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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077789
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20240603BHJP
   F15B 11/05 20060101ALI20240603BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
F15B11/00 M
F15B11/00 H
F15B11/05 A
E02F9/22 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189946
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 惇一郎
(72)【発明者】
【氏名】名倉 忍
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 友彰
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AB05
2D003BA01
2D003CA02
2D003DA03
2D003DB02
3H089AA27
3H089AA60
3H089AA74
3H089BB15
3H089CC01
3H089CC08
3H089CC11
3H089DA03
3H089DB13
3H089DB23
3H089DB33
3H089DB44
3H089DB47
3H089DB48
3H089DB49
3H089EE12
3H089EE36
3H089FF01
3H089FF07
3H089FF12
3H089GG02
3H089JJ01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業機の操作性の悪化を抑制すること。
【解決手段】第1走行モータ7に供給される作動油の流量及び方向を制御する第1走行操作弁13と、油圧ポンプ11から第2走行モータ8に供給される作動油の流量及び方向を制御する第2走行操作弁14と、作業機操作弁15と、第1導入流路を介して信号流路に接続され、第1走行操作弁13の第1圧力補償弁と、第2導入流路を介して信号流路に接続され、第2走行操作弁14の第2圧力補償弁と、第2導入流路の少なくとも一部をバイパスするバイパス流路と、第1走行操作弁13と第2走行操作弁14とを連結する連結流路20に配置される走行連通弁26と、作動油の温度を示す作動油温度を検出する温度センサ27と、第1走行操作弁13及び第2走行操作弁14が中立位置に配置されている状態で、温度センサ27の検出データに基づいて、走行連通弁26のストロークを調整する制御装置6と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ吐出圧と信号流路を介して入力される負荷圧に応じたロードセンシング圧との差圧に基づいて作動油の吐出量を変化させる油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから供給される前記作動油により駆動する第1走行モータと、
前記油圧ポンプから供給される前記作動油により駆動する第2走行モータと、
前記油圧ポンプから供給される前記作動油により駆動する作業機シリンダと、
前記油圧ポンプから前記第1走行モータに供給される前記作動油の流量及び方向を制御する第1走行操作弁と、
前記油圧ポンプから前記第2走行モータに供給される前記作動油の流量及び方向を制御する第2走行操作弁と、
前記油圧ポンプから前記作業機シリンダに供給される前記作動油の流量及び方向を制御する作業機操作弁と、
第1導入流路を介して前記信号流路に接続され、前記ロードセンシング圧に基づいて前記第1走行操作弁の前後差圧を補償する第1圧力補償弁と、
第2導入流路を介して前記信号流路に接続され、前記ロードセンシング圧に基づいて前記第2走行操作弁の前後差圧を補償する第2圧力補償弁と、
前記第2導入流路の少なくとも一部をバイパスするバイパス流路と、
前記第1走行操作弁と前記第2走行操作弁とを連結する連結流路に配置される走行連通弁と、
前記作動油の温度を示す作動油温度を検出する温度センサと、
前記第1走行操作弁及び前記第2走行操作弁のそれぞれが中立位置に配置されている状態で、前記温度センサの検出データに基づいて、前記走行連通弁のストロークを調整する制御装置と、を備える、
作業機械。
【請求項2】
前記走行連通弁のストロークが調整されることにより前記走行連通弁の開口面積が調整され、
前記制御装置は、前記作動油温度が低いほど前記開口面積を大きくし、前記作動油温度が高いほど前記開口面積を小さくする、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記制御装置は、前記作動油温度が第1温度閾値以下のときに前記走行連通弁を全開にし、前記作動油温度が第2温度閾値以上のときに前記走行連通弁を全閉にする、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項4】
前記ポンプ吐出圧を検出する圧力センサを備え、
前記制御装置は、前記温度センサの検出データ及び前記圧力センサの検出データに基づいて、前記走行連通弁のストロークを調整する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記制御装置は、前記ポンプ吐出圧が第1圧力閾値以下のときに前記走行連通弁を全開にし、前記ポンプ吐出圧が第2圧力閾値以上のときに前記走行連通弁を全閉にする、
請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記制御装置は、前記作業機操作弁を作動させるときに、前記走行連通弁のストロークを調整する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項7】
前記走行連通弁は、バルブボディと、前記バルブボディの内側で移動可能なスプールと、を有し、
前記スプールは、小径ロッド部と、前記小径ロッド部に接続される大径ロッド部と、を有し、
前記作動油が流れる前記走行連通弁の開口は、前記小径ロッド部の周囲及び前記大径ロッド部に設けられた切欠部の周囲に形成される切欠開口と、前記大径ロッド部と前記バルブボディとの間に形成される隙間開口と、を含み、
前記スプールは、前記バルブボディの流入口からの作動油が前記切欠開口に流入する第1移動範囲と、前記流入口からの作動油が前記隙間開口に流入する第2移動範囲と、を移動し、
前記走行連通弁のストロークを調整することは、前記第1移動範囲において前記スプールの位置を変更すること、及び前記第2移動範囲において前記スプールの位置を変更することを含む、
請求項1に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、ロードセンシング制御回路を有する作業機械が知られている。ロードセンシングシステムにおいては、油圧ポンプからの作動油の吐出圧と油圧アクチュエータの負荷圧に応じたロードセンシング圧(LS圧)との差圧に基づいて、油圧ポンプからの作動油の吐出量が調整される。また、負荷圧が高いほどLS圧が低下するLSドロップ特性が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-336730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロードセンシングシステムにおいては、LS導入絞りにより負荷圧の低下量を示すLSドロップ量が設定される。作動油の温度が変化すると作動油の粘度が変化し、その結果、LSドロップ量が変動してしまう可能性がある。LSドロップ量が変動すると、適正なLS圧が得られない可能性がある。適正なLS圧が得られないと、例えば作業レバーの操作量と作業機の動作速度とが整合しなくなったり、作業機がハンチングしたりするなど、作業機の操作性が悪化する可能性がある。
