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特開2024-77800エアバッグ装置及びエアバッグモジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077800
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】エアバッグ装置及びエアバッグモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/201 20110101AFI20240603BHJP
   B60R 21/207 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B60R21/201
B60R21/207
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189963
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】小林 優斗
(72)【発明者】
【氏名】大内 翼
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA02
3D054AA03
3D054AA07
3D054AA21
3D054BB24
3D054CC29
3D054CC30
3D054CC50
3D054DD13
3D054FF13
3D054FF16
3D054FF17
(57)【要約】
【課題】エアバッグモジュールを効率よく小型化することが可能で、高額な設備を必要とせず経済的効果も高いエアバッグ装置等を実現する。
【解決手段】エアバッグモジュール11は、エアバッグクッション12を膨張展開させるガスを噴射するインフレータ20と、インフレータ20を内蔵して、ひとつの塊になるように、蛇腹状に折り畳まれたエアバッグクッション12と、折り畳まれた塊状のエアバッグクッションに沿って、エアバッグクッション12の一つの側面上に配置されるプレート30と、樹脂パッケージ40とを備えている。樹脂パッケージ40は、プレート30がエアバッグクッション12に接している状態で、プレート30と共にエアバッグクッション12の全周に巻き付けるように設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを噴射するインフレータと、
前記インフレータを内蔵して、ひとつの塊になるように、ロール状または蛇腹状に折り畳まれたエアバッグクッションと、
前記エアバッグクッションの全周に巻き付けるように設けられる樹脂パッケージと、
を備えた、エアバッグ装置。
【請求項2】
前記折り畳まれた塊状のエアバッグクッションに沿って、該エアバッグクッションの一つの側面上に配置されるプレートを更に備え、
前記樹脂パッケージは、前記プレートが前記エアバッグクッションに接している状態で、前記プレートと共に前記エアバッグクッションの全周に巻き付けるように設けられる、請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記エアバッグクッションは棒状に形成されており、前記樹脂パッケージは棒状に形成された前記エアバッグクッションの外周に巻き付けられている、請求項1又は2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記樹脂パッケージは、熱を加えることによって収縮する熱収縮性の樹脂からなる、請求項1又は2に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記プレートには、前記インフレータのスタッドボルトが貫通できる貫通部が設けられている、請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
前記樹脂パッケージは、チューブ状に形成されている、請求項1又は2に記載のエアバッグ装置。
【請求項7】
ガスを噴射するインフレータと、前記インフレータを内蔵したエアバッグクッションとからなるエアバッグモジュールを製造する方法であって、
前記エアバッグモジュールを座席のサイドフレームに組み付ける前に、前記エアバッグクションを、ひとつの塊になるように、ロール状または蛇腹状に折り畳む第1工程と、
折り畳まれた塊状のエアバッグクッションに沿って、前記エアバッグクッションの一つの側面上にプレートを配置する第2工程と、
前記プレートが前記エアバッグクッションに接している状態で、前記プレートと共に前記エアバッグクッションの全周に、熱収縮性の樹脂からなる樹脂パッケージを巻き付ける第3工程と、
前記樹脂パッケージが巻き付けられた状態のエアバッグモジュールを加熱して、前記樹脂パッケージを収縮させる第4工程と、
を含む、エアバッグモジュールの製造方法。
【請求項8】
前記第4工程の後、前記プレートを取り除く第5工程をさらに含む、請求項7に記載のエアバッグモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突等により車両に加わる衝撃から乗員を保護するエアバッグ装置と、エアバッグモジュールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアバッグ装置では、インフレータを内蔵したエアバッグクッションが、例えば蛇腹状に折り畳まれた状態で車両の所要の位置に収納されている。
