(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077776
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】発電プラントの運転方法及び発電プラント
(51)【国際特許分類】
F22B 37/10 20060101AFI20240603BHJP
F22B 35/00 20060101ALI20240603BHJP
F22B 1/18 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
F22B37/10 602Z
F22B35/00 G
F22B1/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189919
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹友 孝裕
【テーマコード(参考)】
3L021
【Fターム(参考)】
3L021DA03
3L021DA28
3L021FA28
(57)【要約】
【課題】再熱器が燃焼ガスによって過熱損傷する可能性を低減できる発電プラントの運転方法及び発電プラントを提供する。
【解決手段】ボイラ10の燃焼ガス通路12に設置された再熱器103A,103Bを流れているボイラ10で発生した蒸気の流量が基準流量値以下であり、かつ燃焼ガス通路12に燃焼ガスが流れている場合に、ボイラ10で発生した蒸気とは異なる外部蒸気を再熱器103A,103Bに供給する。また、燃焼ガス通路12を流れる燃焼ガスの温度が基準温度値以上の場合に、外部蒸気を再熱器103A,103Bに供給する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラの燃焼ガス通路に設置された再熱器を流れている前記ボイラで発生した蒸気の流量が基準流量値以下であり、かつ前記燃焼ガス通路に燃焼ガスが流れている場合に、前記ボイラで発生した前記蒸気とは異なる外部蒸気を前記再熱器に供給する
発電プラントの運転方法。
【請求項2】
前記燃焼ガス通路を流れる燃焼ガスの温度が基準温度値以上の場合に、前記外部蒸気を前記再熱器に供給する
請求項1に記載の発電プラントの運転方法。
【請求項3】
前記再熱器の蒸気入口と接続されたタービンへの前記蒸気の供給を停止した場合に、前記外部蒸気を前記再熱器に供給する
請求項1に記載の発電プラントの運転方法。
【請求項4】
前記ボイラの起動時又は前記ボイラの単独運転時に前記外部蒸気を前記再熱器に供給する
請求項1に記載の発電プラントの運転方法。
【請求項5】
前記ボイラに供給される水を前記外部蒸気で加熱する
請求項1に記載の発電プラントの運転方法。
【請求項6】
前記再熱器の蒸気入口と接続されたタービンへ前記蒸気が供給された場合に、前記再熱器に供給されていた前記外部蒸気を停止する
請求項1から5のいずれかに記載の発電プラントの運転方法。
【請求項7】
ボイラの燃焼ガス通路に設置され、前記ボイラで発生した蒸気が供給される再熱器と、
前記ボイラの外部に設置され、前記ボイラで発生する前記蒸気とは異なる外部蒸気を生成する外部蒸気生成装置と、
前記外部蒸気生成装置から前記再熱器に供給する前記外部蒸気の流量を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記再熱器を流れている前記蒸気の流量が基準流量値以下であり、かつ前記燃焼ガス通路に燃焼ガスが流れている場合に、前記外部蒸気生成装置から前記外部蒸気を前記再熱器に供給する
発電プラント。
【請求項8】
前記外部蒸気生成装置は、太陽光エネルギを利用したものである
請求項7に記載の発電プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電プラントの運転方法及び発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1の
図2等には、ボイラで発生した蒸気が、高圧タービンに供給された後にボイラの煙道に設置された再熱器に供給される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火力発電プラントの起動時において、ボイラでの燃焼が開始された後の一定時間、煙道には燃焼ガスが流れているものの発電用の高圧タービンには蒸気が供給されていない状態がある。この状態においては、再熱器には蒸気が供給されていないため、燃焼ガスによって再熱器が過熱されて損傷すること(過熱損傷)を回避するために、再熱器に接触する燃焼ガスの温度が再熱器の耐熱温度よりも低い温度になるようにしなければならない。具体的には、ボイラに投入する燃料量を制限しなければならない。そのため、ボイラの起動に長い時間を要することがあった。
【0005】
また、火力発電プラントと接続されている電源系統のトラブル等のために、蒸気タービン(高圧タービン)への蒸気供給を停止することで発電を停止してボイラを単独で運転する場合、高圧タービンには蒸気が供給されないこととなる。この場合も、再熱器には蒸気が供給されないため、過熱損傷を回避するために、再熱器に接触する燃焼ガスの温度を再熱器の耐熱温度よりも低い温度まで下げなければならない。具体的には、ボイラに投入する燃料量を制限したり、場合に因ってはボイラを緊急停止したりする必要があった。そのため、トラブル復旧後の火力発電プラントの再起動に長い時間を要することがあった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、再熱器が燃焼ガスによって過熱損傷する可能性を低減できる発電プラントの運転方法及び発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の発電プラントの運転方法及び発電プラントは、以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係る発電プラントの運転方法は、ボイラの燃焼ガス通路に設置された再熱器を流れている前記ボイラで発生した蒸気の流量が基準流量値以下であり、かつ前記燃焼ガス通路に燃焼ガスが流れている場合に、前記ボイラで発生した前記蒸気とは異なる外部蒸気を前記再熱器に供給する。
