(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077854
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】施解錠装置
(51)【国際特許分類】
E05B 47/00 20060101AFI20240603BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
E05B47/00 R
E05B49/00 B
E05B49/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190052
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000147442
【氏名又は名称】株式会社WEST inx
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】西 康雄
(72)【発明者】
【氏名】勝部 博行
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA01
2E250BB02
2E250CC11
2E250DD01
2E250DD09
2E250FF02
(57)【要約】
【課題】認証を経て解錠されるものであって、使用者が解錠されたという実感を持ちやすい施解錠装置を提供することを課題とする。
【解決手段】シリンダー部材21は、直接的または間接的に出力部材13と係合し、シリンダー部材21を操作することによって前記出力部材13を回動させることが可能であり、手動操作部材11は、シリンダー部材21に対して外側の位置に配されており、認証手段の信号によって駆動部材30を動作させてクラッチ部材15を介して手動操作部材11と出力部材13を係合させ、その状態で手動操作部材11を操作して出力部材13を回動させることが可能である施解錠装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉に取り付けられて錠本体を施解錠する施解錠装置において、
鍵によって回動されるシリンダー部材と、所定の操作によって認証を行う認証手段と、直接的又は間接的に錠本体と係合する出力部材と、手動操作部材と、当該手動操作部材と前記出力部材を係合・離脱させるクラッチ部材と、前記認証手段の信号によって動作し前記クラッチ部材を動作させる駆動部材とを有し、
前記シリンダー部材は、直接的または間接的に前記出力部材と係合し、前記シリンダー部材を操作することによって前記出力部材を回動させることが可能であり、
前記手動操作部材は、前記シリンダー部材に対して外側の位置に配されており、前記認証手段の信号によって前記駆動部材を動作させて前記クラッチ部材を介して前記手動操作部材と前記出力部材を係合させ、その状態で前記手動操作部材を操作して出力部材を回動させることが可能であることを特徴とする施解錠装置。
【請求項2】
前記手動操作部材として機能する外筒部材を有し、前記外筒部材は前記シリンダー部材を内包し前記シリンダー部材に対して回動可能であることを特徴とする請求項1に記載の施解錠装置。
【請求項3】
前記クラッチ部材は、前記外筒部材の内周部に設けられた外筒側係合部と、前記出力部材に対して回動方向には一体的に係合し且つ軸方向には移動可能な移動側係合部材を有し、
常時は前記移動側係合部材と前記外筒側係合部は非係合状態であり、前記駆動部材によって前記移動側係合部材が移動して前記移動側係合部材と前記外筒側係合部が係合し、前記手動操作部材を操作して前記出力部材を回動させることができる状態となることを特徴とする請求項2に記載の施解錠装置。
【請求項4】
前記外筒側係合部は、前記外筒部材の軸方向にのびる溝又は凹部であり、前記移動側係合部材は外周部に突起を有し、当該突起が前記溝又は凹部と係合することを特徴とする請求項3に記載の施解錠装置。
【請求項5】
取付板と内筒部材を有し、当該内筒部材に前記シリンダー部材が内蔵され、前記内筒部材は前記取付板に固定された状態で前記扉に固定され、前記内筒部材の周囲に前記外筒部材が回動可能に被せられていることを特徴とする請求項2に記載の施解錠装置。