【0005】
本開示は、作業機の操作性の悪化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、ポンプ吐出圧と信号流路を介して入力される負荷圧に応じたロードセンシング圧との差圧に基づいて作動油の吐出量を変化させる油圧ポンプと、油圧ポンプから供給される作動油により駆動する第1走行モータと、油圧ポンプから供給される作動油により駆動する第2走行モータと、油圧ポンプから供給される作動油により駆動する作業機シリンダと、油圧ポンプから第1走行モータに供給される作動油の流量及び方向を制御する第1走行操作弁と、油圧ポンプから第2走行モータに供給される作動油の流量及び方向を制御する第2走行操作弁と、油圧ポンプから作業機シリンダに供給される作動油の流量及び方向を制御する作業機操作弁と、第1導入流路を介して信号流路に接続され、ロードセンシング圧に基づいて第1走行操作弁の前後差圧を補償する第1圧力補償弁と、第2導入流路を介して信号流路に接続され、ロードセンシング圧に基づいて第2走行操作弁の前後差圧を補償する第2圧力補償弁と、第2導入流路の少なくとも一部をバイパスするバイパス流路と、第1走行操作弁と第2走行操作弁とを連結する連結流路に配置される走行連通弁と、作動油の温度を示す作動油温度を検出する温度センサと、第1走行操作弁及び第2走行操作弁のそれぞれが中立位置に配置されている状態で、温度センサの検出データに基づいて、走行連通弁のストロークを調整する制御装置と、を備える、作業機械が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業機の操作性の悪化が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る作業機械を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る作業機械の油圧システムを示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る油圧システムの一部を拡大した図である。
図4図4は、第1実施形態に係る油圧システムを模式的に示すブロック図である。
図5図5は、第1実施形態に係る負荷圧と差圧との関係を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る走行連通弁の動作を示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係る走行連通弁の動作を示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る走行連通弁を模式的に示す図である。
図9図9は、第1実施形態に係る走行連通弁のスプールを模式的に示す図である。
図10図10は、第1実施形態に係る走行連通弁の動作を模式的に示す図である。
図11図11は、第1実施形態に係る作動油温度と目標ストローク量と走行連通弁の開口面積との関係を示すテーブルデータを示す図である。
図12図12は、第1実施形態に係る油圧システムの制御方法を示すフローチャートである。
図13図13は、第2実施形態に係る油圧システムの制御方法を示すフローチャートである。
図14図14は、第3実施形態に係る油圧システムの制御方法を示すフローチャートである。
図15図15は、第3実施形態に係るポンプ吐出圧と目標ストローク量と走行連通弁の開口面積との関係を示すテーブルデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[第1実施形態]
<作業機械>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る作業機械1を示す斜視図である。作業機械1は、作業現場において稼働する。本実施形態において、作業機械1は、油圧ショベルである。以下の説明において、作業機械1を適宜、油圧ショベル1、と称する。油圧ショベル1は、走行体2と、旋回体3と、作業機4と、作業機シリンダ5と、制御装置6とを備える。走行体2は、旋回体3を支持した状態で走行する。走行体2は、一対の履帯2Aを有する。履帯2Aは、走行モータにより回転する。履帯2Aの回転により、走行体2が走行する。旋回体3は、走行体2に支持される。旋回体3に運転室が設けられる。作業機4は、旋回体3に取り付けられる。作業機4は、ブーム4Aと、アーム4Bと、バケット4Cとを含む。作業機シリンダ5は、作業機4を動作させる。作業機シリンダ5は、油圧シリンダである。作業機シリンダ5は、ブームシリンダ5Aと、アームシリンダ5Bと、バケットシリンダ5Cとを含む。制御装置6は、コンピュータシステムを含む。制御装置6は、油圧ショベル1を制御する。
【0011】
<油圧システム>
図2は、本実施形態に係る油圧ショベル1の油圧システム10を示す図である。図3は、本実施形態に係る油圧システム10の一部を拡大した図である。図4は、本実施形態に係る油圧システム10を模式的に示すブロック図である。油圧システム10は、ロードセンシング制御回路を含む。
【0012】
油圧システム10は、油圧ポンプ11と、作動油タンク12と、走行モータ7と、走行モータ8と、作業機シリンダ5と、走行操作弁13と、走行操作弁14と、作業機操作弁15と、圧力補償弁16Sを有する圧力補償部16と、圧力補償弁17Sを有する圧力補償部17と、圧力補償弁18Sを有する圧力補償部18と、ロードセンシング弁24(LS弁)と、サーボピストン25と、走行連通弁26と、温度センサ27と、圧力センサ28とを備える。
【0013】
油圧ポンプ11は、可変容量型の油圧ポンプである。油圧ポンプ11の吐出口は、ポンプ流路19に接続される。油圧ポンプ11は、ポンプ吐出圧と信号流路22を介して入力される負荷圧に応じたロードセンシング圧(LS圧)との差圧に基づいて、作動油の吐出量を変化させる。ポンプ吐出圧とは、油圧ポンプ11の吐出口から吐出される作動油の圧力をいう。
【0014】
図2及び図3に示すように、走行モータ7は、油圧ポンプ11から供給される作動油により駆動する油圧モータである。走行モータ7は、左側の履帯2Aを回転させる。走行操作弁13は、油圧ポンプ11から走行モータ7に供給される作動油の流量及び方向を制御する。走行操作弁13は、第1ポート13Aと、第2ポート13Bと、第3ポート13Cと、第4ポート13Dと、第5ポート13Eと、第6ポート13Fと、第7ポート13Gとを有する。第1ポート13Aは、ポンプ流路19を介して油圧ポンプ11の吐出口に接続される。第2ポート13Bは、走行モータ7の一方のポート7Aに接続される。第3ポート13Cは、走行モータ7の他方のポート7Bに接続される。第4ポート13Dは、圧力補償弁16Sの入力ポート16Aに接続される。第5ポート13Eは、圧力補償弁16Sの出力ポート16Bに接続される。第5ポート13Eは、連結流路20を介して走行連通弁26に接続される。第6ポート13F及び第7ポート13Gのそれぞれは、タンク流路21を介して作動油タンク12に接続される。
【0015】
