特開 2024-7782 複合容器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024007782

(43)【公開日】2024-01-19

(54)【発明の名称】複合容器

(51)【国際特許分類】

   B65D 3/22 20060101AFI20240112BHJP

   B65D 81/38 20060101ALI20240112BHJP

【ＦＩ】

B65D3/22 C

B65D81/38 E

B65D81/38 L

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022109103

(22)【出願日】2022-07-06

(71)【出願人】

【識別番号】000003193

【氏名又は名称】ＴＯＰＰＡＮホールディングス株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100105854

【弁理士】

【氏名又は名称】廣瀬 一

(74)【代理人】

【識別番号】100116012

【弁理士】

【氏名又は名称】宮坂 徹

(72)【発明者】

【氏名】伊従 晃章

(72)【発明者】

【氏名】和田 晴希

【テーマコード（参考）】

3E067

【Ｆターム（参考）】

3E067BA07B

3E067BA07C

3E067BB01C

3E067BB14B

3E067BC03B

3E067BC03C

3E067CA04

3E067CA06

3E067DA08

3E067EC08

3E067EC11

3E067EE38

3E067FA04

3E067FC01

3E067GA12

3E067GD10

(57)【要約】

【課題】一体化されている紙製の外包装体とプラスチック製の内包装体を容易且つ確実に分離することが可能な複合容器を提供する。
【解決手段】外包装体１の周壁１ａの内面よりも容器の内側に向けて突出する凸条部３が周壁１ａの周回方向に沿って形成されると共に、内包装体２の周壁２ａの外面よりも窪んだ凹条部４が周壁２ａの周回方向に沿って形成され、外包装体１の内部に内包装体２が収容された状態で、凸条部３が凹条部４内に嵌入されて外包装体１と内包装体２が係合される。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

上方に開口した紙製の外包装体と、上方に開口したプラスチック製の内包装体とを備えた複合容器であって、
前記外包装体の周壁の内面よりも当該複合容器の内側に向けて突出する凸条部がその周壁の周回方向に沿って形成されると共に、前記内包装体の周壁の外面よりも窪んだ凹条部がその周壁の周回方向に沿って形成され、前記凸条部が前記凹条部内に嵌入して前記外包装体と前記内包装体とが係合された、複合容器。

【請求項2】

前記外包装体の開口縁にリム部が周回方向に沿って形成されると共に、前記内包装体の開口縁にフランジ部が周回方向に沿って形成され、
前記凸条部が前記凹条部内に嵌入された状態で前記フランジ部と前記リム部とが当接される、請求項１に記載の複合容器。

【請求項3】

上方に開口した紙製の外包装体と、上方に開口したプラスチック製の内包装体とを備え、前記外包装体の周壁と前記内包装体の周壁とが周回方向に沿って互いに係合されている複合容器において、
前記内包装体の周壁との係合部を挟んだ前記外包装体の周壁の上部及び下部のそれぞれに、前記外包装体の周壁を周回方向に沿って切り取り可能な切り取り予定線が設けられた、複合容器。

【請求項4】

前記切り取り予定線が、周回方向に沿って前記外包装体の周壁に形成された半切れ部で構成される、請求項３に記載の複合容器。

【請求項5】

前記外包装体が、逆円錐台形形状、又は逆角錐台形形状の紙カップである、請求項１乃至４の何れか１項に記載の複合容器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、複合容器、特に上方に開口する紙製の外包装体と、上方に開口するプラスチック製の内包装体とからなる複合容器に関する。

【背景技術】

【0002】

このような複合容器としては、例えば、下記特許文献１に記載されるものがある。この複合容器では、プラスチック製の内包装体の周壁の上部にその周壁の外面よりも外側に突出する凸条部が周回方向に沿って形成されると共に、紙製の外包装体の周壁の上部にその周壁の内面よりも窪んだ凹条部が周回方向に沿って形成されている。そして、凸条部が凹条部に嵌入することによって内包装体と外包装体が係合されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００４－３１５０６５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

