(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077804
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】半導体装置、電子機器、及び車両
(51)【国際特許分類】
H03K 17/08 20060101AFI20240603BHJP
H03K 17/082 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H03K17/08 C
H03K17/082
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189974
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大和 哲郎
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX08
5J055AX09
5J055AX57
5J055AX64
5J055BX16
5J055CX07
5J055CX12
5J055CX28
5J055DX22
5J055DX73
5J055EX01
5J055EX23
5J055EX38
5J055EY16
5J055EY21
5J055EZ22
5J055FX04
5J055FX13
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX04
(57)【要約】
【課題】起動時にラッシュ電流を抑制することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置(10A)は、第1端子(T1)と、第2端子(T2)と、前記第1端子と前記第2端子との間に接続されるように構成された少なくとも一つの第1スイッチ素子(M1)及び少なくとも一つの第2スイッチ素子(M2A、M2B)と、前記第1端子を流れる過電流を検出するように構成された過電流検出回路(4)と、前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の少なくとも一部を、前記半導体装置の起動時にオフにするように構成されたオフ回路(Q1A、Q1B)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と、
第2端子と、
前記第1端子と前記第2端子との間に接続されるように構成された少なくとも一つの第1スイッチ素子及び少なくとも一つの第2スイッチ素子と、
を備える半導体装置であって、
前記第1端子を流れる過電流を検出するように構成された過電流検出回路と、
前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の少なくとも一部を、前記半導体装置の起動時にオフにするように構成されたオフ回路と、
をさらに備える、半導体装置。
【請求項2】
前記第1スイッチ素子の第1制御端子に接続されて前記第1端子と前記第2端子との間に現れる端子間電圧をクランプ電圧以下に制限するように構成されたアクティブクランプ回路を備え、
前記オフ回路は、前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の少なくとも一部を、前記アクティブクランプ回路が動作する可能性のある期間にオフにするように構成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の個数は複数であり、
前記オフ回路は、前記半導体装置の起動中に時間経過ともにオフする前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の個数を減少させるように構成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
起動開始からの時間をカウントするように構成されたカウンタを備え、
前記オフ回路は、前記半導体装置の起動中に前記カウンタのカウント数に応じてオフする前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の個数を減少させるように構成されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
外部から供給される外部信号を受け取るように構成された端子を備え、
前記オフ回路は、前記半導体装置の起動中に前記外部信号に応じてオフする前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の個数を減少させるように構成されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置に接続される容量性負荷と、
を備える、電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、半導体装置、電子機器、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、これまで、車載IPD[intelligent power device]などの半導体装置に関して、数多くの新技術を提案している(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に車載IPDなどの半導体装置の負荷が容量性負荷である場合、車載IPDなどの半導体装置の起動時にラッシュ電流が流れる。
【0005】
