簡素化できる。また、ウェブWに含まれる水分が温度上昇した後に蒸発するとともに、ウェブWの厚さが薄くなって繊維密度が高められる。熱により水分と澱粉とが温度上昇し、圧力により繊維密度が高まることに加え、澱粉が糊化し、その後水分が蒸発することにより糊化した澱粉を介して複数の繊維同士が結着する。さらに、熱により水分が蒸発し、圧力により繊維密度が高まることにより、水素結合によって複数の繊維が結着する。
加圧部100の下流には切断部120が配置される。加圧部100によって形成されたシートSは切断部120へと搬送される。
【0052】
切断部120は、加圧部100によって形成されたシートSを切断する。図示の例では、切断部120は、シートSの搬送方向と交差する方向にシートSを切断する第1切断部122と、搬送方向に平行な方向にシートSを切断する第2切断部124と、を有する。第2切断部124は、第1切断部122を通過したシートSを切断する。
以上により、所定のサイズの単票のシートSが形成される。切断された単票のシートSは、受け部130に排出される。
【0053】
次に、材料貯蔵装置10の詳細な構成について説明する。
図2、
図3A及び
図3Bに示すように、材料貯蔵装置10は、紙片を貯蔵する材料貯蔵部200と、加湿部220と、空気循環部230と、を備える。
【0054】
材料貯蔵部200は、材料収容部201と、蓋部210と、を備える。
材料収容部201は、紙片を収容可能な容器である。本実施形態の材料収容部201は、板金で形成され、略直方体を成す。なお、材料収容部201は、プラスチック成型品等であってもよい。
材料収容部201の上部は、水平方向に交差する斜面を有する。斜面は、材料収容部201の幅方向に亘って形成される。そして、材料収容部201の斜面を成す一部分に投入口202が形成される。投入口202は、板金に形成された開口である。投入口202は、矩形を成す。紙片は、投入口202から材料収容部201内に投入される。投入口202は、斜面の一部に配置されるので、紙片の投入が容易となる。投入口202から投入された紙片は材料収容部201内に収容(貯蔵)される。材料収容部201は、例えば、支持台203に支持される。
【0055】
蓋部210は、投入口202を開閉可能に構成される。
図3Aでは、蓋部210が開状態である場合を示し、
図3Bでは、蓋部210が閉状態である場合を示す。蓋部210は、内蓋211と外蓋212とを備える。
【0056】
内蓋211は、矩形の板状部材である。内蓋211は、投入口202全体を覆うように投入口202よりも大きく形成される。内蓋211の外周部には永久磁石を樹脂チューブで覆ったシール部211aを備える。投入口202を内蓋211で閉じた場合、磁力によってシール部211aと材料収容部201の板金とが密着し、投入口202を密閉させることができる。
【0057】
外蓋212は、内蓋211を覆う枠体である。外蓋212は板状部材で形成され、外蓋212内の空間領域に内蓋211が配置される。外蓋212の側面には、外蓋212の厚み方向に凹んだ取っ手214が形成される。取っ手214に手指を掛けることで、容易に蓋部210を開閉動作することができる。
【0058】
蓋部210が閉状態において外蓋212の上面が水平面と平行となるように外蓋212が形成される。さらに、詳細には、閉状態において外蓋212の上面と材料収容部201の頂部面とが、水平方向に連なった一面となるように外蓋212の上面が形成される。
また、閉状態において外蓋212の側面は、垂直面と平行となるように形成される。さらに、詳細には、閉状態において外蓋212の側面と材料収容部201の側面とが、垂直方向に連なった一面となるように外蓋212の側面が形成される。
このようにすれば、蓋部210が閉状態では、材料収容部201の上部に形成された斜面部分が外蓋212に覆われる。また、蓋部210が閉状態では、外蓋212と材料収容部201とが面一となり、蓋部210と材料収容部201とが一体化した直方体として認識され、デザイン性を向上させることができる。
【0059】
内蓋211と外蓋212とは連結部213によって連結される。連結部213は棒状を成し、連結部213の一方端は、内蓋211の材料収容部201と接する面とは反対面に接続される。連結部213の他方端は、外蓋212の内部面に接続される。
外蓋212は、材料収容部201の上部に配置された軸部に回転可能に接続される。当該軸部を中心に外蓋212を回転させることで、内蓋211とともに開状態と閉状態とに変位可能となる。