【請求項6】
前記駆動部材は、一定時間の間動作して前記クラッチ部材を介して前記手動操作部材と前記出力部材を係合させ、一定時間が経過すると前記手動操作部材と前記出力部材の係合が解除されることを特徴とする請求項1に記載の施解錠装置。
【請求項7】
施錠状態であるか解錠状態であるかを検知する施解錠状態検知手段を有し、解錠状態である場合には、前記認証手段の認証に関わらず前記手動操作部材を操作して出力部材を回動させることが可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の施解錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉に取り付けられて錠本体と係合し、錠本体を動作させて施解錠する施解錠装置に関するものである。
【0002】
代表的な玄関扉は、扉の内部に錠本体が内蔵され、扉の表面側に施解錠装置が配された構造となっている。
施解錠装置は、例えばシリンダー錠の様に鍵を鍵穴に挿入して錠本体を動作させるものである。また近年、テンキー錠や、カード錠と称される様な、鍵以外のもので施解錠するものも多用されている。
特許文献1には、テンキーに暗証番号を入力することによりソレノイドを作動させて解錠する電動式解錠と、シリンダー錠を鍵で操作することによって解錠するキー式解錠の二方式を備えた施解錠装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された施解錠装置を使用して扉を解錠する際、鍵を使用する場合は鍵穴に鍵を挿入して鍵を回す。一方、電動式解錠を行う際には、テンキーを操作する。ここで特許文献1に開示された施解錠装置は、テンキーで暗証番号を入力するとソレノイドが動作し、解錠されることとなる。
特許文献1に開示された施解錠装置では、テンキーを操作するだけで解錠されてしまうので、使用者は解錠したという実感が乏しい。
本発明は、この問題を解消するものであり、認証を経て解錠されるものであって、使用者が解錠されたという実感を持ちやすい施解錠装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するための態様は、扉に取り付けられて錠本体を施解錠する施解錠装置において、鍵によって回動されるシリンダー部材と、所定の操作によって認証を行う認証手段と、直接的又は間接的に錠本体と係合する出力部材と、手動操作部材と、当該手動操作部材と前記出力部材を係合・離脱させるクラッチ部材と、前記認証手段の信号によって動作し前記クラッチ部材を動作させる駆動部材とを有し、前記シリンダー部材は、直接的または間接的に前記出力部材と係合し、前記シリンダー部材を操作することによって前記出力部材を回動させることが可能であり、前記手動操作部材は、前記シリンダー部材に対して外側の位置に配されており、前記認証手段の信号によって前記駆動部材を動作させて前記クラッチ部材を介して前記手動操作部材と前記出力部材を係合させ、その状態で前記手動操作部材を操作して出力部材を回動させることが可能であることを特徴とする施解錠装置である。
【0006】
本態様の施解錠装置は、認証手段の信号によって駆動部材を動作させ、クラッチ部材を介して手動操作部材と出力部材を係合させる。
本態様の施解錠装置では、テンキー等の認証手段で認証が完了した場合に行われる動作は、手動操作部材と出力部材を係合させる動作に止まる。そのため本態様の施解錠装置を使用して解錠を行う場合には、さらに手動で手動操作部材を操作して出力部材を回動させることが必要となる。即ち本態様の施解錠装置では、鍵を使用する場合と同様に、手動操作部材で出力部材を回動させることによって錠本体の解錠が完了する。そのため、使用者は、錠本体が解錠されたという実感を持つことができる。
【0007】
上記した態様において、前記手動操作部材として機能する外筒部材を有し、前記外筒部材は前記シリンダー部材を内包し前記シリンダー部材に対して回動可能であることが望ましい。
【0008】
本態様の施解錠装置は外筒部材を有し、外筒部材が手動操作部材として機能する。
本態様の施解錠装置では、認証手段で認証が行われると、クラッチ部材を介して外筒部材と出力部材が係合する。
