(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077827
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】働きかけ表示方法、働きかけ表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240603BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190013
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】田口 哲典
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一郎
(72)【発明者】
【氏名】早川 昭二
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】対象者と指導者との相性を考慮した働きかけ方を指導者に推奨する。
【解決手段】コンピュータによる働きかけ表示方法であって、前記コンピュータが、指導者が行った過去の働きかけの経験回数に基づき、指導予定の対象者の種類に対する前記指導者の働きかけの成功のしやすさを示す指標値と、所定の閾値とを比較し、前記指標値が前記所定の閾値以上である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が少ないと判定された働きかけ方を示す推奨情報を端末装置に表示させ、前記指標値が前記所定の閾値未満である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が多いと判定された働きかけ方を示す推奨情報を前記端末装置に表示させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによる働きかけ表示方法であって、前記コンピュータが、
指導者が行った過去の働きかけの経験回数に基づき、指導予定の対象者の種類に対する前記指導者の働きかけの成功のしやすさを示す指標値と、所定の閾値とを比較し、
前記指標値が前記所定の閾値以上である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が少ないと判定された働きかけ方を示す推奨情報を端末装置に表示させ、
前記指標値が前記所定の閾値未満である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が多いと判定された働きかけ方を示す推奨情報を前記端末装置に表示させる、働きかけ表示方法。
【請求項2】
前記コンピュータが、
前記指導者が行った過去の働きかけの経験回数に基づき、働きかけ方の種類毎の前記指導者による働きかけの成功のしやすさを示す他の指標値を算出し、
前記他の指標値が、第一の条件を満たす働きかけ方の種類を、前記過去の働きかけのうち、経験回数が少ない働きかけ方と判定し、
前記他の指標値が、第二の条件を満たす働きかけ方の種類を、前記過去の働きかけのうち、経験回数が多い働きかけ方と判定する、請求項1記載の働きかけ表示方法。
【請求項3】
前記コンピュータが、
前記指導者が行った過去の働きかけにおける働きかけ方の種類を示す情報と、前記対象者を特定する情報と、前記対象者の種類を示す情報と、を含む事例データが格納された記憶部を参照し、
前記指導予定の対象者と種類が一致する対象者に対して行われた全ての種類の働きかけ方のうち、働きかけが成功した確率が所定値以上となる働きかけ方の種類を特定し、
前記指導者が行った過去の働きかけの経験回数を、
特定された種類の働きかけ方で、前記指導予定の対象者と種類が一致する対象者に対して働きかけた場合における働きかけの経験回数とする、請求項2記載の働きかけ表示方法。
【請求項4】
前記指標値と、前記他の指標値とは、前記指導者が働きかけを行った時期を示す情報を用いて算出される、請求項2記載の働きかけ表示方法。
【請求項5】
前記推奨情報は、
前記働きかけ方の種類を示す情報と、
前記働きかけ方の種類による働きかけが成功した場合の事例データの一部を含む、請求項1記載の働きかけ表示方法。
【請求項6】
前記コンピュータが、
前記指導者が行った過去の働きかけの経験回数と、
他の指導者が行った過去の働きかけのうち、前記指導者が働きかけ方を習得した働きかけの経験回数と、
を用いて前記指標値と前記所定の閾値とを比較する、請求項1記載の働きかけ表示方法。
【請求項7】
前記コンピュータが、
対象者の種類毎の働きかけの経験回数と、働きかけ方の種類毎の働きかけの経験回数との2軸によって表現される前記指導者の特性を示す特性マップ情報を生成する、請求項1記載の働きかけ表示方法。
【請求項8】
前記コンピュータが、
前記記憶部に格納された事例データのうち、前記働きかけ方の種類が、特定された前記働きかけ方の種類と一致する事例データを抽出し、
抽出された事例データから、特定された前記働きかけ方の種類毎に、前記指導者による働きかけの成功のしやすさを示す前記他の指標値を算出する、請求項3記載の働きかけ表示方法。
【請求項9】
前記コンピュータが、
前記記憶部に格納された事例データのうち、前記対象者の種類が、前記指導予定の対象者と種類が一致する事例データを抽出し、
抽出された事例データから、特定された前記働きかけ方の種類毎に、前記指導者による働きかけの成功のしやすさを示す前記他の指標値を算出し、
前記特定された前記働きかけ方の種類毎の前記他の指標値を合算した値を、前記指導予定の対象者の種類に対する前記指導者の働きかけの成功のしやすさを示す前記指標値とする、請求項3記載の働きかけ表示方法。
【請求項10】
前記コンピュータが
前記対象者の状態を示す情報を取得し、
前記指標値が前記所定の閾値以上である場合に、前記対象者の状態に応じて、前記推奨情報として表示させる働きかけ方を、前記経験回数が多いと判定された働きかけ方とするか、又は、前記経験回数が少ないと判定された働きかけ方とするかを判定する、請求項1記載の働きかけ表示方法。
【請求項11】
指導者が行った過去の働きかけの経験回数に基づき、指導予定の対象者の種類に対する働きかけの成功のしやすさを示す指標値と、所定の閾値とを比較し、
前記指標値が前記所定の閾値以上である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が少ないと判定された働きかけ方を示す推奨情報を端末装置に表示させ、
前記指標値が前記所定の閾値未満である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が多いと判定された働きかけ方を示す推奨情報を前記端末装置に表示させる、処理をコンピュータに実行させる、働きかけ表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、働きかけ表示方法、働きかけ表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、健康診断の結果等に応じて、対象者に対して行動変容を促す指導を行う際に、行動変容を促す指導者を支援する技術が知られている。その一例として、対象者が行動を変容する必要性に基づいて指導者を決定し、指導内容を含むデータを指導者に対して送信するシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-013208号公報
【特許文献2】特開2019-211824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術では、対象者の状態に応じて指導内容(働きかけ)が決められるものであり、指導者と対象者との相性が考慮されていない。
【0005】
1つの側面では、本発明は、対象者と指導者との相性を考慮した働きかけ方を指導者に推奨することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、コンピュータによる働きかけ表示方法であって、前記コンピュータが、指導者が行った過去の働きかけの経験回数に基づき、指導予定の対象者の種類に対する前記指導者の働きかけの成功のしやすさを示す指標値と、所定の閾値とを比較し、前記指標値が前記所定の閾値以上である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が少ないと判定された働きかけ方を示す推奨情報を端末装置に表示させ、前記指標値が前記所定の閾値未満である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が多いと判定された働きかけ方を示す推奨情報を前記端末装置に表示させる、働きかけ表示方法である。
【発明の効果】
【0007】
対象者と指導者との相性を考慮した働きかけ方を指導者に推奨できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一の実施形態の働きかけ表示システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】指導者の特性について説明する第一の図である。
【
図3】指導者の特性について説明する第二の図である。
【
図4】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】第一の実施形態の働きかけ表示部の機能構成を説明する図である。
【
図7】事例データベースを構築する処理を説明する第一のフローチャートである。
【
図8】事例データベースを構築する処理を説明する第二のフローチャートである。
【
図9】事例データベースを構築する処理を説明する第三のフローチャートである。
【
図10】働きかけを表示する処理を説明する第一のフローチャートである。
【
