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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077771
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】車両の下部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20240603BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20240603BHJP
   B62D 21/15 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B62D25/20 F
B60J5/06 A
B62D21/15 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189912
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 健次
(72)【発明者】
【氏名】岩根 哲也
(72)【発明者】
【氏名】篠原 哲也
(72)【発明者】
【氏名】柴山 森太郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203BB06
3D203BB12
3D203BB53
3D203CA25
3D203CA43
3D203CA52
3D203DA32
3D203DA35
(57)【要約】
【課題】車両衝突時等において、ロッカー下のスライドレールが、床下側の内部部材に強く当てられないようにすることにある。
【解決手段】ロッカー30の車両下側には、スライドドア20を開閉方向にスライド移動可能に支持するスライドレール(ロアスライドレール19)と、車両衝突時の衝撃荷重を吸収可能な衝撃吸収部材50とが設けられており、衝撃吸収部材50は、車両内外方向に延びるように形成されていると共に、衝撃吸収部材50の車両外側の端部は、車両内外方向において、スライドレール(19)の車両外側の端部の配置位置(基準位置19X)と同じ位置又は配置位置(19X)よりも車両外側の位置に配置されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ボディのドア開口部を開閉するスライドドアと、前記ドア開口部の下縁部を形成する筒状のロッカーを備えた車両の下部構造において、
前記ロッカーの車両下側には、前記スライドドアを開閉方向にスライド移動可能に支持するスライドレールと、車両衝突時の衝撃荷重を吸収可能な衝撃吸収部材とが設けられており、
車両上下方向における平面視を基準として前記開閉方向と直交する方向を車両内外方向とした場合に、前記衝撃吸収部材は、車両内外方向に延びるように形成されていると共に、前記衝撃吸収部材の車両外側の端部は、車両内外方向において、前記スライドレールの車両外側の端部の配置位置と同じ位置又は前記配置位置よりも車両外側の位置に配置されている車両の下部構造。
【請求項2】
前記衝撃吸収部材と、前記車両の床下側に配設された内部部材とが、車両内外方向から隣接又は近接して配設されていると共に、前記衝撃吸収部材の少なくとも一部は、前記内部部材の重心位置から車両外側に延びる仮想線上に配置されている請求項1に記載の車両の下部構造。
【請求項3】
前記衝撃吸収部材には、前記内部部材に連結される連結部位が設けられている請求項2に記載の車両の下部構造。
【請求項4】
前記衝撃吸収部材には、車両外側から衝撃荷重の加えられた前記スライドレールの車両内側の端部を受ける受け部が設けられている請求項1~3のいずれか一項に記載の車両の下部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドドア用のスライドレールが、ドア開口部の下縁部を形成するロッカー下に備えられている車両の下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
これに関連する技術が特許文献1~3に記載されている。特許文献1の車両は、車両ボディに設けられたドア開口部が、スライドドアによって車両前後方向に開閉可能に構成されている。このドア開口部の下縁部には、本願のロッカーに相当する筒状のサイドシルが車両前後方向に延びるように設けられている。そしてサイドシル下には、スライドドアをスライド移動可能に支持するスライドレールが車両前後方向に延びるように設けられている。またスライドドアの下端部には、車幅方向内側に張り出すアーム部が設けられており、このアーム部に軸支されたローラが、スライドレールに摺動可能に嵌められている。これにより、スライドドアは、スライドレールに沿ってローラを摺動させることで車両前後方向にスライド移動できるようになる。
【0003】
また上記した車両では、その床下側にバッテリなどの各種の内部部材が配設されていることがある。例えば特許文献2の車両では、内部部材としてのバッテリーケースが床下側に設置されている。そしてバッテリーケースの車幅方向外側に、本願のロッカーに相当するサイドシルが配置されている。また特許文献3の車両においても、内部部材としての燃料電池スタックが床下側に配置されていると共に、この燃料電池スタックの車幅方向外側にロッカーが配置されている。なお特許文献3の車両のロッカー下には、EA材が車幅方向に延びるように配設されているが、このEA材の車幅方向外側の端部は、ロッカーよりも車幅方向内側に配置されている。そして上記した車両では、一般的に、そのサイドシル(ロッカー)の内部にスライドドア用のスライドレールが設けられる。例えば特許文献2の車両では、そのサイドシルの一部の形状(断面形状)が、車幅方向外側に開口する凹状に形成されており、この凹状の部分にスライドレールが固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-76482号公報