図4に示すように、油圧ショベル1は、走行レバー31を備える。走行レバー31は、旋回体3の運転室に配置される。走行レバー31は、操作者に操作される。走行操作弁13の両端部にパイロットポートが設けられる。走行レバー31の操作量に基づいて、走行操作弁13のパイロットポートにパイロット圧が入力される。図2及び図3に示すように、パイロット圧が入力されていない状態において、走行操作弁13は、走行モータ7に作動油が供給されない中立位置Nに配置される。走行操作弁13の一端部のパイロットポートにパイロット圧が入力されることにより、走行操作弁13は、走行体2を前進させる前進位置Fに配置される。走行操作弁13が前進位置Fに配置されると、油圧ポンプ11からの作動油が、第1ポート13A、メータイン絞り13M、第4ポート13D、圧力補償弁16S、第5ポート13E、及び第2ポート13Bを介して、走行モータ7のポート7Aに流入する。走行モータ7のポート7Bから流出した作動油は、第3ポート13C、第6ポート13F、及びタンク流路21を介して、作動油タンク12に送られる。走行操作弁13の他端部のパイロットポートにパイロット圧が入力されることにより、走行操作弁13は、走行体2を後進させる後進位置Rに配置される。走行操作弁13が後進位置Rに配置されると、油圧ポンプ11からの作動油が、第1ポート13A、メータイン絞り13N、第4ポート13D、圧力補償弁16S、第5ポート13E、及び第3ポート13Cを介して、走行モータ7のポート7Bに流入する。走行モータ7のポート7Aから流出した作動油は、第2ポート13B、第7ポート13G、及びタンク流路21を介して、作動油タンク12に送られる。
【0016】
図2及び図3に示すように、走行モータ8は、油圧ポンプ11から供給される作動油により駆動する油圧モータである。走行モータ8は、右側の履帯2Aを回転させる。走行操作弁14は、油圧ポンプ11から走行モータ8に供給される作動油の流量及び方向を制御する。走行操作弁14は、第1ポート14Aと、第2ポート14Bと、第3ポート14Cと、第4ポート14Dと、第5ポート14Eと、第6ポート14Fと、第7ポート14Gとを有する。第1ポート14Aは、ポンプ流路19を介して油圧ポンプ11の吐出口に接続される。第2ポート14Bは、走行モータ8の一方のポート8Aに接続される。第3ポート14Cは、走行モータ8の他方のポート8Bに接続される。第4ポート14Dは、圧力補償弁17Sの入力ポート17Aに接続される。第5ポート14Eは、圧力補償弁17Sの出力ポート17Bに接続される。第5ポート14Eは、連結流路20を介して走行連通弁26に接続される。第6ポート14F及び第7ポート14Gのそれぞれは、タンク流路21を介して作動油タンク12に接続される。
【0017】
走行レバー31の操作量に基づいて、走行操作弁14のパイロットポートにパイロット圧が入力される。図2及び図3に示すように、パイロット圧が入力されていない状態において、走行操作弁14は、走行モータ8に作動油が供給されない中立位置Nに配置される。走行操作弁14の一端部のパイロットポートにパイロット圧が入力されることにより、走行操作弁14は、走行体2を前進させる前進位置Fに配置される。走行操作弁14が前進位置Fに配置されると、油圧ポンプ11からの作動油が、第1ポート14A、メータイン絞り14M、第4ポート14D、圧力補償弁17S、第5ポート14E、及び第2ポート14Bを介して、走行モータ8のポート8Aに流入する。走行モータ8のポート8Bから流出した作動油は、第3ポート14C、第6ポート14F、及びタンク流路21を介して、作動油タンク12に送られる。走行操作弁14の他端部のパイロットポートにパイロット圧が入力されることにより、走行操作弁14は、走行体2を後進させる後進位置Rに配置される。走行操作弁14が後進位置Rに配置されると、油圧ポンプ11からの作動油が、第1ポート14A、メータイン絞り14N、第4ポート14D、圧力補償弁17S、第5ポート14E、及び第3ポート14Cを介して、走行モータ8のポート8Bに流入する。走行モータ8のポート8Aから流出した作動油は、第2ポート14B、第7ポート14G、及びタンク流路21を介して、作動油タンク12に送られる。
【0018】
図2及び図3に示すように、作業機シリンダ5は、油圧ポンプ11から供給される作動油により駆動する油圧シリンダである。作業機操作弁15は、油圧ポンプ11から作業機シリンダ5に供給される作動油の流量及び方向を制御する。作業機操作弁15は、第1ポート15Aと、第2ポート15Bと、第3ポート15Cと、第4ポート15Dと、第5ポート15Eと、第6ポート15Fと、第7ポート15Gとを有する。第1ポート15Aは、ポンプ流路19を介して油圧ポンプ11の吐出口に接続される。第2ポート15Bは、作業機シリンダ5の一方のポート50Aに接続される。第3ポート15Cは、作業機シリンダ5の他方のポート50Bに接続される。第4ポート13Dは、圧力補償弁18Sの入力ポート18Aに接続される。第5ポート15Eは、圧力補償弁18Sの出力ポート18Bに接続される。第6ポート15F及び第7ポート15Gのそれぞれは、タンク流路21を介して作動油タンク12に接続される。
【0019】
図4に示すように、油圧ショベル1は、作業レバー32を備える。作業レバー32は、旋回体3の運転室に配置される。作業レバー32は、操作者に操作される。作業機操作弁15の両端部にパイロット圧が入力される。作業機操作弁15の両端部にパイロットポートが設けられる。作業レバー32の操作量に基づいて、作業機操作弁15のパイロットポートにパイロット圧が入力される。図2及び図3に示すように、パイロット圧が入力されていない状態において、作業機操作弁15は、作業機シリンダ5に作動油が供給されない中立位置Nに配置される。作業機操作弁15の一端部のパイロットポートにパイロット圧が入力されることにより、作業機操作弁15は、作業機シリンダ5を伸ばす伸長位置Uに配置される。作業機操作弁15が伸長位置Uに配置されると、油圧ポンプ11からの作動油が、第1ポート15A、メータイン絞り15M、第4ポート15D、圧力補償弁18S、第5ポート15E、及び第2ポート15Bを介して、作業機シリンダ5のポート50Aに流入する。作業機シリンダ5のポート50Bから流出した作動油は、第3ポート15C、第6ポート15F、及びタンク流路21を介して、作動油タンク12に送られる。作業機操作弁15の他端部のパイロットポートにパイロット圧が入力されることにより、作業機操作弁15は、作業機シリンダ5と縮める短縮位置Dに配置される。作業機操作弁15が短縮位置Dに配置されると、油圧ポンプ11からの作動油が、第1ポート15A、メータイン絞り15N、第4ポート15D、圧力補償弁18S、第5ポート15E、及び第3ポート15Cを介して、作業機シリンダ5のポート50Bに流入する。作業機シリンダ5のポート50Aから流出した作動油は、第2ポート15B、第7ポート15G、及びタンク流路21を介して、作動油タンク12に送られる。
【0020】
圧力補償部16は、圧力補償弁16Sと、圧力補償弁16Sの出力ポート16Bと信号流路22とを接続する導入流路16Cと、導入流路16Cに配置されるチェック弁16Dと、導入流路16Cに配置されるロードセンシング導入絞り16E(LS導入絞り)とを有する。圧力補償弁16Sは、導入流路16Cを介して信号流路22に接続される。圧力補償弁16Sは、信号流路22から入力されるLS圧に基づいて、走行操作弁13の前後差圧を補償する。圧力補償弁16Sは、信号流路22から圧力補償弁16Sのパイロットポートに入力されるLS圧を受けて、走行操作弁13の前後差圧を一定に保持するように動作する。圧力補償弁16Sは、全開位置Aと全閉位置Bとに移動する。
【0021】