このようにプラスチック製の内包装体と紙製の外包装体を係合（結合）させて一体の複合容器とするものとしては、例えば、図７に示すものがある。この複合容器は、外包装体１の周壁１ａの開口縁に形成されたリム部（カール部ともいう）１１１の外側に、内包装体２の開口縁である周壁２ａの上端部がリム部１１１に巻き付けられるように覆い被せられ、これにより外包装体１と内包装体２が結合されている。

【0005】

しかしながら、この複合容器では、内包装体２の周壁２ａの上端部が外包装体１のリム部１１１に巻き付けられるように覆い被せられているので、例えば複合容器を廃棄する際、外包装体１と内外包装体２を容易に分離することができない。また、内包装体２の巻き付け部分と外包装体１のリム部１１１が接着剤で結合されている場合、外包装体１と内包装体２の分離の際、外包装体１を構成する紙の一部が内包装体２を構成するプラスチックにくっついたままやぶれてしまうおそれがあり、そのようになるとプラスチックのリサイクルに支障をきたす。

【0006】

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、一体化されている紙製の外包装体とプラスチック製の内包装体を容易且つ確実に分離することが可能な複合容器を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0007】

上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る複合容器は、上方に開口した紙製の外包装体と、上方に開口したプラスチック製の内包装体とを備えた複合容器であって、前記外包装体の周壁の内面よりも当該複合容器の内側に向けて突出する凸条部がその周壁の周回方向に沿って形成されると共に、前記内包装体の周壁の外面よりも窪んだ凹条部がその周壁の周回方向に沿って形成され、前記凸条部が前記凹条部内に嵌入して前記外包装体と前記内包装体とが係合されたことを要旨とする。

【0008】

また、本発明の他の一態様に係る複合容器は、上方に開口した紙製の外包装体と、上方に開口したプラスチック製の内包装体とを備え、前記外包装体の周壁と前記内包装体の周壁とが周回方向に沿って互いに係合されている複合容器において、前記内包装体の周壁との係合部を挟んだ前記外包装体の周壁の上部及び下部のそれぞれに、前記外包装体の周壁を周回方向に沿って切り取り可能な切り取り予定線が設けられたことを要旨とする。

【発明の効果】

【0009】

本発明の複合容器によれば、一体化されている紙製の外包装体とプラスチック製の内包装体を容易且つ確実に分離することができる。また、図７に示す複合容器では、プラスチック製の内包装体の周壁上端部を紙製の外包装体のリム部に巻き付けるための専用加工機が必要であり、設備費用の増大に伴って製品原価が大きくなるのに対し、本発明の複合容器では、そのような専用加工機を必要としない分、製品原価を低廉化することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】本発明の複合容器の第１実施形態を示す一部断面正面図である。

【図2】図１の外包装体の凸条部とその近傍の詳細を示す断面図である。

【図3】図１の内包装体の凹条部とその近傍の詳細を示す断面図である。

【図4】本発明の複合容器の第２実施形態を示す正面図である。

【図5】図４の外包装体の凸条部とその近傍の詳細を示す断面図である。

【図6】図４の外包装体のつまみ部とその近傍の詳細を示す正面図である。

【図7】従来の複合容器の一例を示す一部断面正面図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下に、本発明の複合容器の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。

【0012】

図１は、複合容器の第１実施形態を示す一部断面正面図である。この複合容器は、紙製の外包装体１と、プラスチック製の内包装体２を備えて構成される。紙製の外包装体１は、上方に開口し且つ断面が円形の有底の紙製カップ部材であり、周壁（胴部）１ａは、底部（底板）１１から開口端側、すなわち上側に向けて外側広がりのテーパ状、つまり逆円錐台の錐体面形状とされている。これは、製造された外包装体１の在庫時や搬送時に外包装体１同士を互いに積み重ねておけるようにするためであり、また、後述のように、外包装体１内に内包装体２を入れたり、使用後に取り出したりする際、入れやすく、また取り出しやすくするためでもある。この外包装体１の周壁１ａが容器の中心線、すなわち図の鉛直線となす角度θ１は例えば３°～９°に設定されている。なお、外包装体１の断面形状は、円形の他、例えば、角部がＲ面取りされた方形などであってもよい。この場合も、外包装体１の周壁１ａは、上方開口端に向けて外側広がりのテーパ状、すなわち逆角錐台の錐体面形状とする。