なお、内蓋211及び外蓋212は、樹脂材で形成することが好ましい。このようにすれば、金属材等で形成する場合に比べて軽量化が図れ、蓋部210の開閉動作を容易に行うことができる。
【0060】
材料貯蔵部200は、投入口202に対する蓋部210の開閉状態を検出する検出部204を備える。検出部204は、制御部150に接続される。検出部204は、例えば、インターロックであり、本体部204aと本体部204aに挿入可能な挿入部204bとを備える。本体部204aは材料収容部201の上部に配置される。挿入部204bは外蓋212に配置される。
閉状態において蓋部210を開状態に移行する場合、蓋部210を持ち上げる。このとき、挿入部204bが本体部204aから抜ける。検出部204は、本体部204aの接点が切り替わった検出信号を制御部150に送信する。制御部150は、送信された検出信号に基づき、蓋部210が開き、開状態であると判定する。一方、開状態において蓋部210を閉状態に移行する場合、蓋部210を閉めたとき、挿入部204bが本体部204aに挿入される。検出部204は、本体部204aの接点が切り替わった検出信号を制御部150に送信する。制御部150は、検出信号に基づき、蓋部210が閉まり、閉状態であると判定する。
【0061】
材料貯蔵装置10は、材料収容部201に貯蔵された紙片を定量供給部11に搬送する紙片搬送部205を備える。紙片搬送部205は、材料収容部201の底部に配置される。紙片搬送部205は、スクリューフィーダーやディスクフィーダー等によって構成される。
【0062】
加湿部220は、材料収容部201内に加湿された空気を供給する。材料収容部201に投入される紙片や材料収容部201に収容される紙片は、シュレッダーによる処理過程の擦過によって帯電する。紙片が帯電した状態では、紙片同士が絡み合ったり、材料収容部201の内面に紙片が貼り付いたりする。そのため、紙片の搬送性が低下する。また、定量供給部11において適切に紙片の計量が実行できない等の不具合が生じる場合がある。そこで、紙片の帯電を除去するために、材料収容部201内に加湿された空気を供給する。
【0063】
加湿部220は、加湿した空気を生成する加湿器221と、加湿器221と材料収容部201の流入口206とを接続する接続管222と、接続管222の途中に配置された第1ブロアー223とを備える。
加湿器221は、例えば、気化式である。第1ブロアー223は、複数の羽根を備え、当該羽根を回転させることで加湿器221において発生した加湿された空気を、接続管222を介して材料収容部201に向けて流動させる。加湿された空気は、材料収容部201の流入口206から材料収容部201内部に流入する。流入口206は、材料収容部201の高さ方向における中央部より上部に配置される。これにより、材料収容部201に収容された紙片に阻害されず、材料収容部201内全体に加湿された空気を供給することができる。
【0064】
空気循環部230は、材料収容部201内の空気を吸引する。材料収容部201内に加湿された空気の供給が継続すると材料収容部201内の相対湿度が過剰に上昇してしまう。そこで、材料収容部201内の空気を吸引し、材料収容部201の外部に空気を排出する。これにより、材料収容部201内の空気が循環され、材料収容部201内の湿度環境が安定する。
【0065】
空気循環部230は、材料収容部201の排出口207に接続された排出管231と、排出管231に配置された第2ブロアー232とを備える。第2ブロアー232は、複数の羽根を備え、当該羽根を回転させることで材料収容部201内の空気を、排出管231を介して材料収容部201外に排出する。
排出口207は、材料収容部201の高さ方向における中央部より上部に配置される。これにより、材料収容部201に収容された紙片を吸引することなく、円滑に材料収容部201内の空気を吸引することができる。
また、材料収容部201の排出口207に対応する部分にはメッシュ状のフィルター208が配置される。これにより、排出管231への紙片の流出を防止できる。
【0066】
次に、材料貯蔵装置10の制御構成について説明する。
図4に示すように、材料貯蔵装置10は制御部150によって制御される。制御部150は、CPU151と、メモリー152と、制御回路153と、I/F(インターフェイス)154と、を有する。CPU151は演算処理装置である。メモリー152は、各種プログラムを格納する領域または作業領域等を確保する記憶装置であり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。制御部150は、検出部204からI/F154を介して検出信号等を取得すると、CPU151が各種プログラムに従って演算を実行し、制御回路153を介して各駆動部を制御する。