この状態で使用者が外筒部材を回動させると、出力部材が回動して錠本体の解錠が完了する。そのため、使用者は、外筒部材を回動させるという動作によって、錠本体が解錠されたという実感を持つことができる。
【0009】
上記した態様において、前記クラッチ部材は、前記外筒部材の内周部に設けられた外筒側係合部と、前記出力部材に対して回動方向には一体的に係合し且つ軸方向には移動可能な移動側係合部材を有し、常時は前記移動側係合部材と前記外筒側係合部は非係合状態であり、前記駆動部材によって前記移動側係合部材が移動して前記移動側係合部材と前記外筒側係合部が係合し、前記手動操作部材を操作して前記出力部材を回動させることができる状態となることが望ましい。
【0010】
本態様によると、全体を小型化することができる。
【0011】
上記した態様において、前記外筒側係合部は、前記外筒部材の軸方向にのびる溝又は凹部であり、前記移動側係合部材は外周部に突起を有し、当該突起が前記溝又は凹部と係合することが望ましい。
【0012】
本態様によると、全体を小型化することができる。
【0013】
上記した態様において、取付板と内筒部材を有し、当該内筒部材に前記シリンダー部材が内蔵され、前記内筒部材は前記取付板に固定された状態で前記扉に固定され、前記内筒部材の周囲に前記外筒部材が回動可能に被せられていることが望ましい。
【0014】
本態様は、施解錠装置の望ましい構造を示すものである。
本態様の施解錠装置では、内筒部材にシリンダー部材が内蔵されている。また外筒部材は内筒部材を内包し、外筒部材は内筒部材に対して回動可能である。
【0015】
上記した態様において、前記駆動部材は、一定時間の間動作して前記クラッチ部材を介して前記手動操作部材と前記出力部材を係合させ、一定時間が経過すると前記手動操作部材と前記出力部材の係合が解除されることが望ましい。
【0016】
本態様によると、一定時間が経過すると解錠できない状態に復帰するので、防犯性が高い。一定時間は任意であるが例えば数秒である。
【0017】
上記した態様において、施錠状態であるか解錠状態であるかを検知する施解錠状態検知手段を有し、解錠状態である場合には、前記認証手段の認証に関わらず前記手動操作部材を操作して出力部材を回動させることが可能であることが望ましい。
【0018】
本態様によると、施錠については認証せずに行うことができるので利便性が高い。
【発明の効果】
【0019】
本発明の施解錠装置によると、使用者が解錠されたという実感を持ち易く、安心感がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態の施解錠装置を錠本体と組み合わせた状態における斜視図である。
【
図2】
図1の施解錠装置の本体部であって、(a)は、鍵穴側(手前側)から観察した斜視図であり、(b)は、その反対側(先端側)から観察した斜視図である。
【
図3】
図1の施解錠装置の本体部の分解斜視図である。
【
図4】
図1の施解錠装置の本体部であって、(a)は、認証手段が未認証であって外筒部材と出力部材が係合していない状態の断面図及びその一部拡大図であり、(b)は、認証手段が認証されて外筒部材と出力部材が係合している状態の断面図及びその一部拡大図である。
【
図5】
図1の施解錠装置の本体部であって、外筒部材と内筒部材及び取付板の関係を示す断面図である。
【
図6】
図1の施解錠装置の内筒部材であって、(a)は、鍵穴の反対側(先端側)から観察した斜視図であり、(b)は、鍵穴側(手前側)から観察した斜視図であり、(c)は、鍵穴の反対側(先端側)から観察した正面図である。
【
図7】
図1の施解錠装置の内筒部材に内蔵されるシリンダー部材(回動版を含む)であって、(a)は、鍵穴側(手前側)から観察した斜視図であり、(b)は、その反対側(先端側)から観察した斜視図である。
【
図8】
図1の施解錠装置の外筒部材に内蔵される出力部材であって、(a)は、鍵穴の反対側(先端側)から観察した斜視図であり、(b)は、鍵穴側(手前側)から観察した斜視図である。
【
図9】
図1の施解錠装置の外筒部材に内蔵されるクラッチの移動側係合部材の斜視図である。
【
図10】(a)は、