【特許文献2】特開2019-18822号公報
【特許文献3】特開2014-80116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこの種の車両では、特許文献1のようにスライドレールをロッカー下に配置したいとの要請がある。即ち、スライドレールをロッカー下に配置して、ロッカーの形状選択の自由度を高めることにより、このロッカーの剛性の確保が容易となる。またロッカーの剛性を確保することで、その車両上下方向の寸法をコンパクト化できるようになり、このロッカーの地上高(地上からの高さ方向の距離)の確保が容易となる。しかしスライドレールをロッカー下に配置した場合、このスライドレールが内部部材の車幅方向外側に配置されるようになる。このため上記した構成では、車両衝突時などにおいて、衝撃荷重の加えられたスライドレールが、車幅方向内側に移動して内部部材に強く当たらないように配慮する必要がある。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、車両衝突時等において、ロッカー下のスライドレールが、床下側の内部部材に強く当てられないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の車両の下部構造は、車両ボディのドア開口部を開閉するスライドドアと、ドア開口部の下縁部を形成する筒状のロッカーを備えている。そしてロッカーの車両下側には、スライドドアを開閉方向にスライド移動可能に支持するスライドレールと、車両衝突時の衝撃荷重を吸収可能な衝撃吸収部材とが設けられている。この種の構成では、車両衝突時等において、ロッカー下のスライドレールが、床下側の内部部材に強く当てられないようにすることが望ましい。そこで本発明では、車両上下方向における平面視を基準として開閉方向と直交する方向を車両内外方向とした場合に、衝撃吸収部材は、車両内外方向に延びるように形成されていると共に、衝撃吸収部材の車両外側の端部は、車両内外方向において、スライドレールの車両外側の端部の配置位置と同じ位置又は配置位置よりも車両外側の位置に配置されている。本発明では、車両内外方向に延びる衝撃吸収部材を、スライドレールと同位置又はそれ以上に車両外側に配置している。これにより、車両衝突時の衝撃荷重が衝撃吸収部材により確実に加わるようになる。そして衝撃吸収部材にて衝撃荷重を吸収することで、スライドレールに加わる衝撃荷重を低減させられるようになり、このスライドレールが内部部材に強く当てられ難くなる。
【0007】
第2発明の車両の下部構造は、第1発明の車両の下部構造において、衝撃吸収部材と、車両の床下側に配設された内部部材とが、車両内外方向から隣接又は近接して配設されていると共に、衝撃吸収部材の少なくとも一部は、内部部材の重心位置から車両外側に向かう仮想線上に配置されている。本発明では、衝撃荷重の加えられた衝撃吸収部材が、車両内外方向から内部部材に接することで、この内部部材を車両内側に移動させられるようになる。そして衝撃吸収部材の一部が内部部材の重心位置を押すことで、この内部部材をより確実に車両内側、即ち、スライドレールから離れる向きに移動させられるようになる。
【0008】
第3発明の車両の下部構造は、第2発明の車両の下部構造において、衝撃吸収部材には、内部部材に連結される連結部位が設けられている。本発明では、連結部位の働きで、衝撃荷重の加えられた衝撃吸収部材と内部部材が、より安定的に接した状態で車両内側に移動するようになる。
【0009】
第4発明の車両の下部構造は、第1発明~第3発明のいずれかの車両の下部構造において、衝撃吸収部材には、車両外側から衝撃荷重の加えられたスライドレールの車両内側の端部を受ける受け部が設けられている。本発明では、衝撃荷重の加えられたスライドレールを、衝撃吸収部材の受け部で受けられるようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る第1発明によれば、車両衝突時等において、ロッカー下のスライドレールが、床下側の内部部材に強く当てられないようにすることができる。また第2発明によれば、スライドレールが内部部材により確実に強く当てられないようにすることができる。また第3発明によれば、スライドレールが内部部材に更に確実に強く当てられないようにすることができる。そして第4発明によれば、スライドレールが内部部材に一層確実に強く当てられないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ロッカーを示す車両の一部透視側面図である。
図2図1のII-II線断面に相当する車両の下部の断面図である。
図3】内部部材を示す車両の透視上面図である。
図4】スライドレールを示す車両の下部の拡大透視上面図である。
図5図4のV-V線断面に相当する車両の下部の断面図である。
図6】車両衝突初期の車両の下部の断面図である。