圧力補償部17は、圧力補償弁17Sと、圧力補償弁17Sの出力ポート17Bと信号流路22とを接続する導入流路17Cと、導入流路17Cに配置されるチェック弁17Dと、導入流路17Cに配置されるロードセンシング導入絞り17E(LS導入絞り)とを有する。また、圧力補償部17は、導入流路17Cの少なくとも一部をバイパスするバイパス流路17Fと、バイパス流路17Fに配置されるバイパス絞り17Gとを有する。圧力補償弁17Sは、導入流路17Cを介して信号流路22に接続される。圧力補償弁17Sは、信号流路22から入力されるLS圧に基づいて、走行操作弁14の前後差圧を補償する。圧力補償弁17Sは、信号流路22から圧力補償弁17Sのパイロットポートに入力されるLS圧を受けて、走行操作弁14の前後差圧を一定に保持するように動作する。圧力補償弁17Sは、全開位置Aと全閉位置Bとに移動する。
【0022】
圧力補償部18は、圧力補償弁18Sと、圧力補償弁18Sの入力ポート18Aと信号流路22とを接続する導入流路18Cと、導入流路18Cに配置されるチェック弁18Dと、導入流路18Cに配置されるロードセンシング導入絞り18E(LS導入絞り)とを有する。圧力補償弁18Sは、導入流路18Cを介して信号流路22に接続される。圧力補償弁18Sは、信号流路22から入力されるLS圧に基づいて、作業機操作弁15の前後差圧を補償する。圧力補償弁18Sは、信号流路22から圧力補償弁18Sのパイロットポートに入力されるLS圧を受けて、作業機操作弁15の前後差圧を一定に保持するように動作する。圧力補償弁18Sは、全開位置Aと全閉位置Bとに移動する。
【0023】
走行モータ7の負荷圧、走行モータ8の負荷圧、及び作業機シリンダ5の負荷圧のうち、最も高い負荷圧に応じた圧力がLS圧PLSとして信号流路22に導かれる。信号流路22に導かれた作動油の一部は、絞り23を介して作動油タンク12に送られる。また、信号流路22に導かれたLS圧PLSは、LS弁24に導かれる。
【0024】
図2に示すように、LS弁24は、ポンプ吐出圧Pと信号流路22から入力されるLS圧PLSとの差圧に基づいて、油圧ポンプ11から吐出される作動油の吐出量を調整する。サーボピストン25は、油圧ポンプ11に接続される。LS弁24は、サーボピストン25を介して、油圧ポンプ11からの作動油の吐出量を調整する。LS弁24は、中立位置Nと、差圧小位置Lと、差圧大位置Hとに移動する。LS弁24に作用するポンプ吐出圧PとLS圧PLSとの差圧が小さい場合、LS弁24は、差圧小位置Lに移動する。LS弁24が差圧小位置Lに配置されると、サーボピストン25の作動油が作動油タンク12に送られ、サーボピストン25が油圧ポンプ11の容量を大きくする増大方向Yaに移動する。油圧ポンプ11の容量が大きくなることにより、油圧ポンプ11からの作動油の吐出量が増大する。LS弁24に作用するポンプ吐出圧PとLS圧PLSとの差圧が大きい場合、LS弁24は、差圧大位置Hに移動する。LS弁24が差圧大位置Hに配置されると、油圧ポンプ11から吐出された作動油の一部がサーボピストン25に導入され、サーボピストン25が油圧ポンプ11の容量を小さくする減少方向Ybに移動する。油圧ポンプ11の容量が小さくなることにより、油圧ポンプ11からの作動油の吐出量が減少する。
【0025】
走行連通弁26は、連結流路20に配置される。連結流路20は、走行操作弁13の第5ポート13Eと走行操作弁14の第5ポート14Eとを連結する。走行連通弁26のスプールは、走行操作弁13と走行操作弁14との間の作動油の流通を許容する開放位置Vと、走行操作弁13と走行操作弁14との間の作動油の流通を遮断する閉鎖位置Wとに移動する。走行連通弁26に電磁弁33が接続される。制御装置6は、電磁弁33を制御することにより、走行連通弁26のスプールを開放位置Vと閉鎖位置Wとに移動させることができる。制御装置6は、走行レバー31の操作状態に基づいて、走行連通弁26を制御する。油圧ショベル1が直進するように走行レバー31が操作された場合、制御装置6は、走行連通弁26のスプールを開放位置Vに移動させる。例えば走行モータ7及び走行モータ8の少なくとも一方の製造誤差などに起因して、油圧ショベル1が直進するように走行レバー31が操作されても、走行モータ7の回転数と走行モータ8の回転数とに差が生じてしまう可能性がある。油圧ショベル1の直進において走行連通弁26のスプールが開放位置Vに移動することにより、走行モータ7の負荷圧と走行モータ8の負荷圧との差が小さくなる。これにより、油圧ショベル1は、適正に直進することができる。走行体2がステアリングするように走行レバー31が操作された場合、制御装置6は、走行連通弁26のスプールを閉鎖位置Wに移動させる。走行体2のステアリングとは、走行体2が進行方向を変化させる(カーブを曲がる)ことをいう。
【0026】
バイパス流路17Fは、走行体2が走行している状態で作業機4を動作させた場合、走行体2の走行速度の低下を抑制するために設けられる。作業機シリンダ5が動作するように作業機操作弁15が作動すると、走行モータ7及び走行モータ8に供給される作動油の流量が低下して、走行体2の走行速度が低下する現象が生じる可能性がある。走行体2の走行している状態で作業機4を動作させた場合、作業機シリンダ5の負荷圧は、走行モータ7及び走行モータ8の負荷圧よりも高い場合がある。作業機シリンダ5の負荷圧が走行モータ7及び走行モータ8の負荷圧よりも高い場合、最高圧である作業機シリンダ5の負荷圧に応じた高いLS圧PLSが、圧力補償弁16S及び圧力補償弁17Sのそれぞれに入力されるとともに、LS弁24に入力される。信号流路22から圧力補償部17にLS圧PLSが入力された場合、信号流路22から圧力補償部17に流入した作動油の少なくとも一部は、バイパス流路17Fを流通することができる。そのため、信号流路22の圧力が低下し、信号流路22から圧力補償弁17Sのパイロットポートに作用する圧力が低下する。したがって、走行モータ8に供給される作動油の流量が少なくなることが抑制される。これにより、走行体2の走行速度の低下が抑制される。
【0027】
温度センサ27は、作動油の温度を示す作動油温度を検出する。本実施形態において、温度センサ27は、作動油タンク12から油圧ポンプ11に流入する作動油の温度を検出する。
【0028】
圧力センサ28は、作動油の圧力を検出する。本実施形態において、圧力センサ28は、油圧ポンプ11の吐出口から吐出される作動油の圧力を示すポンプ吐出圧Pを検出する。
【0029】
[LS圧の調整]
図5は、本実施形態に係る負荷圧Pと差圧との関係を示す図である。ロードセンシングシステムにおいては、ポンプ吐出圧Pと油圧アクチュエータの負荷圧Pに応じたLS圧PLSとの差圧に基づいて、油圧ポンプ11から吐出される作動油の吐出量が調整される。一般に、ロードセンシングシステムにおいては、LS弁24の作動により、ポンプ吐出圧PがLS圧PLSよりも所定の差圧分だけ高い圧力になるように、油圧ポンプ11から吐出される作動油の吐出量が調整される。すなわち、図5のラインLaで示すように、値[P-PLS]が一定になるように、油圧ポンプ11から吐出される作動油の吐出量が調整される。
【0030】
本実施形態においては、LS導入絞り16E、LS導入絞り17E、及びLS導入絞り18Eにより、負荷圧Pに応じたLS圧PLSが出力される。以下の説明において、負荷圧PとLS圧PLSとの差圧[P-PLS]を適宜、LSドロップ量、と称する。図5のラインLbで示すように、負荷圧Pの上昇にしたがってLSドロップ量[P-PLS]が増加する。LSドロップ量[P-PLS]が増加すると、ラインLaで示した一定の値[P-PLS]のうち、LSドロップ量[P-PLS]が増加し、作業機操作弁15の前後差圧[P-P]が減少するため、作業機操作弁15を通過する作動油の流量が減少する。作業機操作弁15を通過する作動油の流量が減少すると、作業機4の動作速度が低下する。油圧システム10においては、LS導入絞り(16E,17E,18E)により、適正なLSドロップ量[P-PLS]が得られるように調整される。適正なLSドロップ量[P-PLS]により、負荷圧Pの上昇にしたがって作業機4の動作速度が僅かに低下する特性が得られ、作業機4の良好な操作性が実現される。
