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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077779
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/18 20060101AFI20240603BHJP
   E06B 1/12 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
E06B1/18 X
E06B1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189923
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正樹
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011BA01
(57)【要約】
【課題】カバー部材の外形寸法を抑えた上で取り扱いの強度を確保する。
【解決手段】並設された2つの枠体20の間に室内側に突出する方立基板部10aを有した方立10が配設され、2つの枠体20はそれぞれの縦枠21が方立10に連結されており、方立基板部10a及び縦枠21との連結部分の周囲にカバー部材30が設けられる建具であって、縦枠21は、室内に向けて見込み方向に延在する見込み面21gを有し、カバー部材30には、縦枠21に対向する部分に係合片部50cが設けられ、縦枠21の見込み面21gには、カバー部材30の係合片部50cに対応する部分に被係合片部40dを有したブラケット40が設けられ、カバー部材30は、係合片部50cを被係合片部40dに係合させることによって縦枠21に支持されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設された2つの枠体の間に室内側に突出する突出部を有した連結形材が配設され、
前記2つの枠体はそれぞれの形材が前記連結形材に連結されており、前記突出部及び前記形材との連結部分の周囲にカバー部材が設けられる建具であって、
前記形材は、室内に向けて見込み方向に延在する第一取付面を有し、
前記カバー部材には、前記形材に対向する部分に係合片が設けられ、
前記形材の前記第一取付面には、前記カバー部材の係合片に対応する部分に被係合片を有したブラケットが取り付けられ、
前記カバー部材は、前記係合片を前記被係合片に係合させることによって前記形材に支持されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記カバー部材及び前記ブラケットには、それぞれ見込み方向に沿って延在し、互いに当接することによって前記形材に対する前記カバー部材の見込み方向の移動をガイドする摺動面が設けられ、
前記係合片及び前記被係合片は、前記カバー部材を見込み方向に移動させることによって係合可能となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記摺動面は、前記被係合片よりも前記枠体の内周側となる部分に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記カバー部材には、前記連結形材を挟んで両側となる部分にそれぞれ前記係合片が設けられているとともに、前記2つの枠体の形材にそれぞれ前記ブラケットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項5】
前記形材には、室内側に突出した後、見付け方向に沿って延在した連結片が設けられ、
前記連結形材には、前記連結片に重ね合わされた状態で相互間が連結される取付片が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項6】
前記連結片は、前記被係合片よりも室内側に突出した位置において見付け方向に延在していることを特徴とする請求項5に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関するもので、詳細には2つの枠体の間が方立等の連結形材によって連結され、かつ連結形材の室内側に突出する突出部がカバー部材によって覆われた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の建具では、方立の突出部を取り囲むようにカバー部材を設けるようにしたものがある。カバー部材としては、木材や樹脂によって成形されたものが適用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-2096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のカバー部材は、室内に突出するものであるため、左右に沿った寸法をできるだけ小さくすることが好ましい。