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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077867
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20240603BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H01L23/48 G
H01L21/60 321E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190073
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(57)【要約】
【課題】半導体装置において、動作時の発熱を要因とする故障の発生を抑制して動作寿命を延ばす。
【解決手段】第1電極と、複数の端子、及び該複数の端子のうち隣り合う二つの間に形成された1本のスリットを有する第2電極と、前記第1電極が接合材を介して接続された第1面、及び前記第1面の反対面であり前記第2電極が接合材を介して接続された第2面を有する半導体チップと、前記第2電極に設けられた前記スリット内で、前記第2面に接合材を介して接続された第3電極と、を備える半導体装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
複数の端子、及び該複数の端子のうち隣り合う二つの間に形成された1本のスリットを有する第2電極と、
前記第1電極が接合材を介して接続された第1面、及び前記第1面の反対面であり前記第2電極が接合材を介して接続された第2面を有する半導体チップと、
前記第2電極に設けられた前記スリット内で、前記第2面に接合材を介して接続された第3電極と、を備える半導体装置。
【請求項2】
前記半導体チップは、
前記第1面に形成され前記第1電極が接合材を介して接続されたドレイン電極と、
前記第2面に形成され前記第2電極が接合材を介して接続されたソース電極と、
前記第2面に形成され前記第3電極が接合材を介して接続されたゲート電極と、を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2電極の前記端子の本数が偶数であり、
前記スリットは前記複数の端子のうち隣り合う二つの間に形成されるとともに複数の前記端子の並び方向における中央の位置に設けられ、
前記スリットから該並び方向における一方向に離間した前記端子の本数と該スリットから該一方向の反対方向に離間した該端子の本数とが同じである請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2電極の前記端子の本数が奇数であり、
前記スリットは前記複数の端子のうち隣り合う二つの間に形成されるとともに並べられた前記複数の端子のうち中央の該端子の隣となる位置に設けられ、
前記スリットから複数の前記端子の並び方向における一方向に離間した前記端子の本数が、該スリットから該一方向の反対方向に離間した該端子の本数よりも1本少ない請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2電極は、板状基部を備え、
複数の前記端子は、該板状基部の縁から該板状基部の外側に延在するように形成され、
前記スリットは、前記複数の端子のうち隣り合う二つの間における前記板状基部の前記縁から該板状基部の内側に向かって延在するように形成された請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲート端子、ソース端子、及びドレイン端子を備える半導体パッケージにおいては、複数のソース端子が隣り合って並列し、ゲート端子が半導体チップの外周側の領域に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2987088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体パッケージの動作時におけるソース端子の発熱やチップの発熱が伝わることにより、並列した複数のソース端子のうち中央に位置する箇所では熱負荷が高くなる。局所的な熱負荷の増大は、半導体パッケージの信頼性を低下させかねないという問題がある。
【0005】