【0003】
特許文献1には、図13に例示するように、エアバッグケース101と、ガス発生器102と、ガス発生器102から噴出されるガスが流入するエアバッグ本体103とを備えるエアバッグ装置100が開示されている。このエアバッグ装置100では、エアバッグ本体103が蛇腹状に折り畳まれた状態でエアバッグケース101に収納されており、エアバッグケース101の外側はフィルム104によって被覆されている。
【0004】
特許文献1においては、エアバッグケース101の外側をフィルム104で被覆した理由について、エアバッグ本体103の折り畳み状態を確実に保持できる点と、エアバッグ本体103にサビや油が付着する虞や、サイドフレームのプレスバリや溶接によるバリでエアバッグ本体103を損傷させる虞がなくなり、組付けが容易となって作業能率を向上できる点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-181493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インフレータとエアバッグクッションからなるエアバッグモジュールは、収納状態において、より小型化することが求められている。例えば車両用シートでは、背もたれ部のサイドサポート部の車幅方向の厚みを薄くした薄型シートがトレンドの1つになっている。薄型シートでは、サイドフレームのシート外側部分において、エアバッグモジュールを配置する空間が狭くなるため、厚みを薄くしたコンパクトなエアバッグモジュールが要求される。
【0007】
従来から、例えば熱溶解性のフェルトをカバー材として使用し、サイドフレームへの組み付けを行う前に下記工程を実施することで、サイドエアバッグモジュールを小型化する方法が知られている。
【0008】
・工程1:エアバッグモジュールに熱溶解性のフェルトを巻き付ける。
・工程2:フェルトを巻き付けた状態のエアバッグモジュールをIRオーブンで加熱し、フェルトを溶解する。
・工程3:フェルトが溶けた状態のエアバッグモジュールを金型に入れ、プレス機を用いてプレスする。
・工程4:圧力をかけながらフェルトを所定の形状に固めることで、エアバッグモジュールを小型化する。
【0009】
しかし、上記した従来の方法については、1)IRオーブン、金型、プレス機などの設備を必要とし設備費用が高額になる、2)フェルトを融点まで加熱して溶解するときにフェルトが膨張してエアバッグモジュールの外形が崩れやすい、3)カバー材として使用するフェルト自体に厚みがあって嵩張るためにエアバッグモジュールを一定程度小型化できるものの効果が小さい、などの問題点が指摘されている。
【0010】
なお、特許文献1では、エアバッグケース101の外側からフィルム104を被覆しているため、フィルム104が熱収縮性であったとしても、加熱時にエアバッグケース101の外形に沿うような形状にしか収縮できない。そのため、特許文献1の構成は、エアバッグモジュールの小型化の目的には転用できない。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、エアバッグモジュールを車両の所定位置に組み付ける前に効率よく小型化することが可能で、高額な設備を必要とせず経済的効果も高いエアバッグ装置等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のエアバッグ装置は、
ガスを噴射するインフレータと、
インフレータを内蔵して、ひとつの塊になるように、ロール状または蛇腹状に折り畳まれたエアバッグクッションと、
エアバッグクッションの全周に巻き付けるように設けられる樹脂パッケージと、
を備えている。
【0013】
本発明のエアバッグ装置は、
折り畳まれた塊状のエアバッグクッションに沿って、該エアバッグクッションの一つの側面上に配置されるプレートを更に備え、
樹脂パッケージは、プレートがエアバッグクッションに接している状態で、プレートと共にエアバッグクッションの全周に巻き付けるように設けられる構成でもよい。
【0014】
本発明では、エアバッグクッションは棒状に形成されており、樹脂パッケージは棒状に形成されたエアバッグクッションの外周に巻き付けられている構成でもよい。
【0015】
本発明では、樹脂パッケージは、熱を加えることによって収縮する熱収縮性の樹脂でもよい。
【0016】
本発明では、プレートには、インフレータのスタッドボルトが貫通できる貫通部が設けられていてもよい。
【0017】
本発明では、樹脂パッケージは、チューブ状に形成されていてもよい。
【0018】
本発明のエアバッグモジュールの製造方法は、
ガスを噴射するインフレータと、インフレータを内蔵したエアバッグクッションとからなるエアバッグモジュールを製造する方法であって、
エアバッグモジュールを座席のサイドフレームに組み付ける前に、エアバッグクションを、ひとつの塊になるように、ロール状または蛇腹状に折り畳む第1工程と、