図7】車両衝突後期の車両の下部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図1図7を参照して説明する。各図には、車両の前後方向と左右方向(車幅方向)と上下方向(車両の高さ方向)を示す矢線を適宜図示する。なお図1及び図3では、車両の左側の部材のみに対応する符号を付す。また図3(車両上下方向における平面視)を基準として、前後方向がスライドドアの開閉方向に相当し、開閉方向と直交する車幅方向が車両内外方向に相当する。そして各図では、車幅方向外側となる左側が車両外側に相当し、車幅方向内側となる右側が車両内側に相当する。
【0013】
[車両の概要]
車両の下部構造について説明する前に、まず図1に示す車両2の概要について説明する。この車両2の車両ボディ10には、前部座席に対応するフロントドア開口部11と、後部座席に対応するリヤドア開口部12とが形成されている。フロントドア開口部11は、ドアヒンジ(図示省略)を中心に回動可能なフロントドア15により開閉可能に構成されている。またリヤドア開口部12は、車両前後方向にスライド移動するスライドドア20により開閉可能に構成されている。そしてリヤドア開口部12の下縁部には、筒状のフレームであるロッカー30が車両前後方向に延びるように設けられている。またフロントドア開口部11とリヤドア開口部12間には、車両上下方向に延びるセンターピラー13が立設されており、このセンターピラー13の下端部がロッカー30に接続されている。
【0014】
また図1に示す車両2には、スライドドア20を車両前後方向(開閉方向)にスライド移動可能に支持する複数のスライドレール17,18,19が適宜の位置に設けられている。例えば車両2には、アッパースライドレール17がリヤドア開口部12の車両上側に設けられている。また、センタースライドレール18がリヤドア開口部12の後側の高さ方向中央位置に設けられている。そして、ロアスライドレール19がリヤドア開口部12の車両下側、即ち、ロッカー30の車両下側に設けられている。
【0015】
そして図1及び図2を参照して、スライドドア20には、その上端位置と下端位置と中間位置とにそれぞれガイドローラユニット25等が設けられている(図1では、便宜上、最も下側のガイドローラユニットの配設位置にのみ対応する符号25を付す)。そしてスライドドア20は、対応するガイドローラユニット25等が各スライドレール17~19に沿って移動(摺動等)することで、これらスライドレール17~19に沿うようにスライド移動できるように構成されている。なおスライドドア20は、全開位置の近傍で車両前後方向に直線的に移動した後、全閉位置に近づくにつれて次第に車幅方向内側(右側)に向かって斜めに移動するようになる(図4のスライドドアの移動軌跡Doを参照)。
【0016】
[車両の下部構造]
本実施例の車両の下部構造では、図2に示すように、ロアスライドレール19をロッカー30の車両下側(ロッカー下)に配設している。これにより、ロッカー30の形状選択の自由度が高まるなどして剛性の確保が容易となる。また、ロッカー30の車幅方向内側(右側)には、車両2の床下側に設置されたバッテリ等の内部部材3が配置されている。そしてロッカー30は、内部部材3の高さ位置Hよりも高い高さ位置に設けられることで、地上からの高さ方向の距離(地上高)を取りやすい構成とされている。なお内部部材3は、図3に示す上面視で車両前後方向に長い矩形状に形成されており、フロントドア開口部11からリヤドア開口部12にかけての部分に配設されている。
【0017】
上記した構成では、図2に示すように、ロッカー下のロアスライドレール19の車幅方向内側(右側)に、床下側の内部部材3が配置されるようになる。この種の構成では、車幅方向外側(左側)から衝撃荷重の加えられたスライドレール19が、車幅方向内側に移動して内部部材3に強く当たらないように配慮する必要がある。そこで本実施例では、後述する衝撃吸収部材50にて、ロッカー下のロアスライドレール19が床下側の内部部材3に強く当てられないようにした。以下、車両の下部構造を、ロッカー30、ロアスライドレール19、スライドドア20、内部部材3、衝撃吸収部材50の順に詳述する。
【0018】
[ロッカー]
先ず、図2に示すロッカー30は、ロッカーアウター31とロッカーインナー32とから筒状に形成されており、リヤドア開口部12の下縁部に沿うように設けられている。ロッカーアウター31は、その上板面311と下板面312と左側板面313とから断面略横向き略U字形に形成され、その車幅方向内側(右側)が解放されている。このロッカーアウター31は、その上板面311が車幅方向内側且つ上側に曲げられている。またロッカーアウター31の下板面312は、車幅方向内側に直線的に延びていると共に、上板面311よりも車幅方向内側に大きく張り出している。また上板面311の上端位置には、車両上側に曲げられた上側のフランジ部31aが形成され、下板面312の下端位置には、車両下側に曲げられた下側のフランジ部31bが形成されている。そして上板面311と下板面312とは、ロッカーアウター31の車幅方向外側(左側)で車両上下方向に延びる左側板面313に連続している。
【0019】
また図2に示すロッカーインナー32は、その上板面321と下板面322と右側板面323とから断面略横向き略U字形に形成され、車幅方向外側(左側)が解放されている。またロッカーインナー32では、その上板面321が、相対的に外側に大きく張り出しつつ、車幅方向外側に延びたのちに下側に傾斜している。そしてロッカーインナー32の上端位置と下端位置にも、車両上下方向に曲げられた上下のフランジ部32a,32bが形成されている。
【0020】