図1の施解錠装置の外筒部材に内蔵されるクラッチの押圧部材を一方から観察した斜視図であり、(b)は、他方から観察した斜視図である。
【
図11】
図1の施解錠装置の外筒部材の斜視図である。
【
図12】
図1の施解錠装置の外筒部材に取り付けられる外筒側係合部であり、(a)はその斜視図であり、(b)は、その断面図である。
【
図13】
図1の施解錠装置のクラッチ部分の斜視図であり、(a)は当該クラッチが切れている状態を示し、(b)は、当該クラッチが繋がっている状態を示す。
【
図14】
図1の施解錠装置のクラッチ部分の分解斜視図であり、外筒側係合部と組み合わせ構造体とを分離した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の施解錠装置について説明する。
本実施形態の施解錠装置1は、
図1、
図2の様に、錠本体100と組み合わされて使用されるものである。錠本体100は、四角形の箱部材101を有し、当該箱部材101の側面からデッドボルト102が出没するものである。
図2の様に、錠本体100の表裏面には、デッドボルト102を出没されるための係合部103がある。
【0022】
施解錠装置1は、
図1、
図2の様に、本体装置3と、テンキー式認証装置5及び指紋認証装置6によって構成されている。
テンキー式認証装置5は、公知ものであり、スイッチ群10を有し、当該スイッチ群10に暗証番号等を入力することにより、解除信号が出力されるものである。
指紋認証装置6は、小窓7を有し、当該小窓7に指を近づけることによって指紋を読み取るものである。そして当該指紋が、登録された指紋と一致することを条件として解除信号が出力されるものである。
【0023】
本施解錠装置1の本体装置3は、手動によって操作するものである。以下、本体装置3が扉に取り付けられる側を先端側と称し、その反対側を手前側と称する。即ち鍵穴107が有る側が手前側であり、その反対側が先端側である。
本体装置3は、
図3の様に、外筒部材11と、内筒部材12と、出力部材13及びクラッチ部材15によって構成されている。
【0024】
最初に外筒部材11について説明する。
外筒部材11は、
図3、
図11の様に、円筒形の筒である。外筒部材11は、手動操作部材としての機能するものである。外筒部材(手動操作部材)11は、手前側側面16が閉塞され、先端側が開放されている。手前側側面16の中心には
図11の様に開口17が設けられている。外筒部材11の周面であって手前側には滑り止めの刻み部18が設けられている。
【0025】
次に内筒部材12について説明する。
内筒部材12は、
図3乃至6の様に、筒体部20の中にシリンダー部材21が内蔵されたものである。
筒体部20は、
図6の様に、シリンダー収容部22の先端側に棒状の取付け部材23a、23bが突出したものである。
シリンダー収容部22は、内部が空洞であり、その中にシリンダー部材21が挿入されている。シリンダー部材21は、公知のシリンダー錠であり、
図4、
図5の様に、外筒25と内筒26を有し、鍵110を鍵穴107に挿入して内筒26を回動させるものである。
内筒26の先端には、係合片28が設けられている。係合片28は、対向する突起部を有するものである。係合片28は鍵110を回動した後、当該鍵110の姿勢を元に戻した状態で当該鍵110を引き抜くための部材であり、広く知られたものである。
【0026】
図6の様に、筒体部20の側面には、駆動部材30と、近接スイッチ31a、31bが埋め込まれている。駆動部材30はソレノイドであり、本体部32からピン33が出没するものである。近接スイッチ31a、31bは、本体装置3が施錠状態であるか解錠状態であるかを判定する施解錠状態検知手段である。
取付け部材23a、23bは、細い棒状であり、先端にネジ孔35が形成されている。
【0027】
次に出力部材13について説明する。
出力部材13は、
図8の様に、軸部36を有し、その中間部にフランジ部37が設けられたものである。軸部36は、先端側に四角形の係合穴40が設けられている。また軸部の手前側には壁状の係合部41が設けられている。
フランジ部37は、円形部42と耳部43a、43bを有している。耳部43a、43bから手前側に向かって棒状のガイド部45a、45bが突出している。