【0067】
制御部150は、蓋部210が閉状態である場合、加湿器221、第1ブロアー223、及び第2ブロアー232を駆動させる。これにより、材料収容部201内に加湿された空気が供給される。また、材料収容部201内の空気を吸引し、材料収容部201内の空気を循環させる。
また、材料収容部201内に加湿された空気を十分に拡散させるため、制御部150は、材料収容部201内への加湿された空気の流入風量が、材料収容部201から排出される流出風量よりも多くなるように第1ブロアー223及び第2ブロアー232を制御する。従って、蓋部210が閉状態である場合、材料収容部201内は正圧となる。なお、内蓋211は、シール部211aの磁力によって材料収容部201と密着しているため、内蓋211が材料収容部201に対して浮き上がることなく、材料収容部201内の正圧状態が維持される。
【0068】
ここで、材料収容部201内に紙片を投入する場合、材料収容部201内の正圧状態を維持した状態で蓋部210を開状態に移行させると、材料収容部201内の空気が投入口202から流出するとともに、紙片や紙粉が噴き出すおそれがある。また、投入口202から材料収容部201外に加湿された空気が放出されることで水分を無駄に放出してしまう。
【0069】
そこで、本実施形態の材料貯蔵装置10では、蓋部210が開状態の時、材料収容部201内が負圧となるように制御される。
以下、詳細に説明する。なお、本実施形態では、第1ブロアー223及び第2ブロアー232が稼働中である場合において、蓋部210を閉状態から開状態に移行させて、材料収容部201内に紙片を投入する場合の制御方法について説明する。
【0070】
上述の通り、第1ブロアー223及び第2ブロアー232が稼働中である場合(蓋部210が閉状態である場合)、制御部150は、第1ブロアー223によって材料収容部201に流入する風量が、第2ブロアー232によって材料収容部201から流出する風量よりも多く(大きく)なるように制御する。これにより、材料収容部201内は正圧となる。そして、材料収容部201において加湿された空気が適切に供給され、材料収容部201内の湿度環境が維持される。
【0071】
図5に示すように、ステップS11では、制御部150は、蓋部210が開状態か否かを判定する。制御部150は、検出部204から送信される検出信号に基づいて判定する。そして、制御部150が、蓋部210が開状態であると判定した場合(YES)、ステップS12に移行する。一方、制御部150が、蓋部210が開状態でないと判定した場合、すなわち、蓋部210が閉状態であると判定した場合(NO)、ステップS11に維持される。
【0072】
ステップS12では、制御部150は、第1ブロアー223を停止させる。これにより、材料収容部201に流入する風量が低下する(実質、風量はゼロとなる)。一方、第2ブロアー232は稼働状態が維持される。これにより、第1ブロアー223によって材料収容部201に流入する風量よりも第2ブロアー232によって材料収容部201から流出する風量の方が多くなるので、材料収容部201内が短時間で負圧となる。そのため、蓋部210を開状態に移行させた場合、投入口202からの紙片や紙粉等の噴き出しを防止できる。また、投入口202から材料収容部201内に紙片を円滑に投入することができる。
また、第1ブロアー223を停止させることで、加湿された空気の供給が無くなり、投入口202から加湿された空気の流出が低減されるので、水分損失を抑制できる。
【0073】
材料収容部201内への紙片の投入が終了したら、蓋部210を開状態から閉状態に移行する。
ステップS13では、制御部150は、蓋部210が閉状態か否かを判定する。制御部150は、検出部204から送信される検出信号に基づいて判定する。そして、制御部150が、蓋部210が閉状態であると判定した場合(YES)、ステップS14に移行する。一方、制御部150が、蓋部210が閉状態でないと判定した場合、すなわち、蓋部210が開状態であると判定した場合(NO)、ステップS13に維持される。
【0074】