【0008】
また、本開示の一態様に係る発電プラントは、ボイラの燃焼ガス通路に設置され、前記ボイラで発生した蒸気が供給される再熱器と、前記ボイラの外部に設置され、前記ボイラで発生する前記蒸気とは異なる外部蒸気を生成する外部蒸気生成装置と、前記外部蒸気生成装置から前記再熱器に供給する前記外部蒸気の流量を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記再熱器を流れている前記蒸気の流量が基準流量値以下であり、かつ前記燃焼ガス通路に燃焼ガスが流れている場合に、前記外部蒸気生成装置から前記外部蒸気を前記再熱器に供給する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、再熱器が燃焼ガスによって過熱損傷する可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る発電プラントが備えているボイラを表す概略構成図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る発電プラントの水蒸気系統(水系統)を表す図である。
【
図3】ボイラの起動時における主蒸気の圧力、高圧タービンの回転数、発電機の出力及び各弁の開閉状態を示したタイミングチャートである。
【
図4】ボイラの単独運転時における発電機の出力の指令値、高圧タービンの回転数、主蒸気の圧力の指令値及び各弁の開閉状態を示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態に係る発電プラントの運転方法及び発電プラントについて、図面を参照して説明する。
【0012】
なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。
また、実施形態や実施例が複数ある場合には、各実施形態同士や各実施例同士を組み合わせて構成してもよい。
また、「上」や「上方」とは鉛直方向の上を示し、「下」や「下方」とは鉛直方向の下を示すものである。ただし、鉛直方向は誤差を含んでもよい。
【0013】
[発電プラントの構成について]
図1は、発電プラント1が備えているボイラ10を表す概略構成図である。
ボイラ10は、固体燃料を粉砕した微粉燃料を複数のバーナ21により燃焼させ、燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成するボイラである。
固体燃料としては、バイオマス燃料や石炭等が例示される。
ボイラ10は、火炉11と、燃焼装置(図示せず)と、燃焼ガス通路12とを有している。
【0014】
火炉11は、四角筒の中空形状をなしており、鉛直方向に沿って設置されている。
火炉11の内壁面を構成する火炉壁101は、複数の伝熱管と、伝熱管同士を接続するフィンとを有し、微粉燃料の燃焼により発生した熱を各伝熱管の内部を流れている水や蒸気と熱交換して回収するとともに火炉壁101の温度上昇を抑制している。火炉壁101は、「水冷壁」ということもある。
【0015】
燃焼装置は、火炉11の下部領域に設置されている。
燃焼装置は、火炉壁101に装着された複数のバーナ21A,21B,21C,21D,21E,21F(一括して「バーナ21」と記載する場合がある。)を有している。
バーナ21は、火炉11の周方向に沿って均等な間隔で設置されたものを1セットとして、そのセットが鉛直方向に沿って複数段設置されている。
図1の場合、例えば、四角形の火炉11の各コーナ部に設置された4個のバーナ21を1セットとして、そのセットが鉛直方向に沿って6段設置されている。
【0016】
なお、
図1では、図示の都合上、1セットに含まれている複数のバーナのうちの2個のみを記載し、セット毎に符号21A,21B,21C,21D,21E,21Fを付している。
また、火炉11の形状やバーナ21の段数、一つの段におけるバーナ21の数、バーナ21の配置等は、上記の形態に限定されるものではない。
【0017】
バーナ21A,21B,21C,21D,21E,21Fは、それぞれ、複数の微粉燃料供給管22A,22B,22C,22D,22E,22F(一括して「微粉燃料供給管22」と記載する場合がある。)を介して、複数のミル31A,31B,31C,31D,31E,31F(一括して「ミル31」と記載する場合がある。)に連結されている。
ミル31は、例えば、内部に粉砕テーブル(図示省略)が駆動回転可能に支持されていて、粉砕テーブルの上方に複数の粉砕ローラ(図示省略)が粉砕テーブルの回転に連動回転可能に支持されて構成されている竪型ローラミルである。粉砕ローラと粉砕テーブルが協働して粉砕された固体燃料は、ミル31に供給される一次空気(搬送用ガス、酸化性ガス)により、ミル31が備える分級機(図示省略)に搬送される。分級機では、バーナ21での燃焼に適した粒径以下の微粉燃料と、該粒径より大きな粗粉燃料とに分級される。微粉燃料は、分級機を通過して、一次空気と共に微粉燃料供給管22を介してバーナ21に供給される。分級機を通過しなかった粗粉燃料は、ミル31の内部で自重により粉砕テーブル上に落下し、再び粉砕される。