【0013】

この実施形態では、外包装体１の周壁１ａの下端部に高台状の脚部１２を設けて底部１１が机の上面などに直接当接しないようにしている。この実施形態の脚部１２は、周壁１ａの下端部を内側上方に折り返して構成されており、その上端部に底部（底板部）１１が連設されている。周壁１ａは、例えば扇形の紙部材（ブランク）を丸めて端部同士を接合することで逆円錐台形状のカップ部（周壁１ａ）を形成し、その下端部を内側上方に折り返して脚部１２が形成されている。そして、底板部を構成する円形の紙部材の外周部を下方に折り返し、この折り返し部分を脚部１２の折り返し部分と外壁部（周壁１ａの下端部）で挟んで底部１１が固定されている。また、この実施形態の外包装体１の周壁１ａにおける上方開口端の周縁部は、カップ部材の開口端部の強度を確保するために紙部材が外側に丸く折り込まれて（カールされて）リム部１３が形成されている。紙部材を丸く折り込むことに代えて、リング状の別部材を開口端周縁部に接合することも可能である。

【0014】

この実施形態では、例えば図２に明示するように、外包装体１の周壁１ａの上部において、周壁１ａを容器の内側に窪ませて凸条部３が形成されている。この凸条部３は、紙製の周壁１ａを容器の内側に向けて突出するように断面円弧状の曲面に湾曲させて形成され、これが、図１に示すように、同一高さで周壁１ａの周回方向に沿って連続して形成されてなる凸条（外包装体１の外側から見れば凹条の）構造である。この凸条部３は、例えば、紙製の外包装体１の周壁１ａを内側と外側から雌型と雄型で加圧成形して形成され、必要に応じて加熱を伴う。この凸条部３の形成位置や寸法などについては後段に詳述する。なお、扇形の紙部材が丸められて互いに接合されている端部のうち容器外側の端部には、この凸条部３の位置で扇形の端面１５よりも少し突出するつまみ部８が形成されている。例えば、容器の使用後に、紙製の外包装体１とプラスチック製の内包装体２を分離する際には、このつまみ部８を手指でつまんで引っ張ることで、凸条部３が形成されている周壁１ａを周回方向に沿って切り取ることができるように構成されている。具体的には、例えば凸条部３を挟んだ、つまみ部８の上端及び下端のそれぞれの位置で周壁１ａの周回方向に沿って設けられている半切れ部７（切り取り予定線５）で周壁１ａを切断して凸条部３を切り取る（除去する）ことができるのであるが、この切り取り構造の詳細については、第２実施形態で説明する（図２では半切れ部７を省略している）。

【0015】

プラスチック製の内包装体２は、上方が開口し且つ断面が円形の有底のカップ部材であり、外包装体１と同じく、周壁２ａは、底部２ｂから開口端側、すなわち上側に向けて外側広がりのテーパ状、つまり逆円錐台の錐体面形状とされている。この内包装体２は、外包装体１の内部にすっぽりと収まる大きさとされている。この内包装体２は、例えば、ポリエチレンテレフタレート製のフィルム部材をプレス成型することによって周壁２ａや底部２ｂなどが一体に形成されている。この内包装体２の上方開口端の周縁部には、容器の外側に向けて広がるフランジ部１４が周壁２ａと一連に形成されている。

【0016】

この内包装体２の周壁２ａが容器の中心線、すなわち図の鉛直線となす角度θ２は、外包装体１の周壁１ａが容器中心線となす角度θ１より０．５°～３°大きく設定されている。また、内包装体２の上方開口端の外径Ｅは外包装体１の上方開口端の内径Ｉと同等かごく僅かに小さく設定されている。また、内包装体２のフランジ部１４の下面から底部２ｂの下面までの高さ方向寸法は、外包装体１のリム部１３の上面から底部１１上面までの高さ方向寸法より小さく設定されている。これらにより、外包装体１の内部に内包装体２を収容し、図１に示すように、内包装体２のフランジ部１４の下面が外包装体１のリム部１３の上面に当接するようにして内包装体２の上方開口端が外包装体１の上方開口端まで嵌入されると、外包装体１の内側面と内包装体２の外側面の間には略全域にわたって空間部（空気層）９が形成される。空間部９は、空気の層であることから、内包装体２の内容物に対して断熱性を付与することができる。また、例えば、プラスチック製の内包装体２に高温の内容物を充填し、図示しない蓋部材で容器を密閉した場合に、内容物の冷却に伴う減圧によって内包装体２が変形したとしても、紙製の外包装体１は変形することがない。すなわち、そうした場合に外観を損ねることもない。