【0031】
図3に示すように、本実施形態において、LS導入絞り16E、LS導入絞り17E、及びLS導入絞り18Eのそれぞれは、固定絞りである。LS導入絞り16E、LS導入絞り17E、及びLS導入絞り18Eのそれぞれの開口面積は、変化しない。望みのLSドロップ量[P-PLS]が得られるように、LS導入絞り16E、LS導入絞り17E、及びLS導入絞り18Eのそれぞれが最適化(選択)される。
【0032】
作動油温度が変化すると、作動油の粘度が変化する。そのため、作動油温度が変化すると、LSドロップ量[P-PLS]が変動して、適正なLS圧PLSが得られない可能性がある。例えば、作動油温度が高くなると、作動油の粘度が低下して、走行操作弁13及び走行操作弁14のバルブボディとスプールとの隙間から作動油が漏れてLS導入絞りの通過流量が増大し、LSドロップ量[P-PLS]が増大する可能性がある。図5のラインLcで示すように、同一の負荷圧Pでも、LSドロップ量[P-PLS]が増加すると、前後差圧[P-P]が減少する。作業機操作弁15の前後差圧[P-P]が減少すると、作業機4の動作速度が低下してしまう可能性がある。作動油温度が低くなると、同一の負荷圧Pでも、LSドロップ量[P-PLS]が減少し、前後差圧[P-P]が増加する。作業機操作弁15の前後差圧[P-P]が増加すると、作業機4の動作速度が上昇したり、作業機4がハンチングしたりする可能性がある。すなわち、LSドロップ量[P-PLS]が作動油温度により変動すると、作業レバー32の操作量と作業機4の動作速度とが整合しなくなったり、作業機4がハンチングしたりするなど、作業機4の操作性が悪化する可能性がある。
【0033】
本実施形態において、走行体2が停止している状態で作業機4を動作させるとき、制御装置6は、作業機シリンダ5の負荷圧PについてのLSドロップ量[P-PLS]が大きく変動しないように、作動油温度に基づいて、走行連通弁26のストロークを調整する。すなわち、制御装置6は、走行操作弁13及び走行操作弁14のそれぞれが中立位置Nに配置されている状態で、作業機操作弁15を作動させるときに、温度センサ27の検出データに基づいて、走行連通弁26のストロークを調整する。走行連通弁26のストロークが調整されることにより、走行連通弁26の開口面積が調整される。作動油温度に基づいて、走行連通弁26のストロークが変更され、走行連通弁26の開口面積が変更されることにより、LSドロップ量[P-PLS]の変動が抑制される。そのため、作動油温度が変化しても、望みのLS圧PLSが得られる。
【0034】
図6及び図7のそれぞれは、本実施形態に係る走行連通弁26の動作を示す図である。図6は、作動油温度が低いときの走行連通弁26の状態を示す。図7は、作動油温度が高いときの走行連通弁26の状態を示す。
【0035】
図6に示すように、作動油温度が低い場合、制御装置6は、図2に示した温度センサ27の検出データに基づいて、走行連通弁26のスプールを開放位置Vに移動する。すなわち、作動油温度が低いほど、制御装置6は、走行連通弁26の開口面積を大きくする。走行操作弁13及び走行操作弁14のそれぞれは、中立位置Nに配置されている。作業機4が動作することにより、作業機シリンダ5の負荷圧が信号流路22に入力される。信号流路22の作動油は、導入流路17Cを介してバイパス流路17Fに流入する。バイパス流路17Fに流入した作動油は、第5ポート14Eに流入する。
【0036】
走行操作弁14が中立位置Nに配置されているものの、第5ポート14Eに流入した作動油は、第6ポート14Fに供給される。走行操作弁14は、スプール弁である。一般に、スプールの円滑な摺動のために、バルブボディとスプールとの間に僅かな隙間が設けられる。この隙間により、走行操作弁14を中立位置Nに配置されても、僅かな作動油の漏れが生じる。そのため、第5ポート14Eから第6ポート14Fに作動油が供給される。走行連通弁26のスプールが開放位置Vに配置されているので、導入流路17Cからバイパス流路17Fに供給された作動油の少なくとも一部は、走行連通弁26を介して走行操作弁13に送られる。走行操作弁13に送られた作動油は、第5ポート13Eに流入する。第5ポート13Eに流入した作動油は、第6ポート13Fに供給される(漏れる)。
【0037】
第5ポート14Eから第6ポート14Fに供給された作動油の少なくとも一部は、タンク流路21を介して作動油タンク12に送られる。また、第5ポート13Eから第6ポート13Fに漏れた作動油も、タンク流路21を介して作動油タンク12に送られる。すなわち、走行連通弁26のスプールが開放位置Vに配置されている場合、走行操作弁13及び走行操作弁14のそれぞれから作動油が流出する。作動油の流出によりLSドロップ特性が生じる。
【0038】
図7に示すように、作動油温度が高い場合、制御装置6は、図2に示した温度センサ27の検出データに基づいて、走行連通弁26のスプールを閉鎖位置Wに移動する。すなわち、作動油温度が高いほど、制御装置6は、走行連通弁26の開口面積を小さくする。走行操作弁13及び走行操作弁14のそれぞれは、中立位置Nに配置されている。作業機4が動作することにより、作業機シリンダ5の負荷圧が信号流路22に入力される。信号流路22の作動油は、導入流路17Cを介してバイパス流路17Fに流入する。バイパス流路17Fに流入した作動油は、第5ポート14Eに流入する。
【0039】
第5ポート14Eに流入した作動油は、第6ポート14Fに漏れる。第5ポート14Eから第6ポート14Fに供給された作動油の少なくとも一部は、タンク流路21を介して作動油タンク12に送られる。走行連通弁26のスプールが閉鎖位置Wに配置されているので、第5ポート14Eから第6ポート14Fに供給された作動油は、走行操作弁13には供給されない。すなわち、走行連通弁26のスプールが閉鎖位置Wに配置されている場合、走行操作弁14から作動油が流出するものの、走行操作弁13から作動油は流出しない。作動油の流出により、LSドロップ特性が生じるものの、走行連通弁26のスプールが開放位置Vに配置されているときのLSドロップ量[P-PLS]よりも小さい。
【0040】
すなわち、作動油温度が低い場合、走行操作弁13及び走行操作弁14のそれぞれから作動油タンク12に作動油が流出する。作動油温度が高い場合、走行操作弁14から作動油タンク12に作動油が流出し、走行操作弁13から作動油タンク12に作動油が流出しない。これにより、作動油温度が高い場合、LSドロップ量[P-PLS]の増加が抑制される。制御装置6は、作動油温度が低いほど走行連通弁26の開口面積を大きくし、作動油温度が高いほど走行連通弁26の開口面積を小さくすることにより、LSドロップ量[P-PLS]の変動を抑制することができる。LSドロップ量[P-PLS]の変動が抑制されることにより、作動油温度が変化しても、望みのLS圧PLSが得られる。
【0041】
[走行連通弁]
図8は、本実施形態に係る走行連通弁26を模式的に示す図である。図8に示すように、走行連通弁26は、バルブボディ34と、バルブボディ34の内側で移動可能なスプール35とを有する。バルブボディ34は、環状リセス36及び環状リセス37を有する。環状リセス36及び環状リセス37のそれぞれは、スプール35を囲むように配置される。環状リセス36の内周部に作動油の流入口38が設けられ、環状リセス37の内周部に作動油の流出口39が設けられる。