よって、半導体装置においては、使用における長期信頼性向上のため、動作時の発熱を要因とする故障の発生を抑制するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の半導体装置は、第1電極と、複数の端子、及び該複数の端子のうち隣り合う二つの間に形成された1本のスリットを有する第2電極と、前記第1電極が接合材を介して接続された第1面、及び前記第1面の反対面であり前記第2電極が接合材を介して接続された第2面を有する半導体チップと、前記第2電極に設けられた前記スリット内で、前記第2面に接合材を介して接続された第3電極と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は実施形態の半導体装置の平面図である。
図2図2は実施形態の半導体装置の第1電極及び第2電極を説明する断面図である。
図3図3は実施形態の半導体装置の第3電極とスリットとを説明する断面図である。
図4図4は、実施形態の変形例であり第2電極の端子が偶数(6本)である半導体装置の一部を説明する平面図である。
図5図5は、パワーサイクル試験における半導体装置の第2電極の複数の端子、及び第3電極の温度分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態の半導体装置1は、図1図3を参照して概説すると、第1電極10と、例えばソースコネクタである第2電極20と、例えばゲートコネクタである第3電極30と、第1リードフレーム12と、第2リードフレーム13と、複数の電極を備える半導体チップ14と、半導体チップ14を保護する封止材19と、を備えている。なお、半導体装置1の構造をわかりやすくするために、封止材19を図1においては2点鎖線で示している。半導体装置1全体は、図示しないパッケージ基板上に実装されている。図2は、半導体装置1の一部を図1のF1-F1線に沿って切断して示す断面図である。図3は、半導体装置1の一部を図1のF2-F2線に沿って切断して示す断面図である。
【0009】
以下の説明では、X軸Y軸Z軸直交座標系を用いる。X軸方向は、+X方向と-X方向とを含む。Y軸方向は、+Y方向と-Y方向とを含む。Z軸方向は、+Z方向と-Z方向とを含む。図2に示す第1電極10から半導体チップ14に向かう方向を上方向(+Z方向)とする。上方向の反対方向を下方向(-Z方向)とする。図1に示すX軸Y軸平面内(水平面内)において第2電極20から第1リードフレーム12に向かう方向を+X方向とし、+X方向の反対方向を-X方向とする。
【0010】
図1に示す例えば数ミリ角の平面視矩形板状の半導体チップ14は、本実施形態では、シリコンを母材とするMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)であるが、これに限定されない。即ち、半導体チップ14は、例えば、縦型IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、縦型ダイオード、又は他の半導体チップであっても良い。また、半導体チップ14は、SiC、GaNのような、シリコンと異なる化合物を母材としていてもよい。
【0011】
第1電極10は、銅等の導電材料からなり、例えば矩形板状のダイパッド101と、ダイパッド101から-X方向に突出するように延在する複数(図1に示す例においては4本)のリード104と、を備えている。第1電極10は、例えばプレス加工により作られ、ダイパッド101とリード104とは、一体に形成されている。
【0012】
図2に示すように、半導体チップ14の下面である第1面14bと第1電極10の上面10aとの間には、半田等の導電性の接合部材102が設けられており、半導体チップ14と第1電極10とが接合部材102により接合されている。
【0013】
図1図3に示すように、半導体チップ14は、ドレイン電極141と、ソース電極142と、ゲート電極143と、を備えている。図2に示すように、ソース電極142は、半導体チップ14の第1面14bの反対面であり上面となる第2面14aに設けられている。また、図1図3に示すゲート電極143は、ソース電極142と水平面内において離間して半導体チップ14の第2面14aに設けられている。ドレイン電極141は、半導体チップ14の第1面14bの大半に形成されている。そして、ドレイン電極141は、接合部材102を介して第1電極10に電気的に接続されている。
【0014】
図1に示す第2電極20は、半導体チップ14の第2面14aに形成されたソース電極142と複数の第1リードフレーム12とを電気的に接続する。第2電極20は、銅等の導電性材料で形成されている。第2電極20は、平面視略矩形板状の板状基部21と、板状基部21の+X方向側の縁214に複数(図示の例においては、7本)形成され板状基部21の外側に向かって延在する端子22と、Y軸方向において隣り合う端子22と端子22との間における板状基部21の縁214から板状基部21の内側に向かって板状基部21を例えば矩形状に切り欠いて形成された1本のスリット24と、を備えている。例えば、端子22の延在方向(X軸方向)とスリット24の延在方向とは平行となっている。