【0017】

この実施形態では、例えば図３に明示するように、内包装体２の周壁２ａの上部において、周壁２ａを窪ませて凹条部４が形成されている。この凹条部４は、プラスチック製の周壁２ａを容器の内側に向けて突出するように断面円弧状の曲面に湾曲させて形成され、これが、外包装体１の凸条部３と同様に、同一高さで周壁２ａの周回方向に沿って連続して形成されてなる凹条（内包装体２の内側から見れば凸条の）構造である。この凹条部４は、例えば、プラスチック製の内包装体２のプレス成型時に成形される。この凹条部４の形成位置や寸法などについては以下に説明する。

【0018】

以下は、この実施形態の複合容器の実施例であり、図２は、図１の外包装体１の凸条部３とその近傍の詳細を示す断面図、図３は、図１の内包装体２の凹条部４とその近傍の詳細を示す断面図である。前述した内包装体２の底部２ｂの下面と外包装体１の底部１１の上面の空間部９における隙間Ｄは１ｍｍ～２ｍｍとした。また、前述のように、外包装体１の周壁１ａが容器中心線となす角度θ１は３°～９°、内包装体２の周壁２ａが容器中心線となす角度θ２は、θ１より０．５°～３°大きく設定されている。また、内包装体２の上方開口端の外径Ｅは外包装体１の上方開口端の内径Ｉとほぼ同等とした。また、外包装体１の凸条部３の外径Ｒ１と内包装体２の凹条部４の内径Ｒ２は共に１．５ｍｍ～２．２ｍｍとした。また、外包装体１の凸条部３の周壁１ａからの突出寸法Ｈは０．７ｍｍ～１．０ｍｍとした。外包装体１のリム部１３の上面から凸条部３の外径中心までの高さ方向寸法Ｆは、リム部１３の高さ方向寸法Ｇより５ｍｍ大きく設定され、これは、内包装体２のフランジ部１４の下面から凹条部４の内径中心までの高さ方向寸法Ｊに一致する。

【0019】

このような寸法設定とすることで、外包装体１と内包装体２の間に空間部９を設けながら、外包装体１の凸条部３を内包装体２の凹条部４内に比較的緊密に嵌入させることができ、これによって外包装体１と内包装体２を係合させることができ、複合容器が一体化される。また、この外包装体１と内包装体２の係合状態で外包装体１のリム部１３の上面と内包装体２のフランジ部１４の下面が当接され、両者が高さ方向に固定される。外包装体１の凸条部３の内包装体２の凹条部４内への嵌入の際、プラスチック製の内包装体２の弾性変形を伴う。このとき、内包装体２の周壁２ａの容器中心線となす角度θ２が外包装体１の周壁１ａの容器中心線となす角度θ１より僅かに大きく設定されているので、外包装体１の内部に内包装体２を押し込む際、プラスチック製の内包装体２の凹条部４近傍の周壁２ａが凸条部３によって滑りながら容器内側に押されることでしなやかに弾性変形する。そして、凸条部３が凹条部４の縁を通り過ぎた時点で凸条部３が凹条部４内に速やかに嵌入して変形が復元する。したがって、外包装体１と内包装体２の一体化、すなわち両者の係合に接着剤は必要とされない。また、その結果、内包装体２を外包装体１から引き抜くようにすれば、外包装体１の凸条部３が内包装体２の凹条部４から外れ、両者を分離することが可能となる。