【0028】
次にクラッチ部材15について説明する。クラッチ部材15は、
図3、
図13、
図14の様に、外筒側係合部50と移動側係合部材51と押圧部材52及び弾性部材53によって構成されている。また
図3、
図14の様に、出力部材13と、移動側係合部材51と押圧部材52及び弾性部材53によって組み合わせ構造体47が構成されている。
【0029】
外筒側係合部50は、
図12の様に、リング状の部材である。外筒側係合部50は、先端側の厚みが均一な接続部55がある。接続部55の先端側の端部であってその周部には係合用の突起56がある。外筒側係合部50の手前側は、内面に係合部57がある。係合部57は、多数の溝であり、各溝は、いずれも手前側に開放されている。
【0030】
移動側係合部材51は、
図9の様に、円板部60と、ガイド受け部61a、61bと、係合部(突起)62a、62bを有している。
円板部60は、中央に開口63がある。ガイド受け部61a、61bは、それぞれ一対の突出部63a、63bがあり、当該突出部63a、63bの間が切り欠き状の開口65a、65bとなっている。また各突出部63a、63bの先端に小突起状の係合部62a、62bがある。即ち、移動側係合部材51は外周部に突起を有し当該突起が係合部62a、62bとして機能する。
【0031】
押圧部材52は、
図10の様に、接合部65と押圧部66を有した略「U」字状の部材である。
接合部65には接続孔67が設けられている。押圧部66は、2本の押圧片68がある。
押圧部66は、接合部65に対して傾斜した姿勢となっている。
弾性部材53は、ばねである。
【0032】
前記した様に、出力部材13と、移動側係合部材51と、押圧部材52及び弾性部材53によって組み合わせ構造体47が構成されている。以下、組み合わせ構造体47について説明する。
組み合わせ構造体47を構成する移動側係合部材51は、
図3、
図4、
図13、
図14の様に、出力部材13の手前側にあり、
図14の様に出力部材13のガイド部45a、45bにガイド受け部61a、61bが係合している。そのため移動側係合部材51は、出力部材13に対して回動方向は一体的であり、軸方向には摺動可能である。
押圧部材52は、移動側係合部材51のさらに手前側にある。
弾性部材53は、出力部材13のフランジ部37と移動側係合部材51の間にあり、移動側係合部材51を手前側に押圧している。
出力部材13の軸部36の手前側は、
図14の様に、弾性部材53の中心と、移動側係合部材51の開口63及び押圧部材52の2本の押圧片68の間に挿通されている。
【0033】
クラッチ部材15の外筒側係合部50は、
図4、
図5の様に、外筒部材11の先端側の内面に一体的に固定されている。
【0034】
次に本体装置3の各構成部材の関係について
図3、
図4、
図5、
図13、
図14を参照しつつ説明する。
本体装置3は、外筒部材(手動操作部材)11の中に、内筒部材12と出力部材13及びクラッチ部材15が内蔵されたものである。
即ち、外筒部材11の内部であって、最も手前側の位置に、内筒部材12が内蔵されている。内筒部材12は外筒部材11の一端寄りの位置にある。内筒部材12には、前記した様にシリンダー部材21が内蔵されており、シリンダー部材21の鍵穴107は、外筒部材11の手前側側面16の開口17に臨む位置にある。
手動操作部材たる外筒部材11は、シリンダー部材21に対して外側の位置に配されており、手動操作部材たる外筒部材11は、シリンダー部材21を包囲している。
【0035】
外筒部材11の内部であって、内筒部材12の先端側には、出力部材13と、移動側係合部材51と押圧部材52及び弾性部材53によって構成された組み合わせ構造体47が配されている。組み合わせ構造体47は、
図13、
図14の様に、外筒側係合部50と組み合わされてクラッチ部材15を構成するものである。本実施形態では、クラッチ部材15は、外筒部材11内であって先端寄りの位置にある。即ち、クラッチ部材15は、外筒部材11内であって他端寄りの位置にある。
そして出力部材13の軸部36の手前側に設けられた壁状の係合部41が、シリンダー部材21の係合片28と係合している。