図11】働きかけを表示する処理を説明する第二のフローチャートである。
【
図12】働きかけを表示する処理を説明する第三のフローチャートである。
【
図13】働きかけを表示する処理を説明する第四のフローチャートである。
【
図14】働きかけを表示する処理を説明する第五のフローチャートである。
【
図15】働きかけを表示する処理を説明する第六のフローチャートである。
【
図16】働きかけを表示する処理を説明する第七のフローチャートである。
【
図20】第二の実施形態の働きかけ表示システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図21】第二の実施形態の働きかけ表示部の機能構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して、実施形態について説明する。
図1は、働きかけ表示システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0010】
本実施形態の働きかけ表示システム100は、情報処理装置200と、端末装置300を含む。情報処理装置200と、端末装置300とは、ネットワークを介して接続される。
【0011】
本実施形態の働きかけ表示システム100は、例えば、何らかの行動変容が求められる対象者に対し、行動変容を促すための働きかけを行う指導者に、働きかけの仕方を表示する。
【0012】
以下の説明では、指導者が対象者に対し、健康寿命を考慮した指導を行う場合に、本実施形態が適用されたものとして説明する。また、以下の本実施形態の説明では、健康寿命を考慮した行動変容が求められる高齢者を対象者の一例とし、健康寿命を考慮した行動変容を促す働きかけを行う保健師を指導者の一例とする。
【0013】
なお、対象者と指導者は、働きかけ表示システム100が導入される機関や、行動変容の内容等に応じて変化する。例えば、働きかけ表示システム100が企業に導入されて、生活習慣に関する行動変容を促す場合には、対象者は企業に所属する人物となり、指導者は産業医等であってもよい。
【0014】
また、例えば、働きかけ表示システム100が児童に関する施設に導入され、児童の生活に関する行動変容を促す場合には、対象者は施設に所属する児童や児童の保護者であり、指導者は児童指導員等であってもよい。
【0015】
また、例えば、働きかけ表示システム100が自治体に導入された場合には、自治体で行われる各種の指導内容に応じて、対象者と指導者が決められてよい。
【0016】
また、以下の説明では、対象者に対する行動変容を促す指導のことを、対象者に対する働きかけ、と表現する。また、以下の説明では、対象者に対する行動変容を促す指導の内容を、対象者に対する働きかけ方、と表現する。
【0017】
また、以下の説明では、対象者が指導者の指導内容に賛意を示した場合、対象者が指導者の指導内容に従った場合、指導者により指導が成功したと判断された場合等を、働きかけが成功した、と表現する。
【0018】
本実施形態の働きかけ表示システム100において、情報処理装置200は、対象者データベース210、事例データベース220、働きかけ表示部230を有する。
【0019】
対象者データベース210は、対象者である高齢者の健康状態を示す健康状態データが格納される。対象者の健康状態データは、予め収集されて対象者データベース210に格納されていてよい。
【0020】
事例データベース220は、指導者である保健師が高齢者への働きかけを行った事例に関する事例データが格納される。事例データベース220は、保健師毎に設けられていてよく、また、事例データは、例えば、保健師が高齢者への働きかけを行う度に、事例データベース220に格納されてよい。
【0021】
事例データは、高齢者の種類を示す情報、保健師が行った働きかけ方を示す情報、働きかけが成功したか否かを示す情報が含まれる。事例データの詳細は後述する。
【0022】
働きかけ表示部230は、働きかけを行う保健師と、働きかけの対象となる高齢者とが特定されると、特定された高齢者と、働きかけを行う保健師との相性が反映された働きかけ方を示す情報を端末装置300に表示させる。
【0023】
言い換えれば、働きかけ表示部230は、働きかけを行う保健師の特性と、特定された高齢者の種類とに基づき推奨される働きかけ方を決定し、決定された働きかけ方を示す情報を端末装置300に表示させる。
【0024】
本実施形態において、働きかけを行う保健師の特性は、高齢者の種類に対する働きかけの成功のしやすさを示す指標値と、働きかけ方の種類毎の働きかけの成功のしやすさを示す指標値と、に基づき示される。保健師の特性の詳細は後述する。
【0025】
高齢者の種類に対する働きかけの成功のしやすさを示す指標値とは、高齢者の種類に対する、働きかけが成功した回数(経験数)であってもよい。また、働きかけ方の種類毎の働きかけの成功のしやすさを示す指標値とは、複数種類の働きかけ方のそれぞれに対する、働きかけが成功した回数(経験数)である。
【0026】
以下の説明では、働きかけの対象となる高齢者の種類に対する働きかけの成功のしやすさを示す指標値を、第一の指標値(指標値)と表現し、働きかけ方の種類毎の働きかけの成功のしやすさを示す指標値を、第二の指標値(他の指標値)と表現する場合がある。また、以下の説明では、端末装置300に表示される、推奨される働きかけ方を示す情報を、保健師に対して出力される推奨情報と表現する場合がある。また、以下の説明では、保健師による働きかけの対象となる高齢者を、対象高齢者と表現する場合がある。
【0027】
本実施形態の働きかけ表示部230は、対象高齢者の健康状態と、第一の指標値と第二の指標値とに基づき、端末装置300に表示させる推奨情報を決定する。
【0028】
より具体的には、働きかけ表示部230は、対象高齢者の健康状態が良好であり、且つ、対象高齢者の種類と対応する第一の指標値が所定の閾値以上である場合には、第二の指標値が第一の条件を満たす働きかけ方の種類を、推奨される働きかけ方とし、端末装置300に推奨情報を表示させる。
【0029】
また、働きかけ表示部230は、対象高齢者の健康状態が良好であり、且つ、対象高齢者の種類と対応する第一の指標値が所定の閾値未満である場合には、第二の指標値が第二の条件を満たす働きかけ方の種類を、推奨される働きかけ方とし、端末装置300に推奨情報を表示させる。
【0030】
第一の指標値が所定の閾値以上である場合とは、保健師と対象高齢者との相性が良好と判断される場合であり、第一の指標値が所定の閾値未満である場合とは、保健師と対象高齢者との相性が良好ではないと判断される場合である。
【0031】
また、第二の指標値が第一の条件を満たす働きかけ方の種類とは、保健師にとって、他の働きかけ方の種類と比較して、成功した回数が少ない働きかけ方の種類あり、難易度が高い働きかけ方であってもよい。以下の説明では、成功した回数が少ない働きかけ方の種類を、チャレンジングな働きかけ方の種類と表現する場合がある。
【0032】
第二の指標値が第二の条件を満たす働きかけ方とは、保健師にとって、成功した回数が多く、成功しやすい得意な働きかけ方を示す。
【0033】
つまり、本実施形態では、保健師と対象高齢者との相性が良く、対象高齢者の健康状態が良好である場合に、保健師にとって難易度の高い働きかけ方を推奨する。また、本実施形態では、対象高齢者の健康状態が良好ではない場合と、保健師と対象高齢者との相性が良好ではない場合に、保健師が得意な働きかけ方を推奨する。
【0034】
本実施形態では、このように、推奨情報を表示させることで、対象者と指導者との相性を考慮した働きかけを指導者に推奨することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、指導者が行う働きかけ方の種類が特定の種類に偏ることを抑制でき、指導者の成長に貢献することができる。
【0036】
さらに、本実施形態では、対象高齢者の健康状態を考慮した働きかけ方を保健師に対して推奨することができる。
【0037】
本実施形態の端末装置300は、例えば、主に保健師によって利用される端末装置であってよい。端末装置300は、情報処理装置200から、推奨情報を受信すると、受信した推奨情報をディスプレイに表示させる。
【0038】
端末装置300は、例えば、スマートフォンや、可搬型のタブレット端末等であってゆい。
【0039】
なお、
図1では、情報処理装置200が対象者データベース210、事例データベース220を有するものとしたが、これに限定されない。対象者データベース210、事例データベース220は、一部又は全部が、情報処理装置200と通信が可能な外部装置に設けられていてもよい。
【0040】
また、情報処理装置200は、複数の情報処理装置で実現されてもよい。言い換えれば、働きかけ表示部230は、複数の情報処理装置によって実現されてもよい。
【0041】
また、本実施形態の情報処理装置200は、インターネット上に設置されたクラウドサーバであってもよいし、LAN(Local Area Network)上に配置されたサーバ装置であってもよい。
【0042】
以下に、
図2及び
図3を参照して、本実施形態における保健師の特性について説明する。
【0043】
図2は、指導者の特性について説明する第一の図である。
図2では、縦軸が高齢者の種類を示し、横軸が働きかけ方の種類を示し、保健師の特性を、高齢者の種類毎の成功経験量と、働きかけ方の種類毎の成功経験量との2軸によって表現する。成功経験量とは、言い換えれば、働きかけが成功した回数である。
【0044】
図2に示す特性マップ201は、例えば、保健師を特定する識別情報である保健師ID「X」で特定される保健師の特性である。特性マップ201は、保健師Xが行った働きかけのうち、高齢者の種類毎の働きかけの成功件数と、働きかけ方の種類毎の成功件数との分布を示している。言い換えれば、特性マップ201は、保健師Xが行った働きかけのうち、高齢者の種類毎の働きかけの成功のしやすさと、働きかけ方の種類毎の成功のしやすさの分布を示している。