ステップS14では、制御部150は、第1ブロアー223を駆動させる。制御部150は、所定の風量となるように第1ブロアー223を制御する。これにより、材料収容部201に流入する風量が第2ブロアー232によって材料収容部201から流出する風量よりも多くなるので、材料収容部201内が正圧となる。材料収容部201において加湿された空気が適切に供給され、材料収容部201内の湿度環境が維持される。
【0075】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態では、材料貯蔵装置10の制御方法について説明する。なお、本実施形態では、第1ブロアー223及び第2ブロアー232が稼働中である場合において、蓋部210を閉状態から開状態に移行させて、材料収容部201内に紙片を投入する場合の制御方法について説明する。第1ブロアー223及び第2ブロアー232が稼働中である場合、第1実施形態と同様に材料収容部201内は正圧となるように制御される。
【0076】
図6に示すように、ステップS21では、制御部150は、蓋部210が開状態か否かを判定する。制御部150は、検出部204から送信される検出信号に基づいて判定する。そして、制御部150が、蓋部210が開状態であると判定した場合(YES)、ステップS22に移行する。一方、制御部150が、蓋部210が開状態でないと判定した場合、すなわち、蓋部210が閉状態であると判定した場合(NO)、ステップS21に維持される。
【0077】
ステップS22では、制御部150は、第1ブロアー223を減速させる。これにより、材料収容部201に流入する風量が低下する。一方、第2ブロアー232は稼働状態が維持される。これにより、第1ブロアー223によって材料収容部201に流入する風量よりも第2ブロアー232によって材料収容部201から流出する風量の方が多くなるので、材料収容部201内が短時間で負圧となる。そのため、蓋部210を開状態に移行させた場合、投入口202からの紙片や紙粉等の噴き出しを防止できる。また、投入口202から材料収容部201内に紙片を円滑に投入することができる。
また、第1ブロアー223を減速させることで、加湿された空気の供給量が減り、投入口202から加湿された空気の流出が低減されるので、水分損失を抑制できる。
【0078】
材料収容部201内への紙片の投入が終了したら、蓋部210を開状態から閉状態に移行する。
ステップS23では、制御部150は、蓋部210が閉状態か否かを判定する。制御部150は、検出部204から送信される検出信号に基づいて判定する。そして、制御部150が、蓋部210が閉状態であると判定した場合(YES)、ステップS24に移行する。一方、制御部150が、蓋部210が閉状態でないと判定した場合、すなわち、蓋部210が開状態であると判定した場合(NO)、ステップS23に維持される。
【0079】
ステップS24では、制御部150は、第1ブロアー223を増速させる。制御部150は、所定の風量となるように第1ブロアー223を増速制御する。これにより、材料収容部201に流入する風量が第2ブロアー232によって材料収容部201から流出する風量よりも多くなるので、材料収容部201内が正圧となる。材料収容部201において加湿された空気が適切に供給され、材料収容部201内の湿度環境が維持される。また、第1ブロアー223を停止させないので、短期間で第1ブロアー223を所定の風量に移行させることができる。
【0080】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態では、材料貯蔵装置10の制御方法について説明する。なお、本実施形態では、第1ブロアー223及び第2ブロアー232が稼働中である場合において、蓋部210を閉状態から開状態に移行させて、材料収容部201内に紙片を投入する場合の制御方法について説明する。第1ブロアー223及び第2ブロアー232が稼働中である場合、第1実施形態と同様に材料収容部201内は正圧となるように制御される。
【0081】
図7に示すように、ステップS31では、制御部150は、蓋部210が開状態か否かを判定する。制御部150は、検出部204から送信される検出信号に基づいて判定する。そして、制御部150が、蓋部210が開状態であると判定した場合(YES)、ステップS32に移行する。一方、制御部150が、蓋部210が開状態でないと判定した場合、すなわち、蓋部210が閉状態であると判定した場合(NO)、ステップS31に維持される。
【0082】