しかしながら、カバー部材と方立の突出部との間には、カバー部材を方立に取り付けるための取付部材が介在された状態にある。従って、カバー部材の外形寸法を小さくした場合には、カバー部材の板厚を十分に確保することが困難となり、取り扱いの強度を考慮すると必ずしも好ましいとはいえない。特に、高い耐風圧を確保した建具では、突出部が中空状に構成されている場合があり、上述した問題が一層顕著となる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、カバー部材の外形寸法を抑えた上で取り扱いの強度を確保することのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、並設された2つの枠体の間に室内側に突出する突出部を有した連結形材が配設され、前記2つの枠体はそれぞれの形材が前記連結形材に連結されており、前記突出部及び前記形材との連結部分の周囲にカバー部材が設けられる建具であって、前記形材は、室内に向けて見込み方向に延在する第一取付面を有し、前記カバー部材には、前記形材に対向する部分に係合片が設けられ、前記形材の前記第一取付面には、前記カバー部材の係合片に対応する部分に被係合片を有したブラケットが取り付けられ、前記カバー部材は、前記係合片を前記被係合片に係合させることによって前記形材に支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カバー部材に設けた係合片を形材に設けたブラケットの被係合片に係合させることによってカバー部材を形材に支持しているため、連結形材の突出部とカバー部材との間に取付部材を設ける必要がない。これにより、突出部とカバー部材の間の隙間を小さく設定することができ、カバー部材の肉厚を確保した状態で外形寸法を抑えることが可能となる。しかも、見込み方向に延在する第1取付面にブラケットを取り付けるようにしているため、室外の水が進入する事態を招来する懸念がない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態である建具を室内側から見た姿図である。
図2図1に示した建具の要部横断面図である。
図3図1に示した建具においてカバー部材を取り付ける以前の状態を示す要部横断面図である。
図4図1に示した建具の要部分解横断面図である。
図5】本発明の建具の変形例1を示す要部横断面図である。
図6】本発明の建具の変形例2を示す要部横断面図である。
図7】本発明の建具の変形例3を示す要部横断面図である。
図8】本発明の建具の変形例4を示す要部横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。形材等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1図2は、本発明の実施の形態である建具を示したものである。ここで例示する建具は、方立(連結形材)10を介して2つの枠体20を左右に並設した状態で相互に連結した連窓と称されるものである。枠体20は、互いに同一の構成を有したもので、それぞれ左右の縦枠(形材)21、上枠22、下枠23を四周組みすることによって構成してある。個々の枠体20は、内部に四角形状を成すガラス等のパネル24が支持することによりFIX窓を構成するもので、一方の縦枠21が方立10を介して互いに連結してある。以下、縦枠21及び方立10の構成について詳細に説明を行う。なお、以下の説明においては便宜上、建具を躯体に取り付けた状態の姿勢で縦枠21及び方立10等の構成要素についてそれぞれの方向を特定することとする。また、見込み方向については、個々の枠体20において外周側及び内周側を規定することとする。
【0011】
方立10によって連結した枠体20の縦枠21は、互いに対称形状となるように構成したものである。すなわち、図2図4に示すように、縦枠21は、縦枠基部21a、パネル支持壁部21b、連結基壁部(連結片)21c、連結片部(連結片)21dを有した押し出し形材であり、例えばアルミニウム合金等の金属や樹脂によって一体に成形してある。縦枠基部21aは、断面が略四角の中空状を成すものである。パネル支持壁部21bは、縦枠基部21aの外周側、かつ室外側となる隅部から見込み方向に沿って室外に延在したものである。パネル支持壁部21bの延在縁部には、内周側となる部分に押縁装着部21eが設けてある。押縁装着部21eには、縦枠基部21aとの間にパネル24を支持するための押縁25が装着してある。また、パネル支持壁部21bの外周側となる部分には、室内側に向けてフック状となる方立係合部21fが設けてある。連結基壁部21cは、縦枠基部21aの外周側、かつ室内側となる隅部から見込み方向に沿って室内に延在した平板状を成すものである。連結片部21dは、連結基壁部21cの延在縁部から内周側に向けてほぼ直角に延在したものである。
【0012】