折り畳まれた塊状のエアバッグクッションに沿って、エアバッグクッションの一つの側面上にプレートを配置する第2工程と、
プレートがエアバッグクッションに接している状態で、プレートと共にエアバッグクッションの全周に、熱収縮性の樹脂からなる樹脂パッケージを巻き付ける第3工程と、
樹脂パッケージが巻き付けられた状態のエアバッグモジュールを加熱して、樹脂パッケージを収縮させる第4工程と、
を含んでいる。
【0019】
本発明のエアバッグモジュールの製造方法は、第4工程の後、プレートを取り除く第5工程をさらに含むものでもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のエアバッグ装置は、エアバッグクッションを膨張展開させるガスを噴射するインフレータと、インフレータを内蔵して、ひとつの塊になるように、ロール状または蛇腹状に折り畳まれたエアバッグクッションと、エアバッグクッションの全周に巻き付けるように設けられる樹脂パッケージとを備えている。
【0021】
本発明は、折り畳まれた塊状のエアバッグクッションに沿って、該エアバッグクッションの一つの側面上に配置されるプレートを更に備える。この場合、樹脂パッケージは、プレートがエアバッグクッションに接している状態で、プレートと共にエアバッグクッションの全周に巻き付けるように設けられる。
【0022】
本発明では、インフレータとエアバッグクッションからなるエアバッグモジュールをサイドフレームに組み付ける前に、エアバッグクッションの全周に巻き付けた樹脂パッケージに熱を加えることで、樹脂パッケージを収縮させる。これにより、折り畳まれた状態のエアバッグクッションが樹脂パッケージの収縮力を受けて更に圧縮される。
【0023】
また、本発明では、インフレータとエアバッグクッションからなるエアバッグモジュールをサイドフレームに組み付ける前に、エアバッグクッションの一つの側面上に配置したプレートと共にエアバッグクッションの全周に巻き付けた樹脂パッケージに熱を加えることで、樹脂パッケージを収縮させてもよい。
【0024】
プレートを使用する場合は、折り畳まれたエアバッグクッションの一つの側面上にプレートをあてがうことによって、樹脂パッケージの収縮力が得られる方向および収縮時の形状をコントロールすることが可能となる。これにより、本発明では、エアバッグクッションを効率よく圧縮し、エアバッグモジュールを小型化することができる。
【0025】
本発明では、IRオーブン、プレス機、金型などの高額な設備は必要としない。本発明は、エアバッグモジュールの量産工程において樹脂パッケージを加熱することでエアバッグクッションを効率よく圧縮してエアバッグモジュールを小型化できるので、経済的効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施形態に係るエアバッグ装置(プレート、樹脂パッケージは図示を省略)について、エアバッグクッションが膨張展開した状態を車両の側方から見た図である。
図2図2は、実施形態に係るエアバッグ装置について、座席の骨格を形成するシートフレームを斜め方向から見た斜視図である。
図3】実施形態に係るエアバッグ装置について、図3(a)は、折り畳まれたエアバッグクッションの一端にプレートを沿わせて樹脂パッケージを巻き付けた状態の縦断面を示す図であり、図3(b)は、加熱後に樹脂パッケージが収縮してエアバッグクッションが圧縮された状態の縦断面を示す図である。
図4】樹脂パッケージについて、図4(a)は筒状のシュリンクチューブを用いる場合の一例を示す図、図4(b)はシート状のシュリンクフィルムを用いる場合の一例を示す図である。
図5】プレートの貫通部について、図5(a)はスリット状の貫通部を用いる場合の一例を示す図、図5(b)は複数の孔からなる貫通部を用いる場合の一例を示す図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、実施形態の第1変形例に係るエアバッグ装置について、図3(a)、図3(b)と、それぞれ同様の状態を示す図である。
図7図7(a)乃至図7(d)は、実施形態の第2変形例に係るエアバッグ装置について、エアバッグクッションをロール状に巻く手順を説明する図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、実施形態の第2変形例に係るエアバッグ装置について、図3(a)、図3(b)と、それぞれ同様の状態を示す図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、その他の変形例に係るエアバッグ装置について、図3(a)、図3(b)と、それぞれ同様の状態を示す図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、その他の変形例に係るエアバッグ装置について、図3(a)、図3(b)と、それぞれ同様の状態を示す図である。
図11図11は、その他の変形例に係るエアバッグ装置(プレート、樹脂パッケージは図示を省略)について、エアバッグクッションが膨張展開した状態を車両の側方から見た図である。