特に近年、メカニカルヒューズからの置き換えで車載IPDの一例であるハイサイドスイッチが使用され始めている。メカニカルヒューズの代用としてハイサイドスイッチが使用される場合、ハイサイドスイッチの起動時に、ECU(Electronic Control Unit)の前段に設けられる電圧安定用の電解コンデンサにラッシュ電流が流れる。電解コンデンサに電荷が溜まると、ハイサイドスイッチを流れる電流はECUで消費される定常電流のみになる。
【0006】
電解コンデンサの容量値によっては、ラッシュ電流は定常電流の10倍以上になることがある。車載IPDなどの半導体装置の起動が正常に完了するために、従来、ラッシュ電流で過電流が検出されないように過電流検出値が高く設定されていた。この場合、定常電流に関しては最適な値で異常な過電流を検出することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中に開示されている半導体装置は、第1端子と、第2端子と、前記第1端子と前記第2端子との間に接続されるように構成された少なくとも一つの第1スイッチ素子及び少なくとも一つの第2スイッチ素子と、を備える半導体装置であって、前記第1端子を流れる過電流を検出するように構成された過電流検出回路と、前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の少なくとも一部を、前記半導体装置の起動時にオフにするように構成されたオフ回路と、を備える。
【0008】
本明細書中に開示されている電子機器は、上記構成の半導体装置と、前記半導体装置に接続される容量性負荷と、を備える。
【0009】
本明細書中に開示されている車両は、上記構成の電子機器を備える。
【発明の効果】
【0010】
本明細書中に開示されている発明によれば、半導体装置の起動時にラッシュ電流を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、半導体装置を備えた電子機器の一構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す半導体装置の起動時における各部信号を示す図である。
【
図3】
図3は、半導体装置を備えた電子機器の他の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す半導体装置の起動時における各部信号を示す図である。
【
図5】
図5は、車両の一構成例を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、MOS(Metal Oxide Semiconductor)電界効果トランジスタとは、ゲートの構造が、「導電体または抵抗値が小さいポリシリコン等の半導体からなる層」、「絶縁層」、及び「P型、N型、又は真性の半導体層」の少なくとも3層からなるトランジスタをいう。つまり、MOS電界効果トランジスタのゲートの構造は、金属、酸化物、及び半導体の3層構造に限定されない。
【0013】
<電子機器>
図1は、半導体装置を備えた電子機器の一構成例を示す図である。本構成例の電子機器100Aは、半導体装置10Aと、容量性負荷である電解コンデンサC1と、ECU20と、直流電源VS1と、を備える。
【0014】
半導体装置10Aは、直流電源VS1の正極と電解コンデンサC1との間を導通/遮断するハイサイドスイッチIC(IPDの一種)である。
【0015】
半導体装置10Aは、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、端子T1~T4を備える。端子T1は、直流電源VS1の正極に接続される。直流電源VS1の負極は、グラウンド電位に接続される。端子T2は、電解コンデンサC1の第1端及びECU20の電源端子に接続される。電解コンデンサC1の第2端及びECU20のグラウンド端子は、グラウンド電位に接続される。端子T3は、入力信号INを受け取る。端子T4は、グラウンド電位に接続される。直流電源VS1は電圧VCCを出力する。
【0016】
半導体装置10Aは、制御回路1と、アクティブクランプ回路2と、過電流検出回路3と、カウンタ4と、MOS電界効果トランジスタQ1A及びQ1Bと、出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bと、を備える。出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bはそれぞれ、スイッチ素子である。具体的には、出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bはそれぞれ、はそれぞれNチャネルのパワーMISFET[metal insulator semiconductor field effect transistor]である。出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bの各ドレインは、端子T1に接続される。出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bの各ソース及び各バックゲートは、端子T2に接続される。
【0017】
制御回路1は、端子T1に接続される。また、制御回路1は、グラウンド電位にも接続される。制御回路1は、端子T3に接続されており、入力信号INに基づき制御動作を実行する。
【0018】