なお、本実施形態では、保健師の特性を、高齢者の種類毎の成功経験量と、働きかけ方の種類毎の成功経験量との2軸によって表現するものとしたが、これに限定されない。保健師の特性を、高齢者の種類毎の事例の経験回数と、働きかけ方の種類毎の事例の経験回数との2軸によって表現されてもよい。事例の経験回数とは、働きかけを行った回数である。
【0045】
本実施形態では、高齢者の種類のうち、成功件数が多い種類の高齢者ほど、保健師Xとの相性が良いと言える。また、本実施形態では、働きかけ方の種類のうち、成功件数が多い働きかけ方ほど、保健師Xが得意な働きかけ方と言える。
【0046】
図3は、指導者の特性について説明する第二の図である。本実施形態の情報処理装置200は、事例データベース220に格納された保健師毎の事例データに基づき、対象高齢者の種類の働きかけの成功のしやすさを示す値(第一の指標値)と、働きかけ方の種類毎の成功のしやすさを示す値(第二の指標値)とを算出する。
【0047】
言い換えれば、本実施形態の情報処理装置200は、事例データベース220を参照して保健師の特性を求める。
【0048】
図3の例では、情報処理装置200は、対象高齢者の種類が種類「5」である場合を示す。この場合、情報処理装置200は、保健師Xの事例データベース220を参照し、種類「5」の高齢者に対する働きかけの成功のしやすさを示す値(第一の指標値)を算出する。また、情報処理装置200は、保健師Xの事例データベース220を参照して、働きかけ方の種類A~E毎の成功のしやすさを示す値(第二の指標値)を算出する。
【0049】
そして、情報処理装置200は、対象高齢者の種類の対する第一の指標値と、働きかけ方の種類毎に対する第二の指標値とに応じて、保健師Xに対して表示する働きかけ方を特定する。
【0050】
具体的には、情報処理装置200は、第一の指標値が所定の閾値以上である場合に、第二の指標値が第一の条件を満たす働きかけ方の種類を特定し、特定された種類の働きかけ方を、保健師に対して表示する。
【0051】
また、情報処理装置200は、第一の指標値が所定の閾値未満である場合に、第二の指標値が第二の条件を満たす働きかけ方の種類を特定し、特定された種類の働きかけ方を、保健師に対して表示する。
【0052】
次に、
図4を参照して、本実施形態の情報処理装置200のハードウェア構成について説明する。
図4は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0053】
本実施形態の情報処理装置200は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置21、出力装置22、ドライブ装置23、補助記憶装置24、メモリ装置25、演算処理装置26及びインターフェース装置27を含むコンピュータである。
【0054】
入力装置21は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えばキーボードやポインティングデバイス等により実現される。出力装置22は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インターフェース装置27は、LANカード等を含み、ネットワークに接続するために用いられる。
【0055】
情報処理装置200が有する働きかけ表示部230を実現させるプログラムは、情報処理装置200を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。プログラムは、例えば、記録媒体28の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。プログラムを記録した記録媒体28は、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0056】
記録媒体28に記録されたプログラムは、プログラムを記録した記録媒体28がドライブ装置23にセットされると、記録媒体28からドライブ装置23を介して補助記憶装置24にインストールされる。ネットワークからダウンロードされたプログラムは、インターフェース装置27を介して補助記憶装置24にインストールされる。
【0057】
補助記憶装置24は、情報処理装置200の有する対象者データベース210、事例データベース220等を実現するものであり、情報処理装置200にインストールされたプログラムを格納すると共に、情報処理装置200による各種の必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置25は、情報処理装置200の起動時に補助記憶装置24からプログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置206はメモリ装置25に格納されたプログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0058】
次に、本実施形態の対象者データベース210と、事例データベース220について説明する。
【0059】
本実施形態の対象者データベース210は、対象高齢者となり得る高齢者の健康状態データが、高齢者毎に格納されている。健康状態データは、例えば、健康状態を確認するためのチェックシート等を予め高齢者に配布し、高齢者によって回答が記入されたチェックシートを収集することで、取得されてよい。
【0060】
図5は、事例データベースの一例を示す図である。本実施形態の事例データベース220は、情報の項目として、保健師ID、事例ID、高齢者氏名、訪問日、行動要因1(自己効力感)、行動要因2(モチベーション)、行動要因3(社会的支援)、行動要因4(身体的能力)、行動要因5(知的能力)、高齢者の種類、働きかけ結果、働きかけ方の種類、SOAPのS、SOAPのO、SOAPのA、SOAPのP等を含む。
【0061】
事例データベース220において、保健師ID及び事例IDと、その他の項目とが対応付けられている。
【0062】
項目「保健師ID」の値は、保健師を特定するための識別情報である。項目「事例ID」の値は、事例データを特定するための識別情報である。項目「高齢者氏名」の値は、高齢者の氏名を示し、項目「訪問日」の値は、働きかけを行った日付けを示す。
【0063】
項目「行動要因1(自己効力感)」、「行動要因2(モチベーション)」、「行動要因3(社会的支援)」、「行動要因4(身体的能力)」、「行動要因5(知的能力)」の値は、健康状態データから導出される。
【0064】
項目「高齢者の種類」の値は、各行動要因の値から求められる高齢者の特性の分類を示す。なお、高齢者の特性の分類(ラベル)は、後述する処理によって付与される。
【0065】
項目「働きかけ結果」の値は、働きかけが成功したか否かを示す。項目「働きかけ方の種類」の値は、保健師が高齢者に対して行った働きかけ方の種類を示す。言い換えれば、項目「働きかけ方」の値は、保健師が高齢者に対して行った働きかけの分類を示す。働きかけの分類(ラベル)は、後述する処理によって付与される。
【0066】
項目「SOAPのS」、「SOAPのO」、「SOAPのA」、「SOAPのP」のそれぞれの値は、患者(対象者)の問題にフォーカスした医療介護の記録形式を示す「SOAP形式」における「S(Subject):主観的データ)」、「O(Object):客観的データ」、「A(Assessment):アセスメント」、「P(Plan):プラン」を示す。
【0067】
「S(Subject):主観的データ)は、高齢者が感じたことや訴え、高齢者の家族が話したこと等を含む。「O(Object):客観的データ」は、検査・測定などにより得られた情報や診察でみられる症状等を含む。「A(Assessment):アセスメント」は、S(主観的データ)とO(客観的データ)を踏まえて、考えられる問題についておこなう分析を示す。「P(Plan):プラン」は、A(アセスメント)で考えらえた高齢者の状態を改善するために立案されたプラン等を示す。
なお、本実施形態において、項目「高齢者の種類」の値は、項目「行動要因1(自己効力感)」、「行動要因2(モチベーション)」、「行動要因3(社会的支援)」、「行動要因4(身体的能力)」、「行動要因5(知的能力)」の値を求めずに、高齢者の年齢、性別、居住地域等を含む属性や健康状態に応じて、高齢者の特性をそのまま数値化し、分類した結果を、項目「高齢者の種類」の値としてもよい。
【0068】
なお、
図5は、事例データベース220の一例であり、事例データベース220に含まれる情報の項目は、
図5に限定されない。また、保健師に医療介護の記録形式は、上述した形式に限定されない。
【0069】
次に、
図6を参照して、本実施形態の情報処理装置200の有する働きかけ表示部230の機能構成について説明する。
図6は、第一の実施形態の働きかけ表示部の機能構成を説明する図である。
【0070】
働きかけ表示部230は、データ取得部231、データベース構築部232、種類推定部233、第一指標値算出部234、第二指標値算出部235、働きかけ方特定部236、表示制御部237を有する。
【0071】
データ取得部231は、各種のデータを取得する。具体的には、対象高齢者の健康状態データを対象者データベース210から取得する。また、データ取得部231は、事例データを事例データベース220から取得する。
【0072】
データベース構築部232は、事例データベース220を構築する。本実施形態において、データベース構築部232は、推奨情報の表示処理が行われる前に実行される前処理を行う。
【0073】