そして図2に示すロッカー30は、ロッカーアウター31とロッカーインナー32とが車幅方向から合わせられて接合されることで、断面略角筒状に形成されている。即ち、ロッカー30では、その上側のフランジ部同士31a、32aと下側のフランジ部同士31b、32bとがそれぞれ溶接等で接合されている。こうしてロッカー30は、スライドレール用の凹部が省略された略角筒状に形成されることから、剛性の確保に資する断面形状を有している。また、ロッカー30は、剛性に優れる断面形状を備えることで、その車両上下方向の寸法を小さくするなどしてコンパクト化することができる。これにより、ロッカー30は、内部部材3の高さ位置Hよりも高い高さ位置に設けられるようになり、地上高の確保に資する構成となる。また、ロッカー30を相対的に高い高さ位置に設けることで、図1に示すセンターピラー13を短縮化でき、車両2の重量増加を抑制できる。そしてロッカー30は、必要以上に高くする必要がないため、乗降性の確保も容易となる。
【0021】
また図2に示すロッカー30では、上側の各フランジ部31a、32aが車幅方向外側(左側)の端部付近に配置されている。またロッカー30の車両上側には、踏み面となるスカッフ40が車幅方向に延びるように設けられている。そしてスカッフ40の前端とロッカー30間(上側の各フランジ部31a、32a)の隙にはウエザストリップWSが嵌められている。更にスカッフ40の車幅方向内側(右側)には、面状のカーペット41が車両2のフロア(床)側を覆うように敷設されている。またロッカーアウター31の下板面312は、ロッカー30の車両下側の面を構成していると共に、この下板面312の車幅方向内側の端部付近に、下側の各フランジ部31b、32bが配置されている。
【0022】
[ロアスライドレール(スライドレール)]
次にロアスライドレール19は、図2に示すようにロッカー下(下板面312の車両下側)に配設されている。ここでロアスライドレール19は、図4に示すスライドドア20の移動軌跡Doに沿うように形成されており、曲げ部190と、直線部191とを有している。そして曲げ部190は、ロアスライドレール19の前部側に形成されていると共に、車両前側に向かうにつれて次第に車幅方向内側(右側)に曲げられている。そしてロアスライドレール19には、その曲げ部190の前端から後部にかけての領域に、相対的に内部部材3に近接する近接領域19Aが形成される。また直線部191は、曲げ部190の後端に連続していると共に、スライドドア20の開閉方向(車両前後方向)に沿うように直線的に延びている。
【0023】
またロアスライドレール19は、図2に示す断面視において、上壁部192と、下壁部193と、上下の壁部をつなぐ縦壁部194とから形成されている。上壁部192は、車両下側が解放された断面逆U字形に形成されることで、後述するガイドローラユニット25のガイドローラ26が摺動可能に嵌められるようになっている。また下壁部193は、上壁部192の車両下側に配置された平板状の部位であり、後述するガイドローラユニット25の荷重ローラ27を摺動可能に支持できるようになっている。そして上壁部192と下壁部193とは、その車幅方向内側(右側)で車両上下方向に延びる縦壁部194に連続している。これにより、ロアスライドレール19は、車幅方向外側(左側)が解放された中空柱状に形成されると共に、その車幅方向外側から後述するスライドドア20のガイドローラユニット25を挿入できるように構成されている。またロアスライドレール19では、その縦壁部194によって車幅方向内側の端部19Eが構成されている。
【0024】
そしてロアスライドレール19は、図2に示すように、車幅方向に延びる連結部材35,36等を介してロッカー30に固定されている。例えばロアスライドレール19の曲げ部190には、その前端側に前側連結部材35が配設されている。この前側連結部材35は、断面視においてクランク状に曲げられており、その車幅方向外側(左側)の左端部位350が一段高くなっている。そして前側連結部材35では、その一段高い左端部位350がロッカー30の下板面312に固定されている。また前側連結部材35の一段低い右端部位351には、ロアスライドレール19が車両下側に突出するように固定されている。そして、ロアスライドレールの曲げ部190の前端側は、ロッカー30の下側の各フランジ部31b、32bの直下に配置されている。
【0025】
また図2に示す曲げ部190の後部側にも後側連結部材36が配設されている。この後側連結部材36は、前側連結部材35とは逆に、その車幅方向内側(右側)の一段高い左端部(符号省略)がロッカー30の下面に固定されている。そして後側連結部材36は、ロッカー30よりも車幅方向外側(左側)に延びるように形成されていると共に、その一段低い右端部(符号省略)にロアスライドレール19が車両下側に突出するように固定されている。なお図5を参照して、ロアスライドレール19の直線部191も、同様に別の連結部材37を介してロッカー30に固定されている。
【0026】
こうしてロアスライドレール19は、図2及び図5に示すように、ロッカー30に固定された連結部材35~37を介してロッカー下に配設されている。そして車両の下部構造では、スライドドア20の車両下側のスペースを利用等して、ロアスライドレール19を、車幅方向外側(左側)の位置に配置することにより、内部部材3との干渉を回避している。即ち、ロアスライドレール19では、内部部材3との干渉を避けるために、その曲げ部190の前端側を、ロッカー30の下側の各フランジ部31b、32bの直下に配設している。更に曲げ部190の後部から直線部191にかけての部分をロッカー30の車幅方向外側に配設することで、ロアスライドレール19の車幅方向の寸法を確保している。