【0018】
バーナ21の装着位置における火炉11の炉外側には、風箱23(エアレジスタ)が設けられており、この風箱23には風道24(空気ダクト)の一端が連結されている。
風道24の他端には、押込通風機32(FDF:Forced Draft Fan)が連結されている。押込通風機32から供給された空気は、風道24に設置された空気予熱器42で加熱され(詳細は後述する)、風箱23を介してバーナ21に二次空気(燃焼用空気、酸化性ガス)として供給され、火炉11の内部に投入される。
【0019】
燃焼ガス通路12は、火炉11の鉛直方向上部に連結されている。
燃焼ガス通路12には、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器102A,102B,102C(一括して「過熱器102」と記載する場合がある。)、再熱器103A,103B(一括して「再熱器103」と記載する場合がある。)及び節炭器104が設けられており、火炉11で発生した燃焼ガスと各熱交換器の内部を流れている給水や蒸気との間で熱交換が行われる。
なお、各熱交換器の配置や形状は、
図1に記載された形態に限定されない。
【0020】
燃焼ガス通路12の下流には、各熱交換器で熱が回収された燃焼ガスが排出される煙道13が連結されている。
煙道13には、空気予熱器42(エアヒータ)が設けられており、風道24を流れる空気と煙道13を流れる燃焼ガスとの間で熱交換が行われるように構成されている。空気予熱器42によってミル31に供給する一次空気やバーナ21に供給する二次空気を加熱することで、水や蒸気との熱交換後の燃焼ガスからさらに熱回収を行うことができる。
【0021】
また、煙道13には、空気予熱器42よりも上流の位置に、脱硝装置43が設けられていてもよい。
脱硝装置43は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を、煙道13内を流れている燃焼ガスに供給し、還元剤が供給された燃焼ガス中の窒素酸化物(NOx)と還元剤との反応を、脱硝装置43内に設置された脱硝触媒の触媒作用により促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。
【0022】
空気予熱器42よりも下流の煙道13には、ガスダクト41が連結されている。
ガスダクト41には、燃焼ガス中の灰等を除去する電気集じん機等の集じん装置44や硫黄酸化物を除去する脱硫装置46等の環境装置、また、それらの環境装置に排ガスを導くための誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)45が設けられている。ガスダクト41の下流端部は、煙突47に連結されており、環境装置で処理された燃焼ガスが排ガスとして系外に排出される。
【0023】
ボイラ10において、複数のミル31が駆動すると、粉砕、分級された微粉燃料が、一次空気と共に微粉燃料供給管22を介してバーナ21に供給される。また、空気予熱器42で加熱された二次空気が、風道24から風箱23を介してバーナ21に供給される。
バーナ21は、微粉燃料と一次空気とが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に、二次空気を火炉11に吹き込む。
火炉11に吹き込まれた微粉燃料混合気は、着火されて二次空気と反応することで火炎を形成する。
火炉11内の下部領域で火炎が形成され、高温の燃焼ガスが火炉11内を上昇し、燃焼ガス通路12に流入する。
なお、本実施形態では、酸化性ガス(一次空気、二次空気)として空気を用いるが、空気よりも酸素割合が多いものや逆に少ないものであってもよく、供給される燃料量に対する酸素量の比率を適正な範囲に調整することで、火炉11において安定した燃焼が実現される。
【0024】
燃焼ガス通路12に流入した燃焼ガスは、燃焼ガス通路12の内部に配置された過熱器102、再熱器103、節炭器104で水や蒸気と熱交換した後、煙道13に排出され、脱硝装置43で窒素酸化物が除去され、空気予熱器42で一次空気及び二次空気と熱交換した後、さらにガスダクト41に排出され、集じん装置44で灰等が除去され、脱硫装置46で硫黄酸化物が除去された後、煙突47から系外に排出される。
なお、燃焼ガス通路12における各熱交換器及び煙道13からガスダクト41における各装置の配置は、燃焼ガス流れに対して、必ずしも上記の順に配置されなくてもよい。
【0025】
次に、熱交換器として、燃焼ガス通路12に設けられた過熱器102、再熱器103、節炭器104について詳細に説明する。
図2は、発電プラント1の水蒸気系統(水系統)を表す図である。
なお、
図1は、燃焼ガス通路12内の各熱交換器(過熱器102A,102B,102C、再熱器103A,103B、節炭器104)の位置を正確に示しているものではなく、各熱交換器の燃焼ガス流れに対する配置順も
図1の記載に限定されるものではない。
【0026】
図2に示すように、発電プラント1は、ボイラ10に設けられた各熱交換器と、ボイラ10で生成された蒸気によって回転駆動される蒸気タービン111と、蒸気タービン111に連結され蒸気タービン111の回転力によって発電を行う発電機113とを備える。
【0027】
蒸気タービン111は、例えば、高圧タービン111A、中圧タービン111B及び低圧タービン111Cを有している。
ボイラ10の過熱器102で加熱された蒸気は、高圧タービン111Aを回転駆動する。
高圧タービン111Aを通過した蒸気は、ボイラ10の再熱器103で再過熱され、中圧タービン111Bを回転駆動する。