種類推定部233は、対象高齢者を特定する情報が入力され、この対象高齢者の種類が事例データベース220に格納されていない場合に、対象高齢者の種類を推定する。
【0074】
第一指標値算出部234は、働きかけを行う保健師の、対象高齢者の種類に対する、働きかけの成功のしやすさを示す第一の指標値を算出する。
【0075】
第二指標値算出部235は、働きかけを行う保健師の、働きかけ方の種類毎の、働きかけの成功のしやすさを示す第二の指標値を算出する。
【0076】
働きかけ方特定部236は、第一の指標値と第二の指標値と、対象高齢者の健康状態データとに基づき、保健師に推奨する働きかけ方を特定する。
【0077】
表示制御部237は、働きかけ方特定部236により特定された働きかけ方を示す推奨情報を端末装置300に表示させる。
【0078】
以下に、本実施形態の情報処理装置200の処理について説明する。はじめに、
図7乃至
図9を参照して、データベース構築部232による事例データベース220の構築について説明する。
【0079】
図7は、事例データベースを構築する処理を説明する第一のフローチャートである。本実施形態の情報処理装置200において、働きかけ表示部230の出力部323は、事例データ毎に高齢者の種類を判定する(ステップS701)。続いて、データベース構築部232は、事例データ毎の働きかけ方を分類する(ステップS702)。
【0080】
続いて、データベース構築部232は、分類結果に応じて、全ての保健師の事例データベース220における事例データの項目「高齢者の種類」の値と、項目「働きかけ方の種類」の値とを格納する(ステップS703)。
【0081】
図8は、事例データベースを構築する処理を説明する第二のフローチャートである。
図8は、
図7のステップS701の処理の詳細を示す。
【0082】
データベース構築部232は、保健師全員分の事例データベース220に格納された全ての事例データにおける項目「行動要因1」、「行動要因2」、「行動要因3」、「行動要因4」、「行動要因5」の値を取得する(ステップS801)。
【0083】
続いて、データベース構築部232は、各事例データを、取得した項目「行動要因1」、「行動要因2」、「行動要因3」、「行動要因4」、「行動要因5」の値に応じてクラスタリングする(ステップS802)。本実施形態では、クラスタリングの手法として、例えば、K-mean法(K平均法)等を用いてもよい。
【0084】
続いて、データベース構築部232は、各クラスタにラベル名を設定する(ステップS803)。本実施形態では、ここで設定されるラベル名が、事例データにおける項目「高齢者の種類」の値となる。また、本実施形態では、ラベル名として、「1」~「5」が設定されるものとした。
【0085】
続いて、データベース構築部232は、保健師全員分の事例データベース220に格納された事例データ毎に、項目「高齢者の種類」の値に、該当するラベル名を格納する(ステップS804)。
【0086】
図9は、事例データベースを構築する処理を説明する第三のフローチャートである。
図9は、
図7のステップS702の処理の詳細を示す。
【0087】
本実施形態のデータベース構築部232は、全て保健師の事例データベース220から、働きかけの項目の値を取得する(ステップS901)。具体的には、データベース構築部232は、全ての保健師の事例データベース220における項目「SOAPのS」、「SOAPのO」、「SOAPのA」、「SOAPのP」の値を取得する。
【0088】
続いて、データベース構築部232は、取得した働きかけの項目の値の特徴量を算出する(ステップS902)。具体的には、データベース構築部232は、任意の長さの文書をベクトル化する技術(Doc2Vec)により算出された値を特徴量としてよい。
【0089】
次に、データベース構築部232は、各事例データを、ステップS902で算出した特徴量に応じてクラスタリングする(ステップS903)。本実施形態では、クラスタリングの手法として、例えば、K-mean法(K平均法)等を用いてもよい。
【0090】
続いて、データベース構築部232は、各クラスタにラベル名を設定する(ステップS904)。本実施形態では、ここで設定されるラベル名が、事例データにおける項目「働きかけ方の種類」の値となる。また、本実施形態では、ラベル名として、「A」~「E」が設定されるものとした。
【0091】
続いて、データベース構築部232は、保健師全員分の事例データベース220に格納された事例データ毎に、項目「働きかけ方の種類」の値に、該当するラベル名を格納する(ステップS905)。
【0092】
本実施形態では、以上の処理により、
図5に示す事例データベース220が構築される。
【0093】
次に、本実施形態における働きかけ方を表示する処理について説明する。
図10は、働きかけを表示する処理を説明する第一のフローチャートである。
【0094】
なお、
図10以降の説明では、端末装置300において、働きかけを行う予定の保健師を保健師Xとし、働きかけの対象なる対象高齢者を高齢者Yとして説明する。保健師Xと高齢者Yとは、例えば、端末装置300の操作によって特定されてよい。
【0095】
また、
図10の例では、高齢者Yの健康状態データは対象者データベース210に格納済みであり、高齢者Yの事例データは、事例データベース220に格納されていない状態として説明する。
【0096】
本実施形態の情報処理装置200の働きかけ表示部230は、データ取得部231により、対象者データベース210から高齢者Yの健康状態データを取得する(ステップS1001)。
【0097】
続いて、働きかけ表示部230は、取得した健康状態データに基づき、高齢者Yに対して成功確率の高い働きかけ方の種類を特定する(ステップS1002)。
【0098】
具体的には、働きかけ表示部230は、取得した高齢者Yの健康状態データに含まれる回答の内容と、全ての保健師の事例データベース220に事例データが格納されている高齢者の健康状態データに含まれる回答とを用いて、高齢者Yに対して成功確率の高い働きかけ方の種類を特定してよい。
【0099】
ステップS1002の処理は、例えば、機械学習等によって学習されたモデル等によって実現されてもよい。
【0100】
続いて、働きかけ表示部230は、ステップS1002において特定された働きかけ方の種類を示す情報を用いて、保健師Xに提示する働きかけ方の種類を特定し、端末装置300に表示させる(ステップS1003)。ステップS1003の処理の詳細は後述する。
【0101】
図11は、働きかけを表示する処理を説明する第二のフローチャートである。
図11は、
図10のステップS1003の詳細を示す。
【0102】
本実施形態の働きかけ表示部230は、種類推定部233により、高齢者Yの種類を推定する(ステップS1101)。続いて、働きかけ表示部230は、第一指標値算出部234により、高齢者Yの種類に対する保健師Xの働きかけの成功のしやすさを示す指標値(第一の指標値)を算出する(ステップS1102)。
【0103】
続いて、働きかけ表示部230は、第二指標値算出部235により、働きかけ方の種類毎の保健師Xの働きかけの成功のしやすさを示す指標値(第二の指標値)を算出する(ステップS1103)。続いて、働きかけ表示部230は、働きかけ方特定部236により、保健師Xに対して出力する働きかけ方の種類を特定し、特定された働きかけ方の種類に応じた推奨情報を生成する(ステップS1104)。
【0104】
続いて、働きかけ表示部230は、表示制御部237により、働きかけ方を示す推奨情報を端末装置300に表示させる(ステップS1105)。
【0105】
以下に、
図11に示す各ステップの詳細について説明する。
図12は、働きかけを表示する処理を説明する第三のフローチャートである。
図12は、
図11のステップS1101の詳細を示す。
【0106】
本実施形態の情報処理装置200の働きかけ表示部230は、種類推定部233により、全ての保健師の事例データベース220に格納された各事例データから、項目「行動要因1」~「行動要因5」の値を取得する(ステップS1201)。
【0107】
続いて、種類推定部233は、高齢者Yの健康状態データから、高齢者Yの項目「行動要因1」~「行動要因5」の値を算出し、ステップS1201で取得された各事例データ毎の項目「行動要因1」~「行動要因5」の値との類似度を算出する(ステップS1202)。
【0108】
続いて、種類推定部233は、高齢者Yの項目「行動要因1」~「行動要因5」の値と類似度が最も高い事例データを抽出する(ステップS1203)。続いて、種類推定部233は、ステップS1203で抽出された事例データから、項目「高齢者の種類」の値(ラベル名)を取得する(ステップS1204)。
【0109】
続いて、種類推定部233は、取得した値を、高齢者Yの種類とする(ステップS1205)。ここでは、高齢者Yの種類が「5」とされたものとする。
【0110】
図13は、働きかけを表示する処理を説明する第四のフローチャートである。
図13は、
図11のステップS1102の詳細を示す。
【0111】
本実施形態の情報処理装置200の働きかけ表示部230は、第一指標値算出部234により、
図10のステップS1002において特定された働きかけ方の種類のうち、1つの働きかけ方の種類を選択する(ステップS1301)。
【0112】
続いて、第一指標値算出部234は、保健師Xの事例データベース220から、
図11のステップS1101において推定された高齢者Yと種類が一致する事例データを抽出する(ステップS1302)。言い換えれば、第一指標値算出部234は、保健師Xの事例データベース220から、項目「高齢者の種類」の値が「5」である事例データを全て抽出する。
【0113】
続いて、働きかけ表示部230は、第二指標値算出部235により、高齢者Yと種類が一致する事例データを用いて、ステップS1301で選択された働きかけ方の種類に対する、保健師Xの成功のしやすさである第二の指標値E(a)を、下記の式1により算出する(ステップS1303)。
