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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077812
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】糸巻取機
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/052 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
B65H67/052
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189988
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】納谷 晋輔
(72)【発明者】
【氏名】原 洋介
(72)【発明者】
【氏名】西山 能弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕之
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112AA06
3F112VC05
(57)【要約】
【課題】巻取装置の数の増加に起因する通信速度の低下を抑制する。
【解決手段】自動ワインダ10は、複数の巻取ユニット11(巻取装置)と、各々が1以上の巻取ユニット11を制御する複数のユニット制御部21と、機台制御装置13と、複数のユニット制御部21と機台制御装置13とを通信接続する複数のバス配線BLと、を備える。複数の巻取ユニット11は、第1グループGAに属する第1グループ巻取ユニット11Aと、第2グループGBに属する第2グループ巻取ユニット11Bと、を有する。複数のユニット制御部21は、第1グループ巻取ユニット11Aを制御する第1制御部21Aと、第2グループ巻取ユニット11Bを制御する第2制御部21Bと、を有する。複数のバス配線BLは、第1制御部21Aと機台制御装置13とを通信接続する第1バス配線BL1と、第2制御部21Bと機台制御装置13とを通信接続する第2バス配線BL2と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を巻き取ってパッケージをそれぞれ形成可能に構成された複数の巻取装置と、
前記複数の巻取装置のうち1以上の巻取装置にそれぞれ割り当てられ、各々が、割り当てられた前記1以上の巻取装置を制御する複数の制御部と、
前記複数の制御部を管理する管理部と、
前記複数の制御部と前記管理部とを通信接続する複数のバス配線と、を備え、
前記複数の巻取装置は、所定の第1グループに属する第1グループ巻取装置と、前記第1グループとは別の第2グループに属する第2グループ巻取装置と、を有し、
前記複数の制御部は、前記第1グループ巻取装置を制御する第1制御部と、前記第2グループ巻取装置を制御する第2制御部と、を有し、
前記複数のバス配線は、前記第1制御部と前記管理部とを通信接続する第1バス配線と、前記第2制御部と前記管理部とを通信接続する第2バス配線と、を有することを特徴とする糸巻取機。
【請求項2】
前記第1バス配線及び前記第2バス配線のうち少なくとも一方のバス配線に設けられ、前記少なくとも一方のバス配線上の電気信号の波形を整形可能に構成された波形整形部、を備えることを特徴とする請求項1に記載の糸巻取機。
【請求項3】
前記管理部、前記第1グループ巻取装置及び前記第2グループ巻取装置は、所定の第1方向に並べて配置され、
前記第2グループ巻取装置は、前記第1方向において、前記第1グループ巻取装置を隔てて前記管理部と反対側に配置され、
前記波形整形部は、前記第1バス配線及び前記第2バス配線のうち前記第2バス配線にのみ設けられていることを特徴とする請求項2に記載の糸巻取機。
【請求項4】
前記複数の巻取装置は、前記第1グループ及び前記第2グループとは別の第3グループに属する第3グループ巻取装置を有し、
前記複数の制御部は、前記第3グループ巻取装置を制御する第3制御部を有し、
前記第3グループ巻取装置は、前記第1方向において、前記第1グループ巻取装置及び前記第2グループ巻取装置を隔てて前記管理部と反対側に配置され、
前記第3制御部は、前記第2バス配線によって、前記波形整形部を介して前記管理部と通信接続されていることを特徴とする請求項3に記載の糸巻取機。
【請求項5】
前記波形整形部は、
前記第1方向において、前記第2グループ巻取装置のうち前記管理部から最も遠い位置に配置された第1巻取装置と重なる位置、前記第3グループ巻取装置のうち前記管理部に最も近い位置に配置された第2巻取装置と重なる位置、又は前記第1巻取装置と前記第2巻取装置との間の位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の糸巻取機。
【請求項6】
前記第1制御部及び前記第2制御部は、電気信号の波形を整形する波形整形部を介さずに前記管理部と通信接続されていることを特徴とする請求項1に記載の糸巻取機。
【請求項7】
前記複数の巻取装置がそれぞれ前記パッケージを形成することを補助可能に構成された補助ユニットと、
前記補助ユニットを制御する補助制御部と、
前記第1バス配線及び前記第2バス配線とは別に設けられ、前記補助制御部と前記管理部とを通信接続する第3バス配線と、を備え、
前記管理部は、所定の配線基板上に形成された電子回路を有し、
前記電子回路は、
前記第1バス配線及び前記第2バス配線と、前記第3バス配線との間に介在するように配置され、電気信号に含まれた情報に応じて当該電気信号の送信先を選択可能に構成された選択部、を有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の糸巻取機。
【請求項8】
前記電子回路は、前記第1バス配線及び前記第2バス配線のうち少なくとも一方と、前記第3バス配線との間のトラフィック量を検出可能に構成された検出部、を有することを特徴とする請求項7に記載の糸巻取機。
【請求項9】
前記複数の制御部の各々は、
前記複数の巻取装置のうち割り当てられた前記1以上の巻取装置の各々の稼働に関する稼働情報を取得し、
前記稼働情報のうち最も新しい第1稼働情報と、前記稼働情報のうち第1稼働情報よりも前に且つ最後に前記管理部に送信された第2稼働情報との差分である差分情報を抽出し、
前記第1稼働情報の代わりに前記差分情報を前記管理部に送信することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の糸巻取機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された糸巻取機は、糸をそれぞれ巻き取る複数の巻取装置と、複数の巻取装置との間で電気信号を送受信可能な制御装置(以下、管理部)とを備える。複数の巻取装置は、1本の通信路(以下、バス配線)によって管理部と通信接続されている。バス配線上には、配線抵抗等に起因する電気信号の歪みを修正するリピータ(波形整形部)が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-67473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、1つの糸巻取機あたり設けられる巻取装置の数はますます増加している。糸巻取機において、1本のバス配線によって管理部と接続される巻取装置の数が多くなると、バス配線の長尺化や分岐配線の増加等の種々の原因により、電気信号の歪みが大きくなりうる。この問題を解決するために、バス配線に設けられる波形整形部の数を増やすと、管理部と、バス配線の管理部側とは反対側の端に配置された巻取装置との間で伝達される電気信号は、多くの波形整形部を介して伝達される。このため、波形整形部による電気信号の処理時間の増加に起因して、通信速度が大きく低下してしまう。例えば、電気信号が波形整形部を介すると、電気信号の通信速度が半減することがある。