また
図13、
図14の様に、押圧部材52の接合部65の接続孔67が、内筒部材12の駆動部材30のピン33と係合している。
押圧部材52の押圧部66は、接合部65に対して傾斜した姿勢となっており、両者の境界部(角の部分)が、内筒部材12の一部に当たっている。
【0036】
また本実施形態では、近接スイッチ31a、31bによって出力部材13の姿勢を検知し、本体装置3が施錠状態であるか解錠状態であるかを判定する。
駆動部材30のピン33は、常時突出しており、テンキー式認証装置5から出力される解除信号を受けてピン33が引き込むと、クラッチ部材15が繋がり、外筒部材11と出力部材13がクラッチ部材15を介して係合し、解錠可能な状態となる。
即ち本体装置3が施錠状態である場合に、テンキー式認証装置5又は指紋認証装置6によって認証されると、これらの解除信号によって駆動部材30が一定時間だけ駆動し、ピン33が引き込む。ピン33が引き込むと、クラッチ部材15が繋がった状態となる。
逆に、ピン33が突出するとクラッチ部材15が切れた状態となり、外筒部材11と出力部材13の間の動力伝達がなくなる。そのため外筒部材11を回しても、外筒部材11が空転するだけであり、出力部材13は回動しない。
【0037】
本体装置3は、
図1の様に、テンキー式認証装置5及び指紋認証装置6と組み合わされて図示しない扉に固定される。
また出力部材13の先端側に係合穴40と、錠本体100の係合部103の間に連接棒105が配され、出力部材13の回動が錠本体100の係合部103に伝動される。
本体装置3は、
図5の様に、取付板106にネジ108によって取り付けられ、当該取付板106を介して図示しない扉に固定される。即ち
図5の様に、内筒部材12の取付け部材23a、23bのネジ孔35にネジ108を係合させ、内筒部材12が図示しない扉に固定される。
本体装置3の外筒部材11は、内筒部材12や組み合わせ構造体47等にかぶさった位置関係にあり、外筒部材11は、内筒部材12に対して回動可能である。内筒部材12にシリンダー部材21が内蔵されているので、外筒部材11は、シリンダー部材21に対して回動可能である。
即ち、本体装置3の内筒部材12は、錠本体100に対して回転不能であり、シリンダー部材21も錠本体100に対して回転不能である。外筒部材11は、内筒部材12に対して回動可能であり、シリンダー部材21に対しても回動可能である。
【0038】
次に、施解錠装置1の機能について説明する。本実施形態の施解錠装置1は、鍵110を使用して施錠や解錠を行うことができる。
またテンキー式認証装置5や指紋認証装置6による認証を経て、外筒部材11を手動で回動し、解錠を行うこともできる。
施解錠装置1が施錠状態であり、且つテンキー式認証装置5や指紋認証装置6による認証がなされていない状態においては、駆動部材30のピン33が突出しており、押圧部材52の接合部65が先端側にあり、押圧部材52の押圧部66は逆に手前側にある。
一方、移動側係合部材51は、弾性部材53によって手前側に押圧されているから、移動側係合部材51は、弾性部材53によって手前側に寄った位置にある。
【0039】
そのため、
図4(a)、
図13(a)の様に、移動側係合部材51の小突起状の係合部62a、62bは、外筒部材11の外筒側係合部50の係合部57から離れており、クラッチ部材15が切れた状態となっている。従って、テンキー式認証装置5や指紋認証装置6による認証がなされていない状態においては、外筒部材11は出力部材13と係合せず、外筒部材11は自由回転可能である。そのため、テンキー式認証装置5や指紋認証装置6による認証がなされていない状態で使用者が外筒部材11を回しても、外筒部材11が空転するだけであり、錠本体100は動作しない。従って外筒部材11を使用して解錠することはできない。
【0040】
一方、施解錠装置1が施錠状態である場合、テンキー式認証装置5や指紋認証装置6による認証がなされると、これらの解除信号によって駆動部材30のピン33が一定時間(例えば数秒)だけ没入し、押圧部材52の接合部65が手前側に率いられ、押圧部材52の押圧部66は、逆に先端側に移動する。