制御回路1は、入力信号INがHIGHレベルであるときに、出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bの各ゲートに供給するゲート信号GATE1、GATE2A、及びGATE2BをHIGHレベルにする。これにより、出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bがオンになる。
【0019】
一方、制御回路1は、入力信号INがLOWレベルであるときに、出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bの各ゲートに供給するゲート信号GATE1、GATE2A、及びGATE2BをLOWレベルにする。これにより、出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bがオフになる。
【0020】
NチャネルのMOS電界効果トランジスタQ1Aのドレインは、出力トランジスタM2Aのゲートに接続される。MOS電界効果トランジスタQ1Aのソース及びバックゲートは、グラウンド電位に接続される。
【0021】
NチャネルのMOS電界効果トランジスタQ1Bのドレインは、出力トランジスタM2Bのゲートに接続される。MOS電界効果トランジスタQ1Bのソース及びバックゲートは、グラウンド電位に接続される。
【0022】
MOS電界効果トランジスタQ1Aは、出力トランジスタM2Aをオフにできるオフ回路の一例である。MOS電界効果トランジスタQ1Bは、出力トランジスタM2Bをオフにできるオフ回路の一例である。制御回路1は、アクティブクランプ回路2が動作する可能性のある期間に、MOS電界効果トランジスタQ1A及びQ1Bの各ゲートに供給するゲート信号G1A及びG1BをHIGHレベルにする。つまり、制御回路1は、出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bがオンからオフに切り替わる遷移時において、MOS電界効果トランジスタQ1A及びQ1Bの各ゲートに供給するゲート信号G1A及びG1BをHIGHレベルにする。これにより、MOS電界効果トランジスタQ1A及びQ1Bは、アクティブクランプ回路2が動作する可能性のある期間に出力トランジスタM2A及びM2Bをオフにする。これにより、逆起エネルギーを吸収する出力トランジスタが出力トランジスタM1に限定されるため、アクティブクランプ時における出力トランジスタでの熱集中が緩和され、アクティブクランプ耐量が高まる。
【0023】
アクティブクランプ回路2は、半導体装置10Aに誘導性負荷が接続された場合に端子T1と端子T2との間に現れる端子間電圧をクランプ電圧以下に制限する。アクティブクランプ回路2は、MOS電界効果トランジスタQ2と、ツェナーダイオードD1と、ダイオードD2と、ツェナーダイオードD3と、を含む。MOS電界効果トランジスタQ2は、NチャネルのMOS電界効果トランジスタである。
【0024】
ツェナーダイオードD1のカソード及びMOS電界効果トランジスタQ2のドレインは、端子T1と、出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bの各ドレインと、に接続される。ツェナーダイオードD1のアノードは、ダイオードD2のアノードに接続される。ダイオードD2のカソード及びツェナーダイオードD3のカソードは、MOS電界効果トランジスタQ2のゲートに接続される。ツェナーダイオードD3のアノード及びMOS電界効果トランジスタQ2のバックゲートはグラウンド電位に接続される。MOS電界効果トランジスタQ2のソースは、出力トランジスタM1のゲートに接続される。なお、ツェナーダイオードD1の代わりに、複数のツェナーダイオードによって構成される直列回路が用いられてよい。
【0025】
過電流検出回路3は、端子T1を流れる過電流を検出する。過電流検出回路3の電流検出方法は特に限定されない。例えば、過電流検出回路3は、出力トランジスタM1と対となってカレントミラー回路を構成する電流センス用トランジスタと、当該電流センス用トランジスタを流れる電流を電圧に変換するためのセンス抵抗と、当該センス抵抗の両端電位差と基準電圧とを比較するコンパレータと、を備える構成であってもよい。過電流検出回路3が過電流を検出すると、例えば制御回路1が出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bをオフにすればよい。
【0026】
ここで、半導体装置10Aの起動時について説明する。半導体装置10Aの起動とは、制御回路1に電圧VCCが供給されて制御回路1が制御動作可能な状態であって且つ入力信号INに基づき制御回路1が出力トランジスタM1をオフからオンに切り替えるときを意味している。
【0027】
図2は、半導体装置10Aの起動時における各部信号を示す図である。半導体装置10Aの起動開始タイミングTM1において、制御回路1は、入力信号INのLOWレベルからHIGHレベルへの切り替わりと同期して、ゲート信号GATE1、GATE2A、GATE2B、G1A、及びG1BをLOWレベルからHIGHレベルに切り替える。
【0028】
したがって、半導体装置10Aの起動開始タイミングTM1において、出力トランジスタM1はオンになり、MOS電界効果トランジスタQ1A及びQ1Bによって出力トランジスタM2A及びM2Bはオフになる。出力トランジスタM2A及びM2Bがオフになり出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bのうち出力トランジスタM1のみがオンになるため、端子T1と端子T2とを繋ぐ経路のオン抵抗は大きくなる。これにより、半導体装置10Aは、半導体装置10Aの起動時にラッシュ電流を抑制することができる。