【0005】
本発明の目的は、巻取装置の数の増加に起因する通信速度の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の糸巻取機は、糸を巻き取ってパッケージをそれぞれ形成可能に構成された複数の巻取装置と、前記複数の巻取装置のうち1以上の巻取装置にそれぞれ割り当てられ、各々が、割り当てられた前記1以上の巻取装置を制御する複数の制御部と、前記複数の制御部を管理する管理部と、前記複数の制御部と前記管理部とを通信接続する複数のバス配線と、を備え、前記複数の巻取装置は、所定の第1グループに属する第1グループ巻取装置と、前記第1グループとは別の第2グループに属する第2グループ巻取装置と、を有し、前記複数の制御部は、前記第1グループ巻取装置を制御する第1制御部と、前記第2グループ巻取装置を制御する第2制御部と、を有し、前記複数のバス配線は、前記第1制御部と前記管理部とを通信接続する第1バス配線と、前記第2制御部と前記管理部とを通信接続する第2バス配線と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明では、第1制御部が第1バス配線を介して管理部と接続され、第2制御部が第2バス配線を介して管理部と接続されている。このため、それぞれのバス配線に接続される機器の数を低減させること等により、電気信号の歪みを抑制できる。したがって、電気信号の波形を整形する必要が生じることを抑制できる。以上により、巻取装置の数の増加に起因する通信速度の低下を抑制できる。
【0008】
第2の発明の糸巻取機は、前記第1の発明において、前記第1バス配線及び前記第2バス配線のうち少なくとも一方のバス配線に設けられ、前記少なくとも一方のバス配線上の電気信号の波形を整形可能に構成された波形整形部、を備えることを特徴とする。
【0009】
糸巻取機に波形整形部が設けられる必要がある場合でも、本発明では、複数のバス配線が設けられているので、波形整形部の数を少なく抑えることができる。
【0010】
第3の発明の糸巻取機は、前記第2の発明において、前記管理部、前記第1グループ巻取装置及び前記第2グループ巻取装置は、所定の第1方向に並べて配置され、前記第2グループ巻取装置は、前記第1方向において、前記第1グループ巻取装置を隔てて前記管理部と反対側に配置され、前記波形整形部は、前記第1バス配線及び前記第2バス配線のうち前記第2バス配線にのみ設けられていることを特徴とする。
【0011】
一般的に、糸巻取機においては、管理部が第1方向における一方側の端部に配置され、複数の巻取装置が第1方向において管理部の他方側に配置される。このような構成において、巻取装置が増設される場合、増設された巻取装置(以下、新たな巻取装置)は、第2グループ巻取装置よりもさらに管理部から遠い位置に配置される。この場合、新たな巻取装置と管理部との間で電気信号が大きく歪むおそれがあるため、波形整形部によって電気信号を整形する必要が生じうる。
【0012】
ここで、波形整形部が第1バス配線に設けられている場合、第2グループ巻取装置を通り過ぎるように第1バス配線を延長させて新たな巻取装置に到達させる必要が生じるため、第1バス配線が無駄に長くなってしまう。本発明では、波形整形部が第2バス配線に設けられているため、第1バス配線を延長させる場合と比べて、バス配線の延長に必要な配線の長さを短くすることができる。したがって、バス配線の冗長化を抑制できる。
【0013】
第4の発明の糸巻取機は、前記第3の発明において、前記複数の巻取装置は、前記第1グループ及び前記第2グループとは別の第3グループに属する第3グループ巻取装置を有し、前記複数の制御部は、前記第3グループ巻取装置を制御する第3制御部を有し、前記第3グループ巻取装置は、前記第1方向において、前記第1グループ巻取装置及び前記第2グループ巻取装置を隔てて前記管理部と反対側に配置され、前記第3制御部は、前記第2バス配線によって、前記波形整形部を介して前記管理部と通信接続されていることを特徴とする。
【0014】
本発明では、配線の冗長化を回避しつつ、整形された電気信号によって管理部と第3制御部との間で通信を行うことができる。
【0015】
第5の発明の糸巻取機は、前記第4の発明において、前記波形整形部は、前記第1方向において、前記第2グループ巻取装置のうち前記管理部から最も遠い位置に配置された第1巻取装置と重なる位置、前記第3グループ巻取装置のうち前記管理部に最も近い位置に配置された第2巻取装置と重なる位置、又は前記第1巻取装置と前記第2巻取装置との間の位置に配置されていることを特徴とする。
【0016】
波形整形部が第1方向において第1巻取装置よりも管理部に近く又は第2巻取装置よりも管理部から遠い構成では、第2グループ巻取装置から第3グループ巻取装置に向かって延びる配線を屈曲等させる必要が生じうる。このため、第2バス配線が無駄に長くなってしまうおそれがある。この点、本発明では、第2グループ巻取装置から第3グループ巻取装置に向かって延びる配線を略直線状に配置できる。したがって、第2バス配線を極力短くできる。
【0017】
第6の発明の糸巻取機は、前記第1の発明において、前記第1制御部及び前記第2制御部は、電気信号の波形を整形する波形整形部を介さずに前記管理部と通信接続されていることを特徴とする。
【0018】
本発明では、波形整形部による電気信号の処理時間がかからないため、通信速度の低下を効果的に抑制できる。
【0019】
第7の発明の糸巻取機は、前記第1~第6のいずれかの発明において、前記複数の巻取装置がそれぞれ前記パッケージを形成することを補助可能に構成された補助ユニットと、前記補助ユニットを制御する補助制御部と、前記第1バス配線及び前記第2バス配線とは別に設けられ、前記補助制御部と前記管理部とを通信接続する第3バス配線と、を備え、前記管理部は、所定の配線基板上に形成された電子回路を有し、前記電子回路は、前記第1バス配線及び前記第2バス配線と、前記第3バス配線との間に介在するように配置され、電気信号に含まれた情報に応じて当該電気信号の送信先を選択可能に構成された選択部、を有することを特徴とする。
【0020】
本発明では、選択部を含む管理部が1つの配線基板上に形成されているため、省スペース化を図ることができる。
【0021】
第8の発明の糸巻取機は、前記第7の発明において、前記電子回路は、前記第1バス配線及び前記第2バス配線のうち少なくとも一方と、前記第3バス配線との間のトラフィック量を検出可能に構成された検出部、を有することを特徴とする。
【0022】
本発明では、検知されたトラフィック量に基づき、例えばトラフィック量の異常の有無の判断や、トラフィック量に基づいた通信の制御ができる。
【0023】
第9の発明の糸巻取機は、前記第1~第8のいずれかの発明において、前記複数の制御部の各々は、前記複数の巻取装置のうち割り当てられた前記1以上の巻取装置の各々の稼働に関する稼働情報を取得し、前記稼働情報のうち最も新しい第1稼働情報と、前記稼働情報のうち第1稼働情報よりも前に且つ最後に前記管理部に送信された第2稼働情報との差分である差分情報を抽出し、前記第1稼働情報の代わりに前記差分情報を前記管理部に送信することを特徴とする。
【0024】
本発明では、各制御部が、第1稼働情報よりも情報量の少ない差分情報を管理部に送信することにより、トラフィック量を少なくすることができる。したがって、巻取装置の数の増加に起因する通信速度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る自動ワインダの正面図である。
図2】自動ワインダの電気的構成を示すブロック図である。
図3】機台制御装置とユニット制御部とのデータ通信の手順を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態の変形例に係る自動ワインダの電気的構成を示すブロック図である。