中圧タービン111Bを通過した蒸気は、低圧タービン111Cを回転駆動する。
【0028】
低圧タービン111Cには、復水器112が連結されており、低圧タービン111Cを回転駆動した蒸気が、この復水器112で冷却水(例えば、海水や河川水等)との熱交換によって凝縮されて復水となる。
復水器112は、給水ラインL1を介して節炭器104に連結されている。
【0029】
給水ラインL1には、例えば、復水ポンプ121(CP)、低圧給水ヒータ122、ボイラ給水ポンプ123(BFP)、高圧給水ヒータ124が設けられている。
低圧給水ヒータ122には、中圧タービン111Bを駆動する蒸気の一部が抽気ラインL12を介して供給される。
高圧給水ヒータ124には、高圧タービン111Aを駆動する蒸気の一部が抽気ラインL13を介して供給される。
低圧給水ヒータ122及び高圧給水ヒータ124は、蒸気タービン111から抽気された蒸気を熱源として、節炭器104へ供給される給水を加熱する装置である。
【0030】
例えばボイラ10が貫流ボイラの場合、節炭器104は、火炉壁101を構成する伝熱管に連結されている。
節炭器104で加熱された給水は、火炉壁101を構成する伝熱管を通過する際に、火炉11内の火炎から輻射を受けて加熱され、汽水分離器125へと導かれる。
汽水分離器125にて分離された蒸気は、過熱器102へと供給される。一方で、汽水分離器125にて分離されたドレン水は、汽水分離器ドレンタンク126へ流入し、ドレン水ラインL2を介して復水器112へと導かれる。
【0031】
また、貫流ボイラの起動時や低負荷運転時等においては、節炭器104から供給される給水が火炉壁101を構成する伝熱管を通過する際に全量が蒸発せず、汽水分離器125に水位が存在する運転状態(ウエット運転状態)となることがある。このウエット運転状態においては、汽水分離器125で分離され汽水分離器ドレンタンク126に導かれたドレン水は、ボイラ循環ポンプ127(BCP)を用いて循環ラインL6を介して給水ラインL1の途中に合流させることで、節炭器104から火炉壁101を構成する伝熱管へと循環して供給してもよい。
【0032】
燃焼ガスが燃焼ガス通路12を流れるとき、この燃焼ガスは、過熱器102、再熱器103、節炭器104で熱回収される。一方、ボイラ給水ポンプ123(BFP)から供給された給水は、節炭器104で予熱された後、火炉壁101を構成する伝熱管を通過する際に加熱されて蒸気となり、汽水分離器125に導かれる。
汽水分離器125で分離された蒸気は、第1過熱器102A、第2過熱器102B、第3過熱器102Cに導入され、燃焼ガスによって過熱される。
過熱器102で生成された過熱蒸気は、蒸気ラインL3を介して高圧タービン111Aに供給され、高圧タービン111Aを回転駆動する。
高圧タービン111Aから排出された蒸気は、蒸気ラインL4を介して第1再熱器103A、第2再熱器103Bに導入されて再度過熱される。
各再熱器で再過熱された蒸気は、蒸気ラインL5を介して、中圧タービン111Bを経て低圧タービン111Cに供給され、中圧タービン111Bおよび低圧タービン111Cを回転駆動する。
蒸気タービン111の回転軸は、発電機113を回転駆動して、発電が行われる。低圧タービン111Cから排出された蒸気は、復水器112で冷却されることで復水となり、給水ラインL1を介して、節炭器104に送られる。
【0033】
本実施形態の発電プラント1は、蒸気ラインL3と復水器112とを接続するバイパスラインL7と、蒸気ラインL5と復水器112とを接続するバイパスラインL8とを備えている。
バイパスラインL7は、蒸気タービン111(高圧タービン111A、中圧タービン111B及び低圧タービン111C)を介することなく、蒸気ラインL3を流れているボイラ10(過熱器102)からの蒸気(主蒸気)を直接的に復水器112に導くラインである。
バイパスラインL8は、蒸気タービン111(中圧タービン111B及び低圧タービン111C)を介することなく、蒸気ラインL5を流れているボイラ10(再熱器103)からの蒸気(再熱蒸気)を直接的に復水器112に導くラインである。
【0034】
以上の通り説明した各蒸気ラインL3~L5やバイパスラインL7,L8には、適宜、ボイラ10で生成された蒸気の流量を調整する弁が設けられている。そして、各弁の開閉状態は制御部81によって制御されている。また、後述する調節弁の開閉状態も制御部81によって制御されている。
【0035】
制御部81(Controller)は、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)、主記憶装置(Main Memory)、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)等を備えている。更に、制御部81は、他の装置と情報の送受信を行うための通信部を備えていてもよい。ここで、他の装置とは、例えば、各弁、各箇所に設けられた各弁の制御に必要な温度センサ、流量センサ等である。
主記憶装置は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPUの実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
二次記憶装置は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置に記憶されており、このプログラムをCPUが主記憶装置に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0036】