【0020】

また、プラスチック製の内包装体２の樹脂をポリエチレンテレフタレートとすることで、水蒸気バリア性を付与することができる。また、紙製の外包装体１の各端面を樹脂フィルムで覆うエッジプロテクト処理を施したり、ナノオーダーに微細化されたセルロース（木製繊維）で被覆された紙素材や透明バリアフィルムで被覆された紙素材を用いたりすることで、酸素バリア性を付与することもできる。

【0021】

このように、この実施形態の複合容器では、外包装体１の周壁１ａの内面よりも容器の内側に向けて突出する凸条部３が周壁１ａの周回方向に沿って形成されると共に、内包装体２の周壁２ａの外面よりも窪んだ凹条部４が周壁２ａの周回方向に沿って形成され、凸条部３が凹条部４内に嵌入されて外包装体１と内包装体２が係合される。したがって、外包装体１と内包装体２の一体化に接着剤を必要とせず、その結果、凸条部３の凹条部４内への嵌入が外れるように外包装体１と内包装体２を操作することで、外包装体１と内包装体２を容易且つ確実に分離することが可能となる。また、特別な専用加工機を必要としないことから、製品原価を低廉化することも可能となる。

【0022】

また、外包装体１の開口縁にリム部１３が周回方向に沿って形成されると共に、内包装体２の開口縁にフランジ部１４が周回方向に沿って形成され、凸条部３が凹条部４内に嵌入された状態でフランジ部１４とリム部１３とが当接される。したがって、内包装体２を外包装体１内に収容した状態で両者の離接方向への移動が規制され、内包装体２と外包装体１を固定することが可能となることから、外包装体１と内包装体２をより一層確実に一体化することができる。
また、外包装体１を、逆円錐台形形状、或いは逆角錐台形形状の紙カップとすることで、外包装体１同士を互いに積み重ねておくことができ、製造された外包装体１を在庫する際に場所をとらず、また外包装体１を搬送する際の安定性を向上したり搬送コストを低廉化したりすることもできる。

【0023】

次に、複合容器の第２実施形態について図４を用いて説明する。この実施形態の内包装体２は、第１実施形態の内包装体２と同じである。また、外包装体１についても、第１実施形態の外包装体１と凡そ同等であり、凸条部３やリム部１３を含む全体構造は同じである。この実施形態では、第１実施形態でも簡単に説明した凸条部３の切り取り構造が異なる。図５は、図４の外包装体１の凸条部３とその近傍の詳細を示す断面図、図６は、図４の外包装体１のつまみ部８とその近傍の詳細を示す正面図である。前述のように、紙製の外包装体１の凸条部３を挟んだ上部と下部の夫々の位置で、周回方向に沿って連続的に周壁１ａ全周に亘って切り取り予定線５、６を設ける。この切り取り予定線５、６は、図５に示す半切れ部７で構成される。半切れ部７とは、周壁１ａを構成する紙の厚さの途中まで厚さ方向に形成された切れ目を意味し、この半切れ部７が紙の脆弱部となって、例えば紙を割く力が作用すると半切れ部７に沿って紙が切り取られる。これに対し、紙の厚さ全域に亘って形成された切れ目を全切れ部という。半切れ部７は、同じく紙の切り取りを容易化するミシン目に比べて目立ちにくく、特に表面の印刷絵柄などのデザイン性を損なうことがなく、また加工部の強度低下による成型時の胴部座屈などの影響も少ない。この実施形態では、紙で構成される外包装体１の周壁１ａの外側（表）と内側（裏）のそれぞれにおいて、互いに異なる位置で半切れ部７を周壁１ａの全周に亘って形成し、この半切れ部７が連続してできる線を切り取り予定線５、６として凸条部３が切り取られるように構成している。