【0027】
[スライドドア]
次に図2に示すスライドドア20は、ドアアウタパネル20aとドアインナパネル20bとが互いの周縁部分で接合されることで形成されている。そしてスライドドア20のドアインナパネル20b側には、その下端位置に、スライドレール連結用のアーム部23が固定されている。ここでアーム部23は、断面略L字形に形成されており、車両上下方向に延びる縦壁状の固定部位23aでスライドドア20の下端部に固定されている。またアーム部23は、その固定部位23aの下端部側から略水平に車両内側に延びるように形成されている(移動部材の一部をなす突出部位62の詳細は後述)。そしてアーム部23は、後述するガイドローラユニット25が配設された状態で、図4に示すように車両前側且つ車幅方向内側(右側)に延びている。
【0028】
[ガイドローラユニット(アーム部の車両内側の端部)]
ここでガイドローラユニット25は、図2及び図4を参照して、前後のガイドローラ26と荷重ローラ27とを有している(図4では、便宜上、前後のガイドローラに共通の符号26を付す)。そしてアーム部23では、図4に示す車幅方向内側(右側)の端部23Eに、ガイドローラ用の上側支持部261と、荷重ローラ用の下側支持部271とが設けられている。上側支持部261は、平面視で略U字形に形成されており、その二股に分かれた自由端側に、縦向きの第一軸材260が設けられている。そして各第一軸材260に横向きのガイドローラ26が回転可能に軸支されていると共に、各ガイドローラ26が、図2に示すロアスライドレール19の上壁部192に摺動可能に嵌められている。
【0029】
また図4に示すアーム部23には、その車幅方向内側(右側)の端部23Eに縦向きの第二軸材270が設けられており、この縦向きの第二軸材270に下側支持部271が回転可能に軸支されている。また下側支持部271は、車幅方向内側に突出する横向きの第三軸材272を支持しており、この第三軸材272に縦向きの荷重ローラ27が回転可能に軸支されている。なお荷重ローラ27は、それを軸支する下側支持部271が第二軸材270を中心に回転することで、ロアスライドレール19に沿うように向きを変えられるようになる。そして荷重ローラ27は、図2に示すロアスライドレール19の下壁部193に摺動可能に支持されている。
【0030】
[内部部材]
次に図2及び図3に示す内部部材3は、上記したように床下側、即ち、ロッカー30よりも車幅方向内側(図2では右側)に配設される部材である。この種の内部部材3として、車載用のバッテリ、液体又は気体の燃料を収容する燃料収容部材を例示できる。そして内部部材3は、図2に示すようにロッカー30よりも低い高さ位置に配設されることで、その内部部材3の車幅方向における側面部300が、ロアスライドレール19とアーム部23とを臨むように配置されている。この内部部材3の側面部300は、その車両上下方向の中間位置に、車幅方向外側(左側)に張り出すフランジ部位301を有している。そして側面部300は、フランジ部位301よりも車両上側の上部302が、ロアスライドレール19及びアーム部23とほぼ同じ高さ位置に配置されている。また側面部300は、そのフランジ部位301よりも車両下側の下部303が、相対的に車幅方向内側に凹んだ段差形状を有している。そして側面部300の一段凹んだ下部303は、後述する衝撃吸収部材50が連結された状態で、ロアスライドレール19とアーム部23よりも低い高さ位置に配置されている。
【0031】
[衝撃吸収部材]
次に図2及び図3に示す衝撃吸収部材50は、車幅方向外側(左側)から加えられる衝撃荷重を吸収可能な部材であり、内部部材3の側面部300に連結されている。この衝撃吸収部材50には、図2に示す車幅方向内側(右側)の部位に、側面部300に連結される連結部位51が設けられている。この連結部位51は、衝撃吸収部材50の下部から車幅方向内側に突出するように形成され、内部部材3の側面部300の下部303に嵌められている。また連結部位51には、その下面側に連結板部52が締結等で固定されている(図2中、第一の締結点FX1を参照)。この連結板部52は、連結部位51から車幅方向内側に延びるように形成され、その連結板部52の車幅方向内側の部分が内部部材3に締結等で固定されている(図2中、第二の締結点FX2を参照)。これにより、衝撃吸収部材50の連結部位51は、内部部材3のフランジ部位301と連結板部52間に挟みつけられた状態で、側面部300の下部303に凹凸嵌合されて連結されている。
【0032】
そして衝撃吸収部材50は、図2及び図4を参照して、内部部材3から車幅方向外側(左側)に延びるように形成されて、ロッカー30よりも車幅方向外側に突出している。この衝撃吸収部材50は、図4に示すロアスライドレール19の近接領域19Aにおいて、このロアスライドレール19以上に車幅方向外側に突出している。より具体的には、図2を参照して、近接領域19Aにおける曲げ部190の車幅方向外側の端部の配置位置を基準位置19Xとした場合、衝撃吸収部材50の車幅方向外側の端部50Xは、車幅方向において、基準位置19Xと同位置又はそれよりも車幅方向外側に位置している。そして衝撃吸収部材50は、近接領域19Aの車両前側に向かうにつれて次第にロアスライドレール19よりも大きく車幅方向外側に張り出している。これにより、衝撃吸収部材50は、車幅方向外側から近接領域19A側に加わる衝撃荷重を真っ先に受けられるようになる。
【0033】