蒸気ラインL3には、主蒸気遮断弁51及び主蒸気加減弁52(ガバナ弁)が設けられている。
主蒸気遮断弁51は、高圧タービン111Aに供給されるボイラ10(過熱器102)からの蒸気を遮断することができる弁である。
主蒸気加減弁52は、高圧タービン111Aに供給されるボイラ10(過熱器102)からの蒸気の流量を調節することができる弁である。主蒸気加減弁52は、蒸気の流れる方向において、主蒸気遮断弁51よりも下流に設けられている。
【0037】
蒸気ラインL5には、再熱蒸気遮断弁53が設けられている。
再熱蒸気遮断弁53は、中圧タービン111Bに供給されるボイラ10(再熱器103)からの蒸気を遮断することができる弁である。
【0038】
バイパスラインL7には、高圧タービンバイパス弁54が設けられている。
高圧タービンバイパス弁54は、復水器112に供給されるボイラ10(過熱器102)からの蒸気(主蒸気)の流量を調節することができる弁である。高圧タービンバイパス弁54を開状態にすることでボイラ10からの蒸気の少なくとも一部を復水器112に供給することができる。
高圧タービンバイパス弁54は、主蒸気遮断弁51及び主蒸気加減弁52と共に制御されてもよく、高圧タービンバイパス弁54と主蒸気遮断弁51及び/又は主蒸気加減弁52との組合せによって、ボイラ10から復水器112に供給される蒸気の流量を決定することもできる。例えば、ボイラ10からの蒸気の全量について高圧タービン111Aをバイパスさせることもできる。
【0039】
バイパスラインL8には、低圧タービンバイパス弁55が設けられている。
低圧タービンバイパス弁55は、復水器112に供給されるボイラ10からの蒸気(再熱蒸気)の流量を調節することができる弁である。低圧タービンバイパス弁55を開状態にすることでボイラ10からの蒸気の少なくとも一部を復水器112に供給することができる。
低圧タービンバイパス弁55は、再熱蒸気遮断弁53と共に制御されてもよく、低圧タービンバイパス弁55と再熱蒸気遮断弁53との組合せによって、ボイラ10から復水器112に供給される蒸気の流量を決定することもできる。例えば、ボイラ10からの蒸気の全量について中圧タービン111B及び低圧タービン111Cをバイパスさせることもできる。
【0040】
[外部蒸気生成装置について]
本実施形態の発電プラント1は、更に、外部蒸気生成装置71及び外部蒸気ヘッダ73を備えている。
外部蒸気とは、ボイラ10(具体的には、火炉壁101、過熱器102及び再熱器103)で生成された蒸気とは異なる系統で生成された蒸気のことである。単に「外部蒸気」と記載した場合は、ボイラ10で生成された蒸気と区別される。
【0041】
外部蒸気生成装置71は、外部蒸気を生成するための装置である。
外部蒸気生成装置71としては、発電プラント1を含む発電所に備えられた補助ボイラや、発電所内もしくはその近隣に設置された太陽光等の再生可能エネルギを利用した蒸気発生装置等が例示される。
ただし、外部蒸気を生成することができる装置であればこれに限定されない。また、外部蒸気生成装置71の数は、1つであっても3つ以上であってもよい。また、異なる種類の装置を組み合わせてもよい。
【0042】
外部蒸気ヘッダ73は、複数の外部蒸気生成装置71で生成された外部蒸気が集約される部分である。
【0043】
外部蒸気ヘッダ73には、外部蒸気ラインL9、外部蒸気ラインL10及び外部蒸気ラインL11が接続されている。
【0044】
外部蒸気ラインL9は、外部蒸気ヘッダ73に集約された外部蒸気を蒸気ラインL4に供給するラインである。ただし、外部蒸気ラインL9は、必ずしも蒸気ラインL4に接続されている必要はなく、外部蒸気を再熱器103に供給できるように構成されていればよい。
外部蒸気ラインL9には、調節弁61が設けられている。調節弁61は、再熱器103に供給される外部蒸気の流量を調節することができる弁である。
【0045】
外部蒸気ラインL10は、外部蒸気ヘッダ73に集約された外部蒸気を低圧給水ヒータ122に供給するラインである。これによって、外部蒸気を低圧給水ヒータ122の熱源として使用できる。
外部蒸気ラインL10には、調節弁62が設けられている。調節弁62は、低圧給水ヒータ122に供給される外部蒸気の流量を調節することができる弁である。
【0046】
外部蒸気ラインL11は、外部蒸気ヘッダ73に集約された外部蒸気を高圧給水ヒータ124に供給するラインである。これによって、外部蒸気を高圧給水ヒータ124の熱源として使用できる。
外部蒸気ラインL11には、調節弁63が設けられている。調節弁63は、高圧給水ヒータ124に供給される外部蒸気の流量を調節することができる弁である。
【0047】
[外部蒸気を供給するタイミングについて]
発電プラント1の通常運転時、ボイラ10(火炉壁101及び過熱器102)で生成された蒸気は、高圧タービン111Aを介して再熱器103に供給される。
このとき、何らかの原因により再熱器103に供給される蒸気の流量が減少した場合/初めから少ない場合、燃焼ガス通路12で燃焼ガスに晒されている再熱器103は、燃焼ガスによって過熱損傷する可能性がある。
そこで、本実施形態では、所定の場合に蒸気(ボイラ10で生成されるもの)の代わりに外部蒸気を再熱器103に供給することで、再熱器103の過熱損傷を防ぐこととした。
ここでいう「所定の場合」とは、例えば、ボイラ10に投入される燃料量に応じた燃焼ガスの状態量(温度や流量等)、及び再熱器103の耐熱性を考慮して定められた、燃焼ガスに晒されていたとしても再熱器103が過熱損傷しない蒸気の流量を基準流量値とした場合に、再熱器103を流れる蒸気の流量が当該基準流量値以下となった場合(ゼロの場合を含む)を指す。なお、これは例示であり、再熱器103に供給される蒸気の流量を考慮したうえで、再熱器103の過熱損傷を防ぐことができるタイミングで外部蒸気を供給すればよい。