図12図12は、その他の変形例に係るエアバッグ装置について、エアバッグクッションが膨張展開した状態を車両の上方から見た図である。
図13図13は、従来のエアバッグ装置において、エアバッグケースにガス発生器及びエアバッグ本体が内部に組み込まれた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0028】
本発明において「乗員」とは、一例を示せば、前面衝突試験用のダミー(Hybrid III AM50/ NHTSA [National Highway Traffic Safety Administration:米国高速道路交通安全協会]の規格[49CFR Part572 Subpart E 及びO] にて決められた前面衝突試験用人体ダミー)に準拠した、米国における平均的な男性に相当する体格を有するものをいい、概略サイズは、身長175cm、座高88cm、体重78kgである。但し、本発明はその他の人体ダミーに対しても適用可能である。
【0029】
本明細書において、「上」、「上側」とは座席1の正規の位置に着座した乗員5の頭部方向を、「下」、「下側」とは乗員5の足元方向を意味する場合がある。ここで、「正規の位置」とは、座席1におけるシートクッション2の左右方向の中心位置で、背もたれ部3に乗員5の背中が上下に亘って接する位置をいう。また、「前」、「前側」とは座席1の正規の位置に着座した乗員5の正面方向を、「後」、「後ろ側」とは乗員5の背面方向を意味する場合がある。また、「左」、「左側」とは座席1の正規の位置に着座した乗員5の左手方向を、「右」、「右側」とは乗員5の右手方向を意味する場合がある。
【0030】
本明細書において、「折り畳まれたエアバッグクッション」とは、巻き取り操作によってロール状に巻き取りされた状態のエアバッグクッション、折り畳み操作によって蛇腹折りされた状態のエアバッグクッション、巻き取り操作と折り畳み操作を組み合わせて折り畳まれた状態のエアバッグクッションを、何れも意味する場合がある。
【0031】
本実施形態のエアバッグ装置10は、車両の側面衝突などが発生した時にドア側に移動しようとする乗員5の側部を拘束するサイドエアバッグ装置である。エアバッグ装置10を構成するエアバッグモジュール11は、車両内で車両の幅方向に並んで配置された2つの座席のうち、何れか一方の座席の背もたれ部3の側部の内部に設置される。本実施形態では、ドライバー用の座席1にエアバッグモジュール11が設置されている。エアバッグモジュール11は、エアバッグクッション12とインフレータ20とを備えている。
【0032】
[座席の概略構成]
座席1は、図1に示すように、乗員5の臀部及び大腿部を支持するシートクッション2と、乗員5の背部を支持する背もたれ部3とを備えている。背もたれ部3は、シートクッション2の後端部に傾倒可能に取付けられている。背もたれ部3の上端部には、棒状の支持部材7を介して、ヘッドレスト6が取り付けられている。座席1は、背もたれ部3とヘッドレスト6が一体的に形成されたものであってもよい。
【0033】
一例として図2に示すように、背もたれ部3の内部にはシートフレーム4が設けられており、シートクッション2の底側には着座フレーム8が配置されている。シートフレーム4と着座フレーム8とは、リクライニング機構9を介して連結されており、座席1の骨格を形成している。
【0034】
シートフレーム4は、背もたれ部3内のシート幅方向右側及び左側の端部においてシート上下方向に延設された一対のサイドフレーム4aと、一対のサイドフレーム4aの上端部をシート幅方向に連結する上部フレーム4bと、一対のサイドフレーム4aの下端部をシート幅方向に連結する下部フレーム4cとを備えている。シートフレーム4は、サイドフレーム4aと上部フレーム4bと下部フレーム4cとにより枠状に構成されている。サイドフレーム4aは、例えば金属または樹脂によって成形されている。
【0035】
シートクッション2では、着座フレーム8の上側に例えばウレタンフォーム材からなるパッドが配設されている。背もたれ部3では、シートフレーム4aの前側にパッドが設けられている。これらのパッドは表皮材によって被覆されている。表皮材は伸縮性を有する布帛や皮革からなる。
【0036】
[エアバッグ装置の構成とエアバッグモジュールの製造方法]
本実施形態のエアバッグ装置10を構成するエアバッグモジュール11は、図3(a)に示すように、サイドフレーム4aに組み付ける前の状態において、エアバッグクッション12を膨張展開させるガスを噴射するインフレータ20と、インフレータ20を内蔵して、ひとつの塊になるように、蛇腹状に折り畳まれたエアバッグクッション12と、折り畳まれた塊状のエアバッグクッションに沿って、エアバッグクッション12の一つの側面上に配置されるプレート30と、樹脂パッケージ40とを備えている。
【0037】
本実施形態では、樹脂パッケージ40は、一定の温度まで熱を加えることによって体積が収縮する熱収縮性の樹脂フィルムからなる。樹脂パッケージ40を構成する樹脂フィルムは、例えば、PS(ポリスチレン系)、PET(ポリエチレンテレフタレート系)、PVC(塩化ビニル系)、PP(ポリプロピレン系)、PO(ポリオレフィン系)等の所望の素材を用いることができ、単層もしくは複層のフィルムを使用できる。