【0015】
図1に示すように、ソース電極142は、スリット24内に含まれないようにスリット24に対応する箇所を一部切り欠いて形成されている。したがって、スリット24内には、半導体チップ14の第2面14aが露出している。そして、図1図3に示すように、ソース電極142とスリット24内に配設されたゲート電極143とは、X軸Y軸平面内において離間している。
【0016】
図1に示すように、Y軸方向を並び方向とする7本の端子22の間隔は、例えば、+Y方向側から見て4番目の端子22と4番目の端子22(4pinの端子22)に隣り合う6番目の端子22(6pinの端子22)との間の間隔以外は、Y軸方向において等間隔を空けて配設されている。なお、図1において+Y方向側から-Y方向側に向かって並ぶ複数の端子22、及び第3電極30について、番号を付す。即ち、最も+Y方向側に位置する端子22を1pinとし、-Y方向側に向かって順に2pin、3pinとしていく。そして、+Y方向側から見て5番目に位置する第3電極30を5pinとする。最も-Y方向側に位置する端子22は8pinとなる。
【0017】
例えば、図1図2に示すように、第2電極20の複数の端子22は、それぞれ、第1延伸部221と、第2延伸部222と、第3延伸部223と、第4延伸部224と、を備えている。第1延伸部221は、板状基部21の+X方向側の一辺領域から+Z方向に向かって立ち上がっている。
【0018】
第2延伸部222は、第1延伸部221に接続しており+X方向に沿って延びている。第2延伸部222は、板状基部21よりも上方に位置している。第3延伸部223は、第2延伸部222に接続されており、略-Z方向に向かって延在している。第4延伸部224は、第3延伸部223に接続されており、+X方向に沿って延びている。
【0019】
図2に示すように、板状基部21の下面とソース電極142との間には、半田等の導電性の接合材145が配置されており、第2電極20と半導体チップ14のソース電極142とが接合材145により接合されている。
【0020】
図1に示すように、スリット24は、例えば、第3電極30が第2電極20の端子22と平行に延在する平面視矩形状に形成されているのに合わせて、X軸方向に沿って延在する矩形状に形成されている。なお、スリット24の形状は図示の例に限定されるものではない。即ち、スリット24は、第3電極30の形状に合わせて板状基部21を切り欠いて形成される。
【0021】
図1図3に示すスリット24の大きさは、少なくとも、スリット24内に配設された第3電極30と、第2電極20の板状基部21及び端子22とが互いに接触してショートしてしまうことがないような隙間が確保されるように設定される。なお、この隙間に加え、第3電極30をゲート電極143に接合するための図3に示す半田等の接合材306のリフロー工程時における広がり、及び図2に示す第2電極20をソース電極142に接合するための半田等の接合材145のリフロー工程時における広がりを考慮して、接合材306と接合材145との接触を防ぐための余裕代が設定されてもよい。
【0022】
図1図2に示す第2電極20のそれぞれの端子22に一対一で接続される第1リードフレーム12は、銅等の導電性材料で形成されている。図1図2に示すように、第1リードフレーム12は、第1電極10とX軸方向において離間している。第1リードフレーム12は、例えば、平板部121と、傾斜部125と、第1延伸部122と、を有している。平板部121の上面121aは、例えば半導体チップ14の第2面14aよりも上方に位置している。平板部121の上面121aは、例えばX軸Y軸平面に平行になっている。例えば、平板部121の上面121aには、半田等の導電性の接合部材126が設けられており、端子22の第4延伸部224の下面と平板部121の上面121aとが接合部材126により接合されている。
【0023】
図1図2に示すように、第1延伸部122は、平板部121に傾斜部125を介して接続されており、+X方向に沿って延びている。第1延伸部122は、平板部121よりも下方に位置している。したがって、傾斜部125は+X方向側に向かって斜め下方に延在している。
【0024】