縦枠21の間に配設される方立10は、方立基板部(突出部)10a、取付片部(取付片)10bを有した押し出し形材であり、例えばアルミニウム合金等の金属や樹脂によって一体に成形してある。図には明示していないが、方立10の長手に沿った寸法は、縦枠21の長手に沿った寸法とほぼ同じである。方立基板部10aは、見込み方向に沿って延在した平板状を成すもので、縦枠21の見込み方向に沿った寸法よりも大きな長さを有するように構成してある。方立基板部10aの室外側となる縁部には、並設した2つの縦枠21の方立係合部21fに同時に係合可能となるように2つの係合突部10cが設けてある。方立基板部10aの室内側となる縁部には、後述するカバー部材30の内方カバー部31に当接する見付け当接板部10dが設けてある。取付片部10bは、方立基板部10aの中間となる部分から見付け方向に沿って延在した平板状を成すものである。この取付片部10bは、係合突部10cを方立係合部21fに係合させた際に縦枠21の連結片部21dに当接することができる位置に設けてある。取付片部10bの室外に臨む見付け面には、連結基壁部21cの外周側となる見込み面に当接することにより、縦枠21の見付け方向に沿った位置を規定する位置決めリブ10eが設けてある。位置決めリブ10eから取付片部10bの延在縁部までの距離は、連結基壁部21cから連結片部21dの延在縁部までの寸法とほぼ等しい。
【0013】
上述した2つの縦枠21は、方立係合部21fをそれぞれ係合突部10cに係合させ、かつ連結片部21dを取付片部10bに当接させた状態で取付片部10bを介して連結片部21dに連結ネジ26を螺合することにより、互いに左右に並設した状態に維持される。このとき、連結片部21dの延在端縁と、取付片部10bの延在端縁とが見込み方向に沿ってほぼ同じ位置となる。パネル支持壁部21bの相互間において方立基板部10aよりも室外側となる部分には、シール部材27を充填することにより、相互間の隙間が塞がれた状態となっている。一方、2つの枠体20の室内側となる部分には、カバー部材30を設けることによって縦枠21の連結部分が覆われた状態となっている。
【0014】
カバー部材30は、縦枠基部21aの室内に臨む見付け面及びこれよりも室内側に突出した縦枠21の連結基壁部21c、連結片部21dと方立10の方立基板部10a、取付片部10b、見付け当接板部10dを覆うもので、例えば木材や樹脂によって中実状に成形してある。より具体的に説明すると、カバー部材30は、見込み方向に沿って延在する2つの側方カバー部32と、これら側方カバー部32の室内側となる部分を連結する内方カバー部31とを有したものである。これら側方カバー部32及び内方カバー部31の間には、縦枠21及び方立10の室内に突出する部分を収容させることのできる収容空間33が構成してある。カバー部材30の長手に沿った寸法は、縦枠21とほぼ同じである。本実施の形態では、2つの縦枠21にそれぞれブラケット40を設ける一方、カバー部材30に係合用アタッチメント50が設けてあり、ブラケット40及び係合用アタッチメント50を互いに係合させることによってカバー部材30が2つの枠体20の縦枠21の間に支持させている。
【0015】
ブラケット40は、ブラケット基板部40a、取付用板部40b、内方摺動板部40c、被係合片部(被係合片)40dを有した押し出し形材であり、アルミニウム合金等の金属や樹脂によって一体に成形してある。ブラケット40の長手に沿った寸法は、縦枠21とほぼ同じである。ブラケット基板部40aは、見付け方向に沿って延在した平板状を成すもので、縦枠基部21aの見付け方向に沿った寸法よりも小さい幅を有するように構成してある。取付用板部40bは、ブラケット基板部40aの一方の縁部から室内側に向けてほぼ直角に延在したもので、連結基壁部21cの見込み方向に沿った延在長さよりも小さい寸法に形成してある。内方摺動板部40cは、ブラケット基板部40aのもう一方の縁部から室内側に向けてほぼ直角に延在したもので、取付用板部40bの見込み方向に沿った延在長さよりも小さい寸法に形成してある。内方摺動板部40cにおいて取付用板部40bと非対向となる外側の面は、見込み方向に沿った内方摺動面40eを構成している。被係合片部40dは、ブラケット基板部40aの室内に臨む見付け面において内方摺動板部40cに近接した部分から室内に向けて見込み方向に延在したものである。被係合片部40dの延在部分には、取付用板部40bに向けて凸となるように屈曲させることによって被係合突起40fが設けてある。被係合片部40dの見込み方向に沿った寸法は、内方摺動板部40cよりもさらに小さい。
【0016】
このブラケット40は、取付用板部40bを連結基壁部21cの内周側となる見込み面(第1取付面)21gに当接させるとともに、ブラケット基板部40aを縦枠基部21aの室内に臨む見付け面に当接させた状態で連結基壁部21cから取付用板部40bにブラケットネジ41を螺合することにより縦枠21に取り付けてある。縦枠21に取り付けた状態のブラケット40は、内方摺動板部40c及び被係合片部40dが連結片部21dよりも内周側において室内側に露出された状態となっている。
【0017】