【0038】
具体的に、本実施形において使用した樹脂パッケージ40の物性データの一例を以下に示す。なお、以下の物性データは一例であり、要求される仕様に応じて適宜変更したものを使用してもよい。
【表1】
【0039】
エアバッグクッション12は、平置き状態において蛇腹状に折り畳むことにより、座席1の内部に収納される時の収納形態となる。蛇腹状に折り畳まれたエアバッグクッション12は、ひとつの塊を形成している。ひとつの塊は、球状、楕円球状などでもよいが、本実施形態では、エアバッグクッション12が全体として細長い形状、具体的には棒状となるように、折り畳みを行う。
【0040】
本実施形態では、折り畳まれて棒状に形成されたエアバッグクッション12の長手方向と、エアバッグクッション12に沿わせるプレート30の長手方向が同じ向きとなるようにしている。また、エアバッグモジュール11を座席1の背もたれ部3のサイドサポート部の内部に設置したときには、プレート30の長手方向が車両の前後方向と同じ向きとなる。
【0041】
本実施形態では、樹脂パッケージ40は、プレート30が棒状に形成されたエアバッグクッション12の側面の一つに接している状態で、プレート30と共にエアバッグクッション12の全周に巻き付けるようにしている。
【0042】
樹脂パッケージ40には、インフレータ20のスタッドボルト21を貫通する孔41が設けられている。孔41にスタッドボルト21を貫通させることで、折り畳まれたエアバッグクッション12に対し、樹脂パッケージ40を位置決めすることができる。
【0043】
樹脂パッケージ40が熱収縮性であるため、図3(a)の状態からエアバッグモジュール11を加熱すると、樹脂パッケージ40が径方向及び長さ方向に収縮する。この加熱は樹脂パッケージ40を構成する樹脂の物性に応じて、あらかじめ規定されている熱収縮が好適に開始される温度まで熱を加えるものである。具体的に、本実施形態の樹脂パッケージ40では、径方向収縮率は45±4%、長さ方向収縮率は5±4%である。図3(b)に示すように、樹脂パッケージ40が収縮すると、その収縮力によって折り畳まれたエアバッグクッション12が圧縮され、エアバッグモジュール11のサイズが小さくなる。なお、樹脂パッケージ40は、エアバッグクッション12の膨張展開時に破断される。
【0044】
本実施形態では、あらかじめエアバッグクッションを細長い棒状に形成しているので、径方向収縮率が45±4%と高い樹脂パッケージ40の特性を享受しやすくなり、エアバッグクッション12の圧縮効果が高まる。
【0045】
本実施形態では、蛇腹状に折り畳まれたエアバッグクッション12の一つの側面上にプレート30を沿わせることによって、樹脂パッケージの収縮力が得られる方向、更には収縮時の形状をコントロールすることが可能となる。プレート30はフラットな板状の部材であり、その材質はスチール製である。
【0046】
以上に説明したとおり、本実施形態のエアバッグモジュール11の製造方法は、ガスを噴射するインフレータ20と、インフレータ20を内蔵したエアバッグクッション12とからなるエアバッグモジュール11を製造する方法であって、エアバッグモジュール11を座席1のサイドフレーム4aに組み付ける前に、エアバッグクション12を、ひとつの塊になるように、蛇腹状に折り畳む第1工程と、折り畳まれた塊状のエアバッグクッション12に沿って、エアバッグクッション12の一つの側面上にプレート30を配置する第2工程と、プレート30がエアバッグクッション12に接している状態で、プレート30と共にエアバッグクッション12の全周に、熱収縮性の樹脂からなる樹脂パッケージ40を巻き付ける第3工程と、樹脂パッケージ40が巻き付けられた状態のエアバッグモジュール11を加熱して、樹脂パッケージ40を収縮させる第4工程とを含んでいる。
【0047】
本実施形態で使用するエアバッグクッション12は、所要の形状の基布を必要数あらかじめ準備し、これらの基布の外周部など所定の箇所を縫製することにより構成された布製の袋体である。エアバッグクッション12は、いわゆる「ワンピースウィービング(one-piece weaving)」の技術を用いて形成したものでもよい。
【0048】
インフレータ20は、エアバッグクッション12の内部に設けられた接続部に接続されている。インフレータ20は、略円筒状に形成されたガス発生装置であり、組み付け時には軸方向が背もたれ部3のサイドフレーム4aの長手方向に沿った方向となる。インフレータ20の上端部22a及び下端部22bには噴出孔がそれぞれ設けられている。インフレータの外側面にはその長手方向に適宜の間隔をあけて突出状に設けられた2本のスタッドボルト21が設けられている。スタッドボルト21は、プレート30の貫通部31と樹脂パッケージ40の孔41に挿通される。
【0049】
インフレータ20は、スタッドボルト21及びナット22により、背もたれ部3のサイドフレーム4aに取り付けられる。また、インフレータ20の収納部の挿通孔にスタットボルト21が通されてサイドフレーム4aに固定されることにより、エアバッグクッション12もサイドフレーム4aに固定される。
【0050】