【0024】

以下は、この実施形態の複合容器の実施例であり、図５から明らかなように、外包装体１の周壁１ａの表と裏のそれぞれ二箇所に半切れ部７を全周に亘って形成して、それぞれを表切り取り予定線５と裏切り取り予定線６とした。２本の表切り取り予定線５は凸条部３の中心線に対して対称の位置に形成し、２本の裏切り取り予定線６も凸条部３の中心線に対して対称の位置に形成した。２本の表切り取り予定線５の間隔Ｋは１０ｍｍ、２本の裏切り取り予定線６の間隔Ｌは５ｍｍとした。何れも、半切れ部７の深さＮは外包装体１の周壁１ａを構成する紙の厚さＴの０．６倍、すなわちＮ＝０．６Ｔとした。また、図６に示すように、外包装体１の周壁１ａを構成する扇形の紙部材の端面１５からのつまみ部８の突出寸法Ｍは２ｍｍ、つまみ部８の上下方向幅Ｐは表切り取り予定線５の間隔Ｋと同じ１０ｍｍとした。また、このつまみ部８の上下端から表切り取り予定線５に沿って全切れ部を深さＱ＝２ｍｍで形成し、つまみ部８をつまんで引っ張った際に表切り取り予定線５によって外包装体１の周壁１ａ（＝凸条部３）が容易に切り取り始められるようにした。図１の第１実施形態では、このうちの裏切り取り予定線６が省略されたものであり、以下に記載するように、表切り取り予定線５だけであっても凸条部３を除去することができるので、外包装体１と内包装体２を容易に分離することができる。

【0025】

この実施形態では、つまみ部８を手指でつまんで引っ張ると、外包装体１の周壁１ａ全周に亘って形成された半切れ部７からなる表切り取り予定線５及び裏切り取り予定線６に沿って周壁１ａが切り取られ、結果として凸条部３が周壁１ａの全周に亘って除去される。図１を合わせて参照すると、凸条部３が除去された外包装体１の周壁１ａの下側部分は、空間部９によって内包装体２の周壁２ａと離間しているので、これを内包装体２に対して下向きに容易に取り外すことができる。同様に、凸条部３が除去された外包装体１の周壁１ａの上側部分も、内包装体２の周壁２ａと少し離間しており、また外包装体１の周壁１ａの容器中心線となす角度θ１が内包装体２の周壁１ａの容器中心線となす角度θ２よりも小さく設定されていることから、この上側部分も内包装体２に対して下向きに容易に取り外すことができる。上記特許文献１のように、容器外側に向けて突出する内包装体２の周壁２ａの凸条部が外包装体１の周壁１ａを窪ませて形成された凹条部内に嵌入して外包装体１と内包装体２が係合されている場合には、外包装体１の凹条部を上記実施形態のようにして除去しても、除去した後の外包装体１の上側部分を下げて取り外そうとした際、内包装体２の凸条部が邪魔になって容易に取り外せないおそれがある。

【0026】

このように、この実施形態の複合容器では、紙製の外包装体１の周壁１ａとプラスチック製の内包装体２の周壁２ａとが周回方向に沿って互いに係合されている場合に、内包装体２の周壁２ａとの係合部を挟んだ外包装体１の周壁１ａの上部及び下部のそれぞれに、外包装体１の周壁１ａが周回方向に沿って切り取り可能な切り取り予定線５、６を設けた。これにより、外包装体１の内包装体２への係合が解除され、内包装体２と外包装体１を容易且つ確実に分離することができる。
また、周回方向に沿って外包装体１の周壁１ａに形成された半切れ部７で切り取り予定線５、６を構成することにより、切り取り予定線５、６が目立たず、また表面のデザイン性を損なうなどの諸問題が回避される。

【0027】

以上、実施形態に係る複合容器について説明したが、本件発明は、上記実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、本件発明の要旨の範囲内で種々変更が可能である。例えば、上記実施形態では、外包装体１と内包装体２の係合部を構成する凸条部３及び凹条部４を、それぞれ、外包装体１の周壁１ａの上部及び内包装体２の周壁２ａの上部に設けたが、これらの嵌合部（係合部）は、周壁のどの部分に形成しても差し支えない。ただし、上記実施形態のように、外包装体１の周壁１ａと内包装体２の周壁２ａが上部でのみ接近している場合には、それぞれの周壁の上部に形成する必要がある。

【符号の説明】

【0028】

１ 外包装体
１ａ 周壁
２ 内包装体
２ａ 周壁
３ 凸条部
４ 凹条部
５ 表切り取り予定線
６ 裏切り取り予定線
７ 半切れ部
８ つまみ部
９ 空間部
１３ リム部
１４ フランジ部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】