【0042】
図9は、本実施形態に係る走行連通弁26のスプール35を模式的に示す図である。スプール35は、小径ロッド部40と、小径ロッド部40の右端部に接続される大径ロッド部41と、小径ロッド部40の左端部に接続される大径ロッド部42とを有する。小径ロッド部40の外径は、大径ロッド部41の外径及び大径ロッド部42の外形よりも小さい。大径ロッド部41の外周面の左端部に切欠部43が形成される。以下の説明において、大径ロッド部41の外周面のうち切欠部43の右端部43Aよりも右側の領域を適宜、ランド面44、と称する。
【0043】
図10は、実施形態に係る走行連通弁26の動作を模式的に示す図である。図10(A)は、スプール35が開放位置Vに配置されている状態を示す。スプール35が開放位置Vに配置されている場合、小径ロッド部40の右端部及び大径ロッド部41の左端部が流入口38に面する。流入口38からの作動油は、小径ロッド部40の外周面の周囲及び切欠部43を含む大径ロッド部41の外周面の周囲に流入する。図10(A)に示す状態において、作動油が流れる走行連通弁26の開口は、小径ロッド部40の外周面の周囲及び大径ロッド部41の切欠部43の周囲に形成される。なお、小径ロッド部40が環状リセス36に面する長さが最大になる場合、走行連通弁26の開口面積は、最大になる。
【0044】
図10(B)は、スプール35が図10(A)に示した位置よりも左側に移動した状態を示す。スプール35が左側に移動することにより、大径ロッド部41の切欠部43及びランド面44が流入口38に面する。図10(B)に示す状態において、作動油が流れる走行連通弁26の開口は、大径ロッド部41の切欠部43の周囲に形成される。図10(B)に示した状態の走行連通弁26の開口面積は、図10(A)に示した状態の走行連通弁26の開口面積よりも小さい。
【0045】
図10(C)は、スプール35が図10(B)に示した位置よりも左側に移動した状態を示す。スプール35が左側に移動することにより、切欠部43の右端部43Aの位置が流入口38の左端部の位置と一致する。小径ロッド部40及び切欠部43が流入口38に面しなくなり、大径ロッド部41のランド面44が流入口38の全部に面する。図10(C)に示す状態において、作動油が流れる走行連通弁26の開口は、大径ロッド部41のランド面44の周囲に形成される。図10(C)に示す状態において、流入口38からランド面44に供給された作動油は、大径ロッド部41とバルブボディ34との隙間から漏れた後、流出口39に流れる。以下の説明において、大径ロッド部41の切欠部43の右端部43Aの位置と環状リセス36の左端部の位置とが一致するスプール35の位置を適宜、切欠開口閉鎖位置X、と称する。図10(C)に示した状態の走行連通弁26における作動油の通過流量は、図10(B)に示した状態の走行連通弁26における作動油の通過流量よりも少ない。
【0046】
図10(D)は、スプール35が図10(C)に示した位置よりも左側に移動した状態を示す。スプール35が左側に移動することにより、大径ロッド部41のランド面44とバルブボディ34の内周面との間に隙間開口45が形成される。流入口38からの作動油は、大径ロッド部41のランド面44の周囲に形成された隙間開口45に流入する。作動油が流れる走行連通弁26の開口は、隙間開口45を含む。隙間開口45から漏れる作動油の流量は、隙間開口45の長さLdが長いほど小さくなる。図10(D)に示した状態の隙間開口45の長さLdは、図10(C)に示した状態の隙間開口45の長さLdよりも長い。図10(D)に示した状態の走行連通弁26における作動油の通過流量は、図10(C)に示した状態の走行連通弁26における作動油の通過流量よりも少ない。
【0047】
図10(E)は、スプール35が図10(D)に示した位置よりも左側の閉鎖位置Wに移動した状態を示す。閉鎖位置Wは、大径ロッド部41のランド面44が環状リセス36の全部に面する状態でスプール35がストロークエンドに到達した位置である。スプール35が閉鎖位置Wに配置された場合の隙間開口45の長さLdは、図10(D)に示した状態の隙間開口45の長さLdよりも長い。図10(E)に示した状態の隙間開口45から漏れる作動油の流量は、図10(D)に示した状態の隙間開口45から漏れる作動油の流量よりも少ない。本実施形態において、スプール35が閉鎖位置Wに配置された場合、走行連通弁26における作動油の通過流量が最少になる。
【0048】
このように、作動油が流れる走行連通弁26の開口は、小径ロッド部40の周囲及び大径ロッド部41に設けられた切欠部43の周囲に形成される切欠開口と、大径ロッド部41とバルブボディ34との間に形成される隙間開口と、を含む。スプール35が開放位置Vと切欠開口閉鎖位置Xとの間の第1移動範囲を移動する場合、流入口38からの作動油は、小径ロッド部40の周囲及び大径ロッド部41に設けられた切欠部43の周囲に形成される切欠開口に流入し、流出口39から流出する。開口面積は、スプール35の左側へのストローク量が大きいほど小さくなる。スプール35が切欠開口閉鎖位置Xと閉鎖位置Wとの間の第2移動範囲を移動する場合、流入口38からの作動油は、大径ロッド部41のランド面44とバルブボディ34の内周面との間に形成される隙間開口45に流入し、隙間開口45から漏れた後、流出口39から流出する。隙間開口45から漏れる作動油の流量は、スプール35の左側へのストローク量が大きいほど少なくなる。本実施形態において、走行連通弁26のストロークを調整することは、開放位置Vと切欠開口閉鎖位置Xとの間の第1移動範囲においてスプール35の位置を変更すること、及び切欠開口閉鎖位置Xと閉鎖位置Wとの間の第2移動範囲においてスプール35の位置を変更することを含む。
【0049】
図11は、実施形態に係る作動油温度と目標ストローク量と走行連通弁26の開口面積との関係を示す図である。図11のグラフの右側に示すテーブルデータのように、作動油温度について複数の規定温度T1,T2,T3,T4が定められる。図11に示すテーブルデータにおいて、規定温度T2は規定温度T1よりも高く、規定温度T3は規定温度T1よりも高く、規定温度T4は規定温度T2よりも高く、規定温度T4は規定温度T3よりも高い。走行連通弁26が全開状態で、作動油温度が低い状態から徐々に上昇して規定温度T2に到達すると、走行連通弁26が閉じ始める。規定温度T2から規定温度T4の間においては、走行連通弁26の開口面積が徐々に小さくなり、規定温度T4において全閉状態になる。また、走行連通弁26が全閉状態で、作動油温度が高い状態から徐々に下降して規定温度T3に到達すると、走行連通弁26が開き始める。規定温度T3から規定温度T1の間においては、走行連通弁26の開口面積が徐々に大きくなり、規定温度T1において全開状態になる。制御装置6は、テーブルデータに基づいて、作動油温度が第1温度閾値である規定温度T1以下のときに走行連通弁26を全開にし、作動油温度が第2温度閾値である規定温度T4以上のときに走行連通弁26を全閉にする。走行連通弁26が全閉状態とは、走行連通弁26のスプール35がストロークエンドに到達した状態をいう。スプール35がストロークエンドに到達した状態は、スプール35が閉鎖位置Wに到達した状態である。
【0050】