図5】第2実施形態に係る空気精紡機の正面図である。
図6】空気精紡機の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
次に、本発明の第1実施形態について説明する。図1の紙面左右方向を左右方向(本発明の第1方向)とする。図1の紙面上下方向を重力が作用する上下方向(鉛直方向)とする。
【0027】
(自動ワインダの概略構成)
第1実施形態に係る自動ワインダ10(本発明の糸巻取機)の概略構成について、図1及び図2を参照しつつ説明する。図1は、自動ワインダ10の正面図である。図2は、自動ワインダ10の電気的構成を示すブロック図である。自動ワインダ10は、複数の巻取ユニット11(本発明の巻取装置)と、複数の補助ユニット12と、機台制御装置13(本発明の管理部)とを備える。自動ワインダ10は、各巻取ユニット11によってパッケージPを形成するように構成されている。各巻取ユニット11は、パッケージPの形成について、複数の補助ユニット12による補助を受ける。複数の巻取ユニット11は、機台制御装置13によって統括的に制御及び管理される。
【0028】
複数の巻取ユニット11は、各々が、給糸ボビン(不図示)から糸Yを解舒して巻取ボビン(不図示)に巻き取り、パッケージPを形成するように構成されている。図1に示すように、複数の巻取ユニット11は、左右方向に配列されている。第1実施形態において、複数の巻取ユニット11は、機台制御装置13の右側に配置されている。但し、これには限られない。複数の巻取ユニット11は、例えば、機台制御装置13の左側に配置されていても良い。複数の巻取ユニット11は、複数のユニット制御部21(図2参照。本発明の制御部)によってそれぞれ制御される。第1実施形態では、1つの巻取ユニット11に1つのユニット制御部21が割り当てられている。各ユニット制御部21は、一般的なCPUと、ROMと、RAMと、通信ポートとを有する(不図示)。ユニット制御部21は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、対応する巻取ユニット11を制御する。ユニット制御部21は、通信ポートを介して複数の補助ユニット制御部22(後述)及び機台制御装置13との間で電気信号を送受信可能に構成されている。
【0029】
各巻取ユニット11は、糸Yに含まれた欠陥を検出するように構成されたヤーンクリアラ(不図示)を有する。ヤーンクリアラは、ユニット制御部21と通信可能なクリアラ制御部(不図示)を有する。クリアラ制御部は、糸Yの欠陥に関する情報(糸欠陥情報)をユニット制御部21に送信可能である。各巻取ユニット11は、他にも種々の装置を備えているが、これらの装置の説明は省略する。
【0030】
複数の補助ユニット12は、複数の巻取ユニット11がそれぞれパッケージPを形成するための補助を実行可能に構成されている。複数の補助ユニット12は、例えば、玉揚装置14と、給糸ボビン供給装置15と、給糸ボビン準備装置16とを含む。言い換えると、玉揚装置14、給糸ボビン供給装置15及び給糸ボビン準備装置16の各々が補助ユニット12である。第1実施形態では、玉揚装置14、給糸ボビン供給装置15、及び給糸ボビン準備装置16の数はそれぞれ1つである。但し、補助ユニット12の数はこれに限られない。複数の補助ユニット12の各々は、補助ユニット制御部22(本発明の補助制御部)を有する。補助ユニット制御部22は、一般的なCPUと、ROMと、RAMと、通信ポートとを有する(不図示)。補助ユニット制御部22は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、対応する補助ユニット12を制御する。補助ユニット制御部22は、通信ポートを介して複数のユニット制御部21及び機台制御装置13との間で電気信号を送受信可能に構成されている。
【0031】
玉揚装置14は、満巻になったパッケージPを当該パッケージPが装着されている巻取ユニット11から取外し可能に構成されている。また、玉揚装置14は、新しい空の巻取ボビンを当該巻取ユニット11に装着可能に構成されている。さらに、玉揚装置14は、当該空の巻取ボビンへの糸掛けを実行可能に構成されている。以上のようなパッケージPの取り外し、空の巻取ボビンの装着及び糸掛けの一連の動作は、玉揚動作とも呼ばれる。玉揚装置14は、複数の巻取ユニット11の上方に配置されている。玉揚装置14は、左右方向に移動可能に構成されている。玉揚装置14は、複数の補助ユニット制御部22の1つである補助ユニット制御部23によって制御される。
【0032】
給糸ボビン供給装置15は、給糸ボビン準備装置16が準備した給糸ボビンを各巻取ユニット11に供給可能に構成されている。また、給糸ボビン供給装置15は、各巻取ユニット11による使用が終わった給糸ボビンを給糸ボビン準備装置16に戻すように構成されている。給糸ボビン供給装置15は、複数の補助ユニット制御部22の1つである補助ユニット制御部24によって制御される。
【0033】
給糸ボビン準備装置16は、巻取ユニット11による給糸ボビンの使用を可能にするための準備を行う装置である。給糸ボビン準備装置16は、例えば、給糸ボビンに巻かれた糸の終端部を巻取ユニット11が捕捉しやすくするための、口出し処理と呼ばれる処理を行う。給糸ボビン準備装置16は、口出し処理の他にも様々な処理を実行可能に構成されていても良いが、ここでは説明を省略する。給糸ボビン準備装置16は、複数の補助ユニット制御部22の1つである補助ユニット制御部25によって制御される。
【0034】
機台制御装置13は、複数の巻取ユニット11及び複数の補助ユニット12を統括的に制御及び管理するように構成されている。機台制御装置13は、例えば、プリント基板17(図2参照。本発明の配線基板)上に配置された電子回路18(図2参照)を有する。より具体的には、電子回路18は、例えば、一般的なCPUと、ROMと、RAMと、複数の通信ポートとを有する(不図示)。機台制御装置13は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、複数のユニット制御部21及び複数の補助ユニット制御部22を制御及び管理する。機台制御装置13は、通信ポートを介して複数のユニット制御部21及び複数の補助ユニット制御部22との間で電気信号を送受信可能に構成されている。機台制御装置13は、不図示のGUI(グラフィカルユーザインタフェース)を有していても良い。機台制御装置13は、作業者が自動ワインダ10の動作等に関する種々の設定を行うための入力部(不図示)を有していても良い。
【0035】
機台制御装置13は、例えば、各巻取ユニット11の稼働に関する情報(以下、稼働情報)を所定のタイミングで各ユニット制御部21から受け取る。より具体的には、稼働情報は、巻取ユニット11によって形成されているパッケージPに巻かれた糸Yの量の情報や、上述した糸欠陥情報を含む。機台制御装置13は、所定の設定時間(例えば20秒)が経過するたびに、稼働情報の送信を各ユニット制御部21に要求する。設定時間は、必要に応じて、例えば手動で変更されることが可能である。各ユニット制御部21は、機台制御装置13からの要求に応じて、稼働情報を取得して機台制御装置13へ送信する。
【0036】
(自動ワインダにおける通信回線)
次に、自動ワインダ10における通信回線について、図2を参照しつつ説明する。当該通信回線は、自動ワインダ10内の複数のユニット制御部21、複数の補助ユニット制御部22及び機台制御装置13の間で通信を行うための伝送路と、その周辺の機器とを含む。
【0037】
図2に示すように、自動ワインダ10は、複数のバス配線BLを備える。複数のバス配線BLの各々は、複数のユニット制御部21又は複数の補助ユニット制御部22と、機台制御装置13とを電気的に接続している配線である。各バス配線BLは、例えば不図示の分岐基板を介して分岐している。バス配線BLに設けられた複数のコネクタ(不図示)の各々は、複数のユニット制御部21、複数の補助ユニット制御部22及び機台制御装置13に含まれる複数の通信ポートのいずれかに接続されている。