例えば、図1に示す7本の端子22のX軸方向における長さは同じ長さに統一されているが、端子22の長さがそれぞれ異なっていてもよい。なお、第2電極20を板状基部21から複数の端子22が延在する構造とすることで、端子22と第1リードフレーム12とのリフロー工程における接合中に、第2電極20の応力を端子22側で分散させることができるため、端子22と第1リードフレーム12との半田接合が適切に実施可能となる。したがって、第2電極20を例えば複数の端子を備えない一枚板とした場合に比べて、リフロー工程後の第2電極20と第1リードフレーム12との接合不良の発生を抑制可能となる。
【0025】
なお、本実施形態では、第2電極20の端子22と第1リードフレーム12とが接合部材126により接合されているが、図2に示す第1リードフレーム12と端子22との接合に接合部材126が用いられておらず、第1リードフレーム12と端子22とが予め一体的に形成されており、第1リードフレーム12自体が予め第2電極20の端子22の一部となっていてもよい。また、端子22と第1リードフレーム12との接合がボンディングワイヤを用いてなされていてもよい。
【0026】
図1図3に示すスリット24内に配設され第3電極30は、例えば、第1延伸部301と、第2延伸部302と、第3延伸部303と、第4延伸部304と、第5延伸部305と、を備えている。第1延伸部301は、ゲート電極143に接続されている。
【0027】
図3に示すように、第1延伸部301の下面とゲート電極143との間には、半田等の導電性の接合材306が配置されており、第1延伸部301とゲート電極143とが接合材306により接合されている。図1、及び図3に示すように、第3電極30と第2電極20とは、水平方向において離隔している。そして、ゲート電極143に印加される電圧に応じて、ソース電極142とドレイン電極141との間に流れる電流が制御される。
【0028】
図3に示すように、第2延伸部302は、第1延伸部301に接続されており+Z方向に向かって立ち上がっている。第3延伸部303は、第2延伸部302に接続されており、第1延伸部301よりも上方に位置し、+X方向に沿って延びている。第4延伸部304は、第3延伸部303に接続されており、略-Z方向に向かって延在している。第5延伸部305は、第4延伸部304に接続されており、+X方向に沿って延びている。
【0029】
図1図3に示す第3電極30に接続される第2リードフレーム13は、銅等の導電性材料からなる。第2リードフレーム13は、第1電極10とX軸方向において離間している。本実施形態では、第2リードフレーム13は、平板部131と、傾斜部135と、第1延伸部132とを有している。図3に示すように、平板部131の上面131aは、例えば半導体チップ14の第2面14aよりも上方に位置する。平板部131の上面131aは、例えばX軸Y軸平面に平行である。
【0030】
例えば、平板部131の上面131aには、半田等の導電性の接合部材136が設けられており、第3電極30の第5延伸部305の下面と第2リードフレーム13の平板部131の上面131aとが接合部材136により接合されている。なお、第2リードフレーム13と第3電極30との接合に接合部材136が用いられておらず、第2リードフレーム13と第3電極30とが予め一体的に形成されていてもよい。また、第3電極30と第2リードフレーム13との接合がボンディングワイヤを用いてなされていてもよい。
【0031】
本実施形態の半導体装置1においては、図1に示すように、第2電極20の端子22の本数が7本と奇数となっており、スリット24は、例えば+Y方向側から見て4pinの端子22と6pinの端子22との間に形成されている。したがって、スリット24から離間した端子22の並び方向(Y軸方向)における一方向側(-Y方向側)の端子22の本数が3本となり、該一方向側の反対方向側(+Y方向側)にスリット24から離間した端子22の本数4本に比べて1本少なくなっている。したがって、スリット24、及びスリット24内に配設された第3電極30は、並べられた7つの端子22のうち中央の4pinの端子22の-Y方向側における隣となる位置に配設されている。
【0032】
例えば、図4に示すように、半導体装置1において、板状基部21から延在する端子22の本数が、偶数(例えば、6本)となっていてもよい。そして、スリット24は、例えば+Y方向側から見て3pinの端子22と5pinの端子22との間に形成されている。したがって、スリット24から離間した端子22の並び方向(Y軸方向)における一方向側(-Y方向側)の端子22の本数が3本となり、該一方向側の反対方向側(+Y方向側)におけるスリット24から離間した端子22の本数も同数の3本となっている。そして、スリット24、及びスリット24内に配設された4pinとなる第3電極30は、端子22の並び方向(Y軸方向)における中央の位置に配設されている。