【数1】
【0114】
なお、式1において、関数u(r)は、抽出された事例データにおける項目「働きかけ結果」の値を示す。関数u(r)の出力は、働きかけ結果が成功である場合には、「1」となり、働きかけ結果が失敗である場合には、「-1」となる。
なお、本実施形態では、関数u(r)の出力は、働きかけ結果が成功であっても、失敗であっても、「1」以下の正の値となるようにしてもよい。
【0115】
また、式1において、関数w(t)は、抽出された事例データと対応する働きかけが行われた日から現在までの期間を示す。関数w(t)の出力は、現在から近い時期に行われた働きかけの事例データであるほど、「1」に近い値を出力し、現在から一定期間以上前に行われた働きかけの事例データである場合には、「0」を出力してよい。
【0116】
また、ステップS1303の式1におけるMの範囲は、ステップS1302で抽出された事例データである。言い換えれば、ステップS1303の式1におけるMの範囲は、保健師Xが過去に行った全ての働きかけの事例データのうち、高齢者Yと種類が一致する高齢者に対する働きかけを行ったときの事例データである。
【0117】
続いて、第二指標値算出部235は、
図10のステップS1002で特定された全ての種類の働きかけ方について、第二の指標値を算出したか否かを判定する(ステップS1304)。ステップS1304において、全ての働きかけ方の種類について、第二の指標値を算出していない場合、第二指標値算出部235は、ステップS1301へ戻る。
【0118】
ステップS1304において、全ての働きかけ方の種類について、第二の指標値が算出された場合、第一指標値算出部234は、働きかけ方の種類毎の第二の指標値の総和を算出し、算出された総和を第一の指標値とする(ステップS1305)。
【0119】
図14は、働きかけを表示する処理を説明する第五のフローチャートである。
図14は、
図11のステップS1103の詳細を示す。
【0120】
本実施形態の情報処理装置200の働きかけ表示部230は、第二指標値算出部235により、保健師Xの事例データベース220から、項目「働きかけ方の種類」の値が、
図10のステップS1002において特定された働きかけ方の種類と一致する事例データを全て抽出する(ステップS1401)。
【0121】
続いて、第二指標値算出部235は、
図10のステップS1002において特定された働きかけ方の種類のうち、1つの働きかけ方の種類を選択する(ステップS1402)。
【0122】
続いて、第二指標値算出部235は、抽出された事例データを用いて、ステップS1402で選択された働きかけ方の種類に対する保健師Xの働きかけの成功のしやすさを示す第二の指標値E(a)を、式1により算出する(ステップS1403)。
【0123】
なお、ステップS1402の式1におけるMの範囲は、ステップS1401で抽出された事例データである。言い換えれば、ステップS1402の式1におけるMの範囲は、保健師Xが過去に行った全ての働きかけの事例データのうち、項目「働きかけ方の種類」の値が、ステップS1402で選択された働きかけ方の種類と一致する全ての事例データである。
【0124】
続いて、第二指標値算出部235は、
図10のステップS1002で特定された全ての種類の働きかけ方について、第二の指標値を算出したか否かを判定する(ステップS1404)。ステップS1404において、全ての働きかけ方の種類について、第二の指標値を算出していない場合、第二指標値算出部235は、ステップS1401へ戻る。
【0125】
ステップS1404において、全ての働きかけ方の種類について、第二の指標値が算出された場合、第二指標値算出部235は、処理を終了する。
【0126】
本実施形態では、このようにして、高齢者Yの種類に対する保健師Xの働きかけの成功のしやすさと、働きかけ方の種類毎の保健師Xの働きかけ方の成功のしやすさと、を算出する。言い換えれば、本実施形態では、このようにして、
図3に示す保健師Xの特性マップ201を算出する。
【0127】
また、本実施形態では、このように、保健師Xが行った働きかけの経験時期に関する情報を用いることで、第一の指標値及び第二の指標値を、働きかけを行った時期を考慮した値とすることができる。
【0128】
なお、式1では、関数w(t)を用いているが、関数w(t)は式1に含まれてなくてもよい。
【0129】
図15は、働きかけを表示する処理を説明する第六のフローチャートである。
図15は、
図11のステップS1104の詳細を示す。
【0130】
本実施形態の働きかけ表示部230は、働きかけ方特定部236により、保健師Xにとって、高齢者Yが成功経験の多い種類の高齢者であるか否かを判定する(ステップS1501)。言い換えれば、働きかけ方特定部236は、第一の指標値が所定の閾値以上であるか否かを判定する。所定の閾値は、予め設定されていてよい。所定の閾値の設定の詳細は後述する。
【0131】
ステップS1501において、高齢者Yが、保健師Xにとって成功経験の多い種類の高齢者でない場合、働きかけ方特定部236は、後述するステップS1505へ進む。言い換えれば、働きかけ方特定部236は、第一の指標値が所定の閾値未満である場合、後述するステップS1506へ進む。
【0132】
ステップS1501において、高齢者Yが、保健師Xにとって成功経験の多い種類の高齢者である場合、働きかけ方特定部236は、保健師Xにとって難易度の高い働きかけ方の種類を抽出する(ステップS1502)。言い換えれば、働きかけ方特定部236は、第一の指標値が所定の閾値以上である場合、第二の指標値が第一の条件を満たす働きかけ方の種類を抽出する。
【0133】
続いて、働きかけ方特定部236は、高齢者Yの健康状態データから、健康状態が良好であるか否かを判定する(ステップS1503)。具体的には、働きかけ方特定部236は、健康状態データに含まれる所定の回答の内容等に基づき、健康状態の判定を行ってもよい。
【0134】
ステップS1503において、高齢者Yの健康状態が良好ではないと判定された場合、働きかけ方特定部236は、後述するステップS1506へ進む。
【0135】
ステップS1503において、高齢者Yの健康状態が良好と判定された場合、働きかけ方特定部236は、ステップS1502で抽出された働きかけ方の種類を、保健師Xに提示する働きかけ方の種類に特定する(ステップS1504)。
【0136】
続いて、働きかけ表示部230は、表示制御部237により、特定された働きかけ方の種類に応じて、端末装置300に表示させる推奨情報を生成する(ステップS1505)。
【0137】
また、働きかけ方特定部236は、高齢者Yが、保健師Xにとって成功経験の多い種類の高齢者でない場合、又は、高齢者Yの健康状態が良好ではない場合、働きかけ方特定部236は、保健師Xにとって成功しやすい得意に働きかけ方の種類を抽出し(ステップS1506)、ステップS1504へ進む。言い換えれば、働きかけ方特定部236は、第二の指標値が第二の条件を満たす働きかけ方の種類を抽出し、ステップS1504へ進む。
【0138】
本実施形態では、このように、対象高齢者である高齢者Yの健康状態が良好でない場合には、第一の指標値に関わらず、保健師Xにとって成功しやすい働きかけ方の種類が特定される。したがって、本実施形態では保健師Xに対し、対象高齢者に負荷がかかるような働きかけ方が提示されることを抑制できる。
【0139】
ここで、本実施形態における所定の閾値と、第一の条件及び第二の条件について説明する。
【0140】
本実施形態における所定の閾値は、保健師Xの、高齢者Yと種類が一致する高齢者に対する成功経験の多さを判定するための閾値である。
【0141】
本実施形態において、所定の閾値は、保健師Xが過去に行った働きかけの経験量に基づき設定されてよい。保健師Xが過去に行った働きかけの経験量とは、言い換えれば、保健師Xが過去に働きかけを行った回数であり、保健師Xの事例データベース220に格納されている事例データのレコード数である。
【0142】
具体的には、本実施形態では、所定の閾値は、保健師Xの事例データベース220に格納されている事例データのレコード数に基づき予め設定された値であってもよい。
【0143】
また、所定の閾値は、高齢者の種類毎の、保健師Xの働きかけの成功のしやすさの平均値(中央値)であってもよい。言い換えれば、所定の閾値は、高齢者の種類1~種類5のそれぞれについて、保健師Xの第一の指標値を算出し、各種類に対する第一の指標値の平均値を、所定の閾値としてもよい。
【0144】
また、本実施形態では、高齢者の種類毎の、保健師Xの第一の指標値のうち、大きい方からn番目の値を所定の閾値としてもよい。
【0145】
また、本実施形態では、高齢者Yが、保健師Xにとって成功経験の多い種類の高齢者であるか否かの判定を、第一の指標値ではなく、高齢者Yと種類が一致する高齢者に対する働きかけが成功した確率に基づき、行ってもよい。
【0146】
この場合、所定の閾値は、成功確率に対して設定されてよく、予め所定の確率が設定されていてよい。また、所定の閾値は、高齢者の種類1~種類5のそれぞれについて、保健師Xの働きかけが成功した確率を算出し、各種類における成功した確率の平均値を、所定の閾値としてもよい。また、所定の閾値は、保健師Xの、各種類における成功した確率のうち、大きい方からn番目の値としてもよい。
【0147】
本実施形態では、このように、保健師Xの経験量に基づき所定の閾値を設定することで、保健師X自身の経験の範囲内で、保健師Xの得意不得意を判定することができる。
【0148】