移動側係合部材51は、弾性部材53によって手前側に押圧されているが、弾性部材53の付勢力に抗して移動側係合部材51は、先端側に移動する。
【0041】
そのため、移動側係合部材51の小突起状の係合部62a、62bが、外筒部材(手動操作部材)11の外筒側係合部50の係合部57と係合し、クラッチ部材15が繋がった状態になる。
ここで、移動側係合部材51は、出力部材13に対して軸方向には摺動可能であるが、回動方向は一体に姿勢変更する。従って、テンキー式認証装置5や指紋認証装置6による認証がなされると、外筒部材11が出力部材13と係合し、外筒部材11を手動で回動すると、出力部材13が回動する。そのため、テンキー式認証装置5や指紋認証装置6による認証がなされていると、使用者が外筒部材11を回すことによって出力部材13が回動し、錠本体100が動作する。従って外筒部材11を使用して解錠することができる。
この様に本実施形態の施解錠装置1では、認証を行った後に外筒部材11を回すことによって錠本体100が解錠されるので、使用者は解錠されたという実感を得ることができる。
【0042】
外筒部材11が操作されたか否かに係らず、一定時間が経過すると、駆動部材30のピン33が復帰してクラッチ部材15が切れた状態となり、外筒部材11と出力部材13の間の動力伝達がなくなる。そのため外筒部材11を回しても、外筒部材11が空転するだけであり、出力部材13は回動しない。そのため本実施形態の施解錠装置1は、防犯性が高い。
【0043】
なお施解錠装置1が解除状態である場合は、駆動部材30のピン33は没入しており、クラッチ部材15が繋がった状態になっているので、認証の有無にかかわらず、錠本体100を動作させて施錠を行うことができる。
また鍵110を使用する場合は、認証の有無に関わらず錠本体100を動作させて施錠や解錠を行うことができる。
本実施形態では、鍵穴107が手動操作部材たる外筒部材11の中心にあるので、鍵穴107の位置が分かりやすい。
【0044】
以上説明した実施形態では、円筒形の外筒部材11が手動操作部材として機能し、使用者は外筒部材11を掴んで回して解錠等を行う。
円筒形の外筒部材11は握り易く、推奨される形状であるが、本発明はこの形状に限定されるものではない。例えば握り玉の様な球形に近いものであってもよい。またレバーハンドルの様な棒状の部分があってもよい。
上記した実施形態では、外筒部材11を回動させて解錠等を行うものであるが、外筒部材11を押したり引いたりすることによって出力部材を回動させてもよい。
また上記した実施形態では、外筒部材11を全体的に回動させたが、外筒部材の一部を回動させたりスライドさせることによって出力部材を回動さてもよい。
手動操作部材は外筒に限定されるものではなく、スイッチ状のものであってもよい。要するに、手動操作部材はシリンダー部材の外側の位置にあればよい。
【0045】
上記した実施形態では、認証手段としてテンキー式認証装置5と指紋認証装置6を例示したが、認証手段はこれに限定されるものではなく、顔認証や音声認証あるいは網膜認証等であってもよい。即ち身体的特徴による認証手段を採用可能である。またカード認証等の様な特有の持ち物を使用する認証手段であってもよい。
上記した実施形態では、テンキー式認証装置5と指紋認証装置6の二種類の認証手段を備えているが、認証手段の数は任意であり、一種類のみであってもよく、三種類以上であってもよい。
【0046】
上記した実施形態では、駆動部材30としてソレノイドを採用したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、他の構造のものであってもよい。例えばモータを駆動部材として採用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 施解錠装置
3 本体装置
5 テンキー式認証装置
6 指紋認証装置
11 外筒部材(手動操作部材)
12 内筒部材
13 出力部材
15 クラッチ部材
21 シリンダー部材
30 駆動部材
31a 31b 近接スイッチ(施解錠状態検知手段)
47 組み合わせ構造体
50 外筒側係合部
51 移動側係合部材
52 押圧部材
53 弾性部材
110 鍵