【0029】
制御回路1は、半導体装置10Aの起動開始タイミングTM1において、カウンタ4の動作を開始させる。したがって、カウンタ4は、半導体装置10Aの起動開始からの時間をカウントする。
【0030】
カウンタ4によって半導体装置10Aの起動開始タイミングTM1から第1の所定時間PT1が経過したことがカウントされると、制御回路1は、ゲート信号G1AをHIGHレベルからLOWレベルに切り替える。これにより、出力トランジスタM1及びM2Aはオンになり、MOS電界効果トランジスタQ1Bによって出力トランジスタM2Bはオフになる。これにより、端子T1と端子T2とを繋ぐ経路のオン抵抗は、半導体装置10Aの起動開始タイミングTM1から第1の所定時間PT1が経過する迄の期間よりも小さくなる。
【0031】
そして、カウンタ4によって半導体装置10Aの起動開始タイミングTM1から第1の所定時間PT1及び第2の所定時間PT2が経過したことがカウントされると、制御回路1は、ゲート信号G1BをHIGHレベルからLOWレベルに切り替える。これにより、出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bはオンになる。これにより、端子T1と端子T2とを繋ぐ経路のオン抵抗は、半導体装置10Aの起動開始タイミングTM1から第1の所定時間PT1及び第2の所定時間PT2が経過する迄の期間よりも小さくなる。なお、第1の所定時間PT1と第2の所定時間PT2とは、同じ長さであってもよく、互いに異なる長さであってもよい。半導体装置10Aの起動開始タイミングTM1から第1の所定時間PT1及び第2の所定時間PT2が経過すると、半導体装置10Aの起動が終了し、半導体装置10Aは定常状態に遷移する。
【0032】
第1の所定時間PT1及び第2の所定時間PT2の各長さは、半導体装置10Aの起動開始タイミングTM1から第1の所定時間PT1及び第2の所定時間PT2が経過したときに電解コンデンサC1に電荷が溜まって端子T1と端子T2とを繋ぐ経路を流れる電流がECU20で消費される定常電流のみになるように設定されればよい。
【0033】
半導体装置10Aは、上述した通り、ラッシュ電流を抑制することができるため、ラッシュ電流で過電流が検出されないように過電流検出値を高く設定する必要がなくなる。したがって、半導体装置10Aは、定常電流に関して最適な値で異常な過電流を検出することが可能となり、安全性を向上させることができる。
【0034】
また、半導体装置10Aは、起動中に時間経過ともに出力トランジスタM2A及びM2Bのうちオフする出力トランジスタの個数を減少させている。これにより、半導体装置10Aは、起動時間を短縮することができる。
【0035】
図3は、半導体装置を備えた電子機器の他の構成例を示す図である。本構成例の電子機器100Bは、半導体装置10Bと、容量性負荷である電解コンデンサC1と、ECU20と、直流電源VS1と、を備える。
【0036】
半導体装置10Bは、上述した半導体装置10Aからカウンタ4が取り除かれ端子T5が追加された構成である。半導体装置10Bの構成及び動作について、半導体装置10Aの構成及び動作と同様の部分については説明を適宜省略する。
【0037】
端子T5は、半導体装置10Bの外部から供給される外部信号S1を受け取る。
【0038】
図4は、半導体装置10Bの起動時における各部信号を示す図である。半導体装置10Bの起動開始タイミングTM1において、制御回路1は、入力信号INのLOWレベルからHIGHレベルへの切り替わりと同期して、ゲート信号GATE1、GATE2A、GATE2B、G1A、及びG1BをLOWレベルからHIGHレベルに切り替える。
【0039】
外部信号S1がHIGHレベルからMIDDLEレベルに切り替わると、制御回路1は、ゲート信号G1AをHIGHレベルからLOWレベルに切り替える。これにより、出力トランジスタM1及びM2Aはオンになり、MOS電界効果トランジスタQ1Bによって出力トランジスタM2Bはオフになる。これにより、端子T1と端子T2とを繋ぐ経路のオン抵抗は、外部信号S1がHIGHレベルであった期間よりも小さくなる。
【0040】
そして、外部信号S1がMIDDLEレベルからLOWレベルに切り替わると、制御回路1は、ゲート信号G1BをHIGHレベルからLOWレベルに切り替える。これにより、出力トランジスタM1、M2A、及びM2Bはオンになる。これにより、端子T1と端子T2とを繋ぐ経路のオン抵抗は、外部信号S1がMIDDLEレベルであった期間よりも小さくなる。外部信号S1がLOWレベルになると、半導体装置10Bの起動が終了し、半導体装置10Bは定常状態に遷移する。
【0041】
半導体装置10Bは、半導体装置10Aと同様に、起動中に時間経過ともに出力トランジスタM2A及びM2Bのうちオフする出力トランジスタの個数を減少させている。ただし、半導体装置10Aは、カウンタ4のカウント数に応じて、起動中に時間経過ともに出力トランジスタM2A及びM2Bのうちオフする出力トランジスタの個数を減少させているのに対して、半導体装置10Aは、外部信号S1に応じて、起動中に時間経過ともに出力トランジスタM2A及びM2Bのうちオフする出力トランジスタの個数を減少させている。
【0042】
半導体装置10Bは、半導体装置10Aと同様の効果を奏する。半導体装置10Bは、半導体装置10Aとは異なりカウンタを備えない構成であるため、半導体装置10Aよりも小型化を図ることができる。
【0043】
<車両への適用>