【0048】
以下、外部蒸気を供給するタイミングの実施例について説明する。
なお、外部蒸気を再熱器103に供給するタイミングのみならず、外部蒸気を低圧給水ヒータ122に供給するタイミング及び外部蒸気を高圧給水ヒータ124に供給するタイミングについても併せて説明する。
【0049】
<実施例1:ボイラの起動時>
図3は、ボイラ10の起動時における主蒸気の圧力、高圧タービン111Aの回転数、発電機113の出力及び各弁の開閉状態を示したタイミングチャートである。
【0050】
図2及び
図3に示すように、ボイラ10の起動時には、まず、制御部81は、燃料遮断(MFT)回路をリセットしてボイラ10の点火が可能な状態にする。なお、この段階で、十分な量の外部蒸気が外部蒸気ヘッダ73に供給されているものとする。
【0051】
次に、制御部81は、調節弁62及び調節弁63を開くように制御する。これによって、低圧給水ヒータ122及び高圧給水ヒータ124に熱源としての外部蒸気が供給されて給水ラインL1の流れる給水が加熱されることになる。
なお、抽気ラインL12に設けられた抽気弁56及び抽気ラインL13に設けられた抽気弁57は、閉じられている。
【0052】
次に、制御部81は、ボイラ10(バーナ21)の点火を行う。これによって、燃焼ガス通路12には、燃焼ガスが流れ始める。このとき、ボイラ10では蒸気が生成され始めるが、通常運転時の生成量と比べるとかなり少ない(少なくとも基準流量値以下)。
これと略同時に、制御部81は、調節弁61を開くように制御する。これによって、外部蒸気ヘッダ73に集約された外部蒸気は、外部蒸気ラインL9を介して、燃焼ガスに晒された再熱器103に供給されることになる。そのため、燃焼ガスによる再熱器103の過熱損傷を防止することができる。
これと略同時に、制御部81は、低圧タービンバイパス弁55を開くように制御する。このとき、再熱蒸気遮断弁53は閉状態とされている。これによって、再熱器103に供給された外部蒸気は、バイパスラインL8を介して復水器112に導かれることになる。
【0053】
次に、主蒸気の圧力が所定圧力値に達した後、制御部81は、主蒸気遮断弁51及び主蒸気加減弁52を開くように制御して、高圧タービン111Aへの通気を開始する。これによって、高圧タービン111Aが回転し始めるとともに、高圧タービン111Aに供給された蒸気は、蒸気ラインL4を介して再熱器103に供給されることになる。なお、主蒸気の圧力は、例えば、主蒸気遮断弁51の入口付近で計測される。
ボイラ10によって生成された蒸気(主蒸気)が再熱器103に流れ始めて基準流量値に達すれば、再熱器103に外部蒸気を供給する必要がなくなる。そのため、制御部81は、調節弁61を閉じるように制御する。なお、高圧タービン111Aの回転数が略一定になる頃には、再熱器103を流れる蒸気の流量が基準流量値に達するため、調節弁61は全閉状態となる。
その後、発電機113での発電が開始(併入)されて、発電プラント1から電源系統に送電が開始される。
【0054】
<実施例2:ボイラの単独運転時>
図4は、ボイラ10の単独運転時における発電機113の出力の指令値、高圧タービン111Aの回転数、主蒸気の圧力の指令値(設定値)及び各弁の開閉状態を示したタイミングチャートである。
ここでいう「ボイラ10の単独運転」とは、例えば、電源系統のトラブル等により発電を停止するために蒸気タービン111を停止しつつも、ボイラ10による蒸気の生成(すなわち、火炉11における燃焼)は継続されている状態を指す。また、「蒸気タービン111の停止」とは、回転数がゼロになった状態のみならず、蒸気タービン111への蒸気の供給が停止され回転数が通常運転時よりも低下した状態を含む。
【0055】
図2及び
図4に示すように、ボイラ10の単独運転に移行する際には、まず、制御部81は、発電機113の出力の指令値をゼロにする。
これと略同時に、制御部81は、主蒸気の圧力が規定のレートに従って徐々に減少するように設定値を変更する。
【0056】
これと略同時に、制御部81は、高圧タービンバイパス弁54及び低圧タービンバイパス弁55を開くように制御する。このとき、制御部81は、主蒸気遮断弁51及び主蒸気加減弁52並びに再熱蒸気遮断弁53を閉じるように制御する。これらの制御によって、蒸気タービン111に供給される主蒸気の流量や主蒸気の圧力が減少するとともに、バイパスラインL7及びバイパスラインL8を介して復水器112に導かれる蒸気の流量が増大することになる。高圧タービン111Aに供給される蒸気の流量が減少すると、高圧タービン111Aの回転数は低下していく。また、高圧タービン111Aに供給される蒸気の流量が減少すると、再熱器103に供給される蒸気(ボイラ10で生成されるもの)の流量も減少する(少なくとも基準流量値以下になる)。
これと略同時に、制御部81は、調節弁61を開くように制御する。これによって、外部蒸気ヘッダ73に集約された外部蒸気は、外部蒸気ラインL9を介して、燃焼ガスに晒された再熱器103に供給されることになる。そのため、燃焼ガスによる再熱器103の過熱損傷を防止することができる。
【0057】
なお、ボイラ10の単独運転時における調節弁62及び調節弁63は、外部蒸気の発生能力の余力を考慮して制御される。
具体的には、外部蒸気の発生能力に余力があれば、調節弁62及び調節弁63を開いておき給水を加熱してもよい。これによって、給水を高い温度で維持したまま循環させることができるので、単独運転から通常運転に移行する際に素早くボイラ10を立ち上げることができる。