さらに、本実施形態では、高齢者Yが保健師Xにとって成功経験の多い種類の高齢者であるか否かの判定を、保健師Xに対する質問の回答に基づき判定してもよい。この場合、本実施形態では、端末装置300に対して、「あなたはこの種類の高齢者に働きかけることに自信がありますか」等のテキストデータを出力し、保健師Xにより、肯定的な回答が入力された場合に、高齢者Yが保健師Xにとって成功経験の多い種類の高齢者である、と判定してもよい。
【0149】
また、本実施形態において、所定の閾値は、保健師X以外の保健師が過去に行った働きかけの経験量に基づき設定されてよい。全ての保健師が過去に行った働きかけの経験量とは、言い換えれば、全ての保健師が過去に働きかけを行った回数であり、全ての保健師の事例データベース220に格納されている事例データのレコード数である。
【0150】
この場合、本実施形態では、所定の閾値を、保健師X以外の各保健師の、高齢者Yと種類が一致する高齢者に対する働きかけの成功のしやすさの平均値(中央値)としてもよい。言い換えれば、本実施形態では、所定の閾値を、保健師X以外の保健師の、高齢者Yの種類に対する第一の指標値の平均値としてよい。
【0151】
また、本実施形態では、保健師Xを含む全ての保健師の、高齢者Yの種類に対する第一の指標値を算出し、算出され第一の指標値のうち、大きい方からn番目の値を所定の閾値としてもよい。
【0152】
また、本実施形態では、高齢者Yが保健師Xにとって成功経験の多い種類の高齢者であるか否かの判定を、高齢者Yと種類が一致する高齢者に対する働きかけが成功した確率に基づき行う場合に、全ての保健師の働きかけの経験量に基づき、所定の閾値を設定してもよい。
【0153】
この場合、所定の閾値は、保健師X以外の保健師について、高齢者Yと種類が一致する高齢者に対する働きかけが成功した確率を算出し、算出された各保健師の確率の平均値(中央値)としてもよい。
【0154】
また、この場合、本実施形態では、保健師Xを含む全ての保健師の、高齢者Yと種類が一致する高齢者に対する働きかけが成功した確率を算出し、算出され確率のうち、大きい方からn番目の値を所定の閾値としてもよい。
【0155】
本実施形態では、このように、実際の働きかけを行う予定の保健師X以外の保健師の経験量を参照して、所定の閾値を設定することで、高齢者Yが保健師Xにとって成功経験の多い種類の高齢者であるか否かを、客観的な観点で判定することができる。したがって、例えば、働きかけを行う予定である保健師Xの経験量が少ない場合や、保健師Xが過信している場合等において、適正な判定を行うことができる。
【0156】
さらに、本実施形態では、高齢者Yが保健師Xにとって成功経験の多い種類の高齢者であるか否かの判定を、他の保健師に対する質問の回答に基づき判定してもよい。この場合、本実施形態では、端末装置300に対して、「あなたは保健師Xに、この種類の高齢者の働きかけを任せてもよいと思いますか」等のテキストデータを出力し、保健師X以外の保健師により、肯定的な回答が入力された場合に、高齢者Yが保健師Xにとって成功経験の多い種類の高齢者である、と判定してもよい。
【0157】
次に、本実施形態の第一の条件と第二の条件について説明する。本実施形態における第一の条件は、保健師Xにとって難易度の高い、チャレンジングな働きかけ方の種類を抽出するための条件であり、第二の条件は、保健師Xにとって得意であり、成功し易い働きかけ方の種類を抽出するための条件である。
【0158】
本実施形態において、第一の条件と第二の条件は、保健師Xが過去に行った働きかけの経験量に基づき設定されてよく、第一の条件と第二の条件は、それぞれが、第二の閾値の範囲を示してもよい。
【0159】
例えば、本実施形態では、第一の条件を、第二の閾値が、x1以上x2未満の範囲であることとし、第二の条件を、第二の閾値がx2以上の範囲であること、としてもよい。この場合、例えば、x1=10、x2=20であってよい。
【0160】
また、第一の条件と第二の条件は、働きかけ方の種類毎の、保健師Xの働きかけの成功のしやすさの平均値(中央値)を用いてもよい。
【0161】
例えば、本実施形態では、第一の条件を、保健師Xの働きかけ方の種類毎の第二の指標値の平均値から±xの範囲とし、第二の条件を、保健師Xの働きかけ方の種類毎の第二の指標値の平均値+xより大きい範囲としてもよい。この場合、例えば、x=10であってよい。
【0162】
また、本実施形態では、働きかけ方の種類毎の第二の指標値を大きい順にソートしたときに中間順位となる第二の指標値から±xの範囲を第一の条件としてもよい。この場合、例えば、x=10であってよい。
また、このとき、第二の条件は、働きかけ方の種類毎の第二の指標値を大きい順にソートしたときに、上位x%に含まれる値の範囲としてもよい。この場合、例えば、x=30であってよい。
【0163】
また、本実施形態では、第一の条件と第二の条件は、保健師Xの働きかけ方の種類毎の成功確率に対して、設定されてもよい。
【0164】
この場合、例えば、第一の条件を、成功確率x1[%]以上x2[%]未満の範囲とし、第二の条件を成功確率x2[%]以上の範囲としてもよい。この場合、例えば、x1=50、x2=70であってよい。
【0165】
また、本実施形態では、働きかけ方の種類A~種類Eの働きかけの成功確率の平均値±x[%]の範囲を、第一の条件としてもよい。働きかけ方の種類A~種類Eの働きかけの成功確率の平均値+xより大きい範囲を、第二の条件としてもよい。この場合、例えば、x=10であってよい。
【0166】
また、本実施形態では、働きかけ方の種類毎の成功確率を大きい順にソートしたときの中間順位の値から±x[%]の範囲を第一の条件としてもよい。この場合、本実施形態では、働きかけ方の種類毎の成功確率を大きい順にソートしたときに、上位x%に含まれる確率の範囲としてもよい。この場合、例えば、x=30であってよい。
【0167】
また、本実施形態では、保健師Xの端末装置300に対して、「あなたにとって、この働きかけ方はチャレンジングな働きかけ方だと思いますか」等のテキストデータを出力し、保健師Xにより、肯定的な回答が入力された場合に、第二の指標値が第一の条件を満たすものとしてもよい。
【0168】
また、本実施形態では、保健師Xの端末装置300に対して、「あなたは、この働きかけ方に自信がありますか」等のテキストデータを出力し、保健師Xにより、肯定的な回答が入力された場合に、第二の指標値が第二の条件を満たすものとしてもよい。
【0169】
また、本実施形態において、第一の条件と第二の条件は、保健師X以外の保健師を含む全ての保健師が過去に行った働きかけの経験量に基づき設定されてよい。
【0170】
本実施形態では、働きかけ方の種類A~種類Eのそれぞれについて、保健師X以外の各保健師の第二の指標値を算出し、働きかけ方の種類毎に、第一の条件と第二の条件を設定してよい。
【0171】
本実施形態では、例えば、働きかけ方の種類毎の第一の条件を、保健師X以外の保健師の第二の指標値の平均値(中央値)±xの範囲とし、第二の条件を、働きかけ方の種類毎の保健師X以外の各保健師の第二の指標値の平均値+xより大きい範囲としてもよい。この場合、例えば、x=10であってよい。
【0172】
また、本実施形態では、働きかけ方の種類毎の第一の条件を、保健師Xを含む全保健師の第二の指標値を大きい順にソートしたときに中間順位となる第二の指標値から±xの範囲としてもよい。この場合、例えば、x=10であってよい。
【0173】
また、働きかけ方の種類毎の第二の条件は、働きかけ方の種類毎の第二の指標値を大きい順にソートしたときに、上位x%に含まれる値の範囲としてもよい。この場合、例えば、x=30であってよい。
【0174】
また、本実施形態では、第一の条件と第二の条件は、全ての保健師が行った過去の働きかけ方の種類毎の成功確率に対して、設定されてもよい。
【0175】
この場合、例えば、働きかけ方の種類毎の第一の条件を、成功確率がx1[%]以上x2[%]未満の範囲であり、且つ、全ての保健師うち、成功確率がx1[%]以上x2[%]未満の範囲となる保健師の割合がy[%]以上であること、としてもよい。この場合、例えば、x1=50、x2=70、y=80であってよい。
【0176】
また、働きかけ方の種類毎の第二の条件は、成功確率がx3[%]以上であり、且つ、全ての保健師うち、成功確率がx1[%]以上x2[%]未満の範囲となる保健師の割合がy[%]以上であること、としてもよい。この場合、例えば、x1=50、x2=70、x3=80、y=80であってよい。
【0177】
また、本実施形態では、働きかけ方の種類毎の第一の条件を、保健師X以外の保健師の成功確率の平均値±x[%]以内の範囲とし、働きかけ方の種類毎の第二の条件を、保健師X以外の保健師の成功確率の平均値+xより大きい範囲としてもよい。この場合、x=5であってよい。
【0178】
また、本実施形態では、働きかけ方の種類毎の第一の条件を、保健師Xを含む全保健師の成功確率を大きい順にソートしたときの中間順位±x位以内の範囲としてもよい。この場合、働きかけ方の種類毎の第二の条件は、保健師Xを含む全保健師の成功確率を大きい順にソートしたときの上位x2位以内としてもよい。この場合、x1=10、x2=30であってよい。
【0179】
本実施形態では、このように、実際の働きかけを行う予定の保健師X以外の保健師の経験量を参照して、第一の条件と第二の条件を設定することで、働きかけ方の種類毎に、保健師Xにとって難易度の高い働きかけ方であるか否か、又は、保健師Xが得意な働きかけ方であるかを、客観的な観点で判定することができる。
【0180】
したがって、例えば、働きかけを行う予定である保健師Xの経験量が少ない場合や、保健師Xが過信している場合等において、適正な判定を行うことができる。
【0181】
さらに、本実施形態では、働きかけ方の種類が、保健師Xにとって難易度が高い働きかけ方であるか、又は、得意な働きかけ方であるか否かの判定を、他の保健師に対する質問の回答に基づき判定してもよい。
【0182】