係合用アタッチメント50は、アタッチメント基板部50a、外方摺動板部50b、係合片部(係合片)50cを有した押し出し形材であり、アルミニウム合金等の金属や樹脂によって一体に成形してある。係合用アタッチメント50の長手に沿った寸法は、縦枠21とほぼ同じである。アタッチメント基板部50aは、見付け方向に沿って延在した平板状を成すものである。外方摺動板部50bは、アタッチメント基板部50aの一方の縁部から室外に向けてほぼ直角に延在したもので、ブラケット40の内方摺動板部40cよりも見込み方向に沿った延在長さよりも大きな寸法に形成してある。外方摺動板部50bの内側の面は、見込み方向に沿った外方摺動面50dを構成している。係合片部50cは、アタッチメント基板部50aの他方の縁部から室外に向けてほぼ直角に延在したもので、見込み方向に沿った寸法が外方摺動板部50bとほぼ同じとなるように設けてある。係合片部50cと外方摺動板部50bとの相互間隔は、互いの間にブラケット40の外方摺動板部50b及び係合片部50cを嵌合することのできる寸法に設定してある。係合片部50cの延在縁部には、外方摺動板部50bに向けて凸となるように屈曲させることによって係合突起50eが設けてある。この係合用アタッチメント50は、アタッチメントネジ51によってカバー部材30の室外側となる端面部分に取り付けてある。より具体的に説明すると、2つの側方カバー部32の室外側となる部分には、相互間に方立10の取付片部10bを収容可能とする室内側の第1拡開部32aと、相互間に縦枠21に取り付けたブラケット40を収容可能とする室外側の第2拡開部32bとが段階的に設けてある。係合用アタッチメント50は、アタッチメント基板部50aを第2拡開部32bの見付け面に当接させるとともに、外方摺動板部50bを第2拡開部32bの見込み面に当接させた状態でアタッチメント基板部50aを介して側方カバー部32にアタッチメントネジ51を螺合することにより、カバー部材30に取り付けてある。2つの係合用アタッチメント50を取り付ける位置は、外方摺動面50dの相互間隔が2つのブラケット40の内方摺動面40eの相互間隔とほぼ一致するように設定してある。
【0018】
上記のように構成したブラケット40及び係合用アタッチメント50を備える建具では、2つの側方カバー部32の間に方立10を収容させ、係合用アタッチメント50の係合片部50cをブラケット40の被係合片部40dに係合させることにより、カバー部材30を2つの縦枠21の間に支持させることができる。上述した操作の際においては、外方摺動板部50bの外方摺動面50dと内方摺動板部40cの内方摺動面40eとが互いに当接した状態となるため、カバー部材30が枠体20に対してガイドされることになり、係合片部50cと被係合片部40dとを容易に係合させることが可能となる。ブラケット40と係合用アタッチメント50とが互いに係合した後においては、側方カバー部32を介して外方摺動板部50b及び内方摺動板部40cに固定ネジ34を螺合させることにより、カバー部材30を枠体20に固定するようにしている。
【0019】
上記のように構成した建具によれば、方立基板部10aにおいて取付片部10bよりも室内側に位置する部分にカバー部材30との連結のための取付部材を設ける必要がない。これにより、方立基板部10aとカバー部材30の間の隙間を小さく設定することができ、カバー部材30の肉厚を確保した状態で外形寸法を抑えることが可能となる。また、図5に示す変形例1のように、側方カバー部32の板厚及び見込み方向の全幅寸法が実施の形態と同一のカバー部材30′を適用した場合にも、方立基板部10aにおいて取付片部10bよりも室内側となる部分を中空状に構成した方立10′を適用することが可能となり、外観上に大きな変更を伴うことなく、建具の耐風圧性能を向上させることができるようになる。変形例1においては、実施の形態と同様の構成に同一の符号が付してある。
【0020】
なお、上述した実施の形態では、連窓する2つの枠体20としてそれぞれFIX窓用のものを例示しているが、本発明はこれに限定されない。特に、実施の形態においては、ブラケット40が取付用板部40bを介して縦枠21の連結基壁部21cに取り付けてあるため、縦枠21が室外に露出された状態においても、縦枠21とブラケット40との連結部分(ブラケットネジ41の螺合部分)から室外の水が室内側へ進入する事態を招来する懸念がない。図6は、障子60を開閉可能に支持した2つの枠体120を連窓した変形例2を示すものである。すなわち、この変形例2の縦枠121は、縦枠基部121a、パネル支持壁部121b、連結基壁部(連結片)121c、連結片部(連結片)121dを有して構成してある。縦枠基部121aは、見付け方向に沿って延在した平板状を成すものである。パネル支持壁部121bは、縦枠基部121aの外周側となる縁部から見込み方向に沿って室外に延在したものである。パネル支持壁部121bの外周側となる部分には、室内側に向けてフック状となる方立係合部121fが設けてある。