【0038】
自動ワインダ10においては、互いに接続された機器間のデータ転送に使用される規格として、例えば公知のCAN(コントローラエリアネットワーク)が適用されている。CANは、シリアル通信プロトコルの一種である。CANにより、複数の巻取ユニット11のうち任意の1つと複数の補助ユニット12のうち任意の1つとが、相互に通信可能となっている。通信の一例として、ある巻取ユニット11においてパッケージPが満巻になるタイミングで、当該巻取ユニット11を制御するユニット制御部21が、上述した玉揚動作を玉揚装置14に要求するための電気信号を発信する。当該電気信号は、バス配線BLを通って玉揚装置14の補助ユニット制御部23に送られる。補助ユニット制御部23は、当該電気信号を受け取った後、玉揚装置14を制御して、当該巻取ユニット11の近傍への移動及び玉揚動作を行わせる。
【0039】
ここで、近年、1つの自動ワインダ10あたりに設けられる巻取ユニット11の数はますます増加している。巻取ユニット11の数の増加に起因する通信速度の低下を抑制するために、第1実施形態の自動ワインダ10は、より詳細には以下のように構成されている。
【0040】
図2に示すように、複数のバス配線BLは、第1バス配線BL1と、第2バス配線BL2と、第3バス配線BL3とを有する。第1バス配線BL1は、後述する複数の第1制御部21Aと、機台制御装置13とを通信接続する。第2バス配線BL2は、後述する複数の第2制御部21B、複数の第3制御部21C及び複数の第4制御部21Dと、機台制御装置13とを通信接続する。第3バス配線BL3は、複数の補助ユニット制御部22と、機台制御装置13とを通信接続する。
【0041】
複数の巻取ユニット11は、複数のグループに分けられている。説明の便宜上、巻取ユニット11の具体的な数を120とする。左右方向において機台制御装置13に最も近い位置に配列された36の巻取ユニット11(言い換えると、第1~第36の巻取ユニット11)を、第1グループ巻取ユニット11A(本発明の第1グループ巻取装置)と呼ぶ。複数の第1グループ巻取ユニット11Aは、複数のグループのうち第1グループGA(図1参照)に属する。複数の第1グループ巻取ユニット11Aは、複数のユニット制御部21のうち複数の第1制御部21A(図2参照)によってそれぞれ制御される。
【0042】
左右方向において第1グループ巻取ユニット11Aの次に機台制御装置13に近い位置に配列された36の巻取ユニット11(言い換えると、第37~第72の巻取ユニット11)を、第2グループ巻取ユニット11B(本発明の第2グループ巻取装置)と呼ぶ。複数の第2グループ巻取ユニット11Bは、複数のグループのうち第2グループGB(図1参照)に属する。第2グループ巻取ユニット11Bは、左右方向において、複数の第1グループ巻取ユニット11Aを隔てて機台制御装置13の反対側に配置されている。複数の第2グループ巻取ユニット11Bは、複数のユニット制御部21のうち複数の第2制御部21B(図2参照)によってそれぞれ制御される。
【0043】
左右方向において第2グループ巻取ユニット11Bの次に機台制御装置13に近い位置に配列された36の巻取ユニット11(言い換えると、第73~第108の巻取ユニット11)を、第3グループ巻取ユニット11C(本発明の第3グループ巻取装置)と呼ぶ。複数の第3グループ巻取ユニット11Cは、複数のグループのうち第3グループGC(図1参照)に属する。複数の第3グループ巻取ユニット11Cは、左右方向において、複数の第1グループ巻取ユニット11A及び複数の第2グループ巻取ユニット11Bを隔てて機台制御装置13の反対側に配置されている。複数の第3グループ巻取ユニット11Cは、複数のユニット制御部21のうち複数の第3制御部21C(図2参照)によってそれぞれ制御される。
【0044】
左右方向において機台制御装置13から最も遠い位置に配置された12の巻取ユニット11(言い換えると、第109~第120の巻取ユニット11)を、第4グループ巻取ユニット11Dと呼ぶ。複数の第4グループ巻取ユニット11Dは、複数のグループのうち第4グループGD(図1参照)に属する。複数の第4グループ巻取ユニット11Dは、左右方向において、複数の第1グループ巻取ユニット11A、複数の第2グループ巻取ユニット11B及び複数の第3グループ巻取ユニット11Cを隔てて機台制御装置13の反対側に配置されている。複数の第4グループ巻取ユニット11Dは、複数のユニット制御部21のうち複数の第4制御部21D(図2参照)によってそれぞれ制御される。
【0045】
図2に示すように、複数の第1制御部21Aは、第1バス配線BL1を介して機台制御装置13と通信接続されている。複数の第2制御部21B、複数の第3制御部21C及び複数の第4制御部21Dは、第2バス配線BL2を介して機台制御装置13と通信接続されている。また、複数の補助ユニット制御部22は、第3バス配線BL3を介して機台制御装置13と通信接続されている。
【0046】
図2に示すように、第2バス配線BL2の途中部には、例えば複数のリピータ26(本発明の波形整形部)が配置されている。リピータ26は、電気信号の歪み及び/又は減衰(以下、歪み等)に起因する通信の不具合を抑制するための公知の機器である。リピータ26は、第2バス配線BL2の配線抵抗等に起因する電気信号の歪み等を修正するように構成されている。リピータ26は、例えば、ある機器から別のある機器へ向けて送られている一まとまりの電気信号を受け取り、修正した後で発信するように構成されている。複数のリピータ26の1つであるリピータ27は、第2バス配線BL2のうち、複数の第2制御部21Bが接続された部分と、複数の第3制御部21Cが接続された部分と、の間に配置されている。言い換えると、複数の第3制御部21Cは、リピータ27を介して機台制御装置13と通信接続されている。より具体的な位置として、複数の第2グループ巻取ユニット11Bのうち左右方向において機台制御装置13から最も遠い位置に配置された第2グループ巻取ユニット11Bを、説明の便宜上第1巻取装置と呼ぶ。また、複数の第3グループ巻取ユニット11Cのうち左右方向において機台制御装置13に最も近い位置に配置された第3グループ巻取ユニット11Cを、説明の便宜上第2巻取装置と呼ぶ。リピータ27は、左右方向において第1巻取装置と第2巻取装置との間の位置に配置されている。或いは、リピータ27は、左右方向において第1巻取装置と重なる位置又は第2巻取装置と重なる位置に配置されていても良い。これにより、第2グループ巻取ユニット11Bから第3グループ巻取ユニット11Cに向かって延びる配線を略直線状に配置できる。また、複数のリピータ26の別の1つであるリピータ28は、第2バス配線BL2のうち、複数の第3制御部21Cが接続された部分と、複数の第4制御部21Dが接続された部分と、の間に配置されている。言い換えると、複数の第4制御部21Dは、リピータ27及び28を介して機台制御装置13と通信接続されている。一方、複数の第2制御部21Bは、リピータ26を介さずに機台制御装置13と通信接続されている。
【0047】
また、第1バス配線BL1上には、リピータ26は設けられていない。複数の第1制御部21Aは、リピータ26を介さずに機台制御装置13と通信接続されている。言い換えると、第1バス配線BL1及び第2バス配線BL2のうち、第2バス配線BL2にのみリピータ26が設けられている。
【0048】