図5は、車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、バッテリから電力供給を受けて動作する種々の電子機器を搭載している。
【0044】
車両Xには、エンジン車のほか、電動車(BEV[battery electric vehicle]、HEV[hybrid electric vehicle]、PHEV/PHV(plug-in hybrid electric vehicle/plug-in hybrid vehicle]、又は、FCEV/FCV(fuel cell electric vehicle/fuel cell vehicle]などのxEV)も含まれる。
【0045】
車両Xは、例えば先に説明した電子機器100A又は100Bを搭載することができる。また、先に説明した半導体装置10A又は10Bの用途としては、車両Xに搭載される車載用IPDに限定されず、例えば産業機器又は民生機器に搭載される半導体装置であってもよい。
【0046】
<その他>
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。これまでに説明してきた各種の実施形態は、矛盾のない範囲で適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。
【0047】
本開示の実施形態では、第1スイッチ素子に相当する出力トランジスタM1は1個であったが、第1スイッチ素子を複数備え、複数の第1スイッチ素子が並列接続されてもよい。
【0048】
本開示の実施形態では、第2スイッチ素子に相当する出力トランジスタM2A及びM2Bは2個であったが、第2スイッチ素子は単数でもよく、3個以上であってもよい。
【0049】
本開示の実施形態では、アクティブクランプ回路2が動作する可能性のある期間に、第2スイッチ素子に相当する全ての出力トランジスタM2A及びM2Bがオフになったが、第2スイッチ素子に相当する出力トランジスタの一部のみがオフになってもよい。
【0050】
例えば、上記実施形態では、ハイサイドスイッチICへの適用例を挙げたが、ローサイドスイッチICにも上記実施形態と同様の回路構成を適用することが可能である。
【0051】
<付記>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0052】
本開示の半導体装置(10A、10B)は、第1端子(T1)と、第2端子(T2)と、前記第1端子と前記第2端子との間に接続されるように構成された少なくとも一つの第1スイッチ素子(M1)及び少なくとも一つの第2スイッチ素子(M2A、M2B)と、を備える半導体装置であって、前記第1端子を流れる過電流を検出するように構成された過電流検出回路(4)と、前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の少なくとも一部を、前記半導体装置の起動時にオフにするように構成されたオフ回路(Q1A、Q1B)と、を備える構成(第1の構成)である。
【0053】
上記第1の構成の半導体装置において、前記第1スイッチ素子の第1制御端子に接続されて前記第1端子と前記第2端子との間に現れる端子間電圧をクランプ電圧以下に制限するように構成されたアクティブクランプ回路(2)を備え、前記オフ回路は、前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の少なくとも一部を、前記アクティブクランプ回路が動作する可能性のある期間にオフにするように構成されている構成(第2の構成)であってもよい。
【0054】
上記第1又は第2の構成の半導体装置において、前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の個数は複数であり、前記オフ回路は、前記半導体装置の起動中に時間経過ともにオフする前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の個数を減少させるように構成されている構成(第3の構成)であってもよい。
【0055】
上記第3の構成の半導体装置において、起動開始からの時間をカウントするように構成されたカウンタ(3)を備え、前記オフ回路は、前記半導体装置の起動中に前記カウンタのカウント数に応じてオフする前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の個数を減少させるように構成されている構成(第4の構成)であってもよい。
【0056】
上記第3の構成の半導体装置において、外部から供給される外部信号を受け取るように構成された端子(T5)を備え、前記オフ回路は、前記半導体装置の起動中に前記外部信号に応じてオフする前記少なくとも一つの第2スイッチ素子の個数を減少させるように構成されている構成(第5の構成)であってもよい。
【0057】
本開示の電子機器(100A、100B)は、上記第1~第5いずれかの構成の半導体装置と、前記半導体装置に接続される容量性負荷(C1)と、を備える構成(第6の構成)であってもよい。
【0058】
本開示の車両(X)は、上記第6の構成の電子機器を備える構成(第7の構成)である。
【符号の説明】
【0059】
1 制御回路
2 アクティブクランプ回路
3 過電流検出回路
4 カウンタ
10A、10B 半導体装置
20 ECU
100A、100B 電子機器
C1 電解コンデンサ
D1、D3 ツェナーダイオード
D2 ダイオード
M1、M2A、M2B 出力トランジスタ
Q1A、Q1B、Q2 MOS電界効果トランジスタ
T1~T5 端子
VS1 直流電源
X 車両