また衝撃吸収部材50は、図3及び図4に示すように車両前後方向に延びるように形成されており、内部部材3の略全長を網羅できる長さ寸法を有している。これにより、衝撃吸収部材50は、車幅方向外側(左側)から加わる衝撃荷重を内部部材3よりも先に受けられるようになる。更に衝撃吸収部材50は、内部部材3の略全長に渡って設けられることで、この内部部材3の重心3Cを押せるようになっている。即ち、内部部材3では、その車幅方向及び車両前後方向における中心位置が重心3Cとなっている。そして内部部材3の重心3Cを通って車幅方向に延びる仮想線VLを設定した場合、衝撃吸収部材50は、その一部が仮想線VLに重なるように配設されている。
【0034】
[移動構造]
更に車両の下部構造には、図2及び図4を参照して、衝撃荷重の加えられたアーム部23の車両内側(右側)の端部23Eを車両上側に移動させる移動構造60を設けることができる。そして移動構造60は、衝撃吸収部材50の受け部61と、アーム部23の突出部位62及び脆弱部位63とから構成することができる。即ち、衝撃吸収部材50は、図2に示すように、車両上側に突出する縦壁状の受け部61が設けられることで、アーム部23の車幅方向内側(右側)の端部23Eを受けられる受け部材を構成している。そして縦壁状の受け部61は、連結部位51の車幅方向外側(左側)で車両上側に突出するように設けられることで、車幅方向においてアーム部23と内部部材3の上部302の間に配置されている。更に受け部61は、アーム部23の車幅方向内側の端部23Eを受けられる位置に配置されることで、ロアスライドレール19の車幅方向内側の端部19Eをも受けられるようになっている。
【0035】
また図2に示すアーム部23には、移動構造60として、車幅方向外側(左側)に突出する突出部位62が設けられている。このアーム部23の突出部位62は、固定部位23aの下端部を車幅方向外側に曲げることで形成されており、固定部位23a(スライドドア20との固定箇所)よりも車幅方向外側に張り出している。これにより、アーム部23は、車幅方向外側から加わる衝撃荷重を突出部位62で受けられるようになる。またアーム部23では、固定部位23aの下端部を曲げて突出部位62を形成したことにより、その突出部位62を形成する曲げられた部分だけ長さ寸法が大きくされている。
【0036】
そして図2に示すアーム部23の上面には、その車幅方向における略中間位置に、移動構造60を構成する脆弱部位63が設けられている。この脆弱部位63は、アーム部23の上面に設けられた溝状の薄肉部分であり、その他のアーム部23部分よりも脆弱化されて曲がり易くなっている。そして脆弱部位63は、図4に示す内部部材3の側面部300に沿うように、アーム部23の上面で車両前後方向に直線的に延びている。こうしてアーム部23は、その車幅方向における中間位置に脆弱部位63が設けられることで、この脆弱部位63を基点として車両下側に曲がり変形し易くなっている(図7参照)。
【0037】
[スライドドアの開閉動作(ロアスライドレールの働き)]
ここでロアスライドレール19によるスライドドア20の開閉動作について説明する。先ず、図5に示すようにスライドドア20が全開位置にある場合、このスライドドア20は、図3及び図4の破線に示すように、リヤドア開口部12の車両後側に配置されている。このときアーム部23に設けられたガイドローラユニット25は、図4の破線で示すようにロアスライドレール19の直線部191の後端位置に配置されている。次に、スライドドア20を、車両前側(閉じ方向)にスライド移動させてリヤドア開口部12を全閉する。このとき図4を参照して、ガイドローラユニット25がロアスライドレール19の直線部191に沿って車両前側に移動することで、スライドドア20が車両前側に直線的に移動するようになる(図4に示すスライドドア20の移動軌跡Doを参照)。つづいてガイドローラユニット25が曲げ部190に沿って移動することで、スライドドア20が、全閉位置に向かうにつれて次第に車幅方向内側(右側)に移動するようになる。そしてスライドドア20を全閉状態とすることで、そのアーム部23のガイドローラユニット25が曲げ部190の前端位置に配置される(図4の実線で示す状態を参照)。
【0038】
[全閉状態のスライドドア]
図2に示すようにスライドドア20が全閉位置にある場合、このスライドドア20の下端の外装部分(ガーニッシュ)にて、ロアスライドレール19の車幅方向外側(左側)が覆われる。そしてロッカー下のロアスライドレール19の車幅方向内側(右側)には、床下側の内部部材3が配設されている。この種の構成では、上記したように、車幅方向外側から衝撃荷重F1を受けたスライドレール19が、車幅方向内側に移動して内部部材3に強く当たらないように配慮する必要がある。そこで車両の下部構造では、衝撃吸収部材50が、車幅方向に延びるように形成されていると共に、衝撃吸収部材50の車幅方向外側の端部50Xは、スライドレール19の車幅方向外側の端部の配置位置(基準位置19X)よりも車幅方向外側の位置に配置されている。上記した構成によれば、衝撃吸収部材50の働きで、スライドレール19に加わる衝撃荷重F1を低減させられるようになる。そこで以下に、車両側突時における衝撃吸収部材50の働きを具体的に説明する。
【0039】
[衝撃吸収部材の働き]