具体的には、例えば、本実施形態では、保健師X以外の保健師の端末装置300に対して、「あなたは、保健師Xにとって、この働きかけ方はチャレンジングな働きかけ方だと思いますか」等のテキストデータを出力し、所定人数以上の保健師により、肯定的な回答が入力された場合に、第二の指標値が第一の条件を満たすものとしてもよい。
【0183】
また、本実施形態では、保健師X以外の保健師の端末装置300に対して、「あなたは、この働きかけ方の種類は、保健師Xにとって得意な働きかけ方だと思いますか」等のテキストデータを出力し、所定人数以上の保健師により、肯定的な回答が入力された場合に、第二の指標値が第二の条件を満たすものとしてもよい。
【0184】
また、本実施形態では、例えば、働きかけ方の種類毎に、保健師Xに対して、他の保健師が成功した働きかけ方を提示することで、この働きかけ方と対応する第二の指標値が、所定値以上大きくなることを、第一の条件としてもよい。
【0185】
以下に、保健師Xの働きかけ方の種類Aに対する第二の指標値が、他の保健師の働きかけ方の種類Aに対する第二の指標値の平均値よりも小さい場合について考える。
【0186】
この場合、本実施形態では、保健師Xに対し、他の保健師が働きかけ方の種類Aで働きかけを行った場合の成功事例を端末装置300に表示して、保健師Xに成功事例を習得させた場合の、保健師Xの働きかけ方の種類Aに対する第二の指標値の上昇の仕方を推定してもよい。
【0187】
そして、本実施形態では、保健師Xの働きかけ方の種類Aに対する第二の指標値が、働きかけ方の種類Aを得意とする他の保健師の第二の指標値程度まで上昇する可能性がある、と推定された場合に、働きかけ方の種類Aを、第一の条件を満たす働きかけ方の種類に特定してよい。言い換えれば、働きかけ方の種類Aを、チャレンジングな働きかけ方の種類に特定してもよい。
【0188】
本実施形態では、このように、なんらかの工夫をすることで、成功のしやすさが一定の条件を満たすようになる可能性がある働きかけ方の種類を、第一の条件を満たすチャレンジングな働きかけ方の種類に特定してもよい。
【0189】
次に、
図16は、働きかけを表示する処理を説明する第七のフローチャートである。
図16は、
図15に示すステップS1505の処理の詳細を示す。
【0190】
本実施形態の働きかけ表示部230は、表示制御部237により、ステップS1504において特定された働きかけ方で働きかけを行ったときの事例データを、全ての保健師の事例データベース220から取得し、抽出された事例データから行動要因を抽出する(ステップS1601)。
【0191】
具体的には、働きかけ表示部230は、全ての保健師の事例データベース220から、項目「働きかけ方の種類」の値が、ステップS1504で特定された値と一致する事例データを取得し、取得した事例データに含まれる項目「行動要因1」~「行動要因5」の値を抽出する。
【0192】
続いて、表示制御部237は、対象高齢者である高齢者Yについて、項目「行動要因1」~「行動要因5」の値を求め、ステップS1601で抽出された他の高齢者の行動要因との類似度を算出する(ステップS1602)。
【0193】
続いて、表示制御部237は、類似度が上位となるN人の高齢者を特定し(ステップS1603)、特定した高齢者の事例データを取得する(ステップS1604)。
【0194】
続いて、表示制御部237は、取得した事例データを用いて、推奨情報を生成する(ステップS1604)。推奨情報の詳細は後述する。
【0195】
図17は、表示例を示す第一の図である。
図17に示す画面171は、保健師の端末装置300に推奨情報が表示された画面の一例である。
【0196】
画面171では、第二の指標値が第一の条件を満たす働きかけ方の種類が抽出された場合の推奨情報が表示されている。
【0197】
画面171は、表示領域172、173を含む。表示領域172は、働きかけ方の種類を示す情報が表示される。表示領域173は、働きかけ方の種類と対応する過去の成功事例を示す情報が表示される
なお、本実施形態では、表示領域172に、推奨された働きかけ方が、保健師Xにとって難易度の高い、チャレンジングな働きかけ方であることを示す情報が表示されてもよい。
【0198】
表示領域173は、例えば、
図16のステップS1604において取得された事例データのうち、項目「働きかけ結果」の値が「成功」とされた事例データが表示されてよい。
【0199】
図18は、表示例を示す第二の図である。
図18に示す画面181は、保健師の端末装置300に推奨情報が表示された画面の一例である。
【0200】
画面181では、第二の指標値が第二の条件を満たす働きかけ方の種類が抽出された場合の推奨情報が表示されている。
【0201】
画面181は、表示領域172a、173aを含む。
図18の例では、表示領域172aには、推奨された働きかけ方が、保健師Xにとって得意な働きかけ方であることを示す情報が表示されてもよい。
【0202】
表示領域172aは、例えば、
図16のステップS1604において取得された事例データのうち、項目「働きかけ結果」の値が「成功」とされた事例データが表示されてよい。
【0203】
なお、
図17、
図18では、働きかけ方特定部236により特定された働きかけ方の種類が1つである場合を示しているが、特定される働きかけ方の種類は複数であってもよい。
【0204】
図19は、表示例を示す第三の図である。
図19に示す画面191では、保健師Xにとって難易度が高い働きかけ方を示す推奨情報と、保健師Xにとって得意に働きかけ方を示す推奨情報の両方が表示されている。
【0205】
画面191は、表示領域192、193を含む。表示領域192は、第一の指標値が所定の閾値以上であり、且つ、高齢者Yの健康状態が良好である場合に該当する推奨情報が表示される。また。表示領域193には、第一の指標値が所定の閾値未満であるか、又は、高齢者Yの健康状態が良好ではない場合に該当する推奨情報が表示される。
【0206】
本実施形態では、このように、それぞれの場合に応じた推奨情報を一覧として端末装置300に表示させてもよい。
【0207】
なお、この場合には、保健師Xに対して推奨される順に、推奨情報を表示してよい。
図19の例では、第一の指標値が所定の閾値以上であり、且つ、高齢者Yの健康状態が良好であったとする。
【0208】
この場合、保健師Xにとっては、難易度が高い働きかけ方を示す推奨情報が優先的に推奨される。したがって、画面191では、表示領域192が表示領域193の上段に表示される。
【0209】
また、例えば、第一の指標値が所定の閾値未満であるか、又は、高齢者Yの健康状態が良好ではない場合には、画面191において、表示領域193が、表示領域192の上段に表示されてよい。
【0210】
本実施形態では、このように、保健師Xに対して推奨情報を提示することで、保健師Xに対して、成長機会となる働きかけ方を提示することができる。
【0211】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、第一の指標値と第二の指標値を算出する際に、指導者が直接経験した事例データに加え、指導者が学習した他の指導者の事例データを用いる点が、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
【0212】
図20は、第二の実施形態の働きかけ表示システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0213】
本実施形態の働きかけ表示システム100Aは、情報処理装置200Aと、端末装置300を含む。
【0214】
情報処理装置200Aは、対象者データベース210、事例データベース220、習得済み事例データベース240、働きかけ表示部230Aを有する。
【0215】
習得済み事例データベース240は、保健師X以外の保健師が過去に経験した事例を示す事例データのうち、保健師Xが研修等において学習を行い、働きかけ方を習得した事例データである。以下の説明では、習得済み事例データベース240に格納されている事例データを、習得済み事例データと表現する場合がある。
なお、本実施形態では、保健師X自身が経験した事例が研修で取り上げられた場合には、その事例を示す事例データも、習得済み事例データベース240に含まれてよい。
【0216】
働きかけ表示部230Aは、事例データベース220と、習得済み事例データベース240とを参照して第二の指標値を算出する。
【0217】
図21は、第二の実施形態の働きかけ表示部の機能構成を説明する図である。本実施形態の働きかけ表示部230Aは、データ取得部231、データベース構築部232、種類推定部233、第一指標値算出部234A、第二指標値算出部235A、働きかけ方特定部236、表示制御部237、特性マップ生成部238を有する。
【0218】
本実施形態の第一指標値算出部234Aと第二指標値算出部235Aは、働きかけ方の種類毎の成功のしやすさを示す第二の指標値を算出する際に、保健師Xの事例データベース220に格納された事例データと、保健師Xの習得済み事例データベース240に格納された習得済み事例データとを用いる。
【0219】
具体的には、第一指標値算出部234Aは、
図13のステップS1302において、事例データベース220から、高齢者Yと種類が一致する事例データを抽出し、習得済み事例データベース240から高齢者Yと種類が一致する習得済み事例データを取得する。
【0220】
続いて、第一指標値算出部234Aは、
図13のステップS1303において、
高齢者Yと種類が一致する事例データ及び習得済みデータを用いて、ステップS1301で選択された働きかけ方の種類に対する、保健師Xの成功のしやすさである第二の指標値E(a)を算出する。
【0221】
本実施形態の第二指標値算出部235Aは、