図11のグラフの左側に示す相関データのように、開放位置Vと切欠開口閉鎖位置Xとの間の第1移動範囲において、スプール35のストローク量が小さいほど走行連通弁26の開口面積が大きくなり、その結果、走行連通弁26における作動油の通過流量が多くなる。第1移動範囲において、スプール35のストローク量が大きいほど走行連通弁26の開口面積が小さくなり、その結果、走行連通弁26における作動油の通過流量が少なくなる。切欠開口閉鎖位置Xと閉鎖位置Wとの間の第2移動範囲において、スプール35のストローク量が小さいほど図10(D)に示した走行連通弁26の隙間開口45の長さLdが小さくなり、その結果、走行連通弁26における作動油の通過流量が多くなる。第2移動範囲において、スプール35のストローク量が大きいほど図10(D)に示した走行連通弁26の隙間開口45の長さLdが大きくなり、その結果、走行連通弁26における作動油の通過流量が少なくなる。制御装置6は、第1移動範囲及び第2移動範囲のそれぞれにおいて、スプール35のストローク量を制御することにより、走行連通弁26における作動油の通過流量を調整することができる。
【0051】
なお、規定温度T1と規定温度T2とは等しくてもよい。規定温度T1と規定温度T3とは等しくてもよい。規定温度T2と規定温度T4とは等しくてもよい。規定温度T3と規定温度T4とは等しくてもよい。
【0052】
[制御方法]
図12は、本実施形態に係る油圧システム10の制御方法を示すフローチャートである。制御装置6は、走行レバー31の操作量を取得する(ステップSA1)。制御装置6は、走行レバー31の操作量に基づいて、油圧ショベル1が走行しているか否かを判定する(ステップSA2)。ステップSA2において、油圧ショベル1が走行していると判定した場合(ステップSA2:Yes)、制御装置6は、走行レバー31の操作量に基づいて、走行体2がステアリングしているか否かを判定する(ステップSA3)。
【0053】
ステップSA3において、走行体2がステアリングしていると判定した場合(ステップSA3:Yes)、制御装置6は、走行連通弁26が全閉になるように、電磁弁33に指令電流を出力する(ステップSA4)。電磁弁33に指令電流が出力されることにより、走行連通弁26のスプール35が閉鎖位置Wに配置され、走行連通弁26が全閉になる(ステップSA5)。走行連通弁26が全閉になることにより、走行体2は安定してステアリングすることができる。
【0054】
ステップSA3において、走行体2がステアリングしていないと判定した場合(ステップSA3:No)、制御装置6は、走行連通弁26が全開になるように、電磁弁33に指令電流を出力する(ステップSA6)。電磁弁33に指令電流が出力されることにより、走行連通弁26のスプール35が開放位置Vに配置され、走行連通弁26が全開になる(ステップSA7)。走行連通弁26が全開になることにより、上述したように、走行モータ7の負荷圧と走行モータ8の負荷圧との差が小さくなるので、走行体2は安定して直進することができる。
【0055】
ステップSA2において、油圧ショベル1が走行していないと判定した場合(ステップSA2:No)、LSドロップ制御が開始される(ステップSA8)。制御装置6は、作動油温度を取得する。すなわち、制御装置6は、温度センサ27の検出データを取得する(ステップSA9)。
【0056】
制御装置6は、作動油温度に基づいて、走行連通弁26のスプール35の目標ストローク量を決定する(ステップSA10)。本実施形態において、制御装置6は、図11を参照して説明した作動油温度と目標ストローク量との関係を示すテーブルデータに基づいて、走行連通弁26のスプールの目標ストローク量を決定する。テーブルデータは、予め定められている。走行連通弁26のスプールのストローク量と走行連通弁26の開口面積とは負の相関を持つ。ストローク量が大きいほど開口面積が小さくなり、ストローク量が小さいほど開口面積が大きくなる。
【0057】
制御装置6は、温度センサ27の検出データとテーブルデータとに基づいて、目標ストローク量を決定した後、目標ストローク量に基づいて指令電流を電磁弁33に出力する(ステップSA11)。電磁弁33に指令電流が出力されることにより、走行連通弁26がストロークし、走行連通弁26の開口面積が調整される(ステップSA12)。走行連通弁26の開口面積が調整されることにより、LSドロップ量[P-PLS]の変動が抑制される。
【0058】
[効果]
以上説明したように、本実施形態においては、作動油温度に基づいて、走行連通弁26のストロークが調整される。そのため、作動油温度が変化しても、LSドロップ量[P-PLS]が大きく変動することが抑制される。LSドロップ量[P-PLS]の変動が抑制されることにより、適正なLS圧PLSが得られる。これにより、作業機4の操作性の悪化が抑制される。
【0059】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0060】
図13は、本実施形態に係る油圧システム10の制御方法を示すフローチャートである。ステップSB1からステップSB7は、図12を参照して説明したステップSA1からステップSA7と同様であるため、その説明を省略する。
【0061】
ステップSB8において、制御装置6は、作業レバー32の操作量を取得する(ステップSB8)。制御装置6は、作業レバー32の操作量に基づいて、作業機4が動作しているか否かを判定する(ステップSB9)。ステップSB9において、作業機4が動作していないと判定した場合(ステップSB9:No)、制御装置6は、ステップSB6の処理及びステップSB7の処理を実施する。走行モータ7、走行モータ8、及び作業機シリンダ5のそれぞれが動作していないとき、走行連通弁26が全開になる。電磁弁33に指令電流が入力されたときに走行連通弁26のパイロットポートにパイロット圧が入力されて走行連通弁26が全閉になり、電磁弁33に指令電流が入力されていないときにばねの力により走行連通弁26が全開となる場合、走行モータ7、走行モータ8、及び作業機シリンダ5のそれぞれが動作していないときに、走行連通弁26にパイロット圧が入力されないようにすることにより、パイロット回路においてパイロット油の漏れが抑制される。これにより、油圧ショベル1の燃費の悪化が抑制される。
【0062】
ステップSB9において、作業機4が動作していると判定した場合(ステップSB2:Yes)、LSドロップ制御が開始される(ステップSB10)。制御装置6は、作動油温度を取得する(ステップSB11)。制御装置6は、温度センサ27の検出データと図10を参照して説明したテーブルデータとに基づいて、走行連通弁26の目標ストローク量を決定する(ステップSB12)。制御装置6は、目標ストローク量を決定した後、目標ストローク量に基づいて指令電流を電磁弁33に出力する(ステップSB13)。電磁弁33に指令電流が出力されることにより、走行連通弁26のスプール35がストロークし、走行連通弁26の開口面積が調整される(ステップSB14)。走行連通弁26の開口面積が調整されることにより、LSドロップ量[P-PLS]の変動が抑制される。
【0063】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0064】
図14は、本実施形態に係る油圧システム10の制御方法を示すフローチャートである。ステップSC1からステップSC7は、図12を参照して説明したステップSA1からステップSA7と同様であるため、その説明を省略する。
【0065】
ステップSC2において、油圧ショベル1が走行していないと判定した場合(ステップSC2:No)、LSドロップ制御が開始される(ステップSC8)。
【0066】
制御装置6は、作動油温度及びポンプ吐出圧Pを取得する。すなわち、制御装置6は、温度センサ27の検出データ及び圧力センサ28の検出データを取得する(ステップSC9)。本実施形態において、制御装置6は、温度センサ27の検出データ及び圧力センサ28の検出データに基づいて、走行連通弁26のストロークを調整する。すなわち、制御装置6は、作動油温度及びポンプ吐出圧Pに基づいて、走行連通弁26の目標ストローク量を決定する(ステップSC10)。