一方で、外部蒸気の発生能力に余力がなければ、調節弁62及び調節弁63を閉じてもよい。これによって、過熱損傷を防止するために十分な量の外部蒸気を再熱器103に供給することができるようになる。
【0058】
<変形例1>
ボイラ10の起動時やボイラ10の単独運転時に限らず、燃焼ガス通路12に燃焼ガスが流れている状態において、その時に再熱器103に流れている蒸気だけでは再熱器103が過熱損傷するおそれがある場合に、外部蒸気を再熱器103に供給することができる。
例えば、外部系統への送電は停止し、発電プラント1の運転継続に必要な電力のみの発電を継続する所内単独運転状態等である。
<変形例2>
また、主蒸気遮断弁51及び/又は主蒸気加減弁52を閉じ始めたこと/全閉状態になったことを条件に、再熱器103に外部蒸気を供給してもよい。
<変形例3>
また、燃焼ガス通路12に燃焼ガスが流れていたとしても、燃焼ガスの温度が再熱器103の耐熱温度以下を維持している間は、外部蒸気を供給する必要はない。言い換えれば、燃焼ガスの温度が再熱器103の耐熱温度よりも低い基準温度値以上になったことを条件に、再熱器103に外部蒸気を供給してもよい。
なお、燃焼ガスの温度が基準温度値以下の場合であっても、再熱器103の温度を耐熱温度以下に維持するように、再熱器103に外部蒸気を供給してもよい。
【0059】
いずれの場合であっても、ボイラ10から高圧タービン111Aに供給される蒸気の流量が通常運転時で想定している供給量と同量になれば、再熱器103への外部蒸気の供給を停止してもよい。
【0060】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
高温の燃焼ガスに晒されている再熱器103を流れる蒸気(ボイラ10で生成されるもの)の流量が減少すること/初めから少ないことで再熱器103が過熱損傷するような可能性がある場合に、蒸気(ボイラ10で生成されるもの)の代わりに外部蒸気を再熱器103に流すことで再熱器103が燃焼ガスによって過熱損傷する可能性を低減できる。
これによって、例えば、ボイラ10の起動時に燃焼ガスの高温化を避けるためにボイラ10に投入する燃料量を制限する必要がなくなり、ボイラ10の起動に要する時間の短縮が実現できる。また、例えば、何らかのトラブルにより発電を停止(すなわち、蒸気タービン111を停止)してボイラ10を単独で運転する際に、燃焼ガスの温度を下げるためにボイラ10に投入する燃料量を制限したりボイラ10を緊急停止したりする必要がなくなり、再起動に要する時間の短縮が実現できる。
【0061】
また、ボイラ10に供給される水(給水)を外部蒸気で加熱する場合、ボイラ10に比較的に高温の水を供給することができる。これによって、ボイラ10の起動や再起動に要する時間の短縮が実現できる。
【0062】
また、再熱器103の蒸気入口と接続された高圧タービン111Aへ蒸気が供給された場合に、再熱器103に供給されていた外部蒸気を停止するので、外部蒸気から蒸気(ボイラ10で生成されるもの)への切替えを円滑に行うことができる。
【0063】
上述した実施形態では、本開示のボイラ10を、燃料に固体燃料を使用するボイラ10として説明した。ボイラ10に使用される固体燃料としては、石炭、バイオマス燃料、石油コークス(PC:Petroleum Coke)燃料、石油残渣等が使用される。
なお、ボイラ10の燃料としては、固体燃料に限らず、重油、軽油、重質油等の石油類や工場廃液、液化アンモニア等の液体燃料も使用することができる。また、天然ガスや各種石油ガス、製鉄プロセス等で発生する副生ガス、水素ガス、アンモニアガス等の気体燃料も使用することができる。
また、これらの各種燃料を組み合わせて使用する混焼ボイラにも適用することができる。
【0064】
以上の通り説明した本実施形態に係る発電プラントの運転方法及び発電プラントは、例えば、以下のように把握される。
すなわち、本開示の第1態様に係る発電プラントの運転方法は、ボイラ(10)の燃焼ガス通路(12)に設置された再熱器(103)を流れている前記ボイラ(10)で発生した蒸気の流量が基準流量値以下であり、かつ前記燃焼ガス通路(12)に燃焼ガスが流れている場合に、前記ボイラ(10)で発生した前記蒸気とは異なる外部蒸気を前記再熱器(103)に供給する。
【0065】
本態様に係る発電プラント(1)の運転方法によれば、ボイラ(10)の燃焼ガス通路(12)に設置された再熱器(103)を流れているボイラ(10)で発生した蒸気の流量が基準流量値以下であり、かつ燃焼ガス通路(12)に燃焼ガスが流れている場合に、ボイラ(10)で発生した蒸気とは異なる外部蒸気を再熱器(103)に供給するので、高温の燃焼ガスに晒されている再熱器(103)を流れる蒸気(ボイラ(10)で生成されるもの)の流量が減少すること/初めから少ないことで再熱器(103)が過熱損傷するような可能性がある場合に、蒸気(ボイラ(10)で生成されるもの)の代わりに外部蒸気を再熱器(103)に流すことで再熱器(103)が燃焼ガスによって過熱損傷する可能性を低減できる。
これによって、例えば、ボイラ(10)の起動時に燃焼ガスの高温化を避けるためにボイラ(10)に投入する燃料量を制限する必要がなくなり、ボイラ(10)の起動に要する時間の短縮が実現できる。また、例えば、何らかのトラブルにより発電を停止(すなわち、発電用のタービンを停止)してボイラ(10)を単独で運転する際に、燃焼ガスの温度を下げるためにボイラ(10)に投入する燃料量を制限したりボイラ(10)を緊急停止したりする必要がなくなり、再起動に要する時間の短縮が実現できる。