インフレータ20は、ECU(Electronic Control Unit)などの制御部51と電気的に接続されている。そして、車両の側面衝突を検知する側突検知センサ及び側面衝突を予知する側突予知センサなどのセンサ類52からの信号に基づいて車両の側面衝突が検知又は予知された場合に、ECUからの信号によってインフレータ20が作動する。インフレータ20が作動すると、インフレータ20の上端部22a及び下端部22bの噴出孔からガスが噴射される。
【0051】
エアバッグクッション12は、座席1の背もたれ部3のニアサイド側のサイドサポート部の内部に収納されており、インフレータ20で発生したガスによって膨張し、エアバッグクッション12の膨張圧によって背もたれ部3の表皮材が破断し、乗員5に対する座席1の幅方向外側の側方に膨張展開される。
【0052】
エアバッグクッション12は、上部チャンバ14と、下部チャンバ15と、上部チャンバ14と下部チャンバ15とを区画するバッフル16とを備えている。上部チャンバ14は、乗員5の胴体の側部、例えば肩部5s、胸部5c、上腕部5uaを受け止めることができる上下方向及び前後方向の長さを有している。また、乗員5の胴体の側部に加え、頭部5hを受け止めることができる上下方向及び前後方向の長さを有している。下部チャンバ15は、乗員5の胴体の側部、例えば腹部5a、腰部5wを受け止めることができる上下方向及び前後方向の長さを有している。側面衝突などの発生時、膨張展開したエアバッグクッション12は、衝撃が発生した方向に移動しようとする乗員5の側部を拘束し、乗員5の移動を抑制する。
【0053】
[本実施形態の効果等]
本実施形態では、エアバッグ装置10は、ガスを噴射するインフレータ20と、インフレータ20を内蔵して、ひとつの塊になるように、蛇腹状に折り畳まれたエアバッグクッション12と、折り畳まれた塊状のエアバッグクッション12に沿って、該エアバッグクッション12の一つの側面上に配置されるプレート30と、熱収縮性の樹脂からなる樹脂パッケージ40とを備えている。本実施形態では、樹脂パッケージ40は、プレート30がエアバッグクッション12に接している状態で、プレート30と共にエアバッグクッション12の全周に巻き付けるように設けられる。
【0054】
本実施形態では、インフレータ20とエアバッグクッション12からなるエアバッグモジュール11をサイドフレーム4aに組み付ける前に、エアバッグクッション12の一つの側面上に配置したプレート30と共にエアバッグクッション12の全周に巻き付けた樹脂パッケージ40に熱を加えることで、樹脂パッケージ40を収縮させる。これにより、折り畳まれた状態のエアバッグクッション12は、樹脂パッケージ40の収縮力によって更に圧縮される。
【0055】
本実施形態では、折り畳まれたエアバッグクッション12の一つの側面上にプレート30を沿わせることによって、樹脂パッケージ40の収縮力が得られる方向およびエアバッグクッション12が収縮したときの形状をコントロールすることが可能となる。これにより、本実施形態では、エアバッグクッション12を効率よく圧縮し、エアバッグモジュール11を小型化することができる。
【0056】
本実施形態の樹脂パッケージ40は、熱収縮性の性質を有し、かつ、肉厚が0.10±0.03mmの薄いフィルムであるため、従来技術に見られた1)熱溶解時にフェルトが膨張してエアバッグモジュールの外形が崩れやすい、2)フェルト自体が嵩張るため小型化できても効果が小さい、という課題を解消できる。
【0057】
また、本実施形態では、プレート30と樹脂パッケージ40を使用し、樹脂パッケージ40を加熱するために小型の加熱機は用いるが、従来技術のように、IRオーブン、プレス機、金型などの高額な設備は必要としない。なお、本実施形態で樹脂パッケージ40を加熱するために用いる加熱機のコストは、従来技術で用いるIRオーブンのコストと比較して約55%程度である。
【0058】
このように、本実施形態では、エアバッグモジュール11の量産工程において樹脂パッケージ40を加熱することでエアバッグクッション12を効率よく圧縮してエアバッグモジュール11を小型化できるので、経済的効果が高い。
【0059】
ここで、樹脂パッケージ40については、図4(a)に示すように、筒状のシュリンクチューブを用いてもよいし、図4(b)に示すように、シート状のシュリンクフィルムを用いてもよい。
【0060】
シート状のシュリンクフィルムからなる樹脂パッケージ40は、折り畳まれたエアバッグクッション12の厚み、形状、サイズにバリエーションがあっても、シュリンクフィルムの折り畳み方によって対応できる範囲が広くなり、樹脂パッケージ40の汎用性を高めることができる。
【0061】
一方、筒状のシュリンクチューブからなる樹脂パッケージ40は、対応可能なエアバッグクッション12の種類は一定程度限定されるが、チューブの中にエアバッグクッション12及びプレート30を入れ込むだけでそれらの外周に樹脂パッケージ40を取付けることができるので、樹脂パッケージ40の巻き付け作業が容易となる。
【0062】