連結基壁部121cは、縦枠基部121aの外周側となる縁部から見込み方向に沿って室内に延在した平板状を成すものである。連結片部121dは、連結基壁部121cの延在縁部から内周側に向けてほぼ直角に延在したものである。図には明示していないが、この縦枠121の相互間及び図示せぬ上枠、下枠によって囲まれる部分に障子60が開閉可能に配設してある。変形例2において実施の形態と同様の構成については同一の符号が付してある。つまり、ブラケット40は、取付用板部40bを連結基壁部121cの内周側となる見込み面(第1取付面)121gに重ね合わせるとともに、ブラケット基板部40aを縦枠基部121aの室内に臨む見付け面に当接させた状態で連結基壁部121cから取付用板部40bにブラケットネジ41を螺合することにより縦枠121に取り付けてある。
【0021】
また、上述した実施の形態では、カバー部材30として側方カバー部32が互いに同一形状となるものを例示しているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、図7は、FIX窓の枠体と自動ドアの枠体とを左右に連結した建具の変形例3を示すものである。自動ドアの枠体は、変形例2で示した建具の枠体120と同様の縦枠121を適用し、さらに縦枠基部121aの内周側となる縁部の室内側となる部分に戸当たり用アタッチメント70を介して戸当り枠220を配設し、戸当り枠220の相互間に自動ドアの扉体221をスライド可能に配設したものである。
【0022】
戸当たり用アタッチメント70は、固定基板部70a、見付け板部70b、枠取付板部70c、第1規定板部70d、第2規定板部70eを一体に成形したものである。固定基板部70aは、見込み方向に沿って延在した平板状を成すものである。見付け板部70bは、固定基板部70aの室外側となる縁部から内周側に向けてほぼ直角に屈曲した平板状を成すものである。見付け板部70bの見付け方向に沿った寸法は、方立10の取付片部10bよりも大きな長さに設定してある。枠取付板部70cは、見付け板部70bの内周側となる縁部から見込み方向に沿って室外に延在した平板状を成すもので、縦枠121の連結基壁部121cよりも大きな寸法に構成してある。第1規定板部70dは、枠取付板部70cの室外側となる縁部から外周に向けてほぼ直角に屈曲した平板状を成すものである。第2規定板部70eは、第1規定板部70dの外周側となる縁部から室内に向けてほぼ直角に屈曲したものである。第1規定板部70dの見付け方向に沿った寸法は、縦枠基部121aよりも小さい長さに設定してあり、第2規定板部70eの見込み方向に沿った寸法は、連結基壁部121cよりも小さい長さに設定してある。この戸当たり用アタッチメント70は、第1規定板部70dを縦枠基部121aの室内に臨む見付け面に当接した状態で第2規定板部70eを介して連結基壁部121cに外方ネジ71を螺合するとともに、固定基板部70aを介して方立10の方立基板部10aに内方ネジ72を螺合することによって方立10及び縦枠121の間に固定してある。上述の戸当り枠220は、枠取付板部70cの内周側となる見込み面に複数の枠用ネジ73を介して固定してある。
【0023】
図5からも明らかなように、この建具に適用するカバー部材130は、2つの側方カバー部132A,132Bの見込み方向に沿った寸法が互いに異なっている。すなわち、自動ドアの室内側に設ける側方カバー部132Aは、戸当たり用アタッチメント70の見付け板部70bまでの寸法となるように短縮してあり、室外側の端面部分に設けた係合用アタッチメント50を戸当たり用アタッチメント70に設けたハーフブラケット140に係合させることにより、戸当たり用アタッチメント70を介して枠体120に支持させてある。側方カバー部132Aに設ける係合用アタッチメント50は、実施の形態と同様のものである。ハーフブラケット140は、ブラケット基板部140a、内方摺動板部40c、被係合片部40dを一体に成形したものである。すなわち、ハーフブラケット140は、実施の形態で適用したブラケット40に対して取付用板部40bを省略したもので、ブラケット基板部140aを介して見付け板部70bにネジ141を螺合することによって見付け板部70bの室内に臨む見付け面に固定してある。
【0024】
この変形例3の建具においても、図5中右側のFIX窓側については、方立基板部10aにおいて取付片部10bよりも室内側に位置する部分に側方カバー部132Bとの連結のための取付部材を設ける必要がない。これにより、方立基板部10aとカバー部材130の間の隙間を小さく設定することができ、カバー部材130の肉厚を確保した状態で外形寸法を抑えることが可能となる。また、図8に示す変形例4のように、側方カバー部132A,132Bの板厚及び見込み方向の全幅寸法変形例3と同一のカバー部材130′を適用した場合にも、方立基板部10aにおいて取付片部10bよりも室内側となる部分を中空状に構成した方立10′を適用することが可能となり、外観上の変更を伴うことなく、建具の耐風圧性能を向上させることができるようになる。但し、変形例4では、戸当たり用アタッチメント70として、変形例3に比べて見付け板部70bの寸法が短いものを適用している。その他、変形例4において変形例3と同様の構成については、同一の符号が付してある。