【0066】
本開示の第2態様に係る発電プラントの運転方法は、第1態様において、前記燃焼ガス通路(12)を流れる燃焼ガスの温度が基準温度値以上の場合に、前記外部蒸気を前記再熱器(103)に供給する。
【0067】
本態様に係る発電プラント(1)の運転方法によれば、燃焼ガス通路(12)を流れる燃焼ガスの温度が基準温度値以上の場合に、外部蒸気を前記再熱器(103)に供給するので、再熱器(103)が過熱損傷する可能性がある燃焼ガスの温度を判断基準の1つとすることができる。
【0068】
本開示の第3態様に係る発電プラントの運転方法は、第1態様又は第2態様において、前記再熱器(103)の蒸気入口と接続されたタービンへの前記蒸気の供給を停止した場合に、前記外部蒸気を前記再熱器(103)に供給する。
【0069】
本態様に係る発電プラント(1)の運転方法によれば、再熱器(103)の蒸気入口と接続されたタービンへの蒸気の供給を停止した場合に、外部蒸気を再熱器(103)に供給するので、タービンへの蒸気(ボイラ(10)で生成されるもの)の供給が停止して再熱器(103)に供給される蒸気(ボイラ(10)で生成されるもの)の量が略ゼロになる前に外部蒸気を再熱器(103)に供給することができる。
【0070】
本開示の第4態様に係る発電プラントの運転方法は、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、前記ボイラ(10)の起動時又は前記ボイラ(10)の単独運転時に前記外部蒸気を前記再熱器(103)に供給する。
【0071】
本態様に係る発電プラント(1)の運転方法によれば、ボイラ(10)の起動時又は前記ボイラ(10)の単独運転時に外部蒸気を再熱器(103)に供給するので、ボイラ(10)投入する燃料量を制限しなければ燃焼ガスによって再熱器(103)が過熱損傷する可能性が高いときに外部蒸気を再熱器(103)に供給することができる。
【0072】
本開示の第5態様に係る発電プラントの運転方法は、第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記ボイラ(10)に供給される水を前記外部蒸気で加熱する。
【0073】
本態様に係る発電プラント(1)の運転方法によれば、ボイラ(10)に供給される水を外部蒸気で加熱するので、ボイラ(10)に比較的に高温の水を供給することができる。これによって、ボイラ(10)の起動や再起動に要する時間の短縮が実現できる。
【0074】
本開示の第6態様に係る発電プラントの運転方法は、第1態様から第5態様のいずれかにおいて、前記再熱器(103)の蒸気入口と接続されたタービン(111)へ前記蒸気が供給された場合に、前記再熱器(103)に供給されていた前記外部蒸気を停止する。
【0075】
本態様に係る発電プラント(1)の運転方法によれば、再熱器(103)の蒸気入口と接続されたタービン(111)へ蒸気が供給された場合に、再熱器(103)に供給されていた外部蒸気を停止するので、外部蒸気から蒸気(ボイラ(10)で生成されるもの)への切替えを円滑に行うことができる。
【0076】
本開示の第7態様に係る発電プラントは、ボイラ(10)の燃焼ガス通路(12)に設置され、前記ボイラ(10)で発生した蒸気が供給される再熱器(103)と、前記ボイラ(10)の外部に設置され、前記ボイラ(10)で発生する前記蒸気とは異なる外部蒸気を生成する外部蒸気生成装置(71)と、前記外部蒸気生成装置(71)から前記再熱器(103)に供給する前記外部蒸気の流量を制御する制御部(81)と、を備え、前記制御部(81)は、前記再熱器(103)を流れている前記蒸気の流量が基準流量値以下であり、かつ前記燃焼ガス通路(12)に燃焼ガスが流れている場合に、前記外部蒸気生成装置(71)から前記外部蒸気を前記再熱器(103)に供給する。
【0077】
本開示の第8態様に係る発電プラント、第7態様において、前記外部蒸気生成装置(71)は、太陽光エネルギを利用したものである。
【符号の説明】
【0078】
10 ボイラ
11 火炉
12 燃焼ガス通路
13 煙道
21(21A~21F) バーナ
22(22A~22F) 微粉燃料供給管
23 風箱(エアレジスタ)
24 風道(空気ダクト)
31(31A~31F) ミル(粉砕機)
32 押込通風機(FDF)
41 ガスダクト
42 空気予熱器
43 脱硝装置
44 集じん装置
45 誘引通風機(IDF)
46 脱硫装置
47 煙突
51 主蒸気遮断弁
52 主蒸気加減弁(ガバナ弁)
53 再熱蒸気遮断弁
54 高圧タービンバイパス弁
55 低圧タービンバイパス弁
56 抽気弁(L12に設置)
57 抽気弁(L13に設置)
61 調節弁(L9に設置)
62 調節弁(L10に設置)
63 調節弁(L11に設置)
71 外部蒸気生成装置
73 外部蒸気ヘッダ
81 制御部
101 火炉壁
102 過熱器
102A 第1過熱器
102B 第2過熱器
102C 第3過熱器
103 再熱器
103A 第1再熱器
103B 第2再熱器
104 節炭器
111 蒸気タービン
111A 高圧タービン
111B 中圧タービン
111C 低圧タービン
112 復水器
113 発電機
121 復水ポンプ(CP)
122 低圧給水ヒータ
123 ボイラ給水ポンプ(BFP)
124 高圧給水ヒータ
125 汽水分離器
126 汽水分離器ドレンタンク
127 ボイラ循環ポンプ(BCP)
L1 給水ライン
L2 ドレン水ライン
L3~L5 蒸気ライン
L6 循環ライン
L7,L8 バイパスライン
L9~L11 外部蒸気ライン
L12,L13 抽気ライン