ステップS32では、制御部150は、第2ブロアー232を増速させる。具体的には、制御部150は、第1ブロアー223によって材料収容部201に流入する風量よりも第2ブロアー232によって材料収容部201から流出する風量の方が多くなるように、第2ブロアー232を増速制御する。これにより、材料収容部201から流出する風量が上昇する。一方、第1ブロアー223は所定条件での稼働状態が維持される。これにより、第1ブロアー223によって材料収容部201に流入する風量よりも第2ブロアー232によって材料収容部201から流出する風量の方が多くなるので、材料収容部201内が短時間で負圧となる。そのため、蓋部210を開状態に移行させた場合、投入口202からの紙片や紙粉等の噴き出しを防止できる。また、投入口202から材料収容部201内に紙片を円滑に投入することができる。
また、第1ブロアー223の稼働は維持されているため、材料収容部201内の紙片の乾燥を抑制できる。
【0083】
材料収容部201内への紙片の投入が終了したら、蓋部210を開状態から閉状態に移行する。
ステップS33では、制御部150は、蓋部210が閉状態か否かを判定する。制御部150は、検出部204から送信される検出信号に基づいて判定する。そして、制御部150が、蓋部210が閉状態であると判定した場合(YES)、ステップS34に移行する。一方、制御部150が、蓋部210が閉状態でないと判定した場合、すなわち、蓋部210が開状態であると判定した場合(NO)、ステップS33に維持される。
【0084】
ステップS34では、制御部150は、第2ブロアー232を減速させる。制御部150は、所定の風量となるように第2ブロアー232を減速制御する。これにより、材料収容部201に流入する風量が第2ブロアー232によって材料収容部201から流出する風量よりも多くなるので、材料収容部201内が正圧となる。材料収容部201において加湿された空気が適切に供給され、材料収容部201内の湿度環境が維持される。
【0085】
4.第4実施形態
次に、第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態では、材料貯蔵装置10の制御方法について説明する。なお、本実施形態では、第1ブロアー223及び第2ブロアー232が稼働中である場合において、蓋部210を閉状態から開状態に移行させて、材料収容部201内に紙片を投入する場合の制御方法について説明する。第1ブロアー223及び第2ブロアー232が稼働中である場合、第1実施形態と同様に材料収容部201内は正圧となるように制御される。
【0086】
図8に示すように、ステップS41では、制御部150は、蓋部210が開状態か否かを判定する。制御部150は、検出部204から送信される検出信号に基づいて判定する。そして、制御部150が、蓋部210が開状態であると判定した場合(YES)、ステップS42に移行する。一方、制御部150が、蓋部210が開状態でないと判定した場合、すなわち、蓋部210が閉状態であると判定した場合(NO)、ステップS41に維持される。
【0087】
ステップS42では、制御部150は、第1ブロアー223を停止させる。これにより、材料収容部201に流入する風量が低下する(実質、風量はゼロとなる)。一方、第2ブロアー232は稼働状態が維持される。すなわち、材料収容部201内の減圧状態が維持される。これにより、第1ブロアー223によって材料収容部201に流入する風量よりも第2ブロアー232によって材料収容部201から流出する風量の方が多くなるので、材料収容部201内が短時間で負圧となる。
【0088】
ステップS43では、制御部150は、第1ブロアー223の停止から所定時間が経過したか否かを判定する。制御部150は、タイマー等により時間を計測する。所定時間は、例えば、数秒程度である。制御部150は、第1ブロアー223の停止から所定時間が経過したと判定した場合(YES)、ステップS44に移行する。一方、制御部150は、第1ブロアー223の停止から所定時間が経過していない判定した場合(NO)、ステップS43に維持される。
【0089】
ステップS44では、制御部150は、第2ブロアー232を停止させる。すなわち、第1ブロアー223の停止から所定時間が経過するまで材料収容部201の負圧状態(減圧状態)が維持される。第2ブロアー232の停止により、材料収容部201から流出する風量が低下する(実質、風量はゼロとなる)。第1ブロアー223よりも第2ブロアー232の方を後に停止させることで、材料収容部201内における負圧状態が維持される。そのため、蓋部210を開状態に移行させた場合、投入口202からの紙片や紙粉等の噴き出しを防止できる。また、投入口202から材料収容部201内に紙片を円滑に投入することができる。