【0033】
図1図3に示すように、封止材19は、本実施形態では略直方体に形成されている。ただし、封止材19の形状は本例に限定されない。封止材19は、第1電極10と半導体チップ14との接合部、ゲート電極143と第3電極30との接合部、第3電極30と第2リードフレーム13との接合部、ソース電極142と第2電極20との接合部、及び、第2電極20の各端子22と各第1リードフレーム12との接合部を封止している。
【0034】
具体的には、封止材19は、第1電極10のダイパッド101の上面及び側面、並びにリード104の一部分を覆っている。また、封止材19は、例えば第1リードフレーム12における平板部121の一部分を覆っている。また、封止材19は、例えば第2リードフレーム13における平板部131の一部分を覆っている。
【0035】
封止材19は、第1電極10の一部、第1リードフレーム12の一部、及び第2リードフレーム13の一部を露出させる。具体的には、封止材19は、第1電極10の下面、リード104の他部分を露出させる。封止材19は、第1リードフレーム12における平板部121の他部分、傾斜部125、及び第1延伸部122を露出させる。また、封止材19は、第2リードフレーム13における平板部131の他部分、傾斜部135、及び第1延伸部132を露出させる。
【0036】
半導体装置1の使用時においては、第1電極10の下面、第1電極10のリード104、第1リードフレーム12における第1延伸部122、及び第2リードフレーム13における第1延伸部132が外部の配線に電気的に接続される。ただし、第1電極10、第1リードフレーム12、及び第2リードフレーム13のそれぞれにおいて封止材19から露出する部分は、上記例に限定されるものではない。
【0037】
以下に、本実施形態に係る半導体装置1の効果について説明する。半導体装置1の効果を確認するために、以下に説明するパワーサイクル試験を行った。図示しない電源より、半導体装置1にゲート電圧を印可することでチャンネル領域を形成して、ソース電極142―ドレイン電極141間にドレイン電流(定格電流)をオン時間で約1.2秒流し、オフ時間を約10秒とした。なお、パワーサイクル試験において、試験電流(ドレイン電流)は、例えば400アンペアとしたが、数十アンペア~数百アンペアの範囲で適宜選択可能であり、オンオフの配分時間も適宜変更可能である。
【0038】
上記半導体装置1のオンオフの切り換えにより、半導体装置1も過熱と冷却とが繰り返された。ここで、ゲートコネクタであり半導体チップ14のオンオフを制御する第3電極30の発熱は、半導体チップ14が発生させた熱が少しだけ伝わることによるものであり、オンオフ制御のみを行う第3電極30自体が生み出す発熱量は非常に小さい値となる。これに対して、ソースコネクタである第2電極20の発熱量は、半導体チップ14が発生させた熱の伝達に加え、第2電極20の板状基部21及び複数の端子22自体にドレイン電流が流れるため、第3電極30の発熱に比べて非常に高い値となる。
【0039】
本実施形態の半導体装置1についてのパワーサイクル試験と比較するために、図1に示す1pinの位置(最も+Y方向側の位置)にゲートコネクタである第3電極30が位置し、2pinから8pinの位置にソースコネクタである複数の端子22が位置し、第3電極30が第2電極20の端子22に挟まれていない対比試験用の半導体装置を用意した。そして、対比試験用の半導体装置についても、先に説明したのと同様の条件でパワーサイクル試験を行った。
【0040】
上記パワーサイクル試験における半導体装置1の第2電極20の複数の端子22及び第3電極30の温度分布、及び上記対比試験用の半導体装置の第2電極20の複数の端子22及び第3電極30の温度分布を、半導体装置1の例えば上方に設置したサーモビュアを用いて評価した。該評価について、図5の温度分布図Gを用いて示す。
【0041】
温度分布図Gにおいて、横軸は端子22及び第3電極30の番号(pin)を示し、縦軸は端子22及び第3電極30の最高温度(℃)を示している。また、温度分布図Gにおいて、白四角(◇)は対比試験用の半導体装置の第3電極30を示し、白丸(〇)対比試験用の半導体装置の端子22を示し、黒四角(◆)は本実施形態の半導体装置1の第3電極30を示し、黒丸(●)は本実施形態の半導体装置1の端子22を示している。
【0042】