【0025】
なお、上述した実施の形態等では、枠体を左右に並設した状態で連結形材によって互いに連結するものを例示しているが、枠体を上下に並設した状態で連結形材によって連結するものにも適用することが可能である。また、被係合片に対して摺動面を内周側に設けるようにしているが、被係合片が摺動片よりも内周側となるようにブラケットを取り付けても良い。この場合、カバー部材の係合片及び摺動面も同様に位置を変更する必要があるのはいうまでもない。さらに、取付用板部についても被係合片や摺動片よりも内周側に設けても良い。
【0026】
以上のように、本発明に係る建具は、並設された2つの枠体の間に室内側に突出する突出部を有した連結形材が配設され、前記2つの枠体はそれぞれの形材が前記連結形材に連結されており、前記突出部及び前記形材との連結部分の周囲にカバー部材が設けられる建具であって、前記形材は、室内に向けて見込み方向に延在する第一取付面を有し、前記カバー部材には、前記形材に対向する部分に係合片が設けられ、前記形材の前記第一取付面には、前記カバー部材の係合片に対応する部分に被係合片を有したブラケットが取り付けられ、前記カバー部材は、前記係合片を前記被係合片に係合させることによって前記形材に支持されていることを特徴としている。
この発明によれば、カバー部材に設けた係合片を形材に設けたブラケットの被係合片に係合させることによってカバー部材を形材に支持しているため、連結形材の突出部とカバー部材との間に取付部材を設ける必要がない。これにより、突出部とカバー部材の間の隙間を小さく設定することができ、カバー部材の肉厚を確保した状態で外形寸法を抑えることが可能となる。しかも、見込み方向に延在する第1取付面にブラケットを取り付けるようにしているため、室外の水が進入する事態を招来する懸念がない。
【0027】
また本発明は、上述した建具において、前記カバー部材及び前記ブラケットには、それぞれ見込み方向に沿って延在し、互いに当接することによって前記形材に対する前記カバー部材の見込み方向の移動をガイドする摺動面が設けられ、前記係合片及び前記被係合片は、前記カバー部材を見込み方向に移動させることによって係合可能となるように構成されていることを特徴としている。
この発明によれば、カバー部材に設けた摺動面とブラケットに設けた摺動面とを互いに摺動させることによりカバー部材をガイドすることができるため、係合片と被係合片とを係合させる作業を容易化することができる。
【0028】
また本発明は、上述した建具において、前記摺動面は、前記被係合片よりも前記枠体の内周側となる部分に設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、連結形材から摺動面までの距離を大きく確保することができるため、ガイド部材を取り付ける際にその向きをより容易に正確に規定することができる。
【0029】
また本発明は、上述した建具において、前記カバー部材には、前記連結形材を挟んで両側となる部分にそれぞれ前記係合片が設けられているとともに、前記2つの枠体の形材にそれぞれ前記ブラケットが設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、連結形材の両側においてカバー部材の板厚を確保することが可能となる。
【0030】
また本発明は、上述した建具において、前記形材には、室内側に突出した後、見付け方向に沿って延在した連結片が設けられ、前記連結形材には、前記連結片に重ね合わされた状態で相互間が連結される取付片が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、見付け方向に連結ネジを螺合させることにより形材と連結形材との間を連結することができる。
【0031】
また本発明は、上述した建具において、前記連結片は、前記被係合片よりも室内側に突出した位置において見付け方向に延在していることを特徴としている。
この発明によれば、形材の連結片によって確保される空間にブラケットを配置することができる。
【符号の説明】
【0032】
10,10′ 方立、10a 方立基板部、20,120 枠体、21,121 縦枠、21c,121c 連結基壁部、21d,121d 連結片部、21g,121g 見込み面、30,130 カバー部材、40 ブラケット、40a ブラケット基板部、40b 取付用板部、40c 内方摺動板部、40d 被係合片部、40e 内方摺動面、40f 被係合突起、50 係合用アタッチメント、50a アタッチメント基板部、50b 外方摺動板部、50c 係合片部、50d 外方摺動面、50e 係合突起
図1
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図8