樹脂パッケージ40は、その形状がチューブ状、シート状の何れであっても、折り畳まれたエアバッグクッシ12の一端にプレート30を沿わせて、プレート30と共に全周に巻き付けた後に熱を加えることでプレート30が存在しない側が収縮する。本実施形態では、エアバッグクッション12の一つの側面上にプレートをあてがうことによって収縮力が得られる方向および収縮時の形状をコントロールしながら、エアバッグクッション12を圧縮することができる。
【0063】
プレート30には、インフレータ20のスタッドボルト21が貫通できる貫通部31が設けられている。貫通部31については、図5(a)に示すように、スリット状の貫通部31を用いてもよいし、図5(b)に示すように、所要位置に設けた複数の孔からなる貫通部31を用いてもよい。
【0064】
スリット状の貫通部31を有するプレート30は、シリンダ状のインフレータ20の長手方向に一定の距離を空けて設ける複数のスタットボルト21,21間の距離にバリエーションがあっても、スリットの長さの範囲で対応できるので、プレート30の汎用性を高めることができる。
【0065】
一方、複数の孔からなる貫通部31を有するプレート30は、折り畳まれたエアバッグクッション12に対してプレート30を固定的に位置決めすることができる。
【0066】
プレート30は、貫通部31の形状がスリット状、孔状のいずれであっても、プレート30を配置した側の樹脂パッケージ40の収縮量は抑制され、プレート30が存在しない側の収縮量は大きくなる。これにより、エアバッグクッション12の収縮方向及び収縮後の形状をコントロールすることができる。
【0067】
本実施例では、図3に示すように、縦断面が直線状のプレート30を用いる。プレート30は直線部32のみで構成されている。プレート30は、エアバッグクッション12の展開動作の妨げることがない位置に沿わせているため、プレート30を含んだ状態でエアバッグモジュール11をサイドフレーム4aに組み付けることができる。必要な場合は、熱収縮を行った後に、圧縮されたエアバッグクッション12の形状を崩さないように配慮の上、プレート30を抜き取ってもよい。
【0068】
つまり、本実施形態のエアバッグモジュール11の製造方法は、エアバッグモジュール11を座席1のサイドフレーム4aに組み付ける前に、エアバッグクション12を、ひとつの塊になるように、蛇腹状に折り畳む第1工程と、折り畳まれた塊状のエアバッグクッション12に沿って、エアバッグクッション12の一つの側面上にプレート30を配置する第2工程と、プレート30がエアバッグクッション12に接している状態で、プレート30と共にエアバッグクッション12の全周に、熱収縮性の樹脂からなる樹脂パッケージ40を巻き付ける第3工程と、樹脂パッケージ40が巻き付けられた状態のエアバッグモジュール11を加熱して、樹脂パッケージ40を収縮させる第4工程を実施した後に、プレート30を取り除く第5工程を実施してもよい。
【0069】
この場合、第5工程では、プレート30の先端部付近の樹脂パッケージ40に、プレート30の短手方向の幅よりも少し長いサイズのスリットを設け、このスリットからプレート30を抜き取るようにする。本実施形態では、第4工程において、樹脂パッケージ40全体が十分に収縮しているので、第5工程においてスリット30を抜き取るためのスリットを設けても、エアバッグクッション12の圧縮状態は維持され、エアバッグクッション12の形状が崩れることはない。
【0070】
[実施形態の第1変形例]
本変形例では、図6に示すように、縦断面の形状がL字状のプレート30を用いる。本変形例のプレート30は、直線部32と、直線部32と直交する方向に延びる折り曲げ部33とを備えている。折り曲げ部33の長さは、直線部32の長さよりも短い。
【0071】
本変形例では、L字状のプレートを沿わせた状態で熱収縮を行うので、棒状に形成された折り畳まれたエアバッグクッション12の長手方向に加え、エアバッグクッション12の短手方向の形状もコントロールすることが可能になる。本変形例のプレート30は、エアバッグクッション12の展開動作の妨げになることがなく、プレート30を含む状態でエアバッグモジュール11をサイドフレーム4aに組み付けることができる。
【0072】
本変形例においても、折り畳まれたエアバッグクッション12の側面の一つにプレート30を沿わせることによって、樹脂パッケージ40の収縮力が得られる方向およびエアバッグクッション12の収縮時の形状をコントロールすることが可能となる。これにより、エアバッグクッション12を効率よく圧縮し、エアバッグモジュール11を小型化することができる。
【0073】
[実施形態の第2変形例]
本変形例では、エアバッグモジュール11の製造方法の第1工程において、巻き取り操作によってロール状に巻かれたエアバッグクッション12を使用する。具体的に、本変形例における巻き取り操作は次のとおりである。先ず、図7(a)に示す平置き状態のエアバッグクッション12に対し、図7(b)に示すように、エアバッグクッション12の後方部分17をインフレータ20の収納部に重なるように、車両前後方向前方側に向けて折り返す。
【0074】