図14のステップS1401において、保健師Xの事例データベース220及び習得済み事例データベース240から、高齢者Yに対して成功確率の高い働きかけ方の種類の事例データ及び習得済み事例データを取得する。
【0222】
そして、第二指標値算出部235Aは、ステップS1403において、取得された事例データ及び習得済みデータを用いて、選択された働きかけ方の種類の成功のしやすさを示す第二の指標値E(a)を算出する。
【0223】
第二の指標値E(a)は、以下の式2によって算出される。
【数2】
【0224】
なお、式2において、係数αは、保健師Xが経験した事例の事例データに対する重みを示し、係数βは、保健師Xが学習した事例の習得済み事例データに対する重みを示す。なお、係数αと係数βとは、異なる値である。
【0225】
また、第一指標値算出部234Aが式2を用いる際のM1の範囲は、事例データベース220に格納されている事例データのうち、高齢者Yと種類が一致する高齢者に対する働きかけを行ったときの事例データである。
【0226】
第一指標値算出部234Aが式2を用いる際のM2の範囲は、保健師Xの習得済み事例データベース240に格納されている習得済み事例データのうち、高齢者Yと種類が一致する習得済み事例データである。
【0227】
また、第二指標値算出部235Aが式2を用いる際のM1の範囲は、事例データベース220に格納された事例データのうち、高齢者Yに対して成功確率の高い働きかけ方の種類の事例データである。第二指標値算出部235Aが式2を用いる際のM2の範囲は、取得済み事例データベース240に格納された習得済み事例データのうち、高齢者Yに対して成功確率の高い働きかけ方の種類の習得済み事例データである。
【0228】
本実施形態では、このように、他の保健師が経験した事例データを学習した結果を用いて、第一の指標値と第二の指標値とを算出することができる。
【0229】
本実施形態の特性マップ生成部238は、第一指標値算出部234Aにより算出した第一の指標値と、第二指標値算出部235Aにより算出した第二の指標値とを用いて、保健師の特性を示す特性マップ情報を生成して、保健師毎に特性マップ情報を保持する。
【0230】
そして、本実施形態の情報処理装置200Aは、例えば、高齢者を訪問する保健師を選択する際に、働きかけ表示システム100の管理者等の操作に応じて、保健師毎の特性マップ情報を表示させてよい。
【0231】
特性マップ情報は、例えば、
図2、
図3に示す特性マップ201のような形態で表示されてよい。
また、本実施形態では、保健師の特性を示す特性マップ情報を
図2、
図3に示す特性マップ201のような形態でを表示させる際に、保健師の高齢者の種類毎の事例の経験回数と、保健師の働きかけ方の種類毎の事例の経験回数とに応じて色の濃淡を異ならせた形態で表示させてもよい。言い換えれば、本実施形態では、保健師の特性を示す特性マップ情報を表示させる際に、保健師が獲得した経験量に応じて色の濃淡を異ならせたヒートマップとして表示してもよい。
また、本実施形態では、保健師の特性を示す特性マップ情報を表示させる際に、過去のある時期から現時点までの保健師の高齢者の種類毎の事例の経験回数と、保健師の働きかけ方の種類毎の事例の経験回数とが視認できるように、表示されてもよい。具体的には、例えば、特性マップ情報は、経験回数が増加分が大きい領域ほど色が濃く、経験回数の増加分が少ない領域ほど色が薄くなるように、表示されてもよい。
言い換えれば、保健師の特性を示す特性マップ情報は、過去のある時点における保健師の経験量と、現時点の保健師の経験量との差分として表示させてもよい。
このように、特性マップ情報を表示させることで、例えば、新人の保健師等に対し、自身の成長を視覚的に実感させることができ、新たな取り組みへの意欲を向上させることができる。
【0232】
本実施形態では、このように、保健師の特性を示す情報を生成して表示させることで、保健師の高齢者の種類に対する得手不得手と、保健師の働きかけ方の種類に対する得手不得手とを、管理者等に視認させることができる。
【0233】
したがって、本実施形態では、管理者は、保健師に割り当てる高齢者を検討をするとき、保健師に経験してほしい働きかけ方の種類や高齢者の種類等に応じて、割り当てを行うことができる。例えば、保健師に対して、新しい経験をしてほしい場合、保健師に対して成功しやすい高齢者に対する経験を積んでほしい場合等において、管理者は、保健師の特性を示す情報を参照すればよい。
このように、本実施形態によれば、管理者による、高齢者に対して働きかけを行う保健師を割り当てる作業を支援することができる。
【0234】
開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
コンピュータによる働きかけ表示方法であって、前記コンピュータが、
指導者が行った過去の働きかけの経験回数に基づき、指導予定の対象者の種類に対する前記指導者の働きかけの成功のしやすさを示す指標値と、所定の閾値とを比較し、
前記指標値が前記所定の閾値以上である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が少ないと判定された働きかけ方を示す推奨情報を端末装置に表示させ、
前記指標値が前記所定の閾値未満である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が多いと判定された働きかけ方を示す推奨情報を前記端末装置に表示させる、働きかけ表示方法。
(付記2)
前記コンピュータが、
前記指導者が行った過去の働きかけの経験回数に基づき、働きかけ方の種類毎の前記指導者による働きかけの成功のしやすさを示す他の指標値を算出し、
前記他の指標値が、第一の条件を満たす働きかけ方の種類を、前記過去の働きかけのうち、経験回数が少ない働きかけ方と判定し、
前記他の指標値が、第二の条件を満たす働きかけ方の種類を、前記過去の働きかけのうち、経験回数が多い働きかけ方と判定する、付記1記載の働きかけ表示方法。
(付記3)
前記コンピュータが、
前記指導者が行った過去の働きかけにおける働きかけ方の種類を示す情報と、前記対象者を特定する情報と、前記対象者の種類を示す情報と、を含む事例データが格納された記憶部を参照し、
前記指導予定の対象者と種類が一致する対象者に対して行われた全ての種類の働きかけ方のうち、働きかけが成功した確率が所定値以上となる働きかけ方の種類を特定し、
前記指導者が行った過去の働きかけの経験回数を、
特定された種類の働きかけ方で、前記指導予定の対象者と種類が一致する対象者に対して働きかけた場合における働きかけの経験回数とする、付記2記載の働きかけ表示方法。
(付記4)
前記指標値と、前記他の指標値とは、前記指導者が働きかけを行った時期を示す情報を用いて算出される、付記1乃至3の何れか一項に記載の働きかけ表示方法。
(付記5)
前記推奨情報は、
前記働きかけ方の種類を示す情報と、
前記働きかけ方の種類で働きかけを行って、働きかけが成功した場合の事例データの一部を含む、付記1乃至4の何れか一項に記載の働きかけ表示方法。
(付記6)
前記コンピュータが、
前記指導者が行った過去の働きかけの経験回数と、
他の指導者が行った過去の働きかけのうち、前記指導者が働きかけ方を習得した働きかけの経験回数と、
を用いて前記指標値と前記所定の閾値とを比較する、付記1乃至5の何れか一に記載の働きかけ表示方法。
(付記7)
前記コンピュータが
前記対象者の状態を示す情報を取得し、
前記指標値が前記所定の閾値以上である場合に、前記対象者の状態に応じて、前記推奨情報として表示させる働きかけ方を、前記経験回数が多いと判定された働きかけ方とするか、又は、前記経験回数が少ないと判定された働きかけ方とするかを判定する、付記1乃至6の何れか一項に記載の働きかけ表示方法。
(付記8)
前記対象者の状態は、前記対象者の健康状態である、付記7記載の働きかけ表示方法。(
図15)
(付記9)
指導者が行った過去の働きかけの経験回数に基づき、指導予定の対象者の種類に対する働きかけの成功のしやすさを示す指標値と、所定の閾値とを比較し、
前記指標値が前記所定の閾値以上である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が少ないと判定された働きかけ方を示す推奨情報を端末装置に表示させ、
前記指標値が前記所定の閾値未満である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が多いと判定された働きかけ方を示す推奨情報を前記端末装置に表示させる、処理をコンピュータに実行させる、働きかけ表示プログラム。
(付記10)
指導者が行った過去の働きかけの経験回数に基づき、指導予定の対象者の種類に対する働きかけの成功のしやすさを示す指標値と、所定の閾値とを比較する処理部と、
前記指標値が前記所定の閾値以上である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が少ないと判定された働きかけ方を示す推奨情報を端末装置に表示させ、
前記指標値が前記所定の閾値未満である場合に、前記過去の働きかけのうち、経験回数が多いと判定された働きかけ方を示す推奨情報を前記端末装置に表示させる表示制御部と、を有する情報処理装置。
本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0235】
100 働きかけ表示システム
200、200A 情報処理装置
210 対象者データベース
220 事例データベース
230、230A 働きかけ表示部
231 データ取得部
232 データベース構築部
233 種類推定部
234、234A 第一指標値算出部
235、235A 第二指標値算出部
236 働きかけ方特定部
237 表示制御部
238 特性マップ生成部
300 端末装置