温度分布図Gに示すように、対比試験用の半導体装置の構造、即ち、図1に示す1pinの位置(最も+Y方向側の位置)にゲートコネクタである第3電極30が位置し、2pinから8pinの位置にソースコネクタである第2電極20の複数の端子22が位置し、第3電極30が第2電極20の端子22に挟まれていない構造では、第3電極30の最高温度が約50℃であり、それに対して第2電極20の2pinから8pinの位置に連続して並ぶ複数の端子22は、ほとんどが最高温度115℃以上となり、特に、5pinに位置している端子22の温度が約117℃となり最も高温となった。
【0043】
一方で、本実施形態に係る半導体装置1は、温度分布図Gに示す5pinの位置にある第3電極30の最高温度が約54℃になったものの、複数の端子22のそれぞれの最高温度を対比試験用の半導体装置よりも約1.5℃~約3℃下げることができた。
【0044】
上記のように、本実施形態の半導体装置1は、複数の端子22、及び該複数の端子22のうち隣り合う二つの端子22の間に形成された1本のスリット24を有する第2電極20と、第1電極10が接合部材102を介して接続された第1面14b、及び第1面14bの反対面であり第2電極20が接合材145を介して接続された第2面14aを有する半導体チップ14と、第2電極20に設けられたスリット24内で、第2面14aに接合材306を介して接続された第3電極30と、を備えている。そのため、半導体装置1を動作させた場合に、ソースコネクタである第2電極20の発熱を、発熱量が少ないゲートコネクタである第3電極30によって抑える、即ち、該発熱を半導体装置1上で分散させることができる。したがって、第2電極20の動作時の最高温度を下げることが可能となる。また、例えば、本実施形態のように、第2電極20の複数の端子22と第1リードフレーム12との接合に半田等の接合部材126を用いている場合には、接合部材126の亀裂発生等を抑制できる。即ち、半導体装置1の長期的な使用における動作時の発熱を要因とする故障の発生を防ぐことで、半導体装置1の動作寿命を増やすことができ、半導体装置1の長期信頼性を向上させる。
【0045】
本実施形態の半導体装置1においては、図1に示すように、第2電極20の端子22の本数が例えば7本と奇数であり、スリット24は隣り合う端子22と端子22との間に形成されるとともに並べられた複数の端子22のうち中央の4pinの端子22の隣となる位置に設けられている。そして、スリット24から複数の端子22の並び方向における一方向(-Y方向)に離間した該端子22の本数が3本であり、該一方向の反対方向(+Y方向)にスリット24から離間した該端子22の本数4本よりも1本少なくなっている。このように、スリット24及びスリット24内に配設された第3電極30が、複数の端子22のうち並び方向における中央の端子22の隣の位置にあることで、半導体装置1の動作時の発熱を半導体装置1上でより均一化するように分散させることができる。
【0046】
なお、例えば、図4に示すように、第2電極20の端子22の本数が例えば6本と偶数であり、スリット24は隣り合う端子22と端子22との間に形成されるとともに複数の端子22の並び方向(Y軸方向)における中央の位置に設けられ、スリット24から並び方向における一方向に離間した端子22の本数と一方向の反対方向に離間した端子22の本数とが同じ3本ずつである場合においても、スリット24内に配設された第3電極30が複数の端子22の並び方向における中央の位置にあることで、半導体装置1の動作時の発熱を半導体装置1上でより均等になるように分散させることができる。
【0047】
本実施形態の半導体装置1は、例えば、第2電極20は、板状基部21を備え、複数の端子22は、板状基部21の縁214から板状基部21の外側に延在するように形成され、スリット24は、隣り合う端子22と端子22との間における板状基部21の縁214から板状基部21の内側に向かって延在するように板状基部21を例えば切り欠いて形成されていることで、例えば第1リードフレーム12とのリフロー工程等における接合中に、第2電極20の応力を端子22側で分散させることができるため、本実施形態のように、端子22と第1リードフレーム12との接合に半田等の接合部材126を用いている場合には、半田等の接合部材126によって端子22と第1リードフレーム12とがより適切に接合された状態となる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1:半導体装置
10:第1電極
14:半導体チップ
141:ドレイン電極
142:ソース電極
143:ゲート電極
19:封止材
20:第2電極
22:端子
24:スリット
30:第3電極
図1
図2
図3
図4
図5