次に、エアバッグクッション12に対して畳み工程を行う。畳み工程では、エアバッグクッション12の上部を折る折り線18aが設定され、折り線18aよりも上方の上部領域18bが、折り線18bよりも下方の下部領域18cに重ねて畳まれる。そして、インフレータ20の収納部を除いたロール巻き領域18dが設定され、エアバッグクッション12に対して巻き取り工程を行う。巻き取り工程では、巻き取り中心18eが設定され、巻き取り中心18eを基準に、ロール巻き領域18dに対して巻き取りによるロール巻きが行われ、図7(c)に示すように、ロール部分18fが形成される。図7(d)は、図7(c)中のA-A線矢視断面図である。
【0075】
ロール巻き領域18dに対する巻き取り工程は、巻き取り中心18e側を上方とし、巻き取り中心18eから放射状に末広がりに広がるエアバッグクッション12の外縁側を下方として錐体状に行われる。また、巻き取り工程は、折り線18a側を始端とし、終端となるインフレータ20の収納部側に向かって行われる。巻き取り工程によって形成されるロール部分18fは、図7(d)に示すように、収納部に収納されたインフレータ20と隣り合うように配置される。錐体状のロール部分18fを含むエアバッグクッション12は、ひとつの塊を形成している。また、この塊は、全体としては棒状の形状である。
【0076】
本変形例においても、図8(a)及び図8(b)に示すように、ロール状に巻かれて折り畳まれたエアバッグクッション12の側面の一つにプレート30を沿わせることによって、樹脂パッケージ40の収縮力が得られる方向およびエアバッグクッション12の収縮時の形状をコントロールすることが可能となる。これにより、エアバッグクッション12を効率よく圧縮し、エアバッグモジュール11を小型化することができる。
【0077】
以上の説明から理解されるとおり、エアバッグモジュール11の製造方法における第1工程は、エアバッグクション12を、巻き取り操作によって、ひとつの塊になるように、ロール状に巻き取る工程でもよい。また、第1工程は、巻き取り操作と折り畳み操作を組み合わせてエアバッグクッション12を折り畳む工程でもよい。
【0078】
[その他の変形例]
上述の実施形態において、エアバッグ装置は、カーテンエアバッグでもよい。カーテンエアバッグでは、座席1のドア側の上部にエアバッグクッションがロール状に巻かれて収納されている。本発明をカーテンエアバッグに適用することで収納状態におけるエアバッグクッションのロール径を小さくすることができる。
【0079】
上述の実施形態において、図9図10に示すように、ロール状または蛇腹状に折り畳まれたエアバッグクッション12は、その周囲を被覆部材13で被覆した後に、被覆部材13の外側から熱収縮性の樹脂パッケージ40を巻き付けるようにしてもよい。本変形例において被覆部材13は、ロール状または蛇腹状に折り畳まれた形状を一時的に保持する目的で使用されるものである。被覆部材13は、樹脂パッケージ40と共に、エアバッグクッション12の膨張展開時に破断される。本変形例の場合も、樹脂パッケージ40が収縮することによって、被覆部材13を介して折り畳まれたエアバッグクッション12が圧縮される。本変形例の被覆部材13は、熱収縮性のものでなくてもよい。
【0080】
上述の実施形態において、エアバッグクッション12は、図11に示すように、乗員5の肩部5s、胸部5c、上腕部5uaの側部と、腹部5a、腰部5wの側部を受け止めるコンパクトなサイズのものでもよい。
【0081】
上述の実施形態において、エアバッグ装置10は、図12に示すように、座席1の背もたれ部3の車幅方向中央側の側部に収納され、車両に衝撃が加わったときに乗員5のファーサイド側の側部にエアバッグクッション12が膨張展開して乗員5を拘束するファーサイドエアバッグ装置でもよい。図11はドライバー用の座席1を示しており、背もたれ部3のドアD側の側部にエアバッグ装置10を設けると共に、センターコンソールC側の側部にもエアバッグ装置10を設ける例を示している。
【0082】
上述の実施形態において、樹脂パッケージ40の所要位置に、他の部位に比較して脆弱な脆弱部を形成してもよい。脆弱部は、樹脂パッケージ40のうち、エアバッグクッション12が膨張展開する方向に面する部分に設ければよい。脆弱部は、例えばミシン目またはスリットによって形成することができる。この場合、ミシン目またはスリットを設定した位置から樹脂パッケージ40が開裂し始め、狙った位置からエアバッグクッション12を膨張展開させて、展開初期におけるエアバッグクッション12の動作が安定する。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の構成は、サイドエアバッグ装置に限らず、カーテンエアバッグ、ニーエアバッグなど、あらゆるエアバッグ装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 座席
4a サイドフレーム
10 エアバッグ装置
11 エアバッグモジュール
12 エアバッグクッション
20 インフレータ
21 スタッドボルト
30 プレート
31 貫通部
40 樹脂パッケージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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