ここで図4及び図6を参照して、車両側突時の衝撃荷重F1がロアスライドレール19の近接領域19Aに加えられた場合を想定する。このとき上記した構成では、衝撃吸収部材50の車幅方向外側(左側)の端部50Xが、上記したように、車幅方向において基準位置19X(ロアスライドレール19の車幅方向外側の端部の配置位置)と同位置又はそれよりも車幅方向外側に突出している。このため衝撃吸収部材50の車幅方向外側の端部50Xによって、車両側突時の衝撃荷重F1を真っ先に受けられるようになる。そして図6に示すように、衝撃吸収部材50が潰れ変形して衝撃荷重F1を吸収することで、ロアスライドレール19に加わる衝撃荷重F1が低減される。これにより、ロアスライドレール19は、衝撃荷重F1の低減によって車幅方向内側(右側)への移動が抑制されるため、内部部材3に強く当たり難くなる。
【0040】
また図6を参照して、衝撃吸収部材50は、その車幅方向内側(右側)の連結部位51で内部部材3の側面部300に連結されている。これにより、衝撃荷重F1の加えられた衝撃吸収部材50は、その連結部位51に接している内部部材3を車幅方向内側、即ち、ロアスライドレール19から離れる方向に押圧して移動させられるようになる(図6中、符号A1で示す矢線を参照)。このとき衝撃吸収部材50は、その一部で内部部材3の重心3Cを押せるようになり、この内部部材3をより安定的に車幅方向内側に移動させることができる。更に衝撃吸収部材50には、スライドレール19の車幅方向内側の端部19Eを受けられる位置に受け部61が設けられている。このため衝撃荷重F1の加えられたロアスライドレール19を、内部部材3の手前で衝撃吸収部材50の受け部61で受けられるようになる。そして衝撃荷重F1の加えられたロアスライドレール19が、受け部61の設けられた衝撃吸収部材50を車幅方向内側に押圧する。これにより、衝撃吸収部材50にて内部部材3を車幅方向内側に更に動かして、この内部部材3とスライドレール19間の距離を維持することで、これらの当接を極力回避できるようになる。
【0041】
[車両の下部構造の利点]
こうして上記した構成では、車幅方向に延びる衝撃吸収部材50を、ロアスライドレール19と同位置又はそれ以上に車幅方向外側(左側)に配置している。これにより、車両衝突時の衝撃荷重が衝撃吸収部材50により確実に加わるようになる。そして衝撃吸収部材50にて衝撃荷重を吸収することで、ロアスライドレール19に加わる衝撃荷重を低減させられるようになり、このロアスライドレール19が内部部材3に強く当てられ難くなる。このため本実施例によれば、車両衝突時等において、ロッカー下のロアスライドレール19が、床下側の内部部材3に強く当てられないようにすることができる。
【0042】
更に本実施例では、衝撃荷重の加えられた衝撃吸収部材50が、車幅方向から内部部材3に接することで、この内部部材3を車幅方向内側(右側)に移動させられるようになる。そして衝撃吸収部材50の一部が内部部材3の重心3Cを押すことで、この内部部材3をより確実に車幅方向内側、即ち、ロアスライドレール19から離れる向きに移動させられるようになる。また本実施例では、連結部位51の働きで、衝撃荷重の加えられた衝撃吸収部材50と内部部材3とが、より安定的に接した状態で車幅方向内側に移動するようになる。そして本実施例では、衝撃荷重の加えられたロアスライドレール19を、衝撃吸収部材50の受け部61で受けられるようになる。
【0043】
[車両の下部構造の別の利点(移動構造の働き)]
また上記した構成では、図2に示す移動構造60(受け部61、突出部位62、脆弱部位63)の働きで、スライドドア20のアーム部23が内部部材3に強く当たり難くなっている。ここで図4及び図6を参照して、車両側突時の衝撃荷重F1がロアスライドレール19の前端位置、即ち、全閉状態においてアーム部23の配置する位置に加えられた場合を想定する。このとき上記した構成では、車両側突時の衝撃荷重F1がアーム部23に加わることで、このアーム部23が車幅方向内側(右側)に移動するようになる(図6中、符号A2で示す方向を参照)。またアーム部23は、車幅方向外側(左側)に突出する突出部位62を有しているため、この突出部位62にて衝撃荷重F1をより確実に受けられる。そしてアーム部23の移動する先には、上記したように衝撃吸収部材50の受け部61が配置されている。このため、アーム部23の車幅方向内側の端部23Eは、内部部材3に至る前に衝撃吸収部材50(受け部材)の受け部61で受けられるようになる。
【0044】
そして図6に示すアーム部23には、その車幅方向内側(右側)の端部23Eが受け部61で受けられた状態で、車幅方向外側(左側)から衝撃荷重F1が加えられるようになる。このアーム部23には、その曲がり変形を助長する溝状の脆弱部位63が車両前後方向に延びるように設けられている。このため、衝撃荷重F1の加えられたアーム部23は、図7に示すように脆弱部位63を基点として、車両下側に向けて逆V字状となるようにスムーズに曲がり変形するようになる。このときアーム部23は、その長さ寸法が突出部位62にて大きくされることで、車両下側への曲がり変形を許容する余長が確保されている。このためアーム部23は、その余長によって車両下側により確実に曲がり変形することができる。そしてアーム部23が逆V字状に曲がり変形することで、そのアーム部23の車幅方向内側の端部23Eが内部部材3の車両上側、即ち、内部部材3から逸れる方向に移動する(図7中、符号A3で示す矢線を参照)。こうしてアーム部23の車幅方向内側の端部23Eを、移動構造60の働きで内部部材3から逸れる向きに動かすことで、このアーム部23が内部部材3に強く当たり難くなる。
【0045】