次に、機台制御装置13が有する電子回路18のより詳細について説明する。図2に示すように、電子回路18は、ゲートウェイ回路18a(本発明の選択部)と、検出部18bとを有する。ゲートウェイ回路18aは、電子回路18の一部であり、プリント基板17上に形成されている。ゲートウェイ回路18aは、第1バス配線BL1及び第2バス配線BL2と、第3バス配線BL3との間に介在するように配置されている。ゲートウェイ回路18aは、受信した電気信号に含まれた情報に応じて電気信号の送信先を選択可能に構成されている。より具体的には以下のとおりである。ゲートウェイ回路18aは、複数のユニット制御部21から第1バス配線BL1又は第2バス配線BL2を介して機台制御装置13に送られてきた電気信号を、第3バス配線BL3を介して複数の補助ユニット制御部22側へ送るか否か選択可能に構成されている。また、ゲートウェイ回路18aは、複数の補助ユニット制御部22から機台制御装置13に送られてきた電気信号を、第1バス配線BL1側へ送るか、第2バス配線BL2側へ送るか、又はどちらへも送らないか選択可能に構成されている。このようなゲートウェイ回路18aにより、必要なバス配線BLにのみ電気信号を伝えることができる。
【0049】
検出部18bは、第1バス配線BL1と第3バス配線BL3との間のトラフィック量(すなわち、通信データ量)を検出可能に構成されている。また、検出部18bは、第2バス配線BL2と第3バス配線BL3との間のトラフィック量を検出可能に構成されている。機台制御装置13は、検出部18bによって検出されたトラフィック量に関する情報を監視しても良い。より具体的には、機台制御装置13は、例えば単位時間あたりのトラフィック量、並びに、その移動平均値及び/又はピーク値などのパラメータを監視しても良い。機台制御装置13は、例えば、監視しているパラメータが所定の第1閾値を超えたときに、所定のトラブルの前兆が起こっていると判断しても良い。所定のトラブルとは、例えば通信速度の低下或いは装置間のリアルタイムな通信の失敗(言い換えれば、通信の不調)などである。また、機台制御装置13は、例えば、監視しているパラメータが所定の第2閾値を下回ったとき(すなわち、トラフィック量が少ないとき)に、必要に応じて所定の処理を行っても良い。所定の処理とは、トラフィック量が通常の量であるときにおける実行が難しい処理(例えば、バックアップされる必要があるデータのバックアップ処理など)である。
【0050】
以上の構成を有する自動ワインダ10においては、第1制御部21Aが第1バス配線BL1を介して機台制御装置13と接続されている。また、第2制御部21B、第3制御部21C及び第4制御部21Dが第2バス配線BL2を介して機台制御装置13と接続されている。このため、それぞれのバス配線BLに接続される機器の数が低減されること等により、電気信号の歪み等が抑制される。これにより、電気信号の波形を整形する必要が生じることが抑制される。したがって、巻取装置の数の増加に起因する通信速度の低下が抑制される。
【0051】
(差分通信)
次に、通信速度の低下をさらに抑制する通信方法である差分通信について説明する。当該実施形態における差分通信とは、例えば以下のようなものである。上述したように、ユニット制御部21は、所定のタイミングで稼働情報を取得し、機台制御装置13に送信する。ユニット制御部21は、取得した稼働情報のうち最も新しい第1稼働情報と、既に機台制御装置13に送信された稼働情報のうち最後の稼働情報である第2稼働情報との差分である差分情報を抽出する(以下、差分計算)。つまり第1稼働情報は、第2稼働情報の次に取得された稼働情報である。そのため差分情報は、最も新しく取得した稼働情報(第1稼働情報)と直近に取得した稼働情報(第2稼働情報)との差分となる。ユニット制御部21は、第1稼働情報の代わりに差分情報を機台制御装置13に送信する。このような差分通信により、トラフィック量を低減できる。なお、機台制御装置13は、各補助ユニット制御部22とも差分通信を行っても良い。
【0052】
機台制御装置13と複数のユニット制御部21との差分通信の具体的な手順について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。以下、記載の簡単化のため、各巻取ユニット11を「錘」と呼ぶ。まず、機台制御装置13は、全ての錘に関する差分計算の実行を複数のユニット制御部21に要求する(S101)。より具体的には、機台制御装置13は、差分計算を要求する計算要求信号を全てのユニット制御部21に一斉に送信する(このような方式は、一般的にブロードキャストと呼ばれる)。各ユニット制御部21は、計算要求信号を受信したときに、対応する錘に関する差分計算を開始する。また、各ユニット制御部21は、計算要求信号を受信したことを示す応答信号を機台制御装置13に送信する。
【0053】
次に、機台制御装置13は、各ユニット制御部21において差分計算されて作成された差分データを取得するための通信を行う。機台制御装置13は、各ユニット制御部21に順番に問合せを行う(このような方式は、一般的にポーリングと呼ばれる)。より具体的には、機台制御装置13は、各バス配線BLを介して機台制御装置13と通信接続されている複数の錘のうち、N番目の錘の差分データを取得するための処理を行う。ここで、説明の便宜上、第1バス配線BL1を介して機台制御装置13と通信接続されている複数のユニット制御部21と、機台制御装置13との通信を第1通信と呼ぶ。第2バス配線BL2を介して機台制御装置13と通信接続されている複数のユニット制御部21と、機台制御装置13との通信を第2通信と呼ぶ。機台制御装置13は、第1通信及び第2通信を並行して(つまり、略同時に)実行できる。
【0054】
以下、代表して、第1通信及び第2通信のうち一方のみについて説明する。機台制御装置13は、例えば、まず、Nの値を1に設定する(S102)。機台制御装置13は、N番目の錘を制御するユニット制御部21に対して、差分データの送信の要求を示す差分要求信号を送信する(S103)。当該ユニット制御部21は、差分要求信号を受信した後、差分データを機台制御装置13に送信する。機台制御装置13は、N番目の錘に関する差分データを受信する(S104)。ここで、差分データの量は、第1稼働情報のうち第2稼働情報と異なる部分の量に応じて変わる。このため、ユニット制御部21は、例えば、差分データを機台制御装置13に送信する前に、差分データを送る回数(メッセージ数とも呼ばれる)を予め機台制御装置13に送信する。機台制御装置13は、例えば、当該メッセージ数に基づいて、N番目の錘に関する差分データを複数回に分けて受信する。
【0055】
次に、機台制御装置13は、N番目の錘を制御するユニット制御部21に対して、受信した差分データの正誤を判定するためのチェックデータの送信を要求する。判定方式の一例として、公知の誤り検査方式であるCRC(巡回冗長検査)が挙げられる。但し、判定方式はこれに限られない。当該ユニット制御部21は、チェックデータを機台制御装置13に送信する。機台制御装置13は、チェックデータを受信した後、N番目の錘に関する差分データの正誤をチェックする(S105)。
【0056】
機台制御装置13は、差分データに誤りがあると判断した場合(S106:Yes)、N番目の錘を制御するユニット制御部21に対して、第1稼働情報そのもの(以下、全データとも呼ぶ)の送信を要求する(S107)。機台制御装置13は、全データを受信し(S108)、N番目の錘に関する全データの正誤をチェックする(S109)。なお、第1稼働情報にも誤りがある場合、機台制御装置13は、さらなるデータ送信の要求を行わなくても良い。すなわち、機台制御装置13は、通信時間の増大を抑制するため、N番目の錘に関する第1稼働情報の取得を断念しても良い。この場合、例えば次の差分通信の機会において、機台制御装置13は、N番目の錘に関する全データの取得を試みることができる。
【0057】
機台制御装置13は、差分データに誤りがないと判断した場合(S106:No)、N番目の錘を制御するユニット制御部21に対して、第1稼働情報の送信の要求を行わない。
【0058】