【0067】
制御装置6は、温度センサ27の検出データと図11を参照して説明したテーブルデータとに基づいて、走行連通弁26の目標ストローク量の第1候補値を決定する。また、制御装置6は、予め定められているポンプ吐出圧Pと目標ストローク量との関係を示すテーブルデータに基づいて、走行連通弁26の目標ストローク量の第2候補値を決定する。
【0068】
図15は、本実施形態に係るポンプ吐出圧Pと目標ストローク量と走行連通弁26の開口面積との関係を示す図である。図15のグラフの右側に示すテーブルデータのように、ポンプ吐出圧Pについて複数の規定圧P1,P2,P3,P4が定められる。図15に示すテーブルデータにおいて、規定圧P2は規定圧P1よりも高く、規定圧P3は規定圧P1よりも高く、規定圧P4は規定圧P2よりも高く、規定圧P4は規定圧P3よりも高い。走行連通弁26が全開状態で、ポンプ吐出圧Pが低い状態から徐々に上昇して規定圧P2に到達すると、走行連通弁26が閉じ始める。規定圧P2から規定圧P4の間においては、走行連通弁26の開口面積が徐々に小さくなり、規定圧P4において全閉状態になる。また、走行連通弁26が全閉状態で、ポンプ吐出圧Pが高い状態から徐々に下降して規定圧P3に到達すると、走行連通弁26が開き始める。規定圧P3から規定圧P1の間においては、走行連通弁26の開口面積が徐々に大きくなり、規定圧P1において全開状態になる。制御装置6は、テーブルデータに基づいて、ポンプ吐出圧Pが第1圧力閾値である規定圧P1以下のときに走行連通弁26を全開にし、ポンプ吐出圧Pが第2圧力閾値である規定圧P4以上のときに走行連通弁26を全閉にする。走行連通弁26が全閉状態とは、走行連通弁26のスプールがストロークエンドに到達した状態をいう。スプール35がストロークエンドに到達した状態は、スプール35が閉鎖位置Wに到達した状態である。
【0069】
図15のグラフの左側に示す相関データのように、開放位置Vと切欠開口閉鎖位置Xとの間の第1移動範囲において、スプール35のストローク量が小さいほど走行連通弁26の開口面積が大きくなり、その結果、走行連通弁26における作動油の通過流量が多くなる。第1移動範囲において、スプール35のストローク量が大きいほど走行連通弁26の開口面積が小さくなり、その結果、走行連通弁26における作動油の通過流量が少なくなる。切欠開口閉鎖位置Xと閉鎖位置Wとの間の第2移動範囲において、スプール35のストローク量が小さいほど図10(D)に示した走行連通弁26の隙間開口45の長さLdが小さくなり、その結果、走行連通弁26における作動油の通過流量が多くなる。第2移動範囲において、スプール35のストローク量が大きいほど図10(D)に示した走行連通弁26の隙間開口45の長さLdが大きくなり、その結果、走行連通弁26における作動油の通過流量が少なくなる。制御装置6は、第1移動範囲及び第2移動範囲のそれぞれにおいて、スプール35のストローク量を制御することにより、走行連通弁26における作動油の通過流量を調整することができる。
【0070】
なお、規定圧P1と規定圧P2とは等しくてもよい。規定圧P1と規定圧P3とは等しくてもよい。規定圧P2と規定圧P4とは等しくてもよい。規定圧P3と規定圧P4とは等しくてもよい。
【0071】
制御装置6は、圧力センサ28の検出データと図15を参照して説明したテーブルデータとに基づいて、目標ストローク量の第2候補値を決定する。図14において、制御装置6は、作動油温度に基づいて決定した第1候補値とポンプ吐出圧Pに基づいて決定した第2候補値とのうち小さい方の値を目標ストローク量とする。目標ストローク量を決定した後、制御装置6は、目標ストローク量に基づいて指令電流を電磁弁33に出力する(ステップSC11)。電磁弁33に指令電流が出力されることにより、走行連通弁26がストロークし、走行連通弁26の開口面積が調整される(ステップSC12)。走行連通弁26の開口面積が調整されることにより、LSドロップ量[P-PLS]の変動が抑制される。
【0072】
電磁弁33に指令電流が入力されたときに走行連通弁26のパイロットポートにパイロット圧が入力されて走行連通弁26が全閉になり、電磁弁33に指令電流が入力されていないときにばねの力により走行連通弁26が全開となる場合、ポンプ吐出圧Pが低くLSドロップ量[P-PLS]の変動による影響が小さいときに、走行連通弁26にパイロット圧が入力されないようにすることにより、パイロット回路においてパイロット油の漏れが抑制される。これにより、油圧ショベル1の操作性の悪化及び燃費の悪化が抑制される。
【符号の説明】
【0073】
1…油圧ショベル、2…走行体、2A…履帯、3…旋回体、4…作業機、4A…ブーム、4B…アーム、4C…バケット、5…作業機シリンダ、5A…ブームシリンダ、5B…アームシリンダ、5C…バケットシリンダ、6…制御装置、7…走行モータ(第1走行モータ)、7A…ポート、7B…ポート、8…走行モータ(第2走行モータ)、8A…ポート、8B…ポート、10…油圧システム、11…油圧ポンプ、12…作動油タンク、13…走行操作弁(第1走行操作弁)、13A…第1ポート、13B…第2ポート、13C…第3ポート、13D…第4ポート、13E…第5ポート、13F…第6ポート、13G…第7ポート、13M…メータイン絞り、13N…メータイン絞り、14…走行操作弁(第2走行操作弁)、14A…第1ポート、14B…第2ポート、14C…第3ポート、14D…第4ポート、14E…第5ポート、14F…第6ポート、14G…第7ポート、14M…メータイン絞り、14N…メータイン絞り、15…作業機操作弁、15A…第1ポート、15B…第2ポート、15C…第3ポート、15D…第4ポート、15E…第5ポート、15F…第6ポート、15G…第7ポート、15M…メータイン絞り、15N…メータイン絞り、16…圧力補償部、16A…入力ポート、16B…出力ポート、16C…導入流路、16D…チェック弁、16E…ロードセンシング導入絞り(LS導入絞り)、16S…圧力補償弁(第1圧力補償弁)、17…圧力補償部、17A…入力ポート、17B…出力ポート、17C…導入流路、17D…チェック弁、17E…ロードセンシング導入絞り(LS導入絞り)、17F…バイパス流路、17G…バイパス絞り、17S…圧力補償弁(第2圧力補償弁)、18…圧力補償部、18A…入力ポート、18B…出力ポート、18C…導入流路、18D…チェック弁、18E…ロードセンシング導入絞り(LS導入絞り)、18S…圧力補償弁、19…ポンプ流路、20…連結流路、21…タンク流路、22…信号流路、23…絞り、24…ロードセンシング弁(LS弁)、25…サーボピストン、26…走行連通弁、27…温度センサ、28…圧力センサ、31…走行レバー、32…作業レバー、33…電磁弁、34…バルブボディ、35…スプール、36…環状リセス、37…環状リセス、38…流入口、39…流出口、40…小径ロッド部、41…大径ロッド部、42…大径ロッド部、43…切欠部、43A…右端部、44…ランド面、45…隙間開口、50A…ポート、50B…ポート、A…全開位置、B…全閉位置、D…短縮位置、F…前進位置、H…差圧大位置、L…差圧小位置、La…ライン、Lb…ライン、Lc…ライン、Ld…長さ、N…中立位置、P…負荷圧、PLS…LS圧、P…ポンプ吐出圧、R…後進位置、U…伸長位置、Ya…増大方向、Yb…減少方向、V…開放位置、W…閉鎖位置、X…切欠開口閉鎖位置。
図1
図2
図3
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図10
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