本実施形態の車両の下部構造は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、スライドレールと衝撃吸収部材の構成を例示したが、これら部材の構成を限定する趣旨ではない。車両の下部構造では、衝撃吸収部材の車両外側の端部を、スライドレールの適宜の位置又はスライドレールの略全長にわたって、基準位置(スライドレールの車両外側の端部の配置位置)と同位置又は基準位置よりも車両外側に配置させることができる。例えば図4を参照して、衝撃吸収部材の車両外側の端部を、曲げ部の略全長、または直線部の一部又は略全長に渡って、その基準位置と同位置又は基準位置よりも車両外側に配置させることができる。また衝撃吸収部材は、内部部材と隣接するだけでもよく、必ずしも連結されている必要はない。また衝撃吸収部材は、衝撃荷重が加えられた際に内部部材に接することができればよく、両部材間に隙が設けられていてもよい(近接していてもよい)。そして衝撃吸収部材は、車両前後方向において内部部材(側面部)の少なくとも一部に設けることもでき、この場合にも衝撃吸収部材の一部を内部部材の重心を通る仮想線上に設けることが望ましいが、それに限定されるわけではない。なお本実施形態では、衝撃吸収部材に受け部を設ける例を説明したが、受け部は、内部部材の車幅方向外側に配設されている各種の部材(後述する受け部材で例示の部材)に設けることもできる。また受け部は、縦壁状のほか、各種の形状を取ることができ、車両外側の面がテーパ状(例えば図4で右上側に傾斜するテーパ状)になっていてもよい。なおスライドレールの開閉方向は、必ずしも車両前後方向に限られない。また車両には、同種又は異種の内部部材を複数配設でき、本実施例の構成は、複数の内部部材の少なくとも一つを対象にすることができる。そしてロッカーは、スライドレール用の凹部を省略した筒状に形成されていればよく、角筒状や円筒状などの各種形状を採用できる。
【0046】
また本実施形態では、上記した別の利点に関する構造等として、移動構造の構成を例示したが、移動構造の構成を限定する趣旨ではない。例えば移動構造は、アーム部の車両外側の端部を、車両内外方向と交差する方向に移動させられるように構成されていればよく、図4の場合には、交差する方向として、車両上側、車両下側、車両前側、車両後側の少なくとも一方向を例示できる。またアーム部の車両外側の端部を移動構造にて曲がり変形させる場合、アーム部と衝撃吸収部材とロッカーの位置関係を考慮して、その移動方向(曲げ方向)を定めることもできる。即ち、アーム部と衝撃吸収部材間の上下方向の隙が相対的に大きい場合には、アーム部を車両下側に曲がり変形させることが望ましく、この場合にはアーム部の上面に脆弱部位を設けることが望ましい。またアーム部とロッカー間の上下方向の隙が相対的に大きい場合には、アーム部を車両上側に曲がり変形させることが望ましく、この場合にはアーム部の下面に脆弱部位を設けることが望ましい。なお脆弱部位として、溝状や孔状の薄肉部位や貫通孔(長孔を含む)をアーム部に断続的に設けてもよい。またアーム部を車両前後方向に曲げる場合、このアーム部の前後いずれかの周縁に、車両前後方向に延びる切欠き状の脆弱部位を設けることができる。また移動構造として、上記した各構成の少なくとも一つ、とりわけ受け部材を設けることが望ましく、この受け部材は、衝撃吸収部材のほか、内部部材の車両外側に配置する部材(ロッカーや、床下の骨格部材や、これらとは別部材の受け部材)を例示できる。また受け部材(受け部)は、衝撃荷重が加えられる前のアーム部に接していてもよい。また突出部位を設ける場合、この突出部位として、アーム部から車両外側に突出する横壁状の部位や肉厚部位を例示できる。なお別の利点に関する構造の少なくとも一部は必要に応じて省略できる。
【符号の説明】
【0047】
2 車両
3 内部部材
3C (内部部材の)重心
300 (内部部材の)側面部
301 フランジ部位
302 (内部部材の)上部
303 (内部部材の)下部
10 車両ボディ
11 フロントドア開口部
12 リヤドア開口部
13 センターピラー
15 フロントドア
17 アッパースライドレール
18 センタースライドレール
19 ロアスライドレール(本発明のスライドレール)
190 曲げ部
191 直線部
192 上壁部
193 下壁部
194 縦壁部
19X 基準位置(スライドレールの車両外側の端部の配置位置)
19A 近接領域
19E ロアスライドレールの車幅方向内側の端部(スライドレールの車両内側の端部)
20 スライドドア
20a ドアアウタパネル
20b ドアインナパネル
23 アーム部
23a 固定部位
23E アーム部の車幅方向内側の端部
25 ガイドローラユニット
26 ガイドローラ
27 荷重ローラ
30 ロッカー
31 ロッカーアウター
311 (ロッカーアウターの)上板面
312 (ロッカーアウターの)下板面
313 (ロッカーアウターの)左側板面
32 ロッカーインナー
321 (ロッカーインナーの)上板面
322 (ロッカーインナーの)下板面
323 (ロッカーインナーの)右側板面
31a,32a 上側の各フランジ部
31b,32b 下側の各フランジ部
35 前側連結部材
350 (前側連結部材の)左端部位
351 (前側連結部材の)右端部位
36 後側連結部材
37 別の連結部材
40 スカッフ
41 カーペット
50 衝撃吸収部材
50X 衝撃吸収部材の車幅方向外側の端部(衝撃吸収部材の車両外側の端部)
51 連結部位
52 連結板部
60 移動構造
61 受け部
62 突出部位
63 脆弱部位
260 第一軸材
261 上側支持部
270 第二軸材
271 下側支持部
272 第三軸材
FX1,FX2 締結点
WS ウエザストリップ
VL 仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7