機台制御装置13は、全ての錘に対して差分データ又は全データを要求するまで(S110:No)、Nの値をN+1に更新して(S111)、S103に戻る。すなわち、機台制御装置13は、次の錘に関する差分データを要求する(また、必要に応じて、次の錘に関する全データを要求する)。機台制御装置13は、全ての錘に対して差分データ又は全データを要求したとき(S110:Yes)、差分通信を終了させる。機台制御装置13は、当該差分通信を開始してから設定時間が経過した後、次の差分通信を開始する。なおS110において、全ての錘に対して差分データを要求したとき、差分通信を終了させても良い。
【0059】
上述したように、機台制御装置13は、第1通信及び第2通信を並行して実行できる。このため、従来の構成と比べて、機台制御装置13が全ての錘から稼働情報を受け取るまでに必要な時間を短縮できる。
【0060】
以上のように、第1制御部21Aが第1バス配線BL1を介して機台制御装置13と接続され、第2制御部21Bが第2バス配線BL2を介して機台制御装置13と接続されている。このため、1つのバス配線BLに接続される機器の数を低減させること等により、電気信号の歪み等を抑制できる。したがって、電気信号の波形を整形する必要が生じることを抑制できる。以上により、巻取ユニット11の数の増加に起因する通信速度の低下を抑制できる。
【0061】
また、複数のバス配線BL(第1バス配線BL1及び第2バス配線BL2)が設けられているので、リピータ26の数を少なく抑えることができる。
【0062】
また、機台制御装置13、第1グループ巻取ユニット11A及び第2グループ巻取ユニット11Bが、左右方向に並べて配置されている。第2グループ巻取ユニット11Bは、左右方向において、第1グループ巻取ユニット11Aを隔てて機台制御装置13と反対側に配置されている。リピータ26は、第1バス配線BL1及び第2バス配線BL2のうち第2バス配線BL2にのみ設けられている。これにより、新しい巻取ユニット11が増設される場合、第2バス配線BL2を延長させることにより、リピータ26を介して新しい巻取ユニット11に信号を伝えることができる。このため、第1バス配線BL1を延長させる場合と比べて、バス配線BLの延長に必要な配線の長さを短くすることができる。したがって、バス配線BLの冗長化を抑制できる。
【0063】
また、第3グループ巻取ユニット11Cは、左右方向において、第1グループ巻取ユニット11A及び第2グループ巻取ユニット11Bを隔てて機台制御装置13と反対側に配置されている。さらに、第3制御部21Cは、第2バス配線BL2によって、リピータ26(リピータ27)を介して機台制御装置13と通信接続されている。したがって、バス配線BLの冗長化を回避しつつ、整形された電気信号によって機台制御装置13と第3制御部21Cとの間で通信を行うことができる。
【0064】
また、リピータ27が左右方向において第1巻取装置よりも機台制御装置13に近く又は第2巻取装置よりも機台制御装置13から遠い構成では、第2グループ巻取ユニット11Bから第3グループ巻取ユニット11Cに向かって延びる配線を屈曲等させる必要が生じうる。このため、第2バス配線が無駄に長くなってしまうおそれがある。この点、第1実施形態では、第2グループ巻取ユニット11Bから第3グループ巻取ユニット11Cに向かって延びる配線を略直線状に配置できる。したがって、第2バス配線BL2を極力短くできる。
【0065】
また、ゲートウェイ回路18aを含む電子回路18が1つのプリント基板17上に形成されているため、省スペース化を図ることができる。
【0066】
また、機台制御装置13は、第1バス配線BL1と第3バス配線BL3との間のトラフィック量、及び第2バス配線BL2と第3バス配線BL3との間のトラフィック量を検出可能に構成された検出部18bを有する。これにより、検知されたトラフィック量に基づき、トラフィック量の異常の有無を判断できる。したがって、判断結果の報知等を行うことで、トラフィック量の異常への対処を促すことができる。
【0067】
また、複数のユニット制御部21の各々は、少なくとも第1稼働情報を機台制御装置13に送信する前に、第1稼働情報の代わりに差分情報を機台制御装置13に送信する。各ユニット制御部21が、第1稼働情報よりも情報量の少ない差分情報を機台制御装置13に送信することにより、トラフィック量を少なくすることができる。したがって、巻取ユニット11の数の増加に起因する通信速度の低下を抑制できる。
【0068】
次に、前記第1実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0069】
(1)差分通信において、機台制御装置13は以下のような処理を行っても良い。機台制御装置13は、例えば、N番目の錘に関する差分データに誤りがないと判断したとき(S106:No)、当該錘に対応するユニット制御部21に対して、当該錘に関する差分通信が完了したことを示す信号(フラグ)を送信しても良い。また、機台制御装置13は、当該錘に関する差分データに誤りがあると判断したとき(S106:Yes)、当該ユニット制御部21に対して、当該錘に関する全データの送信の要求(S107)を行わなくても良い。この場合、次の差分通信の機会において、上記フラグを受信しなかった当該ユニット制御部21は、機台制御装置13から差分要求信号を受信したときに、差分データの代わりに全データを機台制御装置13に送信しても良い。このようにすることで、機台制御装置13が全ての錘に関する差分計算の実行を複数のユニット制御部21にブロードキャスト方式で要求したとしても(S101)、差分計算を行うか機台制御装置13に全データを送信するか、各ユニット制御部21側で判断できる。つまり、機台制御装置13の処理の負担を軽減することができる。或いは、当該次の差分通信の機会において、機台制御装置13は、上記フラグを送信したユニット制御部21にのみ差分データの送信を要求し、上記フラグを送信しなかったユニット制御部21に対しては全データの送信を要求しても良い。
【0070】
(2)第1実施形態において、機台制御装置13と各ユニット制御部21との間での差分通信の際、機台制御装置13は、計算要求信号を全てのユニット制御部21に一斉に送信するものとした。しかしながら、これには限られない。機台制御装置13は、計算要求信号を各ユニット制御部21に順次送信しても良い。また、第1実施形態において、差分通信の際、機台制御装置13は、N番目の錘に関する差分データに誤りがあると判断した場合、対応するユニット制御部21に対して、N番目の錘に関する全データの送信を即座に要求するものとした。しかしながら、これには限られない。機台制御装置13は、N番目の錘に関する差分データに誤りがあると判断した場合、該N番目の錘を記憶しておき、次の差分通信の機会において、N番目の錘に関する全データの送信を、対応するユニット制御部21に対して要求しても良い。また、第1実施形態において、機台制御装置13と各ユニット制御部21との間で差分通信が行われるものとした。しかしながら、これには限られない。すなわち、各ユニット制御部21は、差分計算を行わずに取得した稼働情報そのものを機台制御装置13に送信しても良い。
【0071】
(3)第1実施形態において、機台制御装置13は、検出部18bによって検出されたトラフィック量に関する情報を監視しても良いものとした。さらに、機台制御装置13は、後述する平準化処理を行っても良い。機台制御装置13は、上述した種々の通信の他に、例えばGUI(不図示)の画面遷移の処理(以下、遷移処理)を行う。また、機台制御装置13は、例えば入力部(不図示)への入力に基づき、自動ワインダ10の動作等に関する設定の変更の処理(設定変更処理)等を行う。トラフィック量が多過ぎると、遷移処理又は設定変更処理がスムーズに行われないおそれがある。或いは、遷移処理又は設定変更処理が実行される前に、使用中のアプリケーションが強制終了されてしまうおそれもある。このような問題の発生を抑制するために、機台制御装置13は平準化処理を行っても良い。平準化処理は、例えば単位時間あたりのトラフィック量(又はその平均値もしくはピーク値)が所定の閾値を超えないように通信のペースを調節する処理であっても良い。或いは、平準化処理は、遷移処理及び設定変更処理の優先順位を種々の通信の優先順位よりも高くする処理であっても良い。また、第1実施形態において、機台制御装置13が検出部18bを有するものとしたが、これには限られない。機台制御装置13は、検出部18bを有していなくても良い。