また、第1ブロアー223及び第2ブロアー232を停止させることで、電力消費を抑えることができる。さらに、第2ブロアー232が停止することにより、投入口202を介して乾燥した外気を材料収容部201内に吸引することが抑制され、材料収容部201内の紙片の乾燥を抑えることができる。
なお、制御部150は、第2ブロアー232を停止でなく、減速させてもよい。このようにしても、上記、同様の効果を得ることができる。
【0090】
ステップS45では、制御部150は、蓋部210が閉状態か否かを判定する。制御部150は、検出部204から送信される検出信号に基づいて判定する。そして、制御部150が、蓋部210が閉状態であると判定した場合(YES)、ステップS46に移行する。一方、制御部150が、蓋部210が閉状態でないと判定した場合、すなわち、蓋部210が開状態であると判定した場合(NO)、ステップS45に維持される。
【0091】
ステップS46では、制御部150は、第2ブロアー232を駆動させる。制御部150は、所定の風量となるように第2ブロアー232を制御する。
ステップS47では、制御部150は、第1ブロアー223を駆動させる。制御部150は、所定の風量となるように第1ブロアー223を制御する。これにより、材料収容部201に流入する風量が第2ブロアー232によって材料収容部201から流出する風量よりも多くなるので、材料収容部201内が正圧となる。材料収容部201において加湿された空気が適切に供給され、材料収容部201内の湿度環境が維持される。
【0092】
5.第5実施形態
次に、第5実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態では、材料貯蔵装置10Aの構成について説明する。
【0093】
図9に示すように、材料貯蔵装置10Aは、紙片を貯蔵する材料貯蔵部200と、加湿部220と、空気循環部230と、を備える。また、材料貯蔵装置10Aは、検出部204(図示せず)を備える。
【0094】
本実施形態の材料貯蔵装置10Aでは、空気循環部230の排出管231が加湿部220(加湿器221)に接続される。すなわち、材料貯蔵装置10Aでは、材料収容部201内の加湿された空気が排出管231を介して加湿部220に戻された後、接続管222を介して材料収容部201に供給される。材料貯蔵装置10Aにおいて加湿された空気が循環されるので、加湿器221における加湿処理にかかる負荷を抑え、材料収容部201内に加湿された空気を円滑に供給することができる。
また、加湿部220には放出管240が設けられ、空気循環部230から流動された加湿された空気の一部を外気に放出する。これにより、接続管222、材料収容部201内、及び排出管231によって構成される空気循環経路内の圧力を調整することができる。
【符号の説明】
【0095】
1…シート製造装置、10,10A…材料貯蔵装置、11…定量供給部、14…ホッパー、16…管、17…管、18…管、19…ホッパー、20…解繊部、22…導入口、24…排出口、40…選別部、41…ドラム部、42…導入口、43…ハウジング部、44…排出口、45…第1ウェブ形成部、46…メッシュベルト、47…張架ローラー、47a…張架ローラー、48…サクション機構、49…回転体、49a…基部、49b…突部、50…混合部、52…澱粉供給部、54…管、56…ブロアー、60…堆積部、61…ドラム部、62…導入口、63…ハウジング部、70…第2ウェブ形成部、72…第1メッシュベルト、74…張架ローラー、76…サクション機構、80…ウェブ搬送部、81…第2メッシュベルト、82…ローラー、83…サクション機構、90…加湿部、93…排出口、100…加圧部、101…第1ローラー、102…第2ローラー、120…切断部、122…第1切断部、124…第2切断部、130…受け部、150…制御部、151…CPU、152…メモリー、153…制御回路、154…インターフェイス、200…材料貯蔵部、201…材料収容部、202…投入口、203…支持台、204…検出部、204a…本体部、204b…挿入部、205…紙片搬送部、206…流入口、207…排出口、208…フィルター、210…蓋部、211…内蓋、211a…シール部、212…外蓋、213…連結部、214…取っ手、220…加湿部、221…加湿器、222…接続管、223…第1ブロアー、230…空気循環部、231…排出管、232…第2ブロアー、240…放出管。