【0072】
(4)第1実施形態において、プリント基板17上に配置された電子回路18にゲートウェイ回路18aが含まれるものとした。しかしながら、これには限られない。プリント基板17とは別の基板上にゲートウェイ回路(不図示)が設けられていても良い。或いは、機台制御装置13は、ゲートウェイ回路18aを有していなくても良い。
【0073】
(5)リピータ27の配置される位置は、上述したものに限られない。リピータ27は、左右方向において、例えば、上述した第1巻取装置よりも機台制御装置13に近い位置、又は第2巻取装置よりも機台制御装置13から遠い位置に配置されていても良い。
【0074】
(6)第1実施形態において、リピータ26は、第1バス配線BL1及び第2バス配線BL2のうち第2バス配線BL2にのみ設けられているものとした。しかしながら、これには限られない。リピータ26は、第1バス配線BL1及び第2バス配線BL2の両方に設けられていても良い。この場合、例えば第2制御部21B及び第3制御部21Cがリピータ27を介して第2バス配線BL2によって機台制御装置13と通信接続されていても良い(図4参照)。また、第4制御部21Dがリピータ28を介して第1バス配線BL1によって機台制御装置13と通信接続されていても良い(図4参照)。或いは、例えば、第4制御部21Dに加え、又は、第4制御部21Dの代わりに、第3制御部21Cが、リピータ28を介して第1バス配線BL1によって機台制御装置13と通信接続されていても良い(図示省略)。或いは、例えば、第1制御部21A及び第2制御部21Bが第1バス配線BL1によって機台制御装置13と通信接続され、第3制御部21C及び第4制御部21Dが第2バス配線BL2機台制御装置13と通信接続されていても良い(図示省略)。
【0075】
或いは、リピータ26は、第1バス配線BL1及び第2バス配線BL2のうち第1バス配線BL1にのみ設けられていても良い。この場合、一例として、第1制御部21A、第3制御部21C及び第4制御部21Dが、第1バス配線BL1によって機台制御装置13と通信接続されていても良い(図示省略)。或いは、例えば、第1制御部21A、第2制御部21B及び第3制御部21Cが第1バス配線BL1によって機台制御装置13と通信接続されていても良い(図示省略)。
【0076】
(7)第1実施形態において、巻取ユニット11の数及びユニット制御部21の数が具体的に120であるものとした。しかしながら、巻取ユニット11の数及びユニット制御部21の数は、これには限られない。
【0077】
一例として、巻取ユニット11の数及びユニット制御部21の数が72であっても良い。言い換えると、複数の巻取ユニット11は、複数の第1グループ巻取ユニット11A及び複数の第2グループ巻取ユニット11Bのみを含んでいても良い。この場合、複数の第1制御部21Aは、リピータ26を介さずに第1バス配線BL1のみによって機台制御装置13と通信接続されている。また、複数の第2制御部21Bは、リピータ26を介さずに第2バス配線BL2のみによって機台制御装置13と通信接続されている。これにより、波形整形部による電気信号の処理時間がかからないため、通信速度の低下を効果的に抑制できる。
【0078】
(8)第1実施形態において、複数の巻取ユニット11は、左右方向に並べて配置されているものとした。しかしながら、複数の巻取ユニット11の配置は、これに限られない。例えば、左右方向において機台制御装置13を真ん中に配置し、第1グループ巻取ユニット11Aを機台制御装置13の右側に配置し、第2グループ巻取ユニット11Bを機台制御装置13の左側に配置してもよい。
【0079】
(9)第1実施形態において、自動ワインダ10はリピータ26を備えているものとした。しかしながら、これには限られない。リピータ26の代わりに、例えば不図示のブリッジが設けられていても良い。ブリッジは、電気信号に含まれたMACアドレス(機台制御装置13と通信接続された機器の識別子)の情報に基づいて、当該MACアドレスと関連付けられた機器側へ電気信号を送るように構成されている。ブリッジも、リピータ26と同様に、電気信号の波形を整形する機能を有する。この場合、ブリッジが本発明の波形整形部に相当する。
【0080】
(10)第1実施形態において、機器間のデータ転送に使用される規格としてCANが適用されているものとした。しかしながら、これには限られない。例えばRS485などの、CAN以外の規格が適用されても良い。
【0081】
(11)第1実施形態において、各ユニット制御部21は、1つの巻取ユニット11に割り当てられているものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、複数のユニット制御部21のうち少なくとも1つが、2以上の巻取ユニット11に割り当てられていても良い。各ユニット制御部21が制御する巻取ユニット11の数は、複数のユニット制御部21間で同じでも良く、複数のユニット制御部21間で異なっていても良い。
【0082】
(12)第1実施形態において、機台制御装置13と複数のユニット制御部21とを通信接続するバス配線BLの数が2つであるものとした。しかしながら、これには限られない。すなわち、第1バス配線BL1及び第2バス配線BL2の他にも、機台制御装置13と複数のユニット制御部21とを通信接続するバス配線BLが設けられていても良い。
【0083】
(13)第1実施形態において、第1バス配線BL1及び第2バス配線BL2の各々を介して、機台制御装置13と複数のユニット制御部21とが通信接続されるものとした。しかしながら、これには限られない。各バス配線BLを介して機台制御装置13と通信接続されるユニット制御部21の数は、1つでも良い。
【0084】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5の紙面左右方向を左右方向(本発明の第1方向)とする。図5の紙面上下方向を重力が作用する上下方向(鉛直方向)とする。
【0085】
(空気精紡機の概略構成)
第2実施形態に係る空気精紡機30(本発明の糸巻取機)の概略構成について、図5及び図6を参照しつつ説明する。図5は、空気精紡機30の正面図である。図6は、空気精紡機30の電気的構成を示すブロック図である。空気精紡機30は、複数の紡績ユニット31(本発明の巻取装置)と、複数の補助ユニット32と、機台制御装置33(本発明の管理部)とを備える。なお、複数の補助ユニット32の一部(後述の糸継台車34)を見やすくするため、複数の紡績ユニット31のうち糸継台車34の近傍に位置する一部の紡績ユニット31の図示を省略している。
【0086】
複数の紡績ユニット31は、各々が、糸Yを生成して巻取ボビン(不図示)に巻き取り、パッケージPを形成するように構成されている。図5に示すように、複数の紡績ユニット31は、左右方向に配列されている。複数の紡績ユニット31は、複数のユニット制御部41(図2参照。本発明の制御部)によってそれぞれ制御される。第2実施形態では、4つの紡績ユニット31に対応して1つのユニット制御部41が設けられている(図6参照)。各ユニット制御部41は、一般的なCPUと、ROMと、RAMと、通信ポートとを有する(不図示)。ユニット制御部41は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、対応する複数の紡績ユニット31を制御する。ユニット制御部41は、通信ポートを介して複数の補助ユニット制御部42(後述)及び機台制御装置33との間で電気信号を送受信可能に構成されている。
【0087】
複数の補助ユニット32は、複数の紡績ユニット31がそれぞれパッケージPを形成するための補助を実行可能に構成されている。複数の補助ユニット32は、例えば、糸継台車34と、玉揚装置35とを含む。複数の補助ユニット32の各々は、補助ユニット制御部42(本発明の補助制御部)を有する。補助ユニット制御部42は、一般的なCPUと、ROMと、RAMと、通信ポートとを有する(不図示)。補助ユニット制御部42は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、対応する補助ユニット32を制御する。補助ユニット制御部42は、通信ポートを介して複数のユニット制御部41及び機台制御装置33との間で電気信号を送受信可能に構成されている。
【0088】
糸継台車34は、何らかの理由で分断された糸Yを継ぐことが可能に構成されている。糸継台車34は、複数の紡績ユニット31に共通して設けられている。糸継台車34は、左右方向に沿って走行可能に構成されている。糸継台車34は、いずれかの紡績ユニット31において走行中の糸Yが分断された場合、当該紡績ユニット31の前まで走行し、当該紡績ユニット31において糸Yを継ぐ糸継動作を行う。糸継台車34は、複数の補助ユニット制御部42の1つである補助ユニット制御部43によって制御される。糸継台車34は複数であってもよい。複数の糸継台車34が設けられている場合、1つの補助ユニット制御部43によって複数の糸継台車34が制御されても良い。或いは、補助ユニット制御部43が複数設けられ、1つの補助ユニット制御部43で1つの糸継台車34が制御されても良い。
【0089】
玉揚装置35は、第1実施形態における玉揚装置14と同様の機能を有する。玉揚装置35は、複数の補助ユニット制御部42の1つである補助ユニット制御部44によって制御される。
【0090】
機台制御装置33は、複数の紡績ユニット31及び複数の補助ユニット32を統括的に制御及び管理するように構成されている。機台制御装置13は、例えば、プリント基板37(図6参照。本発明の配線基板)上に配置された電子回路38(図6参照)を有する。より具体的には、電子回路38は、例えば、一般的なCPUと、ROMと、RAMと、複数の通信ポートとを有する(不図示)。機台制御装置33は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、複数のユニット制御部41及び複数の補助ユニット制御部42を制御及び管理する。機台制御装置33は、通信ポートを介して複数のユニット制御部41及び複数の補助ユニット制御部42との間で電気信号を送受信可能に構成されている。
【0091】
図5に示すように、複数の紡績ユニット31は、複数のグループに分けられている。複数の第1グループ紡績ユニット31A(本発明の第1グループ巻取装置)は、第1グループGA2に属する。複数の第1グループ紡績ユニット31Aの各々は、複数のユニット制御部41のうちいずれかの第1制御部41A(図6参照)によって制御される。複数の第2グループ紡績ユニット31B(本発明の第2グループ巻取装置)は、第2グループGB2に属する。複数の第2グループ紡績ユニット31Bの各々は、複数のユニット制御部41のうちいずれかの第2制御部41B(図6参照)によって制御される。複数の第3グループ紡績ユニット31C(本発明の第3グループ巻取装置)は、第3グループGC2に属する。複数の第3グループ紡績ユニット31Cの各々は、複数のユニット制御部41のうちいずれかの第3制御部41C(図6参照)によって制御される。複数の第4グループ紡績ユニット31Dは、第4グループGD2に属する。複数の第4グループ紡績ユニット31Dの各々は、複数のユニット制御部41のうちいずれかの第4制御部41D(図6参照)によって制御される。左右方向において、機台制御装置33に近い側から順に、第1グループ紡績ユニット31A、第2グループ紡績ユニット31B、第3グループ紡績ユニット31C及び第4グループ紡績ユニット31Dが並べて配置されている。
【0092】
図6に示すように、空気精紡機30は、複数のバス配線BL(上述した第1バス配線BL1、第2バス配線BL2及び第3バス配線BL3)を備える。第1バス配線BL1は、複数の第1制御部41Aと、機台制御装置33とを通信接続する。第2バス配線BL2は、複数の第2制御部41B、複数の第3制御部41C及び複数の第4制御部41Dと、機台制御装置33とを通信接続する。第3バス配線BL3は、複数の補助ユニット制御部42と、機台制御装置33とを通信接続する。第2バス配線BL2の途中部には、上述したリピータ26(リピータ27及び28)が配置されていても良い。リピータ26の代わりにブリッジ(不図示)が設けられていても良い。第1バス配線BL1上には、リピータ26は設けられていなくても良い。
【0093】
通信の規格として、上述したCANが適用されていても良い。或いは、他の規格が適用されていても良い。
【0094】
機台制御装置33は、第1実施形態のゲートウェイ回路18aと同じ構成のゲートウェイ回路38aを有していても良い。機台制御装置33は、第1実施形態の検出部18bと同じ構成の検出部38bとを有していても良い。
【0095】
機台制御装置33は、第1実施形態の機台制御装置13と同様、所定の設定時間が経過するたびに、稼働情報の送信を各ユニット制御部41に要求しても良い。稼働情報の送受信の方式として、上述した差分通信が行われても良い。
【0096】
第2実施形態の変形例として、複数の紡績ユニット31の配置等は、上述したものに限られない。複数の紡績ユニット31の数は、特に限定されない。各ユニット制御部41が制御する紡績ユニット31の数は、上述したものに限られない。機台制御装置33と複数のユニット制御部41とを通信接続するバス配線BLの数は、2つ以上でも良い。各バス配線BLを介して機台制御装置33と通信接続されるユニット制御部41の数は、1つでも良い。つまり、例えば、第1バス配線BL1が、1つの第1制御部41Aと、機台制御装置33とを通信接続していても良い。第2バス配線BL2が、上述したリピータ26(リピータ27及び28)を介して、1つの第2制御部41B、1つの第3制御部41C及び1つの第4制御部41Dと、機台制御装置33とを通信接続していても良い。
【符号の説明】
【0097】
10 自動ワインダ(糸巻取機)
11 巻取ユニット(巻取装置)
11A 第1グループ巻取ユニット(第1グループ巻取装置)
11B 第2グループ巻取ユニット(第2グループ巻取装置)
11C 第3グループ巻取ユニット(第3グループ巻取装置)
12 補助ユニット
13 機台制御装置
17 プリント基板(配線基板)
18 電子回路
18a ゲートウェイ回路(選択部)
18b 検出部
21 ユニット制御部(制御部)
21A 第1制御部
21B 第2制御部
21C 第3制御部
22 補助ユニット制御部(補助制御部)
26 リピータ(波形整形部)
30 空気精紡機(糸巻取機)
31 紡績ユニット(巻取装置)
31A 第1グループ紡績ユニット(第1グループ巻取装置)
31B 第2グループ紡績ユニット(第2グループ巻取装置)
31C 第3グループ紡績ユニット(第3グループ巻取装置)
32 補助ユニット
33 機台制御装置
37 プリント基板(配線基板)
38a ゲートウェイ回路(選択部)
38b 検出部
41 ユニット制御部(制御部)
41A 第1制御部
41B 第2制御部
41C 第3制御部
42 補助ユニット制御部(補助制御部)
GA 第1グループ
GA2 第1グループ
GB 第2グループ
GB2 第2グループ
GC 第3グループ
GC2 第3グループ
BL バス配線
BL1 第1バス配線
BL2 第2バス配線
BL3 第3バス配線
P パッケージ
Y 糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6